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養豚をめぐる情勢

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養豚をめぐる情勢
資料4
養豚をめぐる情勢
平成19年8月
農林水産省生産局畜産部
目
Ⅰ
豚肉需給と流通をめぐる情勢
1 豚肉需給等の動向
(1)豚肉の需給(消費、需要、供給、輸入等)
(2)豚肉の価格
(3)豚肉の流通
2 豚肉に係る国際動向
(1)豚肉の関税制度
(2)豚肉の関税制度の取扱い
(3)豚肉に係る国際動向
Ⅱ
…
…
…
1
3
4
…
…
…
5
6
7
生産及び経営をめぐる情勢
1 経営の動向
(1)生産額
(2)生産構造
①飼養戸数、飼養頭数
②地域別飼養動向
(3)養豚経営の収益性
2 養豚経営における担い手確保について
3 豚の改良増殖体制強化について
…
8
… 9
…10
…11
…12
…13
次
Ⅲ
飼
料
1
2
3
4
5
6
7
飼料の需給
配合飼料価格の動向
エコフィード(食品残さの飼料化)の推進
飼料米の現状と課題
家畜の生産性向上に向けた取組
飼料価格の高騰に対応した消費者理解の促進
動物用医薬品及び飼料の適正な使用
Ⅳ
養豚経営における環境問題
1
2
3
4
5
6
家畜排せつ物発生量の推移
家畜排せつ物の処理・利用の現状
畜種別にみた家畜排せつ物発生量
法施行状況調査結果の概要
家畜排せつ物たい肥の利用に関する
意識・意向調査結果
畜産経営における排水規制
Ⅴ
家畜衛生をめぐる情勢
1 豚の伝染性疾病の発生状況
(1)最近の豚の伝染性疾病の発生状況
(2)豚の慢性疾病の発生状況
2 豚コレラの清浄化
3 オーエスキー病の防疫対策について
4 養豚場における衛生対策の推進方向
5 家畜伝染病予防法に基づく特定家畜伝染病
防疫指針の作成及び飼養衛生管理基準の設定
…14
…15
…16
…17
…18
…19
…20
…21
…21
…21
…21
…22
…23
…24
…25
…26
…27
…29
…30
Ⅰ 豚肉需給と流通をめぐる情勢
1 豚肉需給等の動向
(1)豚肉の需給(消費、需要、供給、輸入等)
・ 豚肉については、食生活上不可欠な食材としてその地位を確保。特に、食肉消費量が近年横ばいの中で、
豚肉消費量が増大。
食肉消費量の推移
14
kg
12
10
牛肉
8
豚肉
鶏肉
6
4
2
資 料 :農 林 水 産 省 「食 料 需 給 表 」
注 :1人 1年 当 た り 供 給 純 食 料
−1−
16
14
12
10
8
6
4
2
63
61
59
57
55
53
51
49
47
45
43
41
39
37
年度
昭
和
35
0
・ 豚肉輸入量は、消費量の増加に伴い、増加傾向で推移。その結果、豚肉の自給率は低下傾向で推移。(豚肉の重量ベース自給率:
50%、カロリーベース自給率:6%(平成17年))
・ 消費量は、13年度以降、13年9月の国内初のBSE発生、15年12月の米国におけるBSE発生、国内外の鳥インフルエンザ発生に伴う
牛肉・鶏肉の代替需要により増加し、16年度には172万トン(部分肉ベース)となった。18年度は、豚肉への代替需要が概ね一巡したこ
と等から、164万トンとなった。
・ 国産豚肉は家計仕向割合が高く、輸入豚肉は加工及びその他の仕向割合が高い。
国産豚肉の用途別供給割合
豚肉供給の内訳
千トン
2,000
1,800
100
90
1,600
1,400
1,200
1,000
800
600
400
200
80
70
60
50
40
30
20
10
0
年度
%
家 計
その他
台湾
40
15年
国産 88
カナダ
2
7
8
9
アメリカ
国産
29
輸入 国産
12 21
自給率
40
16年
国産 89
31
輸入 79
国産 42
輸入 58
29
輸入国産
11 20
輸入 80
31
国産 32
輸入 68
10 11 12 13 14 15 16 17 18
国別輸入量(平成18年度)
メキシコ
41千トン
(6%)
その他
デンマーク
0
50 55 60
加 工
41
17年
国産 86
その他
63千トン
(9%)
チリ
50千トン
(7%)
計
737千トン
カナダ
155千トン
(21%)
デンマーク
167千トン
(23%)
アメリカ
261千トン
(35%)
29
輸入 国産
14 20
輸入 80
0
資料:生産局畜産部推計
注 :国産・輸入の数値については、各用途における割合である。
資料:農林水産省「食料需給表」、「畜産物流通統計」、
財務省「日本貿易統計」
注 :部分肉ベース。17年度の自給率は概算値である。
−2−
30
国産 33
輸入 67
100(%)
(2)豚肉の価格
・ 豚肉の卸売価格は、季節により大きく変動するが、過去5ヶ年間の平均価格は467円/kg。
・ 13年度以降は、牛肉・鶏肉の代替需要等により、総じて堅調に推移。18年度平均価格は、479円/kg。
・ 国産豚肉の小売価格は、最近では240円/100g台で堅調に推移。また、輸入豚肉は170円/100g前後で推移。
豚肉卸売価格の推移(東京・大阪加重平均)
豚肉(ロース)の小売価格の動向
円/100g
円/kg
650
260
240
600
19年6月
544円
( ▲4.7 )
550
国産
220
200
500
180
450
160
400
140
350
300
120
年度平均
485円
( ▲0.8 )
455円
( ▲6.2 )
輸入
448円
( ▲1.5 )
439円
( ▲2.0 )
499円
( 13.7 )
469円
( ▲6.0 )
442円
( ▲5.8 )
474円
( 7.2 )
473円
( ▲0.2 )
479円
( 1.3)
507円
( 1.2)
9年度 10年度 11年度 12年度 13年度 14年度 15年度 16年度 17年度 18年度 19年度
資料:農林水産省「畜産物流通統計」
注 1:価格は東京及び大阪の食肉中央卸売市場における「極上・上」規格の加重平均値(省令価格)
注 2:( )内は対前年度騰落率(19年度は、対前年同期比(4∼6月))
注3:19年6月は、速報値
−3−
100
9.4 10 10.4 10 11.4 10 12.4 10 13.4 10 14.4 10 15.4 10 16.4 10 17.4 10 18.4 10 19.4
資料:(独)農畜産業振興機構調べ
(3)豚肉の流通
【消費地近郊に立地】
○ 消費地における集分荷・物流機能(豊富な品揃え、迅速・
確実な集分荷、決裁)
