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再生医療等製品における 原薬等登録原簿(MF)制度について
日本試薬協会MF登録制度説明会 再生医療等製品における 原薬等登録原簿(MF)制度について 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 再生医療製品等審査部 平成25年6月14日(金) 東京会場 21日(金) 大阪会場 Pharmaceuticals and Medical Devices Agency 嶽 北 和 宏 日下部 哲也 1 本日の話題 1.医薬品行政の基礎 2.再生医療製品に関する規制等動向 (政府の取組み及びPMDAの体制強化) 3.原薬等登録原簿(MF)制度 (細胞、培地等の登録を中心に) Pharmaceuticals and Medical Devices Agency 2 1.医薬品行政の基礎 Pharmaceuticals and Medical Devices Agency 3 医薬品とは <薬事法(昭和35年法律第145号) > 第二条 この法律で「医薬品」とは、次に掲げる物をいう。 一 日本薬局方に収められている物 二 人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされて いる物であつて、機械器具、歯科材料、医療用品及び衛生用品(以下「機械 器具等」という。)でないもの(医薬部外品を除く。) 三 人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている 物であつて、機械器具等でないもの(医薬部外品及び化粧品を除く。) <医薬品の範囲に関する基準> 人が経口的に服用する物が、薬事法(昭和35年法律第145号)第2条第1項 第2号又は第3号に規定する医薬品に該当するか否かは、医薬品としての目的 を有しているか、又は通常人が医薬品としての目的を有するものであると認識す るかどうかにより判断することとなる。通常人が同項第2号又は第3号に掲げる 目的を有するものであると認識するかどうかは、その物の成分本質(原材料)、 形状(剤型、容器、包装、意匠等をいう。)及びその物に表示された使用目的・効 能効果・用法用量並びに販売方法、販売の際の演述等を総合的に判断すべき ものである。 「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」(昭和46年6月1日 薬発第476号) (抜粋) Pharmaceuticals and Medical Devices Agency 4 医薬品の有用性判断 適応疾患に対する効能・効果 副作用の重篤性 発現率(発生可能性) 適応疾患の重篤性 有害作用 効能・効果 代替可能性 ・・・ 医薬品は、人体にとって本来異物であり、治療上の効能、効果とともに何らかの有害な副 作用の生ずることを避け難いものであるから、副作用の点を考慮せずにその有用性を判断す ることはできず、治療上の効能、効果と副作用の両者を考慮した上で、その有用性が肯定され る場合に初めて医薬品としての使用が認められるべきものである。 Pharmaceuticals and Medical Devices Agency (最高裁平成7年6月23日第二小法廷判決) 5 医薬品の基礎研究から承認審査、市販後までの主なプロセス 品質の評価 有効性の評価 医薬品候補物質のスクリーニング 基礎研究 ・ 非臨床試験 【動物試験等】 安全性の評価 主な規制・制度 ・GLP ・各種ガイドライン 動物等を対象とした有効性と安全性の評価 品質の設定 ・GCP 治験 【ヒトによる 臨床試験】 承認申請 承認審査 承認 ヒトを対象とした有効性と安全性の評価 (治験:第1相・第2相・第3相) ・治験薬GMP ・各種ガイドライン ・治験相談 承認申請資料の作成 ・施行規則 厚生労働省・総合機構による承認審査 ・総合機構へ の委託 ・承認条件 厚生労働大臣による承認 市販後 医薬品発売後の安全性や使用方法についての情報収集・必要な措置の実施 Pharmaceuticals and Medical Devices Agency GLP:安全性の非臨床試験の実施の基準 GCP:臨床試験の実施の基準 GMP:製造管理・品質管理の基準 ・GPSP ・GVP ・GQP GPSP: 製造販売後の調査・試験の実施の基準 GVP: 製造販売後安全管理の基準 6 GQP: 品質管理の基準 医薬品審査業務の流れ – 厚生労働省と(独)医薬品医療機器総合機構との連携– Pharmaceuticals and Medical Devices Agency 7 チームによる審査業務等の遂行 部 チームの構成例 長 審査役 チーム主任(2名) (審査・相談) 規格・安定性 薬理 動態 毒性 臨床 生物統計 (1名) (1名) (1名) (2名) (2名) (1名) 医薬品/医療機器の品質、有効性、安全性について、薬学、医学、獣医学、工学、生 物統計学等の専門的知識を有する者が一つのチーム(10名程度)を構成し、それぞれ の見地から現在の科学水準に基づき、多面的な承認審査等を行っています。 