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第3章 畜産業の振興 - 内閣府 沖縄総合事務局
第3章 畜産業の振興 - 77 - 右上: 左上: 農業農村整備事業等で整備した採草地(手前 刈り取られた牧草をロールべーラーで円柱 (トランスバーラ))と放牧地。トランスバー 状に圧縮・梱包している様子。近年、ロール ラは県の奨励品種で生産性、嗜好性、栄養面で べーラー体系による牧草の収穫作業が一般化 優れており、栄養茎のため苗で植え付けるが、 し、作業の省力化、飼料の高品質化等が図ら 発根して横に広がり被覆するため盛り上がって れるとともに、野外保管が可能となっている。 いる箇所がところどころできるのが特徴。(竹 (国頭村) 富町小浜島) 右下: 左下: 旧多良間空港跡地を農用地へ編入した後に草 沖縄総合事務局では、各地域で開催された 地整備した様子。右下は整備前の旧滑走路のコ 肉用牛増頭キャラバンに参加し、増頭のため ンクリートを剥離した状態(H24年7月撮影)。 の飼養技術の改善や各種補助制度等について 左上は整備後の状態。(H26年12月撮影)(多良 紹介を行いました。写真は宮古地域でのキャ 間村) ラ バ ン の 様 子 。( 宮 古 島 市 、 宮 古 家 畜 セ リ 市 場) - 78 - 第1節 畜産 沖縄の畜産業は、本土復帰以降、順調な発展を遂げ、現在では、農業産出額の 4割強を占めるなど、沖縄農業の中で重要な地位を占めています。 平成25年では畜産全体の産出額は393億円で、畜種別にみると、肉用牛が158億 円(40%)で最も多く、次いで豚123億円(31%)、鶏67億円(17%)、乳用牛43 億円(11%)、その他2億円(1%)となっています(図Ⅲ-1)。 沖縄では、豚肉を食する歴史が長く、豚が畜産業の中心的な存在で、飼養技術 の向上や養豚団地の整備等により、産出額は昭和60年まで右肩上がりで伸びてい ました。しかし近年は、飼養地域の混住化等を背景とした環境問題や平成16年か らの「家畜排せつ物法」 *1 の本格施行もあり産出額は減少し、最近では横ばい傾 向で推移しています。 一方、肉用牛については、亜熱帯性気候を活かした生産性の高い飼料生産の展 開や子牛の価格安定対策等の実施により、繁殖雌牛の飼養頭数が増大したことで、 産出額は本土復帰直後と比較して大きく伸び、平成14年以降は豚の産出額を上回 っています(図Ⅲ-2)。 図Ⅲ-1 畜種別産出額の推移(積み上げ) (億円) 393億円 450 その他 400 乳用牛 350 300 2億円 43億円 鶏 67億円 豚 123億円 250 200 150 100 肉用牛 158億円 50 0 昭.48 ~ 53 ~ 58 ~ 63 ~ 平.5 ~ 10 ~ 15 ~ 20 ~ 25 資料:農林水産省「生産農業所得統計」 図Ⅲ-2 畜種別産出額の推移(個別) (億円) 250 肉用牛 豚 鶏 乳用牛 200 平14年 肉用牛144億円 平21年前後子牛価格が低迷 150 昭60年 豚195億円 100 平14年 豚130億円 50 0 昭.48 ~ 53 ~ 58 ~ 63 ~ 平.5 ~ 10 ~ 15 ~ 20 ~ 25 資料:農林水産省「生産農業所得統計」 *1 平成11年に「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」(平成11年法律第112号)が制定 され、平成16年から本格施行(全ての規定が適用)された。 - 79 - (1)肉用牛 肉用牛については、亜熱帯性気候で牧草の単収が高いこと、子牛の価格安定対 策の実施、飼料生産基盤の整備や飼養管理施設整備の進捗等により、飼養頭数は 増加傾向で推移していましたが、平成22年の九州における口蹄疫の発生を契機に 減少傾向に転じています。 特に平成25年以降は、子牛価格の高騰等を背景に繁殖雌牛や後継雌牛の売却が 増えたことから、平成26年の飼養頭数は71,400頭(対前年比6.5%減)に減少し ました。 また、飼養戸数も、近年横ばいで推移していましたが、平成26年は2,760戸(同 8.3%減)に減少するなど、高齢農家を中心とした生産者の離農が進行していま す(図Ⅲ-3)。 平成26年の飼養頭数に占める繁殖雌牛の割合は59.4%と全国の23.2%に比べ高 く、沖縄では繁殖経営が多いことが特徴となっております。 ま た、平成26年の繁殖経営1戸当たりの繁殖雌牛飼養頭数は、15.8頭と全国 12.7頭の1.2倍強の規模となっています(表Ⅲ-1)。 なお、平成25年の肉用子牛生産頭数は、全国で鹿児島県、宮崎県、北海道に次 ぎ第4位 *1 となっています。 図Ⅲ-3 肉用牛の飼養頭数及び規模別飼養戸数の推移 (戸) 飼養頭数1~4頭 5~9頭 10~19頭 9,000 20~49頭 50~99頭 100頭以上 (千頭) 90 飼養頭数(右目盛) 8,000 80 牛 肉 輸 入 自 由 化 7,000 6,000 5,000 70 国 内 で B S E 問 題 発 生 オ ウ シ マ ダ ニ 撲 滅 71 千頭 60 口 蹄 疫 発 生 50 4,000 40 2,760 戸 3,000 30 2,000 20 1,000 10 0 0 昭48 51 56 61 平元 3 5 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 資料:農林水産省「畜産統計」 注:平成3年以降の飼養頭数及び規模別飼養戸数は、試験場等の非営利的な飼養者は含まない。 注:平成 12 年の頭数規模別飼養戸数のデータはない。 表 Ⅲ - 1 肉 用 牛 の 飼 養 頭 数 及 び 飼 養 戸 数 ( 平 成 26年 ) (単位:頭、戸、%) 繁殖雌 飼養頭数 繁殖雌牛 飼養戸数 牛割合 繁殖経営 繁殖雌牛 頭数/戸 沖 縄 71,400(93.5) 42,400(88.9) 59.4 2,760(91.7) 2,690(90.6) 15.8 全 国 2,567,000(97.2) 595,200(96.2) 23.2 57,500(93.8) 47,000(93.4) 12.7 資料:農林水産省「畜産統計」 注: ( )内は対前年比 *1 資料:(独)農畜産業振興機構「肉用子牛取引情報」 - 80 - <肉用子牛取引価格の高騰と関係機関一丸となった肉用牛増頭運動> 平成25年以降、県内の家畜市場における 黒毛和種の子牛価格が上昇を続け高値で推 移し、平成27年5月には、市場の平均取引 価格が595,910円と過去最高値となりまし た。 一方、子牛価格の高騰等を背景に繁殖雌 牛や後継雌牛の売却が増えていることか ら、将来の子牛生産頭数の減少が懸念され ています。 このため、国、県の行政機関や試験研究 機関、畜産公社や共済組合等の関係団体、 生 産 者 団 体 の JAお き な わ を 構 成 員 と す る 「沖縄県肉用牛増頭対策推進協議会」を平 成26年5月に設置し、①肉用牛繁殖農家へ の技術指導を充実させるための地方審査員 等の技術者の育成、②増頭に向けた各地域 での啓発、技術普及のためのキャラバンの 展開、③後継者の育成、担い手確保のため の各種対策の紹介等、肉用牛増頭に向けて 関係機関一丸となって取り組んでいます。 