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テクニカルドキュメントの改革
言語を超えて テクニカルドキュメントの改革 sdl.com/jp 言語を超えて - テクニカルドキュメントの改革 目次 はじめに.......................................................................................................... 3 コンテンツの最適化と共同作業 ........................................................................ 4 リッチメディア.................................................................................................... 6 リッチデータ...................................................................................................... 9 モバイル対応 ................................................................................................ 11 グローバル展開 ............................................................................................. 13 ソーシャルネットワーク対応 ............................................................................. 15 コンテンツ検索 .............................................................................................. 17 まとめ ........................................................................................................... 19 言語を超えて - テクニカルドキュメントの改革 > はじめに はじめに eBook 『言語を超えて:テクニカルドキュメントの改革』 へようこそ。 本書では、 顧客満足度を高めるテクニカルコンテンツの作成と配信の新たなコンセプトとベストプラクティスに関す るインサイトを提示しています。 多くの企業が、 DITA などのオープンスタンダードを採用してテクニカルドキュメントを構造化コンテンツに変換し、 近代化を進めています。 この結果、 コンテンツ発行の自動化、 コンテンツの再利用、 翻訳コストの削減を通じ、 発行プロセス全体が大きく改善されています。 しかし、 構造化コンテンツの可能性はすべて見出されたわけでは ありません。 企業は今、 テクニカルドキュメントを大規模なカスタマーエクスペリエンス戦略をサポートする質の高い顧客タッチポ イントを支えるパブリケーションへと転換しようとしています。 多くの場合、 顧客の状況に応じてパーソナライズされ た製品コンテンツは、 カスタマージャーニーのあらゆるタッチポイントにおいてマーケティング活動を後押しし、 顧客を 引き付けます。 さまざまなチャネルに対応した多言語のドキュメントを顧客が見つけやすい状態で提供することで、 顧客サポートのコスト削減にもつながります。 マーケティング活動を超えて展開される顧客体験 企業ブランドの印象というのは、 オンライン/オフライン、 モバイルデバイス/ PC、 購入前/アフターサービスといっ た条件を問わず、 印刷された広告、 Web サイト、 店頭販売、 オンラインヘルプ、 マーケティングコンテンツ、 ユー ザードキュメントなどあらゆるタッチポイントで、 その企業との間で顧客が体験したすべての事柄によって決まります。 そのため、 すべての体験が重要な意味を持ちます。 企業に現在必要なのは、 一貫性のあるコンテンツで顧客を 魅了し質の高い体験を提供する総合的な戦略です。 