○ 枝肉卸売価格の形成(→建値形成の機能)
17%
肉豚農家
食肉卸売市場
外食店
(併設と畜場27箇所、市場29箇所)
234,734店
54%
食肉
センター
卸売業者
(8,125社)
(72箇所)
量販店
1,983社
食肉加工業者
(2,110社)
29%
小売店
その他
と畜場
14,824店
(105箇所)
【産地近郊に立地】
○ と畜・解体から部分肉処理を
行い、合理的な物流を実現する
供給基地の役割
○ 卸売市場の価格を参考にした
取引(建値取引)
輸入
豚肉
国内供給の約5割を占める。
(平成17年度)
1位米国33%、2位デンマーク26%
(平成18年度)
1位米国35%、2位デンマーク23%
資料:日本貿易統計、平成17年畜産物流通統計、16年商業統計、17年度食料需給表(速報値)、16年事業所・企業統計、17年食品衛生法に基づく食肉製品製造認可工場数
−4−
2
豚肉に係る国際動向
(1)豚肉の関税制度
・
豚肉については、昭和46年の輸入自由化の際に差額関税制度を導入。ウルグァイ・ラウンド(UR)農業交渉にお
いて、差額関税制度の機能を維持しつつ、UR農業合意を満たす関税水準を超えて、関税水準を自主的に引き下げる一
方で、その代償として豚肉関税の緊急措置制度を導入。
◎「豚肉関税の緊急措置」の仕組み
・四半期毎の累計輸入量が一定水準(過去3年同期の平均輸入量の
119%)を超えた場合、自主的に引き下げている現行税率をW
TO協定上認められている水準まで自動的に戻される。
豚肉の関税制度
○緊急措置の発動例
(課税後価格)
(数値は枝肉ベース)
輸入価格が分岐
点価格を超える
場合の関税:
従価税4.3%
基準輸入
価格
510.03円/kg
第1四半期
4∼6月
第2四半期
7∼9月
対前3年比
119%超
第3四半期
10∼12月
第4四半期
1∼3月
第1四半期
4∼6月
基準輸入価格
(409.9円/kg → 510.03円/kg(枝肉))
409.90円/kg
対前3年比 119%超
差額
関税
基準輸入価格
(409.9円/kg → 510.03円/kg(枝肉))
関税の緊急措置
対前3年比 119%超
従量税
361円/kg
基準輸入価格
(409.9円/kg →
510.03円/kg(枝肉))
対前3年比 119%超
基準輸入価格
(409.9円/kg →
510.03円/kg(枝肉))
(注)実際の輸入と輸入統計公表までにタイムラグ(約1ヶ月)が存在するため、
四半期当初からの発動とはならない場合がある。
(輸入価格)
48.9円/kg
393円/kg
489円/kg
・発動実績
①平成 7年11月1日∼平成 8年3月31日
②平成 8年 7月1日∼平成 9年3月31日
③平成 9年 4月1日∼平成 9年6月30日
④平成13年 8月1日∼平成14年3月31日
⑤平成14年 8月1日∼平成15年3月31日
⑥平成15年 8月1日∼平成16年3月31日
⑦平成16年 8月1日∼平成17年3月31日
分岐点価格
−5−
(2)豚肉の関税制度の取扱い
・
本制度をめぐっては、様々な意見があることから、平成17年7月12日の養豚問題懇談会を皮切りに、生産者、関係事業
者及び消費者との意見交換を行ってきたところ。
・
「経済財政改革の基本方針2007(いわゆる骨太の方針)」(平成19年6月19日閣議決定)において、「WTO交渉の中で、
(中略)差額関税制度の在り方について検討する」こととされたところであり、今後の制度のあり方については、関係者の
意見を踏まえた上で、現在行われているWTO農業交渉の中で検討。
◎ 豚肉の差額関税制度に対する関係者の主な意見
○ 生産者
・現行制度は国内の養豚農家の経営安定に重要な役割を果たしている。
・低級部位の輸入が抑制され、国産低級部位も加工用に回すことができるため、きちんと運用されれば、本制度はとてもよい制度。
・不正防止のための取締りの徹底を図りながら、現行制度を堅持すべき。
○
加工業者、輸入業者
・現行制度の下では、必要な部位を必要な量だけ輸入することが困難。
・組合せ輸入により、不必要な高級部位が市場に出回ると、高級部位の価格が低下し、国内生産者にも悪影響を及ぼす。
・制度は、他に類例のない複雑な仕組みであり、従量税又は従価税に改正し、より簡潔で透明性の高い制度にすべき。
○
消費者、マスコミ等
・ルールはルールであり、しっかり守ることが必要。
・消費者は違法行為を犯した安い豚肉など望まない。
・分かりやすく透明な制度がいい。分岐点価格のような仕組みはなくして、制度が悪用されないようにできないものか。
◎ 「経済財政改革の基本方針2007」(平成19年6月19日閣議決定)
○ WTO、EPA交渉の中で、国境措置の対象品目の絞り込みや関税率の引下げにおいて交渉のイニシアティブを発揮していくとともに、差額関税
制度のあり方について検討する。
−6−
(3)豚肉に係る国際動向
・
メキシコについては、2005年4月より経済連携協定(EPA)が発効。豚肉については、従価税部分の税率を半
減(4.3%→2.2%)したメキシコ専用枠を設定。
・
マレーシアについては、2006年7月よりEPAが発効。豚肉は除外扱い。
・
フィリピン、タイについては、豚肉は再協議で合意。
・
チリについては、豚肉は従価税部分の税率を半減(4.3%→2.2%)したチリ専用枠を設定することで合意。
・
ブルネイ、インドネシアについては、豚肉は除外で合意。
・
ASEAN、韓国、GCC、ベトナム、インド、豪州、スイスとは政府間交渉中。
2002年
2003年
2004年
2005年
2006年
我が国のEPA・
FTAをめぐる状況
シンガポール ☆署名(1月) ★発効(11月)
メキシコ
見直し交渉(4月∼)
交渉(11月∼)
マレーシア
フィリピン
交渉(2月∼)○大筋合意(11月)
☆署名(12月) ★発効(7月)
☆署名(9月)
交渉(2月∼) ○大筋合意(9月)☆署名(3月)
チリ
交渉(2月∼)
☆署名(4月)
○大筋合意(9月)
ブルネイ
交渉(6月∼)○大筋合意(12月) ☆署名(6月)
インドネシア
交渉(7月∼)
ASEAN全体
韓国(注1)
☆署名(3月)
☆署名(9月) ★発効(4月)
交渉(1月∼)
タイ
2007年
○大筋合意(11月)
交渉(4月∼)
交渉(12月∼)
GCC(注2)
交渉(9月∼)
ベトナム
交渉(1月∼)
インド
交渉(1月∼)
豪州
交渉(4月∼)
スイス
交渉(5月∼)
(注1)韓国とは、2004年11月以降交渉が中断。
