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5 ネット上のトラブル[PDF形式51KB]
5 ネット上のトラブル 事例 事例Ⅰ 小学6年生のA男とB男は、パソコンに堪能で、ネットゲームやチャットなどにも興味を持っていました。あ る日、お互いの家庭のパソコンを使い、情報交換しながらネット上の様々なサイトにアクセスしているうちに 自分たちでもサイトを立ち上げてみたくなり「○○小 裏サイト」と称するサイトを開設しました。A男とB男は、 サイト内に自校の教師に対する誹謗中傷を書き込み、親しい友人に閲覧させたり、教師に対する誹謗中傷 を書き込みませたりしていました。 事例Ⅱ X中学のC子は、プロフ(プロフィール(自己紹介)サイト)を作成し、交友関係を広げていきました。近隣の Y中学のD子からもC子のプロフに書き込みがあり、しばらくは親しくやりとりをしていましたが、ちょっとしたこ とからお互いになじりあいになりました。数日後、C子から話を聞いたX中学のE子とF子が加わり、3人でD 子を締めようということになり、掲示板(いわゆる「学校裏サイト」)に予告しました。 予告当日の放課後、D子から相談を受けたY中学の教師がX中学に連絡し事態が発覚しました。 原 原因 因・・背 背景 景 平成20年2月に、横浜市教委が全市立中学校(145校)を対象に実施した「携帯電話の取り扱い状 況」の調査において、次のような結果が得られており、携帯電話やインターネットによるトラブルや犯罪被 害の状況が、深刻化していること示しています。 ○ 学校では携帯電話に関して、生徒に関するどのようなトラブルを把握していますか。(複数回答可) ・掲示板への誹謗中傷などの書き込み(いじめ)【130校(89.7%)】 ・メールによる人間関係のトラブル【131校(90.3%)】 ・個人情報の流失・悪用【48校(33.1%)】 ・チェーンメール【77校(53.1%)】 ・なりすましメール【77校(53.1%)】 ・犯罪被害【5校(3.4%)】 ・学校間のトラブル【65校(44.8%)】 また、これに先立ち、平成19年11月に横浜市PTA連絡協議会と協働して実施した「携帯電話に関す る調査」(対象:小4から中3の各学年9学級)でも、携帯電話の所持率が、小学生:41.4%(男子34. 8% 女子49.1%) 中学生:79.5%(男子74.1% 女子85.5%)であり、小学校の段階から、携帯 電話やインターネットについての危険性を周知することや、使用に当たっての情報モラル教育等を一層充 実・強化させていくことが必要です。 28 対 対 応 応 基本方針 □ 対策チームを編成し、正確な事実把握と情報管理に努め、適時的・機動的に対応する。 *対策チームは校長、副校長、担任、学年職員、児童・生徒指導担当等で編成する。 *学校間にまたがるトラブルは、校長、児童・生徒指導担当間で十分連携を図り対応する。 *ネットトラブルの特徴から、大規模、広域(他区、他市等)に及ぶ場合もあり、必要に応 じて、学警連会長や警察にも情報提供を行い、未然防止・早期対応に努める。 □ 暴力等の犯罪行為(名誉毀損・侮辱・暴行・傷害)に関しては「社会で許されないことは学 校でも許されない」という、毅然とした姿勢で粘り強い指導( 「ぶれない指導」 )を展開する。 □ 指導の過程で、児童生徒の人権を侵害するような、行き過ぎた言動や体罰が発生しないよう に十分配慮して対応する。 □ トラブルの全容解明と再発防止に向け、保護者を含め徹底して事後指導に当たる。 校内体制 【初期対応】 □ 対策チームを編成し、正確な事実把握と対応方針を検討する。 *役割分担(情報集約、記録、関係機関との連絡調整、保護者対応等)を明確にする。 □ 全職員で情報を共有し、関係児童生徒の動向の把握、関係校との連携、巡回体制の強化等が 図れるよう、組織的な指導体制を確立する。 【中・長期的な対応】 □ 児童生徒が教職員に悩みや心配事を相談しやすいよう、また、生徒指導上の重要な情報を教職 員が児童生徒から事前に取得できるよう、教師と児童生徒との信頼関係や教育相談体制を構築・ 強化する。 □ 広域にわたるネットトラブルが発生しやすいことから、その対応が迅速・円滑に行えるよう、日頃か ら学校間連携、専門機関連携に努める。 □ ネットトラブルに関して、直接の担当者以外でも掲示板管理者への対応等が組織的に行えるよう、 校内研修の充実を図る。 ・「インターネット掲示板での誹謗中傷事案対応マニュアル」(平成 18 年 10 月 神奈川県警察) ・「インターネットプロフィールサイトでのトラブル対応マニュアル」(平成 19 年 5 月 同上) ・「『ネット上のいじめ』に関する対応マニュアル・事例集(学校・教員向け)」 (平成20年11月文部科学省) □ 携帯電話やインターネット利用の危険性について、啓発・指導資料等を活用して児童生徒への指 導や保護者への啓発に努める。 