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イランのエネルギー産業とホルムズ海峡

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イランのエネルギー産業とホルムズ海峡
JPEC レポート
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レポ
ポー
ートト
第 28 回
2011年度
平成 24 年 1 月 20 日
イランのエネルギー産業とホルムズ海峡
本レポートでは、イランのエネルギー産業の現状と同国の核開発に対する米国の制裁に対抗して、
イランが封鎖を仄めかしているホルムズ海峡の重要性について紹介する。
Ⅰ.イラン
イランは宗教上の最高指導者が国家権力(三権と軍)を握り、大統領が行政の長として政策を執行
するイスラム共和制国家で、シーア派のイスラム教を国教と定めている。米国とは核開発問題で関係
が悪化しているが、イランを支持する国(トルコ、エジプト、ブラジル、ベネズエラ、キューバなど)は
「非核を呼び掛けるなら、最初に自国から始めるべきで、イランには核開発の権利がある」と主張して
いる。イランは 7 ヵ国(アゼルバイジャン、アルメニア、トルクメニスタン、パキスタン、アフガニスタン、
トルコ、イラク)と接し、南はペルシア湾(アラブ諸国ではアラビア湾と呼称)・北はカスピ海に面して
いる。国土は平野あり・砂漠あり・標高 5,600m を超える山ありと変化に富んでいると同様に気候も変
化に富んでいる。石油・天然ガスを豊富に産し、石油輸出国機構(OPEC)に加盟している。世界で最
初に石油開発が行われた国でもある。通貨はイランリヤル(IRR)、公用語はペルシア語。2011 年時
点の推計人口は約 7,600 万人。首都はテヘラン。2011 年の名目 GDP の推定値は約 36.4 兆円であ
る。
図 1.イランの概略地図
1
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1.イランの石油産業
(1)参入している石油企業
石油省の監督のもと、イラン国営石油(NIOC)が全ての上流側プロジェクトに対し責任を負っている。
NIOC の子会社・イラン国営南部石油(NISOC)は 5 省(Khuzestan、Bushehr、Fars、Kohkiluyeh、
BoyerAhmad)における石油生産の 80%を占有している。同時に、NIOC は子会社・イラン国営石油精製
配送会社(NIORDC)を通して、国内の石油精製と石油流通網をコントロールしている。
(2)石油埋蔵量
OGJ 発表の 2011 年 1 月時点の石油確認埋蔵量は 1,370 億バレルで、サウジ・ベネズエラ・カナダ
に次いで世界第 4 位である。その 50%超は内陸部の 6 つの巨大油田に埋蔵されている。特に、大部
分はイラクとの国境近くの Khuzestan 盆地に集中している。
図2.石油確認埋蔵量の国別順位トップ10(10億バレル)
(3)石油の生産と探査
①石油の生産
1970 年代以来、イランの石油生産量は大きく変化してきた。1976 年および 1977 年には 550 万BPD
以上であったが、1979 年のイラン革命以後はイラン~イラク戦争・限られた投資・他国による制裁・成
熟油田の自然衰退が相まって大幅に減少した。イランの油田群は自然衰退を取り戻すため、天然ガ
ス注入のような石油増進回収(EOR)を含む構造的なアップグレードを必要としているが、既存油田の
生産量は比較的高い自然減衰率(8~13%)と低い回収率(20~30%)により減少を続けている。さらに、
核開発に対する米国の制裁と禁止条項が減少を止めるために必要な投資を妨害している。現在、イ
2
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ランは内陸に 27 油田・海洋に 13 油田、合計 40 の生産油田を保有している。全生産量の 71%を内陸
油田が占め、最大の生産油田は Ahvaz 油田・次いで Maroun 油田で、いずれも Khuzestan 盆地に位
置している。2010 年に 400 万 BPD の石油(うち、370 万 BPD は原油)を生産し、OPEC 加盟国中ではサ
ウジアラビアに次ぐ第 2 位の石油生産国となっている。2011 年の石油生産量は 360~365 万 BPD の