(注2)GCC(湾岸協力理事会)加盟国:バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦。
−7−
Ⅱ 生産及び経営をめぐる情勢
1 経営の動向
(1)生産額
・養豚は、農業総産出額の約3割を占める畜産のうち、約2割のシェア。
・産出額は鹿児島県が最も多く、産出額の上位5つの県で全国の産出額の約4割を占める。
○ 産出額の多い都道府県
その他
15%
果実
H17
8%
畜産
2兆7,023億円
(30.7%)
野菜
23%
都道府県
肉用牛 20.1%
生乳
農業総産出額
8.8兆円
米
23%
畜産の内訳
豚
24.7%
20.3% 5,494億円
鶏卵
15.9%
ブロイラー 9.2%
その他
8.7%
資料:農林水産省「平成17年度農業産出額」
−8−
産出額(億円)
全国に占める割合
鹿児島県
755
13.7%
宮 崎 県
522
9.5%
茨 城 県
398
7.2%
千 葉 県
342
6.2%
群 馬 県
307
5.6%
2,324
42.3%
計
(2)生産構造
① 飼養戸数、飼養頭数の推移
・ 飼養戸数は、減少傾向で推移。19年は7,550戸と18年と比べで3.2%減少。
・ 飼養頭数は減少傾向で推移し、9年以降減少率は鈍化したが、19年は18年と比べて1.4%増加。
そのうち子取り用雌豚は、19年は18年と比べて0.9%増加。
○豚飼養戸数、頭数の推移
戸、千頭
200,000
20,000
頭
195,600
17,500
75,000
15,000
12,500
飼養頭数(千頭)
10,000
7,500
5,000
2,500
1戸当たり飼養頭数(頭)
74,200
790
12,500
906
838
11,70010,800
961
1,031
1,095
1,233
10,000
9,430
11,061
9,879
149
38
0
S51年
959 1,202
61年
9,806
9,788
9,612
9,725
800
8,880
9,724
9,620
600
7,550
400
9759
うち子取り用雌豚(千頭)
200
931
929
922
916
929
918
907
915
H11年
12年
13年
14年
15年
16年
18年
19年
資料:農林水産省「畜産統計」
注1:昭和51年及び61年の肥育豚の1戸当たり飼養頭数は、肥育豚を飼養する農家1戸当たりの総飼養頭数である。
注2:17年は世界農林業センサスの調査年であるため比較できるデータがない。
−9−
1,200
1,000
農家戸数(戸)
7,800
7,459
1,293
1,400
0
② 地域別飼養動向
・ 飼養戸数は、沖縄以外の地域で減少。近畿、東北、中国四国で対前年比5%以上の減少率。
・ 飼養頭数は、沖縄を除き前年に比べ増加。
・ 一戸当たり飼養頭数は、全ての地域で増加傾向。特に東北、北海道で高い増加率。
○地域別飼養頭数の推移
○地域別飼養戸数の推移
▲26%
沖
縄
九
州
近
畿
中
四
国
東
海
北
陸
関
東
・東
山
▲31%
東
北
北
海
道
千頭
3500
2923 3084
3000
2,523
2,506
+6%
2500
▲4%
1,640
2000
▲15%
1,603
1500
752.8
594.1
552.9
784.1
1000 545.9
578.1
234.5
304.3
72.6
294.9
291.9
500
85.8
0
沖
縄
九
州
近
畿
中
四
国
東
海
北
陸
関
東
・東
山
東
北
北
海
道
▲26%
4.0 千戸
▲18%
▲32%
3.5
H14年 2.8
2.8
3.0
H19年
2.3
2.5
2.1
2.0 ▲28% 1.7
▲28%
1.5
1.1
0.8 0.6
0.6
1.0
0.5 0.3
0.2
0.3 0.3
0.5 0.3
0.4
0.5
0.1
0.0
▲20%
○一戸当たり飼養頭数の推移
+42%
頭
−10 −
沖
縄
九
州
近
畿
中
四
国
東
海
北
陸
関
東
・東
山
東
北
北
海
道
2,000
+51%
+29%
+36%
1,717
1,800
+40%
1,600
1,439
1,323 1,365
1,400 1,213
1,170 1,231 1,220
1,055
1,200
1,005
948
954
908
894
1,000
709
631
800
608
536
600
400
200
0
資料:農林水産省「畜産統計」
(3)養豚経営の収益性
・ 養豚経営の収益性は、17年は飼料価格は上昇したが、米国のBSE発生、国内外における高病原性鳥インフルエンザ発生
に伴う代替需要による枝肉価格の上昇により、前年に比べ、収益性は向上。
・ 18年は原油価格の高騰により光熱動力費が増加したものの、豚枝肉価格が堅調に推移したことから、収益性は高水準で
推移。
○養豚経営の収益性の推移
(単位:円)
区 分 / 年
H2
H7
H9
肥育豚
一頭当たり所得
2,823
5,752
5,060
一日当たり
家族労働報酬
7,358 12,224 11,213 11,093 11,203 13,490 12,800 22,374 16,563
H 10
4,896
H 11
H 12
H 13
H 14
H 15
H 16
H 17
H 18
4,872
5,588
5,261
8,492
6,252
3,850
5,085
6,304
資料:農林水産省「畜産物生産費調査」
注1:調査期間は前年4月∼当年3月(11年までは前年7月から当年6月)
2:7、10年に集計方法を変更。なお、9年については10年調査ベースで集計した数値。
3:5年に対象農家を肥育経営農家から一貫経営農家に変更。
−11−
9,193 13,712 17,798
2 養豚経営における担い手確保について
・ 平成19年度より、養豚の経営安定対策の対象経営については認定農業者を基本とし、併せて認定農業者に準ずる者として、
「担い手の育成に関する計画等を有する生産組織に所属し、自らも計画に基づき認定農業者を目指す者」を担い手として
位置づけたところ。
・ 養豚経営における認定農業者率は41%(H18年4月現在)であり、更なる認定率の向上が重要。
①認定農業者
H18以前
②認定農業者の条件
を具備している者
①、②以外の者
養豚経営農家7800戸
(畜産統計平成18年2月)
都道府県段階の取組
・認定農業者増加のための緊急実行計画
の策定・緊急実行計画の実施
・認定作業の円滑な実施と認定の加速に
向けた、市町村担当部局等に対する指
導の徹底
担い手の育成等に係る計画
を有する生産組織に属し、
