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選定種の解説

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選定種の解説
鳥類
サンカノゴイ
岡山県:情報不足
Botaurus stellaris stellaris (Linnaeus)
環境省:絶滅危惧Ⅰ B 類
コウノトリ目
サギ科
選定理由
湿地の大きなヨシ原を生息地とする非常に特異なサギでヨシ原の
減少・消滅に伴って個体数を減らしている。保護が必要である。
存続を脅かす要因
池沼開発、河川開発(護岸工事)、湿地開発(ヨシ原減少)、水質
汚濁、餌生物減少
分布状況
日本では北海道から本州北部・中部に夏鳥として渡来し繁殖する。
本州南西部、四国、九州では冬鳥として渡来する。
岡山県にも冬季渡来するが、生息数は少ない。
撮影:中桐 暢良
生息情報
岡山県内では、冬季における越冬個体の確認が主である。湖沼や
池、河川、湿地などの大きなヨシ原の中で過ごし、開けた場所に
出てくることは少ない。主として夜間に行動するので姿は見つけに
くい。敵が近づくと直立したり、地面に伏せたりしてじっとしてい
る。魚類、両生類、爬虫類、昆虫類を捕食する。
特記事項
鳥獣保護法:希少鳥獣
日露渡り鳥条約、日中渡り鳥協定
文献番号 1,2,3,5
(丸山 健司、山田 信光)
ヨシゴイ
岡山県:絶滅危惧Ⅱ類
Ixobrychus sinensis sinensis (Gmelin)
環境省:準絶滅危惧
コウノトリ目
サギ科
選定理由
池沼や湿地が減少しヨシ原などの生息地が減少すると共にその個
体数を減らしている。保護が必要である。
存続を脅かす要因
池沼開発、河川開発(護岸工事)、湿地開発(ヨシ原減少)、水質
汚濁、餌生物減少
分布状況
日本では北海道から本州、四国、九州に夏鳥として渡来し繁殖す
る。岡山県では広いヨシ原が見られる河川、池沼、湿地やハス田の
ある南部から中部にかけて分布する。生息数は少ない。
生息情報
夏鳥として渡来し、水田、ハス田、河川、湖沼、湿地などの広い
ヨシ原で繁殖する。昼夜関係なく1日中行動し、主として魚を捕食
するが、甲殻類、カエル、昆虫類も捕る。水際のヨシの茎に止まっ
て、水面を覗き込むようにして魚を探す。飛翔時の翼の黒褐色と背
中の茶褐色のコントラストの美しい小型のサギである。
特記事項
日米渡り鳥条約、日露渡り鳥条約、日中渡り鳥協定
文献番号 1,2,3,5
(丸山 健司、山田 信光)
- 49 -
撮影:秋山 登
鳥類
ミゾゴイ
岡山県:絶滅危惧Ⅰ類
Gorsachius goisagi (Temminck)
環境省:絶滅危惧ⅠB類
コウノトリ目
サギ科
選定理由
森林の荒廃によりその個体数が減少している。保護が必要であ
る。
存続を脅かす要因
森林伐採、林相変化(生息場所減少、営巣木減少)、河川開発、
水質汚濁、餌生物減少
分布状況
本州、四国、九州に夏鳥として渡来し繁殖する。日本だけが繁殖
地として知られている。繁殖地は西日本に多い。岡山県では、南部
での確認が少なく、中部から北部の山間部に見られる。生息数は少
ない。
撮影: 三好 薫
生息情報
夏鳥として渡来し、丘陵や低山のよく茂った林の中で繁殖する。
岡山県の中・北部を中心に広葉樹林を主体として生息する。群れに
なることはなく、1羽またはつがいで生活するので非常に確認がむ
ずかしい。夕方になると休息場所から採餌場所へ向かい、主にサ
ワガニ、カエル、魚類を食べる。繁殖期の夜に雄は高木に止まり、
ゆっくりとしたテンポで「ポォーッ、ポォーッ、ポォーッ」と鳴く。
特記事項
日米渡り鳥条約、日中渡り鳥協定
文献番号 1,2,3,4,5
(丸山 健司、山田 信光)
チュウサギ
岡山県:絶滅危惧Ⅱ類
Egretta intermedia intermedia (Wagler)
環境省:準絶滅危惧
コウノトリ目
サギ科
選定理由
コサギ、ダイサギも近年その数を減らしつつあるが、主として昆
虫を捕食する本種は特に個体数が減少している。保護が必要であ
る。
存続を脅かす要因
農薬汚染、餌生物減少、林相変化(営巣木減少)、土地造成(農
地造成)
分布状況
日本では本州、四国、九州に夏鳥として渡来し繁殖する。
岡山県では、南部から中部にかけて分布する。
生息数は少ない。
生息情報
夏鳥として渡来、白サギと呼ばれる3種類のサギの中では中型で
ある。サギの仲間の多くは、魚類を主要な餌としているが、本種は
昆虫類を主要な餌としている。従って、生息場所は河川よりも昆虫
類が多く生息する草地や水田、湿地などを好む。繁殖は他のサギ類
と共にコロニーを形成し、子育てをする。
特記事項
日米渡り鳥条約、日露渡り鳥条約、日中渡り鳥協定
文献番号 1,2,3,5
(丸山 健司、山田 信光)
- 50 -
撮影:香西 宏明
鳥類
カラシラサギ
岡山県:情報不足
Egretta eulophotes (Swinhoe)
環境省:準絶滅危惧
コウノトリ目
サギ科
選定理由
世界的に個体数が少なく保護を必要としている。
存続を脅かす要因
池沼開発、河川開発、湿地開発、海岸開発(干潟減少、干拓、埋
立)、水質汚濁、餌生物減少
分布状況
朝鮮民主主義人民共和国および中国南部のごく一部でしか繁殖が
確認されていない。個体数は 2,000 ~ 2,500 羽程度と言われている。
日本へは主に旅鳥として渡来する。岡山県では、冬季のに確認され
ることが多いが、夏季に確認された例もある。
撮影:栗岡 武史
生息情報
コサギ大の白いサギで、夏羽は後頭部に冠羽が見られる。海岸線
や干潟で魚類を主体とした餌捕りをすることが多いが、池沼や水田
に入ることもある。浅瀬でくちばしを水中に浸けた状態で活発に動
き回り獲物を捕食する。
他のサギは待ち伏せをして魚を捕食するが、本種の捕食行動は積
極的である。
文献番号 1,2,3,4,5
(丸山 健司、山田 信光)
クロサギ
岡山県:情報不足
コウノトリ目
Egretta sacra sacra (Gmelin)
環境省:該当なし
サギ科
選定理由
海岸の岩礁や河口などに生息する。内陸部へはほとんど入らな
い。自然海岸が重要な餌場である。岡山県では個体数が少ない。
存続を脅かす要因
海岸開発(干潟減少、磯減少)、水質汚濁、餌生物減少
分布状況
本州以南の海岸線および東南アジアの海岸線に分布する。
岡山県では、島嶼部や海岸部の岩礁や磯での確認が多いが、瀬戸
内市の水田地帯での確認もある。非常に限定された環境下で見られ
る。
生息情報
コサギ大、全身真っ黒のサギ。海岸の岩礁や河口、干潟などで1
羽またはつがいで行動し、主に魚類を捕食するが、カニやエビなど
も食べる。海に近い水田や河川に入ることもある。
巣は海岸の岩棚に作るが、岡山県での営巣の確認例はない。
特記事項
日米渡り鳥条約
文献番号 1,2,3,5
(丸山 健司、山田 信光)
- 51 -
撮影:江木 寿男
鳥類
コウノトリ
岡山県:情報不足
コウノトリ目
Ciconia boyciana Swinhoe
環境省:絶滅危惧ⅠA類
コウノトリ科
選定理由
日本における生息数は極端に少ない。保護が必要である。
存続を脅かす要因
土地造成(水田開発)、用水路改修、池沼開発、河川開発、湿地
開発、農薬汚染、水質汚濁、餌生物減少
分布状況
かつて、日本列島には多数生息していたが、明治期以後生息環境
が悪化し激減してしまった。中国から渡って来る個体が確認される
ことがある。また、近年、兵庫県豊岡市のコウノトリの郷公園が野
生放鳥した個体が岡山に姿を見せることもある。
生息情報
全長 110 ~ 115cm、翼開長 160 ~ 200cm、体重4~6kg もある
大型の水鳥。遠くから見るとツルに似ているため混同されることが
ある。湖沼、河口、水田、干潟などの水辺を歩いて、魚や両生類、
爬虫類などを捕食する。羽ばたいて飛翔するが、上昇気流を利用し
て帆翔し、空高く上昇することがある。
撮影:國方 春行
特記事項
文化財保護法:特別天然記念物
種の保存法:国内希少野生動植物種
鳥獣保護法:希少鳥獣
日露渡り鳥条約
国内繁殖個体群・野生絶滅(1971 年)
ワシントン条約 附属書Ⅰ
文献番号 1,2,3,4,5
(丸山 健司、山田 信光)
ヘラサギ
岡山県:絶滅危惧Ⅱ類
Platalea leucorodia major
Temminck & Schlegel
環境省:情報不足
コウノトリ目
トキ科
選定理由
県南部の河口、池沼、湿地など限られた環境へ渡来し、個体数は
少ない。保護が必要である。
存続を脅かす要因
池沼開発、河川開発、湿地開発、海岸開発、水質汚濁、餌生物減
少
分布状況
主要繁殖地は中国北部からシベリア南部である。日本には越冬す
るために渡来する。
岡山県では、南部の池沼、干潟、河口で冬季に確認されるが、個
体数は少ない。
生息情報
へら状のくちばしを持つ白い鳥。ダイサギよりやや小さい。日本
へは冬鳥または旅鳥として渡来して池沼、干潟、河口、湿地や水田
で、半開きした平たいくちばしを水中で左右に振りながら索餌し、
魚類やエビ、カニなどを捕食する。
特記事項
日露渡り鳥条約、日中渡り鳥協定
ワシントン条約 附属書Ⅱ
文献番号 1,2,3,4,5
(丸山 健司、山田 信光)
- 52 -
撮影:秋山 登
鳥類
クロツラヘラサギ
岡山県:絶滅危惧Ⅰ類
Platalea minor Temminck & Schlegel
環境省:絶滅危惧ⅠA類
コウノトリ目
トキ科
選定理由
世界的に個体数の少ない種である。保護が必要である。
存続を脅かす要因
池沼開発、河川開発(護岸工事)、湿地開発、海岸開発(干潟減少、
干拓、埋立)、水質汚濁、餌生物減少
分布状況
繁殖地は朝鮮民主主義人民共和国北部の一部にあるとされている
が、非常に生息数の少ない種である。日本には越冬のため姿を見せ
るが、その多くは九州から西日本に集中している。
岡山県での確認はまれで、南部の河口及び池沼で確認されてい
る。
撮影:香西 宏明
生息情報
チュウサギよりやや小さい。ヘラサギに似ているが、くちばしが
黒く目先部分の黒い皮膚が露出している。日本へは冬鳥または旅鳥
として渡来して、干潟、河口、湿地や水田で、くちばしを半開きに
して水中に入れ、左右に振りながら餌を捕食する。日中は、ヨシ原
の中州の中央などで休息していることが多い。
特記事項
鳥獣保護法:希少鳥獣
日中渡り鳥協定
文献番号 1,2,3,4,5
(丸山 健司、山田 信光)
コクガン
岡山県:情報不足
カモ目
Branta bernicla orientalis Tugarinov
環境省:絶滅危惧Ⅱ類
カモ科
選定理由
瀬戸内海ではその渡来数は少ない。保護が必要である。
存続を脅かす要因
海岸開発(干拓、埋立)、水質汚濁
分布状況
繁殖地はシベリアおよびアラスカの北部、北極圏内にあり、冬季
に北日本の海岸で過ごすものが多い。その個体数は少ないが、瀬戸
内海で過ごす個体もある。
生息情報
マガンよりやや大きく、全体に黒色で喉に白色の縞模様がある。
冬鳥として渡来する。内陸部に入ることはなく、海岸に近い所で過
ごし、岩礁のイワノリやアオサ、浅瀬などの海藻などを逆立ちして
食べる。海域で採食したあとは、淡水域で水浴びをして体の塩分を
落とし、陸に上がって休息する。
特記事項
文化財保護法:天然記念物
鳥獣保護法:希少鳥獣
日米渡り鳥条約、日露渡り鳥条約、日中渡り鳥協定
文献番号 1,2,3,4,5
(丸山 健司、山田 信光)
- 53 -
撮影:香西 宏明
鳥類
マガン
岡山県:情報不足
カモ目
Anser albifrons frontalis Baird
環境省:準絶滅危惧
カモ科
選定理由
冬季に飛来するが、その飛来数は少ない。保護が必要である。
存続を脅かす要因
池沼開発、河川開発、土地造成(農地造成)
分布状況
繁殖地はシベリア北部の北極圏にあり、冬季日本に渡来し、東北
および日本海側の地域で越冬する。
岡山県ではその個体数が少ないが、南部の水田地帯が広がる河
川、
池沼などでまれに観察されている。
