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第6章 - 美馬市

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第6章 - 美馬市
第6章 地域別の取り組み方針
本市は、総面積367.38k㎡と広大な市域を有し、地域内の環境は非常に多様です。
市全体としての環境づくりの方針に加えて、地域の特性を生かした環境づくりを進めるた
め、地域ごとの環境づくりの方針を明確にしていく必要があります。
地域区分を旧4町村に設定しました。
脇 町
美馬町
穴吹町
木屋平
‐69‐
脇
町
面積111,09km2
世帯数6,382世帯
人口17,279人
世帯あたり人数2.7人
人口密度156人/km2
65歳以上人口割合27%
平成19年4月1日現在
【土地利用】
脇町の地形は、山地と台地と低地に分かれています。その約8割が山地で占められ、台
地を含めた平地は南端の吉野川沿岸だけの約2割となっています。また、山地の南縁及び
台地には、中央構造線とそれに並走する数本の断層が東西に走り、明瞭な断層地形が見ら
れます。台地とともに平地の約5割は、曽江谷川、大谷川、井口谷川、野村谷川などがつ
くった沖積扇状地で、主な集落がその上に発達し、商業施設、事業所、公共施設等が集ま
っています。
【自然環境】
吉野川中流北岸に位置する脇町は、阿讃山系の大滝山(標高946m)などに源を発す
る谷川が、なだらかな丘陵や谷あいを南流しています。いずれもかれ川で、長さは短く天
井川も多い。模式的な河岸段丘と扇状地がコントラストを示す美しい自然環境に恵まれ、
国選定の重要伝統的建造物群「うだつの町並み」など、数多くの重要文化財を有する歴史
の町です。
【生活環境】
脇町から穴吹までは、国道193号で3km、また、国道193号で高松市まで42k
m、徳島市内までは、主要地方道鳴門・池田線で40km、高速道路を利用すると自家用
車で約30分です。平地には、大型ショッピングセンターを有する商業施設や病院、学校
等の公共施設が集まり、生活には不便はないが、山地においては自家用車所有者でなけれ
ば、不便を感じています。
【地域資源】
脇町の中心を流れる大谷川の市役所脇町庁舎(旧脇町役場)近傍上流地点に「デ・レー
ケの堰堤」と呼ばれている砂防ダムがあります。この砂防ダムは、明治政府の御雇い治水
技術者であったオランダ人のヨハネス・デ・レーケが命をうけて1884(明治17)年
に吉野川を調査したときに、この大谷川をはじめとする徳島県北部の支川からの多大な土
砂流出に驚き、その対策方法を指導したことによりできたものです。
当時は本県にもいくつかのデ・レーケ砂防ダムがあったといわれましたが、現存してい
るのはこのダムだけです。
また、脇町の「うだつの町並み」は、東西に通じるメインの道路の長さ約430m、指
‐70‐
定地区の面積は5.3haで、伝統的建造物は88棟、環境物件(石垣や井戸等)65件、
修景物件(母屋、塀等)94件です。
建物の特徴は、屋根は本かわらぶきであり、2階の窓は防火に重点をおいた「虫籠窓」
となっています。2階の屋根の両端にしっくい塗りの「うだつ」があります。
建物で最古のものは、1707(宝永4)年の棟札は確認されています。保存計画では、
昭和のものまで含めて母屋の7割となっています。
地元では全戸が参加して、保存会を結成。一致団結して、町並み保存と修復に努めてい
ます。また、住民有志は、ボランティア活動として、町並み見学者の案内にあたり、隠れ
た協力者となっています。
美馬市となった現在も、諸施設の改善等に力を入れ、観光地として魅力あるものに仕上
げていくことに積極的です。
【環境の課題】
・河川、山林へのごみの不法投棄
・河川敷堤防及び町並み保存地区等でのごみのポイ捨て、ペットによる犬のふん害
・容器包装等のごみ減量化対策
【理想とする環境像】
歴史ある風景を守り、後世へと伝える
うだつの町並みを中心とした景観は、歴史文化と人の営みが調和した景観で
す。この景観を保全するとともに、後世へと伝えます。また、道路や住宅地、
商店街等の再整備に際しては、町並み景観に配慮しつつ、安全快適な環境づく
りを推進します。
【理想とする環境像の実現に向けた取り組み方針】
