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5年 外国語活動実践事例
5年 外国語活動実践事例 元 外来語を知ろう ~What do you want?~ (文部科学省 英語ノート1) 2.指導時期 3.目 標 11月 ○ 身近な外来語や世界で通用する日本語に興味をもち、文化による世界 とのつながりを感じる。 1.単 ○ 好きなものについて積極的に尋ねたり、注文したりする。 ○ 日本語と英語の発音の違いに気付く。 4.指導にあたって 本単元は、普段の生活で使っている身近な外来語を取り上げる。そして、その外来語のも とになる言葉の発音を知り、それを用いて、欲しいものを尋ねたり要求したりして、コミュ ニケーション活動を楽しむことをねらいとしている。 外来語は、さまざまな国から来た言葉が、日本語に翻訳されずにそのまま使用されている言 葉である。それが、なぜそのまま使われているかという理由を考えることで、日本文化には ないそれぞれの文化の存在に気付くことができる。 また、CDや英語ノートデジタルCD(ICT対応教材)を活用し、外来語のもとになる言 葉の英語での発音を聞かせることで、そのほとんどが普段使っている外来語の発音と違って いることに気付かせ、英語でコミュニケーションするときには、発音に気を配ることが大切 であることを感じさせることができる。 一方、児童の中には、ALTが“I like Sushi.”と自己紹介したときに、なぜ、Sushi が 英語として表現されているのか不思議に思う者もいる。そこで、日本の文化を表す言葉がそ のまま世界で通用している現状を題材として取り上げる。日本発祥の文化が世界でも広がっ ていることを知り、自文化を大切に思う気持ちを育てることができる。 指導にあたっては、英語ノートを活用しながら、児童が課題意識をもち、主体的に学習に取 り組むことができるような学習過程を構成する。また、コミュニケーションの楽しさを感じ、 自分や友達のよさに気付くことができるような内容を工夫する。 第Ⅰ次1時の外来語を見付ける活動では、グループによる話し合い活動を取り入れ、一人で は考えつかないことでも、協力することでできるという達成感を感じられるようにする。 第2時の世界に通用する日本語を見付ける活動では、 外国の方の自己紹介の中に海外で通用 している言葉を入れ、聞き取るようにする。文化による世界とのつながりを感じさせるため には、外国の文化がそのまま入ってきていることを表す外来語だけでなく、日本の文化も日 本語のまま外国で使われていることを知らせることが必要であると考え、この学習活動を設 定した。他文化のよさを知るとともに、自文化に対しても誇りをもてるような活動にしてい きたい。 学習する外来語や取り上げる表現“What do you want~?” “~, please.”は、チャンツや ゲームを取り入れ、楽しみながら繰り返して、習得できるようにする。 コミュニケーション活動では、 「カード集めゲーム」 、 「フルーツパフェ作り」などコミュニ ケーションが楽しくなるような場面設定をし、相手の欲しいものを尋ねたり、自分の欲しい ものを答えたりする活動を通して、積極的に友達とかかわる力を育てたい。また、その際に は、 “eye contact(目を見る)”“smile(笑顔) ” “good voice(ちょうどよい声) ”を意識 させることで、気持ちのよいコミュニケーションの方法を身に付けさせたい。また、 “Here you are.”“Thank you.” “You’re welcome.” “please”などのマジックワード(相手との関係 を円滑にする言葉)も使うことができるように、普段の活動の中から積極的に取り入れてい きたい。 この単元で重視した表現 What do you want? Melon, please. kiwi, peach, melon, cherry, grape, lemon, tomato, cabbage, この単元での基本語彙 pizza, salad, steak, pudding, cake, donut, soccer, ball, basketball, glove, gollira, koala, kangaroo, TV, camera, calendar, piano, guitar, want, please, and ○ 外来語や世界で通用する日本語を聞き取り、気付いたこと を書く。 ○ 外来語や世界で通用する日本語についてグループで話し合 この単元で重視した言語活動 う。 ○ 英語でコミュニケーション活動を行う。 ○ コミュニケーションの中で、マジックワード(相手との関 係を円滑にする言葉)を使う。 5.学習指導計画(全5時間) ★評価の観点 次 時 Ⅰ 1 学習活動 指導上の留意点 1.あいさつをする。 