...

P7~8

by user

on
Category: Documents
22

views

Report

Comments

Description

Transcript

P7~8
FOCUS ミャンマーと共に50年
フォーカス
国際留学生会館から 「
“Open Language”留学生による外国語講座」
を終えて
名古屋国際センター(以下NIC)が2001年から管理・運営している国際留学生会館(以下ISC)では、1990年の開設時より、ISC在住の留学生が講
グローバル化の進展で、
「来月から職場が海外に」
ということも珍しくなくなりましたが、家
師を務める外国語講座を市民を対象に毎年開講しています。
族で赴任となると、子どもの教育が気がかりだということはいつの時代も同じです。そんな時、
今回はNIC設立30周年記念事業として、昨年10月29日から12月13
後のアンケートでの満足度も高いものでした。
文部科学省の学習指導要領に準拠した日本の小中学校と同等の教育を受けられるとあって、21,262 人の児童生徒が今日も世界のどこかで
日まで 全12講 座 の「“Open Language”留 学 生による外 国 語 講 座」
一方で、今回は各言語1講座の「入門編」であったため、受講者が関
学んでいます。
を、NIC(中村区)を会場に開催しました。
心を寄せる言語を納得するまで学ぶには至らなかったようです。
「連続
そんな日本人学校の一つが、昨年 50 周年を迎え、現地で盛大に記念イベントが行われました。開校当時に現地で子どもたちを教えた先
講座は、アムハラ語(エチオピア)、英語(オーストラリア)、ポルトガ
講座を希望する」
「 1回終了では物足りない」などの感想・意見は、今後
ル語(ブラジル)、中国語、韓国語、マレーシア語、シンハラ語(スリラン
の講座を企画する上で参考になりました。
カ)、インドネシア語、クメール語(カンボジア)の10言語。市民の皆様
今 回 の 講 座 は、ISCで
に様々な外国語に親しんでもらおうと、講師を務める留学生の出身国
行っている定例講座とは異
の言語と共に文化にも触れました。
なり、会 場をNICに設 け て
講師は、愛知県立大学、名古屋大学、愛知大学、そしてオーストラリ
開 催することで、より多く
の 市 民 の 方 々に多 様 性に
頼みの綱になるのが海外にある日本人学校です。現在(2014 年 1 月現在)50 か国・地域に88 校あり、
生に、彼の目から見た当時の様子と民間交流について語っていただきました。
世界で 2 番目の日本人学校
日本でミャンマーと関わる
岩内健二さんは、1965 年から2 年間、ミャンマーのヤンゴン日
2 年後、ミャンマーでの勤務を終えた岩内さんは、日本で高校の
本人学校で教員として勤務しました。
教師として国際理解教育に力を入れるかたわら、
「日本ミャンマー
ア・ビクトリア州の「ヘイマー奨学生プログラム」で名古屋学院大学に学
当時ミャンマーの在住日本
友好協会」
の立ち上げに関わるなど、ミャンマーと日本の相互理解
ぶISC居住留学生をはじめ、
「なごや留学生フレンドシップ事業」の親善
富 んだ世 界 の 言 語や 文 化
*2
大使*1や、愛知留学生会(AFSA)
のメンバーで名古屋大学に学ぶ留
を体感していただけたと思
学生と個性豊かな12名の面々です。
います。
人数は他の国と比較して決し
のために奔走しました。
て多くはありませんでした。保
国民の9割が敬けんな仏教徒であり、
「徳」
を積むという考え方が
護者の「日本と同じような教育
日常生活の中に深く根づいているミャンマー人と波長が合ったと語
を受けさせたい」
という強い思
いと、日本人会の熱心な働き
る岩内さん。
「時代の流れや社会の動きの中で人の物の見方や感じ
当時の校舎
方は変わり、自身の活動が母国の人達に誤解されたり、難しくなっ
かけで、ヤンゴン
(当時はラングーン)
日本人学校は、1964 年に世
たこともあったが、草の根レベルでの国際交流の促進というスタン
界で2 番目の日本人学校として設立されました。
スは一度も変わったことがない」
と力強く語ります。
募をいただき、とりわけ英語講座への受講希望は他の言語に比べて、
圧倒的に多く、急きょ 2部制にしたほどでした。
10代から70代まで、幅広い世代の方々に数多く受講いただき、受講
フォーカス
みを始めたばかりで企業や官公庁の国営化が進む不安定な時期で
「ミャンマーの子どもたちに学校を送る会」オープニング
属施設として運営されていたそうです。
教員は文部省
(現在の文部科学省)
からの派遣で、教科書は必要
日本ビルマ平和条約*締結 60 周年、日本人学校設立から半世紀
に応じて電報で日本へ連絡をして取り寄せました。その他の教材・
を経て、岩内先生は振り返ります。
「これまで20 回以上もミャンマー
教具は現地での調達が基本。午後の授業を終えた先生たちは、車
を 訪 れ て います が、こ の 間、
で街に繰り出し、チョークやノートなどを探すといった日々が続きま
現地にも
「PS ミャンマー」
とい
す。そして、岩内さんはというと学校の 2 階で間借りし、階下は職
う民間の交流団体が立ち上が
員室といった具合で、視察などで外部の人たちに学校を公開する
