...

第二回 とちぎ健康セミナー参加御礼 震災後の複合連鎖危機と放射線

by user

on
Category: Documents
5

views

Report

Comments

Transcript

第二回 とちぎ健康セミナー参加御礼 震災後の複合連鎖危機と放射線
第二回 とちぎ健康セミナー参加御礼
震災後の複合連鎖危機と放射線診療
宇都宮セントラルクリニック 理事
放射線科医 佐藤俊彦
2 月 4 日の講演会には、定員をオーバーする約 480 名のみなさまにご参加いただきまして
大変ありがとうございました。福田知事や角田宇都宮市議のご挨拶をいただき大変盛会で
ございました。
角田市議におかれましては、私どもセントラルメデイカル倶楽部のメンバーであることや
そのメリットをご挨拶のなかでお話を頂戴し、重ね重ね御礼申し上げます。
以下、私の講演内容をまとめてみました。資料は、ホームページからダウンロードできま
すので、ご活用いただければ幸いです。
1.
はじめに
今回の大震災の時、私は栃木県宇都宮市の自分の画像診断センターで被災しました。午
後二時過ぎに私は、遅い昼食を取っていたのですが、そのとき突如として地震が起き、電
源の供給が断たれました。検査センターにある大型機械はすべて検査を中止せざるを得ず、
その後発表された東京電力による計画停電で、この国のライフラインインフラの脆弱性を
改めて認識しました。
地震発生による津波、津波による原子力発電所の冷却水供給停止による原発の爆発、原
発事故による電源供給の不足による計画停電と続き、放射線医療は極めて災害に弱いこと
が明らかとなりました。
災害時にこそ強いあるいは大きな役割を果たすと期待されていた遠隔画像診断も全くの
無力でした。被災地にも私が顧問を務めていた株式会社ドクターネットは契約病院を持っ
ていましたが、被災地のサーバーの流出や電源・インターネットの回線障害ばかりか、災
害に強いとされていたクラウドシステムのある宇都宮のセンターが計画停電により著しく
機能が低下しました。そこで IDC(×××電力管轄の Internet Data Center)にサーバー
を移設せざるを得ない状況となったわけです。また、米国の遠隔診断各社より支援の要請
もいただきましたが、被災地の医療機関では、画像診断機器の稼働がままならず、支援要
請を断るしかありませんでした。
これら一連の私の経験から、私自身個人でできる防災対策としては、日本中に地震リス
クや使用済み核燃料による原子力災害の再発の確率は極めて高いことから、地域を分散し
て画像診断センターを普及させるしかないという結論に至り、昨年ゴールデンウィーク明
けより、奈良県登美が丘にある、“登美が丘画像診断クリニック”の院長とし赴任し、現在
“くずは画像診断センター“とあわせ、多拠点化を進めている最中です。
被災民として、今回の経験から思うこと、そして私が実践していることをこの論では述
べようと思います。
2.
緊急時の放射線診断:電力とインターネット回線が遮断されたら
今回の震災の問題は、医療機関が完全に津波で破壊された場合、放射線診療だけでなく
医療をどう提供するのか?という問題が明らかになりました。
97 年に米国の medical coaches 社(www.medicalcoach.com)を訪れたときですが、医療用
特殊車両を作っている会社で、手術室や診察室、画像診断モダリテイをトレーラーに載せ
て、戦時や被災地に移動することにより医療をどこでも提供できるようにすると言ってい
ました。第一次世界大戦以降、戦勝国であり続ける米国にとって、不景気の時の戦争経済
は日本の公共事業のようなものであり、いつも臨戦態勢にあるゆえに装備できる仕組みな
のだと思いますが、自国民を守るインフラとして、自衛隊にも装備が必要なのです。民間
では、CT/MRI で株式会社フリールがあります。私も社長の平川先生の理念に共感し、昨
年10月より取締役を担当させて頂いています。今回の震災では、被災地への出動要請を
予想しておりましたが、医療機関自体が診療できない状況に陥ってしまったために、まっ
たく出動要請はありませんでした。
第一条件として、移動診察室を配備すること、そして低電源で動く画像診断機器が必要
であること、簡易な PACS による遠隔診断を提供できること、フリール社の自家発電付き
の mobile CT を配備すれば初期の診療体制は確保できるのではないかと考えています。
さらに、今回は被災者の遺体確認という作業で、Aiが一定の役割を果たすと考えてい
ましたが、画像を収集する体制の不備や判定体制の不備で機能できなかったと思います。
このあたりの諸問題は、災害復興の政策とも絡んで今後重要になってくると思われます。
3.
