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2011 年 4 月号
2011 年 4 月号 米国経済の概況 ■ 米国経済は回復を続けているが、供給サイドと需要サイ ドでは隔たりがみられる。 ■ 企業の業況は良好で、生産活動は底堅く推移している。 雇用の回復も続いており、失業率は低下傾向にある ■ 一方、エネルギーや食料品を中心とするインフレ率の高 まりによる購買力の低下を映じ、個人消費の伸びは減速 している。住宅市場では需要がシフトしている賃貸市場 を除けば停滞が続いている。設備投資の伸びも減速して いる。 ■ 需要が減速している背景には、資源価格の高騰やその背 景にある中東・北アフリカ情勢の混迷、また連邦財政の 動向などが挙げられる。また生産活動についても、一部 では日本の震災によるサプライチェーン断絶の影響が危 惧されている。 ■ 財政・金融政策論争は当局者間での意見対立が鮮明化し ている。財政に関しては緊縮方向にあることは間違いな いが、そのアプローチに相違があり、妥協できるのかど うか不安視されている。こうした中、米国債に対する格 付けを見直す動きもある。 ■ 金融政策ではQE2を早期終了するか、QE2後の金融 政策をどうするか、という 2 つの論点で対立がある。4 月 FOMC 後に予定されているバーナンキ議長の記者会見で、 意見対立がどのように調整されているのか、議長自身の 見方も含め明らかにされるだろう。 みずほ米国経済情報 Mizuho Research Institute 1.トピック:意見対立が鮮明化する財政・金融政策論争 2011 年度予算を巡る混 乱に終止符 米国連邦政府の 2011 年度予算(歳出法)が 4 月 15 日成立した。ほぼ 2010 年度並 みとされる 3 月 4 日までの暫定予算(P.L.111-322)の規模(年率換算)と比べると 377 億ドルの削減となった。 しかしこれは戦費や景気対策等の緊急支出を除く「支出権限」 (Budget Authority) である点に注意が必要だ。実際の支出(Outlay)は、緊急支出を除くベースで 3.5 億ドルの削減に留まり、緊急支出を含めれば 33 億ドルの“増加”になる(議会予算 局(CBO)推計)。緊急支出では戦費が膨らむこと、非緊急支出では、支出削減が 行なわれるのが 2012 年度以降になること等がその理由のようだ。 結局、大幅な削減を求めてきた共和党内には不満が残ることになったが、2011 年 度予算を巡る混乱は 7 カ月目にしてようやく終止符が打たれた。 迫る法定債務上限引き上 げの期限。始まる 2012 年度予算審議。明らかに なる長期財政再建策 次の連邦財政を巡る課題は、法定債務上限引き上げ、2012 年度予算審議、そして 長期的な財政再建である。 現行の法定債務上限は 14 兆 2,940 億ドルで、米国財務省によれば、早ければ 5 月 16 日に上限に達するとされる。議会は、遅くとも、様々な国債管理上の「やり繰 り」が尽きる 7 月 8 日までに、法定債務上限を引き上げる必要がある。 2012 年度予算については、そのガイドラインとなる予算決議が下院本会議を通過 しており、上院に送られている(4 月 15 日)。上院では、2 週間の休会を経た 5 月上 旬に予算委員会での審議が始まる予定だ。 長期的な財政再建については、ポール・ライアン下院予算委員長(共和党)が 10 年間で 4.4 兆ドルの赤字削減を狙った財政再建案『繁栄への道』を発表した(4 月 5 日、参考図表 1)。この『繁栄への道』は下院予算決議の元になったものである。 参考図表 1 累積財政赤字見通し 11 (兆㌦) 財政赤字の削減額を決める比較対象 10 9 8 現行法に 従う場合 2.1 4.4 7 4.0 4.1 6 5 4 ベースライン (OMB) ベースライン (CBO) 修正 ベースライン (OMB) 予算教書 (OMB) 予算教書 (CBO) ライアン案 大統領案 (4/13) 修正 ベースライン (債務委) 改革案 (債務委) (注)ベースライン(OMB,CBO)は現行法を維持した場合。修正ベースライン(OMB)はオバマ大統領にとっての既定路線 である政策を加味した場合。修正ベースライン(債務委)は国家財政責任改革委員会(債務委と略)に よるもので、CBOのベースラインに継続採用される可能性が高い政策を加味したもの。予算教書(OMB)は 修正ベースライン(OMB)にオバマ大統領による新たな政策提案を加味したもの。予算教書(CBO)は予算教 書(OMB)と同じ内容の財政費用をCBOが独自推計したもの。ライアン案は4月6日にポール・ライアン下院予算委 員長が発表した財政改革案。改革案(債務委)は債務委が2010年12月に発表した財政改革案。 なお大統領案(4/13)は2012-23年度、ベースライン(債務委)と改革案(債務委)は2012-20年度、 ほかは2012-2021年度の累積赤字。 (資料)OMB(2011/2)、CBO(2011/3)、下院予算委員会、ホワイトハウス 1 赤 字 削 減 幅 みずほ米国経済情報 Mizuho Research Institute 共和党の出方を見た上で、オバマ大統領も、12 年間で 4 兆ドルの赤字削減を目指 す財政再建案を発表した(4 月 13 日)。 大幅な赤字削減は、債務 法定債務上限の引き上げについては、従来から党派を問わず「大幅な赤字・債務 上限引き上げの推進材料 削減なくして引き上げなし」という声が大きかった。その点で共和党のみならず、 に オバマ大統領からも、大規模な赤字削減を盛り込んだ財政再建案が発表されたこと は大きな推進材料と言えるだろう。2 月に発表された予算教書では、 「財政健全化に 対して踏み込み不足」という批判があり、また最近まで「大統領は財政健全化の議 論を傍観している」という見方があった。 財政再建に向けたアプロ ーチに深い溝 しかし、決定が急がれる法定債務上限引き上げや 2012 年度予算審議、あるいは長 期的な財政再建の行方は楽観できない。実際、財政再建への不安を映じるかのよう に、S&Pは米国債の格付け見通しを「安定的」から「引き下げ方向(Negative)」 に見直した(4 月 18 日) 。 先行きが楽観できない背景には、財政再建のアプローチが共和党とオバマ政権・ 民主党とで極端に異なるという問題がある(参考図表 2)。 共和党の『繁栄への道』によれば、メディケアの民営化やメディケイドの支出抑 制など義務的支出の削減を通じて 4.3 兆ドルの財源を捻出する。非国防支出の削減 や利払費の軽減を合わせると 6 兆ドルを超える歳出削減を目指すという。一方、こ れがすべて財政赤字の削減につながるわけではなく、1.8 兆ドル相当の減税に充当 される。これに対しオバマ大統領案は「1 ドルの増税につき、3 ドルの歳出削減」と いう組み合わせだ。歳出削減についても、オバマ大統領は非国防裁量的支出、国防 支出、社会保障を除く義務的支出の幅広い分野にわたって削減を求めている。 予 算 審 議 に も 深 い 溝 が あ る 。 法 定 PAYGO や 上 院 規 則 に 定 め ら れ た PAYGO (PAY-AS-YOU-GO)では「財政赤字の拡大や財政黒字の減少につながる新たな減税や 参考図表 2 財政赤字削減の中身 (単位:10億㌦) ライアン案 (2012-21) 増税(マイナスは減税) 支出削減(マイナスは支出増) 大統領案 (2012-23) 債務委員会 (2012-20) -1,831 1,000 996 5,249 2,010 2,456 923 770 0 400 4,326 840 2,527 480 -11 0 1,810 360 965 990 673 4,382 4,000 4,125 非国防裁量支出 }1,661 国防支出 義務的支出 医療 社会保障 その他 利払費の軽減 財政赤字の累積削減額 (注)大統領案の利払い費は、支出削減総額を3兆ドルとして非国防裁量 支出、国防支出、義務的支出の各削減額を控除して算出。 (資料)参考図表1と同じ 2 795 みずほ米国経済情報 Mizuho Research Institute 義務的経費の増加策は、増税や義務的経費の削減によって相殺されなければならな い」とされている。これに対し下院規則では、今年新たに CUTGO(CUT-AS-YOU-GO) という考え方が導入された。CUTGO の狙いは財政収支の均衡ではなく義務的経費の 削減にある。すなわち「法案、合同決議案、両院一致決議案などに関し、今後 5 年 間または 10 年間での義務的経費の純増を認めない。」下院規則には「今後 40 年間で 5 百万ドルを超える義務的経費の純増を認めない」という条項などもある。 大統領諮問委員会案が放 オバマ大統領は、財政再建案の発表の場で、歳出削減に偏った共和党の『繁栄へ つ「超党派合意」という の道』を徹底的に批判した。出席していた共和党議員からは当然ながら強い反発が 一筋の光明 起きた。また財政再建案のアピールに向けた国内遊説の第一弾としてバージニア州 で行なった市民対話集会(4 月 19 日)では、オバマ大統領は質疑応答の場面で、 「大 きな問題はどうやって財政赤字を減らすかにある。そして、嘘は言いたくないから 言うが、今現在、大きな哲学的対立がある」と述べている(4 月 19 日)。 政治的な妥協に希望はもてるのか。一筋の光明がある。大統領の財政再建案が、 昨年 12 月に発表された大統領諮問委員会(財政責任改革委員会)のフレームワーク を土台にしている点だ。なお上院では「Gang of Six」と呼ばれる超党派の 6 人の議 員グループが別途財政再建案を策定中といわれており、彼らの狙いはまさに大統領 諮問委員会案の法制化にある。 メルクマールとされている大統領諮問委員会案は、昨年末、大方の予想通り、議 会に対する勧告を行うには至らなかった。しかし予想と違ったのは、勧告を行うか どうかの同委員会の採択で、超党派の賛同を得たことだった。