自らも計画に基づいて
認定農業者を目指す意欲の
ある経営体
<都道府県知事の特認>
市町村段階の取組
・認定手続きに係るきめ細かい説明・指導
・認定審査会の随時開催等認定作業の円
滑な実施と 認定の加速に向けた取組
担い手
H19以降
認定農業者
−12−
認定農業者に
準ずる者
3 豚の改良増殖体制強化について
・ 今後の豚の改良増殖体制強化に関しては、平成17年10月に取りまとめられた「家畜改良増殖推進検討会報告書」に基づき、
全国一律の基準による遺伝的能力評価の推進や改良関係機関の連携強化などに取組んでいるところ。
・ 「報告書」の具体化を一層推進するため、本年3月に「豚改良体制整備中央推進検討会」を開催し、当面の行動計画を策定した
ところ。
家畜改良増殖推進検討会報告書(豚)
報告書の具体化に向けた最近の取組
【平成17年10月】
19年3月
★改良体制強化のポイント
豚改良体制整備中央推進検討会(農水省主催)
○国産種畜の利用の促進及び遺伝的多様性の確保
・当面の行動計画を策定
・全国一律の基準による遺伝的能力評価
19年6月
・育種資源の確保
豚改良関係機関を対象としたアンケート調査の実施
・衛生的管理に配慮した種豚の広域利用
19年7月
○閉鎖型育種の広域化
(地域ブランド作出のための複数県の連携による特長
のある系統の造成等)
豚の新育種技術に関する研究会(畜産草地研究所主催)
・閉鎖群育種をはじめ育種技術に関する研究推進等を検討
19年9月(予定)
○種豚供給体制の強化
(規模拡大を続ける肥育生産者のニーズに対応するた
め、中小種豚生産者、公的機関等におけるグループ
化・連携等)
豚改良増殖推進委員会((独)家畜改良センター主催)
・センターにおける関係機関との連携強化などについて検討
19年度内
豚の登録・検定制度の見直しについて検討
○関係機関の連携強化
(改良増殖の連携にかかる調整や技術交流等)
−13−
Ⅲ 飼 料
1
飼料の需給
・ 平成18年度における配合飼料の生産量は2,386万トンであり、そのうち豚用は596万トンで25%を占めている。
・ 養豚用配合飼料の原料使用割合は、とうもろこし54%、大豆油かす15%、こうりゃん8%となっており、この3原料で全体の約8割を
占めている。
・ 一定の輸入数量に限って関税が無税となる関税割当制度における単体飼料用(丸粒)とうもろこしの利用量は約20万トンであり、
そのうち養豚用の利用量は約17万トンで約8割を占めている。
配合飼料の家畜別生産量
(H18年度:2,386万トン)
豚用配合飼料生産量の推移
(百万㌧)
その他
9
肉用牛 (0.4%)
432
(18%)
6.2
6.1
6.0
6.0
6.0
5.9
上段:生産量(万トン)
下段:割合(%)
採卵鶏
652
(28%)
乳用牛
318
(13%)
6.0
5.9
5.9
豚
596
(2 5 % )
資料:農林水産省「飼料月報」
5.8
豚用配合飼料の原料使用割合(H18年度)
ブロイラー
378
(16%)
関税割当丸粒とうもろこしの
畜種別利用量(H18年度)
5.6
牛
2.7
(12%)
5.4
12 13 14 15 16 17 18
年度
上段:利用量(万トン)
下段:割合(%)
鶏
2.8
(12%)
豚
17.3
(76%)
資料:農林水産省「飼料月報」
資料:農林水産省畜産部調べ
−14−
糟糠類
2%
その他
油かす
類 4%
動物性
飼料
2%
豆類
0.5%
その他
5%
大豆油
かす
15%
その他
穀類
8%
こうりゃ
ん 8%
資料:農林水産省「飼料月報」
とうもろ
こし
54%
2
配合飼料価格の動向
・ とうもろこしの国際価格(シカゴ相場)は、昨年秋以降、バイオエタノール向け需要の増加等から急騰し、一時は4ドル/ブッシェルを超
える水準で推移。最近では、米国でのとうもろこし作付の大幅増加、順調な生育等から、3ドル/ブッシェル台前半で推移している。
・ 豚用配合飼料価格は、18年4月には41千円/トン程度であったが、その後、とうもろこしのシカゴ相場が上昇したこと等により連続して
値上げが行われ、19年5月の工場渡し価格は、52千円/㌧程度(工場建値:対前年同月比で25%上昇)となっている。
・ 配合飼料価格の急激な変動が畜産経営に及ぼす影響を緩和するために、配合飼料価格安定制度が措置されており、最近では、
4期連続(18.10∼12月、19.1∼3月、4∼6月、7∼9月)で通常補てんが発動され、このうち、1∼3月期及び4∼6月期には異常補てんが
発動されている。
・ また、このような配合飼料価格上昇に対処して、19年度より飼料購入資金を低利で融資する家畜飼料特別支援資金を創設したほか、
家畜の生産性向上の推進や未利用低利用資源の活用推進に取り組んでいるところである。
<とうもろこしのシカゴ相場の推移>
セント/ブッシェル
<配合飼料価格安定制度の発動状況>
(19.2/22)
434.50
450
400
配合飼料価格(建値)
値上げ額
(約1,200円)
(16.4/8)
330.50
350
価格差補てん
300
(17.7/18)
260.00
(7/25)
311.50
補てん金額
異常補てん 7,650円程度
(3,829円)
値上げ額
(約3,230円)
250
直前1年間
平均価格を
上回る額
(6,850円)
異常補てん
200
150
16.4
17.4
18.4
異常補てん
(1,860円)
19.4
資料:農林水産省畜産部調べ
円/トン
平成19年度第2四半期
における直近1年間の
平均価格
通常補てん
(4,371円)
値上げ額
(約5,500円)
<豚用配合飼料価格(工場渡し)の推移>
通常補てん
55,000
通常補てん
(4,640円)
50,000
値上げ額
(約1,700円)
45,000
値下げ額
(約500円)
40,000
通常補てん
(700円)
35,000
104%追加
補てん分
(約800円)
(約1.750円)
(約1.530円)
通常補てん
(1,600円)
(約600円)
(約100円)
(約200円)
実質農家負担額
30,000
16.4
17.4
資料:農林水産省「飼料月報」
18.4
19.4
−15−
18年4月
7月
10月
19年1月
4月
7月
9月
直前四半期の
農家負担額の
104%を超える額
3 エコフィード(食品残さの飼料化)の推進
・ 飼料自給率の向上、飼料費の低減を図るため「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」(いわゆる食品リサイクル法
(平成13年5月施行))に則し、食品残さの飼料化を推進。