○基本方針1:全員参加による環境づくり
・環境学習の推進及び環境リーダーの育成
・市民・事業者による取り組みの推進
○基本方針2:自然を守り、活かす
・歴史文化を保全・活用した地域づくりの推進
・環境にやさしい産業の推進
○基本方針3:環境と人にやさしいまちづくり
・ごみのポイ捨て、犬のふん害をなくす取り組みの推進
・安全快適な道づくりの推進
・廃棄物発生量の抑制等の推進
‐71‐
穴吹町
面積108,88km2
世帯数2,612世帯
人口7,143人
世帯あたり人数2.7人
人口密度66人/km2
65歳以上人口割合32%
平成19年4月1日現在
【土地利用】
穴吹は美馬市の中心部に位置し、東西約9キロメートル、南北約16キロメートルのほ
ぼ長方形をしています。森林・原野の面積が82.9%、耕地面積が6.8%となってお
り、北部の吉野川沿岸の低地では豊富な水資源を利用して稲作が、また中部の急傾斜な耕
地でははっさく・茶などが生産されています。また中山間地域においては、養鶏業も盛ん
に行われています。商業施設、事業所、公共施設等及び住宅の大部分は穴吹川沿岸の河岸
段丘地や吉野川沿岸の低地及び台地に集中しており、住宅の一部は山腹緩斜面に点在して
います。
【自然環境】
水質四国一の清流として有名な穴吹川は、穴吹の中央部から東部にかけて南北に流れ、
国指定特別天然記念物のオオサンショウウオを始めとして多種多様な水生生物が生息して
います。南部では木屋平から続く1,000m級の尾根の間を縫うようにV字形の渓谷が
広がり、春夏秋冬を問わず見事な景観を創っています。また穴吹川を中心として傾斜が激
しいため、支流ではいくつかの滝と出会うことができます。北部にかけては肥沃な三角州
を形成し、宅地や耕地に利用されています。
【生活環境】
車を利用すると徳島市内までは国道192号で1時間、高松市内までは国道193号で
1時間です。JR穴吹駅からは汽車を利用して徳島方面へ、また連絡バスを利用して美馬・
木屋平・高松の各方面へ行くことができ、公共交通機関の起点となっています。しかし、
便数が限られているため、高齢者等自家用車を所有しない者にとっては不便に感じること
があります。
【地域資源】
穴吹川は、有機物汚染の目安となる生物化学的酸素要求量(BOD)の平均値が1リッ
トル中0.6㎎と四国の1級河川21河川中で最も低く、12年連続で四国1位の水質を
誇ります。夏季にはキャンプやあゆ釣り等のレジャー目的のほか、8月に行われる筏下り
大会では県内外から多くの観光客が訪れています。穴吹川の利用としては、観光利用のほ
かに古くは明治40年以後に行われた流材、昭和初期からの口山発電所などによる小規模
な水力発電、江戸時代に作られた穴吹町土場の立堰による灌漑などが主なものです。
‐72‐
穴吹を流れる谷はその多くが穴吹川の支流であり、近年は生活排水の流入や、水量の減
少による穴吹川の水質悪化が心配されています。そのため美馬市では穴吹川流域及び周辺
地域の公共下水道事業及び農業集落排水事業に着手し、水質の維持に取り組んでいます。
同様に、観光客等が残した缶・ペットボトルなどごみの増加も問題となっています。
三島地区を流れる明連川では、水量不足と生活排水による水質悪化が深刻化しており、
平成12年度から徳島県、美馬市、地域住民、地元企業が連携し、河川環境の整備と保全
活動を行っています。導水による維持水量の確保や、排水浄化対策の導入を家庭や企業に
依頼するなど自助努力により水質が改善されてきています。また三島小・中学校では、ビ
オトープ事業として環境学習活動の他に模型を使った植裁計画を作り、その計画に基づき
実際に植樹をしてその後の成長過程や水質の調査をしたりするなど、河川環境の保全に積
極的に取り組んでいます。
【環境の課題】
・河川、山林へのごみの不法投棄
・生活排水による河川の水質の悪化
【理想とする環境像】
河川愛護・環境保全の精神を培い、清流を未来へ残す
四国一の水質を誇る穴吹川や、ビオトープ事業による河川環境の再生が行わ
れている明連川など、穴吹には自然が与えてくれた貴重な水財産があります。
各学校での環境教育の他、地域住民への学習活動や啓発活動を推進し、全世代
を通して河川愛護・環境保全への意識を高め、清流を未来へと残します。
【理想とする環境像の実現に向けた取り組みの方針】
