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仕組商品投資のリスク把握と管理
《参考資料2》 仕組商品投資のリスク把握と管理 2015年8、9月 日本銀行金融機構局 金融高度化センター 1 目 次 1.仕組商品とは 2.商品の仕組みとリスク特性 3.シナリオ分析 4.リスク管理のポイント 2 1.仕組商品とは 仕組商品とは、投資家の多様なニーズに応えるため、通常の貸出、預 金、債券に、スワップやオプションといったデリバティブ取引を組み合わ せて作られた商品 投資家がオプションを売る対価としてプレミアムを受け取ったり、クーポ ンにレバレッジを掛けることで、高めのリターンを狙った商品が多い。 国内金利 外国金利 リスク要因 ○ リバース・フローター債 ○ CMS債 仕組債 ○ ○ パワー・リバース・デュアル債 ○ 日経平均リンク債 仕組預金 コーラブル定期預金 ○ ○ クレジット・リンク・ローン ○ 仕組貸出 リバース・フローター・ローン ○ CMSローン 為替 株価 信用 ○ ○ ○ 3 2.商品の仕組みとリスク特性 (1) PRD(power reverse dual)債 元本償還が円建、クーポンが外貨建の債券(リバースデュアル債)。クーポン部分 にクーポンスワップを数本組込むことでハイクーポン化。 クーポンレートは、各利払時の為替レートに応じて変動。 <設例> クーポン : ドル15%×利払時為替レート/123円-円9.6% マルチコーラブル:発行体が利払(半期)毎に期限前解約できる権利 ⇒ 投資家は、期限前解約権を売却する対価 としてプレミアムを受取る。 ゼロフロア:クーポン≧0%を保証 ⇒投資家は、ゼロフロア保証を購入する対価とし てプレミアムを支払う。 発行・償還価格:100円 期間:15年 発行体:AA格 4 基本的な仕組み [PRD債] アレンジャー クーポン : ドル15%×利払時為替レート/123円-円9.6% [ クーポンスワップ ] 円4.8%×2 円4.8%×3 ドル5%×3 ドル5%×3 円元本 投資家 売 期限前解約権 買 買 売 ゼロフロア保証 (注)プレミアムの受払いは省略。 スワップ・ カウンター パーティー カバー取引 発行体 買 通貨オプション 売 5 (2)リバース・フローター債 短期金利の低下(上昇)時にクーポンが上昇(低下)るフローター債。 <設例> クーポン: 固定1.7%×2-1年LIBOR マルチコーラブル:発行体が利払(半期)毎に期限前解約できる権利 ⇒ 投資家は、期限前解約権を売却する対価 としてプレミアムを受取る。 ゼロフロア:クーポン≧0%を保証 ⇒投資家は、ゼロフロア保証を購入する対価とし てプレミアムを支払う。 発行・償還価格:100円 期間:15年 発行体:AA格 6 基本的な仕組み [リバース・フローター債] アレンジャー クーポン: 固定1.7%×2-1年LIBOR [ 金利スワップ ] 1年LIBOR 1年LIBOR×2 1.7%×2 1.7%×2 元 本 投資家 売 期限前解約権 買 カバー取引 発行体 スワップ・ カウンター パーティー [オプション] 買 ゼロフロア保証 売 買 フロア* 売 *3.4%-1年LIBOR≧0 (注)プレミアムの受払いは省略。 7 (3)CMS(constant maturity swap*)債 *短期金利(ex.1年LIBOR)と長期金利(ex.10年スワップレート)を定期 的に交換するスワップ取引 クーポンが長期金利(スワップレート)に連動して変化するフローター債。 長期金利の上昇時にクーポンが上昇し、低下時にクーポンが低下。 <設例> クーポン(利払いの1年前に決定) :10年スワップレート –α (注)αには、市場レートの実勢や当商品参加者の信用力等が映じられる。 ゼロフロア:クーポン≧0%を保証 ⇒投資家は、ゼロフロア保証を購入する対価とし てプレミアムを支払う。 発行・償還価格:100円 期間:15年 発行体:AA格 8 [CMS債] 基本的な仕組み アレンジャー [CMS] 1年LIBOR +α 10年スワップレート-α 10年スワップレート カバー取引 元本 スワップ・ カウンター パーティー 発行体 投資家 [オプション] 買 ゼロフロア保証 プレミアム 売 買 フロア* 売 プレミアム *10年スワップレート-α≧0 9 CMS債のリスク特性 イールドカーブが上昇しつつフラット化 ⇒ 分母の割引率が上昇⇒債券価格が下落。 ⇒ 調達コストとの対比で、利鞘の縮小ないしは逆鞘に 直面する可能性がある。 金利のボラティリティが低下 ⇒ 投資家が保有するフロアオプション価値の低下。 ⇒ 債券価格が下落。 “ 10 (参考)CMS債の理論価格イメージ(残存5年の例) P= + 直近の10年スワップレート-α (1+1年物スポットレート)1 2年後スタートの10年スワップレート-α + 1年後スタートの10年スワップレート-α (1+2年物スポットレート)2 + 3年後スタートの10年スワップレート-α (1+3年物スポットレート)3 + (1+4年物スポットレート)4 4年後スタートの10年スワップレート-α + 元本 (1+5年物スポットレート)5 1~5年の金利上昇は債券価格の下落要因。 フォワードレートの上昇は債券価格の上昇要因。 11 5年以内の金利が上昇(低下)すると、 スポットレート(割引率) が上昇(低下)するため、債券価格は下落(上昇)する。 ── 特に、5年金利の上昇は、元本の割引率を上昇さ せるので、大きな下落要因となる。 イールドカーブがフラット化(スティープ化)すると、フォワードレー トは低下(上昇)するため、債券価格は下落(上昇)する。 【イールドカーブのフラット化】 同フォワード10年物 約7% 4% 同5年物 6% 同15年物 【現在】 【イールドカーブのスティープ化】 5年後スタート のフォワード10年物 同フォワード10年物 約8% 約11% 2% 6% スポット5年物 スポット15年物 2% 8% 同5年物 同15年物 12 (4)クレジットリンク債(CLN) クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)を組み入れて、特定の会社(A社) の信用リスクを保証し(プロテクションの売り手になり)、プレミアムを受け 取ることで、B社の社債をハイ・クーポン化。 <設例> クーポン : B社の社債クーポン+α 信用保証 : A社がデフォルトしたときは、元本償還を免除 ⇒ 投資家は、A社の信用保証する対価として プレミアムを受け取る。 クレジット参照企業(A社): A格 発行体(B社): AA格 発行・償還価格: 100円 期間: 5年 13 基本的な仕組み [CLN] アレンジャー [CDS] [CLN] 売 A社の信用保証 買 A社の信用保証 B社債クーポンレート+α 発行体 (B社) 投資家 プレミアム(β) スワップ・ カウンター パーティー ※α<β 元本 14 3.シナリオ分析 (1)シナリオ分析の重要性 リスクの把握方法として、理論価格やVaRを計測することは有効な 手段。ただ、理論価格やVaRだけだと、リスクファクターの変化が期 間損益(利回り、利鞘)にどんな影響を与えるか、分かりにくい。 特に、仕組商品の場合、長期間の保有を前提に購入することが少な くない。また、流動性が低く、購入後の売却に制約があるものもみら れる。 このため、リスクファクターの変化が、期間損益(利回り、利鞘)にど のような影響を与えるのか、経営の観点から、 「手触り感」を持って 把握しておくことも重要。 ⇒ 特に、購入前の事前検討が極めて重要。 15 (2)シナリオ分析のポイント メインシナリオ インプライド・フォワードレートやフォワード為替によって、現在の 市場予測を把握。先行きの金利や為替が、現在の市場予測どお りに推移するという前提で、期間損益(利回り、利鞘)や価格の変 化を認識する。 ストレスシナリオ 仕組商品の仕組みを分析し、期間損益(利回り、利鞘)や価格にマイナ スの影響を与えるリスクファクターを把握する。 リスクファクターについて、大幅な利回り・利鞘の縮小や価格の下落を もたらすストレスシナリオを想定し、経営に与える影響度を認識する。 16 (参考) インプライド・フォワードレート:将来の金利の予測値 市場取引に裁定が働くことを前提にすると、現時点のスポット レートの体系から、将来の金利の予測値を導くことが可能。 