3 言語を超えて - テクニカルドキュメントの改革 > コンテンツの最適化と共同作業 コンテンツの最適化と共同作業 価値の高いコンテンツ制作には、 社内関係者や、 パートナー、 顧客などいまやさまざまな関 係者を巻き込むことができます。 しかし、 コンテンツ制作にかかわる人が多くなると、 その分コン テンツの一貫性が損なわれるリスクも増大します。 顧客とのコミュニケーションを一貫した明確 なものにするには、 企業はすべての関係者と連携を図り、 「1 つの声」 で語りかけることが重 要です。 質の高い自動化 コンテンツの制作プロセスで基本的な品質チェックを自動化すると、コンテンツの質を大幅に改善することができます。 会社のスタイルガイド、 ブランディングや技術に関する用語集、 基本的なスペルチェックや文法チェックはすべて、 メッ セージを 「1 つの声」 にまとめるうえで役立ちます。 コンテンツの品質は制作しながらチェックし、 内容の不統一を 防ぐことが理想です。 それを実現する最善の方法は、品質チェックソフトウェアと連動した、中央管理によるコンテン ツレポジトリを使用することです。 このソフトウェアは、 編集ツール(Microsoft Word、 XMetal Author、 または ブラウザベースのエディタ)内で、 会社の標準から逸脱している個所をコンテンツ制作者に提示してくれます。 使いやすいツール コンテンツ制作者に、 コンテンツ制作を促進する使いやすいツールを支給する方法もあります。 コンテンツ制作者が 本来の作業に集中できるよう、ツールの使い方の習得に時間がとられない、わかりやすいものである必要があります。 優れたコンテンツ制作ツールは、 コンテンツ制作を簡素化し、 編集プロセスの追跡を効率化できます。 こうした機 能は、 監査時にコンテンツ承認プロセスの厳密な追跡が要求される、 医療、 金融、 保険などの業界で特に有 効です。 4 言語を超えて - テクニカルドキュメントの改革 > コンテンツの最適化と共同作業 「レビュープロセスをコンテンツ制作と 一体化しなければ、 本当の共同作業は実現しません」 レビューの効率化 コンテンツは通常、 レビューや承認を含む校正プロセスを経て完成します。 コンテンツ制作と一体化した レビュープロセスを確立しなければ、 有益な共同作業は実現しません。 これを実現するには、 プリントア ウトした文書への赤入れや、 PDF のコメント機能などを使用したレビュー方式から脱却する必要がありま す。 レビュープロセスに手動の照合作業や変更作業が入ると、 コンテンツ制作プロセスの生産性を最大 化することもできません。 一方、制作プロセスとレビュープロセスで同じツールを使用すれば、複数のコンテンツ制作者のフィードバッ クを一元管理できます。 コメントの重複を避け、 レビュアーと制作者が必要に応じて直接やり取りするこ とも可能です。 つまり 専門知識を持つ組織のエキスパートが、 簡単で効率的なプロセス指向の方法によって知識を 共有できるようにすることです。 これにより、 顧客が求める最良の情報が提供されるようになる ため、 顧客満足度が向上し、 ブランドロイヤルティの強化につながります。 5 言語を超えて - テクニカルドキュメントの改革 > リッチメディア リッチメディア 現代の顧客はマルチメディアコンテンツを好み、 企業側にそうした情報を求めていることを企業 も認識しています。 それに対して、 多くの企業が行っているのは、 ただ YouTube に動画をアッ プロードすることのみです。 これは手間のかからない方法ですが、 標準的な印刷プロセスや Web プロセスを無視しているため、 長期的には問題が起きます。 さらにコンテンツ制作者は、 確立されたツールや手法を活用できないまま、同じスケジュールとリソースで、より多くのコンテン ツを制作しなければならないというプレッシャーにさらされています。 この状態は、 品質と効率 性の両面に大きな影響を及ぼします。 従来のヘルプテキストと対話型メディアを連携させた動的リンクを設定し、 リッチメディアを通して顧客を誘導するこ とも可能です。 例えば、 作業手順を動画の該当個所のタイムスタンプと紐付け、 各手順を完了する方法を直接 動画で示すことができます。 リッチメディアの優れた視覚効果を活用することで、 製品が理解しやすくなるのです。 リッチメディアを使用した顧客対応 リッチメディアは、 3 次元図、 アニメーション GIF、 音声、 対話型イラストなども含み、 動画のみを指すのではあり ません。 