見込みである。2010 年の国内消費量は前年比約 10%増の 180 万 BPD であった。因みに、イラン原油
の性状は API 比重が 28~35 度で、硫黄含有量は中位(medium)である。
図 3.イランの石油生産量と消費量の年次推移(千 BPD)
②石油の探査
過去数年に亘って、イランでは数多くの新油田の発見があった。2010 年遅く、イラン政府はペル
シア湾のガス田近くで複数の新油田を発見し、埋蔵量合計は 400 億バレルを超えると発表したが、
その可採埋蔵量は 100 億バレル未満であると見られている。2011 年 5 月、イラン国営石油(NIOC)が
Hormuzgan 省の沖合いで Khayyam 油田(可採埋蔵量 1.7 億バレル)を発見した。また同月、イラン政
府は南部と西部の内陸部で合計埋蔵量およそ 5 億バレルの新油田を発見したと発表している。一方、
カスピ海の海底には油層があるが、これらの油層の探査・開発は隣国アゼルバイジャンおよびトルク
メニスタンとの領土論争で行き詰まっている。現在進行中の上流側プロジェクトは数少なく、最も有望
なものは Azadegan プロジェクトと Yadavaran プロジェクトである。Azadegan 油田の石油確認埋蔵量
は 260 億バレルで、同国ではここ 30 年来最大の油田である。しかし、地質的に複雑なため抽出に困
難を伴っている。当該油田は北部と南部に分かれており、現在・中国石油天然ガス集団公司(CNPC)
が北部を 2 フェーズにて開発中で、生産量は各フェーズ 7.5 万 BPD・合計 15 万 BPD と見積もられて
いる。Yadavaranプロジェクトについては、2007年末に中国石油化工集団公司(Sinopec)が2フェー
ズ開発契約を締結した。2014 年までの第 1 フェーズで 8.5 万 BPD・2016 年までの第 2 フェーズ完了
時点で 18.5 万 BPD にアップする計画である。
3
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(4)石油の輸出
2010 年に 220 万 BPD の原油を輸出し、サウジアラビア・ロシアに次いで世界第 3 位を占めた。
Iranian Heavy 原油が最も多く、次いで Iranian Light 原油であった。同年の石油輸出収入は 730
億ドルに達し、政府歳入の半分を占めた。表 1.に示した 2010 年におけるイラン原油の輸出先のトッ
プ 5 は中国・日本・インド・イタリア・韓国の順となっている。一方、表 2 に示した 2011 年上半期の実
績ではトップ 5 の順位は変わっていないが、中国向けの輸出量が大きく増えている。第2 位を維持し
ている日本はイランにとって、重要な輸出先となっている。
2010年
輸出量 イラン総
(千B/D) 輸出の%
イタリア
208
10
スペイン
n.a.
n.a.
フランス
n.a.
n.a.
ギリシャ
n.a.
n.a.
ドイツ
n.a.
n.a.
イギリス
n.a.
n.a.
オランダ
n.a.
n.a.
その他 EU
n.a.
n.a.
EU 合計
n.a.
n.a.
中国
426
20
日本
362
17
インド
345
16
韓国
203
9
トルコ
n.a.
n.a.
南アフリカ
n.a.
n.a.
スリランカ
n.a.
n.a.
台湾
n.a.
n.a.
合計
1,544
72
(EIA資料による)
国名
2011年 1月-6月
2011年 1月-9月
輸出量
イラン総 イラン原油 輸出量
イラン総
イラン原油
(千B/D) 輸出の% への依存度 (千B/D)
輸出の%
への依存度
183
7
13
185
7
13
137
6
13
161
6
12
49
2
4
58
2
3
20
1
14
103
4
30
17
1
1
15
1
1
11
0
1
11
0
1
33
1
2
19
1
2
n.a.
n.a.
n.a.
44
2
4
450
18
n.a.
596
23
6
543
22
11
550
22
6
341
14
10
327
13
7
328
13
11
310
12
9
244
10
10
228
9
10
182
7
51
196
8
29
98
4
25
80
3
14
39
2
100
n.a.
n.a.
n.a.
33
1
4
n.a.
n.a.
n.a.
