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1.09MB - 新エネルギー・産業技術総合開発機構

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1.09MB - 新エネルギー・産業技術総合開発機構
NEDO 省エネルギー技術フォーラム 2013
省エネルギー革新技術開発事業
フ
フェーズ名:先導研究
ズ名 先導研究
内燃機関軸受への
ダイヤモンドライクカーボン材料適用の研究開発
事業実施法人名:大同メタル工業(株),名古屋大学,日産自動車(株)
研究開発期間:平成22年11月~平成25年2月
1.研究開発の背景、目的、目標
1.1.背景(テーマの位置付け,必要性,重要性)
2
○ 重要技術である次世代自動車(EV, PHEV)の早期普及を目指し、
技術課題の自動車の省エネ,コスト低減(小型化)技術を確立する
エンジン構造
エンジンの摩擦損失割合
ピストンピン
ピストン
ピストンピンブシュ
シ
コンロッド
(ロッド本体)
主軸受(上側)
全損失の
約10%
クランク
ピストン
バルブ
その他
40%
40%
10%
10%
スラスト
ワッシャー
(上側)
コンロッド軸受
(上側)
スラスト
ワッシャー
ワッシャ
(下側)
主軸受(下側)
本研究技術が適用される軸受
コンロッド軸受
(下側)
コンロッド(キャップ)
常用運転
・自動車用エンジンは、数100の部品で構成され、摺動する部品の間で生じる摩擦 (フリクショ
ン)により
ン)により、エネルギーロスが発生している
ネルギ
スが発生している
⇒ 省エネ(燃費改善)のためにフリクションを低減するには、摺動抵抗を下げる必要がある
1.研究開発の背景、目的、目標
1.1.背景(テーマの位置付け,必要性,重要性)
3
すべり軸受のフリクション
摩
摩擦係数
境界潤滑
混合 EHL 流体潤滑
潤滑
金属
軸受合金
μ = 0.3
鋼裏金
DLC
μ = 0.01以下
軸受定数 ηv/p
ストライベック線図
イベ ク線
○通常運転時 (流体潤滑)
オイルによる潤滑膜を形成し、軸と軸受の
直接接触摩擦を低減し、フリクションを低くできる
○高出力運転時,起動運転時 (境界・混合潤滑)
オイルによる潤滑膜形成能力低下
↓
軸と軸受の直接接触発生
↓
摩擦発熱 摩擦抵抗の増大
摩擦発熱,摩擦抵抗の増大
↓
フリクション増加,
焼付発生(耐久性維持困難)
○ 高速高面圧下の境界潤滑域における摩擦発熱・抵抗の抑制に
よる直接接触摩擦低減の技術開発は、クランク摩擦損失低減(自動
車の省エネ,燃費改善)にとって重要となる
1.研究開発の背景、目的、目標
1.2. 目的
4
◎ すべり軸受表面にDLCを適用させて、軸受と軸表面の
直接接触摩擦を
直接
接触摩擦を低減
低減 かつ 耐久性
耐久性を維持
を維持できる
できる 軸受を開発する
軸受合金層
DLC層
鋼裏金層
本研究のDLC軸受(課題)
① 大同 ・・・ 高い接着を有するDLC軸受構造
② 名大 ・・・ 超低摩擦現象とそのメカニズム
(軟質な軸受材料への適用)
(摩擦による超低せん断層の形成)
③ 日産 ・・・ 片当たりを低減するエンジン設計
(摺動面形状・周辺部品変形量制御構造の提案)
1.研究開発の背景、目的、目標
1.3
1.
3. 目標
5
◎ 目標値
① クランク(軸受)摩擦半減
→ 機械損失10%,内クランク摩擦は10%×40%
機械損失
内ク ク摩擦は
( )
(4%)
→ クランク摩擦4%を半減:燃費2%に相当 (燃費評価モードにて確認)
② 耐久性維持
→ 軸受トライボ性能(耐疲労性,耐摩耗性)と両立
軸受 ラ
性能(耐疲労性,耐摩耗性) 両
◎ 達成プロセス(日産:混合潤滑計算より)
①
②
③
名大・大同での取り組み
① 流体摩擦の低減
・・・ 焼付面圧 向上
(軸受径及び幅低減)
② 接
接触摩擦の低減
減
・・・ 起動摩擦 低減
日産での取り組み
摩擦損失半減の方法
③ エンジン設計からの改善
・・・ 摺動面形状,
軸受支持剛性低減
1.研究開発の背景、目的、目標
1.3
1.
