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Detached Mindfulness が感情不安定性を伴う境界性人格障害傾向に

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Detached Mindfulness が感情不安定性を伴う境界性人格障害傾向に
Detached Mindfulness が感情不安定性を伴う境界性人格障害傾向に及ぼす影響 ○西嶋涼花 1・中村百花 2・二宮奈美 3・杉山瑞奈 4・今井正司 5 (1 鈴鹿市立神戸中学校・2 西尾市立室場小学校・3 鈴鹿市立国府幼稚園・4 名古屋学芸大学大学院子どもケア研究科・5 名古屋学芸大学) キーワード:境界性人格障害傾向、ディタッチト・マインドフルネス、感情不安定性 Effects of Detached Mindfulness on Borderline Personality Disorder with Emotional Instability Suzuka NISHIJIMA1, Momoka NAKAMURA2, Nami NINOMIYA3, Mizuna SUGIYAMA4 and Shoji IMAI5
(1Kanbe Jr High School, 2Muroba Primary School, 3Kou Kindergarten, 4Graduate School of Child Care, Nagoya Univ. of
Arts and Sciences (NUAS), 5NUAS)
Key Words: Borderline Personality Disorder, Detached Mindfulness, Emotional Instability
目 的 境 界 性 パ ー ソ ナ リ テ ィ 障 害 ( Borderline Personality
Disorder:BPD)は、対人関係・自己像・情動の不安定性お
よび著しい衝動性の広範な様式を特徴とする障害である
(APA, 2013)。BPD の臨床像は様々であるが、共通してみ
られる中核的な症状に感情の不安定性があげられる(加
藤,2006)。これらの症状を安定させる心理的機能としては「自
らの感情や思考と距離をおいて観察する心構え(Detached
Mindfulness:DM)」が有効であることが考えられる(今井
ら, 2012)。DM の作用機序は注意制御が基盤になっているこ
とが指摘されているが、BPD に特有な感情の不安定性に対し
ても同様の作用機序が機能しているか否については検討され
ていない。そこで本研究では、能動的注意制御を基盤とした
DM が感情不安定性を伴う境界性人格障害傾向に及ぼす影響
について検討することを目的とした。
方 法 1. 調査の対象者と手続き 東海圏の大学に在籍する大学生 228 名を対象に質問紙を用
いた一斉調査を実施した。未回答および記入漏れを除いた
214 名分の回答を分析対象とした。なお、回答は任意である
こと、学業成績に影響しないこと、調査で得られる情報は統
計的に処理され、外部に個人情報が漏れることはないことを
あらかじめ明示するなどの倫理的配慮をした(本研究は名古
屋学芸大学研究倫理委員会の審査承認を受けて実施された)。
2. 調査材料 1) 能動的注意制御尺度(VACS;今井ら, 2015)
:注意の制御
能力を測定する尺度として使用した。
2) Detached Mindfulness Mode Scale(DMMS;今井ら,
2012):自らの感情や思考から距離をおいて観察する心的
構えを測定する尺度として使用した。
3) 日本語版感情不安定性尺度(ALS;加藤, 2006):感情の
不安定性を測定する尺度として使用した。
「不安・抑うつの
揺らぎ(ANX)」
「高揚感の揺らぎ(ELA)」
「怒りの揺らぎ
(ANG)」「睡眠の揺らぎ(SLE)」の下位因子で構成され
ている。
4) 日本語版 Personality Diagnostic Questionnaire- Revised
(PDQ-R;上原ら, 1996):BPD 傾向を測定する尺度として
使用した。
結 果 各尺度の合計点数(ALS は各因子の合計得点)を観測変数
とした構造モデルを作成し、共分散構造分析を行った
(Figure)。モデルの適合度を検討した結果、概ね満足のいく
値が示された(GFI=.885, AGFI=.731)。各変数間の影響を
検討した結果、VACS から DMMS に有意な正の影響が示さ
れた(β=.51, p<.001)。また, DMMS から ALS の各因子には
有意な負の影響が示された(ANX:β=-.66, p<.001, ELA:
β=-.29, p<.01, ANG:β=-.34, p<.001, SLE:β=-.27, p<.01)。
さらに、ALS の下位因子のうち、ANX は PDQ-R に有意な正
の影響を示した(β=.53, p<.001)。しかしながら、ANX 以外
の ALS 下位因子は PDQ-R への有意な影響を示さなかった。
考 察 本研究の結果をまとめると、治療的側面においては、注意
制御機能の促進を土台にした DM が感情不安定性に対して有
効であることが示された。また、病理的側面においては、感
情不安定性の中でも「不安・抑うつの揺らぎ」のみが、BPD
傾向を増強する要因であることが明らかとなった。
「不安・抑うつの揺らぎ」によって BPD が増強される背
景には、BPD 傾向者に特徴的な「見捨てられ不安」によって
感情の揺らぎが生じていることが従来の研究知見から推察す
ることができる。したがって、DM のような「自らの感情や
思考から距離をおいて観察する心的構え」は、BPD 傾向者に
おける対人被害的な思考や感情の影響を緩和する方法として
有効であると考えられる。しかしながら、本研究においては
「不安・抑うつの揺らぎ」と「見捨てられ不安」との関連性
などについては直接的には検討されていないため、今後は「見
捨てられスキーマ」に焦点をあてた DM を適用し、それらの
効果が「不安・抑うつの揺らぎ」を媒介した BPD 傾向に及
ぼす影響について実証的に検討することが求められる。
Figure
Result of Structural Equation Modeling 引用文献 加藤亜紀 2006 境界性パーソナリティ障害傾向者の感情統
制不全 ―そのメカニズムの理解に向けて―. 人間科学
研究, 19, 42-42.
今 井 正 司 ・ 今 井 千 鶴 子 ・ 熊 野 宏 昭 ( 2012 ) . Detached
Mindfulness Mode と臨床症状との関連. 日本行動療法
学会第 38 回大会論文集, 336-337.
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