2. 【Activity】 ・グループで外来語を出し合い 紙に書き出す。 ・知っている外来語をグループで話し合って、 紙に書き出してみよう。 ・グループごとに、外来語を発 表する。 (例)バッグ テレビ ソックス ビデオ アイスク リーム ファイル パソコン オレンジジュース ス ポーツ・・・ ○児童が挙げる外国語の中には、テレビやコップ、 パソコンなどの和製英語も含まれていると考えら れる。それらの語については、もとの語を発音し て聞かせたり、調べさせたりする機会を作るよう にする。 3. 【Let’s Listen】 ・CD/ALTの発音を聞いて、 ・Please listen to the CD/ me. Point to the picture. CD/先生の発音を聞いて、その絵を指そう。 英語ノート36、 37ページの 絵を指す。 ○外来語ともとの語の音には、どのような違いがあ るのかを意識して聞き比べられるようにする。 ・いつも使っている日本語での発音と違うよ。 ・英語で発音すると、違う言葉みたいだよ。 ○外来語と英語とでは発音が違うことや、できるだ け英語で聞いたまま真似て言うことが大切である ことに気付くようにする。 4.振り返りをする。 5.あいさつをする。 2 1.あいさつをする。 ★外来語と英語の発音の違いを意識して、聴くこ とができたか。 ○アイコンタクトや表情にも気を付けてあいさ つできるようにする。 2.前時の復習をする。 ○児童の理解に応じて、ジェスチャーを付け、 ・ペアになって「絵タッチゲー ゆっくり話したり、繰り返したりする。 ム」をする。 ・CD/ALTの発音を聞いて、 英語ノート36、 37ページの 絵を指す。 3. 【Let’s Listen1】 ○身の回りにある外来語は、英語だけなくさまざ ・英語ノート38ページを開 まな外国の言語があることに気付かせる。 き、 食べ物の名前の絵を線で 結ぶ。 4. 【Let’s Listen2】 ○一度にたくさんの情報を得ることはむずかし ・英語ノート39ページを開 いので、 「何人で会話しているのか」 「場所はど き、CD/ALTの英語を聞 こか」 「何を注文したのか」 「店員さんは、どん いて、健と麻衣が何を注文し な意味のことを言ったのか」など、ポイントを たかを聞き取る。 絞って何度も聞かせるようにする。 ○外来語の発音の違いだけでなく、curry and rice や pudding のようにもとの語を変形して外 来語として使用しているものもあることに気 付かせる。 【Let’s Chant】 5. 【Let’s Chant】 ・リズムよくチャンツをする。 What do you want? What do you want? What do you want? Lemon. Lemon. A yellow lemon, please. Cabbage. Cabbage. A green cabbage, please. ○絵カードを見せながら、テンポよく言うように する。 ○繰り返し口に出して言うことで、発話がスムー ズにできるようにする。 6.振り返りをする。 ○次時の意欲につながるように、具体的に児童の よかった点を評価する。 7.あいさつをする。 ★進んで活動に参加できたか、友達や先生の英語 を聞こうとしていたか。 1.あいさつをする。 ) 3 ( 本 時 2.前時の復習をする。 ○チャンツで何度も発話することで、次の活動に ・【Let’s Chant】の lemon や スムーズにつながるようにする。 cabbage を、英語ノート38 ページに出てくる食べ物と 入れ替えて、チャンツをす る。 3.ALTの【skit】を聞いて、 ○なぜ英語の会話の中に日本語が入っているの 話の中に出てくる言葉を聞 かを考える。 き取る。 【skit】 【ワークシート①】 Hi, My name is ―――. 「外来語を知ろう」 I’m from Europe. 4. 【Activity】 「あなたは何がほしいです か」 I like Japan very much. I like Japanese culture very much, too. I like Manga. I like Karaoke, for example I like ―――. 5.振り返りをする。 My favorite food is Sushi. And I like Sukiyaki, Tofu, Tempura, too. 6.あいさつをする。 Ⅱ 4 1.あいさつをする。 2. 【Let’s Chant】 ○食べ物カードを見せながら、テンポよくチャン ツをさせる。 3. 【Activity1】 「自分のオリジナルフルー ツパフェを紹介しよう」 ・英語ノート巻末絵カードを 切り取り、そこから好きな ものを選んで、パフェの入 れ物にのせ、自分だけのパ フェを作る。 ・ペアになって、自分のパ フェを紹介し合う。 ・これから自分のオリジナルフルーツパフェを 作って、友達に紹介します。英語ノートの後 ろについている絵カードから、好きな果物を 選びましょう。 ・ぼくは、リンゴとパイナップルとイチゴが 好きだな。 ・わたしは、メロンやさくらんぼ、ブドウ、 リンゴなどいろいろな種類の果物を入れ よう。 【Activity1】 A: This is my parfait. I like apples, pineapples and strawberries. B: This is my parfait. I like melons, cherries, grapes and apples. 4. 【Activity2】 「店員と客にわかれてフ ルーツパフェを作ろう」 ・店員と客のペアになり、フ ルーツパフェを作る。 ・店員は、客に“What do you want?”と尋ねる。 ・客は、自分の欲しい果物を “ ,please.”で答 える。 ・店員役の児童は、要求され た絵カードをパフェの入れ 【Activity2】 客:Hello. 店員:Hello. What do you want? 客:Peach,pineapple, and orange,please. 店員:Here you are. 客:Thank you. 店員:You’re welcome. 物の上に置き、でき上がっ たら客に渡す。 5 5.振り返りをする。 ★自分の作ったパフェを紹介する活動を通して、 6.あいさつをする。 外国語の音声や基本的な表現に慣れ親しめた か。 1.あいさつをする。 2.前時の復習をする。 ○扱う単語は果物に限定し、この後の活動と言語 ・ 【Let’s Chant】の lemon や 材料の面でつながるようにする。 cabbage を、英語ノート40 ページに出てくる果物と入 れ替えて、チャンツをする。 ○クイズ形式にすることにより、どの児童にも 3. 【Activity3】 「クイズに答えるためにヒントを聞き取る」 「だれのフルーツパフェか 「ヒントを出すために話す」という「聞くこと」 当てよう」 「発話すること」に意味をもたせるようにす ・児童の作ったフルーツパ る。 フェを黒板にいくつか掲示 する。 【Activity3】 ・掲示されたフルーツパフェ 全員:What do you want? を作った児童に、学級全員 A: , , please. で“What do you want?”と 尋ねる。 ★欲しいものを尋ねたり答えたりして、自分のフ ・質問された児童は、自分が ルーツパフェを作る活動を通して、積極的にコ フルーツパフェに入れた果 ミュニケーションを図ろうとしたか。 物を“ ,please.” で答える。 ・答えを基に、黒板に掲示さ れたフルーツパフェの中か ら、その児童が作ったもの を当てる。 4.振り返りをする。 5.あいさつをする。 6.本時の展開(3/5) 使用するワークシート【ワークシート①】 学習活動(活動のねらい等) 1.あいさつをする。 指導上の留意点(活動の流れ) ○一人一人と英語であいさつすることで、 指導者と 1対1でやり取りをする機会をふやす。 How are you? Hello, I’m fine / happy / hungry / sleepy. 2.前時の復習をする。 ・ 【Let’s Chant】の lemon や cabbage を、英語ノート38 ページに出てくる 食べ物と入れ替え て、チャンツをす る。 ○食べ物の名前の中に外国から来たものの名前が そのまま使われていることを押さえる。 ○チャンツで何度も発話することで、 次の活動にス ムーズにつながるようにする。 What do you want? What do you want? What do you want? Pizza. Pizza. A good pizza, please. Sushi. Sushi. A good sushi , please. ※ 色では表しにくいので、good とした。 3.ALTの【skit】を 聞いて、話の中に出 てくる言葉を聞き取 る。 【skit】 Hi, My name is ――. I’m from Europe. I like Japan very much. I like Japanese culture very much, too. I like Manga. ・聞き取れた言葉を書き出しましょう。ど I like Karaoke, for example I like ――. んなことを言っているのかな。 My favorite food is Sushi. And I like Sukiyaki, Tofu, Tempura, too. ・ 「スシ」って言っていたよ。 (他に、 「トウフ」 「スキヤキ」 「テンプラ」 「カラオケ」 「マンガ」など) 4.