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仕事はなんのためにするのか? プラトンの夢 副校長 三崎 吉剛 《幼稚部
《幼稚部 乳幼児教育相談》元気いっぱい、ひよこ組! 学校だより 平成21年度 第10号(66号) 発行日 平成22年 1月 29日 東 京 都 立 立 川 ろ う 学 校 校長 根本 友己 〒190-0003 東京都立川市栄町 1-15-7 Tel 042-523-1358 Fax 042-523-6421 仕事はなんのためにするのか? プラトンの夢 副校長 三崎 吉剛 仕事がつらくなってきたときに、その目的や価値について考えることが誰でもあります。 仕事の目的とはなんでしょうか。 「収入が得られ生活の糧を得られるということ」を思い つく人もいると思います。 「お金を得ることで、なにかが買える。 」 「そのことで生活が豊か になる。 」 「家族が助かるなら多少つらくてもがんばろう!」ということを誰しも思うでし ょう。 「仕事をすることで人の役に立っている。 」ということを生き甲斐とするという思いもあ るでしょう。 さて、古代ギリシャのプラトンは、21世紀の人たちとは異なる考えでした。プラトン 著「国家」 (岩波文庫)より見てみます。 ( )は引用者。 (ソクラテス) 「まあ、次の問いに答えてみてくれたまえ。-いったい、われわれがひと つひとつの技術(仕事)をいつも区別するのは、それぞれの技術がもつ機能が別であると いうことによるのではあるまいか?さあ君、ねがわくば、君がほんとうに考えているまま を答えてくれたまえ。そうでないと、何も結着がつかないからね。 」 「いやたしかに」と彼(トラシュマコス)は答えた、 「技術はそれぞれ、そのことによっ て異なっている」 (ソ) 「そうすると、それぞれの技術がわれわれに提供する利益もまた、何かそれぞれに 固有のものであって、けっして共通のものではないわけだね?たとえば、医術が提供する のは健康、船長の操舵術が提供するのは航海における安全、等々といったように」 (ト) 「たしかに」 (ソ) 「同じくその線で考えると、報酬をもたらすのは、報酬獲得の技術である、という ことになるね?(後略) 」 (中略) (ソ) 「してみると、それぞれの専門家がこの<報酬を獲得する>という利益にあずかるの は、自分の専門とするその当の技術によるのではないのだ。いや、もし厳密に考えなけれ ばならぬとすれば、医術がつくり出すものは、あくまで健康だけであり、報酬をもたらす のは報酬獲得術の方である。 (後略) 」 21世紀の人と異なった考え方が2000年以上前にあったことを知ることができます。 私は、これを読んでとても驚きました。いかがでしょうか。 乳幼児教育相談(通称 ひよこ組)には 0 歳~2 歳の赤ちゃんやお子さんたち 23 人 が通ってきています。月に 1 回の個別指導と年齢別のグループ活動を行っています。 2 歳児グループのお子さんたちは 1 週間に 2 回位のペースでひよこ組に通ってきてい ます。最初は自分の好きなおもちゃで遊ぶことに夢中だった子どもたち。でもこの 1 年間でお友達と遊ぶ楽しさを少しずつ知り、けんかをして泣 き、お友達への意識が芽生えてきました。それと共に、自分 の気持ちの表し方も豊かになってきています。 小さなお子さんを連れての登校を 1 年間がんばりぬいたお 母さん達に拍手!そして 4 月から、立川ろう学校幼稚部、ま たそれぞれの場所で子どもたちが元気よく、心豊かに育って いってくれることを願っています。 《小学部》総合文化祭に参加!! 「情熱大陸 キセキの命 そして出会い」と題して小高部(4,5,6 年生)は年明 け早々1月9日池袋の芸術劇場で行われた総合文化祭でダンスを発表しました。運動 会よりもバージョンアップして新たな場面を付け加えた他、一人一人お面を作成。本 物さながらの恐竜のオブジェや太古の昔をイメージした背景を作成して、12 月から取 り組みました。子供達は「最強のダンス」を目指して底力を発揮!1/7の練習、1/8 始業式の午後の会場リハーサル、1/9 の本番というハードスケジュールをものともせ ず全員参加で見事ラストの 4 段円筒まで大成功させるこ とができました。一人一人の「命」が本当に輝いていま した。