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第3章 畜産業の振興 - 内閣府 沖縄総合事務局
第3章 畜産業の振興 - 81 - 左上: 右上: 放牧地でくつろぐ繁殖雌牛 食用ヤギの舎飼いの様子(糸満市) (竹富町黒島) 左下: 右下: 生まれたばかりのブランド豚アグー (今帰仁村) - 82 - 石垣牛の肥育の様子(石垣市) 第1節 畜産 沖縄の畜産業は、本土復帰以降、順調な発展を遂げ、現在では、農業産出額の 4割強を占めるなど、沖縄農業の中で重要な地位を占めています。 平成26年では畜産全体の産出額は411億円で、畜種別にみると、肉用牛が169億 円(構成比41%)で最も多く、次いで豚133億円(同32%)、鶏65億円(同16%)、 乳用牛42億円(同10%)、その他2億円(同1%)となっています(図Ⅲ-1)。 また、平成27年10月のTPPの大筋合意を受け、11月には、政府の総合対策本 部において、「総合的なTPP関連政策大綱」が決定されました。 これを踏まえ、畜産分野については、平成27年度補正予算において、畜産クラ スター事業について、複数年度にまたがる事業実施など弾力的な運用が可能とな るよう事業の基金化を行うとともに、収益向上効果を最大限発揮できるよう、支 援対象の拡大を行う等、同事業を拡充しており、沖縄総合事務局では、こうした 各種施策を推進し、力強い沖縄畜産業の構築に取り組んでいくこととしています。 (詳細は第1章参照。) 図Ⅲ-1 畜種別産出額の推移(積み上げ) (億円) 411億円 450 400 その他 2億円 乳用牛 乳用牛 42億円 鶏 65億円 豚 133億円 350 300 250 200 150 100 肉用牛 169億円 50 0 昭.48 ∼ 54 ∼ 59 ∼ 平.元 ∼ 6 ∼ 11 ∼ 16 ∼ 21 ∼ 26 (年) 資料:農林水産省「生産農業所得統計」 図Ⅲ-2 畜種別産出額の推移(個別) (億円) 250 肉用牛 豚 鶏 乳用牛 200 平14年 肉用牛144億円 平21年前後子牛価格が低迷 150 昭60年 豚195億円 100 平14年 豚130億円 50 0 昭.48 ∼ 54 ∼ 59 ∼ 平.元 ∼ 6 資料:農林水産省「生産農業所得統計」 - 83 - ∼ 11 ∼ 16 ∼ 21 ∼ 26 (年) (1)肉用牛 肉用牛については、亜熱帯性気候を活かした生産性の高い飼料生産の展開や子 牛の価格安定対策の実施、飼料生産基盤の整備や飼養管理施設整備の進捗等によ り、産出額は本土復帰直後と比較して大きく伸び、平成14年以降は豚の産出額を 上回っています(図Ⅲ-2)。 一方、飼養頭数も増加傾向で推移していましたが、平成22年の九州における口 蹄疫の発生や東日本大震災の影響による子牛価格の高騰等を背景に繁殖雌牛や後 継雌牛の売却が増えたことから、平成27年の飼養頭数は70,300頭(対前年比1.5 %減)に減少しました。 また、飼養戸数も、近年横ばいで推移していましたが、平成27年は2,700戸(同 2.2%減)に減少するなど、高齢農家を中心とした生産者の離農が進行していま す(図Ⅲ-3)。 平成27年の飼養頭数に占める繁殖雌牛の割合は60.0%と全国の23.2%に比べ高 く、沖縄では繁殖経営が多いことが特徴となっております。 また、平成27年の繁殖経営1戸当たりの繁殖雌牛飼養頭数は、15.7頭と全国 12.9頭の1.2倍の規模となっています(表Ⅲ-1)。 なお、平成26年の肉用子牛生産頭数は、全国で鹿児島県、宮崎県、北海道に次 ぎ第4位 *1 となっています。 図Ⅲ-3 肉用牛の飼養頭数及び規模別飼養戸数の推移 (戸) 9,000 飼養頭数1∼4頭 5∼9頭 10∼19頭 20∼49頭 50∼99頭 100頭以上 (千頭) 90 飼養頭数(右目盛) 8,000 80 牛 肉 輸 入 自 由 7,000 6,000 国 内 で B S E 問 題 発 生 オ ウ シ マ ダ ニ 撲 滅 化 5,000 70 70 千頭 60 口 蹄 疫 発 生 4,000 東 日 本 大 震 50 災 40 2,700 戸 3,000 30 2,000 20 1,000 10 0 昭48 51 56 61 平元 3 5 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 0 (年) 資料:農林水産省「畜産統計」*2 注:平成3年以降の飼養頭数及び規模別飼養戸数は、試験場等の非営利的な飼養者は含まない。 