3. 目標
6
◎ 本研究における低摩擦技術の波及効果
○ 軽量化効果
* クランク、ブロックのコンパクト化で、5kg程度軽量化
* バッテリーやモーター重量30%減で、4kg程度低減
バ
や
タ 重量
減
程度低減
→ エンジン系の重量低減は重量バランスや支持構造の車両影響で約2.5倍
→ 車両重量約2%低減 = さらに燃費2%低減
→ バッテリー,モーターの軽量化によるコストダウン
・ トトータル燃費低減効果として4~5%程度が期待できる
タル燃費低減効果として4 5%程度が期待できる
・ コストダウンによるHEV等の早期普及,普及率UPに貢献
→ 自動車全体の省エネとなる
・ 機械技術一般にも適用可能 → 更なる波及効果が期待できる
2.研究開発体制、研究
研究開発体制、研究開発
開発内容
内容
7
2.1.研究開発体制
2.1.
研究開発体制 大同メタル
研究開発責任者:佐藤 善昭
どのようなDLC
どのような
DLCが軸受に適しているか?
が軸受に適しているか?
○ 軸受材料へのDLC適用技術開発と性能評価
軸受供給
実機条件提示
評価条件提示
材料開発指針
DLC軸受の開発
DLC軸受を適用させるには?
DLC
軸受を適用させるには?
設計指針
○ DLC軸受を用いた
内燃機関設計技術構築
実機条件提示
日産自動車
委嘱技術委員
中原綱光東京工業大学名誉教授
DLC摺動メカニズムは?
DLC
摺動メカニズムは?
○ DLCの耐摩耗、耐焼付
向上と低摩擦化を両立する
設計指針構築
名古屋大学
2.研究開発体制、研究
研究開発体制、研究開発
開発内容
内容
8
2.2.研究開発内容
(1) 軸受材料へのDLC適用技術開発と性能評価
どのようなDLC
どのような
DLCが軸受に適しているのか?
が軸受に適しているのか? (大同メタル工業)
* DLC構造の提案,焼付評価50%向上,摩擦係数25%低下
(2) DLCの耐摩耗
DLCの耐摩耗、耐焼付向上と低摩擦化を両立する設計指針構築
耐焼付向上と低摩擦化を両立する設計指針構築
DLCの摺動
DLC
の摺動メカニズムは?
メカニズムは?
(名古屋大学)
* DLCの耐摩耗、耐焼付、超低摩擦指針の提案
(3) DLC軸受を用いた内燃機関設計技術構築
DLC軸受を適用させるには?
DLC
軸受を適用させるには?
(日産自動車)
* 耐疲労性,耐摩耗性を確保する設計手法の確立
耐疲労性 耐摩耗性を確保する設計手法の確立
* DLC軸受の実機確認
(1) 軸受材料へのDLC適用技術開発と性能評価
9
* DLC構造の提案,焼付評価50%向上,摩擦係数25%低下
供試材
(大同メタル工業)
大
タ
業
DLC軸受構造
DLC
軸受構造
DLC硬さ
DLC硬さ
(GPa
GPa)
)
DLC厚さ
DLC厚さ
(um
um))
DLC(No.1 )軸受
8
4
DLC(No.2 )軸受
60
1
DLC(No.3) 軸受
12
4
耐焼付性 N=3
比較材
アルミ系軸受合金
目標値
(50%向上)
No.1
66%向上
No.2
100%以上向上
No.3
100%以上向上
0
6
12
18
▲ : 平均値
24
起動μ N=3
30MP
30MPa
■ : ばらつき
耐焼付性向上
→ 流体抵抗(摺動面積低減)の低減に寄与
目標値
(25%低減)
比較材
アルミ系軸受合金
10%低減
30%低減
10%低減
00.012
012
00.024
024
00.036
036
00.048
048
00.060
060
起動μ低減
→ 接触抵抗の低減に寄与
0.072
0 072
(2) DLCの耐摩耗、耐焼付向上と低摩擦化を両立する設計指針構築
10
* DLCの耐摩耗、耐焼付、超低摩擦指針の提案 (名古屋大学)
設計指針の提案
摩擦両面の表面粗さ変化を検討し、
摩擦両面の表面粗さ変化を検討し
“構造変化層厚さ/有効表面粗さ“のパラメータ導入により、
構造変化層を固体潤滑膜として低摩擦となる設計指針を提案した
σ∗
2σ∗
3σ∗
Average line of
roughness height
d
z
t d
t
α=
∞
As
= P ( z > D ) =  φ ( z )dz
D
A
DLC膜の境界潤滑メカニズムの提案
耐焼付性評価 及び 起動摩擦評価より
① 荷重増加 及び 繰り返し摩擦 に伴う摩擦面温度の増加
② 構造変化層厚さの増加 及び 構造変化層の残存
③ 表面粗さに対して十分な厚さの固体潤滑剤(構造変化層)の形成
⇒ 油中の境界潤滑におけるDLCの焼付面圧の増加,起動摩擦係数の低減
(3) DLC軸受を用いた内燃機関設計技術構築
11
* 耐疲労性,耐摩耗性を確保する設計手法の確立(日産自動車)