Pharmaceuticals and Medical Devices Agency 8 2.再生医療製品に関する規制等動向 (政府の取組み及びPMDAの体制強化) Pharmaceuticals and Medical Devices Agency 9 再生医療製品への政府の取組み(1) 日本経済再生に向けた緊急経済対策(抜粋) (閣議決定/平成25年1月11日) ○第3章 具体的施策 Ⅱ.成長による富の創出 1. 民間投資の喚起による成長力強化 (2) 研究開発、イノベーション推進 ② 医療関連イノベーションの促進 ・ 医薬品・医療機器・再生医療製品等に係る規制改革:医療機器の審査の迅速化・合 理化を図るため、医療機器の特性を踏まえた制度改正を行い、医療機器について医 薬品から別章立てすること、医療機器の承認に代わる民間の第三者認証制度の対象 を拡大すること、再生医療製品の特性を踏まえた特別な早期承認制度の導入を行うこ と等の見直しを実施。また、再生医療の安全性等を確保しつつ、細胞培養加工の医療 機関外委託も可能となるような枠組みを整備。(厚生労働省) 総理指示(抜粋) (第6回日本経済再生本部/平成25年4月2日) (健康長寿社会の実現) ○ 厚生労働大臣は、再生医療の迅速な実現を図るとともに、医療機器の開発スピードを引 き上げるため、薬事法改正法案、再生医療安全性確保法案を今国会に提出すべく、作業 を進めること。 5月24日に国会提出 Pharmaceuticals and Medical Devices Agency 10 再生医療製品への政府の取組み(2) 成長戦略への基本的考え方(抜粋) (日本経済再生本部・産業競争力会議/平成25年5月29日) (2) 戦略市場創造プラン ① 国民の「健康寿命」の延伸 ・ 予防から治療、早期在宅復帰に至るケアサイクルを確立。 ○ 医療関連産業の活性化 「日本版NIH」創設/保険外併用療養制度の推進/医薬品・医療機器・再生 医療関連規制・制度改革/PMDAの体制強化/医療の国際展開 等 【産業競争力会議】 日本経済再生本部の下、我が国産業の競争力強化や国際展開に向けた成長戦略の具 現化と推進について調査審議する。 Pharmaceuticals and Medical Devices Agency 11 再生医療製品の実用化に対応した承認制度(条件・期限付き承認) ※これらの内容は現段階で検討中のも のであり、今後変更する可能性がある。 【従来の承認までの道筋】 <再生医療製品に従来の承認制度を適用する場合の問題点> 人の細胞を用いることから、個人差を反映して品質が不均一となるため、有効性を 確認するためのデータの収集・評価に長時間を要する。 治験 臨床研究 (有効性、安全性の確認) 【再生医療製品の早期の実用化に対応した 承認制度】 ※患者のアクセスをより早く! 臨床研究 安全性の確認) 市販後に有効性、さら なる安全性を検証 期限内に再度 承認申請 市販 条件・期限を 治験 (有効性の推定、 付して承認 市 販 承認 承認 又は 条件・期限 付き承認の 失効 患者にリスクを説明し同意を得、 市販後の安全対策を講じる。 ・有効性については、一定数の限られた症例から、従来より短期間で有効性を推定。 ・安全性については、急性期の副作用等は短期間で評価を行うことが可能。 引き続 き市販 新法による細胞培養加工の外部委託(薬事法と新法)イメージ ※これらの内容は現段階で検討中のも のであり、今後変更する可能性がある。 臨床研究・自由診療 新法 再生医療製品 薬事法 医療として提供される再生医療について、採取 等の実施手続き、再生医療を実施する医療機 関の基準、細胞を培養・加工する施設の基準 等を規定し、安全性等を確保。 企業の工場等 ※許可を受けた施設 再生医療製品の製造所の基準等を規定し、 再生医療製品の有効性、安全性を確保。 ※ 新法に基づき医師の責任の下で実施される細胞の培 養・加工の委託については、薬事法の適用外。 