・ 食品残さの飼料化を推進するためには、安全性の確保、品質・供給の安定性の確保等の課題があり、これらに対応した取組を
推進することが必要。
・ 新たな食品リサイクル制度の活用・対応のための実践方法を検討と実施が必要。
食品残さの飼料化の進捗状況
30%
比較的、品質・内容が明らかで、安定的な
供給が見込まれる「食品製造業」と「食品
卸売・小売業」の取り組みを重点的に推進
する必要。
37%
拡 大
9%
飼料化の推進の方向
13%
○未利用・低利用資源(焼酎粕等)の掘り起
こし
○小規模で分散している店舗からの原料(豆
腐粕、パンくず等)の収集体制の検討
○改正食品リサイクル法を踏まえた取組推進
○エコフィード認証制度の創設
食品卸売
・小売業
拡 大
5%
3%
外食産業
拡 大
平成15年度
飼料化率
(17%)
食品製造業
平成17年度
飼料化率
(21%)
(農林水産省統計部:「食品循環資源の再生利用等実態調査結果」)
平成15年度
94万TDN㌧
平成27年度
飼料化率
(53%)
平成27年度
135万TDN㌧
41万TDN㌧の増加
−16−
4 飼料米の現状と課題
○ 米の飼料用の利用は、生産コストが輸入とうもろこしと比較して、大幅に高いこと等から、現状においては極めて限られた取組。
(作付面積 平成12年:220 ha → 平成18年:104 ha)
○ 飼料米の生産コストをとうもろこし価格と比較すると、平成18年4月から平成19年3月のCIF価格の平均価格で 7.4倍、
シカゴ相場による試算価格と比較しても5.0倍と大きな格差。
○ しかしながら、地域で耕種農家、畜産農家及び消費者が連携した取組により飼料米の生産と利用が行われている事例もある
ことから、生産・流通コストを低減するとともに、飼料米で生産した肉や卵等の製品の銘柄化を図り付加価値を付けるといった
課題を解決しつつ、利用を拡大していくことが重要。
○ 飼料米とトウモロコシのコスト比較
飼料米(A)
(円/kg)
142.0
(86.4)
試算値
トウモロコシ(B)
(円/kg)
○飼料利用の課題
(A)/(B)
倍
19.2
7.4
H18年4月∼H19年3月のCIF
(4.5)
①単収の向上
・「タカナリ」(玄米収量800kg/10a)等を上回
る多收品種の育成
②省力・低コスト栽培技術の開発・導入
28.6
シカゴ相場試算
5.0
(3.0)
試算の前提:
(1)生産コスト
① 単収629kg/10a
通常栽培レベル(既存の多収品種(タカナリ)の独法機関での栽培試験結果の8割)
② 生産コスト 89,320円/10a
食用米の玄米ベースの全算入生産費(全国平均)の約6割
③ 飼料米(玄米)の飼料価値はトウモロコシとほぼ同価値
④ 括弧内は産地づくり交付金(35千円/10a)の助成を受けた場合
(2)トウモロコシ価格
H18年4月からH19年3月までのCIF価格の平均値及び
シカゴ相場(6月15日)419.0セント/ブッシェルで試算
−17−
③規模拡大による生産コストの低減
④飼料米利用畜産物の高付加価値化
・「米育ち豚しゃぶ」、米とトウガラシの紅白の
飼料を与えた「めでたまご」等の取組の普及
現状では、飼料米の利用には課題が多いが、関係
者が連携した体系的な取組によるコスト削減や製
品の高付加価値化により解決を図ることが重要。
5 家畜の生産性向上に向けた取組
・ 最近の配合飼料価格の上昇を踏まえ、エコフィード(食品残さ)の利用促進や生産性向上のための飼養・衛生管理技術の改善
を図る必要。
・ このため、本年4月、「配合飼料価格上昇対応生産性向上推進会議」を立ち上げ、関係者が一体となって取り組んでいるところ。
生産性向上については、27年度目標として、基本計
画や酪肉近基本方針、家畜改良増殖目標に掲げられ
た飼養技術の普及、家畜改良の推進等の取組の強化
を図ることが重要。
飼養・衛生管理技術の改善による事故率低減
(効果の例:試算)
離乳後から出荷時
までの事故率
【生産コスト低減の目標】
(基本計画、養豚問題懇談会報告書)
・ 1割程度の低減
(改善後)
7.5%
3.0%
年間出荷頭数の増加(56頭:1,145頭→1,201
頭)により、粗収益が増加
※離乳後の事故率低減により、飼料費や労働費は
若干増加
【目標達成のための手法】
(養豚問題懇談会報告書)
・ 母豚1頭当たりの産子数の向上、ほ育・育成期の
事故率の低減等を図るため、適切な飼養・衛生管理
(オールイン・オールアウト、SEW、SPF等)を徹底。
・ 優良種豚の効率的利用や母豚の繁殖性の向上の
ため、人工授精の普及・定着を推進。
(18調査)
1戸当たり年間約120万円の所得増
※畜産物生産費統計(平成18年)及び平成18年度養豚基礎調査全国
集計結果より、畜産振興課において試算
−18−
6 飼料価格の高騰に対応した消費者理解の促進
・ 飼料価格の高騰等の最近の情勢や生産者の生産性向上の取組等について、関係者に認識や理解を共有してもらうための協議会を
5月22日に設置。7月20日に第2回を開催し、パンフレットの作成等について検討。
・ 本会議は、生産者、加工・流通業者、消費者等を構成員とし、理解醸成のための意見交換を行うとともに、当該関係者による具体的な
取組を促進。
協議会委員一覧(50音順)
○協議会の開催状況
・ 第1回(5月22日(火))
・ 第2回(7月20日(金))
・ 第3回(9月予定)
・ 第4回以降(日程検討中)
○理解醸成のための取組内容
・ 関係者による意見交換
・ 各団体による取組事例の紹介
・ 関係者による取組の検討・推進
・ パンフレットの作成
・ シンポジウム等を通じた理解醸成の促進
・ 地域協議会の開催
等
−19−
浅野 茂太郎 (社)日本乳業協会副会長
鶉橋 誠一
首都圏食肉卸売業者協同組合理事長
梅原 宏保
(社)日本養鶏協会理事
小笠原 荘一 日本チェーンストア協会常務理事
甲斐 諭
九州大学農学研究院教授
門谷 廣茂
(社)中央酪農会議専務理事
神田 敏子
全国消費者団体連絡会事務局長
志澤 勝
(社)日本養豚協会副会長
白井 美由里 横浜国立大学准教授
武見 ゆかり
女子栄養大学教授
内藤 英代
消費科学連合会企画委員
中井 尚
(社)日本フードサービス協会理事・事務局長
成清 一臣
全国農業協同組合連合会常務理事
芳賀 仁
(社)日本食鳥協会会長
馬場 利彦
全国農業協同組合中央会農業対策部長
藤井 良清
日本ハム・ソーセージ工業協同組合副理事長
松木 篤美
主婦連合会常任理事
松永 直行
全国肉牛事業協同組合
村井 弘一
(協)日本飼料工業会会長
山内 明子
日本生活協同組合連合会組織推進本部長