注:平成 12 年の頭数規模別飼養戸数のデータはない。 表 Ⅲ - 1 肉 用 牛 の 飼 養 頭 数 及 び 飼 養 戸 数 ( 平 成 27年 ) (単位:頭、戸、%) 繁殖雌 飼養頭数 繁殖雌牛 飼養戸数 牛割合 繁殖経営 繁殖雌牛 頭数/戸 沖 縄 70,300(98.5) 42,200(99.5) 60.0 2,700(97.8) 2,680(99.6) 15.7 全 国 2,489,000(97.0) 579,500(97.4) 23.2 54,400(94.6) 44,800(95.3) 12.9 資料:農林水産省「畜産統計」 注: ( )内は対前年比 *1 資料:(独)農畜産業振興機構「肉用子牛取引情報」 *2 農林水産省「畜産統計」: 平成27年度は2015年農林業センサス実施年のため、豚、採卵鶏及びブロイラー の調査は実施していない。 - 84 - <肉用子牛取引価格の高騰と畜産振興プラン実現の取組> 最近の肉用子牛の取引価格は、出荷頭数 の減小や堅調な枝肉相場を背景に全国的に 高値で推移しています。 県内家畜市場においても平成25年以降、 黒毛和種子牛価格は上昇を続け、平成28年 4月には、市場の平均取引価格が745,123 円と過去最高値を付けました。 一方、子牛価格の高騰等を背景に繁殖雌 牛や後継雌牛の売却が増えていることか ら、将来の子牛生産頭数の減少が懸念され ます。 このため、国では、平成27年4月に「畜 産再興プラン実現推進本部」を設置し、繁 殖雌牛増頭に転じる運動を展開していま す。県内でも平成27年5月に県、市町村、 関係団体等に対して畜産再興プラン実現推 進のための説明会を開催するとともに、沖 縄県肉用牛増頭対策推進協議会と連携し、 繁殖雌牛増頭運動に取り組んでいます。 県 内 家 畜 市 場 の 取 引 価 格 の 推 移( 黒 毛 和 種 子 牛 ) H27年 5月 開 催 の 「 畜 産 再 興 プラン説 明 会 」 の 様 子 (2)乳用牛 乳用牛については、平成5年をピークに飼養頭数は減少傾向にありましたが、 近年は5,000頭前後で推移しており、平成27年の飼養頭数は4,630頭(対前年比 0.4%増)、飼養戸数は76戸(前年同)となっています。 また、1戸当たりの経産牛飼養頭数 は47.0頭で、北海道を除く都府県平均の 37.2頭を上回っています(図Ⅲ-4)。 近年の生乳生産量は28,000t前後で推移していましたが、平成27年は26,682t (対前年比0.4%減)となっています(図Ⅲ-5)。 図Ⅲ-4 乳用牛の飼養頭数等の推移 図Ⅲ-5 生乳生産量の推移 (戸、十頭) 1,000 (頭) (t) 50 45,000 45 40,000 47.0 頭 1戸当たりの経産牛飼養頭数(右目盛) 900 800 40 700 35 飼養頭数 600 30 4,630 頭 500 400 300 200 25 20 飼 養 戸 数 15 100 0 平.元 5 10 15 20 21 資料:農林水産省「畜産統計」 22 23 24 25 26 27 35,000 39,178 29,912 30,854 30,000 28,750 27,969 27,360 28,049 28,281 26,797 26,682 25,000 20,000 15,000 10 10,000 5 5,000 0 0 76 戸 38,394 35,417 平.元 (年) 5 10 15 20 21 22 資料:農林水産省「牛乳乳製品統計」 - 85 - 23 24 25 26 27 (年) (3)豚 沖縄では、豚肉を食する歴史が長く、豚が畜産業の中心的な存在で、飼養技術 の向上や養豚団地の整備等により、産出額は昭和60年まで右肩上がりで伸びてい ました。しかし近年は、飼養地域の混住化等を背景とした環境問題や平成16年か らの「家畜排せつ物法」 *1 の本格施行もあり、産出額及び飼養頭数は減少してい ましたが、最近では横ばい傾向で推移しています(図Ⅲ-2、図Ⅲ-6)。 平成26年の飼養頭数は234,000頭(対前年比5.2%減)、飼養戸数は276戸(同 3.2%減)となっています(図Ⅲ-6)。