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ゴルフボールの調査研究
資料番号:95-08 ゴルフボールの調査研究 舟橋 BRIDGESTONE 舟橋 宗夫 super NEWING 宗夫 カタログより -1- 平成 20 年 3 月 5 日 資料番号:95-08 1. ゴルフボールの規格 ゴルフボールの規格は次の表に示すものとなっている。 これが公認球であり、プロはこの規格に適合したボールを使用して競技を行う。1 項目 記号 単位 数値 外径 d mm 42.67 以上 1.68 in 重量 w g 45.93 以下 1.62 oz 初速度 vo m/s 76.2 以下 250 ft/s m 256 以下 280 yard トータル飛距離 L 備考 トータル飛距離が制限され、やたら飛ぶボールを作るのも認められていないのです。 しかし、公認されているボールは約 1500 銘柄もあるそうです。 この中から自分のスイングに適合するボールを見つけるのは大変です。 これだけ厳格な規格の中で、どこが違うのか調べてみたいと思います。 2. ボールの構造 ボールの構造は糸巻きボールとソリッドボールに大別されている。 さらに、ソリッドボールにはワンピースボール、2 ピースボール、3 ピースボール、 4 ピースボールなどの多層構造のボールまでできている。 糸 巻 き 中心部が合成ゴム又は液体を詰めた球の 2 種類がある 中間部は糸ゴムを巻きつけてある。 練習用で飛距離性能は劣るといわれている。 ワンピース ツーピース 3、4 ピース 多層構造 1 2 反発力が強い中心部をもつ 2 重構造のボール 飛距離性能も優れていると言われている。 3 重、4 重の多層構造を持つボール、特徴も色々ある。 次にメーカのカタログの例を示した。2 日本ゴルフ協会、ゴルフ規則、1997,P56 ブリジストンカタログ 舟橋 宗夫 -2- 平成 20 年 3 月 5 日 資料番号:95-08 3. ディンプルの効果 ディンプルはボールの表面に付けられた凹みで、流体力学的には大きな意味がある。 ディンプルの効果は次の3つであると言われている。 ① バックスピンと相まって揚力が増加する。 ② 空気抵抗が低減する。 ③ 配列精度が悪いと球筋がぶれる原因となる。 ディンプルはボールが飛んでいるときにボールの表面に空気がまつわりつく現象を理 想的なものしようとする作用で、ボールのメーカは飛びを良くするために、ディンプル の形状や配列などを実験的に研究を重ねてきている。 (1) 揚力の発生 バックスピンと相まって揚力が増加する現象をマグナス効果と呼び、イメージを図示す ると次のようになる。3 流れ 回転 揚力発生 (2) 空気抵抗 次の図はボールに発生する空気抵抗の説明図である4。 空気抵抗には表面の流れによる摩擦抵抗と 圧力抵抗の 2 つがある。 圧力抵抗はボールの後方の圧力が下がり、 後方に引かれる力が発生するものである。 これは流速(ボールの速度)や形状によって 変ってくる。 右の図の説明図で予測できるように図(a)より図(b)の方が抵抗値は小さくなる。 ここに R はレイノルズ数と呼ばれる流体力学的パラメータである。 3 4 下坂 原田 舟橋 実、水力学・熱力学演習、産業図書、昭和 44 年 3 月、P64 幸夫、流体の力学、槙書店、1960 年 7 月、P220 宗夫 -3- 平成 20 年 3 月 5 日 資料番号:95-08 4. 反発係数 ボールは打出速度が高いほど遠くへ飛ぶが、打出速度は止まっているゴルフボールと高 速でスイングするクラブヘッドとの衝突である。 この時、ボールは数 100kg の力で撃ち付けられ変形し、また復元する。 この復元力はボールの構造や性質と撃力によって決まる。これが反発係数である。 一般に反発係数は 0.7∼0.87 の範囲にあると言われている。 5. ボールの打出速度 ボールの打出速度 Vb は次の式で与えられる。5 1+ e Vb = × Vh m/sec ---------------1 1+ m M ここに Vh=クラブヘッドの速度 M=クラブヘッドの重量 m=ボールの重量 e=反発係数 さて、1 式から大きな打出速度 Vb を出すには ① クラブヘッドの速度 Vh を高める 振りを速くする。 ② 反発係数 e を大きくする。 などがある。 反発係数 e は大きすぎると、ボールが変形せず、柔らかすぎると潰れるのでクラブの材 質やヘッドの速度との相性を試してボール選びをする。 次の図はヘッドの速度によって反発係数がどのように変化するかを示したものである6。 この図から、 ① 反発係数 e はヘッドスピードが高くなるに連れ 小さくなる。 ② 反発係数 e の大きさは多層構造、ツーピース、 糸巻きの順である。その差はヘッドスピードが 遅いとき程大きい。 5 6 力石 利生、ボールのあたりと飛び、日本機械学会誌 1992 年 11 月、Vol95/No.888 BRIDGESTONE MEGA GOLF ボールの科学 CHAPTER 3 舟橋 宗夫 -4- 平成 20 年 3 月 5 日 資料番号:95-08 6. かたさ 硬さを定量的に表示するためコンプレッション値 Cp が用いられている。7 この値は糸巻きボールの反発性能を示すものであったが、ソリッドボールでは適切な 性能値でないとの指摘がある。 コンプレッション値 Cp の定義は 図 1 に示すように 2.54 mm 押しつぶすのに 要する力を kg の単位で表したものである。 80kg 要した場合 CP=80 90kg 要した場合 CP=90 100kg 要した場合 CP=100 などと決められています。 硬さの表示はボールに印字された数字の 色で識別されている。 大まかには次の通りである。 硬さの識別 CP 値 ボール 硬度 識別の色 向き 柔らかい 60∼70 青 非力な人,アマ 中間 80∼90 赤 中間 硬い 90∼100 黒 ハードヒッター 7. 人気ゴルフボールベスト 5 ゴルフ雑誌 Golf Today によれば人気ゴルフボールは次表のようになっている。 順位 メーカ 品名・型番 1 DUNLOP SRIXON AD333 2 BRIDGESTONE TOURSTAGE X-01 3 BRIDGESTONE TOURSTAGE X-01S 4 TITLEIST PRO V X 5 DUNLOP SRIXON UR-X 7 一ノ瀬 幸雄、「飛びの科学に関する研究 3001 年 3、 舟橋 宗夫 -5- 記 飛ぶボールとは?」、「素形材 事 42 巻 3 号」 平成 20 年 3 月 5 日