7 動物用医薬品及び飼料の適正な使用
・ 平成18年5月29日から、食品衛生法の改正により、厚生労働大臣が指定する物質(対象外物質)を除く全ての動物用医薬品等は
人の健康を損なうおそれのない量(一律基準)を超えて残留してはならず、その例外として残留基準が定められたものについては、
これを超えて残留してはならないとされる制度(ポジティブリスト制度)が施行。
・ これに対応し、農林水産省では、飼料中の農薬等の残留基準の設定や動物用医薬品の使用基準の改正等を実施。
なお、今後、食品中の残留基準値の見直しに併せ、適宜見直しを行う予定。
農薬、飼料添加物及び動物用医薬品
農薬、飼料添加物及び動物用医薬品
食品の成分に係る規格(残留
基準)が定められているもの
食品の成分に係る規
格(残留基準)が定
められていないもの
農林水産省の取組
厚生労働大臣が
指定する物質
【動物用医薬品】
・22成分+2配合の使用基準改正
ポジティブリスト制度の施
行と同時に、食品衛生法第
11条第1項に基づき、農
薬取締法に基づく基準、国
際基準、欧米の基準等を踏
まえた基準を新たに設定
人の健康を損なう
おそれのない量と
して厚生労働大臣
が一定量を告示
(一律基準)
人の健康を損な
うおそれのない
ことが明らかで
あるものを告示
(特定農薬等)
(平成18年5月29日施行)
・40成分+8配合の使用基準新規設定
(平成18年5月29日施行)
・休薬期間の新規設定及び変更
(平成18年5月29日付け変更)
登録等と同時の残留基準設
定など、残留基準設定の促
進
一定量(0.01ppm)を超
えて農薬等が残留す
る食品の販売等を禁
止
ポジティブリスト
制度の対象外
【飼料中の農薬残留】
・60物質について基準設定
残留基準を超えて農薬等が残
留する食品の販売等を禁止
(平成18年5月29日施行)
−20−
Ⅳ 養豚経営における環境問題
・ 平成18年の家畜排せつ物発生量は8,741万トンと推計され、このうち約4分の1が養豚からの発生とみられる。
・ 平成18年12月1日時点で、家畜排せつ物法の管理基準適用農家約60,033戸のうち99.9%が管理基準に対応済み。
1 家畜排せつ物発生量の推移
3 畜種別に見た家畜排せつ物発生量(単位:万トン)
畜 種
乳用牛
肉用牛
豚
採卵鶏
ブロイラー
合 計
9,400
︵
発
生
量
︶
万
ト
ン
/
年
9,200
9,000
8,800
8,600
注:平成18年
8,400
畜産統計から推計
4 法施行状況調査(18年12月1日時点)結果の概要
8,200
8,000
発 生 量
約2,689
約2,546
約2,227
約
784
約
495
約8,741
平成9年
11年
13年
15年
16年
管理基準対象農家
(60,033戸)
47.2%
18年
畜産農家
(127,061戸)
2 家畜排せつ物の処理・利用の現状
管理基準対象農家
(60,033戸)
家畜排せつ物
約90百万トン/年
平成11年時点
1. 野積み・素堀りへ
約 9百万トン/年
2. たい肥化・液肥化等へ
約75百万トン/年
3. 浄化・炭化・焼却等へ
約 6百万トン/年
管理基準対象外農家
(67,028戸)
52.8%
施設整備
(51,690戸)
86.2%
平成16年12月時点
1. 野積み・素堀りへ
約 1百万トン/年
2. たい肥化・液肥化等へ
約80百万トン/年
3. 浄化・炭化・焼却等へ
約 7百万トン/年
簡易対応
(5,978戸)
10.0%
管理基準適合農家
(59,982戸)
99.9%
−21−
その他の方法※
(2,314戸)
3.9%
管理基準不適合農家
(51戸)
0.1%
※「その他の方法」には、畜舎からほ場への直接散布、周年放牧、廃棄物処理としての委託処分、下水道利用等が含まれる。
・ 家畜排せつ物の利活用促進がこれまで以上に重要となる中、農業者の9割は家畜排せつ物たい肥を「利用したい」と回答。
・ 今後、自治体やJA等を中心とした耕畜連携等による利活用の一層の推進が必要。
・ 地域バイオマス利活用交付金等による家畜排せつ物利活用施設整備の支援、たい肥の利活用等に係る知識や技術の普及、
地域における指導体制の強化等を実施しているほか、19年度からは耕畜連携によるたい肥利用のモデル的な地区の整備を
新たに支援。
5 家畜排せつ物たい肥の利用に関する意識・意向調査結果(17年1月農林水産省調査)
家畜排せつ物たい肥の今後の利用に関する意向
特に考えはない 4.4
利用したい理由(複数回答)
無回答 0.1
60
利用したい
88.4
利用したく
ない 7.2
(%)
51.6
0
たい肥の利 作物の品質 化学肥料の 作物生産の
用によって 向上が期待 使用量の節 安定性の向
循環型の農 できる
減が期待で 上が期待で
きる
業が可能に
きる
なる
積極的に
利用したい
51.1
家畜排せつ物たい肥を有効利用するための地域
の取組(複数回答)
今後利用が進む家畜排せつ物た
い肥(複数回答)
(%)
60
57.7
52.4
43.5
40
34.0
40
41.1
20
ある程度
利用したい
37.3
60
46.2
40
回答者数
2 544人
(100.0%)
80
49.5
(%)
52.7
48.8
43.0
38.3
20
20
0
たい肥の販売・
購入先の仲介
など、耕畜
連携を図る
取組
たい肥の利 たい肥の散 たい肥の施
用による化 布を省力化 用効果を実
学肥料の使 する取組
証し普及す
用量を減ら
る取組
す取組
0
−22−
顆粒やペレ 価格が安い 成分量が安 成分量が明
ットなど散 たい肥
定したたい 確なたい肥
布しやすい
肥
たい肥
6 畜産経営における排水規制
・ 畜産経営から排出される汚水については、水質汚濁防止法により、一定規模以上の畜産事業所から排出される汚水は、
所定の水質を満たすよう処理を行うことが義務付けられている。
・ 水質汚濁防止法における硝酸性窒素等の暫定排水基準(900mg/l)については、平成22年6月末まで延長されることとなった
ものの、今後はより一層の排水基準の強化に備えて対応していくことが課題。
○畜産経営に関する排水規制の体系(水質汚濁防止法)
○硝酸性窒素等の排水基準
−23−
Ⅴ 家畜衛生をめぐる情勢
1
豚の伝染性疾病の発生状況
(1)最近の豚の伝染性疾病の発生状況
(単位:頭数)
伝染性疾病の種類
11年
12年
13年
14年
15年
16年
17年 18年
法
口蹄疫
0
0
0
0
0
0
0
0
定
流行性脳炎
6
6
4
6
1
3
11
11
伝
炭疽
0
0
0
0
0
0
0
0