撮影:西村 由紀子
生息情報
体は灰褐色で、背に淡い横斑があり、雌雄同色でガン類の中では
最も一般的な種である。池沼や河川、河口などの浅瀬を夜のねぐら
とし、朝方水田などの餌場に群れで出かけて、落穂や水草などを採
食する。
特記事項
文化財保護法:天然記念物
日米渡り鳥条約、日露渡り鳥条約、日中渡り鳥協定
文献番号 1,2,3,5
(丸山 健司、山田 信光)
オオヒシクイ
岡山県:情報不足
カモ目
Anser fabalis middendorffii Severtzov
環境省:準絶滅危惧
カモ科
選定理由
マガンより飛来数は少なく、保護が必要である。
存続を脅かす要因
池沼開発、河川開発(護岸工事)、湿地開発、土地造成(農地造成)
分布状況
繁殖地は主にシベリアのツンドラ地帯と言われる。大きな群れを
形成し、マガンなどと混群を形成することもあるが、岡山県におい
ては、単独か小さな群れの場合が多い。
生息情報
日本には、オオヒシクイとヒシクイの2亜種が冬鳥として渡来す
る。その内半数以上が、このオオヒシクイである。くちばしが長
く、薄い、くちばしの先端は丸味を帯び、頸が長い。主として沼
地、池などを採食地として、水生植物のマコモの根茎部やヒシの実
を採食する。越冬地は主に日本海側が多い。
特記事項
文化財保護法:天然記念物
日米渡り鳥条約、日露渡り鳥条約、日中渡り鳥協定
文献番号 1,2,3,4,5
(丸山 健司、山田 信光)
- 54 -
撮影:三宅 和子
鳥類
アカツクシガモ
岡山県:情報不足
カモ目
Tadorna ferruginea (Pallas)
環境省:情報不足
カモ科
選定理由
冬季に主として県南部の海岸地域に飛来するが、その飛来数は少
ない。保護が必要である。
存続を脅かす要因
池沼開発、河川開発(護岸工事)、土地造成(農地造成)
分布状況
中国内陸部を繁殖地とし、冬季に日本に渡来するが、定期的な渡
来地はなく、渡来数も1~2羽の場合が多い。西日本での記録が多
く、岡山県では海岸部の河川、池沼近くで単独での確認が多い。
生息情報
大型のカモでマガンと同程度の大きさ。雌雄同じ色彩で、体は橙
赤色、頭部は色が淡い。一見色合いは目立つが、枯草の中にいると
カムフラージュされ目立たない。冬鳥として渡来し、湖沼、広い河
川で過ごすが、内陸部よりも海岸に近い場所を好む。比較的乾燥し
た場所で青草などを食べることが多い。
撮影:香西 宏明
特記事項
日中渡り鳥協定
文献番号 1,2,3,4,5
(丸山 健司、山田 信光)
ツクシガモ
岡山県:絶滅危惧Ⅱ類
カモ目
Tadorna tadorna (Linnaeus)
環境省:絶滅危惧ⅠB類
カモ科
選定理由
冬季に主として県南部の海岸地域に飛来するが、その飛来数は少
ない。保護が必要である。
存続を脅かす要因
池沼開発、河川開発(護岸工事)、湿地開発、海岸開発(干潟減少、
干拓、埋立)、水質汚濁
分布状況
中国内陸部を繁殖地とし、冬季に日本に渡来する。国内では有明
海や博多湾が主な渡来地である。瀬戸内海にも定期的な渡来地があ
り、岡山県では、笠岡湾干拓地、倉敷市玉島港湾埋立地、児島湖、
阿部池などに渡来する。
生息情報
アカツクシガモと同程度の大きさの大型カモ類。体は全体の白色
が目立ち、頭部や肩羽は緑色光沢のある黒色。冬鳥として渡来し、
干拓地や干潟、湖沼などで過ごす。水際や水が少し残った場所で、
くちばしを水に浸けて、頭を左右に振りながら甲殻類や海草類を採
食する。
特記事項
鳥獣保護法:希少鳥獣
日中渡り鳥協定
文献番号 1,2,3,5
(丸山 健司、山田 信光)
- 55 -
撮影:秋山 登
鳥類
オシドリ
岡山県:準絶滅危惧
カモ目
Aix galericulata (Linnaeus)
環境省:情報不足
カモ科
選定理由
世界でも極東地域に分布が限られた種であり、その個体数は少な
い。保護が必要である。
存続を脅かす要因
河川開発、池沼開発(生息場所の減少)、森林伐採、林相変化(餌
資源の減少)、その他(ダム湖などへのレジャーボート乗り入れ)
分布状況
繁殖地は山陰地方から本州中部以北及び極東アジアの限られた地
域である。岡山県では、主に県中部から北部の渓流、山間部の池、
ダム湖などで多く見られ、県南部でもその姿を見ることがある。
撮影:國方 春行
生息情報
鳥取県では留鳥として繁殖が確認されている。岡山県では繁殖の
確認はまだなく、冬鳥としての渡来が確認されている。
山間部の渓流や林内の池、ダム湖に多く、水面に面した木陰や水
辺の樹上、または水面で群れをなして休息する。夕方に採餌場に出
かけ、ドングリや草などを食べる。
文献番号 1,2,3,5
(丸山 健司、山田 信光)
トモエガモ
岡山県:絶滅危惧Ⅱ類
カモ目
Anas formosa Georgi
環境省:絶滅危惧Ⅱ類
カモ科
選定理由
世界的にその生息数が激減している。保護が必要である。
存続を脅かす要因
河川開発、池沼開発
分布状況
繁殖地はシベリアであり、冬季に本州中部以南に多く見られる。
岡山県では、南部の湖沼や河川に他のカモの群れに混じって見ら
れ、その多くは1、2羽~数十羽までの群れである。
児島湖に 400 羽近い大群が渡来したこともある。
生息情報
マガモよりやや小さい中型のカモ、雄の顔の模様が特徴的で、黄
白色と緑色、黒色のともえ形の斑紋がある。胸は紫褐色で、胸側に
白い横線がある。雌は他のカモと比べ赤褐色味がある。冬鳥として
渡来し、湖沼、河川で過ごす。多くの場合単独でいることが多い。
水面採食と潜水採食の両方で水草やその根を採食する。また、水田
に入ってイネ科植物なども食べる。
特記事項
鳥獣保護法:希少鳥獣
日米渡り鳥条約、日中渡り鳥協定
ワシントン条約 附属書Ⅱ
文献番号 1,2,3,4,5
(丸山 健司、山田 信光)
- 56 -
撮影:秋田 實
鳥類
アカハジロ
岡山県:情報不足
カモ目
Aythya baeri (Radde)
環境省:情報不足
カモ科
選定理由
日本への定まった渡来地がない。個体数は少ない。保護が必要で
ある。
存続を脅かす要因
河川開発、池沼開発、水質汚濁
分布状況
繁殖地は極東アジアに限定され、その多くは中国南部へ渡って越
冬するが、一部が他の種類と共に日本に渡来する。
日本での定まった渡来地はない。岡山県では非常に散発的にごく
少数が確認されているのみである。
撮影: 三宅 和子
生息情報
マガモよりやや小さい中型のカモ、雄の頭部は緑色光沢のある黒
色、胸は赤褐色、体は褐色。虹彩は白い。雌の虹彩は褐色。冬鳥と
して渡来し、湖沼、河川で過ごす。多くの場合単独で、キンクロハ
ジロやホシハジロの群れの中にいることが多い。水面採食と潜水採
食の両方で水草やその根を採食する。
特記事項
日米渡り鳥条約、日中渡り鳥協定
文献番号 1,2,3,4,5
(丸山 健司、山田 信光)
コウライアイサ
岡山県:情報不足
カモ目
Mergus squamatus Gould
環境省:情報不足
カモ科
選定理由
世界的に個体数の少ない種である。保護が必要である。
存続を脅かす要因
河川開発、池沼開発、水質汚濁
分布状況
繁殖地は極東アジアの限られた地域であり、世界的希少種であ
る。日本における確認事例も少ない。岡山県では旭川ダム湖と岡山
市内の旭川での確認がある。
生息情報
カモ科アイサ類の中では、中型である。雄の頭部は緑黒色で、背
中まで垂れるボサボサした冠羽がある。雌の頭部は茶褐色で冠羽
は雄より短い。冬鳥として渡来し、湖沼や河川、ダム湖などで過ご
す。潜水して魚を捕食する。警戒心が強く、河川や湖沼でも人があ
まり近づけない水域にいることが多い。
特記事項
種の保存法:国際希少野生動植物種
文献番号 1,2,3,4,5
(丸山 健司、山田 信光)
- 57 -
撮影: 斉木 孝
鳥類
ミサゴ
岡山県:準絶滅危惧
タカ目
Pandion haliaetus haliaetus (Linnaeus)
環境省:準絶滅危惧
タカ科
選定理由
自然界の上位に位置する猛禽類であり、個体数は少ない。保護が
必要である。
存続を脅かす要因
河川開発、池沼開発、森林伐採、林相変化(営巣木減少)、その
他(写真目的等営巣接近)
分布状況
日本では北海道から琉球諸島まで、ほぼ全国に留鳥として分布す
る。岡山県では、主として南部の海岸に近い場所で見られるが、最
近は中部・北部の河川や池などでも確認されている。
撮影: 村上 義徳
生息情報
雌雄ほぼ同色で、体の上面は黒褐色、下面は白色である。
日本産のタカ類の中では、白っぽく見える。留鳥で1年中見られ
るが、冬季には北方からの越冬個体が加わり、その数を増す。魚食
性で、海岸、河口、湖沼、河川などを採餌場とする。水面上空で停
空飛翔し、水中に足からダイビングして魚を捕らえる。営巣は岩棚
や大木の樹冠で行う。
特記事項
日米渡り鳥条約、日露渡り鳥条約
ワシントン条約 附属書Ⅱ
営巣地保護のため分布情報図非公開とする。
文献番号 1,2,3,5
(丸山 健司、山田 信光)
ハチクマ
岡山県:絶滅危惧Ⅱ類
タカ目
Pernis apivorus orientalis Taczanowski
環境省:準絶滅危惧
タカ科
選定理由
ほぼ全県下に生息するが、個体数は少ない。保護が必要である。
存続を脅かす要因
森林伐採、林相変化(営巣木減少、餌場減少)、その他(写真目
的等営巣接近)、餌生物減少
分布状況
日本では北海道から本州、四国に夏鳥として渡来し、繁殖する。
岡山県では、ほぼ全域で見ることができる。繁殖期はほとんど林の
中を移動するので、その姿を見ることは困難である。9月に南へ移
動する渡りの時期には、上空を通過する姿がよく見られる。
生息情報
トビより少し小さく、雌雄ほぼ同色。体上面は褐色か黒褐色であ
るが、下面は白色、褐色、黒色など模様に個体差がかなりある。夏
鳥として渡来し、本州以北の低山の林で繁殖する。
カエル、昆虫やヘビなどを捕食する。また、繁殖期にはスズメバ
チなどのハチの巣を襲って食べることが多くなる。
特記事項
ワシントン条約 附属書Ⅱ
営巣地保護のため分布情報図非公開とする。
文献番号 1,2,3,4,5
(丸山健司、山田信光)
- 58 -
撮影: 森末 善昭
鳥類
オジロワシ
岡山県:情報不足
タカ目
Haliaeetus albicilla albicilla (Linnaeus)
環境省:絶滅危惧ⅠB類
タカ科
選定理由
岡山県内での飛来数は少ない。保護が必要である。
存続を脅かす要因
海岸開発、池沼開発
分布状況
繁殖地は主としてシベリアである。ごく少数が北海道北部でも繁
殖している。日本での個体はそのほとんどが冬鳥として渡来したも
のである。渡来地は北日本から日本海側が主であるが、瀬戸内海に
も姿を見せることがあり、岡山県での確認は2~3年に1度程度あ
る。
撮影: 香西 宏明
生息情報
翼を拡げると2m位となり、広く四角張った感じである。体全体
は褐色で頭部は淡色、そして尾が白色、雌雄同色。
冬鳥として渡来し、海岸、湖沼で魚類を主食としている。
海岸で魚が捕れないときは、湖沼や河川などでカモ類やカモメ類
を襲うこともある。
特記事項
種の保存法:国内希少野生動植物種
鳥獣保護法:希少鳥獣
日米渡り鳥条約、日露渡り鳥条約
ワシントン条約 附属書Ⅰ
文献番号 1,2,3,4,5
(丸山 健司、山田 信光)
オオワシ
岡山県:情報不足
タカ目
Haliaeetus pelagicus pelagicus (Pallas)
環境省:絶滅危惧Ⅱ類
タカ科
選定理由
岡山県内での飛来数は少ない。保護が必要である。
存続を脅かす要因
海岸開発、池沼開発
分布状況
繁殖地は極東アジア、シベリア南部からカムチャッカ半島の限ら
れた地域である。冬季に北海道から北日本の沿岸海域に渡来する。
特に知床半島での越冬が多い。瀬戸内海及び岡山県での確認はごく
まれである。
生息情報
翼を拡げるとおよそ 2.3 mになる大型のワシ。黄色の大きなくち
ばしとくさび形の尾が特徴。雌雄同色で全体が黒色ないしは黒褐
色。 冬鳥として渡来し、沿岸海域、湖沼、河川で魚類を主として捕食
する。魚類が捕れない場合はウサギや海鳥のカモメなどを襲うこと