医療機関 企業の工場等 ※届出した施設 ※許可を受けた施設 細胞の入手 採取 委託 加工・保存 加工・保存 加工・保存 実施(移植) 承認された 製品の購入 対象範囲 新法 薬事法 再生医療製品の実用化に向けたPMDAの取組み 基礎研究 日本発の 創薬・機器 シーズ 品質 試験 非臨床 試験 治験 承認 市販後 開発初期から実用化まで 再生医療製品の特性に合わせた 適切な対応 (1) 審査体制の充実強化 • • • • 承認 申請 審査等改革本部の設置 副審査センター長の設置 再生医療製品等審査部の設置 再生医療製品連絡会議の設置 実用化 革新的医薬品・ 医療機器 (2) 科学委員会の創設 • 細胞組織加工製品専門部会を設置 等 (3) 人材交流の実施 • 革新的医薬品・医療機器・再生医療製 品実用化促進事業 Pharmaceuticals and Medical Devices Agency • 最先端の研究者を交えた意見交換の 場を設定 (4) 薬事戦略相談の実施 • 開発初期から必要な品質・非臨床試験 及び治験に関する指導・助言を実施 14 (1)PMDA審査体制の充実強化 (平成24年10月) 副本部長 審査等改革本部長 副本部長代理 本部事務局長 理 事 (審査・研究) 審査部門 審査センター長 副審査センター長(医療機器担当) 理事長 再生医療製品等審査部 副審査センター長(再生医療製品担当) 理事(技監) (技術総括) 安全部門 救済部門 理 事 (総合調整) 特別補佐 管理部門 理事長特別補佐の設置(平成24年2月) 先端医療機器分野での助言を求める 科学委員会 審査等改革本部の設置(平成24年4月) 審査・相談から市販後安全対策まで見据えた審査等体制の充実強化 医薬品専門部会 科学委員会の創設(平成24年5月) 医薬品、医療機器、バイオ製品、細胞組織加工製品の専門部会を設置 医療機器専門部会 審査センター長の専任化(平成24年6月) アカデミアから採用 バイオ製品専門部会 副審査センター長の設置(平成24年6月) 医療機器担当と再生医療製品担当としてアカデミアから採用 細胞組織加工製品専門部会 再生医療製品担当部の明確化(平成24年10月) 再生医療製品等審査部の設置 再生医療製品連絡会議の設置(平成24年10月) PMDA内の関係者間の情報共有・意見交換を推進 Pharmaceuticals and Medical Devices Agency 15 (2) 科学委員会の創設 審査等改革本部 本部長 本部事務局長 副本部長 (代理を含む) (代理を含む) 科学委員会 科学委員会委員は、医歯薬工などの外部専門家で構成 各審査部等が直面している問題、科学委員会の委員に コメントを求めたい問題について、最先端の研究者を交 えた意見交換の場を設定 専門部会は分野ごとの課題の検討等を行う ※ 個別品目の承認審査には関わらない 科学委員会 科学委員会と連携して、医薬品・医療機 器の審査等業務をより科学的かつ医療 実態をも十分踏まえたものにするよう改 革し、審査等業務の向上に資する業務 を行う。 四つの専門部会を設置 医薬品専門部会 医療機器専門部会 PMDA関係部局 規格基準部 レギュラトリー サイエンス推進部 審査マネジメント部 審査業務部 各審査部 バイオ製品専門部会 細胞組織加工製品専門部会 各安全部 各調査関係部 Pharmaceuticals and Medical Devices Agency 16 (3) 人材交流の実施 革新的医薬品・医療機器・再生医療製品実用化促進事業(平成24年度 厚生労働省予算事業) 最先端の技術を研究している大学等におけるレギュラトリーサイエンスを基盤とした安全性と 有効性の評価法の確立を支援。 大学等と、国立医薬品食品衛生研究所(NIHS)、医薬品医療機器総合機構(PMDA)等との 間で人材交流を行い、レギュラトリーサイエンスに精通した人材を育成。 再生医療製品分野では、H24年度は、審査員7名の派遣・研究者5名を受入 人材交流による人材育成の推進 医薬品医療機器総合機構 国立医薬品食品衛生研究所 革新的技術の習得 審査員の出向(派遣) 研究者の受入 研究等の成果 大学等研究機関 医療機関等 レギュラトリーサイエンスに精通した 人材の育成 審査等の迅速化・質の向上 基準、ガイドライン等の早期作成 革新的な技術の実用化促進 適切な研究開発の促進 (ドラッグラグ、デバイスラグの解消) Pharmaceuticals and Medical Devices Agency 17 革新的医薬品・医療機器・再生医療製品実用化促進事業 北海道大学大学院 薬学研究院 北海道大学大学院 医学研究科 医薬品分野 医療機器分野 再生医療製品分野 iPS細胞、 血小板 等 心筋シート、 角膜シート、 軟骨再生 等 大阪大学大学院 