県内家畜市場の取引価格の推移(黒毛和種子) 平27.5 595,910円 (円) 600,000 500,000 400,000 300,000 200,000 平20.5 21.5 22.5 23.5 24.5 25.5 26.5 27.5 資料:「家畜市場肉用牛取引実績報告書」((公財)沖縄県畜産振興公社) 平成26年5月30日に開催されたJAおきなわ主催による肉用牛 振興生産者大会。繁殖雌牛の増頭対策の推進等を確認。 (2)乳用牛 乳用牛については、平成5年をピークに飼養頭数は減少傾向にありましたが、 近年は5,000頭前後で推移しており、平成26年の飼養頭数は4,610頭(対前年比 0.9%減)、飼養戸数は76戸(同5.0%減)となっています。 ま た、1戸当たりの経産牛飼養頭数は47.2頭で、北海道を除く都府県平均の 36.2頭を上回っています(図Ⅲ-4)。 近年の生乳生産量は28千t前後で推移していましたが、平成26年は26,797t(同 5.2%減)となっています(図Ⅲ-5)。 図Ⅲ-4 乳用牛の飼養頭数等の推移 図Ⅲ-5 生乳生産量の推移 (戸、十頭) 1,000 47.2 頭 1戸当たりの経産牛飼養頭数(右目盛) 900 (頭) (t) 50 45,000 45 40,000 800 40 700 35 飼養頭数 600 30 500 4,610 頭 20 300 15 10 飼養戸数 76 戸 100 0 平.元 5 10 15 20 21 資料:農林水産省「畜産統計」 22 23 24 25 39,178 30,854 29,912 30,000 28,750 27,969 27,360 28,049 22 23 24 28,281 26,797 25,000 25 400 200 35,000 38,394 35,417 20,000 15,000 10,000 5 5,000 0 0 平.元 26 5 10 15 20 21 資料:農林水産省「牛乳乳製品統計」 注:平成 26 年は概数 - 81 - 25 26 (3)豚 豚については、飼養地域の混住化等を背景とした環境問題や平成16年からの「家 畜排せつ物法」の本格施行により、近年飼養頭数は減少していましたが、最近で は横ばい傾向で推移しています。 平成26年の飼養頭数は234,000頭(対前年比5.2%減)、飼養戸数は276戸(同 3.2%減)となっています(図Ⅲ-6)。 また、平成26年の1戸当たりの飼養頭数は、848頭で全国(1,810頭)の5割程 度の規模となっています(表Ⅲ-2)。 図Ⅲ-6 豚の飼養頭数及び飼養戸数の推移 (戸、百頭) (百頭) 4,000 10 1戸当たりの飼養頭数(右目盛) 848頭 3,500 9 8 3,000 飼養頭数 7 234,000頭 2,500 6 2,000 5 4 1,500 3 1,000 2 飼養戸数 500 276戸 0 1 0 平.元 5 10 15 20 21 23 24 25 26 資料:農林水産省「畜産統計」 表 Ⅲ - 2 豚 の 飼 養 頭 数 及 び 飼 養 戸 数 ( 平 成 26年 ) 飼養頭数 飼養戸数 1戸当たり飼養頭数 沖 縄 234,000頭(94.8) 276戸(96.8) 848頭 全 国 9,537,000頭(98.5) 5,270戸(94.6) 1,810頭 資料:農林水産省「畜産統計」 注: ( )内は対前年比 「消費者の部屋」特別展示 <「沖縄の養豚、ブランド豚についてもっと知ろう!」> 沖縄総合事務局では、平成27年1月に「沖縄の養豚、ブランド豚についてもっ と知ろう!」をテーマにパネル展を開催しました。 パネル展には多数の方が来場し、「沖縄での養豚の歴史」や「沖縄のブランド 豚」等に関するパネルを熱心に見ていただきました。