T-walkerαの開発:災害時の最前線での使用を目的として
私が起業した株式会社 AIIM-JAPAN は、低被爆グリッドおよびポータブルX線撮影装置
と DR をセットにした診断機器を製造販売しています。起業のきっかけは、ある国の政府
より、戦争の際に持ち運んでレントゲン写真を撮影でき、その場で確認できる仕組みとし
てポータブルのX線発生装置と DR の融合を依頼されたところに始まります。戦地で容易
に運ぶことができ、特別の危惧を必要とせずに骨折や銃弾の位置を確認できる装置は、災
害時にも有用であると考え、低線量撮影ができること・低重量設計を最優先に検討しまし
た。
その結果、GRID の線量低減も重要であると考え、AIIM-KOREA の AIR-GRID を採用し、
電源消失時にも稼働できるようにバッテリー稼働ができる二電源方式を採用しました。そ
の結果誕生したのが、“T-Walker-α”です。
有事や災害時だけでなく、院内でポータブルレントゲンとして活用しながら、日常診療
で、放射線技師さんの労力低減を実現した製品に仕上がっていると思います。
回診用X線撮影装置
T-WALKERαex
・クラス初 AC/DC 2電源搭載
・固定陽極X線管ではクラス最高出力
最高管電圧110kV
最高管電流 80mA
・装置重量 155kg(クラス最軽量)
JIRA:災害時使用可能X線装置 として案内
Copyright(c) AIIM JAPAN all right reserved.
小型軽量の
小型軽量の発生装置にすることで
発生装置にすることで、
にすることで、総重量を
総重量を155kg
155kgに
kgに低減することに
低減することに成功
することに成功し
成功し、一人で
一人で
も昇降機なしの
昇降機なしの車
なしの車でも積載可能
でも積載可能に
積載可能に設計した
設計した。
した。二電源方式の
二電源方式の採用により
採用により、
により、災害時でも
災害時でも使用可
でも使用可
能とした。
とした。
4.
震災後の複合連鎖危機と放射線診療
震災により、我が国の災害時の放射線診療の脆弱性が浮かび上がったわけですが、それ
だけではすまないと考えています。
地震、津波、原発事故と続き、電力供給不足、東電の賠償問題や火力発電への切り替え
によるコスト増から、東電の電気料金 17%UPなど、日本経済にとっての難問が襲ってき
ています。外部環境としては、欧州の金融危機、そして米国の経済赤字上限額の引き上げ
に伴う米国債格下げによるキャピタルフライトなど、種々の経済問題から消去法で円高に
なっています。この円高も相乗効果を発揮して、企業の海外移転が加速しています。
それに加えて、人口動態の影響も深刻です。2013 年問題といわれる、団塊の世代の人々
の大量退職を控え、税収不足が懸念され、対 GDP 比が先進国で最大に積まれた日本国債の
問題など、経済状況が危機的なことから、“社会保障と税の一体改革”では、消費税増税と
年金の支給低減と開始年齢の先送り、そして医療保険維持のための給付制限などが検討さ
れています。
ソブリンリスクとは、ギリシャの現状を見れば明らかです。国の格付けが、何らかの理
由で格下げになると国債が売られ、長期金利が上昇します。それにより、新規の国債発行
のための金利負担が上昇します。7%を超えると償還できないとされており、最近のイタリ
ア国債の金利上昇は、次のギリシャはイタリアでは?との思惑から、ユーロという通貨が
売られることになっているわけです。ギリシャは、医療保険や年金が破たんし、医療の現
場にも影響が出ています。イギリスのガーデイアン紙によると、国立、私立を問わず、大
きな手術の際は担当医に正規の診療費や入院代以外に袖の下を要求され、渡さないと露骨
に差別を受けたという例もあり、介護や終末期ケアにおいても自己負担率が高く、国立病