現時点の金利 (スポットレート) 1年金利 r1 2年金利 r2 2年金利 r2 3年金利 r3 1年金利 r1 3年金利 r3 n 年金利 r n r (n+m)年金利 n+m Fr1 :1年後の1年金利 1 Fr1 :2年後の1年金利 2 Fr2 :2年後の2年金利 2 nFrm :n年後のm年金利 17 (参考)フォワード為替 内外金利の取引に裁定が働くことを前提にすると、現時点の 為替レート、内外金利の体系から、将来時点の為替レートの 予測値を導くことが可能となる。 円金利 r1 e : 為替 Fe1 : 1年後のフォワード為替 (1海外通貨=e円) 海外金利 f1 円金利 r2 e : 為替 Fe2 : 2年後のフォワード為替 (1海外通貨=e円) 海外金利 f2 円金利 rn Fen : n年後のフォワード為替 e : 為替 (1海外通貨=e円) 海外金利 fn 18 (3)金利シナリオ分析の具体例 <メインシナリオ> 現在の市場レート(LIBOR、Swap)を前 提とする。 スポットレート 3.00% 2.50% *A スポット 1年 0.60% *B 1年LIBOR *C 10年Swap 現在 1年先 2年先 3年先 4年先 0.60% 0.86% 0.85% 1.02% 1.09% 1.22% 1.35% 1.51% 1.61% 1.71% 2.00% 1.50% 1.00% 0.50% 0.00% 0 60 120 4年 0.83% 5年 0.88% <ストレスシナリオ:パラレルシフト> イールドカーブが+1%上方にシフトする。 2.50% 2.00% 1.50% *D スポット 1年 1.60% *E 1年LIBOR F 10年Swap 1年 1年先 2年先 3年先 4年先 1.61% 1.87% 1.86% 2.02% 2.10% 2.21% 2.34% 2.49% 2.59% 2.70% 1.00% 0.50% 0.00% 0 3年 0.77% (注)半年複利。以下、同じ。 180 月 スポットレート 3.00% 2年 0.73% 60 120 2年 1.73% 3年 1.77% 4年 1.83% 5年 1.88% 180 月 19 <ストレスシナリオ:フラット化> スポットレート 3.00% 足許(6M:+1%)のイールドカーブが 上昇する(15年物は不変)。 2.50% 2.00% 1.50% *G スポット 1年 1.50% *H 1年LIBOR *I 10年Swap 1年 1年先 2年先 3年先 4年先 1.51% 1.51% 1.51% 1.51% 1.51% 1.51% 1.51% 1.51% 1.51% 1.51% 1.00% 0.50% 0.00% 0 60 120 3年 1.50% 4年 1.50% 5年 1.50% 180 月 <ストレスシナリオ:スティープ化> 長期(15年物:+1%)のイールドカーブが上 昇する(足許は不変)。 スポットレート 3.00% 2.50% 2.00% 1.50% J スポット 1年 0.63% K 1年LIBOR L 10年Swap 1年 1年先 2年先 3年先 4年先 0.63% 1.04% 1.16% 1.47% 1.68% 1.85% 2.11% 2.40% 2.63% 2.87% 1.00% 0.50% 0.00% 0 2年 1.50% 60 120 2年 0.83% 3年 0.94% 4年 1.07% 5年 1.19% 180 月 20 ①リバース・フローター債(残存5年の例) メインシナリオ 現在のフォワードレート(*B)を前提にすると、金利の上昇予想から、 利回りの緩やかな低下(a)に加え、調達コストの上昇(*B)から、利鞘 は低下(b)する。 債券残高(元本) 100 億円 1年 2年 3年 4年 5年 *B 金利シナリオ(メイン) フォワードレート(1YLIBOR) 0.60% 0.86% 0.85% 1.02% 1.09% a 利回り(クーポン) ① *B 調達金利 ② b 利鞘 3.4%-1YLIBOR フォワードレート(1YLIBOR) ①-② 2.80% 0.60% 2.20% 2.54% 0.86% 1.67% 2.55% 0.85% 1.69% 2.38% 1.02% 1.37% 2.31% 1.09% 1.22% 2.8 2.5 2.5 2.4 0.60% 0.99 2.8 0.73% 0.99 2.5 0.77% 0.98 2.5 0.83% 0.97 2.3 c キャッシュフロー(額面) *A 割引率 d ディスカウントファクター e 現在価値 CF=元本×① r(スポットレート) DF=1/(1+r/2)^(2*t) PV=CF*DF (注)金利は半年複利ベース。