薬学研究科 大阪大学大学院 医学系研究科 京都大学大学院 医学研究科 京都大学 iPS細胞研究所 筑波大学 医学医療系 国立循環器病 研究センター 脳梗塞の再生医療 東北大学大学院 薬学研究科 東北大学大学院 医工学研究科 国立がん研究センター 中央病院 国立がん研究センター 東病院 千葉大学大学院 医学研究院 九州大学大学院 医学研究院 脊髄損傷の 再生医療 早稲田大学 先端生命医科学センター 加工細胞の 品質評価法 先端医療振興財団 (平成24年6月現在) 名古屋市立大学 大学院薬学研究科 Pharmaceuticals and Medical Devices Agency 東京大学医学部 附属病院 東京大学大学院 工学系研究科 国立成育医療 研究センター・病院 国立成育医療 研究センター ES細胞 18 (4) 薬事戦略相談の実施 基礎研究 実用化 品質試験 日本発の 創薬・機器 シーズ 革新的医薬品・ 医療機器 非臨床試験 治験 早期探索的 試験まで 薬事戦略相談 日本発の革新的な医薬品・医療機器の創出に向け、 有望なシーズを持つ大学・研究機関、ベンチャー企業 を主な対象として、開発初期から必要な品質・非臨床 試験及び治験に関する指導・助言を実施 相談項目の例 開発初期段階での評価項目の決定や必要な被験者数に 関する相談 再生医療等に用いる細胞・組織やバイオ医薬品に関する 品質・毒性試験法に関する相談 Pharmaceuticals and Medical Devices Agency 以降は、従来の 治験相談で対応 対面助言では、得られているデータ をもとに、今後の治験の実施、承認 申請に向けての課題の整理や、具 体的な指導・助言を実施 細胞・組織加工製品の品質/安全性 に関する対面助言相談は随時受付 相談範囲の整理等、一般的なアドバ イス等に関しては事前面談を実施 本事業や手続き等の理解を深めて いただくための個別面談を実施 19 治験開始までの課題 品質の確保 原材料管理 • • 製造方法の確立 • • • • 期待する製品を製造するための原材料 感染症伝播の防止対策等安全性の確保 期待する製品を製造するための頑健な製造方法 産業化を見据えた製造方法(培養方法等) 中間・最終製品の品質管理 安定性(貯法、有効期限等と合わせ輸送方法も検討) 安全性の確保 製品の特性や臨床試験を想定して十分に検討した 非臨床試験 周辺情報を踏まえた治験実施時の安全性確保と緊急時の対応 有効性の評価 製品の特性を踏まえた効力を裏付ける試験 臨床試験の試験項目の選定 Pharmaceuticals and Medical Devices Agency 20 再生医療製品の品質評価 感染性因子混入リスク、品質恒常性の担保を確認 評価内容 評価段階 原材料管理 製造工程 • (ウイルス不活化・除去工程) • 工程処理条件 • 工程管理 ICH-Q5A ICH-Q6B ヒト動物通知 等 • ウイルス検出試験 • 規格及び試験方法 • 品質恒常性 日本薬局方 ICH-Q5A ICH-Q5C ICH-Q6B 等 製造工程 製造工程 最終製品 生物由来原料基準 ICH-Q5A ICH-Q5B ICH-Q5D ヒト動物通知 ウシ通知 等 • • • • 原材料 中間体 ドナースクリーニング 動物の飼育管理 ウイルス試験等の原材料受入れ規格 セルバンクの解析・管理試験 等 基準・指針等* 中間体及び 最終製品の試験 * 生物系製品全般の品質評価に 参考となるガイドラインを含む。 • • • • • • • • 生物由来原料基準 (H15.5.20 厚生労働省告示第210号) ICH-Q5A:ヒト又は動物細胞株を用いて製造されるバイオテクノロジー応用医薬品のウイルス安全性評価 (H12.2.22 医薬審第329号) ICH-Q5B:組換えDNA技術を応用したタンパク質生産に用いる細胞中の遺伝子発現構成体の分析 (H10.1.6 医薬審第3号) ICH-Q5C:生物薬品(バイオテクノロジー応用製品/生物起源由来製品)の安定性試験 (H10.1.6 医薬審第6号) ICH-Q5D:生物薬品(バイオテクノロジー応用医薬品/生物起源由来医薬品)製造用細胞基剤の由来、調製及び特性解析 (H12.7.14 医薬審第873号) ICH-Q6B:生物薬品(バイオテクノロジー応用医薬品/生物起源由来医薬品)の規格及び試験方法の設定 (H13.5.1 医薬審発第571号) ヒト動物通知:ヒト又は動物由来成分を原料として製造される医薬品等の品質及び安全性確保について (H12.12.26 医薬発第1314号) ウシ通知:ウシ等由来物を原料として製造される医薬品等の品質及び安全性確保について (H12.12.12 医薬発第1226号) Pharmaceuticals and Medical Devices Agency 21 薬事戦略相談(品質・非臨床安全性)の効率的実施のための留意事項 http://www.pmda.go.jp/operations/shonin/info/saisei-iryou.html 【詳しい内容はPMDAホームページでご確認ください】 Pharmaceuticals and Medical Devices Agency 22 再生医療製品開発の隘路解消のひとつの手段 使用する原材料の詳細について、ノウハウや知的 財産の保護の観点から、開示してもらえない/開 示することは困難 原薬等登録原簿(マスターファイル)の利用 Pharmaceuticals and Medical Devices Agency 23 3.原薬等登録原簿(MF)制度 (細胞、培地等の登録を中心に) Pharmaceuticals and Medical Devices Agency 24 原薬等登録原簿(マスターファイル)制度とは 医薬品及び医療機器の承認審査において、申請者 以外の者(MF登録者)が保有する製造方法等の審 査に必要な情報を利用し、また、当該MF登録者の 知的財産を保護することを目的とすると同時に、審 査事務の効率化を図る制度。 ○ 薬事法14条の11第1項に基づき、原薬等の製造業者が、保有する原薬に関する品 質・製造方法等に係るデータ等の情報(いわゆるノウハウ)を審査当局に任意で登録* 。 * 以下の場合は、登録出来ない。 (1) 製造工程が小分け、包装・表示・保管、試験の工程のみの場合 これらの工程に製造のノウハウがあるとは考え難く、原薬等の製造上のノウハウの保護というMF制度の趣 旨から外れるため。 (2) 委託業者が受託業者へ製造させる場合 委託業者は、実際に製造を行っていないため。 ○ 登録された情報は、医薬品(製剤)の承認審査において引用された場合、承認申請資 料の一部として審査を受けることとなる。 登録申請時点で、資料構成及び資料内容が十分であることを確認した上で申請を行うこと Pharmaceuticals and Medical Devices Agency 25 「原薬等登録原簿の利用に関する指針」の一部改正 「「原薬等登録原簿の利用に関する指針について」の一部改正について」 平成24年12月28日薬食審査発1228第27号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知 1.登録の対象*として、科学技術の進歩等を踏まえ、ヒト由来 の細胞・組織を加工した医薬品又は医療機器(細胞・組織加 工医薬品等)の製造に関連するものの取扱いを明確にする 等の対応をした。 * 細胞・組織加工医薬品等、生物薬品(バイオテクノロジー応用医薬品/生物起源由来医薬品)、遺伝子治療用医薬 品などの製造の用に供する培地、培地添加成分(血清添加物、成長因子、サイトカイン等)、細胞の処理等に用いる原 材料や、株化された細胞を登録対象とした。 2.登録情報について、「遺伝子治療用医薬品の品質及び安 全性の確保に関する指針」*に基づく確認申請書及び治験 計画届書の添付資料に一部代わるものとして取り扱うことと した**。 * 平成7年11月15日付け薬発第1062号厚生省薬務局長通知 ** 再生医療製品等に用いるiPS細胞、試薬、培地等に関し、MF制度を活用して、ノウハウを保護し、複数の企業や大 学等の共同開発を促進するため、審査に必要な情報を、製品の審査等に先立って(治験計画届出や対面助言時等 の段階)、審査側に提示することを可能とした。 Pharmaceuticals and Medical Devices Agency 26 登録対象品目 1.医薬品原薬、中間体及び製剤原料(バルクのうち特殊な剤型等) * * 原薬又は中間体として登録可能な細胞は、細胞そのものが株化されており、それ以上の加工を施すことなく効能を有する ことが期待され医薬品原薬と判断されるものや、医薬品原薬の製造工程において中間体と判断されるもの。 2.新添加剤及びこれまでと配合割合が異なるプレミックス添加剤 3.医療機器原材料 4.ヒト由来の細胞・組織を加工した医薬品又は医療機器(以下「細 胞・組織加工医薬品等」という。)の製造に関連するもの(細胞、培 *1,2 地、培地添加物等) 【新規】 *1 細胞・組織加工医薬品等、生物薬品(バイオテクノロジー応用医薬品/生物起源由来医薬品)、遺伝子治療用医薬品な どの製造の用に供する培地、培地添加成分(血清添加物、成長因子、サイトカイン等)、細胞の処理等に用いる原材料、株 化された細胞(細胞・組織加工医薬品等の原薬等の製造における原材料と判断されるもの。