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ICTとCEFR-Jを活用した小学校英語活動 - NTT「教育スクウェア×ICT」の成果 2014.8.9 投野 由紀夫(東京外国語大学) 福與 喜弘(NTTラーニングシステムズ㈱) “教育スクウェア×ICT”フィールドトライアルの概要 与論島 茶花小学校 5学年 1クラス 29名 茶花小学校での英語活動の狙い 狙い1:CAN-DOリストを用いて、児童生徒の「できる感」を見える化 毎回の授業で活動した後、子どもたちに「英語でできるようになったこと」 を気づかせ、「できる感」を醸成 → 小学校向けCAN-DOリストを作成し、「できる感」を見える化 ①CEFR-JのCAN-DOリストをもとにHi,Friends!(小学校での副教材)との対応表を作成 ②「できる感」をCAN-DOアンケートにより、可視化 狙い2:普段の授業での練習効果を、初めて会う外国人で使えるかをチェック ①使用機会の充実 ②既習事項のCAN-DOチェック(Lessonとしてのまとめ) → リアルタイム双方向でネイティブスピーカと遠隔で対話を行う → OLA(Online Language Assistant) OLAの実践事例 Hi, Friends! Lesson 9で扱うことができる CEFR-J CAN-DO と言語表現リスト CEFR-J CAN-DO Lesson 9 レベルに具体化し たCAN-DO CAN-DOを実現するための 具体的な言語表現 ゆっくりはっきりと話されれば,日常の身近な単語を聞き取 ることができる。(Pre-A1: 聞くこと) 果物・メニューの料理を聞いてそ の絵や実物をさせる - ファーストフード・レストランの、絵や写真がついたメニューを 理解し、選ぶことができる。 (A1.1 :読むこと) 果物・メニューを「これは何か?」 と聞かれて,その名前をいえる - A: What’s this? B: It’s a lemon [an omelet]. スポーツや食べ物等の好き嫌いなどのとてもなじみのあるト ピックに関して,はっきり話されれば,限られたレパートリー を使って,簡単な意見交換をすることができる。(A1.2 :やり とり) 果物・料理で好き・嫌いを聞いて 答えられる - A: Do you like strawberries? B: Yes, I do. / No, I don’t. スポーツや食べ物等の好き嫌いなどのとてもなじみのあるト ピックに関して,はっきり話されれば,限られたレパートリー を使って,簡単な意見交換をすることができる。(A1.2 :やり とり) 親しい間柄で「何が欲しいか」聞 いて答えられる (パフェのトッピングの例) - A: What do you want? B: I want an orange. An orange, please. (買い物や外食などで)簡単な用をたすのに必要な指示や 説明を、ゆっくりはっきりと話されれば、理解することができ る。(A1.3 :聞くこと) レストランなどあらたまった場所 で注文を聞かれて答えられる - A: What would you like? B: I’d like an omelet. A lemon. (絵をさす) A hamburger. (絵をさす) Lesson 9 の目的と進め方 全体は What would you like? という レストランなどで「何になさいますか?」と注 文をとる際に聞かれる表現とその答え方。 その前段階として以下のような確認が必 要: What is this? It’s an orange. What do you want? Banana, please. フルーツの名前を英語でいわれて絵をさせる・絵を見 てフルーツを英語でいえる(1時間目) パフェにのせるフルーツを What do you want?で 答えられる(I want …, please. / …, please.)(2時間目) メニューの料理を英語でいわれて絵をさせる・絵を見 て料理を英語でいえる (3時間目) What do you want? と What would you like?の違いを理解させる (4時間目) 5時間目:OLA での実践 What would you like? I’d like a pizza. 茶花小学校での英語活動例 ○対象:5学年 29名 ○実施時期:2014年2~3月 Hi,Friends! Lesson9 (5時限を使ってCAN-DOリストベースの学習実施、OLAは5/5時に実施) ○5/5時の学習目標: レストランでメインディッシュとデザートを注文するシチュエーションを通して、 What would you like?とWhat do you want?の使い分けができる ①めあての確認 ・授業開始後、本日のCAN-DO確認 ②既習事項の振り返り ・既習の名刺を復習 (フルーツの名称) 手を叩きながらリズムに乗って発音練習 【利用したツール類】 Hi,Friends!とフラッシュカード ③OLA実践に先立ち、先生が見本を示す ・遠隔でネイティブスピーカとの会話 What would you like?を使って メニューを注文してみよう まずは先生から。 ④OLA本番 What would you like?を使って メニューを注文してみよう② 児童は4人組×4グループ。 4人でメインディッシュと デザートを順に注文した。 1組目 2組目 3組目 4組目 ⑤OLAで実践したことをペアワークで 応用実践 ・好き・嫌いアンケート What would you like?