院ではベッド数が不足し、要介護でも よほどの重篤者以外は受入れ不可能です。大半の家
庭が自宅介護を選択し、日本でいう介護 ヘルパーのような介護スタッフを雇っているなど、
混乱を生じています。
一方、医療環境は、日々悪化しており、多くの病院が抱える多額の負債を抱えており、
公立病院の製薬会社に対する借金の返済が滞っている(2010 年分→30%、2011 年分→5 月
の時点でわずか 1%)ために、 ロシュ(スイスの製薬会社)では、ギリシャ拠点の従業員
削減を実施し、ベクトン・ディッキンソンやコヴィディエン(米ヘルスケア製品大手)は、
ギリシャでの事業を閉鎖していると報道しています。
事実上、経済破綻したアイルランド、ハンガリーでも、年金基金の没収、社会保障費の
大幅削減が現実のものとなってくるわけです。
日本では、これに追い打ちをかけて、今回の震災による影響が加わりますので、放射線
被ばくによる影響が今後心配であると思います。中央大学武田邦彦教授の“2015 年放射能
クライシス”は、2015 年から原発事故による小児がんが急増し、2020 年からは大人のがん
も急増すると予測しています。これはチェリノブイリ事故を冷静に比較すればおのずと最
悪のケースとして予測できるはずです。さらに、低線量被爆で重要なのは、活性酸素の発
生によるペトカウ効果を忘れてはなりません。
これによりがん以外の心疾患、脳梗塞をはじめ、呼吸器系疾息、不整脈、高血圧、腎不全、
すい臓病、肝臓病、認知症、白内障、皮膚障害、免疫低下などほとんどの病気の原因とな
ることが判明し、老化の要因とも言われています。
ペトカウ効果
過小評価される低線量被ばくのリスク
←放射線によるがんリスク
a
b
c
d
e
直線型(ICRPが採用)
ペトカウ効果など低線量で影響が大きい上凸型
低線量で影響が低減すると考える型
急逝被ばく症状などのしきい型
ホルミシス型
(長期の慢性被ばくにはあてはまらない)
原爆症認定集団訴訟大阪高裁判決の低線量被曝問題
における歴史的な判決において、低線量被操の影響に
ついての科学的な根拠となる。
ペトカウ効果とは?
→線量
放射線が、人間の体渡内で酸素分子に衝突すると、
活性酸素を発生させる。活性酸素および活性酸素が
脂質と反応して作られる過酸化指質は、近年、三大疾病
(がん、心疾患、脳梗塞)をはじめ、呼吸器系疾息、
不整脈、高血圧、腎不全、すい臓病、肝臓病、認知症、
白内障、皮膚障害、免疫低下などほとんどの病気の原因
となることが判明し、老化の要因とも言われている
また、海外では、ECRR(欧州放射線リスク委員会)では 20~40 万人ががんになると予想
しており、現在、年間 60 万人ががんを発病しているので、年間 100 万人ががんになる時代
になると予測されます。原発事故によるがん患者の急増による公的医療保険の崩壊は加速
が心配されるところで、こうした環境の中、当然放射線診療も影響が来ます。
対策としては、早期診断早期治療が放射線科では、ますます重要になってくると思われ
ます。そしてそのためのインフラとして、独立型の画像診断センターと独立型の治療セン
ターの連携が今後ますます重要になってくると考えます。
野田首相が TPP への参加意向を表明しました。
これはまさにタイムリーな対応で、今後、
2013 年問題で人口動態が変化していく中、社会保険料や税金を納める人口の減少に対して、
社会保障費用を給付される人々が急増します。このアンバランスが、日本国債危機を誘発
します。2012 年 2 月 1 日 S&P は社会保障費が対 GDP 比一定基準以内に抑えないと格下げ
すると発表しました。まさに、この議論と 2015 年放射能クライシスで、日本の社会保障費
用は急増、そして日本国債格下げ、日本のデフォルト、医療のギリシャ化へ進むと予想し
ています。
私が考えるソリューションは、以下の 3 点です。
1.