もある。休息地やねぐらは、陸地の崖や大木などである。
特記事項
文化財保護法:天然記念物
種の保存法:国内希少野生動植物種
鳥獣保護法:希少鳥獣
日米渡り鳥条約、日露渡り鳥条約、日中渡り鳥協定
ワシントン条約 附属書Ⅱ
文献番号 1,2,3,4,5
(丸山 健司、山田 信光)
- 59 -
撮影:井出 千代子
鳥類
オオタカ
岡山県:絶滅危惧Ⅱ類
タカ目
Accipiter gentilis fujiyamae (Swann & Hartert)
環境省:準絶滅危惧
タカ科
選定理由
岡山県内全域に分布している。主要な営巣木である松の減少、里
山の荒廃などで個体数が減っている。保護が必要である。
存続を脅かす要因
森林伐採、林相変化、土地造成、道路工事、ゴルフ場(生息地の
減少)、業者・マニア捕獲、その他(写真目的等営巣接近)、農薬汚
染(松食い虫防除の薬剤空中散布)、餌生物減少
分布状況
日本では九州以北で繁殖する。冬季には琉球諸島まで南下する個
体もある。岡山県全域に確認され、市街地周辺の林においてもその
姿を見ることができる。
撮影: 濱 伸二郎
生息情報
カラス程の大きさで、雌雄ほぼ同色である。頭から背中は暗青灰
色で、体下面は白地に黒い横斑がある。全国の平地から山地にす
み、農耕地や市街地に姿を見せることもある。餌は主として鳥類で
あるが、ネズミ類やノウサギを捕食することもある。
繁殖期以外は単独で行動することが多い。
特記事項
種の保存法:国内希少野生動植物種
鳥獣保護法:希少鳥獣、日中渡り鳥協定
ワシントン条約 附属書Ⅱ
営巣地保護のため分布情報図非公開とする。
文献番号 1,2,3,5
ツミ
(丸山 健司、山田 信光)
岡山県:絶滅危惧Ⅱ類
Accipiter gularis gularis (Temminck & Schlegel) 環境省:該当なし
タカ目
タカ科
選定理由
岡山県内全域に生息している。その個体数は少ない。自然界の上
位に位置する生物として保護が必要である。
存続を脅かす要因
森林伐採、林相変化、土地造成、道路工事、ゴルフ場(生息地の
減少)、業者・マニア捕獲、その他(写真目的等営巣接近)、農薬汚
染(松食い虫防除の薬剤空中散布)、餌生物減少
分布状況
日本では九州以北で繁殖する。冬季には関東以南琉球諸島まで南
下して越冬する。岡山県では全域で繁殖し、冬季における確認事例
もあるので越冬している個体もある。
生息情報
ヒヨドリ位の大きさで最も小さいタカ。九州以北では夏鳥である
が、関東以西では一部留鳥として冬でも見ることがある。
平地から山地の林で繁殖し、小鳥類を主として捕食するが、昆虫
なども捕る。近年は、市街地の緑地帯で繁殖する例も報告されてい
る。秋には単独または数羽の小さな群で南下する姿を見ることがで
きる。
特記事項
日米渡り鳥条約、日露渡り鳥条約、日中渡り鳥協定 ワシントン条約 附属書Ⅱ
営巣地保護のため分布情報図非公開とする。
文献番号 1,2,3,5
(丸山 健司、山田 信光)
- 60 -
撮影: 濱 伸二郎
鳥類
ハイタカ
岡山県:絶滅危惧Ⅱ類
タカ目
Accipiter nisus nisosimilis (Tickell)
環境省:準絶滅危惧
タカ科
選定理由
冬季にほぼ全県下に渡来する。その個体数は少ない。自然界の上
位に位置する猛禽類である。保護が必要である。
存続を脅かす要因
森林伐採、林相変化、土地造成、ゴルフ場、業者・マニア捕獲、
餌生物減少
分布状況
日本では本州以北で繁殖する。四国、九州では冬鳥となる。
岡山県でも主に冬鳥として見られる。
生息情報
ハト大のタカで、雌は雄よりも大きい。頭から背中は暗灰青色、
体下面は白く、雄は褐色の横斑、雌は黒い横斑がある。
本州以北の平地から亜高山地帯の林で繁殖し、冬は全国的に見ら
れる。主として小鳥を捕食するが、ネズミ類も捕る。
冬は小鳥が集まる地域で単独で行動している個体が多い。
撮影: 秋山 登
特記事項
日露渡り鳥条約
ワシントン条約 附属書Ⅱ
文献番号 1,2,3,5
(丸山 健司、山田 信光)
ノスリ
岡山県:準絶滅危惧
タカ目
Buteo buteo japonicus (Temminck & Schlegel)
環境省:該当なし
タカ科
選定理由
岡山県下での繁殖個体は非常に少ない。冬季にはほぼ全県下で見
ることができる。保護が必要である。
存続を脅かす要因
森林伐採、林相変化、土地造成(農地造成)、ゴルフ場、農薬汚
染、餌生物減少
分布状況
日本では四国、本州以北で繁殖する。冬季は屋久島や種子島まで
渡る。岡山県での繁殖事例は少ない。冬季の越冬個体は北からの南
下個体で増加する。
生息情報
トビより一回り小さいタカで、頭部から背中は淡褐色から黒褐
色、胸は白っぽく、雌雄はほぼ同色であるが、羽色や模様に個体差
がある。本州以北の低山の林で繁殖する。冬には農耕地や牧草地、
河原などでも見かけられる。停空飛翔し主にネズミを探し出し捕食
するが、カエルやヘビ、昆虫、小鳥なども捕る。
特記事項
日露渡り鳥条約
ワシントン条約 附属書Ⅱ
文献番号 1,2,3,5
(丸山 健司、山田 信光)
- 61 -
撮影: 秋田 實
鳥類
サシバ
岡山県:絶滅危惧Ⅱ類
タカ目
Butastur indicus (Gmelin)
環境省:絶滅危惧Ⅱ類
タカ科
選定理由
近年特に個体数が減少している。保護が必要である。
存続を脅かす要因
森林伐採、林相変化、土地造成(農地造成)、道路工事(林道工
事)、ゴルフ場、農薬汚染、農薬汚染(松食い虫防除の薬剤空中散
布)、その他(写真目的等営巣接近、山間部の農地荒廃)
分布状況
繁殖地は日本及び朝鮮半島から極東アジアの限られた地域で、
冬季は中国南部から東南アジアで越冬する。夏鳥として九州・四
国・本州に渡来し、繁殖する。岡山県ではほぼ全域の山間地で見ら
れる。
撮影: 濱 伸二郎
生息情報
カラス大のタカで、体の上面は褐色、下面は白っぽく褐色の横斑
がある。雌雄はほぼ同色。湿地や谷間の水田などを餌場として、低
山や丘陵地の林で繁殖する。爬虫類や両生類を好んで捕食するが、
昆虫やネズミ類なども捕る。秋になると大群で渡りをして、東南ア
ジアで越冬する。
特記事項
日露渡り鳥条約、日中渡り鳥協定
ワシントン条約 附属書Ⅱ
営巣地保護のため分布情報図非公開とする。
文献番号 1,2,3,5
(丸山 健司、山田 信光)
クマタカ
岡山県:絶滅危惧Ⅰ類
タカ目
Spizaetus nipalensis orientalis
Temminck & Schlegel
環境省:絶滅危惧ⅠB類
タカ科
選定理由
県中北部を主体として生息する。個体数は少ない。保護が必要で
ある。
存続を脅かす要因
森林伐採、林相変化(営巣木減少)、道路工事(林道工事)、その
他(写真目的等営巣接近)、農薬汚染(松食い虫防除の薬剤空中散布)
分布状況
日本では北海道から四国、九州で繁殖する。森林の発達した山深
い地域に繁殖地が多い。岡山県では、中部から北部の森林地帯に年
間を通して見られる。
生息情報
トビよりやや大きい大型のタカで、上面は暗灰褐色、頭部から体
の下面は白い。胸には黒い縦斑があり、腹部には横斑がある。雌雄
ほぼ同色。日本全国に留鳥として生息し、低山から亜高山帯の林で
繁殖する。上空を帆翔したり、樹上から餌を探したりして、主に哺
乳類、鳥類、爬虫類、両生類を捕食する。
特記事項
種の保存法:国内希少野生動植物種
鳥獣保護法:希少鳥獣
ワシントン条約 附属書Ⅱ
営巣地保護のため分布情報図非公開とする。
文献番号 1,2,3,4,5
(丸山 健司、山田 信光)
- 62 -
撮影: 森末 善昭
鳥類
イヌワシ
岡山県:絶滅危惧Ⅰ類
タカ目
Aquila chrysaetos japonica Severtzov
環境省:絶滅危惧ⅠB類
タカ科
選定理由
日本国内での個体数が少ない。自然界の上位に位置する猛禽類で
ある。保護が必要である。
存続を脅かす要因
森林伐採、林相変化(採餌場減少)、その他(写真目的等営巣接
近)、道路工事(林道工事)、餌生物減少
分布状況
日本では北海道、本州、九州の山岳地帯で繁殖する。岡山県内で
は北部でまれに飛翔を見ることがある。
生息情報
大きさはオジロワシと同程度。体は黒褐色で後頭部が金褐色であ
る。雌雄ほぼ同色。九州以北に留鳥として棲むが、個体数は少な
く、その多くは本州の山岳地帯に生息しており、広い縄張りを持
つ。主としてウサギなどの哺乳類や鳥類、爬虫類、両生類を捕食す
る。
撮影: 村上 義徳
特記事項
文化財保護法:天然記念物
種の保存法:国内希少野生動植物種
鳥獣保護法:希少鳥獣
ワシントン条約 附属書Ⅱ
営巣地保護のため分布情報図非公開とする。
文献番号 1,2,3,4,5
(丸山 健司、山田 信光)
ハイイロチュウヒ
岡山県:準絶滅危惧
タカ目
Circus cyaneus cyaneus (Linnaeus)
環境省:該当なし
タカ科
選定理由
冬季に渡来する個体数は少ない。自然界の上位に位置する猛禽類
である。保護が必要である。
存続を脅かす要因
湿地開発、河川開発(護岸工事)、土地造成(農地造成)、農薬散
布、餌生物減少、その他(農地の荒廃)
分布状況
冬季に北海道、本州から琉球諸島に冬鳥として渡来し、越冬す
る。岡山県では広いヨシ原、牧草地、農耕地、水田地域で見ること
ができる。
生息情報
サシバと同程度の中型のタカである。雄は頭部と体が明るい灰色
で下面は白色。雌は体上面が褐色で、下面は淡褐色に黒褐色の縦
斑がある。日本へは冬鳥として渡来し、農耕地の草地や湿地のヨシ
原、水田地帯を低空でV字形帆翔してネズミ類や小鳥類、両生類な
どを探して捕食する。日中はヨシ原の中や畔、休耕田の草地の中で
休息し、ネズミ類の動き出す夕方に行動することが多い。
特記事項
日露渡り鳥条約、日中渡り鳥協定
ワシントン条約 附属書Ⅱ
文献番号 1,2,3,4,5
(丸山 健司、山田 信光)
- 63 -
撮影: 清原 賢次
鳥類
チュウヒ
岡山県:絶滅危惧Ⅰ類
タカ目
Circus spilonotus spilonotus Kaup
環境省:絶滅危惧ⅠB類
タカ科
選定理由
岡山県下での繁殖確認は少ない。冬季には越冬個体を観察するこ
とができる。自然界の上位に位置する猛禽類である。保護が必要で
ある。
存続を脅かす要因
湿地開発、河川開発(護岸工事)、土地造成(農地造成)、農薬散
布、餌生物減少、その他(農地の荒廃)
分布状況
繁殖地はシベリアの極東地域が主である。日本では主に北海道と
本州の一部で局地的に繁殖している。岡山県では3カ所で繁殖が確
認されており、これらは日本国内でも数少ない貴重な事例である。
撮影: 香西 宏明
生息情報
トビよりやや小さい中型のタカ。頭部は白いものから黒いものま
で、下面も白と黒のまだら模様のものから、茶褐色、褐色、黒褐
色、灰褐色のものまで雌雄共にその体色や模様に個体差がある。広
い農耕地や水田、河原、湖沼、湿地などのヨシ原や草地などで、主
としてネズミ類を捕食する。鳥類や爬虫類、両生類なども捕る。多
くは冬鳥として渡来する。
特記事項
鳥獣保護法:希少鳥獣
日露渡り鳥条約、日中渡り鳥協定
ワシントン条約 附属書Ⅱ
営巣地保護のため分布情報図非公開とする。
文献番号 1,2,3,4,5
(丸山 健司、山田 信光)
ハヤブサ
岡山県:絶滅危惧Ⅱ類
タカ目
Falco peregrinus japonensis Gmelin
環境省:絶滅危惧Ⅱ類
ハヤブサ科
選定理由
ほぼ全県下で確認されているが繁殖場所が少なく個体数も少な
い。自然界の上位に位置する猛禽類である。保護が必要である。
存続を脅かす要因
河川開発、海岸開発、農薬汚染、餌生物減少、その他(農耕地の
荒廃)
分布状況
沖縄諸島を除く全国で繁殖する。岡山県全域で見ることができ
る。海岸や河口、湖沼、農耕地などの開けた場所を好む。
生息情報
頭部から上面は暗青灰色で、下面は白っぽく黒い横斑がある。雌
雄ほぼ同色であるが、雌は雄よりやや大きい。
留鳥として繁殖している個体もあるが、冬鳥として渡来してくる
個体が多い。海岸、河口、湖沼、農耕地など開けた場所で、飛んで
