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FOCUS フォーカス 様々な人が支える子育て ∼「のびのび子育てサポート事業」から∼ 子育て支援が社会的な課題となっている中、名古屋市では登録会員同士が育児を支える 「のびの び子育てサポート事業」を行っています。共働きの人、転勤で名古屋に来た人、外国人等からの依頼に応じるのは、シニア世代の女性に 限らず、男性、子育て世代、外国籍の人など様々。多様な人たちが地域で支える子育てについて、登録会員にお話を伺いました。 草の根交流トルコと日本 ∼NPO法人名古屋トルコ日本協会の活動∼ 東西文明の十字路、文明の交差点、魅惑の国。そんな言葉で紹介されることの多い、トルコ共和国。 日本からおよそ 9,000km 離れたこの国の文化に、名古屋で触れる機会があることをみなさんご存知 でしたか? トルコと日本の文化的・社会的な交流を通して友好を深めることを目的に 2006 年に設立され、現 在も精 力 的に“草 の 根レベ ル の”文 化 交 流 活 動を続 ける NPO 法 人 名 古 屋トルコ日本 協 会(略 称: セルカン・チェティンさん NTJA)の理事長、セルカン・チェティンさんにお話を伺いました。 のびのび子育てサポート事業 中国出身の子を通して学ぶことも 平成 13 年から始まった本事業には、子育てを手伝ってほしい 森田久美子さんは単発で乳児 具体的な活動 交流で深まる絆 「依頼会員」、子育てを手伝いたい「提供会員」、両方行なってい を預かる他、中国出身の幼稚園 月に 2 回、簡単なトルコ語が学べる「トルコ語会話」と伝統的 頻繁な行事のおかげで、トルコ人・日本人が定期的に会って る「両方会員」合せて 6542 名の会員が登録されています 。「仕 児を持つ家庭をサポートしていま なオヤ(レース編 み)が習える「手 芸 教 室」、2∼3 カ月に 1 回 程 交流ができるようになってきています。年に数回とかではなく、 事で間に合わないので、保育園に子どもを迎えに行ってほしい」 す。始 業 式や 終 業 式、幼 稚 園 の 度の割合で「トルコ料理教室」がある他、スポーツ交流や講演会 定期的に一緒に活動ができる、ということが大切だし、それを や「医者に行く間、子どもをみてほしい」等、依頼会員の要望を 休 園日には母 親が帰 宅するまで なども不定期に開催しています。また大きなイベントとしては、 続けることで互いのつながりが強くなったのが成果だと思う反 提供会員が一時的に援助をする事業です。 一緒に過ごします。人見知りの性 年に 1 回「チャイパーティー」を開催しており、こちらはチャイ(ト 面、まだまだ協会の事を知っている人は限られているので、よ ルコの紅茶)と軽食を楽しみながらトルコの音楽やダンス、芸 り多くの人に向けてど 術等に触れられる機会になっています。興味があって、一度行っ うやって PR し て いっ て好きになって、など理由は様々ですが、参加した日本人は皆、 たらいいか、そのあた ※ 格 の 子も森 田さんにはすぐなつ 楽しみな子どもたちの成長 ほん ほ みょん き、今では園へのお迎えを週1日 行うまでになりました。森田さん 家庭のサポートを週5日していま は「10 月の国慶節に月餅を食べる習慣を聞いたり、6 歳にして中 文化と人との語らいの時間に満足してくれるそうです。またバ りはまだまだ模索中で イラム(トルコ語でお祭の意)を祝う行事もいくつか行っていま す。 す。仕事の都合で学童保育所へ 国語の漢字ドリルをこなし英語も学ぶ子どもの姿を通して中国の すが、これは日本人にトルコ文化を知ってもらうという意図の の迎えが間に合わない保護者に 文化や考え方を知ることができて面白い」と言い、「実家が遠く 他に、日本で生まれたトルコにルーツを持つ子どもたちに、日 始 終 穏 や か な 笑 顔 代わり、仕事後子どもたちを迎え サポートを得られない人は多いはず。今後もぜひお役に立ちた 本の文化と一緒に自分の国の文化をきちんと知ってほしい、き でインタビューに答え に行きます。自身も小 5 と中1の いです」 と抱負を語ります。 ちんと伝えたいという思いがあります。また日本で暮らしてい てくれ た セ ル カン さ 娘を持ち、もともとの子ども好き る私達には、多文化共生に向かって国際理解の感覚をもった子 んは最後に「トルコの人は日本、日本人が大好きでとても親日。 という洪さんには、週末を除く毎 中国の母の代わりに どもを育てることは大切だ、とセルカンさんは語ります。 