予防医療の徹底:予防医療はコストベネフィットもあり、自分の身は自分で守る。
メデイカル倶楽部のような会員組織で、健康管理を実践する。
2.
民間医療保険の活用:国内だけでなく、海外の民間医療保険を検討する。
3.
メデイカルツーリズムの実践:国内の医療機関が駄目になった時に備えて、海外
の医療機関へのネットワークを構築して、いつでも受診できる体制を構築する。
私が考える
日本の医療保険崩壊のシナリオ
原発事故によるがん患者の急増
公的医療保険の崩壊
TPPによって自由化された米国民間医療保険に変更
営利法人による医療機関の増加
混合診療の解禁
2011
2013
2015
・TPP交渉開始 ・医療保険
の自由化 ・診療報酬(特に
薬価)の上昇圧力 ・診療費
の上昇 ・海外医療機関の
進出 ・国内医療機関の経
営悪化
・人口動態の急変 ・団塊の
世代が保険料を納める側か
ら治療を受ける側に ・保険
料収入の急減 ・治療費の
急増
・小児がんの急増 ・20~40
万人にがん発生(ECRR:欧
州リスク委員会)
ソブリンリスクといつも
ソブリンリスクといつも戦争経済
といつも戦争経済は
戦争経済はセットであり
セットであり、
であり、第一次世界大戦以降続いている
第一次世界大戦以降続いているモデル
いているモデル
で、今回の
今回の金融危機回避の
金融危機回避の一手段であり
一手段であり、
であり、それと国内
それと国内で
国内で実施されている
実施されている“
されている“社会保障と
社会保障と税の
一体改革”
一体改革”は、国内で
国内で実施される
実施される財政再建策
される財政再建策の
財政再建策の最終段階の
最終段階の債務交換(
債務交換(増税と
増税と社会保障の
社会保障の低
減)によるものである。
によるものである。すでに2011
すでに2011年
2011年より、
より、財政調整である
財政調整である(
である(事業仕分け
事業仕分け・国有資産
売却)
売却)は実施されつつある
実施されつつある。
されつつある。次は、TPPによる
、TPPによる市場開放
による市場開放へとつながり
市場開放へとつながり、
へとつながり、米国と
米国と同様の
同様の放
射線科インフラ
射線科インフラを
インフラを整備するように
整備するように要求
するように要求される
要求される。
される。
5.