以下、同じ。 累計 102.3 112.6 億円 0.88% 0.96 97.9 108.0 億円 21 ストレスシナリオ 金利+1%のパラレルシフト(*E)を想定すると、利回りの大幅な低下 (a)に加え、調達コストの上昇(*E)から、2年目から逆鞘(b)となる。 評価損(e)も発生する。 債券残高(元本) 100 億円 1年 2年 3年 4年 5年 *E 金利シナリオ(パラレルシフト) フォワードレート(1YLIBOR) 1.61% 1.87% 1.86% 2.02% 2.10% a 利回り(クーポン) ① *E 調達金利 ② b 利鞘 1.79% 1.61% 0.19% 1.53% 1.87% -0.34% 1.54% 1.86% -0.32% 1.38% 2.02% -0.65% 1.30% 2.10% -0.79% c キャッシュフロー(額面) *D 割引率 d ディスカウントファクター e 現在価値 3.4%-1YLIBOR フォワードレート(1YLIBOR) ①-② CF=元本×① r(スポットレート) DF=1/(1+r/2)^(2*t) PV=CF*DF 累計 1.8 1.5 1.5 1.4 101.3 107.5 億円 1.60% 0.98 1.8 1.73% 0.97 1.5 1.77% 0.95 1.5 1.83% 0.93 1.3 1.88% 0.91 92.2 98.2 億円 22 ②CMS債(残存5年の例) メインシナリオ 現在のフォワードレート(*C)を前提にすると、金利の上昇予想から、 利回りは緩やかに上昇(a)するものの、調達コストの上昇(*B)から、 1年目から逆鞘(b)となる。 債券残高(元本) 100 億円 1年 2年 3年 4年 5年 *C 金利シナリオ(メイン) フォワードレート(10YSwap) 1.22% 1.35% 1.51% 1.61% 1.71% a 利回り(クーポン) ① *B 調達金利 ② b 利鞘 10YSwap-0.72% フォワードレート(1YLIBOR) ①-② 0.50% 0.60% -0.10% 0.64% 0.86% -0.23% 0.79% 0.85% -0.06% 0.89% 1.02% -0.13% 0.99% 1.09% -0.09% c キャッシュフロー(額面) *A 割引率 d ディスカウントファクター e 現在価値 CF=元本×① r(スポットレート) DF=1/(1+r/2)^(2*t) PV=CF*DF 0.5 0.6 0.8 0.9 0.60% 0.99 0.5 0.73% 0.99 0.6 0.77% 0.98 0.8 0.83% 0.97 0.9 101.0 0.88% 0.96 96.6 累計 103.8 億円 99.4 億円 23 ストレスシナリオ イールドカーブのフラット化(*I)を想定すると、利回りの上昇が鈍化 (a)する一方、調達コストの大幅な上昇(*H)から、1年目から逆鞘(b) となる。評価損(e)も発生する。 債券残高(元本) 100 億円 1年 2年 3年 4年 5年 *I 金利シナリオ(フラット化) フォワードレート(10YSwap) 1.51% 1.51% 1.51% 1.51% 1.51% a 利回り(クーポン) ① *H 調達金利 ② b 利鞘 10YSwap-0.72% フォワードレート(1YLIBOR) ①-② 0.79% 1.51% -0.71% 0.80% 1.51% -0.71% 0.80% 1.51% -0.71% 0.80% 1.51% -0.71% 0.80% 1.51% -0.71% c キャッシュフロー(額面) *G 割引率 d ディスカウントファクター e 現在価値 CF=元本×① r(スポットレート) DF=1/(1+r/2)^(2*t) PV=CF*DF 0.8 0.8 0.8 0.8 1.50% 0.99 0.8 1.50% 0.97 0.8 1.50% 0.96 0.8 1.50% 0.94 0.8 100.8 1.50% 0.93 93.5 累計 104.0 億円 96.6 億円 24 ③PRD債(残存5年の例) メインシナリオ 現在のフォワードレート(*B)とフォワード為替(*M)を前提にすると、 当面、高めの利回り(a)、厚めの利鞘(b)は享受できる見通し。 