○基本方針1:全員参加による環境づくり
・児童・生徒を対象とした環境保全に関する学習活動の推進
・地域住民・事業者による環境保全の取り組みの推進
○基本方針2:自然を守り、活かす
・河川周辺の森林の整備
・観光客等のモラルとマナーの向上を啓発
○基本方針3:環境と人に優しいまちづくり
・下水道事業の拡大及び加入の推進
・合併処理浄化槽の普及推進
・ごみのポイ捨て、犬のふん害をなくす取り組みの推進
‐73‐
美馬町
面積46,18km2
世帯数3,179世帯
人口8,875人
世帯あたり人数2.8人
人口密度192人/km2
65歳以上人口割合30%
平成19年4月1日現在
【土地利用】
美馬町の地形は、山地が占める割合が約6割で、残りの平地もほとんどを扇状地が占め
ています。竜王山を最高峰とする讃岐山脈は、地質構造を反映して、三本の稜線を鍋倉谷
川・中野谷川を挟むように北西から南東に走らせています。その南側は東西に直線状に続
く断層崖により限られています。また、平地は、野村谷川・鍋倉谷川・中野谷川・高瀬谷
川などがつくった沖積扇状地で、平地は南端の吉野川沿岸だけの37%となっています。
主要地方道鳴門・池田線沿いに集落、商業施設、事業所、公共施設等が集まっています。
【自然環境】
美馬町は、徳島県の西北部、吉野川中流の北岸に位置し、北の竜王山や三頭山、南の吉
野川に代表される豊かな自然環境に恵まれており、比較的温暖な気候やゆとりある生活空
間など、くらしやすい住環境を形成しています。また、讃岐山脈から吉野川にかけて広が
る平地は、吉野川の沖積作用によってつくられた肥沃地帯であり、農業が中心となる基礎
をなしています。さらにこうした自然との調和のなかで育まれた、特色ある歴史・文化や
観光資源、農村景観などが、美馬らしい個性や魅力を形作っています。
【生活環境】
徳島自動車道美馬インターチェンジ、国道438号及び主要地方道鳴門・池田線はもと
より、生活道路の通行車両の数も増えています。しかし一方では、バス・鉄道などの公共
交通機関をはじめ、下水道、公園緑地など快適な市民生活を送る上で、欠かすことのでき
ない生活基盤の整備が不十分です。
【地域資源】
美馬町は、竜王山や吉野川に代表される豊かな自然と古い歴史、そしてそれらに培われて
きた生活文化や民族芸能など、特色ある地域資源が多数あります。また、人々の憩いの場
である美馬温泉や三頭山のハンググライダーサイト、モトクロス公式コースのある美馬モ
ーターランドなどのほか、自然を生かした交流・滞在の拠点としてオートキャンプ場「野
外交流の郷」が整備されており、多くの人々を引きつけることのできる特色ある歴史・文
化・観光資源を所有しています。
‐74‐
【環境の課題】
・越境による河川、山林への、ごみの不法投棄
・河川敷堤防等での、ごみのポイ捨て、ペットによる犬のふん害
・容器包装等の、ごみ減量化対策
・生活雑排水の清浄化
【理想とする環境像】
人に自然にやさしい、温かく美しいまちづくり
美しい豊かな自然環境や温かい人と人とのつながりのなかで、市民一人ひと
りが充実したくらしを育むことのできる地域社会を創造するため、自然環境の
適切な維持保全やごみ・生活排水処理などの、快適な生活環境整備に取り組み
ます。また、ボランティアやコミュニティ意識の向上など、自主的活動の推進
を図ります。
【理想とする環境像の実現に向けた取り組み方針】
○基本方針1:全員参加による環境づくり
・環境学習の推進及び環境リーダーの育成
・ごみ・生活排水処理などの快適な生活環境整備の取り組みの推進
・ボランティアやコミュニティ意識の向上
○基本方針2:自然を守り、活かす
・歴史文化を保全・活用した地域づくりの推進
・環境にやさしい産業の推進
○基本方針3:環境と人にやさしいまちづくり
・越境による不法投棄対策の推進
・廃棄物発生量の抑制等の推進
・ごみのポイ捨て、犬のふん害をなくす取り組みの推進
‐75‐
木屋平
面積100,97km2
世帯数501世帯
人口1,061人
世帯あたり人数2.1人
人口密度11人/km2
65歳以上人口割合52%
平成19年4月1日現在
【土地利用】
木屋平地域は、不整の平行四辺形で、その中央部を南西から北東方面に向かって穴吹川
が多くの支流を集めながら流れています。森林・原野の面積が95.5%、耕地面積が1.