こうした形式のリッチメディアは単独ではただのファイルにすぎませんが、 メタデータや関連コンテンツと連携さ せることで、 顧客との関連性が高い対話型の充実したブランド体験を生み出します。 リッチメディアは独立型コンテンツではありません。 いつ、 どこで、 どのような方法で顧客がコンテンツを閲覧し使用す るかを考えながら、 リッチメディアを統合し適切な状況で提供してこそ、 その真の価値を引き出せるのです。 直接 寄せられたフィードバック、 コメント、 動的な情報表示、 ハイパーリンク、 サブタイトル、 対話型のコミュニケーション はすべて、 充実した顧客体験につながります。 顧客の状況に応じたコンテンツ 特定の顧客に的を絞ったマルチメディアを動的に提供することで、 顧客の状況に応じた関連性の高いサービスを実 現できます。 同じページを開いても、 顧客がこれまでに購入した製品、 過去に検索、 閲覧したコンテンツなど、 個別の顧客に関して収集した情報に基づき、 それぞれの顧客に応じて異なる動画を表示できます。 6 「動画、 リッチインターネットアプリケーション、 ダイナミック広告、 臨場感溢れるモバイルアプリを楽しめるようになったこの時代に、 テキストや静止画像で消費者が再び満足することはあるでしょうか? 答えは 『ノー』 です。 企業は、 大量のリッチメディアの制作、 管理、 配信に一晩で対応しなければならないような時代に 突入したのです」 出典:Digital Clarity Group、 『Rich Media Shines in the Era of Engagement』、 Tim Walters 博士 言語を超えて - テクニカルドキュメントの改革 > リッチメディア さらに、 リッチメディアなら、 さまざまな言語とチャネルを通じ、 世界規模で情報提供が可能になります。 翻訳された音声やサブタイ トルを顧客の所在地に基づき自動配信することで、 顧客が選択した言語で情報を直接提供できます。 特定の場所にいる特定の 顧客に合わせて、 地域ごとにまったく異なるメディアを使用することも可能なのです。 動画の統合 マルチメディアとテクニカルドキュメントを統合することで、 顧客に高品質の情報を提供できる新たな機会が生まれます。 人はさまざ まな方法で学ぶものであり、 その学習スタイルが千差万別であることは、 教育の専門家の間では以前から知られています。 マルチ メディアとテキストを組み合わせれば、 さまざまな形式を使用し、 顧客にとって理解しやすいコンテンツを提供できます。 しかし、 多く の企業や組織では、 このように充実した顧客体験を提供するリソースや時間、 予算が確保できないため、 拡張性や複雑性が問 題視されてきました。 しかし、 先進的なメディア管理システムの導入で、 手作業に伴う工数や複雑性を回避できるほか、 あらゆる 種類の動画に、 顧客体験向上のための機能を組み入れることができます。 例えば、 プリンタカートリッジの交換方法を説明した動 画とネットショップを連動させれば、 顧客が使用しているプリンタの交換用インクを提示し、 その場で購入につなげることが可能になり ます。 ブランドの管理 顧客接点となるさまざまなオンラインチャネルに動画を組み込んだ方がいいのは確かですが、 その動画が企業ブランドに及ぼす影響 にも留意する必要があります。 サードパーティのプラットフォームに動画を公開する場合、 特定の顧客層に動画をパーソナライズし、 ターゲットを絞ることができません。 その結果、 関連性の高い顧客体験を提供する機会を逃す可能性があります。 オウンドメディア による社内の監視プロセスの利点を活かせず、 閲覧者の貴重なコメントやフィードバックを回収できない可能性もあります。 そのため、 企業は多様なチャネルへのコンテンツ発行プロセスを自動化し効率性を高めながら、 ブランドの一元化が可能なメディア 資産管理システムに投資すべきです。 そうすることで、 動画をソーシャルメディアチャネルに配信する場合でも、 自社の Web サイト へ閲覧者を呼び戻すことができ、 パーソナライゼーションとブランド管理を維持 ・ 強化しながらターゲットを絞った独自の顧客体験を 提供できます。 7 言語を超えて - テクニカルドキュメントの改革 > リッチメディア 構造化の有効利用 テクニカルドキュメントの構造化が進むと、 メタデータを有効利用してデジタルメディアと従来のパブリケーションをより 緊密に統合できます。 