染
ブルセラ病
0
0
0
0
0
0
0
0
病
豚コレラ
0
0
0
0
0
0
0
0
レプトスピラ症
0
5
16
19
0
9
0
0
187
1,077
2,647
652
218
403
437
1,166
トキソプラズマ病
1
16
36
38
32
46
19
46
届
オーエスキー病
74
320
487
65
16
13
5
98
出
伝染性胃腸炎
11,202
387
0
108
298
0
214
342
伝
豚繁殖・呼吸障害症候群
283
656
34
1,501
63
70
21
55
染
豚流行性下痢
812
0
2,218
0
0
0
0
3
病
萎縮性鼻炎
435
224
45
18
72
2
1
6
豚丹毒
2,000
1,927
1,778
1,598
1,754
1,555
1,667
1,597
豚赤痢
542
1,564
459
133
31
306
148
152
サルモネラ症
※:家畜伝染病予防法の届出による
−24−
(2)豚の慢性疾病の発生状況
慢性疾病の種類
H11
H12
H13
H14
H15
(単位:頭数)
H16
H17
<ウイルス病>
サーコウイルス感染症
1,019
4,357
82
118
7
356
48
<細菌・真菌病>
大腸菌症 2,315
7,087
2,843
2,337
8,925
2,524
3,527
アクチノバチラス症 1,333
711
1,419
1,275
428
3,320
382
レンサ球菌症
347
363
417
275
194
257
472
サルモネラ症
14
17
280
183
37
204
クロストリジウム症 71
498
34
224
273
390
14
パスツレラ症
281
280
697
87
232
74
243
滲出性表皮炎
272
690
326
458
133
245
3,513
アルカノバクテリウム・ピオゲ
64
6
19
22
11
33
104
ネス症
増殖性腸炎
12
54
137
147
106
463
47
豚マイコプラズマ肺炎
1
20
2
27
11
10
その他の細菌・真菌症
10
556
209
14
315
206
530
<原虫・寄生虫病>
コクシジウム症
17
15
4
394
34
10
10
大腸バランチジウム症
58
15
3
2
100
1
その他の原虫病
6
1
100
2
寄生虫病
237
126
237
145
250
215
224
<混合感染症>
サーコウイルスの混合感染
31
25
38
16
1
140
22
パスツレラの混合感染
177
74
138
100
39
レンサ球菌の混合感染
5
15
58
17
大腸菌の混合感染
107
385
388
42
1,829
その他の混合感染症
59
3
219
122
2
131
出典:家畜衛生週報
注1:届出伝染病以外の疾病。空欄は発生報告無し。
2:家畜衛生対策事業の報告を基に集計したものであり、必ずしも全国の状況を反映したもの
では無い。
−25−
H18
49
2,483
504
350
79
29
425
180
9
47
35
307
517
329
16
112
68
269
8
2
豚コレラの清浄化
・ 豚に対してウイルスにより起こる伝染病で、高い発病率と致死率が特徴。
・ 明治21年(1888年)に北海道において、初めて発生して以降、大きな被害をもたらしてきたが、昭和44年に弱毒生ワクチンが開発
され、組織的なワクチン接種が行われるようになり、発生は激減。
・ 平成5年以降発生がないことから、養豚先進国と同様にワクチンを用いない防疫体制の確立による清浄化を目指し、対策を開始。
【豚コレラ撲滅対策】
第1段階 (H8年度∼)
○ワクチン接種の徹底(接種率は概ね80%)
第2段階(H10年度∼)
○都道府県ごとに接種中止
(12年4月までに32県中止)
第3段階(H12年度∼)
○全国的ワクチン接種中止
(輸入検疫強化)
・抗体保有状況調査
・病性鑑定
・立入調査の徹底
ここまでで、70万頭の抗体
調査、14千頭の病性鑑定、
未接種農家8千戸の検査等
を実施。
95%の農家が接種を中止し、5年以上が経過
我が国に野外ウイルスは存在しないと考えられる段階
平成18年3月、防疫指針を公表し、同年4月以降、
予防的なワクチン接種の全面中止
平成19年4月、ワクチン全面中止後1年経過し、清浄国へ
−26−
【関連対策】
・家畜防疫互助事業の創設・見
直し (豚コレラ互助事業を創
設)
・緊急接種用のワクチン備蓄
(100万頭分の緊急ワクチン、
注射器等の資材備蓄)
・家畜疾病経営維持資金の対
象疾病への追加
3 オーエスキー病の防疫対策について
(1)オーエスキー病の防疫対策の現状
・ 平成3年から防疫対策要領に基づき定期的な抗体検査の実施、野外ウイルス抗体陰性豚の出荷、導入の推進により発生予防と
清浄性維持を図るとともに、臨床症状を呈している豚及び野外ウイルス抗体陽性豚が確認された場合は、早期とう汰の実施により
清浄化を推進。また、本病の浸潤状況は地域により差があることから、地域別にこれらの対策を推進。
【防疫対策】
清浄化推進地域(過去1年以上、
発生、抗体陽性豚摘発)
清浄種豚の流通、ワクチン全頭接種、陽
性豚の摘発とう汰
清浄地域(過去1年以内、発生抗
体陽性豚なし)
清浄種豚の流通
<オーエスキー病の抗体陽性率(戸数)の推移 (%)>
平成16年
平成17年
平成18年
全国
5.1
5.5
6.5
6.2
東北
3.5
1.3
1.7
1.3
関東
19.1
20.9
22.3
22.2
九州
3.4
4.9
6.8
4.0
抗体陽性農家数はほぼ横這い(平成18年:速報値)
<地域区分別の市町村数※>
平成18年
清浄化推
進地域
準清浄地
域
清浄地域
313
80
2,839
・本病の拡大は
阻止
・清浄化の推進
には効果的なワ
クチン接種の徹
底等が必要
17年度から地
域内全頭接種を
助成条件とした。
浸潤地域に大きな変動なし
※平成11年3月以前の合併前市町村数を基準に算出
−27−
生産者のコンセンサスづくり
準清浄地域(過去1年以内、発生、
抗体陽性豚摘発)
平成9年
家畜生産農場清浄化支
援対策事業による支援
ワクチン接種補助
H17年度実績
3,004,645頭
H18年度実績
3,237,255頭
清浄種豚の流通促
進(抗体検査、抗体陰
性証明書の交付)
種豚抗体検査
H17年度実績
45,654頭
H18年度実績
48,133頭
(2)オーエスキー病対策の今後の取組について(案)
現状 ・ 本病の拡大阻止の取組は機能しているものの清浄化は進展していない状況