2,500
2,527
(EIA資料による)
(IEA資料による)
表 1.2010 年、2011 年におけるイラン原油の輸出先(千 BPD、%)
(5)製油所
国内に 9 製油所があり、原油精製能力合計は 145.1 万 BPD で内訳は表 3 のとおりである。各製油
所の場所は図 1 のとおり、Abadan 製油所と Bandar Abbas 製油所はペルシア湾沿岸・Isfahan 製油
所と Shiraz 製油所は中部内陸部・Lavan Island 製油所はペルシア湾内の島・他の 4 製油所は北部
内陸部に位置している。石油製品の自給自足のため、政府は 6 つの製油所(精製能力合計:120 万
BPD)の新設許可証を発行したが、資金繰りの困難さからほとんど進捗していない。
表 2.イラン国内の 9 製油所の精製能力(千 BPD)
写真 1.イラン最大の Abadan 製油所(35.0 万 BPD)
4
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(6)イランの核開発に対する国際制裁の影響
2010 年 6 月に国連の安全保障理事会がイランのウラン濃縮停止を求める決議を採択し、国連・米
国・欧州連合(EU)・欧州やアジアの多くの国による国際制裁が実施され、イランのエネルギー分野・
特に石油と天然ガスプロジェクトへの投資に影響を及ぼした。又、国際石油企業に対しイランの上流
側プロジェクトから撤退するように促し、同時にイランが石油製品を輸入することを妨害した結果、各
プロジェクトの遅延を招くと同時にイランは自国の石油製品生産量を増やすことを余儀なくされてい
る。それにも拘らず、イランは最近になって新設した濃縮装置を稼動させた。これを受け、各国はさ
らに制裁を強めようとしている。EU は近々、イラン原油の輸入禁止を決定する見込みである。米国で
は、2011 年末にイラン中央銀行と取り引きのある外国銀行が米国と取り引きすることを禁ずる法案が
成立し、イラン中央銀行と取り引きのある日本や韓国などにイラン原油の輸入削減を求めていた。
2012 年に入り、米国のガイトナー財務長官が日本を訪問し改めて要請したのに対し、安住財務大臣
は邦銀への打撃を避けるため、やむを得ず段階的にイラン原油の輸入量を減らす考えを示した。そ
の後、同長官は中国を訪問しイラン原油の輸入を削減するよう呼びかけたが、中国は拒否する模様
である。一方、イランは対抗措置としてホルムズ海峡の封鎖を仄めかしている。
2.イランの天然ガス資源
(1)天然ガスの埋蔵量
OGJ 発表の 2010 年時点の天然ガス確認埋蔵量は 29 兆 6,020 億 m3 で、ロシアに次ぎ世界第 2 位
である。その 2/3 超は未開発の非随伴ガス田に存在している。主なガス田として、ペルシア湾内の
South Pars ガス田・North Pars ガス田・Kish ガス田、内陸部の Kangan-Nar ガス田が挙げられる。
図 4.天然ガス確認埋蔵量の国別順位トップ 7(兆立方フィート)
5
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図 5.イランの天然ガス田の位置図(赤色がガス田、緑色は油田)
図 6.イランに埋蔵されている天然ガスのタイプ(%)
(2)天然ガスの生産と消費
イランの天然ガス生産量はここ 20 年間に 550%超増加した。2010 年の天然ガス生産量は 2,180 億
m3 で、340 億 m3 が油田に再注入され、市場に出た約 1,840 億 m3 のうち 1,440 億 m3 が国内消費さ
れた。豊富な埋蔵量があるにも拘らず、開発スピードが遅く内需を満たすには未だ不十分である。
今後、巨大プロジェクト・South Pars ガス田開発などにより天然ガス生産量が増えるとしても、石油増
進回収用の再注入量も著しく増え、天然ガスの輸出量の伸びは制限されると見られている。
図 7.イランの市場向け天然ガス生産量と消費量の年次推移(10 億立方フィート)
6
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(3)South Pars ガス田開発プロジェクト
1990 年に発見されたペルシア湾内の
South Pars ガス田の開発はイランの天然ガ
ス生産量合計の 35%を生産することになる同
国最大の天然ガス開発プロジェクトである。
24 フェーズに分けて 20 年がかりで開発され
ており、第 1~10 フェーズは既に完了し稼動
している。最終の第 24 フェーズが完成する
のは 2016 年の予定である。各フェーズとも天
然ガスとコンデンセート及び/又は天然ガス
液(NGL)を生産する。その天然ガスの大部分
は国内市場と油田のガス再注入用に割り当
てられ、残りは LNG として輸出するか又は GTL
プロジェクトに使われる。
表 3.South Pars ガス田開発プロジェクトのフェーズ別
進捗状況
(4)LNG プロジェクト
過去に数多くの LNG プロジェクトが提案されたが、「South Pars LNG プロジェクト」(LNG 生産能力