債券残高(元本) 100 億円 *B 金利シナリオ(メイン) *M 為替シナリオ(メイン) フォワードレート(1YLIBOR) フォワード為替(Fex) a 利回り(クーポン) ① *B 調達金利 ② b 利鞘 15%*(Fex/123)-9.6% フォワードレート(1YLIBOR) ①-② c キャッシュフロー(額面) *A 割引率 d ディスカウントファクター e 現在価値 CF=元本×① r(スポットレート) DF=1/(1+r/2)^(2*t) PV=CF*DF 1年 0.60% 2年 0.86% 3年 0.85% 4年 1.02% 5年 1.09% 累計 96.0 94.0 92.0 89.0 86.0 2.11% 0.60% 1.51% 1.86% 0.86% 1.00% 1.62% 0.85% 0.77% 1.25% 1.02% 0.24% 0.89% 1.09% -0.20% 2.1 1.9 1.6 1.3 100.9 107.7 億円 0.60% 0.99 2.1 0.73% 0.99 1.8 0.77% 0.98 1.6 0.83% 0.97 1.2 0.88% 0.96 96.5 103.3 億円 25 (4)為替シナリオ分析の具体例 <メインシナリオ> 現在の市場レートを前提とする。 (円) 1年先 *M フォワード為替 96 100 90 2年先 94 3年先 92 (単位:円) 4年先 5年先 89 86 <ストレスシナリオ:円高化> 現在比、ほぼ2倍の円高ピッチ(年 4%程度)とする。 80 70 スポット 1年先 2年先 3年先 4年先 5年先 1年先 *N フォワード為替 93 〃 変化幅 -3 2年先 89 -5 3年先 86 -6 (単位:円) 4年先 5年先 82 79 -7 -7 26 ③PRD債(残存5年の例) ストレスシナリオ① 金利+1%のパラレルシフト(*E)を想定すると、フォワード為替(* M)が変動しなくとも、調達コストの上昇(*E)から、2年目から逆鞘(b) となる。評価損(e)も発生する。 債券残高(元本) 100 億円 *E 金利シナリオ(パラレルシフト) フォワードレート(1YLIBOR) フォワード為替(Fex) *M 為替シナリオ(メイン) a 利回り(クーポン) ① *E 調達金利 ② b 利鞘 c キャッシュフロー(額面) *D 割引率 d ディスカウントファクター e 現在価値 15%*(Fex/123)-9.6% フォワードレート(1YLIBOR) ①-② CF=元本×① r(スポットレート) DF=1/(1+r/2)^(2*t) PV=CF*DF 1年 1.61% 2年 1.87% 3年 1.86% 4年 2.02% 5年 2.10% 96.0 94.0 92.0 89.0 86.0 2.11% 1.61% 0.50% 1.86% 1.87% -0.01% 1.62% 1.86% -0.24% 1.25% 2.02% -0.77% 0.89% 2.10% -1.21% 2.1 1.9 1.6 1.3 1.60% 0.98 2.1 1.73% 0.97 1.8 1.77% 0.95 1.5 1.83% 0.93 1.2 累計 100.9 107.7 億円 1.88% 0.91 91.9 98.4 億円 27 ③PRD債(残存5年の例) ストレスシナリオ② 為替の大幅な円高化(*N)と金利の+1%パラレルシフト(*E)を想 定すると、利回り・利鞘とも大きく低下し、2年目から逆鞘(b)なる。評 価損(e)が拡大する。 