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動的トラフィック制御システムの一検討
平成 19 年度電子情報通信学会東京支部学生会研究発表会 講演番号:94 動的トラフィック制御システムの一検討 B- 7 A Study on A Dynamic Traffic Control System 岡崎 直紀 小河 祐輔 三田 和弘 矢部 正行 Naoki Okazaki Yusuke Ogawa Kazuhiro Mita Masayuki Yabe 日本工業大学 Nippon Institute of Technology 1.はじめに IntServ や DiffServ のようなトラフィック制御による QoS システム では,映像のような対象トラフィックのセッションを通して CBQ や PQ などのキューイング方式を静的に実行するので,他のトラフィッ クのための帯域利用の公平性を実現するには柔軟とは言えない. 今回我々は、その課題を解決することを目的として、動的なトラフ ィック制御による QoS システムを検討し,その動作および有効性を 実験により検証した. 2.動的トラフィック制御のメカニズム 本システムの基本的な考えは,帯域制御により対象トラフィックの QoS を保証すると同時に,それを動的に実行(動的モード)すること 図 1 動的トラフィック制御のメカニズム により,他のトラフィックが利用可能な余剰帯域を発生させることで ある.図1に動的トラフィック制御のメカニズムを示す.まず,他の トラフィック(Other traffics)の増加により対象リンク(Object link)の総 スループット(Total throughput)が上がり,映像スループット(Video throughput)が下がり始める.その後総スループットが閾値 1(Threshold 1)に達した時,キューイング方式(QS: Queuing System)が実行され,そ の結果映像データのための帯域が完全に確保される.その後総スルー プットが下がり,閾値 2(Threshold2)に達した時に QS は解除される. またこのように動的に QS を実行することにより,総スループットが 閾値 1 に達するまでに,静的な実行(静的モード)に比べて他のトラ 図2 実験ネットワーク フィックのための余剰帯域が発生する. 3.評価結果 図2に実験ネットワークを示す. ルータおよび端末はすべて PC で, OSはFreeBSD5.4である. また伝送路はFast-Ethernetの全二重であり, 最大スループットは約 95Mbps であった.使用した QS は CBQ_defaut である.評価用トラフィックは転送速度 20Mbps の映像データおよび 他のトラフィックとしての外部負荷(External load)である.図3に映像 データのスループットを示す.左半分が動的トラフィック制御時を示 し、右半分は非制御時を示す.動的トラフィック制御時には映像スル ープットが完全に保証された.図4に他のトラフィックのための余剰 帯域(Excess BW)を示す.余剰帯域とは,動的モード時の外部負荷の スループットと静的モード時のそれとの差である.この場合 120 秒の 図3 映像データのスループット 時点で CBQ が実行され.約 3Mbps の余剰帯域が発生した. 100 Max video rate: 20Mbps Allocated bandwidth: 23.7Mbps 4.まとめ 実験により,受信映像品質を完全に保証すると共に、他のトラフィッ クのための余剰帯域を発生させることを確認した. 参考文献 [1] Y.Guo, K. Suh, J. Kurose and D. Towsley, “A Peer-to-Peer On-Demand Streaming Service and Its Performance Evaluation”, Proceedings of IEEE International Conference of Multimedia and Expo 2003 (ICME’03), pp.649-652, vol.2, 2003. [2] Paul Ferguson、Geoff Huston 著 インターネット QoS オーム社 Throughput (Mbps) 今回,映像配信のための動的トラフィック制御システムを検討し, Total Dynamic Static 90 80 Excess BW Ext. load 70 60 0 40 80 120 160 200 240 280 Time (sec) 図4 他のトラフィックのための余剰帯域 -94- Copyright © 2008 IEICE