いる鳥を急降下して足で引っ掛けて捕らえる。
特記事項
種の保存法:国内希少野生動植物種
鳥獣保護法:希少鳥獣
日米渡り鳥条約、日露渡り鳥条約 ワシントン条約 附属書Ⅰ
営巣地保護のため分布情報図非公開とする。
文献番号 1,2,3,4,5
(丸山 健司、山田 信光)
- 64 -
撮影: 村上 義徳
鳥類
コチョウゲンボウ
岡山県:準絶滅危惧
Falco columbarius insignis (Clark)
環境省:該当なし
タカ目
ハヤブサ科
選定理由
岡山県下では生息できる環境が限定されている。個体数は少な
い。自然界の上位に位置する猛禽類である。保護が必要である。
存続を脅かす要因
湿地開発、河川開発、海岸開発、土地造成(農地造成)、農薬汚
染、餌生物減少
分布状況
日本には冬鳥として渡来して、九州以北で越冬する。
岡山県では冬季に干拓地や海岸などで見られるが、数は少ない。
生息情報
ハトよりやや小さい小型のハヤブサ類。雄の上面は青灰色、下面
は淡い橙色に黒い縦斑がある。雌の上面は暗灰褐色、下面は淡いク
リーム色に黒褐色の横斑がある。冬鳥として渡来し、広い農耕地、
河原、干拓地、海岸などにいて、スピードのある飛翔で、急反転や
急降下をし、小鳥やネズミ類を捕食するほか昆虫やカエルなども捕
る。
撮影: 秋田 實
特記事項
日露渡り鳥条約、日中渡り鳥協定
ワシントン条約 附属書Ⅱ
文献番号 1,2,3,4,5
(丸山 健司、山田 信光)
チョウゲンボウ
岡山県:準絶滅危惧
Falco tinnunculus interstinctus McClelland
環境省:該当なし
タカ目
ハヤブサ科
選定理由
山間部にも生息するがその個体数は少ない。自然界の上位に位置
する猛禽類である。保護が必要である。
存続を脅かす要因
林相変化、湿地開発、河川開発、海岸開発、土地造成(農地造
成)、農薬汚染、餌生物減少
分布状況
日本では中部以北で繁殖している。冬季には全国で冬鳥として見
ることができる。岡山県でも全県下で冬季に見ることができる。
生息情報
ハトほどの大きさのハヤブサ類。雄は頭頂から顔が青灰色、背中
は茶褐色で黒い斑点がある。雌は上面が褐色で黒い斑点があり、下
面は淡黄褐色で黒い縦斑がある。平地から高山の草地、農耕地、河
原、埋立地などでひらひらした羽ばたきと短い滑空を交互に繰り返
して直線的に飛び、頻繁に停空飛翔して主として地上にいるネズミ
類、昆虫などを探す。繁殖期以外はほとんど単独で行動する。
特記事項
ワシントン条約 附属書Ⅱ
文献番号 1,2,3,5
(丸山 健司、山田 信光)
- 65 -
撮影: 香西 宏明
鳥類
ウズラ
岡山県:情報不足
キジ目
Coturnix japonica Temminck & Schlegel
環境省:準絶滅危惧
キジ科
選定理由
野生のウズラは個体数が激減している。保護が必要である。
存続を脅かす要因
森林伐採、林相変化(人工造林進行)、土地造成、狩猟影響
分布状況
北海道や中部地方以北の東日本で主に繁殖し、冬は中部以南の西
日本に渡って過ごす。留鳥が多いキジ科の中でめずらしい渡り鳥で
ある。
生息情報
体長は約 20cm ほどでモズと同程度の大きさ、丸い体形で尾が短
い。平地から山地の草地や農耕地に生息、繁殖期はつがいで、秋冬
は小さな群れで生活、イネ科などの種子や昆虫類を食べる。外敵が
接近すると翼を速くはばたかせ、地上低く直線的に飛び去る。
撮影: 島本 明
特記事項
1970 年代から生息数が激減している。環境省は 2007 年に5年間
狩猟鳥から削除方針を決めた。
文献番号 1,2,3,4,5
(丸山 健司、山田 信光)
タンチョウ
岡山県:情報不足
ツル目
Grus japonensis (Müller)
環境省:絶滅危惧Ⅱ類
ツル科
選定理由
県内では飼育個体を野外で見ることがあるが、野生個体の飛来は
ごくまれである。保護が必要である。
存続を脅かす要因
湿地開発、池沼開発、河川開発、土地造成(農地造成)、餌生物
減少
分布状況
極東アジアのごく一部と北海道東部の釧路地方で繁殖する。北海
道では、秋から冬にかけて給餌している農家の庭先に集まる。岡山
県では、冬季ごくまれに野生のタンチョウが渡来することがある。
生息情報
大型のツルで、日本産鳥類の中では最大級である。体は白く、頭
頂は赤色、目の前から首が黒い。北海道では留鳥とされるが、九
州や西日本では冬季に迷鳥として時々観察されている。湿原、干拓
地、農耕地、河川、湖沼などで生活し、魚類、両生類及び穀物など
を食べる。
特記事項
文化財保護法:特別天然記念物
種の保存法:国内希少野生動植物種
鳥獣保護法:希少鳥獣
日露渡り鳥条約
ワシントン条約 附属書Ⅰ
文献番号 1,2,3,4,5
(丸山 健司、山田 信光)
- 66 -
撮影: 秋山 登(岡山県自然保護センター飼育個体)
鳥類
ナベヅル
岡山県:情報不足
ツル目
Grus monacha Temminck
環境省:絶滅危惧Ⅱ類
ツル科
選定理由
鹿児島県出水市と山口県周南市に個体群が集中している。岡山県
にもまれに飛来する。保護が必要である。
存続を脅かす要因
湿地開発、池沼開発、河川開発、土地造成(農地造成)
分布状況
繁殖地はシベリア及び極東アジアのごく一部で、冬季には日本と
中国の揚子江河口部に渡って越冬する。日本での越冬地は鹿児島県
出水市と山口県周南市の2ヶ所が知られている。
岡山県では冬季にまれに越冬する家族群が飛来する。
生息情報
体は灰黒色、頭部と首は白く、頭頂に赤色と黒色部がある。
冬鳥として渡来し、水田や畑、草地、河川、河口で餌を採る。
日本での越冬は、その多くの越冬地で餌付けをし、水田に人為的
に水を張ってねぐらを作るなどして保護に力を入れている。
越冬地においてもつがいまたは家族群で過ごし、家族の縄張りを
もって採餌場としているものもある。
撮影: 西村 由紀子
特記事項
種の保存法:国際希少野生動植物種
鳥獣保護法:希少鳥獣
日露渡り鳥条約、日中渡り鳥協定
ワシントン条約 附属書Ⅰ
文献番号 1,2,3,4,5
(丸山 健司、山田 信光)
マナヅル
岡山県:情報不足
ツル目
Grus vipio Pallas
環境省:絶滅危惧Ⅱ類
ツル科
選定理由
鹿児島県出水市に個体群が集中している。岡山県にもまれに飛来
する。保護が必要である。
存続を脅かす要因
湿地開発、池沼開発、河川開発、土地造成(農地造成)
分布状況
繁殖地はシベリア、極東アジアのごく一部で、冬季には日本と中
国の揚子江河口部及び朝鮮半島に渡って越冬する。日本での越冬地
は鹿児島県出水市が知られている。岡山県では冬季にまれに家族群
が渡来越冬する。
生息情報
タンチョウよりやや小さく、ナベヅルよりは少し大きい。額から
目の周囲は赤いが、体全体は灰黒色、頭部から首は白い。
冬鳥として渡来し、水田や畑、草地、河川、河口で餌を採る。
日本での越冬地では餌付けがされ、水田に人為的に水を張ってね
ぐらを作るなどして保護に力を入れている。越冬期においても、つ
がいまたは家族群で過ごす。
特記事項
種の保存法:国際希少野生動植物種
鳥獣保護法:希少鳥獣
日露渡り鳥条約、日中渡り鳥協定
ワシントン条約 附属書Ⅰ
文献番号 1,2,3,4,5
(丸山 健司、山田 信光)
- 67 -
撮影: 西村 由紀子
鳥類
クイナ
岡山県:絶滅危惧Ⅱ類
Rallus aquaticus indicus Blyth
環境省:該当なし
ツル目
クイナ科
選定理由
岡山県下では冬季にその姿を見ることができる。渡来数が減少し
ている。保護が必要である。
存続を脅かす要因
湿地開発、池沼開発、河川開発(護岸工事)、土地造成(農地造
成)、水質汚濁、農薬汚染
分布状況
日本では東北地方と北海道で繁殖する。冬季には本州南部、四
国、九州から琉球諸島で見ることができる。岡山県では冬季に県南
部を中心に見ることができる。
撮影: 栗岡 武史
生息情報
ハトよりやや小さい。体の上面はオリーブ褐色で黒い縦斑があ
り、顔から胸は青灰色で、雌雄同色、くちばしは比較的長い。
平地から低山の水辺の草地、ヨシ原、水田や休耕田などに生息
し、昆虫類、甲殻類、軟体動物、魚類や植物の種子などを採餌す
る。非常に警戒心が強く、開けた場所に出てこない。繁殖期以外は
ほとんど単独で生活する。
特記事項
日露渡り鳥条約、日中渡り鳥協定
文献番号 1,2,3,5
(丸山 健司、山田 信光)
ヒクイナ
岡山県:絶滅危惧Ⅱ類
ツル目
Porzana fusca erythrothorax
(Temminck & Schlegel)
環境省:絶滅危惧Ⅱ類
クイナ科
選定理由
岡山県下ほぼ全域で見ることができる。個体数は少ない。
保護が必要である。
存続を脅かす要因
湿地開発、池沼開発、河川開発(護岸工事)、土地造成(農地造
成)、水質汚濁、農薬汚染
分布状況
日本では北海道、本州、四国、九州で夏鳥として渡来し繁殖して
いる。冬季は屋久島、種子島地方以南で越冬する。
岡山県でも夏季に繁殖している。
生息情報
ムクドリ程の大きさで、上面額から尾までは暗緑褐色、顔面下か
ら腹まで赤褐色をしている。平地から山地の湖沼、池、湿地、河
川、水田などの水辺のヨシ原や草陰で、魚類、甲殻類、昆虫類、そ
の他植物の種子などを採餌する。非常に警戒心が強く、ちょっとし
た物音でも物陰に隠れてしまう。
特記事項
日露渡り鳥条約、日中渡り鳥協定
文献番号 1,2,3,5
(丸山 健司、山田 信光)
- 68 -
撮影: 香西 宏明
鳥類
タマシギ
岡山県:準絶滅危惧
Rostratula benghalensis benghalensis
(Linnaeus)
環境省:該当なし
チドリ目
タマシギ科
選定理由
水田や湿地などの限られた環境で生息し、個体数は少ない。
保護が必要である。
存続を脅かす要因
池沼開発、河川開発、湿地開発、土地造成(農地造成)、水質汚
濁、農薬汚染、餌生物減少
分布状況
日本では東北地方南部以南から琉球諸島まで留鳥として分布し、
岡山県では全域で留鳥として見られる。水田や休耕田を好むがこう
した環境が宅地開発などで減少し数を減らしている。
撮影: 村上 義徳
生息情報
ムクドリ程の大きさで、通常の鳥類と異なり雌の方が雄より美し
い。雄は頭中央線、アイリングが淡黄色、雌は頭中央線が淡黄色で
アイリングは白色、背中は青褐色である。水田、湿地、ハス田、休
耕田、河川などで昆虫、甲殻類、貝、ミミズや植物などを採餌す
る。繁殖は一婦多夫で、子育ては雄が行う。行動は夕方から朝方ま
でのことが多い。
特記事項
日露渡り鳥条約、日中渡り鳥協定
文献番号 1,2,3,5
(丸山健司、山田信光)
イカルチドリ
岡山県:準絶滅危惧
チドリ目
Charadrius placidus japonicus Mishima
環境省:該当なし
チドリ科
選定理由
海岸に出ることはなく河川、湖沼、池などの礫地の限られた環境
で生息する。近年個体数が減少している。保護が必要である。
存続を脅かす要因
池沼開発、河川開発、川相変化(砂礫地減少)、ダム建設(砂防
ダム建設、中州減少)、水質汚濁、餌生物減少
分布状況
日本では北海道の一部から本州、四国、九州で留鳥として繁殖す
る。北日本の個体は冬季には暖地へ移動する(漂鳥)、砂礫のある
河川や湖沼を生息地として、川原や中州の礫地で繁殖する。近年個
体数が減少している。
生息情報
全長約 20cm。コチドリに似ているが一回り大きい。砂礫地のあ
る河川や湖沼、水田に生息し、干潟や海岸にいることはまれであ
る。食性は動物食で、昆虫、節足動物、ミミズなどを採食する。
文献番号 1,2,3,5
(丸山健司、山田信光)
- 69 -
撮影: 濱 伸二郎
鳥類
ヘラシギ
岡山県:絶滅危惧Ⅰ類
Eurynorhynchus pygmeus (Linnaeus)
環境省:絶滅危惧ⅠA類
チドリ目
シギ科
選定理由
全世界的にも 4,000 羽以下と推定されている。旅鳥として渡来す
るが、渡来数が減少している。保護が必要である。
存続を脅かす要因
池沼開発、湿地開発、海岸開発(干潟減少)、水質汚濁