ヒト幹細胞(ES細胞、iPS細 胞、体性幹細胞等)が含まれる)。 *2 培地及び培地添加物は、その成分若しくは分量が企業の知的財産であるもの又は生体由来成分であって、安全性等の 評価の観点からその成分若しくは分量や成分の由来等の詳細の確認が必要なもののうち、製造販売業者等に詳細情報 を開示することは必要ではないが、審査等において規制当局に明らかにすることが必要となるもの。ただし、既存の使用 実績に基づき、成分、組成等が公知とみなされるもの(DMEM、MCDB、HAM、RPMI等)や抗生物質産生細菌等のクラシカ ル発酵を応用した原薬の製造の用に供する培地のほか、その詳細について承認申請書の製造方法欄等への記載が求 められていないものの登録は差し控えること。 5.容器・包装材 (注) 1.及び4.のうち、創薬スクリーニングや毒性評価等に用いられる細胞等の登録は差し控えること。 Pharmaceuticals and Medical Devices Agency 27 細胞、培地等を新たに登録対象とした理由 ○ 昨今、ヒト由来の細胞・組織を加工した製品(以下「細 胞・組織加工医薬品等」という。)の開発が活発化。 ○ 細胞、培地、あるいは培地添加物等に係る情報につい て、企業の知的財産の保護の観点から製造業者間、製造 業者と治験計画届出者間又は承認申請者間での開示が 困難な場合があり、細胞・組織加工医薬品等の安全性確 認が困難となることが懸念。 ○ 製造業者の知的財産を保護し、かつ審査事務が効率化 できるよう、細胞、培地等を登録対象とした。 「原薬等登録原簿に関する質疑応答集(Q&A)について(その3)」(平成24年12月28日厚生労働省医薬食品局審査管理課事務連絡)より Pharmaceuticals and Medical Devices Agency 28 細胞、培地等のMF登録・利用可能な段階(イメージ) 承認申請に至るまで(治験計画届出、遺伝子治療用医薬品の確認申請又はこれら に係る対面助言時)に、審査等に先立って登録申請し、利用することが可能*。 * 一般に、細胞・組織加工医薬品等の製造工程には外来性感染性因子の除去若しくは不活化又は製造工程由来不純物の除去に係る十分な精 製工程を組み込むことが困難な場合が多く、原材料や中間体の品質が製品の安全性等に直接影響を及ぼす可能性が高い。そのため、承認申 請に至るまでに、製品の安全性等の担保の観点からその詳細について確認が必要となる可能性が高い。 品質の評価 基礎研究 安全性の評価 有効性の評価 医薬品候補物質のスクリーニング ・ 非臨床試験 【動物試験等】 MF登録・利用 を行う段階 ① 細胞、培地等 ② ①以外 動物等を対象とした有効性と安全性の評価 承認審査 で利用可 能となる 適切な時 期 品質の設定 治験 【ヒトによる 臨床試験】 ヒトを対象とした有効性と安全性の評価 (治験:第1相・第2相・第3相) 承認申請 承認申請資料の作成 承認審査 厚生労働省・PMDAによる承認審査 ① ② 承認 厚生労働大臣による承認 市販後 医薬品発売後の安全性や使用方法についての情報収集・必要な措置の実施 Pharmaceuticals and Medical Devices Agency 29 MF登録から始まる承認審査の流れ MF 登録 MF登録証の発行 契約 開示パートの情報提供 製 剤 の 承 認 申 請 者 承認申請 MF審査中 の旨、連絡 審査 医薬品医療機器総合機構 MF登録者( 又は国内管理人) MF登録申請 MFに関する照会回答 Pharmaceuticals and Medical Devices Agency 30 原薬等国内管理人について ○ 外国製造業者がMF登録申請を行う場合、原薬等国 内管理人(日本国内に住所を有する当該登録申請等に 係る事務を行う者)の選任を行う。(薬事法施行規則第72条第2項) ○ 外国製造業者と連携して、登録から審査その他手続 きに関する対応が求められる。 外国製造業者 (MF登録者) 国内管理人 Pharmaceuticals and Medical Devices Agency PMDA 31 MF登録者と国内管理人とのトラブル事例 1.連絡体制の問題 外国製造業者から国内管理人に情報 提供されているが、国内管理人から製造 販売業者に情報提供がされていない。 2.外国製造業者における日本の薬事制 度の理解不足 日本の薬事制度への理解不足に起因 して、外国製造業者から、国内管理人に 対して情報提供されない。 製法変更します 外国製造業者 (MF登録者) 製法変更 外国製造業者 (MF登録者) 情報提供? 