既存のイメージと DITA コンテンツを結び付けると、コンテンツの意味に基づいてイメージをリッ チメディアに転換することが可能です。 例えば、 ヘルプ内に操作手順が示されたトピックがあるとします。 手順ごとに説明と関連するイメージが用意されて います。 これらのイメージを対応する説明文と組み合わせると、 各手順の説明をテキストオーバーレイとして追加し た 1 つのアニメーション GIF を生成できます。 このようにテキストとイメージを組み合わせることで、 顧客体験がより 充実したものになります。 しかも、 制作費は動画ほどかからず、 帯域幅は比較的狭くてもモバイルデバイスに対応 できます。 また、 多様なペルソナや言語などに応じた動画から成る単一のリッチメディアパブリケーションへ誘導するリンクを、 再利用可能な DITA トピックに埋め込むことで、 コンテンツ制作者はパブリケーション自体を編集せずに、 特定の パブリケーション内の特定の動画を更新するだけで済みます。 つまり リッチメディアをテクニカルコンテンツに統合することで、 ユーザーが得られる価値や有用性が向 上します。 このコンテンツを、 ブランド管理が可能なチャネルを通じて発行したり、 さまざまなユー ザーに合わせてカスタマイズしたりしましょう。 8 言語を超えて - テクニカルドキュメントの改革 > リッチデータ リッチデータ 多くの企業が、 ビジネス上の意思決定をより的確に下すためのツールに投資するようになって きました。 そうしたツールは分析機能に重点を置いています。 データポイントをレポート作成ダッ シュボードに集約し、 ビジネス戦略に影響を及ぼす隠れた重要な傾向を明らかにするのが目 的です。 テクニカルコミュニケーションも例外ではありません。 しかし、 従来の発行形式では、 データを容易に収集できない 可能性があります。 具体例を挙げると、 ある企業が非常に長文の PDF を Web サイトに公開した場合、 収集で きるデータポイントは PDF のダウンロード回数のみです。 このデータから個々の PDF の人気度は測れても、 顧客に とって最も役立つのは PDF 内のどのコンテンツなのかを知ることはできません。 しかし幸運なことに、 動的配信とコンポーネントベースの制作により、 この問題を解決することができます。 動的配 信ツール内で各トピックをモジュール化して発行し、 多くの新しいデータポイントを追跡できます。 指標の収集 Web の指標は、 特定トピックの人気度、 顧客が情報を見つけるまでの道筋、 さらには参照されていないトピック も明らかにします。 こうしたデータはいずれも、 顧客体験の改善に活かすことができます。 例えば、 閲覧回数の多いコンテンツにクイックリンクを設定してアクセスしやすくしたり、 観覧されていないトピックを 見直してその価値を判断したりします。 9 顧客が使用した検索ワードの情報は、 文章の修正や、 製品に対する顧客の考え方や使い方を意識したコンテン ツ制作に役立ちます。 さらに、 SEO、 用語集、 インデックスの改善にも利用できます。 言語を超えて - テクニカルドキュメントの改革 > リッチデータ 顧客エンゲージメントの測定 先進的なプラットフォームでは、 さまざまな言語や地域のソーシャルエンゲージメント(シェアリング)、 フィードバック、 コメント、 品質評価を測定できます。 こうした測定はすべて、 提供したコンテンツを顧客がどの程度重視するのかを 計るもので、 さまざまな戦略や翻訳、 コンテンツ開発計画、 さらには製品開発にも役立ちます。 この貴重な情報 は、 配信プロセスに組み込まれた分析機能により、 直接確認することができます。 さらに、 これらの情報はほかのデータポイントと併用することで、 顧客サポートの質を向上させることができます。 サポートポータルのチケット情報を検索内容やテクニカルコンテンツの利用状況と合わせて使用することで顧客が抱 えている主な課題が明らかになり、 テクニカルドキュメントと顧客サポートにおいて迅速かつ効率的に顧客の質問に 回答できるようになるのです。 つまり 優れたコンテンツの制作と配信には、 顧客ニーズの理解が欠かせません。 そのために、 発行し たコンテンツとその使用状況に関するリッチデータを収集 ・ 分析することが重要なのです。 10 言語を超えて - テクニカルドキュメントの改革 > モバイル対応 モバイル対応 現代の顧客は、モバイルデバイスであらゆる情報にアクセスできることを求めています。 