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31L-pm09
31L-pm09 Ⅲ瘡治療における外用抗菌薬の新規有効性評価:脂腺細胞における皮脂産生およ び炎症反応に対する抗菌薬の抑制作用 1 1 野口 雅久 2 , 笹津 備規 2 , 伊東 晃( 東 ◯佐藤 隆 1 ,白根 達彦 1 ,栗原 弘和 1 , 京薬大薬・生化分子生物,2 東京薬大薬・病原微生物) 【目的】⑫瘡(ニキビ)は,皮脂の産生高進に伴い皮脂腺およびその周囲組織に伝播 する炎症性皮膚疾患である.⑫瘡の病態には Propionibacterium acnes の関与が知ら れており,その治療に抗菌薬が汎用されている.本研究では,本邦の⑫瘡治療に 用いられる経口抗菌薬のロキシスロマイシン(RXM),レボフロキサシン(LVFX), ファロペネム(FRPM)およびミノサイクリン(MINO)に加え,外用抗菌薬のナジフ ロキサシン(NDFX)およびクリンダマイシン(CLDM)に着目し,ハムスター脂腺細胞 において皮脂,炎症反応関連因子のプロスタグランジン(PG)およびプロマトリック スメタロプロテアーゼ 2 (proMMP-2)の産生に対する両薬剤の作用を検討した. 【結 果】ハムスター脂腺細胞において,RXM,LVFX,FRPM および MINO は皮脂産 生に影響を及ぼさなかった.しかし,NDFX および CLDM はインスリンおよびグ ラム陽性菌由来ペプチドグリカン(PGN)により増加した皮脂産生を抑制した.一方, PGN およびインターロイキン 1 (IL-1)により増加した PGE2 および PGF2a 産生は CLDM により抑制されたが,NDFX は PGN 誘導性 PGE2 産生のみを抑制した.ま た,NDFX は PGN および IL-1 により増加した proMMP-2 産生を抑制した.しかし ながら,CLDM には proMMP-2 産生抑制作用は観察されなかった. 【考察】CLDM および NDFX は,既知抗菌活性に加え皮脂腺における皮脂産生抑制作用と共に PG または proMMP-2 の産生抑制に起因した抗炎症作用を併せもつ抗菌薬であること が初めて判明した.