Comments
Description
Transcript
まぐろを取り巻く国際情勢
まぐろを取り巻く国際情勢 末永芳美 東京海洋大学 先端科学技術研究センター まぐろの何が問題か? { { { { { { { 増えつづける漁獲量が問題? 世界的な需要の増大? 違法な漁獲実態(IUU漁船)? 不透明な蓄養? まき網の一網打尽? 持続的利用を超えた資源枯渇の懸念? 石油価格の高騰の経営圧迫?etc まぐろ国際機関への加盟国 増え続けるまぐろ類漁獲量(世界) { 2001年は396万トンー2003年に436万ト ン 資料:FAO 世界のまき網と延縄 資料:FAO 世界の寿司 デンマーク ニューヨーク 世界的な需要の増大 { 日本の刺身まぐろ供給量 ‘98年51万ト ン→’03年46万トン→‘06年43万トン { 世界のツナ缶詰生産量 ‘70年代50 万トン→’80年末100万トン→‘00年代初 150万トン 原料: ビンナガ<<キハダ <<カツオ 10,000 カ リ フ ォ ル ニ ア州 ニ ューヨーク州 8,000 米国全域 6,000 4,000 2,000 0 1995年 1997年 2000年 2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 図 米国における日本食レストラン店舗数の推移 出所: 「Jpanese Food Trade News」 Ikezawa Food Specialists,Ins. 世界の都市の寿司レストラン { { { { { { { 都市名 店数 人口 人数/1店舗 ニューヨーク 600店 801万人 1.3万人 シスコ 400店 717万人 1.8万人 欧州ベルト 3000店2283万人 0.8万人? モスクワ 500店1013万人 2.0万人 ストックホルム 50店 76万人 1.5万人 (注:農水省推定で欧州2,000店。世界で2万~2. 4万店。) 聞き取り等による IUU漁船 { { { { 国籍不明にして、規制逃れ。 ‘83年の台湾、漁船建造自由化政策→沸騰する漁 業参入。漁船の偽装輸入。 国際的漁業管理機関の協力。 まぐろ法による調査権限や周知活動による抑制 { 大型延縄漁船2000年 250隻→2002年 100 隻→2006年 数10隻(推定) { 気を抜けない、余剰船員の動向。watch要 削減したTAC { 東大西洋クロマグロ ‘06年32000トン →‘10年25500トン▲20% 日本2830ト ン→’07年2516トン、’10年2175トン { ミナミマグロ ‘06年14925トン →今後3年11530トン▲23% 日本6065 トン→3000トン 資料:水産庁プレスリリース 6.主要なまぐろ類の資源状況 まぐろ類の海域別資源状況 ICCAT IOTC IATTC WCPFC CCSBT 魚種 大西洋 インド洋 東部太平洋 中西部太平洋 ミナミマグロ クロマグロ 東大西洋: 調査中/ 横ばいから減少 西大西洋: 低位/横ばい - - 中位/減少 - ミナミマグロ - - - - 低位/横ばい メバチ 低位/横ばい 中位/減少 低位/減少 中位/横ばい - キハダ 中位/横ばい 中位/横ばい 中位/横ばい 中位/横ばい - 北太平洋: 高位/横ばい 南太平洋: 高位/横ばい - ビンナガ 北大西洋: 中位/横ばい 南太平洋: 中位/横ばい 中位から低位/ 減少 (注) 水産庁 「平成17年度 国際資源の現況」より 「資源水準/資源動向」の順に表示 資源水準:最近20年の資源状況と比較し、高位、中位、低位の3段階で評価 資源動向:最近5年の資源動向から、増加、横ばい、減少の3段階で評価 気仙沼魚市場せり場メバチ 海外におけるマグロ養殖(蓄養)について 蓄養マグロ輸入量の推移 蓄養(地中海クロマグロ) 蓄養(太平洋クロマグロ) 蓄養(豪州ミナミマグロ) 天然クロマグロ 天然ミナミマグロ 40000 ト ン 20000 ( 輸 入 量 30000 ) 10000 0 2001 2002 2003 2004 2005 資料:財務省貿易統計(国名から蓄養生産と 推定) ICCATのクロマグロ蓄養勧告 ・正規許可蓄養場及び蓄養場 に搬入する漁船のリスト化(ポ ジティブリスト) ・データ報告及びサンプリング 実施、サンプリングを実施して いない蓄養場からの輸入禁止 CCSBTの豪州蓄養検証 漁獲量の過少報告の可能性 が指摘されている、豪州のみ なみまぐろ蓄養事業における、 漁獲量の推定方法を検証する ことを決定。 資料:水産庁 未来の話をしよう! { 一番知りたいのは、これからの「まぐろ」はどうなる のか。 { 予測する手立てはないか? { これから、何をすればいいのか? 歴史に学ぶまぐろの将来 { { アメリカ史 中西部の牛に事例を探る 野生の牛を巡っての興亡 { 新大陸への家畜動物の移入 { 聖職者が、牛を放棄し帰国→野生化→無数 の牛が大増殖(=未開発のまぐろ資源) { →野生牛は捕獲者のもの(=漁業者の自由 な漁獲)→東部市場で高値(=極東の市場) 牛の資源の枯渇とその後 { 高値が捕獲方法に変化を 一頭ごとの捕獲 から、大量狩りへ(釣り→まき網へ) { 野生の牛の捕獲圧の強まりで、無主の牛の 減少(資源の減少) { 無主から所有牛への印=焼印 カウボーイの活躍と社会変化 { 焼印の登録制とその公示制度 (ネガティブ リストから→ポジティブリストへ、蓄養施設の 登録) { 牛泥棒への対応 (IUU漁船、勧告に従わない国) { カウボーイによる長距離輸送→鉄道敷設と 輸送(大資本。超低温運搬船、航空機輸送) やってきた破綻 { 投資が招く過剰な牛の生産(需要を超えた 生産、漁船隻数の過剰。急増する蓄養 量?) { 価格の暴落と厳冬が招いた牛の凍死→倒 産 { 放牧民と農民の確執へ(従来漁業と蓄養) 有刺鉄線の発明 { { { { 土地をめぐる争いの始まり 牧牛の方法の一大転機(共有→蓄養囲い 込み) トウモロコシと大豆(牧草飼育→脂身牛飼 育。) バイオエネルギー・エタノール生産へ 食の行方と環境 { { { { 食の行方 豊食→飽食→崩食→放食→亡 食→呆食 究極の食 、生と妖 、グルメと個食、 「食 べる」と「喰う」 消えたバッファロー と 9500万頭の牛 環境とのはざま 気仙沼漁港 2007年2月撮影 まぐろの未来のために { 漁業は自然の生態系に身をゆだねた産業 →行き過ぎた競争の未来は { 試練(国連海洋法64条。強まる管理。漁業 も、蓄養も。)持続的利用(国連公海条約の 効用) { 将来を見通した研究、技術開発を! ご清聴ありがとうございました