DLC軸受を適用する方策
○ クランク剛性と荷重パターンの改善
○ 摺動面形状
⇒ 高速高負荷条件での焼付試験 及び 計算結果から、
クランク剛性,荷重パターンの改善,摺動面形状によって、
片当たり強度を低下することができ、DLC適用での摺動面積低減の
可能性を確認した
能性を確認 た
* DLC軸受の実機確認
実機耐久評価(60h)
⇒ 摩擦損失半減となるDLC軸受の実機確認を実施し、
耐久性維持を確認した
3.成果、実績等
12
3.1.成果
成果
(1) 軸受材料へのDLC適用技術開発と性能評価
軟質な軸受材料へのDLC適用によるなじみを考慮したDLC軸受構造を提案し
耐焼付性50%向上,摩擦係数25%低減を確認し、耐疲労性及び耐摩耗性が従来
材 比べ
材に比べて同等以上であることを確認した
等 上 ある とを確認 た
(2) DLCの耐摩耗,耐焼付向上と低摩擦化を両立する設計指針構築
DLCの耐摩耗 耐焼付向上と低摩擦化を両立する設計指針構築
摩擦面温度により粗さに対して十分な厚さで生成するDLC上の構造変化層が、
摩耗,焼付,摩擦に優れることを実証し、設計指針(構造変化層厚さ/有効表面粗さ)
摩耗,焼付,摩擦に優れる とを実証し、設計指針(構造変化層厚さ/有効表面粗さ)
を提案した
(3) DLC軸受を用いた内燃機関設計技術構築
荷重に対する部品剛性,摺動面形状を設計パラメータとする評価技術及びクランク剛
性,作用荷重特性の改善と摺動面形状を組合せるエンジン構造技術により、設計手法
を確立した
摩擦損失半減となるDLC軸受の実機確認を実施し、耐久性維持を確認した
3.成果、実績等
13
3.2.実績等
実績等
日付
学会名
39th LEEDS - LYON SYMPOSIUM
2012.9
ON TRIBOLOGY 2012
発表テーマ
Evaluation of the transformed layer of
DLC coatings after sliding in oil using
spectroscopic reflectometry
2012.9
39th LEEDS - LYON SYMPOSIUM
ON TRIBOLOGY 2012
Hardness Effect of DLC on
Tribological Properties for Sliding
Bearing under Boundary Lubrication
Condition in Additive-free Mineral
Base Oil
2013.5
日本トライボロジー学会
トライボロジー会議2013春
トライボ
ジ 会議
春
軸受材料としてのDLCコーティングの
基礎摺動特性
WTC2013
5th World Tribology Congress
Characteristic of structure changed
layer of Hydrogen free DLC after
sliding test in additive-free mineral
base oil
2013.9
3.成果、実績等
14
3.3.原油換算省エネ効果
原油換算省 ネ効果
◆ 指標A:従来車両の1台あたりの年間エネルギー消費量と、1台あたりの燃費低減効果
-2L/km) = 667L/台(ガソリン)
平均走行距離(1万km)×平均燃費(6.67×10
均走行 離
均燃費
台 ガ
= 604L/台(原油換算)
台
油換算
604L/台 × 燃費低減率2% = 12L/台(原油換算)
・・・
1台あたりの燃費低減効果
摩擦損失半減による
◆ 指標B:各年時点の使用台数(国内)
2025年 : 12L × 676万台(日産分:359万台)
676万台(日産分 359万台) = 8.1(日産分:4.3)万kL/年
8 1(日産分 4 3)万kL/年
2030年 : 12L × 1678万台(日産分:677万台) = 20.1(日産分:8.1)万kL/年
2025年
2030年
指標A(効果量)
12 L/年
12 L/年
指標B(導入量)
676万台
1678万台
省エネ効果量
原油換算(kL/年)
8.1万
20.1万
燃費低減による軽量化効果の
推定(+2~3%)により、さらなる
省エネ効果量が期待できる
上記は自家用車にて事業化した場合のみを示したが、本技術は大同メタル工業からの供給により、
内燃機関を用いたトラック、船舶などの運輸関連での採用や、発電所のタービン軸の支持軸受、
産業機械の軸受での採用によって、更なる省エネルギーの波及効果が想定される
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