この期待は、 テクニカルドキュメントの提供方法を含め、 企業の顧客対応に大きな影響を及ぼしています。 こう した期待に応えるには、 コンテンツをモバイルチャネルに配信できるシステムが必要です。 モバイルの普及 独自の画面サイズ、 OS、 機能を搭載したモバイルデバイスが増加の一途をたどっている現在、 コンテンツ配信戦略では、 多様なデバイスへの対応が不可欠となっています。 情報量の多い PDF や既存のオンラインドキュメントが、 モバイルチャ ネルやモバイル機能に対応できないケースは少なくありません。最新ソリューションの多くは、最初のアプローチとしてレスポン シブデザインを採用しています。 しかし、 この方法ではデバイス固有のニーズへの対応や最適なモバイル体験の提供がで きないという問題が生じます。 そのため、 サーバーサイドのコンポーネントを含めたアダプティブデザインの導入を検討する 必要があります。 レスポンシブデザイン アダプティブデザイン • 単一コードベース(CSS) • 最新モバイルデバイスにのみ対応 • CSS と連携したサーバーサイドソフトウェア • モバイルコンテキストの無視 • Web ページ全体の読み込み • 1 ページのみのテンプレート 11 • すべてのモバイルデバイスに対応 • 独自のデバイス機能(GPS)を有効利用 可能 • デバイスに有用なコンテンツのみの読み込み • デバイス固有のテンプレートを使用したユー ザー体験の改善 「人々が PC やノート PC から 『常時接続型』 のスマートフォンやタブレット に移行するのは、 必ずしも小型で持ち歩きに便利なモバイルデバイスを 使いたいからというわけではありません。 コンピューティングサービスが、 事実上、 時間や場所に縛られずに利用できるようになったからなのです。 モバイルへの移行は、 ユビキタスコンピューティング時代へと進む 大きな一歩なのです」 出典:Digital Clarity Group、 『Rich Media Shines in the Era of Engagement』、 Tim Walters 博士 言語を超えて - テクニカルドキュメントの改革 > モバイル対応 モバイルへの配信 つまり モバイルへのコンテンツ配信の課題を効果的に解決するには、 顧客体験を見直すことが重要です。 顧客はモバイ ルデバイスで、 コンテンツをどのように利用しているでしょうか?タブレットとスマートフォンでは顧客体験が異なるため、 別々の配信チャネルとして捉えるべきです。 モバイルデバイスでは、 ユーザーはインデックスや目次を利用せず、 検索でコンテンツを見つけます。 さらに、 モバイ ルへ配信する場合、 動画、 アニメーションイメージ、 音声などのリッチメディアとともに、 テキストにも対応する強力 なプラットフォームが必要です。 モバイルサポート 多くの顧客は、 モバイルデバイスでテクニカルドキュメントを検索する際にさまざまなレベルのサポートを必要とするた め、 顧客サポートのオプションを直接組み込むとよいでしょう。 例えば、 閲覧しているヘルプトピックに基づき、 入 力フィールドにあらかじめ情報を入れておき、 ワンクリックでサポートチケットを作成できるようにすると、 問い合わせ がスムーズに進みます。 同様に、 電話番号、 Twitter、 顧客サポートへのリンクなど、 さまざまな問い合わせ先を 提示すれば、 顧客は好みの問い合わせ手段を選択することができます。 モバイルの適応性 企業は、 モバイルデバイス特有の機能を活用するべきです。 例えば、 内蔵カメラで製品コードを読み取らせ、 製 品固有の情報をその場ですぐに配信することができます。 また、内蔵 GPS は、コンテンツに最適なデフォルト言語を 特定し、 地図ソフトウェアと連動して最寄りのサポート窓口や販売代理店、 サービスプロバイダ、 修理店を表示 することができます。 さらに、 電話で修理依頼を受けたサービス担当者が修理作業を迅速に遂行するために、 カメラ機能やスキャン機 能を活用してパーツを特定したり、 部品の注文をしたり、 また現場に作業支援を送ったりすることもできるでしょう。 12 すべてのデバイスに対して同じコンテンツと形式を用意する方法はもうやめましょう。 モバイル対 応の使いやすい対話型コンテンツの制作に関して戦略的になり、 ユーザーと特定情報に関す る彼らのニーズを考慮しましょう。 