債券残高(元本) 100 億円 *E 金利シナリオ(パラレルシフト) フォワードレート(1YLIBOR) フォワード為替(Fex) *N 為替シナリオ(ストレス) a 利回り(クーポン) ① *E 調達金利 ② b 利鞘 c キャッシュフロー(額面) *D 割引率 d ディスカウントファクター e 現在価値 15%*(Fex/123)-9.6% フォワードレート(1YLIBOR) ①-② CF=元本×① r(スポットレート) DF=1/(1+r/2)^(2*t) PV=CF*DF 1年 1.61% 2年 1.87% 3年 1.86% 4年 2.02% 5年 2.10% 93.0 89.0 86.0 82.0 79.0 1.74% 1.61% 0.14% 1.25% 1.87% -0.62% 0.89% 1.86% -0.97% 0.40% 2.02% -1.62% 0.03% 2.10% -2.06% 1.7 1.3 0.9 0.4 1.60% 0.98 1.7 1.73% 0.97 1.2 1.77% 0.95 0.8 1.83% 0.93 0.4 累計 100.0 104.3 億円 1.88% 0.91 91.1 95.2 億円 28 4.リスク管理のポイント (1)購入前の検討 仕組商品の仕組みを分析し、利回りの低下、価格の下落をもた らすストレス事象を洗い出す。 ― リスクプロファイルの分析 シナリオを想定し、リスクが顕在化した場合の経営への影響を 把握する。 理論価格の論理的背景を理解して、合理的に価額を算定し、 販売業者から提示された価格の妥当性を確認する。 ― 上記が困難な場合には、複数の販売業者から価額の提示 を受けて、その妥当性を確認する。 29 (1)購入前の検討(続き) リスクが顕在化した場合に備え、流動化・ヘッジ手段があるか(実 現可能か)を確認する。 金融危機で見られたように、市況悪化時には、取引高が急激 に減少する傾向がある。 仕組商品は、市場流動性がかなり低いものが少なくないため、 販売業者への売却が、常に成立するとは限らない。 実際の売却価格が、理論価格よりもかなり低くなることも想定し ておく。 ヘッジ手段はあっても、デリバティブ市場での取引実績等がな いと、ヘッジ取引の取引相手が見付からないことも多い。 30 (2)購入時の決裁手続き 仕組商品の購入にあたって、決裁手続きを定めておく。 他の商品と同様に、決裁権限を明確にする。 このとき、経営への影響からみて、一部の役職員に対 し、 過大な権限枠が設定されないように配慮する。 31 (2)購入時の決裁手続き(続き) 「債券」、「預け金」、「貸出」といった会計科目により、審査手続 きが異なる場合、購入部署は、知識・ノウハウのあるリスク管 理部署や市場部署と連携・協議する。 例えば、金融機関によっては、仕組貸出(ex. CMSローン <主に金利リスク>)は審査部のみが事前審査するケース がみられる。 科目の如何に捕われず、リスク管理部署やALM委員会等 への協議・審査を義務付けることも一案。 32 (2)購入時の決裁手続き(続き) 特に、新しい仕組商品の購入や、決裁権限内であっても 多額 の投資を行う際は、リスク管理部署やALM委員会等への事前 協議を義務付けることが望ましい。 損失限度額、アラームポイントを設定する。 評価損が一定レベルに達した場合にどうするか、事前に 対応策、ロスカットルールを定めておく。 但し、満期保有目的の場合、満期保有の意図・能力に 抵触しないように留意が必要(監査法人の意見を聴取)。 種類別の保有限度額を定めておくことも一案。 33 (3)購入後のモニタリング 市場価格(理論価格)に基づき、評価損益を定期的に 確認する。 上記が困難な場合でも、 ✓購入業者から時価情報を入手して、評価損益を フォローする。また、他の業者から価額を聴取 して、その妥当性をチェックする。 リスクの把握(重要なリスク・ファクターに漏れがないか) や、リスク量の計測方法は適切か、といった点につき検証 を行う。 34 本資料に関する照会先 日本銀行金融機構局金融高度化センター 企画役 碓井茂樹 CIA,CCSA,CFSA Tel 03(3277)1886 E-mail [email protected] 本資料の内容について、商用目的での転載・複製を行う場合は 予め日本銀行金融機構局金融高度化センターまでご相談くださ い。転載・複製を行う場合は、出所を明記してください。 本資料に掲載されている情報の正確性については万全を期し ておりますが、日本銀行は、利用者が本資料の情報を用いて 行う一切の行為について、何ら責任を負うものではありません。 35