29 ・学警連作成資料「有害サイト進入禁止!」及び指導資料「サイバー犯罪の被害防止のため Y・YNET掲載 ・「家庭だからできる!携帯電話・インターネットの安全チェックシート」 □ 学校便利帳掲載 情報モラル教育を徹底し、ネット上のマナーやエチケットについて児童生徒が正しい知識を身につ けられるよう指導する。 □ 「横浜プログラム」のYPアセスメントシート( Y・YNET掲載 )等を活用し、社会的スキルの育成状 況を把握するとともに、社会的な責任と規範意識を醸成するための適切な支援策を講じる。 □ 「『ケータイ・ネットから子どもを守る提言』( 学校便利帳掲載 )に基づき、PTA 等と協働し、「携帯 電話取り扱いルール」を策定し、児童生徒や保護者への周知徹底を図る。 □ 担当者が日常的にネットパトロールを行うなどして、書き込みによるトラブルを未然に予防する。 本人への対応 □ 行為の背景について、児童生徒の心情を理解した上で聞き取り等の対応を行う。 □ ネット上の情報で、事実確認を行わず安易に行動を起こすことの危険性について指導する。 □ 行為の社会的意味(名誉毀損・侮辱・暴行・傷害)を確実に理解させ反省を促す。 □ ネット上で、他人への誹謗中傷、個人情報の書き込み等については絶対に行わないよう指導 し、トラブルの原因となった書き込みや等は、被害の拡散を防ぐため確実に削除させる。 □ ネット上では、目の前に相手がいないことから、気が大きくなったり、事実でないことを書 き込んだりできるため、やりとりがエスカレートやすく危険であることも指導する。 □ 二次的なトラブルや再発を防止するため、交友関係や人間関係等にも十分配慮して指導を行う。 □ 必要に応じて、スクールカウンセラーや相談機関等を紹介し、長期的な展望で取り組む。 保護者との協力 □ 保護者に携帯電話やインターネット利用の危険性を、啓発・指導資料等を活用して啓発する。 □ 保護者と連携を密にし、児童生徒の抱えている問題や保護者の悩み等に丁寧に耳を傾け、協 働して解決していこうとする姿勢を示す。 □ 保護者と連携を図りながら、児童生徒の携帯電話やインターネットの使用実態を把握し、使用に対 する約束等を設けるよう保護者に依頼する。 *学校毎の「携帯電話取扱いルール」の趣旨を確認し、理解と協力を求める。 □ 児童生徒の行為の意味とその責任について理解を求め、再発防止に向けて協力を依頼する。 専門機関との連携 □ 神奈川県警察本部サイバー犯罪対策センター、又は、県学警連ネット対策本部や県学警連事務 局等との連携を強化する。 □ 必要に応じて児童相談所や相談機関等と適切な連携を図る。(児童生徒、家庭へのアプローチ) □ 「協定書」の趣旨を踏まえ、健全育成、非行防止などの観点から確実に警察との相互連携を行う。 30 用語・関連法規等 プロバイダ責任制限法 *プロバイダ責任制限法では、インターネット等による情報流通によって権利侵害があった場合のプ ロバイダやサーバの管理・運営者等が行う削除等の対応に伴う損害賠償責任の制限及び発信者情 報の開示を請求する権利が定められています。 名誉毀損(刑法第230条) 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若 しくは禁固又は五十万円以下の罰金に処する。 脅迫(刑法第222条) 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲 役又は三十万円以下の罰金に処する。 侮辱罪(刑法第231条) 事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱したものは、拘留又は科料に処する。 コ ラ ム 【プロフィールサイトを巡ってのトラブルについて】 プロフィールサイトを巡っては、 ・ いわゆる箔(ハク)をつけるために、本人が事実でない「犯罪行為」「交友関係」等を「プロフ」に記載 し、それが掲示板に転載されたことで本人や学校を巻き込んだ大きなトラブルに発展した例 ・ 高校1年生の男子生徒が、「プロフ」に書いた「ギターを弾くやつはろくなやつがいない」という内容に 腹を立てた元同級生が、書き込みをした男子高校生に殴る蹴るの暴行をして死亡させた事件 などの事例があり、いずれも本人が、プロフィールサイトに安易に個人情報等を書き込んだために起こっ たものです。 一方、掲示板等に軽い気持ちで殺人や爆破の犯行予告を書き込み、検挙されるなどのケースも発生し ています。児童生徒には、掲示板への書き込みや E メールの発信は、最終的には発信者が特定できる 仕組みであること、また殺人や爆破の犯行予告の書き込みは、いたずらであっても犯罪行為であるという ことを、発達段階に応じて、早い時期から繰り返し指導する必要があります。 31