英語の会話の中に日 ・英語で話しているのに日本語が聞こえま 本語が入っているわ したね。なぜ英語の会話の中に日本語が けを考える。 入っていたのかな。 「なぜそう考え たのか。」という 理由についても ・他に、それを表す言葉がないから。 伝えられるよう ・その国独自の文化だから。 にする。 ○外国でも通用する日本語があることに気付ける ようにする。 ○それぞれの国の独自の文化や生活に密接にかか わわる言葉は、他の国の言葉で置き換えにくいも のがあるということを確認する。 5. 【Activity】 「あなたは何がほしい ですか」 ・一人一人が、無作為に A,B:Hello! “What (Rock,Scissors,Paper,1,2,3!) want? ~,please.” Loser: What do you want? をゲームの中で無 Winner: 理なく繰り返し、 , please. do you 選んだカードを5枚も Loser: Here you are. / Sorry. コミュニケーショ つ。 (スシ、トウフ、ス Winner: Thank you. ン活動を楽しめる キヤキ、テンプラ、カ Loser: You’re welcome. ようにする。 ラオケ、マンガ等、 A, B: See you. アイコンタクトや 【skit】に出てくるも ○Here you are.や You’re welcome.は、ここで初め て発話をすることになるが、 ここまでに指導者が のの絵カードを用意し ジェスチャー、表 情を大切にする。 意識して使っておくようにする。 ておく。 ) ・出会った友達とジャン ○指導者も進んで参加し、児童が英語での対話の楽 ケンをして、勝った方 しさを実感できるようにする。 が欲しいカードを相手 “Here you are.” からもらえる。 “You’re welcome.” “Please.” ・時間内に同じ絵カード “Excuse me.” を5枚集められるよう “Thank you.” にする。 などの言葉は、人 と人との関係を豊 6.振り返りをする。 7.あいさつをする。 ○本時の活動を通して感じたことを書き表す。 ○次時の意欲につながるように、 態度面や英語につ かにするものであ るので、ふだんか らぜひ使うように いて、具体的によかった点を評価する。 ★外国で通用する日本語について、 他の児童と交流 したい。 し、理解を深められたか。 ★進んで活動に参加することができたか、 友達や先 生の英語を聞こうとしていたか。 板書例 外来語を知ろう What do you want? ~,please. ○ 聞き取れた日本語 スシ テンプラ トウフ スキヤキ カラオケ ○ なぜ、日本語がまじっているのだろう。 ・ 日本で生まれたものだから ・ 日本の文化が外国に伝わって、そのままの名前で使われているから ・ 外国語でやくすことができない言葉だから マンガ ワークシート活用のポイント 【外-5年 ワークシート①】 重視した言語活動 外来語を知ろう~世界で通用する日本語~ 5年 組 ―What do you want?― Name( ) (1)ビデオを見て、聞き取れた言葉を書きましょう。 スシ テンプラ トウフ マンガ スキヤキ カラオケ (2)英語の会話の中に、どうして日本語がまじっているのだと思いますか。 ○自分の考えを書きましょう。 ○ 日本で生まれたものだから。 ○ 日本の文化が外国に伝わって、そのままの名前で使わ れているからだと思う。 ○ 英語でやくすことのできない言葉だから。 ○はんで話し合ったことを書きましょう。 ○ ○ 日本にしかないもので、日本から外国へ伝わっていっ たものだから。 他にそのものを表す言葉がないので、そのまま使われ ているのだと思う。 (3)今日の活動を通して、思ったことを書きましょう。 ○ ○ 日本の文化が外国でも親しまれていることにおどろき ました。 日本の文化が外国へ伝わったり、外国の文化が日本に 伝わったりして、文化の交流がすばらしいと思う。 (4)今日の活動をふり返りましょう。 あまり できなかった よくできた ○友だちと英語を使った活動を楽しむことができましたか。 1 2 3 4 5 ○友だちや先生の話をよく考えながら聴くことができまし 1 2 3 4 5 たか。 ○友だちの目を見てしっかりと話すことができましたか。 1 2 3 4 5 ○ゲームなどルールを守り、友だちと協力して行うことがで 1 2 3 4 5 きましたか。 「英語の会話の中に日本語が出てくるこ とがあるのはどうしてなのか、ということ について自分の考えを書き表す」 「本時の活動を通して、感じたことやわ かったことを書き表す」 ○外国でも通用する日本語があることに 気付き、なぜかということを日本語の中 にある「外来語」を基に考える。