り、日本での留学経験を持つ
際は、自室が児童の作品の展示室に早変わりしたそうです。
ミャンマー人を中心に、日本
当時は児童生徒が 10 人ほどの少人数だったこともあり、家庭的
語や日本の文化を学びながら
好都市の広場
姉妹友
い活動を行う。
*2 愛知県内の大学で学ぶ留学生同士、あるいは留学生と日本人との交流を深
めることを目的に、1961年に設立。
2015年に、名古屋市はシドニー市との姉妹都市提携35周年、
トリノ市との姉妹都市提携10周年を迎えます。今年の「姉妹友好都市の広場」では、
シドニー市とトリノ市の魅力をダブルでPRしていきます!
美しい港を持つ観光都市 シドニー
【シドニーの生い立ち】
オーストラリアでは、
5万年以上前から先住民アボリジニが居住してい
首都がトリノに置かれました。後に公国はサルデーニャ王国と名を変え、
1861年のイタリア統一で主導的な役割を果たし、
トリノ市は、イタリア統
より本格的な街づくりが始まり、
1842年にオーストラリアで最初の市とな
一後の最初の首都となりました。現在は、美しいバロック建築や自動車、
なろうという動きが生まれています」
。そして、これからの両国に
りました。現在は、経済の中心都市であると同時に、オペラハウスなどが
的に不安定な時代を教員や保護者など皆の手で力を合わせて学校
ついて、
「
『アセアン最後のフロンティア』
と称されるミャンマーには、
有名な美しい港町として、世界中の観光客を魅了しています。
を守りながら、現在は 133 人が学んでいます。今年、最初の卒業
経済的にも、昨今、企業の注目が高まっており、ヤンゴン日本人学
生が還暦を迎えたということからも、その歴史を感じさせます。
校も増え続ける日本人に応えるため、500 人が学ぶことができる施
設の改築を始め、次の 50 年に
向けて新たに動き出していま
す。草の根の国際交流の“根”
が双方の国で十分伸びた今、
どんな花が咲くのか日本から
【名古屋市とシドニー市との交流】
両市は、
2005年に姉妹都市提携を結びました。提携以降様々な交流
両市は、
1980年に姉妹都市提携を結びました。名古屋市立高校生のシ
事業が行われており、昨年10月から、
トリノの学生がデザインした市バス
「トリノラッピングバス」
が、名古屋市内を走行しています。今年はミラノ
よるマラソンランナーの相互派遣な
万博にあわせてトリノ市内で名古屋
ど、様々な分野での交流が行われて
PRイベントの開催が予定されてい
います。東山動植物園のコアラは19
ます。
84年に日本で初めて、シドニー郊外
のタロンガ動物園から贈られまし
た。以来、姉妹都市交流のシンボル
の交流に期待を寄せます。
として両市を結ぶ親善大使の役割
*日本ビルマ平和条約:1954年11月5日、ラングーンにて、太平洋戦争の戦後処理である賠償についての
「賠償・経済協力協定」
の締結と共に、
「平和条約」
も結ばれた。
そしてチョコレートやワインなど美食の街として魅力を放っています。
【名古屋市とトリノ市との交流】
ドニー派遣や、名古屋シティマラソンとシドニーマラソンとの姉妹提携に
見守り続けたい」
と、今後益々
50周年記念セレモニー
トリノはローマ時代に起源をもつ街です。15世紀にサヴォイア公国の
たと言われています。18世紀後半、オーストラリアはイギリスの領地とな
お互いの国をつなぐ架け橋に
PSミャンマーの皆さん
自動車と美食のバロック都市 トリノ
【トリノの生い立ち】
り、シドニーは当初イギリスの囚人流刑地でした。しかし19世紀の改革に
な雰囲気の中でのびのびと学べ、指導する立場からは、一人ひと
2015/2・3 ニック・ニュース
か、留学生向けウェブサイトで名古屋の街の魅力を情報発信するなど、幅広
名古屋市は、ロサンゼルス市、メキシコ市、南京市、シドニー市およびトリノ市と
姉妹友好都市提携を結んでいます。
りの個性を尊重するといった望ましい教育ができたそうです。政治
当時の児童生徒と教員
(最後列左が岩内さん)
*1 名古屋市が実施する市民との交流事業や、外国人市民懇談会への出席のほ
どを備え、100 名の留学生が生活できる。日本文化理解講座の開催や各種相談・情報提供、地域住民との交流などを行っている。
岩内さんが赴任した当初のミャンマーは、社会主義国家への歩
07
全講座の受講定員480名のところ、最終的に約550名の方々にご応
NICが 2001 年から管理・運営している、名古屋市港区にある留学生専用の宿泊施設。居室 90 室のほか、研修室や和室、体育室な
国際留学生会館とは…
できたての学校
した。学校が接収されることを避けるため日本人学校も大使館付
開講時間も、平日夜間や週末の午前・午後とバリエーションを設け、
より多くの年代の方に参加していただけるようにしました。
を果たしています。
夜のオペラハウス
(シドニー)
トリノラッピングバス
名古屋姉妹友好都市協会では、シドニー市、トリノ市を始めとする姉妹友好都市にちなんだイベントを開催します。ウェブサイト等で随時ご案内しますので、皆様ぜひご参加く
ださい。 名古屋姉妹友好都市協会ウェブサイト URL: http://nsca.gr.jp/
2015/2・3 ニック・ニュース
08
Fly UP