1,080 万トン/年)のみ残っているが、制裁により遅延している。他のプロジェクトは資金難のため棚
上げされた。
3.イランの電力供給
イランは電力の純輸出国である。2009 年には 2,016 億 kwh 発電し、1,615 億 kwh を国内消費し残
りを輸出した。パキスタン・トルコ・イラク・アフガニスタンへ送電し、アゼルバイジャンからは受電して
いる。アルメニアとは季節により、相互に電力をスワップしている。2009 年時点の発電形態は 97%が
従来型の火力発電で、残りは水力発電と風力発電であった。論議を呼んだ原子力発電への進出に
ついては、唯一の Bushehr 原子力発電所(100 万 kw)が稼動開始し 2011 年 9 月に配電網に接続さ
れた。
7
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図 8.イランの発電量と国内電力消費量の年次推移(10 億 kwh)
4.イランのまとめ
・イランは OPEC 加盟国である。
・石油確認埋蔵量はサウジ・ベネズエラ・カナダに次いで世界第 4 位である。
・石油生産量は 1976 年および 1977 年には 550 万 BPD 以上であったが、1979 年のイラン革命以後
はイラン~イラク戦争・限られた投資・他国による制裁・成熟油田の自然衰退が相まって大幅に減少
し、2010 年実績は 400 万 BPD であった。
・2010 年の石油生産量は OPEC 加盟国中でサウジアラビアに次ぎ第 2 位であった。
・既存の成熟油田は石油増進回収を含む構造的なアップグレードを必要としているが、核開発に対
する米国の制裁と禁止条項が必要な投資を妨害している。
・カスピ海の油層探査・開発はアゼルバイジャンおよびトルクメニスタンとの領土論争で行き詰まって
いる。
・現在進行中の有望な上流側プロジェクトに Azadegan プロジェクト(15 万 BPD)と Yadavaran プロジェ
クト(18.5 万 BPD)があるが、いずれも中国企業(CNPC と Sinopec)が携わっている。
・サウジアラビア・ロシアに次ぐ世界第 3 位の原油輸出国である。
・石油輸出収入は政府歳入の半分を占めている。
・2010 年のイラン原油の輸出先のトップ 5 は中国・日本・インド・イタリア・韓国の順となっている。2011
年上半期もトップ 5 は変わっていないが、中国向けの輸出量が大きく増えている一方で、イラン原
油に制裁を課したイタリア向けは減少している。
・石油製品の自給自足のため、政府は 6 製油所の新設許可証を発行したが、資金繰りの困難さから
ほとんど進捗していない。
・天然ガス確認埋蔵量はロシアに次ぎ世界第 2 位である。
8
JPEC レポート
・天然ガス生産量はここ 20 年間に 550%超増加したが、ほとんどが油田への再注入などで国内消費さ
れている。
・豊富な天然ガス埋蔵量があるにも拘らず、その開発スピードが遅く内需を満たすには未だ不十分
である。今後、South Pars ガス田開発などにより生産量が増えても、石油増進回収用の再注入量も
著しく増え、天然ガスの輸出量の伸びは制限される。
・イラン最大の天然ガス開発プロジェクトである South Pars ガス田の開発は 24 フェーズに分けて 20
年がかりで開発されており、第1~10 フェーズは既に完了し稼動している。最終の第24 フェーズが
完成するのは 2016 年の予定である。
・LNG プロジェクトとしては「South Pars LNG プロジェクト」のみ残っているが、制裁により遅延している。
他の多くのプロジェクトは資金難のため棚上げされた。
・イランは電力の純輸出国で、パキスタン・トルコ・イラク・アフガニスタンへ送電し、アゼルバイジャン
からは受電している。アルメニアとは季節により、相互に電力をスワップしている。
・2009 年時点の発電形態は 97%が従来型の火力発電で、残りは水力発電と風力発電であった。
・唯一の原発・Bushehr 原子力発電所(100 万 kw)が稼動開始し、2011 年 9 月に配電網に接続され
た。
Ⅱ.ホルムズ海峡
ホルムズ海峡はイランとオマーン(アラビア半島の北端で UAE の領土に囲まれた飛び地)の間に
位置し、ペルシア湾とアラビア海をつないでいる。当該海峡の最も狭い部分は 33.8km、水深は 73m
から 84m で、国際分離通航帯が北側に湾内向け航路 2.2 マイル(約 4.1km)、南側に湾外向け航路
2.1 マイル(約 3.9km)、中央に緩衝帯 2 マイル(約 3.7km)にてオマーン海域に設定され、タンカー
がペルシア湾を通り抜けるための世界で最も重要なチョークポイントとなっている。2009~2010 年は
毎日 1,550~1,600 万バレル・2011 年には毎日約 1,700 万バレルの石油が通過した。2011 年実績
によれば、世界中で取り引きされた石油のほぼ 20%(海上輸送分合計の約 35%)が通過したことにな
る。即ち、毎日平均で 14 隻の原油積載タンカーおよび同数の空タンカーが通過し、その積荷の 85%
