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褐毛和種による 周年放牧肥育事例

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褐毛和種による 周年放牧肥育事例
2011/11/9
National Agriculture and Food Research Organization
農業・食品産業技術総合研究機構
褐毛和種による
周年放牧肥育事例
畜産草地研究領域
中村 好德
農研機構は食料・農業・農村に関する研究開発などを総合的に行う我が国最大の機関です
生産モデル(暫定版)
供試種雄牛:第十六光重、第二弦光、第四弦光
?
0ヵ月齢 4
出生 離乳
周年放牧肥育
8
15
導入(300kg)
20
24~26
出荷(700kg)
周年放牧(水と塩あり、配合飼料は無給与)
コーンサイレージを併給
(牧草切り換え時に乾草使用)
残された課題
①導入までの飼養状況(放牧育成が可能か)
②コスト計算
③現地実証試験
1
- 50 -
2011/11/9
飼養状況
撮影:山田リーダー(2011.8.)
(必需品)
9
牧草成分の季節変動
TDN(%)
CP(%)
80
70
60
50
40
30
20
10
0
12月
1月
2月
3月
4月
5月
イタリアンライグラス
6月
7月
8月
9月
10月
バヒアグラス
日本暖地畜産学会報 53:41-49 (2010)
2
- 51 -
2011/11/9
周年放牧肥育牛の増体曲線
褐毛和種去勢雄牛
800
コーンサイレージ併給
配合飼料併給
出荷ライン
700
体重(kg)
600
500
400
300
コーンサイレージ併給
200
イタリアン
100
バヒア
イタリアン
バヒ
ア
0 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26
月齢
備考:配合飼料(TDN 70%以上、CP 16%以上)併給は全期間:1.5kg/頭/日。
コーンサイレージ併給は乾物摂取量:8.1kg/頭/日。
補助飼料給与量
コーンサイレージ
推定乾物摂取量 6.8~8.1kg/頭/日(草高により変動)
推定合計給与湿重量
3,960kg(12ロール)/頭 (20ヵ月齢から)
6,360kg(18ロール)/頭 (17ヵ月齢から)
食塩
推定合計給与湿重量 9.4~11.3kg(2個)/頭
乾草(イタリアンライグラス1番または2番草)
推定合計給与湿重量 499kg(2ロール)/頭
3
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2011/11/9
10
枝肉性状
慣行肥育牛 放牧肥育牛
黄色く低脂肪の放牧肥育
牛肉は、市場の評価が低い
2009.10.2.(熊本畜産流通センター)
牛枝肉格付評価
月齢
体重(kg)
枝肉重量
等級
胸最長筋
試験期間
出荷時
出荷時
屠畜時
(kg)
歩留-肉質
面積(cm2)
2009年度
24
751±15
709±19
444±26
A-2
47±4
2010年度
25
684±31
650±22
390±15
A-2,B-2
39±6
3頭の平均値±標準偏差.
放牧肥育牛の内臓破棄率 0% (n=13)
慣行肥育牛の内臓廃棄率 約40% (n=124)
50
40
30
20
10
0
肝臓
胃
小腸
大腸
心臓
(熊本市食肉衛生検査所調べ)
4
- 53 -
2011/11/9
精肉重量に対する部位別割合
P<0.05(慣行肥育で多い)
リブロース
サーロイン
P<0.05(慣行肥育で多い)
ヒレ
かたロース
う ちもも
P<0.05(放牧肥育で多い)
そともも
らんいち
慣行肥育
放牧肥育
しんたま
かた
とう がらし
P<0.05(放牧肥育で多い)
P<0.05(慣行肥育で多い)
まえ ばら
かた三角ばら
な かばら
そとばら
ネック
すね( 前後)
22
0
44
66
88
10
10
12
1 2 (%)
10
肉質特性
そともも
慣行肥育(n=3)
放牧肥育(n=3)
t-test
水分
70.3 ± 1.0
72.5 ± 1.3
P<0.05
タンパク質
21.5 ± 0.3
21.1 ± 0.6
ns
脂質
5.9 ± 1.4
3.7 ± 1.2
P<0.05
灰分
1.1 ± 0.0
1.1 ± 0.0
ns
4.2 ± 1.3
4.6 ± 1.1
ns
676.7 ± 41.9
676.7 ± 41.9
ns
分析項目(単位)
一般成分含量(%)
剪断力価(kg)
コラーゲン含量(mg/100g)
ビタミン類
ORAC
レチノール含量(μg/100g)
3.3 ± 1.2
6.3 ± 1.5
ns
β-カロテン
2.0 ± 3.5
17.7 ± 3.2
P<0.01
α-トコフェロール(mg/100g)
0.3 ± 0.1
0.4 ± 0.1
ns
総アスコルビン酸
1.0 ± 0.0
0.7 ± 0.6
ns
H-ORAC (μmol TE/g)
9.0 ± 1.7
9.0 ± 1.0
ns
ND
ND
-
L-ORAC
平均値 ± 標準偏差.
Oxygen Radical Absorbance Capacity (活性酸素吸収能力); H-ORAC (親水性成分ORAC)とL-ORAC (親
油性成分ORAC)の合計をTotal-ORACとした; 1 μmolのTroloxが示す活性を単位とした.
日本暖地畜産学会報 54:49-60 (2011)
5
- 54 -
2011/11/9
官能評価
評価項目
ロース
(
女
子
栄
養
大
学
調
べ
)
ステーキ
炒める
ゆでる
外観の好ましさ
0.8
1.1
0.7
香りの好ましさ
0.7
1.5
1.1
柔らかさ
0.4
1.1
1.5
多汁性
0.5
0.3
0.6
旨味
0.6
1.0
0.4
脂っぽさ
0.7
1.3
0.8
後味
0.7
0.9
0.5
慣行肥育を”1”とした場合の評価
放牧肥育
冷蔵5日目
旨味コク
苦味/薬
酸味A
30
25
20
15
10
5
0
放牧肥育
慣行肥育
そともも:牛肉スープ
苦味雑味/食
にがり系苦味
渋味刺激
甘味
旨味
冷蔵3週間目
20
15
10
5
0
旨味コク
苦味雑味/薬
慣行肥育
酸味A
苦味/薬
苦味雑味/薬
苦味雑味/食
にがり系苦味
渋味刺激
甘味
旨味
(インテリジェントセンサーテクノロジー社調べ)
試験販売
(全日空ホテル
ニュースカイ HPより)
問い合わせ先
861-1192 熊本県合志市須屋2421
(独)農研機構 九州沖縄農業研究センター 周年放牧肥育プロジェクト
096-242-7757 (直通:プロジェクトリーダー 山田明央)
6
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