民族は違うし、国は遠いけど、心は近い。どこかでつながって 日のお迎えも「残業がない仕事だ 依頼者である中国出身の H.Z さんは「仕事を持ちながら子育て その他にも、トルコから日本へ留学を希望する学生からの相 いると感じています。まずはトルコについて知ってみてください。 からできること」 と気負いはありません。「子どもはもともと自由 するには誰かのサポートが絶対必要。時には中国に住む母が来日 人。学校や学童で管理され窮屈な思いもしているので、わずか し手伝ってくれますが、いつも頼りにはできず困っていたところ、 な時間でも自由にさせてあげたい」 という言葉には子どもたちへ 区役所でこの事業を教えてもらいました。近所で急な頼みにも の愛情が感じられます。 対応してくれる森田さんは本当にありがたい存在」 と語ります。 学童の役員も長年務める洪さんには、本事業での活動は「子 * * * どもたちの現状を知り、学童活動の参考にするいい機会。また、 自分の子どもが成長し忘れかけていた幼少期を思い出させてく れる癒しの時間」 とし、「どんどん生意気になっていく子どもたち 本事業の 23 年度の依頼は延べ 22,000 件超。この数字は子育 だが、彼らの成長をずっと見守っていきたい」 と話します。 て中の人がいかに助けを必要としているか、そして地域で支える ことの必要性を物語っています。地域に関心を持ち、地域で子 この制度なしでは 育てを支えようとする人たちの思いに感銘を受けました。 双子の男児を持つ山田英恵さんも依頼者の一人。山田さんは そして、身近にサポートがない人は、日本人はもとより外国人 「共働きで祖母も働いているので、この制度がなければ仕事は続 にも多いはず。とりわけ情報が不足しがちな外国人にもこの制度 けられません。よく動きしかも双子の男の子をみてくれる人が少 がより周知されることで、彼らが支えられ、地域のきずなが深ま ない中、『いつでも連絡下さい』 と言って下さる洪さんには本当に ることを願います。 感謝しています」 と語ります。 世界3大料理のひとつ、 トルコ料理 フォーカス フォーカス 洪 浩 明さんは会社勤めの傍ら4 参加者全員で輪になってダンス (チャイパーティーにて) 談 を 受 け たり、ト 気軽に協会に来て、トルコについて尋ねてくださいね」と話して ルコからの留学生 くれました。 の受け入れを希望 * * * する大学へ情報を 筆者自身、学生時代にバックパックを背負ってトルコを旅した 提供する等、最近 際、心の温かさと美味しすぎる料理に心を奪われ、以来見事に はこうした教育分 トルコ好きに。自分が好きな国の人々が、同じように自分の国 野での活動も増え を好きと言ってくれることはとてもうれしいことです。交流や てきています。 理解の第一歩は「知ろう」とすること。みなさんも魅惑のトルコ への第一歩を踏み出すために NTJA に立ち寄ってみてはいかが トルコ人・日本人のつながりを求めて ∼ NTJA設立のきっかけ ですか。 2000 年に留学生として来日したセルカンさんは、大学を卒 注) 「 親日」の 背 景にある歴 史:1890 年、オスマントルコ の 軍 業後日本で就職し、2004 年に名古屋へ。トルコの人々は互い 艦エルトゥールル号が和歌山県沖で台風に遭遇し、座礁。付近 の家を行き来したり、みんなで集まったりすることが多いので の村の住民たちは総出で生存者を救出、献身的に救護に努め、 すが、バイラムを皆で一緒にお祝いできるような、多くの人が 生存者はその後無事トルコに帰還した。以降日本と日本人に対 一堂に会することのできるような場所・機会がありませんでした。 して好意をいだいたといわれています。 そんな中、トルコの人々が集まるだけでなく、知り合いの日本 人やトルコに興味のある日本人とも集まって交流できる「場」が あるといいのではないかという話が、名古屋に長く住む先輩ト ※平成24年3月末現在 参 考 のびのび子育てサポート事業http://www.kosodate.city.nagoya.jp/nobinobi/index.html ルコ人から上がっていました。こうした諸先輩と日本人協力者 の尽力のおかげで、より多くの日本人にトルコを知ってもらい、 互いに交流できるイベントなどを開催する組織としての NTJA の設立に至りました。 05 2012.12 ニック・ニュース NPO法人名古屋トルコ日本協会ウェブサイト http://www.ntja.org/ 所在地:名古屋市中区栄1-6-14 御園座会館 4階 2012.12 ニック・ニュース 06