国内管理人 製造販売業者 連絡?? 国内管理人 製造販売業者 ○ 原薬等国内管理人と外国製造業者の間で不断の情報交換を行って おくこと。 ○ MFについては、医薬品等承認後の維持管理も求められることから、 医薬品等の開発から市販後に至る製品のライフサイクルを念頭に置 いてMFの維持管理を務めること。 Pharmaceuticals and Medical Devices Agency 32 MF制度に関する留意点(1) ○ MF登録にあたって、PMDAは、様式の不備等 の確認は行いますが、登録内容の評価等は、当 該MFが引用された(最終)製品に係る治験届や承 認申請の時まで行いません。 ○ また、他国規制当局のMFに登録された内容が、 必ずしも日本の基準(生物由来原料基準等)を満 たしているとは限りません。 MF登録に先立ち、PMDAの薬事戦略相談の利 用をお勧めします。 Pharmaceuticals and Medical Devices Agency 33 MF制度に関する留意点(2) ○ 製品の安全性に直接関わる情報は、製造に関連する情 報も含め製造販売業者等が把握しておくべき情報です。 ○ 登録された情報のうち、非開示パートとされた部分で あっても、審査等の際にその必要性を鑑みて製造販売業 者等のMF利用者に対し開示を求める場合があります。 ○ また、例えば、ある製品の製造に利用する目的で登録さ れたMFを別の製品で利用する場合に、使用目的や使用 方法が異なると安全性に影響する情報の範囲が変わり、 審査等において製造販売業者等に開示すべきとされる情 報が異なる場合があります。 開示情報の取扱いについて、MF制度の本来の趣旨であ る知的財産の保護の観点もあることから、薬事戦略相談 の利用をお勧めします。 Pharmaceuticals and Medical Devices Agency 34 原薬等登録原簿登録申請書等の作成について 1.原薬等登録原簿登録申請書は、薬事法施行規則の様式 第42を利用すること。 2.原薬等登録原簿登録申請書及びそれに添付すべき資料 の作成にあたっては、作成要領*を参照すること。 * 「細胞・組織加工医薬品等の製造に関連するものの原薬等登録原簿登録申請書及びその申請書に添付すべき資料 の作成要領について」(平成25年3月8日厚生労働省医薬食品局審査管理課事務連絡) 3.登録対象となる細胞・組織加工医薬品等の製造に関連す るものの種類等によっては、原薬等登録原簿登録申請書の 添付資料について一部簡略化することが可能。 4.適宜、独立行政法人医薬品医療機器総合機構における相 談制度を活用すること。 Pharmaceuticals and Medical Devices Agency 35 原薬等登録原簿登録申請書(施行規則様式第42) Pharmaceuticals and Medical Devices Agency http://www.pmda.go.jp/operations/shonin/info/mf/file/besshi1.pdf 36 細胞、培地等に関する登録申請書の記載要領(1) 1.登録区分欄 (※必須) ○ 原薬又は中間体と判断される細胞については、「医薬品等原薬」 とし、それ以外の細胞や培地・培地添加物については、「その他」と 記載する。 2.原薬等の名称欄 (※必須) ○ 「細胞・~ (販売名等) 」 ○ 「培地/培地添加物・~(販売名等)」 ○ 「細胞加工用原材料等・~ (販売名等) 」と記載 3.製造所の名称欄 (※必須) ○ 「登録品を製造する製造所の名称」を記載 4.製造所の所在地欄 (※必須) ○ 「登録品を製造する製造所の住所」を記載 Pharmaceuticals and Medical Devices Agency 37 細胞、培地等に関する登録申請書の記載要領(2) 5.成分及び分量又は本質欄 (※必須) ○ 登録品が、 ・ 細胞の場合は、細胞及びその保存液の成分、分量等、 ・ 培地の場合は、成分*及び分量、 ・ 培地添加物(血清、成長因子、サイトカイン等)の場合は、その本 質、成分* 、分量等 を記載。 * ヒト又は動物に由来するものは、成分ごとに、例えば以下の情報を記載 ・ 原材料となるヒト又は動物由来成分の由来(動物種、原産国、使用部位等) ・ ドナースクリーニングの内容(検査項目や検査方法を含む) ・ 製造工程中の細菌、真菌、ウイルス等の不活化/除去処理の方法 ・ 品質及び安全性の確保の観点から重要と考えられる製造工程 Pharmaceuticals and Medical Devices Agency 38 細胞、培地等に関する登録申請書の記載要領(3) 6.