以上はアジア市場(日本、インド、韓国、中国)に向った。加えて、LNG タンカーも航行しており、2011
年 1 月~10 月の間に約 7,000 万トンの LNG が当該海峡を通過した。
米軍はバーレーンに第5艦隊基地を有し、常時1~2隻の空母を待機させ、又、カタール等に空軍
基地を保有、ホルムズ海峡を含むペルシア湾での警戒を行っている。
9
JPEC レポート
万一、当該海峡が封鎖された場合の代替ルートとして:
① サウジアラビアのペルシア湾岸都市・アブカイク(Abqaiq)から「East-West パイプライン」を経由
してサウジアラビアを縦断し紅海のヤンブーに至るルート。公称輸送能力は約 500 万 BPD だが、現
在の実能力は約 200 万 BPD である。
② 「East-West パイプライン」と並行して走っている「Abqaiq-Yanbu 天然ガス液(NGL)パイプライン」
を使用するルート。輸送能力は 29 万 BPD に過ぎない。
③ 「Iraq-Turkey パイプライン」を経由して地中海沿岸の都市セイハン(Ceyhan)に至るルート。但し、
輸送能力は大幅に制限される。
④ 現在完成しつつあるアラブ首長国連邦(UAE)の「Abu Dhabi 原油パイプライン」を経由して、アブ
ダビからホルムズ海峡の南側のフジャイラ港に至るルート。輸送能力は 150 万 BPD である。
このように、ホルムズ海峡を通らない代替ルートがあるが、いずれも輸送容量が制限され且つ輸送コ
ストも高く現実的ではない。従って、ホルムズ海峡が封鎖された場合の影響は中東原油に依存して
いるアジア諸国にとって致命的となると同時に、世界経済にとっても甚大な悪影響が出ると予想され
る。
③
②
①
④
図 10.ホルムズ海峡の位置図(赤い楕円形内が
ホルムズ海峡)
図.9 代替ルート パイプライン図
10
JPEC レポート
表 4.ホルムズ海峡経由の原油輸出量
出所:PIW:NO.1 January 9, 2012
写真 2.ホルムズ海峡の衛星写真
11
JPEC レポート
<出典および参考資料>
(1)米国 DOE・エネルギー情報局(EIA)レポート:“Iran Country Analysis Brief”
http://www.eia.gov/countries/cab.cfm?fips=IR )
(2)Wikipedia 、Iran 、
http://en.wikipedia.org/wiki/Iran )
(3)Wikipedia 、イランと日本の関係 、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%81%A8%E6%97%A5%E6%9C%AC%
E3%81%AE%E9%96%A2%E4%BF%82 )
(4)Wikipedia 、イランと米国の関係 、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E5%90%88%E8%A1%86%
E5%9B%BD%E3%81%A8%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%81%AE%E9%96%A2%E4%BF%82 )
(5)npr 、
http://www.npr.org/2011/12/15/143791650/new-iranian-sanctions-and-fears-they-could-b
ackfire )
(6)IRAN TRACKER 、
http://www.irantracker.org/us-policy/sanctions-iran-reactions-and-impact )
(7)nikkei.com 、
http://www.nikkei.com/news/editorial/article/g=96958A96889DE1E5EBE4E5E4EBE2E3E1E2E3E
0E2E3E08297EAE2E2E2;n=96948D819A938D96E38D8D8D8D8D )
(8)searchina 、
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0114&f=politics_0114_024.shtml )
(9)米国 DOE・エネルギー情報局(EIA) Today in Energy:
“The Strait of Hormuz is the world's most important oil transit chokepoint”、
http://www.eia.gov/todayinenergy/detail.cfm?id=4430 )
(10)Wikipedia 、Strait of Hormuz 、
http://en.wikipedia.org/wiki/Strait_of_Hormuz )
本資料は、一般財団法人 石油エネルギー技術センターの情報探査で得られた情報を、整理、分析
したものです。無断転載、複製を禁止します。本資料に関するお問い合わせは [email protected]
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