ダンスを通して目標に向かってみんなで息を合わ せて最後までやりぬく粘り強さや、仲間の背中に乗った り乗せたりする中でお互いを思いやる気持ちが自然に育 っていくことを強く感じました。小低部の子供達にとっ ても素晴らしい目標になっていると思います。 《中学部》新年書き初め展 1月 12 日から 1 月 22 日まで、幼小中職 員室前にて書き初め展を行いました。中学部 の書き初めでは、新年への思いを込めて一人 一人が自分で考えた言葉を書いています。1 年生は、クラブ活動での具体的な目標を書い た作品が目立ちました。2 年生の作品から は、これまでの反省を生かして立派な 3 年生 になりたいという気持ちが感じられました。 また、3 年生の作品には「努力」や「挑戦」 を表す言葉が多く見られ、高等部進学を意識していることが伝わってきました。書き 初めに打ち込んだときの気持ちを忘れず、平成 22 年を素晴らしい年にしてほしいと思 わせる立派な内容でした。 《高等部》 『成人を祝う会』 1月15日(金)の1時間目に成人を祝う会が行われ、専攻科二名の成人を祝いま した。一人の生徒は、 「コミュニケーションの難しさと大切さ」と言うタイトルで、ス ピーチをしました。小学部の時に健聴者とのコミュニケーションの難しさを身をもっ て体験し、聴こえないことに対する周りの理解のなさに苦しんだこと、中学部から本 校に入学し、それまでとはまるで違う環境になって衝撃を受けたが、次第に自分の意 志を伝えられるようになったこと。高等部へと進学し、行事等を通じながら相手に正 しく伝えることの難しさ大切さを痛感したこと。そして自分に責任を持って行動し、 社会のため他人のために責任を果たせる大人になりたいと締めくくりました。もう一 人の生徒からは「自分は成長したか?」というタイトルで幼稚部から専攻科まで立川 ろう学校で生活する中、幼稚部、小学部で、やんちゃだった自分の殻から抜け出した こと、専攻科では情報や簿記のなどの資格取得に挑戦し、様々な課題を乗り越えたこ となどが話され、最後に今までお世話になった先生方や友達、数え切れない方々にお 礼を言いたい気持ちで胸がいっぱいだ、というスピーチで幕を閉じました。 《寄宿舎》3学期スタート!新年会をやりました 1月12日(火)から3学期の寄宿舎生活が始まりました。久しぶりに寄宿舎の仲 間と再会し、みんなうれしそうな表情でした。年が明けての初日ということで、夕食 後に新年会を行いました。内容は「寄宿舎サイコロトーク!!!」と題し、大きな風 船のサイコロを投げ、出た目の「お題」についてみんなの前で話をするというゲーム です。「お題」は「2010年の抱負」「冬休みの思い出」「お年玉で買ったもの」「デ ートで行きたい場所」 「○○さんに一言いいたい!」で、どの「お題」に当たるか分か らないのでみんなドキドキしながらも、それぞれの舎生の楽しい話を聞けて大変盛り 上がりました。 「本日の当たり目」が出たラッキーな人は、 「おかわり優先券」 (ごはん の時、優先的におかわりすることができる)がもらえるという特典もあり、ゲットし た人は大喜びでした。1年間で一番短い3学期は、本当にあっと言う間に過ぎてしま います。今寄宿舎で生活している、このかけがえのない時間を大切にして毎日を過ご し、いつまでも忘れない思い出をたくさん作ってほしいと思っています。 《聴覚障害教育支援部》話しことばのわかりやすさ 自立活動の指導内容のひとつに発音指導があります。本校では主に幼稚部・小学部 の個別の指導の中で、発音の指導に取り組んでいます。一般的に発音の学習は、お手 本を聴いて模倣することから始まります。正しい発音を聴き、自分の発音とお手本と の違いを判断し、正していくものですが、聴覚に障害があると正しい発音はそのとお りには聴こえませんし、自分の発音との違いの判断も困難なため、指導上いろいろな 工夫が必要になってきます。 短文や単語のアクセントが話しことばのわかりやすさにどう影響するかの実験結果 (井上 1968)があります。そこから、アクセントの有無が意味理解をするうえで大きく 影響することがわかりました。 話しことばのわかりやすさを考える場合、 「発音明瞭度(1音1音の発音の正しさの 度合い)」が重視されますが、「会話了解度(発音の正しさに関わらず単語や文の内容 がどれだけ伝わるかの度合い) 」という面から考えることも必要です。そして、会話明 瞭度には会話のリズム、アクセント、イントネーションなどが大きく関係するのです。