分布状況
繁殖地としてシベリア北極圏チュコト半島付近が知られている。
冬は中国南部の海岸からインド、ベンガル湾の海岸地方へ渡り越冬
する。日本へはその途中に旅鳥として立ち寄る。
岡山県では秋の渡り時期に海岸付近でまれに見られるが、渡来数
は少ない。
撮影: 中務 貴雄
生息情報
スズメほどの大きさで、スプーン状のくちばしを持っている。夏
羽は、顔から胸が赤褐色で黒い斑紋があり、上面は黒褐色で腹は白
い。多くは秋に単独か数羽の群で渡るが、トウネンやハマシギの群
れの中にいることが多い。トウネンの群れの中にいるときは、全体
がトウネンより白っぽく見える。旅鳥として干潟や干拓地、海岸の
砂浜や潮溜まりなどで採餌する。
特記事項
鳥獣保護法:希少鳥獣
日米渡り鳥条約、日露渡り鳥条約、日中渡り鳥協定
文献番号 1,2,3,4,5
(丸山健司、山田信光)
シベリアオオハシシギ
岡山県:情報不足
チドリ目
Limnodromus semipalmatus (Blyth)
環境省:情報不足
シギ科
選定理由
まれな旅鳥で全世界的にも個体数は少ない。保護が必要である。
存続を脅かす要因
池沼開発、湿地開発、海岸開発(干潟減少)、水質汚濁、農薬汚
染、餌生物減少
分布状況
繁殖地はシベリアのオビ川流域と中国北東部に局地的に知られて
いるのみである。インド、インドシナ半島で越冬、日本ではまれな
旅鳥。
生息情報
全長約 33cm でオオハシシギよりやや大きい。オオソリハシシギ
よりやや小さいが足は長い。くちばしはまっすぐで太く長い。
干潟や入り江、河口、ハス田などでゴカイ、貝、甲殻類などを採
食する。
特記事項
日豪渡り鳥協定
文献番号 1,2,3,4,5
(丸山健司、山田信光)
- 70 -
撮影: 濱 伸二郎
鳥類
アカアシシギ
岡山県:絶滅危惧Ⅱ類
チドリ目
Tringa totanus ussuriensis Buturlin
環境省:絶滅危惧Ⅱ類
シギ科
選定理由
旅鳥として渡来するが渡来数は少ない。保護が必要である。
存続を脅かす要因
池沼開発、湿地開発、海岸開発(干潟減少)、水質汚濁、農薬汚
染、餌生物減少
分布状況
北海道で少数が繁殖をしているが、多くは中国北部からシベリア
にかけて繁殖する。九州のごく一部で冬を過ごす個体もあるが、多
くは中国南部から東南アジアで冬を過ごす。岡山県では春と秋の渡
りの季節に旅鳥として渡来する。
撮影: 香西 宏明
生息情報
ヒヨドリほどの大きさで、赤い長い足を持つ。全体的に灰褐色で
黒い軸斑に黄斑がある。足の赤さはツルシギと酷似するので、識別
には注意を要する。春と秋に渡来するが、その数は少なく1~3羽
である。主として湿地、水田、ハス田、干潟などで採食する。
特記事項
鳥獣保護法:希少鳥獣
日露渡り鳥条約、日中渡り鳥協定
文献番号 1,2,3,5
(丸山健司、山田信光)
カラフトアオアシシギ
岡山県:情報不足
Tringa guttifer (Nordmann)
環境省:絶滅危惧ⅠA類
選定理由
サハリン(樺太)のみを繁殖地とする非常に個体数の少ない種で
ある。旅鳥として渡来する。保護が必要である。
存続を脅かす要因
池沼開発、湿地開発、海岸開発(干潟減少)、水質汚濁、農薬汚
染、餌生物減少
分布状況
繁殖地はサハリン南部の限られた場所で個体数が少ない。冬季は
マレー半島での越冬が知られている。日本では旅鳥としてまれに確
認される。
生息情報
全長約 31cm でアオアシシギよりやや小さく、コアオアシシギよ
り大きい。足は長く緑青色である。砂浜や干潟の浅い水の中で活発
に動きまわり、カニや小魚、軟体動物などを採食する。
特記事項
種の保存法:国内希少野生動植物種
鳥獣保護法:希少鳥獣
日露渡り鳥条約、日中渡り鳥協定
ワシントン条約 附属書Ⅰ
文献番号 1,2,3,4,5
(丸山健司、山田信光)
- 71 -
チドリ目
シギ科
鳥類
ホウロクシギ
岡山県:絶滅危惧Ⅱ類
チドリ目
Numenius madagascariensis (Linnaeus)
環境省:絶滅危惧Ⅱ類
シギ科
選定理由
旅鳥として渡来するが個体数は激減している。保護が必要であ
る。
存続を脅かす要因
池沼開発、湿地開発、海岸開発(干潟減少)、水質汚濁、農薬汚
染、餌生物減少
分布状況
ダイシャクシギが分布しないシベリア北東部で繁殖する。日本で
の越冬はごくまれ、フィリピンからオーストラリアで越冬する。岡
山県では春と秋の渡りの季節に旅鳥として渡来する。
撮影: 栗岡 武史
生息情報
コサギ程の大きさのシギ。ダイシャクシギと大きさ形も同じよう
であるが全体にやや褐色味が強い。飛び立つときに「ホーイ、ホー
イ」と大きな声で鳴く。春と秋の渡りの季節にダイシャクシギと混
群で渡来するがその数は少ない。
主として湿地、干潟や海岸に渡来し、長いくちばしを用いて干潟
の中からカニやゴカイを引っぱり出して丸呑みにする。
特記事項
鳥獣保護法:希少鳥獣
日米渡り鳥条約、日豪渡り鳥協定、日露渡り鳥条約、
日中渡り鳥協定
文献番号 1,2,3,5
(丸山健司、山田信光)
コシャクシギ
岡山県:情報不足
Numenius minutus Gould
環境省:絶滅危惧ⅠB類
チドリ目
シギ科
選定理由
旅鳥として各地の農耕地や草地などに渡来する。個体数は激減し
ている。保護が必要である。
存続を脅かす要因
池沼開発、湿地開発、土地造成(農地造成)、農薬汚染、餌生物
減少
分布状況
シベリアのごく一部で繁殖し、オーストラリアで越冬する。その
一部が日本を通過する。岡山県では,春と秋に旅鳥として渡来する
が非常にまれである。
生息情報
キジバト程の中型のシギ。くちばしはダイシャクシギなどのよう
に下に曲がり、やや短い。全体的に黄褐色で黒い軸斑がある。飛び
ながら「クィーックイックイ」と鳴く。まれな旅鳥。
主に海岸に近い草地で確認されており、干潟では少ない。
草地でバッタなどの昆虫類を捕食する。
特記事項
種の保存法:国際希少野生動植物種
鳥獣保護法:希少鳥獣
日米渡り鳥条約、日豪渡り鳥協定、日露渡り鳥条約 文献番号 1,2,3,4,5
(丸山健司、山田信光)
- 72 -
撮影: 島本 明
鳥類
オオジシギ
岡山県:絶滅危惧Ⅰ類
Gallinago hardwickii (Gray)
環境省:準絶滅危惧
チドリ目
シギ科
選定理由
開けた草原や耕作地にて繁殖するシギの仲間である。個体数は激
減している。保護が必要である。
存続を脅かす要因
土地造成(農地造成、別荘などの宅地化)、農薬汚染、餌生物減
少
分布状況
日本だけで繁殖し、主な繁殖地は北海道、本州北・中部である。
冬季には海を越えてオーストラリア南部で越冬する。岡山県では蒜
山高原の牧草地や畑地に渡来し繁殖する。
撮影: 濱 伸二郎
生息情報
キジバト程の大きさで、全体的に淡い褐色。まっすぐで長いくち
ばしを持っている。本州中部の高原地帯、東北から北海道の草原に
夏鳥として渡来する。草原の枯れ木や電柱によく止まる。早朝や夕
方に「ズビャーク、ズビャーク」と鳴きながら飛び回り、「ザザザ
ザ‥‥」と大きな羽音を発して急降下を繰り返す。
特記事項
日豪渡り鳥協定、日露渡り鳥条約
文献番号 1,2,3,5
セイタカシギ
(丸山健司、山田信光)
岡山県:準絶滅危惧
Himantopus himantopus himantopus (Linnaeus) 環境省:絶滅危惧Ⅱ類
チドリ目
セイタカシギ科
選定理由
日本における繁殖事例が確認され、岡山県内においてもその可能
性が出てきた。保護が必要である。
存続を脅かす要因
池沼開発、河川開発、湿地開発、土地造成(農地造成)、水質汚
濁、農薬汚染、餌生物減少
分布状況
日本では従来迷鳥として珍しい鳥であったが、近年その繁殖事例
の報告が多く出てきている。岡山県内でも繁殖確認の可能性が期待
される。
生息情報
キジバト程の大きさで、体上面は緑色光沢のある黒、他は白い。
長くてまっすぐなくちばしと非常に長い足が特徴。主として春と秋
の渡り時期に旅鳥として観察される。干潟、河口、海岸に近い水
田、ハス田、池などで魚類や昆虫類などを捕食する。
特記事項
鳥獣保護法:希少鳥獣
日中渡り鳥協定
文献番号 1,2,3,5
(丸山健司、山田信光)
- 73 -
撮影: 香西 宏明
鳥類
ツバメチドリ
岡山県:準絶滅危惧
Glareola maldivarum Forster
環境省:絶滅危惧Ⅱ類
チドリ目
ツバメチドリ科
選定理由
岡山県内では主として旅鳥としての確認が多いが、繁殖が確認さ
れる可能性もある。個体数は少ない。保護が必要である。
存続を脅かす要因
池沼開発、河川開発、海岸開発(干潟減少、干拓、埋立)、土地
造成(農地造成)、農薬汚染、餌生物減少
分布状況
中国沿岸部を中心として繁殖する。日本では本州、九州で局地的
に繁殖し、東南アジアで越冬する。岡山県では旅鳥として春と秋に
通過する。
撮影: 内藤 博文
生息情報
ヒヨドリ程の大きさで、飛ぶ姿は大きなツバメのようである。体
の上面は暗灰褐色で尾が黒い。主に春と秋の渡り時期に旅鳥として
観察される。干潟、河原、埋立地、草原などの開けた場所で、速い
速度で飛び回り、昆虫類を捕食する。
特記事項
鳥獣保護法:希少鳥獣
日豪渡り鳥協定、日中渡り鳥協定
文献番号 1,2,3,4,5
(丸山健司、山田信光)
ズグロカモメ
岡山県:絶滅危惧Ⅱ類
チドリ目
Larus saundersi (Swinhoe)
環境省:絶滅危惧Ⅱ類
カモメ科
選定理由
世界的に個体数が少なく 5,000 羽程度といわれている。非常に個
体数の少ない種である。保護が必要である。
存続を脅かす要因
海岸開発(干潟減少、干拓、埋立)、水質汚濁、ゴミ投棄、餌生
物減少
分布状況
モンゴル、中国内陸部のごく一部で繁殖し、中国沿岸部で主に越
冬する。日本では、冬季に九州北部などに渡来する。
岡山県では少数が沿岸部及び高梁川河口や児島湾で観察される。
生息情報
キジバト程の大きさで、ユリカモメに似るがやや小さい。くちば
しの色はユリカモメが赤いのに対し、本種では黒い。
冬鳥としてまれに渡来し、河口の干潟や浅い水辺でダイビングし
て水中の魚などを捕ったり、着地してカニなどを捕食している。
特記事項
鳥獣保護法:希少鳥獣
文献番号 1,2,3,4,5
(丸山健司、山田信光)
- 74 -
撮影: 西村 由紀子
鳥類
コアジサシ
岡山県:絶滅危惧Ⅰ類
チドリ目
Sterna albifrons sinensis Gmelin
環境省:絶滅危惧Ⅱ類
カモメ科
選定理由
埋立地の裸地などのごく限られた環境でしか繁殖できない。個体
数は非常に少ない。保護が必要である。
存続を脅かす要因
池沼開発、河川開発(河床平坦化)、川相変化(砂礫地減少)、海
岸開発(干潟減少)、その他(埋立地等の裸地の減少)
分布状況
日本では本州から四国、九州、奄美諸島、琉球諸島に夏鳥として
渡来し、繁殖する。岡山県では夏鳥として沿岸部に渡来し繁殖す
る。環境変化に影響されやすくその生息数は少ない。
撮影: 香西 宏明
生息情報
ヒヨドリ程の小型のアジサシ類で、頭頂から後頭は黒く、背と翼
は淡青灰色である。夏鳥として渡来し、海岸の砂浜、埋立地、川の
中州などで集団繁殖する。水面上空で停空飛翔(ホバリング)した
後、水中にダイビングして魚を捕らえる。移動時の羽ばたきはゆっ
くりであるが、かなり速いスピードで飛翔する。
特記事項
種の保存法:国際希少野生動植物種
鳥獣保護法:希少鳥獣
日米渡り鳥条約、日豪渡り鳥協定、日露渡り鳥条約、
日中渡り鳥協定
文献番号 1,2,3,5
(丸山健司、山田信光)
ジュウイチ
岡山県:準絶滅危惧
カッコウ目
Cuculus fugax hyperythrus Gould
環境省:該当なし
カッコウ科
選定理由
県北部で主に繁殖しているが、托卵する相手の野鳥も減少してお
り、個体数が減少している。保護が必要である。
存続を脅かす要因
森林伐採、林相変化
分布状況
日本では北海道から本州、四国に夏鳥として渡来し、繁殖する。
岡山県では主に中・北部の森林地帯で繁殖するがその生息数は少な
い。
生息情報
キジバト程の大きさで、頭頂と背は光沢のある黒、腹部下面は橙