言語を超えて - テクニカルドキュメントの改革 > グローバル展開 グローバル展開 モバイルデバイスへの配信を期待する声が高まるにつれ、 コンテンツの多言語対応を求める 声も増えています。インターネットが世界中に普及している今、好むと好まざるとにかかわらず、 すべてのオンラインビジネスが世界規模で展開されています。 そのため、 求められるすべての 言語でコンテンツを顧客に届ける必要があります。 従来、 多くの企業は、 顧客と組織にもたらされる価値に基づき、 地域向けコンテンツに優先順位を付けていま した。 そのため、 販促資料がすべての言語に翻訳されても、 ナレッジベースの記事はまったく翻訳されないことも ありました。 コンテンツの 80% が翻訳されている地域もあれば、 翻訳されているのは現地スタッフが対応した最 小限のコンテンツのみという地域もあるのです。 これではコンテンツの一貫性も質も損なわれ、顧客に必要なものを 提供する機会を逃しかねません。 ローカリゼーション戦略 このような企業は、 必ずしもすべてのコンテンツを翻訳する必要がないと考えていたわけではありません。 多くの場 合、 既存のプロセス、 リソース、 ツールではコストがかかりすぎ、 それに見合う効果が期待できなかったのです。 そこに登場したのが、 統計ベースの機械翻訳システムと自動翻訳システムです。 これらを再利用可能なコンテン ツと組み合わせることで、 従来の問題が大幅に解消されました。 コンテンツを再利用すると翻訳コストを削減できますが、 翻訳者がコンテンツのコンテキストに配慮できる管理体 制が必要です。 基本的に、 翻訳者はパブリケーション内のコンテンツをプレビューできれば適切に翻訳できます。 さらに、 翻訳コストを有効活用するには、 重要度に従ったコンテンツの分類も依然として必要です。 現在、 パブ リケーション分析がこのプロセスの改善に大きく役立っています。 13 言語を超えて - テクニカルドキュメントの改革 > グローバル展開 例えば、 品質の低い機械翻訳のコンテンツに、 パブリケーション分析で多くの顧客のアクセスが認められた場合、 このシステムは翻訳管理システムにコンテンツを自動転送し、 人の手による翻訳と編集に回します。 翻訳を超えて 翻訳はグローバル展開の 1 つの要素にすぎません。 地域によって、 好まれるチャネルは異なります。 特に PDF は、 印刷中心の国においては今でも一般的に利用されていますが、 中国やインドのような主に携帯電話で情報にアク セスする新興市場においては、 効果的なチャネルではありません。 すべてのチャネルにコンテンツを配信することに 注力し、 顧客がそれぞれ望む、 あるいは必要とする形式でコンテンツを受け取れるようにすることが重要です。 構造化コンテンツの動的な性質をこれまで以上に活用し、 イメージと動画を入れ替えたり、 地域に即した配色を 採用したりすることで、 より文化に適合した体験を実現できます。 さらには、 機械翻訳とコメントを組み合わせるこ とにより、 言語の障壁に関係なく、 コンテンツの制作者と利用者間の基本的な対話を促進することも可能です。 コンテンツの優先順位付け 顧客が長期にわたり継続して頻繁に利用しているコンテンツを追跡することにより、人の手による翻訳、機械翻訳、 またはそれらの併用のうち、 どの方法にコストをかけるべきかを判断できます。 言語によって違いはありますが、 機 つまり 械翻訳ですべてのコンテンツを一括翻訳しておくことで、 翻訳者がレビュー、 編集、 品質管理に費やす時間を大 幅に短縮できます。 品質測定で翻訳の有用性に問題がないと判断されれば、 トラフィックの少ないコンテンツは機 械翻訳に留めておくことも可能です。 その後のコンテンツの改良は、 機械翻訳の品質スコアとパブリケーション分析に基づいて自動化することができます。 また、 必要に応じて翻訳管理システムを用い、 人の手による翻訳を利用することも可能です。 14 翻訳ソリューションはグローバル展開の中心的要素ですが、 コンテンツの多言語対応は単純に 言語の問題ではありません。 時間をかけて文化的ニュアンスを汲みとり、 世界各地で使用さ れているデバイスに応じてコンテンツをカスタマイズしましょう。 言語を超えて - テクニカルドキュメントの改革 > グローバル展開 ソーシャルネットワーク対応 ソーシャルネットワークで顧客とつながる企業が増加しています。 