また、来場者からは「豚の 種類や飼育方法を興味深く知ることができてよかった」、「豚肉の知識があまりな いので、このようなパネル展が多ければよい」との声が寄せられました。 県産ブランド豚「あぐー」の出荷頭数の推移 「あぐー」の出荷頭数は年々伸びています。 沖縄アグー豚(雌) 肉質は、霜降りで脂に甘みと旨みがあるとの評価。 - 82 - (4)採卵鶏 採卵鶏については、減少傾向で推移し、平成26年の飼養羽数は1,351千羽(対 前年比7.1%減)、飼養戸数は45戸(同2.2%減)となっています。また、平成26 年の1戸当たりの飼養羽数は、30.0千羽となっており、全国(67.3千羽)の5割 以下の規模となっています(図Ⅲ-7、表Ⅲ-3)。 図Ⅲ-7 採卵鶏の飼養羽数及び飼養戸数の推移 (千羽) (戸、千羽) 1戸当たりの飼養羽数(右目盛) 1,800 35.0 30.0千羽 1,600 30.0 飼養羽数 1,351千羽 1,400 25.0 1,200 1,000 20.0 800 15.0 600 10.0 400 飼養戸数 5.0 200 45戸 0 0.0 平.元 5 10 15 20 21 23 24 25 26 資料:農林水産省「畜産統計」 表 Ⅲ - 3 採 卵 鶏 の 飼 養 羽 数 及 び 飼 養 戸 数 ( 平 成 26年 ) 飼養羽数 飼養戸数 1戸当たり飼養羽数 沖 縄 1,351千羽( 92.9) 45戸(97.8) 30.0 千羽 全 国 172,349千羽(100.1) 2,560戸(96.6) 67.3 千羽 資料:農林水産省「畜産統計」 注: ( )内は対前年比 (5)ブロイラー ブロイラーについては、平成26年の飼養羽数は587千羽(対前年比1.7%増)、 飼養戸数は16戸(前年同)となっています。また、平成26年の1戸当たりの飼養 羽数は、36.7千羽となっており、全国(57.0千羽)と比較すると3分の2程度の 規模となっています(図Ⅲ-8、表Ⅲ-4)。 図Ⅲ-8 ブロイラーの飼養羽数及び飼養戸数の推移 (千羽) (戸、千羽) 800 1戸当たりの飼養羽数(右目盛) 36.7千羽 700 40.0 35.0 587千羽 600 30.0 飼養羽数 500 25.0 400 20.0 300 15.0 200 10.0 飼養戸数 100 5.0 ~ ~ 16戸 0 0.0 平.5 10 15 19 20 21 25 26 資料:平成21年までは農林水産省「畜産物流通統計」、平成25年からは同省「畜産統計」 注:両統計は調査方法が異なり単純比較はできない。なお、平成22~24年は調査なし。 表 Ⅲ - 4 ブ ロ イ ラ ー の 飼 養 羽 数 及 び 飼 養 戸 数 ( 平 成 26年 ) 飼養羽数 飼養戸数 1戸当たり飼養羽数 沖 縄 587千羽(101.7) 16戸(100.0) 36.7 千羽 全 国 135,747千羽(103.1) 2,380戸( 98.3) 57.0 千羽 資料:農林水産省「畜産統計」 注: ( )内は対前年比 - 83 - (6)山羊 沖縄では、古くから山羊肉の食文化がありますが、近年、生産者の高齢化や低 価格山羊肉の輸入等により、飼養頭数及び飼養戸数ともに減少傾向となっており、 平成 26年 の 飼養頭 数 は7,773頭(対前年比7.2%減)、飼養戸数は1,225戸(同 10.1%減)となっています(図Ⅲ-9、表Ⅲ-5)。 