黄色。その姿を直接見ることは非常に難しいが、「ジュウイチー、
ジュウイチー」と鳴く声でその生息を確認することができる。夏鳥
として渡来し、オオルリやコルリなどに托卵する。
特記事項
日米渡り鳥条約、日露渡り鳥条約、日中渡り鳥協定
文献番号 1,2,3,4,5
(丸山健司、山田信光)
- 75 -
撮影: 濱 伸二郎
鳥類
カッコウ
岡山県:留意
カッコウ目
Cuculus canorus telephonus Heine
環境省:該当なし
カッコウ科
選定理由
托卵する相手の野鳥も減少しつつあり、個体数の減少が懸念され
る。その生息状況に留意する必要がある。
存続を脅かす要因
森林伐採、林相変化、池沼開発、河川開発(ヨシ原減少)
分布状況
日本では、北海道から本州、四国、九州に夏鳥として渡来する。
冬季は東南アジアで越冬する。岡山県では中・北部を中心に分布す
る。
生息情報
キジバト程の大きさで、頭と背は青灰色、胸と腹は白く細い黒帯
が並ぶ。尾は長くくさび形である。「カッコウ、カッコウ」と繰り
返し鳴く。夏鳥として渡来し、草原や林縁、明るい林などでオオヨ
シキリやモズに托卵する。近年個体数が減少している。
撮影: 村上 義徳
特記事項
日米渡り鳥条約、日露渡り鳥条約、日中渡り鳥協定
文献番号 1,2,3,4,5
(丸山健司、山田信光)
ツツドリ
岡山県:留意
カッコウ目
Cuculus saturatus horsfieldi Moore
環境省:該当なし
カッコウ科
選定理由
托卵する相手の野鳥も減少しつつあり、個体数の減少が懸念され
る。その生息状況に留意する必要がある。
存続を脅かす要因
森林伐採、林相変化
分布状況
日本では、北海道から本州、四国、九州に夏鳥として渡来する。
冬季は東南アジアで越冬する。岡山県では中・北部を中心に分布す
る。
生息情報
キジバト程の大きさで、頭と背中は青灰色、胸と腹は白く、細い
黒帯が並ぶ。尾は長くくさび形である。カッコウと酷似するが、胸
と腹の黒帯の幅は太い。「ポポッ、ポポッ」と筒を吹くように続け
て鳴く。夏鳥として渡来し、森林地帯でセンダイムシクイなどに托
卵する。
特記事項
日米渡り鳥条約、日露渡り鳥条約、日豪渡り鳥協定、
日中渡り鳥協定
文献番号 1,2,3,4,5
(丸山健司、山田信光)
- 76 -
撮影: 三棹 伸一
鳥類
トラフズク
岡山県:絶滅危惧Ⅱ類
フクロウ目
Asio otus otus (Linnaeus)
環境省:該当なし
フクロウ科
選定理由
中型のフクロウ類で冬季に渡来するが渡来数は少ない。保護が必
要である。
存続を脅かす要因
林相変化、池沼開発、河川開発(ヨシ原減少)、湿地開発(ヨシ
原減少)、土地造成(農地造成)、農薬汚染、餌生物減少
分布状況
日本では、北海道、本州北部で繁殖している。本州中・南西部、
四国、九州では冬鳥である。岡山県では、冬季に南部を中心に渡来
する。
撮影: 森末 善昭
生息情報
キジバトよりやや大きく、翼を広げると 100cm 程ある。体の上
面は灰色、茶褐色、黒褐色の入り混じった複雑な模様があり,色合
いは個体差が大きい。冬鳥として渡来し、人が近づかない竹林や樹
上で群れを作って休息場(ねぐら)としている。
夕暮れから活動を始め、河原、草原、農耕地などでネズミなどを
捕食する。
特記事項
日露渡り鳥条約、日中渡り鳥協定
ワシントン条約 附属書Ⅱ
文献番号 1,2,3,4,5
(丸山健司、山田信光)
コミミズク
岡山県:絶滅危惧Ⅱ類
フクロウ目
Asio flammeus flammeus (Pontoppidan)
環境省:該当なし
フクロウ科
選定理由
中型のフクロウ類で冬季に渡来するが渡来数は少ない。保護が必
要である。
存続を脅かす要因
池沼開発、河川開発(ヨシ原減少)、湿地開発(ヨシ原減少)、土
地造成(農地造成)、農薬汚染、餌生物減少
分布状況
日本には冬季に北海道、本州、四国、九州に冬鳥として渡来す
る。岡山県では、南部の河川敷、農耕地を中心に渡来する。
生息情報
キジバトよりやや大きく、翼を広げると 100㎝ 程ある。体の上面
は褐色、淡い橙色、白色の入り混じった複雑な模様で、色合いは個
体差が大きい。冬鳥として渡来し、日中は草原、ヨシ原、河原、農
耕地、埋立地などの草むらに隠れていて、夕暮れから活動を始め、
羽音を立てず飛び回り、時々、停空飛翔しネズミを捕食する。
特記事項
日米渡り鳥条約、日露渡り鳥条約、日中渡り鳥協定
ワシントン条約 附属書Ⅱ
文献番号 1,2,3,4,5
(丸山健司、山田信光)
- 77 -
撮影: 國方 春行
鳥類
コノハズク
岡山県:絶滅危惧Ⅰ類
フクロウ目
Otus scops japonicus Temminck & Schlegel
環境省:該当なし
フクロウ科
選定理由
小型のフクロウで樹洞に営巣する。樹洞ができるほどの大木が少
なく営巣場所が無く個体数が減っている。保護が必要である。
存続を脅かす要因
森林伐採、林相変化(樹洞大木減少)、農薬汚染、餌生物減少
分布状況
日本では北海道から本州、四国、九州に夏鳥として渡来する。冬
季は東南アジアで越冬する。岡山県では、主として中・北部の森林
地帯に渡来する。
生息情報
モズ程の大きさで、日本のフクロウ類では最も小さい。体は灰褐
色、黒、褐色などの色が複雑に入り混じっている。夏鳥として山地
の林に渡来するがその数は少ない。日中は樹上や樹洞などの暗いと
ころで休息し、夕暮れから活動し、昆虫類を捕食する。雄は「ブッ
キョッコー」と連続して鳴き、この声を「仏法僧」と聞きなす。
所蔵:倉敷市立自然史博物館(剥製)
特記事項
ワシントン条約 附属書Ⅱ
文献番号 1,2,3,4,5
オオコノハズク
(丸山健司、山田信光)
岡山県:絶滅危惧Ⅰ類
Otus lempiji semitorques Temminck & Schlegel 環境省:該当なし
フクロウ目
フクロウ科
選定理由
小型のフクロウで樹洞に営巣する。樹洞ができるほどの大木が少
なく営巣場所が無く個体数が減っている。保護が必要である。
存続を脅かす要因
森林伐採、林相変化(樹洞大木減少)、農薬汚染、餌生物減少
分布状況
日本では北海道から本州、四国、九州に留鳥として生息する。
岡山県での中・北部の森林地帯に生息する。その生息数は少ない。
生息情報
ツグミ程の大きさで、体は褐色、灰白色、黒色が複雑で細かい
虫食い斑となっている。繁殖期の雄は、夜間「ボーウ、ボーウ、
‥‥」と竹筒を吹くような声で鳴く。平地から山地の林で、日中は
樹上や樹洞で休息し、夕暮れから活動を始め、ネズミ類、カエル類
や昆虫を捕食する。
特記事項
日露渡り鳥条約 ワシントン条約 附属書Ⅱ
文献番号 1,2,3,4,5
(丸山健司、山田信光)
- 78 -
撮影: 濱 伸二郎
鳥類
アオバズク
岡山県:絶滅危惧Ⅱ類
フクロウ目
Ninox scutulata japonica
(Temminck & Schlegel)
環境省:該当なし
フクロウ科
選定理由
フクロウの仲間で樹洞に営巣する。樹洞ができるほどの大木が少
なく営巣場所が無く個体数が減っている。保護が必要である。
存続を脅かす要因
森林伐採、林相変化(樹洞大木減少)、その他(写真目的等営巣
接近)、農薬汚染、餌生物減少
分布状況
日本では、北海道から本州、四国、九州、種子島まで夏鳥として
渡来し繁殖する。冬季は東南アジアで越冬する。
岡山県では全域に渡来し繁殖する。
撮影: 國方 春行
生息情報
ヒヨドリよりやや大きく、背は黒褐色、腹は白地に黒褐色の太い
縦斑がある。夏鳥で、繁殖期の雄は夜間「ホッホー、ホッホー」と
鳴く。平地から山地の大きな木の多いところに生息し、日中は樹上
や樹洞で休息し、夕暮れから活動を始め、夜行性のガ類や甲虫類を
捕食する。
特記事項
日露渡り鳥条約 ワシントン条約 附属書Ⅱ
営巣地保護のため分布情報図非公開とする。
文献番号 1,2,3,4,5
(丸山健司、山田信光)
フクロウ
岡山県:絶滅危惧Ⅱ類
フクロウ目
Strix uralensis Pallas
環境省:該当なし
フクロウ科
選定理由
フクロウの仲間で樹洞に営巣する。樹洞ができるほどの大木が少
なく営巣場所が無く個体数が減っている。保護が必要である。
存続を脅かす要因
森林伐採、林相変化(樹洞大木減少)、その他(写真目的等営巣
接近)、農薬汚染、餌生物減少
分布状況
日本には4種の亜種が分布する。その内岡山県では、モミヤマフ
クロウとキュウシュウフクロウが生息する可能性が高い。
生息情報
カラス程の大きさで、背中は灰白色に黒色、褐色の複雑な斑紋が
ある。腹部は白地に黒色の縦斑がある。繁殖期になると夜間「ホッ
ホ、グルスク、ホッホ」と鳴く。平地から山地の大木のある林に棲
む。日中は樹上で休息し、夕暮れから活動を始め、ネズミ類、カエ
ル類、トカゲ類などを捕食する。
特記事項
ワシントン条約 附属書Ⅱ
営巣地保護のため分布情報図非公開とする。
文献番号 1,2,3,4,5
(丸山健司、山田信光)
- 79 -
撮影: 村上 義徳
鳥類
ヨタカ
岡山県:絶滅危惧Ⅰ類
ヨタカ目
Caprimulgus indicus jotaka
Temminck & Schlegel
環境省:絶滅危惧Ⅱ類
ヨタカ科
選定理由
近年個体数が激減している。保護が必要である。
存続を脅かす要因
森林伐採、林相変化、農薬汚染、餌生物減少、その他(イノシシ
やノネコなどによる捕食、山間地域の農地荒廃)
分布状況
日本では、北海道から本州、四国、九州まで夏鳥として渡来し繁
殖する。冬季は東南アジアで越冬する。岡山県では全域に渡来し繁
殖する。近年、その生息数が激減している。
生息情報
ヒヨドリよりやや大きい。体は灰白色、褐色、黒、白の複雑な枯
れ葉模様をしている。夏鳥として渡来し、山地から平地の林を中心
に活動するが、日中は木の枝に沿って密着するように止まって休息
する。夕暮れから活動し、大きな口を開いて羽音を立てずに飛び回
り、口に入ってきた昆虫類を主に食べる。繁殖期には、夕暮れから
夜間の活動時に「キョキョキョ‥‥」と鳴く。
撮影: 島本 明
特記事項
日米渡り鳥条約、日露渡り鳥条約、日中渡り鳥協定
文献番号 1,2,3,4,5
(丸山健司、山田信光)
ヤマセミ
岡山県:絶滅危惧Ⅱ類
Ceryle lugubris lugubris (Temminck)
環境省:該当なし
ブッポウソウ目
カワセミ科
選定理由
近年個体数が激減している。河川環境の保全も含め、保護が必要
である。
存続を脅かす要因
河川開発、川相変化、水質汚濁、餌生物減少(魚類減少)、その
他(土崖の減少)
分布状況
日本では、北海道から九州の各地に生息する。岡山県では通年生
息し、主に中・北部に分布するが、冬季には南部でも見ることがで
きる。
生息情報
キジバトよりやや大きく、日本に生息するカワセミ科の種として
は最も大きい。体は白と黒のまだら模様で、冠羽を持つ。清流のあ
る山地に生息し、繁殖期以外では単独で行動する。川の一定の場所
に止まり、水中に飛び込んで魚を捕食する。停空飛翔し、水中に飛
び込むこともある。
特記事項
苫田郡鏡野町富一円は「ヤマセミ生息地」として岡山県文化財保
護条例の天然記念物に指定されている。
文献番号 1,2,3,5
(丸山健司、山田信光)
- 80 -
撮影: 香西 宏明
鳥類
アカショウビン
岡山県:絶滅危惧Ⅰ類
Halcyon coromanda major
(Temminck & Schlegel )
環境省:該当なし
ブッポウソウ目
カワセミ科
選定理由
岡山県下での繁殖個体数は少ない。保護が必要である。
存続を脅かす要因
森林伐採、林相変化(樹洞大木減少)、河川開発、水質汚濁、農
薬汚染、餌生物減少
分布状況
日本では、北海道から本州、四国、九州、屋久島、種子島に夏鳥
として渡来し繁殖する。東南アジアで越冬する。
岡山県では北部の極めて限られた地域に渡来し繁殖する。
生息情報
ヒヨドリ程の大きさで、体は黄褐色を帯びた赤である。夏鳥とし
て渡来し、平地から山地の林、渓流などに生息する。湿った斜面