遠隔画像診断とソーシャルネットワーク
昨今の放射線科医を取り巻く環境は、どうでしょうか?医療機関の経営が厳しくなれば、
放射線科医への画像診断のアウトソーシングは、激減すると思われます。それは現行法で
は、画像診断医が読影しなくても、撮影時に自動算定可能となっているからです。
遠隔診断の技術革新は、インターネットの技術革新そのものでした。最初に私が取り組
んだのは、独自の圧縮ソフトの開発で、ISDN64 という narrow band のインフラでも
DICOM 画像をやりとりできるシステムで、独自の圧縮ソフトの開発です。その後 PACS
という概念が出てきたので、これに遠隔診断機能を付けて“遠隔診断機能付き PACS:
Dr-PACS”を発売しました。これを株式会社オリンパスに販売委託し、オリンパス社では、
遠隔診断とそれに伴う病院の IT 化のための普及啓蒙活動を実践していただきました。
その後、ブロードバンドインフラになり、それに合わせて FLEX-VIEW というクラウド型
のサービスに移行し、読影医の質のコントロールを臨床医と読影医師と顧問医の双方向コ
ミュニケーションを実現する QAQC システム(ACR の e-RADPEER を参照)を開発して
実装してきました。
インターネットは、アメリカの軍事技術であり、インテリジェンス機関であり、政治のた
めの道具です。オバマが大統領に当選したとき、明らかにツイッターや WEB2.0 を巧みに
使いました。そして、中東の“アラブの春”革命で、その威力を発揮することとなりまし
た。チュニジア・エジプト・リビア・イエメンで民主化革命が起こり、独裁政権が打倒さ
れる結果となりました。ここで重要なのが、ソーシャルメデイアの役割であったわけです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A9%E3%83%96%E3%81%AE%E6%
98%A5
ソーシャルネットワークというのは、”ソーシャル=社交”という意味ではなく、革命という
文脈につながる言葉であることは、誰の目にも明らかになりました。そしてウィキリーク
スによる“アメリカ秘密公電漏洩事件”により、種々の秘密情報が暴露されていきます。
“エ
ジプトでは、ムバラク政権が不当に安く天然ガスをイスラエルに販売していた。その差額
をムバラク大統領個人が横領していた。
”このような情報に民衆が怒り、デモを起こし、政
権転覆にいたるという大きな威力をソーシャルネットワークは持っていたわけです。
(特に、
フェイスブック:特定の人の情報なので、真実味がある。)
2006 年に、“ブログと軍事情報戦略:Blogs and military information strategies”では、”
気に入らない相手国のブロガーがいれば、潰してしまえ”と書いてあります。つまり、情報
操作を軍事的に実施するということです。そして、スマートフォンの普及により、特に
google のスマートフォンは、g-mail アカウントをとらないと通話できないようになってい
ますので、すべての更新記録が google にあつまり諜報できる仕組みになっています。
日本でも、金融メルトダウンにより、日本国債暴落・2013 年問題(団塊の世代の退職によ
り、社会保証費用や年金を収める側から、受給側になることで、財政規律が悪化すること)
などで進む金融混乱から、ソーシャル革命が進行する可能性は十分あるわけです。
遠隔診断の業界でも、選手交代=革命がインターネットインフラから起きようとしてい
ます。つまり、遠隔診断インフラをクラウド型に変更し、ブロードバンドインフラの普及
により、誰でも参入できる(医者だけでも)時代に突入しています。したがって、これま
では第一世代であるドクターネット社やセコム社などの企業体がプロバイダーとしてトラ
ンザクションを実施していたが、クラウドを使うことにより、先生方やスタッフも、IT ソ
フトを持たなくても、必要なときだけ、必要な場所で画像にアクセスし、読影することが
可能となりました。したがって、これまでのように病院に所属することや遠隔診断プロバ
イダーに所属する必要がなくなるわけです。
このような流れをうまくつかんでいるのが、第二世代のイーサイトヘルスケア社の松尾先
生やセントメデイカル・アソシエイツ LCC 社の加納先生だと思います。
お金の流れも変わります。第一世代プロバイダーが 3,000 円で契約して、読影医が 1,000
円で読むという流れが、第二世代では、読影医が 3,000 円で契約し、IT システム会社に 300
円支払うモデルになるわけです。
今後、起こりうるべき流れとしては、調剤薬局が院外調剤になったモデルが有効と考えま
す。これまでの薬局は、院内薬局であると保険請求は病院が支払基金に請求していました。
これを院外に出すことにより、きちんと服薬指導を実施し、調剤したものだけに、直接支
払基金より費用が支払われることになりました。これにより不正もなくなったわけです。
同様に、読影に関しても、現在は読影されていないものでも、病院で撮影時に保険請求さ
れてしまうので、読影医師を院外読影センターに集めます。この院外読影センターは保険
医療機関として登録し、読んだ分だけ、支払基金に請求できるようにすれば、直接 4,500
円を読影料金として受け取ることができると言う仕組みです。この予算があれば、ダブル
読影を実施して、遠隔 IT ベンダーに 300 円を支払っても、十分に経営が成り立ちますし、
保険診療費用を増加させることもありません。
大きな流れの変化が今まさに、ソーシャル革命前夜ともいうべき事態になっていると思い
ます。
直接保険請求
支払基金
病 院
遠隔IT
ベンダー
撮 影
読 影
院外読影
システム利用料
読影医師
調 剤
服薬指導
院外処方
調剤薬局
撮影と読影を分離して
保険請求可能に
Copyright (C) Doctor NET Inc. All Rights Reserved.