また、平成26年の1戸当たりの飼養頭 数は、848頭で全国(1,810頭)の5割程度の規模となっています(表Ⅲ-2)。 図Ⅲ-6 豚の飼養頭数及び飼養戸数の推移 (戸、百頭) (百頭) 4,000 10 1戸当たりの飼養頭数(右目盛) 848頭 3,500 9 8 3,000 飼養頭数 7 234,000頭 2,500 6 2,000 5 4 1,500 3 1,000 2 飼養戸数 500 276戸 0 1 0 平.元 5 10 15 20 21 23 24 25 26 (年) 資料:農林水産省「畜産統計」 表 Ⅲ - 2 豚 の 飼 養 頭 数 及 び 飼 養 戸 数 ( 平 成 26年 ) 飼養頭数 飼養戸数 1戸当たり飼養頭数 沖 縄 234,000頭(94.8) 276戸(96.8) 848頭 全 国 9,537,000頭(98.5) 5,270戸(94.6) 1,810頭 資料:農林水産省「畜産統計」 注: ( )内は対前年比 <「鶏卵、鶏肉のパネル展」を開催!> 平成27年12月、沖縄総合事務局行政情報プラザにおい て「鶏卵、鶏肉のパネル展」を開催しました。 鶏卵は、良質なたんぱく質をはじめ、ビタミンやミネ ラルを豊富に含む「完全に近い栄養食品」で、鶏肉は、 部位によってその特徴に合わせた様々な料理が楽しめ、 鶏むね肉に含まれる「イミダゾールジペプチド」には、 疲労を防ぐ優れた効果があるという知見が出ています。 本パネル展では、県内外の鶏卵・鶏肉の生産の現状や 栄養機能性等に関するパネルの展示等を行うとともに、 鶏卵の各種サイズの違いを体感できるコーナーの設置や 鶏卵・鶏肉の料理レシピを紹介しました。 また、期間中は多くの方が来場し、「鶏卵・鶏肉がヘ ルシーだというイメージを持った」、「1日2個程度の 卵の摂取が健康のために良いと感じた」などの感想が寄 せられました。 *1 パネル展の様子 各種サイズの違いを体感 平成11年に「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」(平成11年法律第112号)が制定 され、平成16年から本格施行(全ての規定が適用)された。 - 86 - (4)採卵鶏 採卵鶏については、減少傾向で推移し、平成26年の飼養羽数は1,351千羽(対 前年比7.1%減)、飼養戸数は45戸(同2.2%減)となっています。また、平成26 年の1戸当たりの飼養羽数は、30.0千羽となっており、全国(67.3千羽)の半分 以下の規模となっています(図Ⅲ-7、表Ⅲ-3)。 図Ⅲ-7 採卵鶏の飼養羽数及び飼養戸数の推移 (千羽) (戸、千羽) 1戸当たりの飼養羽数(右目盛) 1,800 35.0 30.0千羽 1,600 30.0 飼養羽数 1,400 1,351千羽 25.0 1,200 1,000 20.0 800 15.0 600 10.0 400 飼養戸数 5.0 200 45戸 0 0.0 平.元 5 10 15 20 21 23 24 25 26 (年) 資料:農林水産省「畜産統計」 表 Ⅲ - 3 採 卵 鶏 の 飼 養 羽 数 及 び 飼 養 戸 数 ( 平 成 26年 ) 飼養羽数 飼養戸数 1戸当たり飼養羽数 沖 縄 1,351千羽( 92.9) 45戸(97.8) 30.0 千羽 全 国 172,349千羽(100.1) 2,560戸(96.6) 67.3 千羽 資料:農林水産省「畜産統計」 注: ( )内は対前年比 (5)ブロイラー ブロイラーについては、平成26年の飼養羽数は587千羽(対前年比1.7%増)、 飼養戸数は16戸(前年同)となっています。また、平成26年の1戸当たりの飼養 羽数は、36.7千羽となっており、全国(57.0千羽)と比較すると3分の2程度の 規模となっています(図Ⅲ-8、表Ⅲ-4)。 図Ⅲ-8 ブロイラーの飼養羽数及び飼養戸数の推移 (千羽) (戸、千羽) 800 1戸当たりの飼養羽数(右目盛) 40.0 36.7千羽 700 35.0 587千羽 600 30.0 飼養羽数 500 25.0 400 20.0 300 15.0 200 10.0 飼養戸数 100 5.0 平.5 10 15 19 20 21 16戸 ~ ~ 0 0.0 25 26 (年) 資料:平成21年までは農林水産省「畜産物流通統計」、平成25年からは同省「畜産統計」 注:両統計は調査方法が異なり単純比較はできない。