図Ⅲ-9 山羊の飼養頭数及び飼養戸数の推移 (頭数) (戸数) 18,000 4,000 16,000 3,500 14,000 飼養頭数 3,000 戸数(右目盛) 12,000 2,500 10,000 7,773 頭 8,000 2,000 1,500 6,000 1,225 戸 4,000 1,000 500 2,000 0 0 平.元 5 10 15 20 21 22 23 24 25 資料:沖縄県畜産課「家畜・家きん等の飼養状況調査」 表 Ⅲ - 5 山 羊 の 飼 養 頭 数 及 び 飼 養 戸 数 ( 平 成 25年 ) 沖 縄 飼養頭数 飼養戸数 1戸当たり飼養頭数 7,773頭(92.8) 1,225戸(89.9) 6.3頭 資料:沖縄県畜産課「家畜・家きん等の飼養状況調査」 注: ( )内は対前年比 <畜産業の発展と環境問題> 畜産業が発展する一方、畜産経営に伴う環境への影響が問題となっております。 特に市街地の拡大により地域住民と畜産農家との混住化が進展するに伴い、住民 から悪臭や水質汚濁を中心に苦情が寄せられています。 沖縄における畜産経営に起因する苦情発生件数は、かつてに比べると大幅に減 少していますが、平成26年度では49件あり、畜種別でみると養豚に対する苦情が 21件(43%)、肉用牛12件(24%)、採卵鶏9件(18%)、乳用牛6件(12%)、そ の他1件(2%)となっています。また、苦情種別にみると、「悪臭」24件(49 %)、「水質汚濁」12件(24%)、「水質汚濁と悪臭発生」9件(18%)と、これら の苦情が全体の9割を占めています。 この様な問題に対処するため、今後も一層の家畜排せつ物の適正な管理や利用 の促進を図ることが求められています。 畜産経営に起因する苦情発生件数(左:畜種別、右:苦情種別) (件) 悪臭 水質汚濁 水質汚濁と悪臭発生 悪臭発生と害虫発生 水質汚濁と害虫発生 水質汚濁と悪臭発生と害虫発生 害虫発生 その他 (件) 400 400 350 300 250 豚 肉用牛 採卵鶏 乳用牛 ブロイラー その他 350 300 250 200 200 150 150 100 100 50 50 0 0 昭60 平元 10 15 20 21 22 23 24 25 26 昭60 資料:沖縄県農林水産部「畜産経営に起因する苦情発生状況調査」 - 84 - 平元 10 15 20 21 22 23 24 25 26 第2節 配合飼料価格の高騰と自給飼料の生産拡大 (1)配合飼料価格の高騰 我が国は配合飼料の原料 *1 のほとん どを輸入穀物に依存しており、配合飼 料価格は 10年前に比べ1.5倍程度にま で高騰しています(図Ⅲ-10)。 要因は、アジア諸国等の新興国にお ける人口の増加や所得水準の向上、バ イオ燃料の利用拡大等を背景とした穀 物価格の高騰があります。 図 Ⅲ - 10 配 合 飼 料 価 格 の 推 移 (円/t) 70,000 平27.3 63,656円 60,000 50,000 40,000 30,000 20,000 平15.3 16.3 17.3 18.3 19.3 20.3 21.3 22.3 23.3 24.3 25.5 26.3 27.3 資料:農林水産省生産局畜産振興課「流通飼料価格等実態調査」 注:バラ及び袋物の全畜種の税抜き加重平均工場渡し価格。 平成25年度の畜産物生産費に占める飼料費 *2 の割合は、肥育豚で7割近くを占 め、その全てが配合飼料等の購入飼料費となっており、配合飼料価格の高騰は、 養豚経営を大きく圧迫しています。また、牧草等の粗飼料給与中心の肉用牛繁殖 経営(子牛生産)においても、購入飼料費の割合が3割を占めており、飼料自給 率の向上が課題となっています(図Ⅲ-11)。 