医薬分業で
医薬分業で調剤薬局という
調剤薬局という産業
という産業が
産業が発展したように
発展したように、
したように、放射線科も
放射線科も撮影と
撮影と読影を
読影を分離すること
分離すること
により、
により、プロの
プロの放射線科医が
放射線科医が読影した
読影したレポート
したレポートに
レポートに対する正
する正しい評価
しい評価が
評価が与えられるべきであ
り、これが世界標準
これが世界標準の
世界標準の考え方で、この仕組
この仕組みにしていなければ
仕組みにしていなければ、TPP
みにしていなければ、TPP参加後
、TPP参加後に
参加後に参入障壁
として認識
として認識され
認識され、
され、改善を
改善を迫られることにあろう。
られることにあろう。
フランス革命の前後で、軍隊のあり方が大きく変化しました。フランス革命前の欧州の軍
隊は、
“職業軍人”と“戦意の低い強制的に徴兵された兵士”で構成され、金がかかるが弱
い軍隊でした。それがフランス革命で、
“国家は人々のもの”となり、国家の主人公に祭り
上げられた人々は、無償のやる気をおこし、国家のために喜んで戦死し、喜んで納税して
戦費をまかなうようになったそうです。
近代国家では、国民をその気にさせるプロパガンダが必要で、マスコミ業界が、この役割
を担っていましたが、近年は、ソーシャルメデイアに立場を逆転されていることがご理解
いただけると思います。
マスコミからネットへの移行という情報革命は、大新聞のスター記者から、無償でブログ
やツイッター・フェイスブックなどで発言する人々に移りつつあります。
前述しました通り、遠隔診断も、第一世代のドクターネット社やセコム社などのプロバイ
ダーから、それぞれの放射線科医へ主役の移転(第二世代)が行われつつあり、今後は、
ますます放射線科医の病院離れが加速し、イーサイトヘルスケア社やセントメデイカル・
アソシエイツ LCC 社のような第二世代の勢いが増していくものと考えます。
病院という医療現場と遠隔診断というネットをうまく組み合わせて、放射線科医のライフ
プランを描きやすくなってきていることを実感しています。そして、この大きな流れが起
こっています。放射線科医が、病院に就職せず、弁護士事務所や会計士の事務所と同じよ
うに契約に基づきプロとして仕事ができる環境がようやく整備されつつある段階になって
きたと思います。
6.
まとめ
災害時に我が国の放射線診療は極めて脆弱であること、無力であることを思い知らされ
ることとなりました。今後は、災害時に備えて mobile medical coaches の整備を実践する
とともに、t-walkerαなどの災害時に使用できる製品の開発が重要になってくると思われま
す。
震災後の複合連鎖危機から、日本は債務削減の最終段階である債務交換に野田政権が向
かっており、最悪医療保険や年金が駄目になっても、放射線診療を継続できるように国内
外を問わず民間保険の積極的な活用スキームの確立が重要になってくるでしょう。最後に、
放射線科医は、TPP 参加以降米国と同じシステムでの勤務をせまられるため、いまからグ
ループプラクテイスへの移行を準備するべきと考えます。
Fly UP