なお、平成22∼24年は調査なし。 表 Ⅲ - 4 ブ ロ イ ラ ー の 飼 養 羽 数 及 び 飼 養 戸 数 ( 平 成 26年 ) 飼養羽数 飼養戸数 1戸当たり飼養羽数 沖 縄 587千羽(101.7) 16戸(100.0) 36.7 千羽 全 国 135,747千羽(103.1) 2,380戸( 98.3) 57.0 千羽 資料:農林水産省「畜産統計」 注: ( )内は対前年比 - 87 - (6)山羊 沖縄では、古くから山羊肉の食文化があります。近年は、生産者の高齢化や低 価格山羊肉の輸入等により、飼養頭数及び飼養戸数ともに減少傾向で推移してい ましたが、平 成 26年 は 飼 養 頭 数 ( 8,4 91頭 ( 対 前 年 比 9.2% 増 ) ) 、 飼 養 戸 数 (1,268戸(同3.5%増))とも増加しています(図Ⅲ-9、表Ⅲ-5)。 図Ⅲ-9 山羊の飼養頭数及び飼養戸数の推移 (頭数) (戸数) 18,000 4,000 16,000 3,500 飼養頭数 14,000 3,000 戸数(右目盛) 12,000 2,500 10,000 8,491 頭 2,000 8,000 1,500 6,000 1,268 戸 4,000 1,000 500 2,000 0 0 平.元 5 10 15 20 21 22 23 24 25 26 (年) 資料:沖縄県畜産課「家畜・家きん等の飼養状況調査」 表 Ⅲ - 5 山 羊 の 飼 養 頭 数 及 び 飼 養 戸 数 ( 平 成 26年 ) 沖 縄 飼養頭数 飼養戸数 1戸当たり飼養頭数 8,491頭(109.2) 1,268戸(103.5) 6.7頭 資料:沖縄県畜産課「家畜・家きん等の飼養状況調査」 注: ( )内は対前年比 <食肉情報出張講座を開催> 平成27年11月、沖縄かりゆしアーバンリゾート・ナハにおいて、国産食肉の正 確な情報提供により、その信頼確保と需要喚起を図るとともに、県民の生活習慣 病予防について考えることを目的として、(公財)日本食肉消費総合センターと の共催で「食肉情報出張講座」を開催しました。 基調講演では、北海道大学大学院の迫田教授から鳥インフルエンザの基本情報 や国内外での流行状況、発生予防対策について、茨城キリスト教大学の板倉名誉 教授から、食肉からのタンパク質摂取が生活習慣病予防のために重要であること などについてそれぞれ講演をいただきました。 また、(株)沖縄県食肉センターの上江田考査役からは、沖縄県食肉センター と生産農場における衛生管理の取組状況などについて現地報告がありました。 本講座には消費者や食肉関連事業者など多数の方が参加され、鳥インフルエン ザワクチンの開発状況や県内ブランド豚の取組状況について活発な質疑・意見交 換が行われました。 迫田教授による基調講演 会場の様子 - 88 - 上江田考査役からの現地報告 第2節 配合飼料価格の高止まりと自給飼料の生産拡大 (1)配合飼料価格の高止まり 我が国は配合飼料の原料 *1 のほとん どを輸入穀物に依存しており、配合飼 料価格は 10年前に比べ1.5倍程度と高 止まりしています(図Ⅲ-10)。 要因には、アジア諸国等の新興国に おける人口の増加や所得水準の向上、 バイオ燃料の利用拡大や投機資金の流 入、天候不順、円安といった為替の影 響等を背景とした穀物価格の上昇があ ります。 図 Ⅲ - 10 配 合 飼 料 価 格 の 推 移 (円/t) 平20.11 64,356円 70,000 平28.4 58,025円 60,000 50,000 40,000 30,000 平15/12 37,357円 20,000 平15.1216.1217.1218.1219.1220.1221.12 22.1223.1224.12 25.1226.12 27.12 (年/月) 資料:農林水産省生産局飼料課「流通飼料価格等実態調査」 注:バラ及び袋物の全畜種の税抜き加重平均工場渡し価格。 平成26年度の沖縄県における畜産物生産費に占める飼料費 *2 の割合は、肥育豚 で7割近くを占め、その全てが配合飼料等の購入飼料費となっており、配合飼料 価格の高騰は、養豚経営を大きく圧迫しています。また、牧草等の粗飼料給与中 心の肉用牛繁殖経営(子牛生産)においても、購入飼料費の割合が3割を占めて おり、飼料自給率の向上が課題となっています(図Ⅲ-11)。 