を使って 好きなメニュー、嫌いな メニューのアンケートをとろう ⑥本日のまとめ What would you like?を使って 今度は「店員の役」で 注文を取ってみよう CAN-DOアンケート実施 CAN-DOリストを用いた英語活動の効果 • 毎回先生が CAN-DOでの目標を授業 の最初に子どもたちに示す • 授業終了時に,CAN-DOアンケートを 行う (右図) • CAN-DOを設定することで,子どもた ちの「できる度」のチェックが可能に • 「できる感」を醸成する役割の効果 • 教員の自覚,ALTとの打ち合わせが 目標設定が明確になることでスムー ズになる ICレコーダーによる個人の発話分析 • 全員が ICレコーダーをつけて5時間分授業を行った。 • 個人の発話状況をすべて記録し,モニターできるようにした。 • 音声ファイル1つずつチェックして,個人発話箇所を特定。 • 全体の発音練習,個別のドリルなどを含め,「個人が声を出した部分」につ いて記録する • CAN-DOアンケートをもとに,「100%できると答えている自信のある グループ」と「75%以下のCAN-DOで自信のなかったグループ」に分け て,グループの発話状況を比較観察した。 • グループ:番号 {1, 6, 12, 16, 19, 25}, {5, 9, 10, 21, 22, 28} 個人の発話回数と授業ステージ ①既習フレーズで先生とやりとり ②先生が既習事項と今日のめあてを確認 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ ⑪ 計 1 7 4 50 10 29 13 2 2 11 50 1 178 6 7 1 40 1 39 17 2 10 8 58 0 183 12 ? ? 40 13 32 16 2 9 10 62 1 185+ 16 3 0 39 0 13 9 1 1 5 44 0 115 19 7 0 40 11 39 15 3 2 11 53 5 186 25 7 0 40 11 32 14 3 1 8 35 0 151 ⑤キーワードゲーム (先生に続いて単語を発音しながら、キー ワードとなった単語が出てきた瞬間に何かを 取る?) 5 5 0 40 1 26 9 3 5 6 25 1 121 ⑥先生に続いてフレーズのリピート練習 9 4 0 40 3 29 10 2 0 4 31 0 123 10 6 0 38 1 37 12 0 0 7 32 1 134 21 2 0 38 0 33 10 2 6 7 22 0 120 ⑧児童何名かがALTと一人ずつ対話練習 22 5 0 40 9 21 10 2 5 2 35 0 129 ⑨フレーズの復習 28 4 0 40 5 25 11 1 6 8 37 0 137 ③先生に続いて単語のリピート練習 ④ポインティングゲーム (先生が言った単語を教科書上で指さす) ⑦ALTに挨拶、ALTと先生のモデル対話 ⑩ペアワーク (自分で相手を探して対話練習) ⑪ペアワークの結果を手を挙げて発表 2群の t-検定(Welch) 基本統計量 ※SDは不偏分散の平方根 n Mean SD Min. Max. 平均の差の区間推定 群1 6 166.33 28.3525 群2 6 127.33 7.1181 分散不等 115 120 186 137 t検定(分散不等はウェルチ法による) t値 df p値 検出力 3.268 5.63 0.0094 0.8850 平均の差 95%信頼下限 信頼上限 39 15.532 Inf パワーアナリシス(分散同質) 効果量d α 1-β n1 n2 α の計算 1.8868 0.0194 0.8 6 6 n の計算 1.8868 0.0500 0.8 5 4 被験者数は6名ずつと少数であるが,効果量は 1.88と大きく, Power analysis の結果もサンプル数は 6あれば十分と出た。 考察:発言の多い子どもたちのしていること ①→先生に挨拶をちゃんと返している。 ②→先生の話の間もフレーズをつぶやいて練習している。 ③→先生の後に続いてちゃんと言われた単語を発音している。児童によっては先生の言 った1つの単語につき2回言うところもある。 ④→先生の言った単語が表すものを指さすだけでなく、自分でも先生の後に続いて発音 している。 ⑤→ゲーム中も先生の後に続いてちゃんと言われた単語を発音している。 ⑥→先生の後に続いてちゃんと言われたフレーズを発音している。 ⑦→ALTが登場したときにちゃんと挨拶をしている。 ⑧→ALTと1人ずつ対話練習をするグループに入っている。 ⑨→既習フレーズの確認をする先生に続いて、求められたフレーズをちゃんと発音してい る。 ⑩→自分から積極的に相手を探して対話練習をしている。相手ごとに"Hello," "Thank you," "Good bye"などの挨拶もしっかりしている。 ⑪→自分から手を挙げて発表しようとしている。 まとめ • 鹿児島県与論町における小学校英語活動での CAN-DOリストを活用した 授業は,自治体と ICT教育のコンテンツ提供を促進するNTTグループの効 果的な実践例として良い成果を残した。 • CAN-DOリストを小学校レベルから使用することで,子どもたちの「できる 感」が意識化され,醸成される効果があることが示された。 • CAN-DO の「自信の度合い」と,授業内での個々の子どもたちの発話量に 関係があることが今回の調査で実証的に示された。 • ただし,「自信がないから話さない」のか「話さないから自信がない」のか の因果関係までは明確ではない。 コンタクト 投野 由紀夫(東京外国語大学) [email protected] 福與 喜弘(NTTラーニングシステムズ㈱) [email protected]