・ 対策を講じ始めてから15年経過し、本病の支援措置(ワクチン接種補助等)等を含め、
今後の本病の対応方針について検討する必要
(基本認識) ・海外の事例からも清浄化は技術的に可能
〈ほぼ清浄・清浄化目前の地域〉
・要領に基づく清浄化確認
が困難(人員不足)
・一部に接種中止による再
発不安
〈早期の清浄化困難な地域〉
・ワクチンの全頭接種、モニ
タリング検査の実施が困
難(人員不足)
・接種中止による再発不安
・清浄化のメ
リットの検証
・雇上獣医師
の活用等に
よる人員不足
解消
・モニタリング、
清浄性確認
の方法
・ワクチン接
種徹底以外
の方法による
清浄化の可
能性
・定期的なモニタリングの実施
・導入豚のルール遵守
・効果的なワクチン接種の徹底
・抗体陽性豚の計画的とう汰
・飼養衛生管理基準等の遵守
・移動豚の清浄性確認
情報
コンセンサスが得られ
た場合、移行
〈コンセンサスが得られない地域〉
・生産者のコンセンサスづくり
− 地域区分の細分化 −
・被害防止のためのワクチン接種
・一定レベルのモニタリング
・移動豚の清浄性確認
−28−
早 期 の 清 浄 化 達 成
〈全体〉
・清浄化による農家のメリットが
不透明
〈コンセンサスが得られた地域〉
清浄化に向けた取組
集中的支援
(準清浄地域・清浄化推進地域での取組)
○清浄化推進上の問題点
○検討事項
生産者のコンセンサスづくり︵中央・
地方︶
・清浄化のメリットは、ワクチン接種経費の低減のみではなく、清浄化の取組を通じて衛生管理の
徹底によりPRRS等の疾病予防対策にも効果的
《地域区分の細分化》
4 養豚農場における衛生対策の推進方向
・ 農場によっては、PRRS(豚繁殖呼吸障害症候群)、PMWS(離乳後多臓器性発育不良症候群、サーコウイルス等の混合感染)をはじめ
とする混合感染症により事故率が上昇しており、疾病コントロール事例等を参考に飼養方式改善も含めた基本的な飼養衛生対策の
徹底が重要。
・ さらに、地域の生産者、獣医師、家畜保健衛生所などの関係者が一体となった面的な取組が有効。
【実態】
常在化の傾向にあり、
新たな届出は少ない
PRRS発生状況(家伝法に基づく届出)
単位:戸
H14 H15 H16 H17
H18
15
10
12
7
20
<参考:動物衛生研究所の調査事例>
・PRRS(H6調査):
調査55農場中48農場陽性
・サーコウイルス(H12調査):
調査149農場中144農場陽性
全国
7.5
養豚農場における事故率(離乳後∼出荷)
関東 北陸
東海 近畿 中国・四国
6.0
7.7
6.5
7.2
6.5
5.8
北海道・東北
<鹿児島県の事例(飼養規模:肥育豚2,400頭)>
豚コレラの発生を契機として農場での衛生対策を実施
関係者以外の立入制限
徹底的な消毒
オールインオールアウトの
徹底
管理獣医師の定期的な巡回
必要な病性鑑定
8.9
事故率20%以上の農家割合
%
14.0
地域的にばらつき
九州地域では事故率が高
い農家が多い傾向
12.0
事故の主な要因
(農家から聞き取り)
・呼吸器疾患 約8割
・その他
約2割
10.0
8.0
6.0
4.0
2.0
0.0
全国
【対策】
%
九州・沖縄
北海道
東北
関東
北陸
東海
近畿
中国
四国
九州
沖縄
資料:H18養豚基礎調査(日本養豚協会)
<北海道の事例(飼養規模:母豚50頭一貫生産)>
関係者でのPRRS等の対策の協議(農家、農協、獣医師、家保)
○繁殖対策
・BCSの点検・飼料給与量の改善
・繁殖候補豚の馴致
・分娩舎での管理強化
・事故率の著明な減少(7.5%→1.5%)
・出荷日齢の短縮(238日→222日)
・治療費の軽減(79%の減)
○肉豚対策
・離乳舎を用いたピッグフローに変更
・肥育舎の消毒強化
・定期的なモニタリング
・繁殖成績の向上(1腹産仔数:9.97頭→10.76頭)
・肉豚のPRRS等感染の減少(離乳期の感染なし)
・1母豚当たりの出荷頭数の増加(16.1頭→21.1頭)
生産者団体も参加
【農林水産省の取組】
県経由、1/2助成
○調査研究の推進(PRRSの飼養衛生管理技術の高度化の研究(H18∼20))
畜産業振興事業
○地域一体となった清浄化、HACCPを活用した飼養衛生管理等を支援(食の安全・安心確保交付金)
1/2助成
○養豚集団が取り組む衛生対策に必要な器具、資材の導入等に対する支援(地域養豚振興特別対策事業)
−29−
5 家畜伝染病予防法に基づく特定家畜伝染病防疫指針の作成及び飼養衛生管理基準の設定
・ 平成15年に家畜伝染病予防法が改正され、特に総合的に発生の予防及びまん延の防止のための措置を講ずる必要のある
家畜伝染病に関して、国、地方公共団体、関係機関等が連携して取り組む家畜伝染病の発生及びまん延防止等の措置を講ずる
ための指針(特定家畜伝染病防疫指針)を作成することとした。
・ また、家畜の伝染性疾病の中には、家畜の所有者が衛生管理を徹底することでその発生を予防できるものもあることから、
農林水産大臣が、特定の家畜についてその飼養に係る衛生管理の方法に関し家畜の所有者が遵守すべき基準(飼養衛生管理
基準)を定めるとともに、家畜の所有者に当該基準の遵守を義務付けた。
○ 飼養衛生管理基準
○ 特定家畜伝染病防疫指針
家畜の飼養衛生管理基準
の設定
口蹄疫、BSE、高病原性鳥インフルエンザ、豚コレラの
4疾病について作成
A町 通行の制限
に対する協力
協力依頼
防疫活動に 関係省庁
対する協力
-衛生管理を徹底することで
疾病を予防
連絡・
調整
生産農場
疫学調査
連携
発 生
連携
罰
則
令
−30−
家畜の飼養者が家畜の衛生管理の方法に関し
遵守すべき最低限の基準
命
B県
消費者
○枝肉・部分肉
・加工品の
微生物汚染・
増殖防止
告
連絡・調整
○病畜の廃棄
○枝肉・部分肉
(全部又は一部) ・加工品の微
○枝肉の微生物
生物汚染・増
汚染・増殖防止
殖防止
勧
家畜防疫員等の
派遣
○畜舎及び器具の清掃や消
毒を定期的に行うこと。
○畜舎に出入りするときは、
消毒等の措置をとること。
○清浄な飼料及び水の給与
に努めること。
○家畜の健康管理に努める
こと。
○家畜の異常発見時には、
獣医師の診療を受ける
こと。
○他の農場等から家畜を
導入する場合には、一
定期間隔離すること。等
指導・助言
農林水産省
試験研究機関
卸売・小
売業者
食肉・食鳥
処理・加工場
食品供給行程の各段階における適切な措置により
食品の安全性を確保(と畜場法・食品衛生法)
衛生管理の向上
専門家の派遣
(家畜伝染病予防法)
と畜場・食鳥
処理場
Fly UP