や渓流でカエル、サワガニ、カタツムリなど様々な小動物を捕食す
る。繁殖期、特に朝夕にキョロロロ…とさえずるが、雨天の日には
日中でもよく鳴く。
撮影: 香西 宏明
特記事項
日中渡り鳥協定
文献番号 1,2,3,4,5
(丸山健司、山田信光)
ブッポウソウ
岡山県:絶滅危惧Ⅰ類
ブッポウソウ目
Eurystomus orientalis calonyx Sharpe
環境省:絶滅危惧ⅠB類
ブッポウソウ科
選定理由
岡山県下での繁殖については、ほとんどの個体が巣箱を利用した
ものである。繁殖個体数も少ない。保護が必要である。
存続を脅かす要因
森林伐採、林相変化(樹洞大木減少)、河川開発、水質汚濁、農
薬汚染、餌生物減少、その他(山間地域の農地荒廃)
分布状況
日本では本州以南から四国、九州にかけて夏鳥として渡来し繁殖
する。岡山県では中・北部に渡来し繁殖するが、生息に適した場所
が少なく、個体数は少ない。
生息情報
キジバトよりやや小さく、体は光沢のある青緑色。夏鳥として渡
来し、平地から低山地の林を中心に生息する。岡山県内では、巣箱
掛けをして保護に取り組んでいる自治体もある。林縁の木や電線に
止まり、上空を飛ぶ昆虫類を空中捕食する。
特記事項
鳥獣保護法:希少鳥獣
日露渡り鳥条約、日中渡り鳥協定
文献番号 1,2,3,5
(丸山健司、山田信光)
- 81 -
撮影: 村上 義徳
鳥類
アカゲラ
岡山県:準絶滅危惧
キツツキ目
Dendrocopos major hondoensis (Kuroda)
環境省:該当なし
キツツキ科
選定理由
広葉樹林帯を主として生息地とする。営巣するための大木が少な
く、個体数が減少している。
存続を脅かす要因
森林伐採、林相変化(営巣木減少、人工造林進行)
分布状況
日本では北海道、本州に生息するが、西日本ではやや少ない。四
国ではきわめて少数、九州には分布しない。岡山県では主に中・北
部に生息する。その生息数は少ない。
生息情報
大きさはツグミくらい。背中は黒く、白い斑がある。腹部は淡黄
褐色で下腹部が赤い。留鳥として平地から山地の林に生息するが、
アオゲラよりその数は少ない。林の中での行動が多く、木の幹に縦
に止まって、木の皮や隙間をつついて昆虫を掘り出して食べる。冬
季は木の実も食べる。
文献番号 1,2,3,5
撮影: 香西 宏明
(丸山健司、山田信光)
オオアカゲラ
岡山県:準絶滅危惧
キツツキ目
Dendrocopos leucotos namiyei (Stejneger)
環境省:該当なし
キツツキ科
選定理由
広葉樹林帯を主として生息地とする。営巣するための大木が少な
く、個体数が減少している。
存続を脅かす要因
森林伐採、林相変化(営巣木減少、人工造林進行)
分布状況
日本では北海道から奄美大島まで分布し,4亜種が分布する。岡
山県には亜種ナミエオオアカゲラが分布するとされる。アカゲラと
分布が重なっている地域ではアカゲラが優勢となる。
主に北部の山地に生息するが、その生息数は少ない。 生息情報
ヒヨドリ程の大きさ。背中は黒く白い斑があり、腹部は淡黄褐色
で黒線がある。留鳥として平地から山地の林に生息するが、アカゲ
ラよりその数は少ない。広葉樹林の中での行動が多く、開けた場所
に出てくることは少ない。木の幹に縦に止まって、木の皮や隙間を
つついて昆虫を掘り出して食べる。冬季は木の実も食べる。
文献番号 1,2,3,4,5
(丸山健司、山田信光)
- 82 -
撮影: 國方 春行
鳥類
ヤイロチョウ
岡山県:絶滅危惧Ⅰ類
Pitta brachyura nympha Temminck & Schlegel
環境省:絶滅危惧ⅠB類
スズメ目
ヤイロチョウ科
選定理由
全国的に個体数が少ない。保護が必要である。
存続を脅かす要因
森林伐採、林相変化
分布状況
日本では本州中部から九州、四国地方に夏鳥として渡来し繁殖す
る。岡山県では中・北部の極めて限られた場所に渡来し繁殖する。
生息情報
ツバメくらいの大きさ。体は茶、緑、黒、白、赤、黄、コバル
ト、そして脚はピンクで8色の色を持つことからこの名がついた。
夏鳥として渡来し、低山の林に生息する。地上に降りてミミズや昆
虫を捕食する。繁殖期の朝方に「ピフィ、ピフィ」とさえずる。
撮影: 斉木 孝
特記事項
種の保存法:国内希少野生動植物種
鳥獣保護法:希少鳥獣
日中渡り鳥協定 ワシントン条約 附属書Ⅱ
文献番号 1,2,3,4,5
(丸山健司、山田信光)
サンショウクイ
岡山県:絶滅危惧Ⅱ類
スズメ目
Pericrocotus divaricatus divaricatus (Raffles)
環境省:絶滅危惧Ⅱ類
サンショウクイ科
選定理由
全国的に個体数が激減している。岡山県下での繁殖事例が近年ほ
とんど無くなっている。保護が必要である。
存続を脅かす要因
森林伐採、林相変化(広葉樹林減少)
分布状況
日本では本州から四国、九州に夏鳥として渡来し繁殖する。東南
アジアで越冬する。岡山県では春と秋の渡りの季節に見ることがで
きるが、繁殖確認は極めてまれとなってしまった。
生息情報
モズ程の大きさ。背中は灰色で、翼に黒がある。腹部は白い。
夏鳥として渡来し、平地から低山の落葉広葉樹林に生息する。
高い木の枝に止まって、「ヒリリリリ、ヒリリリリ」とさえずる。
地上にはほとんど降りてこないで、昆虫類を樹上で捕らえたり、空
中捕食したりする。近年その数が激減している。
特記事項
鳥獣保護法:希少鳥獣
日中渡り鳥協定
文献番号 1,2,3,4,5
(丸山健司、山田信光)
- 83 -
撮影: 秋田 實
鳥類
チゴモズ
岡山県:絶滅危惧Ⅰ類
Lanius tigrinus Drapiez
環境省:絶滅危惧ⅠA類
スズメ目
モズ科
選定理由
岡山県下ではまれに通過する旅鳥である。保護が必要である。
存続を脅かす要因
森林伐採、林相変化、土地造成、農薬汚染、餌生物減少
分布状況
日本では本州北部・中部地方を中心として夏鳥として渡来し繁殖
する。冬季には中国南部から東南アジアの一部に渡って越冬する。
岡山県での確認は極めてまれである。
生息情報
モズよりやや小さい。頭上が青灰色、背中が赤褐色、腹部は白
い。夏鳥として渡来し、低山から山地の疎林の開けた場所に生息す
る。一定の縄張りを持ち、地上で昆虫類を捕食する。樹頂や枝先に
止まって「ギュ、ギュ、ギチギチギチ…」とさえずる。繁殖後は林
内に生活し、開けた場所に出ることはほとんどない。日本での繁殖
数が著しく減少している。
撮影: 江木 寿男
特記事項
鳥獣保護法:希少鳥獣
日露渡り鳥条約、日中渡り鳥協定
文献番号 1,2,3,4,5
(丸山健司、山田信光)
アカモズ
岡山県:絶滅危惧Ⅰ類
Lanius cristatus superciliosus Latham
環境省:絶滅危惧ⅠB類
スズメ目
モズ科
選定理由
岡山県下では非常に個体数の少ない種である。保護が必要であ
る。
存続を脅かす要因
森林伐採、林相変化、土地造成、農薬汚染、餌生物減少
分布状況
日本では北海道から本州北部・中部地方に夏鳥として渡来し繁殖
する。岡山県下での生息数は少ない。
生息情報
モズと同等の大きさ。眉斑は白く、過眼線は黒い。背中は赤褐
色、腹部は白い。夏鳥として渡来し、平地から山地の明るい林や灌
木のある草地、農耕地に生息する。灌木や電線に止まり、縄張り内
の見張りを行う。主に昆虫類を捕食する。モズのように「はやにえ」
も行う。
特記事項
日露渡り鳥条約、日中渡り鳥協定
文献番号 1,2,3,4,5
(丸山健司、山田信光)
- 84 -
撮影: 中桐 暢良
鳥類
カワガラス
岡山県:留意
Cinclus pallasii pallasii Temminck
環境省:該当なし
スズメ目
カワガラス科
選定理由
清流の流れる渓流域に生息する種である。その環境も含め生息状
況に留意する必要がある。
存続を脅かす要因
河川開発(河床平坦化、浮石除去、護岸工事)、川相変化(砂利
採取)、水質汚濁、餌生物減少
分布状況
日本では北海道から屋久島まで留鳥としてほぼ全国に分布し、繁
殖している。岡山県では中・北部山地の河川や渓流に生息している。
生息情報
ムクドリよりやや小さく比較的ずんぐりした小鳥で、全身が暗黒
褐色であるため黒くみえる。渓流の岩の上を渡り歩き餌を捕食す
る。また、水中にもよく潜り水生昆虫などを捕食する。水の流れに
沿って、低く直線的に速く飛ぶ。他の野鳥たちに比べて繁殖期は早
く渓流の岩の間や滝の裏、倒木の陰などに営巣する。
文献番号 1,2,3,5
(丸山健司、山田信光)
撮影: 森末 善昭
コマドリ
岡山県:準絶滅危惧
スズメ目
Erithacus akahige akahige (Temminck)
環境省:該当なし
ツグミ科
選定理由
岡山県内では春の渡りの時期に良く見かけることができる。繁殖
している個体数は極めて少ない。
存続を脅かす要因
森林伐採、林相変化
分布状況
日本だけが繁殖地で屋久島以北に夏鳥として渡来、繁殖する。主
に中部地方以北の高い山で繁殖する。岡山県では、春の渡り時に低
山などでさえずり、南部でもその声を聞くことがある。ごく少数は
北部の山地に留まるものがある。
生息情報
スズメ大、雄の頭部から上胸は橙赤褐色、背面は赤褐色、下胸は
黒く、その脇は灰黒色。普通、渓谷や渓流近くの低木林やササの中
で生活し、雄は美しい声で朗らかにさえずる。
特記事項
日露渡り鳥条約、日中渡り鳥協定
文献番号 1,2,3,5
(丸山健司、山田信光)
- 85 -
撮影: 國方 春行
鳥類
コルリ
岡山県:準絶滅危惧
スズメ目
Luscinia cyane (Pallas)
環境省:該当なし
ツグミ科
選定理由
岡山県北部の落葉広葉樹林や混交林で下草のササ類が茂った環境
を好むなど生息場所が限定されている。個体数も少ない。
存続を脅かす要因
森林伐採、林相変化
分布状況
日本では北海道から本州、四国に夏鳥として渡来する。多くは中
部以北で繁殖する。岡山県では、北部の山地に少数のものが留ま
り、そのさえずりを聞くことができる。また、県内通過の時には、
南部でも観察されることがある。
撮影: 濱 伸二郎
生息情報
スズメくらいの大きさで、雄の上面は暗青色、下面は白い。雌は
全体がオリーブがかった褐色。よく茂った落葉広葉樹林でササ類が
多い所を好む。明るい場所にはあまり出てこないため、姿を見る事
は少ないが、時には高い枝でさえずることもある。
特記事項
日露渡り鳥条約、日中渡り鳥協定
文献番号 1,2,3,5
(丸山健司、山田信光)
マミジロ
岡山県:準絶滅危惧
スズメ目
Turdus sibiricus davisoni (Hume)
環境省:該当なし
ツグミ科
選定理由
岡山県北部の落葉広葉樹林や混交林の自然豊かな林を好む。個体
数は少ない。
存続を脅かす要因
森林伐採、林相変化
分布状況
日本では北海道から本州、四国に夏鳥として渡来し、主に本州中
部以北で繁殖する。岡山県では渡りの途中に観察される。繁殖事例
は多くない。
生息情報
ムクドリ大の鳥で、雄は全身が黒色で眉斑の白色が目立つ。雌は
上面が黒褐色で、胸、脇腹などに黒褐色の三日月型の小斑がある。
飛ぶと、翼下面の白帯が見える。地上で昆虫類やミミズ類を捕食す
るが、サクラの実なども食べる。
特記事項
日露渡り鳥条約、日中渡り鳥協定
文献番号 1,2,3,5
(丸山健司、山田信光)
- 86 -
撮影: 島本 明
鳥類
コヨシキリ
岡山県:情報不足
スズメ目
Acrocephalus bistrigiceps bistrigiceps Swinhoe
環境省:該当なし
ウグイス科
選定理由
繁殖地は草地や湿地、河原などで局地的である。保護が必要であ
る。
存続を脅かす要因
池沼開発、河川開発(ヨシ原、草原の減少)、湿地開発(ヨシ原
減少)、農薬汚染、餌生物減少
分布状況
日本では北海道から本州北部・中部地方に夏鳥として渡来し、繁
殖する。岡山県には5月から7月にかけての通過時、また秋、南に
渡るときに立ち寄る。繁殖事例は多くない。
撮影: 濱 伸二郎
生息情報
スズメより小さく、背面は緑褐色で下面は渋色。眉斑は白色で、
