Comments
Description
Transcript
モロヘイヤのβ カロテンを高める栽培方法
[成果情報名]モロヘイヤのβ -カロテンを高める栽培方法 [要約]モロヘイヤは、β -カロテンを多く含み、栽培時期によりβ -カロテン含量が変動 する。マルチフィルムの色を黒色からシルバーに換えるにより最大 11 %また、基肥にC DU化成を施すと増加する。 [キーワード]モロヘイヤ、β -カロテン、栽培条件、機能性成分 [担当]三重科技農研・園芸グループ [連絡先] 0598-42-6358 [区分]関東東海北陸農業・関東東海野菜 [分類]技術・参考 -------------------------------------------------------------------------------[背景・ねらい] エジプト原産のモロヘイヤ( Corchorus olitorius L. )はβ - カロテンやカルシウム等の含量 が高く、夏期の葉物野菜として消費の拡大が進んでいる。しかし可食部には全く含まない にも係わらず、種子に含まれる強心作用成分について消費者に誤ったイメージを与えてか ら消費拡大が停滞している。そこで健康野菜としてPR、消費拡大につなげるために機能 性成分含量を増やす栽培方法を開発する。 [成果の内容・特徴] 1 . 草 姿 が 立 性 と い う 利 点 で 三 重 県 に 導 入 、 栽 培 し て い る エ ジ プ ト 産 ( A 社 ) は β-カ ロ テ ンの含量も比較的高いため、栽培系統として普及性の高い系統である(表1)。 2 . モ ロ ヘ イ ヤ の β -カ ロ テ ン 含 量 は 同 一 作 型 で も 採 取 時 期 に よ り ハ ウ ス 栽 培 で は 最 高 値 22.4 ∼最低値 17.0mg/100g 、露地栽培では 21.8 ∼ 15.8mg/100g の間で変動する 。し か し 、 収穫期間中の平均含量はハウス栽培と露地栽培との間に差はない(図1 )。 3.慣行栽培で利用されている黒色マルチフィルムに対してシルバーマルチフィルムに換 えるとβ -カロテン含量が 11 %余り高くなる(図2 )。マルチフィルムの反射散乱光 の近紫外線部分の反射量とβカロテンの増加量との間には相関がある ( 図2 )。また 、 収量への影響は見られない(データー略 )。 4.βカロテン含量は硝酸態Nとアンモニア態Nの比率が 50 : 50 でより高く、またIB 化成よりも CDU 化成のほうが優れる(図3 )。 [成果の活用面・留意点] 1.モロヘイヤ栽培におけるβ−カロテン含量を強化する栽培方法として活用できる。 2 . モ ロ ヘ イ ヤ の β -カ ロ テ ン 含 量 は ハ ウ ス 栽 培 と 露 地 栽 培 の 間 で 差 異 は な い こ と を 消 費 宣伝に活用できる。 3.ハウス栽培では被覆資材の光透過特性や汚れなどによる紫外線量の低下が原因して葉 ぶくれ病が発生しやすくなる。 [具体的データ] 表1 モロヘイヤの種類と草姿、収量およびβ-カロテン含量 種子生産国 草姿 1枝重 収量 g エ ジ プ ト 産 (A 社 ) 立性 エ ジ プ ト 産 (B 社 ) 立性 エ ジ プ ト 産 (C 社 ) 開張性 イ ン ド 産 ( D 社 ) 開張性 β-カロテン kg/a 5.2 6.3 4.7 5.1 mg/100g fwt 66.0 75.6 80.0 78.5 17.2 15.7 14.6 14.3 は種(128穴セルトレイ):6/5、定植:7/6 株間×条間40cm×150cm、 摘心:8/5、収穫:8/5、8/11、8/25、9/4の4回分の平均値 MAX 22.4 22 4 20 1.2 20 3 MIN 15.8 10 2 5 1 0 0 mg/100g fwt 18 MIN 17.0 15 mg/g fwt. mg/100g fwt. β-カロテン 近紫外線量 5 MAX 21.8 16 0.8 14 12 mg/100g fwt. I イヤのβ-カロテン含量に及ぼす影響 成 C 硝 酸 カ D ル U シ 反射散乱光 図 2 マルチ資材の色が近紫外線量、モロヘ 18 16 14 12 10 8 6 4 2 0 化 直 直接光 葉中総クロロフィル 作型とβ-カロテン含量 B 接 光 シ アル ル バ ミ シ ー ル ① バ ー ② 白 色 黒 色 4月 2 5月 9日 1 5月 3日 2 6月 7日 10 6月 日 24 7月 日 7月 8日 22 8月 日 8月 5日 19 日 9月 2日 図1 露地普通栽培 0.4 シ アル ル バ ミ シ ー ル ① バ ー ② 白 色 黒 色 10 ハウス栽培 化 ウ 硝 成 ム 酸 (A ア = :N ン モ 0: ニ 10 ウ 硫 mW/cm2(320-390nm) 25 0) ム 酸 (A ア = :N ン モ 50 ニ :5 ウ 0) ム (A = :N 10 0: 0) 無 N ( PK の み ) 図3β-カロテン含量への窒素肥料の形態の影響 N-P-K=15-15-15kg/10a、株間×条間40cm×150cm [その他] 研究課題名:県内農林水産物への機能性成分賦与・強化による健康食品の開発 予算区分:県単 研究期間: 1998 ∼ 2000 年度 研究担当者:小西信幸、礒崎真英、田中一久 発表論文等: 1 )藤原孝之、小西信幸( 2000)園芸学会雑誌 69(別 1 ) 153 2 )小西信幸( 2000 )地域農産物の品質・機能性成分総覧 509