製造方法欄 (1) 原材料とその受入 ○ 必要に応じて、登録品の原材料*を示し、原材料ごとの規格を記 載。なお、受入時に検査を実施する場合は、その検査の名称、方 法、判定基準を記載 * ヒト又は動物に由来する成分にあたるものについては、原材料規格に「5 成分及び分量又は本質欄」で記載 が求められている情報を含めて記載。 (2) 各製造工程の製造方法 (※必須) ○ 製造工程のうち、細菌、真菌、ウイルス等の不活化/除去処理 に相当する工程がある場合は、製造工程名を明記 Pharmaceuticals and Medical Devices Agency 39 細胞、培地等に関する登録申請書の記載要領(4) 7.規格及び試験方法欄 ○ 必要に応じて、登録品の規格及び試験方法として設定している試 験の項目、試験方法、適否判定基準を記載 8.安定性に関する情報欄 ○ 必要に応じて、安定性試験結果等に基づき記載 9.貯蔵方法及び有効期限欄 ○ 登録品の貯蔵方法、有効期限を記載 10.安全性に関する情報欄 ○ 関連情報を記載 11.製造業の許可区分又は外国製造業者の認定区分欄 ○ 必要に応じて、取得している(又は許可申請中、認定申請中の)製 造業の許可区分又は外国製造業者の認定区分に該当するコードを 記載 Pharmaceuticals and Medical Devices Agency 40 細胞、培地等に関する登録申請書の記載要領(5) 12.製造業の許可番号又は外国製造業者の認定番号及び年月日欄 ○ 許可番号又は認定番号欄には、該当する製造業の許可又は外国 製造業者の認定番号を記載 ○ 許可年月日又は認定年月日欄には、その許可又は認定年月日(有 効期間の始期)を記載 ○ なお、許可又は認定が不要の場合には、ダミー番号及びダミー年月 日を記載 許可・認定番号 許可・認定年月日 許可・認定区分 製造業許可が不要である製造所 99AZ555555 平成24年12月28日 医薬品 一般 外国製造業認定が不要である製造所 AG99955555 平成24年12月28日 医薬品 一般 13.原薬等国内管理人欄 ○ 外国において製造される登録品においては、原薬等国内管理人を 選任し、その名称と住所を記載 Pharmaceuticals and Medical Devices Agency 41 製品パンフレット等における記載例 製品名 **培地A **培地B 細胞保存液C 細胞保存液D サイトカインE … MF登録状況※ ○ (登録準備中) ○ (登録準備中) ○ ※ マスターファイルへの登録は、厚生労働省(独立行政法人医薬品 医療機器総合機構)による、品質及び安全性に関する確認又は評価 が行われたことを意味するものではありません。 Pharmaceuticals and Medical Devices Agency 42 原薬等登録原簿ホームページ http://www.pmda.go.jp/operations/shonin/info/mf/mfsystem.html 【詳しい内容はPMDAホームページでご確認ください】 Pharmaceuticals and Medical Devices Agency 43 薬事戦略相談の利用 薬事戦略相談で複数日に わたり実施可能な範囲 ( 旧 確認申請の範囲) 品質の確保 原材料管理 • • 製造方法の確立 • • • • 薬事戦略相談で その都度実施する 範囲 期待する製品を製造するための原材料 感染症伝播の防止対策等安全性の確保 期待する製品を製造するための頑健な製造方法 産業化を見据えた製造方法(培養方法等) 中間・最終製品の品質管理 安定性(貯法、有効期限等と合わせ輸送方法も検討) 安全性の確保 製品の特性や臨床試験を想定して十分に検討した 非臨床試験 周辺情報を踏まえた治験実施時の安全性確保と緊急時の対応 有効性の評価 製品の特性を踏まえた効力を裏付ける試験 臨床試験の試験項目の選定 Pharmaceuticals and Medical Devices Agency 44 最後に ○ 再生医療製品等の規制については、現在、法改正等の動きもあり、 関連する基準やガイドラインの動向等を注視してください。 ○ 個別ケースについては、薬事戦略相談等を利用してください。 http://www.pmda.go.jp/index.html 【詳しい内容はPMDAホームページでご確認ください】 Pharmaceuticals and Medical Devices Agency 45 ご清聴ありがとう ございました Pharmaceuticals and Medical Devices Agency 46