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深頚部から前胸部まで進展する膿瘍と 敗血症性ショックを来した扁桃

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深頚部から前胸部まで進展する膿瘍と 敗血症性ショックを来した扁桃
深頚部から前胸部まで進展する膿瘍と
敗血症性ショックを来した扁桃周囲膿瘍の一例
79歳男性 <主訴> 発熱, 咽頭痛
<既往歴> H18∼ 高血圧
<生活歴> 喫煙:なし アルコール:機会飲酒
<内服> バルサルタン40mg フルチカゾン 吸入
<現病歴>
徳之島在住。
来院12日前に咽頭痛, 咳嗽, 鼻汁, 食欲低下を認めた。
来院6日前より38.9度の発熱が出現, 前医受診し対症療法にて経過観察となって
いたが、来院3日前に咽頭痛が増悪, 発熱も持続, 右前頸部の腫脹も認め入院。
来院2日前に口腔内から出血があり, 咽頭痛で食事はほぼとれない状態となった。
セファゾリンにて保存的に治療開始したが症状増悪し, 悪寒戦慄および血圧低下を
認め, 当院へ緊急ヘリ搬送となった。
<来院時身体所見>
搬送時 ドパミン12γ投与中
BP98/70mmHg, HR110回/分, RR18回/分, T35.7度,
SpO2 100%(酸素マスク5L/分)
意識: 清明
眼: 眼瞼結膜蒼白
口腔: 口腔内に血塊の付着多い
頚部: 吸気時喘鳴なし, 右頚部に圧痛を伴う著明な発赤腫脹あり 胸部: 呼吸音清 左右差なし
心音: 整, 心雑音聴取せず
腹部: 平坦, 軟. 反跳痛なし, 腸蠕動音減弱亢進なし
四肢: 下腿の抹消は冷たい
<血液検査>
WBC 10300/μl, RBC 420万/μl, Hb 12.8mg/dl, Hct 40%, MCV 95fl, Plt 6.8万/μl
Na 134mEq/L, K 4.3mEq/L, Cl 100mEq/L, Ca 7.5mEq/L, TP 5.1g/dl, Alb 2.3g/dl
BUN 29mg/dl, Cr 1.1mg/dl, GOT 433IU/L, GPT 159IU/L, LDH 944IU/L,
T.Bil 2.2mg/dl,CPK 181IU/L, γGPT 199IU/L, ALP 962IU/L, 血糖 94mg/dl,
CRP 15.5mg/dl
PT-INR 1.81, APTT 65.3sec, FDP 799μg/ml, Fib 126mg/dl
入院4日前(発症9日目)
入院前日(発症12日目)
入院当日(発症13日目)
右頸部の顕著な腫脹
ガス を伴った膿瘍
舌骨レベルの膿形成
甲状腺レベルでの
膿形成
鎖骨外側に膿瘍形
成あり
両深頚部膿瘍,敗血症性ショックの診断にて
緊急ドレナージへ
入院当日(発症13日目) ∼ 7日目(発症20日目)までの経過
抜管
一般病棟へ
ドパミン
ノルアドレナリン
CTX
CLDM
day1
day2
入院当日
(発症13日目)
CLDM
ABPC/SBT
day3
day4
day5
day6
day7
入院4日目 ドレナージ4日後
(発症17日目)
頸部の膿培養
Streptococcus constellatus
血液培養
Streptococcus constellatus
入院11日目(発症24日目)
上腕部まで膿瘍が進展
気管前部の膿瘍の波及
入院13日目(第26病日) 形成外科によるドレナージ
入院13日目(第26病日) 形成外科によるドレナージ
入院44日目(発症59日目)
入院17日目(発症32日目)
入院24日目(発症39日目)
考察
扁桃周囲膿瘍
入院4日前
(発症9日目)
深頸部感染症
入院当日
(発症13日目)
前胸部膿瘍
入院11日目
(発症24日目)
敗血症
結語 治療介入の遅れにより扁桃周囲膿瘍から深頸部、
前胸部へと炎症が波及し2回に渡るドレナージ
を要した1例を経験した。
重症化すると、敗血症、縦隔炎、内頚静脈血栓
症といった致死的合併症をきたすため、切開排
膿や外科的処置のタイミングを逸しないように
する。
深頚部感染症 ①扁桃炎 扁桃周囲膿瘍
(片側性の咽頭痛、流涎、こもった声 発熱 悪寒戦
慄)
②耳下腺間隙感染症
頬部 顎にかけて急速に進展する硬結と紅班
③顎間部間隙膿瘍
(Ludwig s angina)
両側性
④椎前腔の感染症
椎間板炎、化膿性脊椎炎からの炎症の波及か主
⑤咽頭側隙の感染症
頚動脈鞘を巻き込む可能性、気道の交通性の障害が
あるため致死的。
扁桃周囲膿瘍 ★疫学 5~59歳:30/100000
18歳以下:14/100000 成人:40人/100000
★扁桃周囲膿瘍診断は基本検査不要
発熱、咽頭痛、こもった声、流涎、開口障害 + 口蓋垂の変位
★気道閉塞症状、合併症、膿瘍の増大傾向、複数の膿
瘍がある場合 耳鼻科緊急call !
扁桃周囲膿瘍 <起因菌>
好気性菌+嫌気性菌の混合感染が主
好気性菌:Streptococcus 属
嫌気性菌:Peptostreptococcus,Provetella,Bacteroides
参考:扁桃周囲膿瘍の分離菌頻度
37.8%
15.5%
11.5%
9.5% 6.1%
日耳鼻感染誌26:15­26 2008
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