そのようなサイト(Facebook、 LinkedIn、 Twitter など)で存在感を確立することも重要ですが、 顧客が企業の評価につい てどのような発言しているか、 また、 どこでその意見を発信しているのかを把握することも 大切です。 第一に、 こうした意見は企業が管理しているチャネル外で発信されるため、 ソーシャルリスニングプラットフォームが 必須となります。 また、 企業が管理しているオウンドメディア内でも、 顧客がどのような意見を発信しているか把握 する必要があります。 統合パブリケーション分析を利用することで、 顧客のコンテンツ利用状況、 検索対象、 選 択した検索結果、 コンテンツのナビゲーション方法、 トピックの見つけ方などを確認できます。 双方向の対話 コンテンツの制作者と利用者間の対話も重要です。 コンテンツ内に直接フィードバックループを統合することで、 コン テンツ制作者がフィードバックを確認できるようになります。 さらに、 コンテンツ制作者はそのようなフィードバックに対応し、 コンテンツの更新ができるようになる必要もあります。 そうすることで、 顧客は自分の意見が反映され、 提案した内容が検討されていることを実感し、 エンゲージメントを 高めることができます。 顧客は世界中のあらゆる地域からさまざまなチャネルを通じてアクセスしてきます。 それに対応するには、 チャネル や言語に依存しないフィードバックループを実現することが重要となります。 それにより、 顧客がどのデバイスや言語 でコメントを送信しても、 それに対応できる適切な人物にフィードバックが届くようにできるのです。 15 言語を超えて - テクニカルドキュメントの改革 > ソーシャルネットワーク対応 平等な共有 顧客がテクニカルコンテンツをソーシャルネットワークで共有できるようになると、 製品やサービスのエコシステムが拡 大します。 パブリケーションやコンテンツを配信する際に共有機能を組み込むことで、 共有可能なコンテンツを大幅 に増やすことができます。 DITA トピックなどのモジュールコンテンツはそれぞれ独立しており、 1 つのパブリケーションのコンテキストに依存しない ため、 簡単に共有できます。 こうしたコンテンツをハッシュタグ、 短い URL、 さらには QR コードを使用して追跡す れば、 ソーシャルリスニング分析の強化につながります。 すべての顧客が同じソーシャルネットワークを利用している わけではありません。 そのため、 可能な限り多様な共有オプションを用意する必要があります。 中国の Weibo や ブラジルの Orkut のような地域固有のネットワークも対象とします。 最後に、 先見の明のあるマーケティングチームであれば、 テクニカルコンテンツ制作者と協力し、 複数のパブリケー ションの関連性を明確にすることでブランド力を向上させると同時に、 新規顧客に優れたコンテンツを提示できるで しょう。 つまり ソーシャルネットワークに対応するには、1)コンテンツは、コンテキストに依存しない独立したコン ポーネントで構成して共有が簡単にできるようにする、 2)会社、 製品、 従業員に関する人々 の意見に耳を傾け、 適宜対応しブランドを管理する、 という 2 つの要素が重要です。 16 言語を超えて - テクニカルドキュメントの改革 > コンテンツ検索 コンテンツ検索 どれほど優れたコンテンツを制作しても、 顧客がそれを見つけることができなければ、 コンテン ツの価値は失われます。 多くの企業は、 すべてのコンテンツをオンラインで提供しています。 そのため、 Web チームやマーケティングチームに限らず、 すべてのコンテンツ制作者が検索 エンジン最適化(SEO)に取り組む必要があります。 テクニカルコンテンツ制作チームの多くは、 SEO のベストプラクティスに精通していません。 従来、 SEO がテクニ カルドキュメント制作の一環ではなかったためです。 しかし現在では、 セマンティック要素を用いた文脈的に関 連性の高い検索エンジンが提供され、 構造化コンテンツによる検索結果の改善が実現しています。 例えば、 PDF を検索すると、 読み取り可能なテキストのみが表示されます。 しかし、 このコンテンツを検索し やすいオンラインファイルタイプに変換すると、太字タグや斜体タグなどが埋め込まれた形式になり、検索エンジン が特定の語句の重要性を認識します。 検索結果をさらに改善したい場合は、 コンテンツの内容を表す説明タグを構造化コンテンツに埋め込み、 コン テンツの目的を検索エンジンに知らせます。 