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PETで、がんが浮かび上がる ! 心が映し出される ! 「PETで病気を診断する」
PETで、がんが浮かび上がる ! 心が映し出される ! 「PETで病気を診断する」 【PETで診断できる病気:がん診断】 PETを使うと、がんを比較的早い時期に発見できる場合がありま す。役に立つことが科学的に確かめられて、健康保険が利く病名も だいぶ増えてきました。現在では、以下の病気に関して保険が適用 できるようになっています。 ◎腫瘍性疾患(がんの仲間) • 脳腫瘍 (脳にできるがん) • 頭頚部癌 (目、耳、鼻、副鼻腔、首などにできるがん) • 肺癌 (肺にできるがん)、 • 食道癌 (食道にできるがん)、 • [転移性] 肝癌 (ほかの臓器から肝臓に転移したがん)、 • 大腸癌(大腸、結腸、直腸にできるがん) • 膵臓癌(すい臓にできるがん)、 けっこういろんな病気 • 乳癌(乳房にできるがん)、 があるんだね。 • 卵巣癌(卵巣にできるがん)、 • 子宮癌(子宮にできるがん)、 • 悪性リンパ腫(おもにリンパ節にできるがん)、 • 皮膚癌(皮膚にできるがん)、 • 原発不明癌(ある臓器でみつかったがんが転移であると わかったが、もともとどこで発生したかが不明ながん) ◎難治性てんかん ◎虚血性心疾患 【PETで診断できる病気:脳神経の病気】 (下の図をご覧ください) PETを使うと、脳や心臓の病気を診断・評価することもできます。たとえば、 「てんかん」という病気があります。脳の中のどこからか、異常な強い電気 信号が発生するために意識がなくなったり、けいれんがおこったりする病気 です。PETをうまく使うと、異常な電気信号が発生している場所(フォーカス) を探すことができます(保険収載)。また、最近、高齢化社会になり、認知症 が問題になっています。アルツハイマー病の患者さんでは、側頭部~頭頂 部の脳の活動が低下してくることがわかっています。こうしたPETの情報を 使うと、脳が大きく萎縮してくる前に診断できることがほぼ確認されていま すが、まだアルツハイマー病の診断は保険に収載されてはいません。 アルツハイマー病 てんかん 側頭頭頂葉の脳代謝が低下(↑)します。 発作がない時に脳代謝が低下(↑)します。 正常 壊死 (虚血) 正常な脳活動のPET画像 心筋梗塞のあとのPET画像 紺~青色は壊死(↑)を示し、緑色は活発に動いて いないがまだ細胞は生きていることを示します。 画像の例をお示しします。 【PETで診断できる病気:心臓の病気】(上の図をご覧ください) PET PETを使うと、心臓の病気を診断・評価することもできます。たとえば、「心 筋梗塞」という病気があります。心臓の血管の一部がつまってしまい、心臓 の筋肉が壊れてしまう(壊死)病気です。このとき、仮死状態の筋肉がある 場合には、バイパス手術をおこなうと心臓のはたらきが回復してくる場合が あります。PETを使うと、心臓に仮死状態の部分があるかどうか判定するこ とができます(保険収載されています)。 CT 【PETで心を診断する?】 大腸がん CTではおかしな形をした組織が あることはわかりますが、それが どのような性質をしているか判 断できません。PETを使うと、そ の組織がブドウ糖を大量に取り 入れる組織(細胞)だということ が、ひと目でわかります。 ① FDG(フルオロデオキシグルコース)という診断薬を注射 すると、血液の流れにのってFDGは全身にひろがります。 FDGはブドウ糖に大変よくにているため、ブドウ糖に混じ って、活発な細胞に吸収されます。ブドウ糖は細胞に吸収 されると代謝されて細胞が生きるエネルギーが取り出され て、最後には水と二酸化炭素になります。FDGは始めだ け代謝されますが、途中で反応がとまって活発な細胞の 中にとどまります。この原理を利用して、がん検査などが 行われます。がん細胞や脳の神経細胞はとても多くのブド ウ糖を取り込みます。 多くのがん患者において観察された 脳活動低下部位(18F-FDG) ② FDGを診断薬に使ってPET検査を おこなうと、病気のすすみ具合を調 べることもできます。①の診断結果 にもとづいて治療がおこなわれた 結果、治療がうまくいってがん細胞 が消えたことがわかります(②)。 FDGで脳腫瘍(脳のがん)の診断をおこなうのは、 簡単ではありません。その理由は、正常な脳組織 もFDGをたくさん取り込むからです。工夫するとう まく腫瘍を浮かび上がらせることもできます。 PETを使うと、がん診断ができますが、 がんにかかった患者さんの心の状態も観 察できるかもしれません。左の図は、患 者さんの脳において、共通して活動が低 下していた場所を赤~黄色で示していま す。上のアルツハイマー病の患者さんの パターンとは違っていて、うつ病の患者さ んの脳活動パターンと似ていることが分 かっています。(まだ研究段階です)。 【PET検査をうけるとどれくらい放射線をあびるの?】 PETは便利な検査ですが、放射線を出す薬剤を注射しておこなうので、身 体が放射線を浴びることになります。PETのがん健診を受かるときのだいた いの放射線被曝の量は、3~5 ミリシーベルトぐらいと考えられます。私達 がふつうに生活をしていても、空気や地面、宇宙線などから弱い放射線を 浴びることがわかっていますが(自然放射線)、その1~2年分を合わせたく らいの量の放射線を1回の検査で浴びると考えられます。PET/CT検査を受 けるときは、CT検査の放射線被曝の分も加えて考える必要があります。 PETがん検査による被曝 最近では、PETとCTをあわせた、PET/CTを導入する病院 がふえています。PETで異常が見つかった場所を、同時に CTでリンパ節、血管、神経などの様子を詳しく調べることが できます。PETとCTを同じ姿勢のままで、ほぼ同時に撮影す るので、位置のずれがないことが最大のメリットです。 宮城県内では、東北大学病院(仙台市)、仙台厚生病院 先 端画像医学センター(仙台市) 、厚生仙台クリニック(仙台 市) 、総合南東北病院(岩沼市)、仙台画像健診センター(開 院予定:仙台市) 、などに導入されています。