その上部に沿って黒い線がある。ヨシが散在する草原や山地の乾燥
した丈の高い草原などに生息し、昆虫類やクモ類を捕食する。春の
渡りの時期には市街地に近い草地でも声を聞くことがある。
特記事項
日露渡り鳥条約、日中渡り鳥協定
文献番号 1,2,3,5
(丸山健司、山田信光)
オオヨシキリ
岡山県:留意
Acrocephalus arundinaceus orientalis
(Temminck & Schlegel)
環境省:該当なし
スズメ目
ウグイス科
選定理由
河口、河川、湖沼などのヨシ原が繁殖地であり、限定された環境
でしか生息できない。生息状況に留意が必要である。
存続を脅かす要因
池沼開発、河川開発(ヨシ原、草原の減少)、湿地開発(ヨシ原
減少)、農薬汚染、餌生物減少
分布状況
日本では北海道から本州、四国、九州に夏鳥として渡来し、繁殖
する。岡山県では全域で見られ、河口や川のヨシ原で繁殖する。近
年、各地の河原の狭いヨシ原でも見られるようになった。特に蒜山
一帯の河原のヨシ原には多い。
生息情報
スズメより少し大きく、上面全体が淡褐色、下面は黄白色、のど
にうすい縦斑がある。河口、川岸などのヨシ原に生息し、雄はヨシ
の茎に縦にとまり、橙赤色の口を見せてよくさえずる。ヨシ原の中
でもにぎやかにさえずるが、姿は見えにくい。夜も盛んに鳴く。
特記事項
日露渡り鳥条約、日中渡り鳥協定
文献番号 1,2,3,5
(丸山健司、山田信光)
- 87 -
撮影: 秋田 實
鳥類
キビタキ
岡山県:留意
スズメ目
Ficedula narcissina narcissina (Temminck)
環境省:該当なし
ヒタキ科
選定理由
一時期その個体数を減らしたが、現在は個体数を回復しつつあ
る。生息状況に留意が必要である。
存続を脅かす要因
森林伐採、林相変化(広葉樹林減少、人工造林進行)
分布状況
日本では北海道から本州、四国、九州に夏鳥として渡来し、繁殖
する。岡山県では、ほぼ全県下の広葉樹林に渡来し繁殖する。
生息情報
スズメよりやや小さい。雄の上面は黒色で、眉斑と腰は黄色、翼
には白斑がある。雌は全体がオリーブ褐色で、一見汚れた感じがす
る色彩である。平地から山地のよく茂った落葉広葉樹林に多く、樹
林の空間で昆虫を捕食する。雄は樹間の横に出た枝に止まり、美し
い声でよくさえずる。
撮影: 村上 義徳
特記事項
日米渡り鳥条約、日露渡り鳥条約、日中渡り鳥協定
文献番号 1,2,3,5
(丸山健司、山田信光)
オオルリ
岡山県:留意
スズメ目
Cyanoptila cyanomelana cyanomelana
(Temminck)
環境省:該当なし
ヒタキ科
選定理由
決して個体数の少ない野鳥ではない。生息する渓流近くの広葉樹
林または混交林の象徴として大切である。生息状況に留意が必要で
ある。
存続を脅かす要因
森林伐採、林相変化
分布状況
日本では北海道から本州、四国、九州に夏鳥として渡来し繁殖す
る。岡山県には広く渡来し繁殖する。渓流近くの広葉樹林または混
交林からあまり離れることはない。主に中・北部で繁殖するが、南
部でも繁殖が確認されている。
生息情報
ヒタキ類の中では大きく、雄は頭頂から背にかけ青紫色、翼と
尾、顔からのど、胸と脇は黒く、腹は白い。雌は上面が茶褐色、の
どと腹は白い。山地の渓流沿いの林にすみ、山道に沿ったくぼ地や
岩棚、家のひさしの下などに営巣する。雄は高い木の梢などでよく
さえずる。
特記事項
日中渡り鳥協定
岡山県自然保護条例捕獲禁止動物:自然環境保全地域(鯉ヶ窪地
域)
文献番号 1,2,3,5
(丸山健司、山田信光)
- 88 -
撮影: 村上 義徳
鳥類
サンコウチョウ
岡山県:準絶滅危惧
Terpsiphone atrocaudata atrocaudata (Eyton)
環境省:該当なし
スズメ目
カササギヒタキ科
選定理由
夏鳥として渡来し、里山林で生息する。個体数は少ない。
存続を脅かす要因
その他(山地開発(低山周辺))、林相変化(広葉樹林減少)
分布状況
日本では本州から四国、九州、屋久島に夏鳥として渡来し繁殖す
る。低山の広葉樹林内で繁殖する。スギ林内で見かけることもあ
る。岡山県各地で繁殖も確認されているが、近年、減少傾向であ
る。
生息情報
スズメ大の鳥で、雄の尾羽は紫色を帯びた黒色で非常に長い。く
ちばしや目の周りが青く、頭から上胸にかけて紫黒色、背面は赤紫
色。腹は白い。雌は雄に比べ赤褐色で赤味が強い。尾羽が雄よりか
なり短い。平地から低山の比較的暗い林にすみ、林の空間で昆虫類
やクモ類などを捕っている。林の外では見ることは少なく、鳴き声
でその存在を知ることが多い。
撮影: 秋山 登
特記事項
日中渡り鳥協定
文献番号 1,2,3,5
(丸山健司、山田信光)
ツリスガラ
岡山県:準絶滅危惧
Remiz pendulinus consobrinus (Swinhoe)
環境省:該当なし
スズメ目
ツリスガラ科
選定理由
冬鳥として渡来し、ヨシ原に生息する。個体数は少ない。
存続を脅かす要因
河川開発、湿地開発、海岸開発(ヨシ原減少)
分布状況
日本では本州南西部から四国、九州に冬鳥として渡来する。河口
や川岸のヨシ原を好む。岡山県では主に南部の河口や海岸のヨシ原
で見られる。その生息数は少ない。
生息情報
日本産の鳥の中では最も小さい部類の小鳥で、くちばしがとがっ
ている。雄の頭は灰色で、黒い過眼線が目立つ。背は褐色で、腹は
淡い褐色。翼と尾は黒味を帯びている。雌は雄に比べ体色が淡い。
ヨシ原に群れをつくってすむ。ヨシの茎に縦に止まり、葉鞘をはい
でその中にいる虫などをついばむ。
文献番号 1,2,3,5
(丸山健司、山田信光)
- 89 -
撮影: 森末 善昭
鳥類
コガラ
岡山県:留意
Parus montanus restrictus Hellmayr
環境省:該当なし
スズメ目
シジュウカラ科
選定理由
岡山県中・北部の落葉広葉樹林に生息・繁殖する。個体数は少な
い。生息状況に留意が必要である。
存続を脅かす要因
森林伐採、林相変化(広葉樹林減少、人工造林進行)
分布状況
日本では北海道から本州、四国、九州で留鳥として生息する。
岡山県中・北部のコナラ林、ブナ林などの落葉広葉樹林に生息する。
生息数は少ない。
生息情報
スズメより小さい森林性の鳥で、留鳥として主として落葉広葉樹
林内に生息している。秋冬には低山へ移動するが、平地に出てくる
ことはない。頭頂部やのどは黒色、ほおから胸、腹は白い。樹冠部
で昆虫類やクモ類などを捕食するほか草・木の種子や小実を食べる。
細い木の枝にぶら下がるなど非常に活発に行動する。繁殖期以外は
他の種と混群をつくり行動することもある。木の割れ目などに貯食
する習性がある。 文献番号 1,2,3,5
撮影: 香西 宏明
(丸山健司、山田信光)
ゴジュウカラ
岡山県:留意
Sitta europaea amurensis Swinhoe
環境省:該当なし
スズメ目
ゴジュウカラ科
選定理由
岡山県の北部山地、特にブナ林など落葉広葉樹林など、比較的古
い林で見られる。個体数は少ない。生息状況に留意が必要である。
存続を脅かす要因
森林伐採、林相変化(広葉樹林減少、人工造林進行、樹洞大木減
少)
分布状況
日本では北海道から本州、四国と九州に留鳥として分布してい
る。
その内、岡山県では北部山地、特にブナ林など、比較的古い林で見
られるが、その生息数は少ない。
生息情報
森林性の鳥でスズメより小さく、木の幹にさかさまに止まったり
垂直な幹を上下に移動したりなど他の鳥には見られない習性があ
る。山地の広葉樹林を好むが、針広混合林にもおり、昆虫や木の実
を食べる。木の実などを木の割れ目にたくわえることもある。木の
穴やキツツキがあけた穴などを利用し巣をつくる。また、秋冬には
カラ類、エナガなどと混群をつくる。
文献番号 1,2,3,5
(丸山健司、山田信光)
- 90 -
撮影: 村上 義徳
鳥類
キバシリ
岡山県:情報不足
スズメ目
Certhia familiaris japonica Hartert
環境省:該当なし
キバシリ科
選定理由
岡山県下では主として冬季に観察されている。個体数は少ない。
存続を脅かす要因
森林伐採、林相変化
分布状況
日本では本州(近畿以北)と四国・九州の一部の地域に留鳥とし
て亜高山帯の針葉樹や針広混合林に生息している。冬季には全県下
の山地林で観察されることがあるが極めてまれである。
生息情報
スズメより小さく、樹の幹に垂直にとまり、らせん状に上がる。
次の木に渡っては、また同じように上がって昆虫類を探して食べ
る。ゴジュウカラのように逆さに向いて下りることはない。
体の上面は茶褐色の地に白い縦縞があり下面は白い。眉斑は白
く、目を通る線は褐色である。木にとまっている場合には樹皮によ
く似ているので発見しにくい。
文献番号 1,2,3,4,5
(丸山健司、山田信光)
コジュリン
岡山県:情報不足
Emberiza yessoensis yessoensis (Swinhoe)
環境省:絶滅危惧Ⅱ類
撮影: 香西 宏明
スズメ目
ホオジロ科
選定理由
岡山県下では主として冬季に渡来しヨシ原に生息する。ホオジロ
の仲間で個体数は少ない。
存続を脅かす要因
河川開発、湿地開発、海岸開発(ヨシ原減少)
分布状況
日本では本州北・中部および九州で繁殖して留鳥または漂鳥とさ
れている。本州南西部では冬鳥とされている。岡山県ではヨシ原な
どで冬から春にかけて見られる。その生息数は少ない。
生息情報
スズメ大の鳥で、雄の夏羽では頭部全体から胸にかけ黒色、背面
は褐色で黒褐色の縦斑がある。冬羽では雌雄ともにホオジロによく
似た眉斑があり、飛び立ったとき、尾の両側の白が目立つ。本州の
中・北部の草原などで繁殖するが、局地的である。
冬には温暖地の草原やヨシ原に出てくる。
特記事項
鳥獣保護法:希少鳥獣
文献番号 1,2,3,4,5
(丸山健司、山田信光)
- 91 -
撮影: 森末 善昭
鳥類
ホオアカ
岡山県:留意
Emberiza fucata fucata Pallas
環境省:該当なし
スズメ目
ホオジロ科
選定理由
岡山県下での繁殖地は局地的であり、個体数は少ない。生息状況
に留意が必要である。
存続を脅かす要因
林相変化(ブッシュ様営巣木減少)、河川開発(護岸工事、河川
敷草地減少)、湿地開発(ヨシ原減少)、土地造成(草地減少)
分布状況
日本では北海道、本州北・中部では夏鳥として繁殖している。本
州南部、四国、九州では冬鳥とされている。岡山県では冬季、各地
で確認されている。蒜山高原では、3月~8月の間に確認され、繁
殖が認められている。
撮影: 村上 義徳
生息情報
ホオジロより少し小さく、背面は褐色で頭頂より続いた縦斑があ
る。下面は淡色で胸と脇に褐色の縦斑がある。ほおは赤褐色で、胸
に黒と褐色の横斑がある。北日本では低地の草原に生息、本州中部
以南では高原で繁殖し、秋冬には低地に下りてくる。草地などに単
独でいることが多い。
特記事項
日露渡り鳥条約、日中渡り鳥協定
文献番号 1,2,3,5
(丸山健司、山田信光)
ノジコ
岡山県:情報不足
Emberiza sulphurata Temminck & Schlegel
環境省:準絶滅危惧
スズメ目
ホオジロ科
選定理由
岡山県下での繁殖地は局地的であり、個体数も少ない。
存続を脅かす要因
森林伐採、林相変化(林床変化)
分布状況
日本だけが繁殖地で本州北・中部に夏鳥として渡来し、落葉広葉
樹林で繁殖する。本州南西部では旅鳥となり、岡山県では渡りの時
期に各地で認められている。生息数は少ない。真庭市蒜山では餌を
運ぶ個体が観察されており繁殖の可能性がある。
生息情報
アオジに似るが、黄色味が濃く、脇には灰緑色の淡い縦斑があ
る。渡りの時期には、低地の低い林にすむ。繁殖地としては、日本
だけが知られているが、局地的である。
特記事項
日中渡り鳥協定
文献番号 1,2,3,4,5
(丸山健司、山田信光)
- 92 -
撮影: 濱 伸二郎
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