図 Ⅲ - 11 畜 産 物 生 産 費 ( 費 用 合 計 ) の 内 訳 ( 平 成 25年 度 ) 沖 縄 肥育豚生産費 子牛生産費 労働費 5,438円 (16%) 飼料費を除く 物財費 5,851円 (17%) 労働費 185,209円 (35%) 肥育豚 (1頭当たり) 34,206円 飼料費 (購入+自給) 223,491円(42%) 子 牛 (1頭当たり) 526,260円 飼料費 22,917円 (67%) ※ 全量購入飼料 飼料費を除く 物財費 ※ うち購入飼料 費154,119円 (29%) ※ うち自給飼料 費 69,372円 (13%) 117,560円 (22%) 資料:農林水産省「農業経営統計調査 畜産物生産費」 注:構成比(%)については、表章単位未満を四捨五入しているため、その合計が 100%にならない場合がある。 原料割合(全畜種)は、とうもろこし(44%)、大豆油かす(12%)、麦類(12%)、こうりゃん(6%) 等となっています(農林水産省生産局畜産振興課「流通飼料価格等実態調査」(平成25年度速報版))。 *2 飼料費には、実際に購入した飼料費と牧草等の自給飼料の生産に要した費用(労働費を除く。)を計上。 *1 - 85 - (2)自給飼料の生産拡大 本土復帰後、自給飼料生産基盤に立脚し た力強い畜産経営の実現と安定した畜産物 の生産・供給を図るため、農業農村整備事 業等により、八重山地域を中心に、原野、 耕作放棄地といった未利用・低利用地を牧 草地として開発してきました(表Ⅲ-6)。 その結果、平成22年までは、牧草の作付 面積は年々増加してきましたが、その後は、 横ばい傾向に転じ、平成26年の牧草の作付 面積は5,630ha(対前年比2%減)となっ ています(図Ⅲ-12)。 なお、今後の自給飼料生産拡大の課題に ついては、単収が減少傾向にあることから、 経年経過した草地の更新を推進していくこ とが重要となっています。 表Ⅲ-6農業農村整備事業等による草地開発 ( 昭 和 47~ 平 成 25年 度 ま で の 実 績 ) 図 Ⅲ - 12 牧 草 の 作 付 け 面 積 等 の 推 移 ( 千ha ) 面 ( 万t ) 収穫量(牧草) 7 80 作付面積(牧草) 6 5,630ha 5 52.3万t 70 60 50 4 収 40 穫 量 30 積 3 2 20 1 10 0 0 平.元 10 20 21 22 23 24 25 26 資料:農林水産省「作物統計」 注:収穫量の 24 年のデータはなし。 <琉球石灰岩地域での草地開発> 八重山地域の多くの島 々は 琉球石灰岩の岩盤 地域であるため、岩盤を 細かく破砕し、土壌や草 木類とともに撹拌混合し ながら新しい土壌を作る スタビライザー工法等に よって草地を造成してい ます。 スタビライザーで の 岩 盤 破 砕 ストーンクラッシャーで の 石 礫 破 砕 前輪と後輪の間にあるビット(刃)付き ドラムで岩盤を1~10㎝大に砕く。深 さ40㎝まで破砕が可能。 キャタピラ後方のコニカルビット(切り込み爪) 付きロータで、スタビライザー施工後に大礫、 粗礫をさらに3㎝程度以下まで破砕。 ※ 上記図は、細川吉晴「八重山諸島のコーラル地帯における草地造成工法の検証と再整備工法のあり方」 (沖縄畜産研究会発行「沖縄畜産」2014、No.49)から転載。 竹富町黒島での草地開発の様子 ①(整備前)原野や岩盤がむき出しになっ ②障害物の除去(樹木伐採、抜根)。 ている所が多い低利用地。 ⑥(整備後)平坦な草地に生まれ変わる。 ⑤土壌改良資材の散布、播種、施肥 後の表土鎮圧(後方から撮影)。 - 86 - ③スタビライザーによる表層岩盤の破砕 (前方から撮影) 。 ④ストーンクラッシャーによる大礫、粗礫 の破砕(後方から撮影)。