7%と少ない耕地で柚・梅・茶など生産していますが、中尾山高原の高冷地の条件を活用
した花卉栽培も盛んになっています。住宅は点在しているが、商業施設、事業所、公共施
設等国道沿いに集まっています。
【自然環境】
剣山は標高1,955m、石鎚山に次ぐ西日本第2の高峰で剣山国定公園に指定され、
剣峡・一の森など景観地があり、ブナ・シデなど大樹の原生林や、ミヤマクマザサが草原
のように広がり稀少植物キレンゲショウマ等季節ごと、あるいは登山コースごとに、それ
ぞれに違った剣山を味わうことができます。剣山山頂から東へ2km行くと、一の森があ
り五葉松の点在する独特な景観とシコクシラベ、日の出の美しい名所です。標高1,00
0m、中尾山高原は、緩やかな斜面の広がる眺望開けた高原で、春と秋はとくにすばらし
く、紅葉は、平地で見られない鮮やかさがあり、ススキその他の野草の風情も格別です。
また、4月・5月の新緑がとても良く、四国一の水質穴吹川上流の木屋平地域で、生育す
る魚類も多い。近年は、野生のサル、イノシシ、シカによる農作物、山林への被害が多く
なっています。
【生活環境】
木屋平から穴吹町までは、国道492号自家用車で45分、徳島市内までは、国道43
8号で1時間20分また、穴吹木屋平連絡バスが1日2往復1時間20分。市道も支線ま
で整備され、自家用車所有者は、生活に不便はないが、高齢者等自家用車を所有しない者
は、不便を感じています。
【地域資源】
三木家住宅は、江戸時代初期に建てられたもので、県内の民家中でもっとも古く、国の
重要文化財に指定されています。森遠城後は、源平合戦の終局に、平知経が安徳天皇を奉
じてこの地に至り、仮御所を建てたと伝説が有ります。また、自然石を巧に配した、庭に
池が有り小規模ながら名園で、水は池の片隅の大きな岩の根かたからわき出していて、い
まだかって枯れたことはありません。石倉は珍しく、2カ所残っていて中世、城にあった
‐76‐
森遠地区に有る石倉は、なだらかな斜面にどっしりとした風格をただよわせ、麻衣地区の
石倉は外側の石積みが末広がりに積まれ、雨だれで基礎が洗われないように築かれていま
す。
【環境の課題】
・倉庫代わりの廃車
・国道等へのカン・ビン・ペットボトル等不法投棄
・植林地の整備
・河川等に隣接する森林の整備
【理想とする環境像】
自然と共生する快適な木屋平をめざす
四国一の水質を誇る穴吹川上流の木屋平地域をはじめ、西日本第2の高峰剣
山があるなど、木屋平地域はすばらしい自然の宝庫です。近年のアウトドア志
向や登山人気により、県内はもとより県外からも多数の観光客が訪れています。
自然環境や景観の悪化を防ぎ、自然環境を積極的に保全することに努めます。
【理想とする環境像の実現に向けた取り組みの方針】
○基本方針1:全員参加による環境づくり
・自治会周辺、河川の景観再生の検討
・地域コミュニティの充実
○基本方針2:自然を守り、活かす
・中尾山高原を中心として景観地としてのPRの推進
・野生のサル、イノシシ、シカによる農作物、山林への被害の防止
○基本方針3:環境と人にやさしいまちづくり
・合併処理浄化槽のさらなる普及・拡大
・国道等への不法投棄、ポイ捨ての撲滅
・野焼きの防止
‐77‐
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