図 Ⅲ - 11 畜 産 物 生 産 費 ( 費 用 合 計 ) の 内 訳 ( 平 成 26年 度 ) 沖 縄 肥育豚生産費 子牛生産費 労働費 5,111円 (15%) 労働費 183,667円 (32%) 飼料費を除く 物財費 肥育豚 5,707円 (17%) (1頭当たり) (1頭当たり) 33,637円 34,206円 飼料費 (購入+自給) 238,147円 (41%) 子 牛 (1頭当たり) 573,959円 飼料費 22,819円 (68%) ※ 全量購入飼料 飼料費を除く 物財費 ※ うち購入飼料 費170,995円 (30%) ※ うち自給飼料 費 67,152円 (12%) 152,145円 (27%) 資料:農林水産省「農業経営統計調査 畜産物生産費」 注:構成比(%)については、表章単位未満を四捨五入しているため、その合計が 100%にならない場合がある。 原料割合(全畜種)は、とうもろこし(45%)、大豆油かす(12%)、麦類(5%)、こうりゃん(4%)等 となっています(農林水産省生産局飼料課「流通飼料価格等実態調査」(平成26年度速報版))。 *2 飼料費には、実際に購入した飼料費と牧草等の自給飼料の生産に要した費用(労働費を除く)を計上。 *1 - 89 - (2)自給飼料の生産拡大 本土復帰後、自給飼料生産基盤に立脚し た力強い畜産経営の実現と安定した畜産物 の生産・供給を図るため農業農村整備事業 等により、八重山地域を中心に原野、耕作 放棄地といった未利用・低利用地を牧草地 として開発してきました(表Ⅲ-6)。 その結果、平成22年までは、牧草の作付 面積は年々増加してきましたが、その後は、 横ばい傾向に転じ、平成27年の牧草の作付 面積は5,680ha(対前年比0.9%増)となっ ています(図Ⅲ-12)。 なお、今後の自給飼料生産拡大の課題に ついては、単収が減少傾向にあることから、 経年経過した草地の更新を推進していくこ とが重要となっています。 表Ⅲ-6農業農村整備事業等による 草 地 開 発 ( S47∼ H26年 度 実 績 ) 図 Ⅲ - 12 牧 草 の 作 付 け 面 積 等 の 推 移 ( 千ha ) ( 万t ) 収穫量(牧草) 7 80 作付面積(牧草) 5,680ha 6 面 4 積 3 70 60 5 61.3万t 50 40 収 穫 量 30 2 20 1 10 0 平.元 10 20 21 22 23 24 25 26 27 0 (年) 資料:農林水産省「作物統計」 注:収穫量の 24 年のデータはなし。 <畜産業の発展と環境問題> 畜産業が発展する一方、畜産経営に伴う環境への影響が問題となっております。 特に市街地の拡大により地域住民と畜産農家との混住化の進展に伴い、住民から 悪臭や水質汚濁を中心に苦情が寄せられています。 沖縄における畜産経営に起因する苦情発生件数は、かつてに比べると大幅に減 少していますが、平成27年度では60件あり、畜種別でみると養豚に対する苦情が 29件(構成比48%)、肉用牛16件(同27%)、採卵鶏8件(同13%)、乳用牛6件 (同10%)、その他1件(同2%)となっています。また、苦情種別にみると、 「悪 臭」39件(同65%)、 「水質汚濁」14件(同23%)、 「水質汚濁と悪臭発生」3件(同 5%)と、これらの苦情が全体の9割以上を占めています。 この様な問題に対処するため、今後も一層の家畜排せつ物の適正な管理や利用 の促進を図ることが求められています。 平 成 27年 度 の 畜 産 経 営 に 起 因 す る 苦 情 発 生 件 数 ( 左 : 畜 種 別 、 右 : 苦 情 種 別 ) (件) (件) 400 400 350 300 250 豚 肉用牛 採卵鶏 乳用牛 ブロイラー その他 悪臭 水質汚濁 水質汚濁と悪臭発生 悪臭発生と害虫発生 水質汚濁と害虫発生 水質汚濁と悪臭発生と害虫発生 害虫発生 その他 350 300 250 200 200 150 150 100 100 50 50 0 0 昭60 平元 10 15 20 21 22 23 24 25 26 27 (年度) 昭60 平元 資料:沖縄県農林水産部「畜産経営に起因する苦情発生状況調査」 - 90 - 10 15 20 21 22 23 24 25 26 27 (年度)