このメタデータを使用すると、 PDF はもちろん HTML の SEO も飛 躍的に改善されます。 優れたコンテンツが検索結果の上位に表示され、 見つけやすくなります。 ファセット検索 コンテンツ所有者は、 基本的な検索結果以外でもコンテンツを見つけられるようにする必要があります。 ファセット ナビゲーションは、パブリケーションや成果物のコンテンツを分類します。この分類によって、顧客は閲覧中のパブリケー ション以外にも関連性の高いコンテンツを見つけられます。 例えば、 ある顧客がユーザーガイドで新機能の情報を 探すとします。 この顧客は、 ユーザーガイド内の検索結果のみでなく、 ほかのパブリケーションやマルチメディアなど のコンテンツで検索した新機能情報も閲覧する可能性があるのです。 構造化コンテンツは、 サブジェクトスキームサポートによるカテゴリ管理を可能にし、 既存のカテゴリの枠組みに新規 コンテンツを自動的に追加できるようになります。 17 言語を超えて - テクニカルドキュメントの改革 > コンテンツ検索 コンテンツの提案 レコメンデーションエンジンは元来 e コマース用に開発され、 関連商品の購入を顧客に提案したり、 ほかの顧客が 購入した商品と似た商品を提示したりするために使われてきました。 顧客行動に基づく提案を自動化することで、 最も役立つ最善のコンテンツを検索結果の一番上に自動表示します。 テクニカルドキュメントの場合も同様に、 統合コンテンツ分析によってコンテンツ制作者が最も人気の高いコンテンツを把握できます。 その結果、 コンテンツ制作者はこうした注目度の高いトピックに細心の注意を払うようになります。 強力な検索エンジン、 構造化コンテンツによって改善された SEO、 ファセットナビゲーション、 さらに統合レコメンデー ションエンジンを適切に組み合わせると、顧客が常に目的のコンテンツを見つけられるだけでなく、存在すら知らなかっ た有益なコンテンツにもたどり着けるようになるのです。 つまり 森の中で木が 1 本倒れたとしても、 誰もその音を聞いていなければ、 「音がした」 とは言えないでしょう。 同様に、 優れたコンテンツが存在していても、 誰の目にも留まらなければ、 それは 「存在している」 とは 言えません。 優れたコンテンツは、ユーザーに発見され、利用されてこそ価値があるのです。 ユーザーにとっ て最も関連性が高く、状況に応じた価値の高い体験を提供できるように、じっくり時間をかけてコンテンツを 準備しましょう。 18 まとめ 誰もが、 顧客に優れたコンテンツを 提供したいと考えているはずです。 しかしそれは、 ただコンテンツを 制作して発行しているだけでは 実現できません。 まずは、 テクニカルコンテンツをカスタマージャーニーにおける重要なタッチポイントと捉え、 組織のカスタマーエクスペリエンス戦略全体に組み込 む必要があります。 次に、 統合コンテンツアプローチをサポートするインフラストラクチャを内部および外部に確立します。 肝心なのは、 正確で有益な情報を求めている顧客のニーズを満たすことです。 そのためには、 顧客が情報を求めているタイミングや、 顧客が 使用しているデバイスへの最適化、 顧客の言語や文化への適切性、 さらにはフィードバックや共有が可能な対話型の方法を検討することが 欠かせません。 この戦略を適切に実行することで顧客満足度が向上し、 満足した顧客が世界中でブランドを支持してくれるでしょう。 SDL(LSE:SDL)は、 翻訳テクノロジ、 サービス、 コンテンツ管理のグローバルイノベータです。 この分野で 20 年以上 の実績を持つ SDL は、 世界中の顧客の微妙なニュアンスに細かく配慮したデジタルエクスペリエンスを実現することで、 ビジネスの飛躍的な成長をサポートします。 グローバルブランド上位 100 社のうち 79 社が SDL を利用しています。 詳しくは、 SDL.com/jp をご覧ください。 Twitter、 LinkedIn、 Facebook でも情報発信しています。 SDL ジャパン株式会社 東京都目黒区上目黒 2-1-1 中目黒 GT タワー 4F www.sdl.com/jp [email protected] Copyright © 2016 SDL plc. 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