大統領案は、限定的 ではあるが超党派合意の実績を持つ大統領諮問委員会案に倣うことで、最終的な合 意の可能性を追求したものと言えるだろう。 追い風は財政再建に対す る世論の高まり ギャラップ社によれば、米国が直面している最大の課題として「連邦財政/財政 赤字」を挙げる米国民の割合が 17%で 1996 年以来の水準まで高まっている(4 月 7-11 日調査、最も多いのは「景気全般」26%、次いで「失業/職」19%)。大統領 が目指すように 6 月末の合意に達することができるのかは不透明だが、世論の盛り 上がりをうまく利用し、財政再建論が想定外のスピードで進む可能性は残る。 金融政策についても当局 者の間に意見の相違 金融政策を巡っても、当局者の間で大きな意見の対立がみられるようになった。 目立つのはタカ派の発言だが、ダドリー総裁(ニューヨーク連邦準備銀行)やイエ レン連邦準備制度理事会(FRB)副議長らハト派からも、返す刀で強いメッセー ジが発せられている。主な論点は、①QE2を早期終了させるかどうか、②QE2 後の金融政策(金融緩和を続けるかどうか)、の 2 点だ(参考図表 3)。 第 1 の論点はQEを早期 終了するか否か QE2の早期終了を示唆したのは、ブラード総裁(セントルイス連邦準備銀行、 連邦公開市場委員会(FOMC)の投票権なし)である。報道によれば「計画よりも 1000 億ドル程度縮小することができるが、他の FOMC 委員がそれを望むかどうか次第だ」 と発言した(3 月 29 日)。フィッシャー総裁(ダラス連邦準備銀行、投票権あり) も「FRBによるこれ以上のいかなる緩和措置も賢明ではない。実際のところ、Q E2の縮小を検討すべきかも知れない」と述べている(4 月 8 日)。 一方、現在の金融政策は適切という意見はハト派のダドリー総裁、イエレン副議 長、エバンス総裁(シカゴ連邦準備銀行、投票権あり)のほか、タカ派のコチャラ 3 みずほ米国経済情報 Mizuho Research Institute コタ総裁(ミネアポリス連邦準備銀行、投票権あり)からも聞かれる。 「QE2が完 遂されなければ驚きだ」 (ダドリー、4 月 1 日) 、「金融緩和は依然として適切」(イ エレン、4 月 11 日)、 「6000 億ドルよりも少ない規模で打ち止めするには高いハード ルがある」 (エバンス、3 月 28 日)、 「QE2は 6 月末で終わるだろう」 (コチャラコ タ、3 月 31 日)などだ。 第 2 の論点はQE2後の 第 2 の論点であるQE2後の金融政策については、幅広い意見がみられる。タカ 金融政策。タカ派からは 派からは年内利上げの意見が出ている。 「コア・インフレ率が予想通りに推移すると 年内利上げの声 すれば、年内に 50bp の利上げが行われても不思議ではない」(コチャラコタ、3 月 31 日)、 「経済に勢いが見られることやインフレリスクの動向を踏まえると、年内利 上げの可能性は確実」(ラッカー総裁、リッチモンド連邦準備銀行、投票権なし、4 月 8 日)といったものだ。 ダドリー総裁は年内の据 これに対しダドリー総裁は「たぶん、少なくとも 2012 年の終わりまで労働市場に え置きを示唆。イエレン は過剰な弛みが残る」(4 月 11 日)と、少なくとも年内の緩和継続を示唆する発言 総裁は、商品価格高騰下 を行ない、「早過ぎる引き締めに過度に熱心になるべきではない」と述べた。 におけるデュアルマンデ またイエレン副議長は、資源高に伴うインフレへの政策対応は、デュアルマンデ ーの充足という観点から ートと照らし合わせて「据え置き」が望ましい、ということを次のように述べてい 据え置きを支持 る。 「追加的に大きくかつ持続的なショックが商品価格に生じても、予想インフレ率 が安定しており、趨勢的なインフレ率が抑制されている限り、金融政策を大幅に変 更する必要はないだろう。利下げをすればインフレ圧力を助長しかねず、利上げを すれば景気を冷やしかねない。こうした状況下でデュアルマンデートを満たすため のバランスの取れた金融政策は、据え置きということになるだろう。 」(4 月 11 日) 参考図表 3 金融政策を巡る当局者の発言 緩 和 解 除 論 論点①:QE2の運営 論点②:QE2後の金融政策 H:フィッシャー(Ⅴ)「QE2の縮小を検討すべきかも知 H:ラッカー(NV)「年内利上げの可能性は確実」(4/8) れない」(4/8) H:コチャラコタ(V)「コア・インフレ率が予想通りに D:ブラード(V) 「計画よりも 1000 億ドル程度縮小するこ 推移するとすれば、年内に 50bp の利上げが行われても不 とができるが、他の FOMC 委員がそれを望むかどうか次第だ」 思議ではない」(3/31) (3/29) H:コチャラコタ(V)「QE2は 6 月末で終わるだろう」 D:ダドリー(V) 「たぶん、少なくとも 2012 年の終わり (3/31) 緩 和 維 持 論 まで労働市場には過剰な弛みが残る。早過ぎる引き締めに D:ダドリー(V) 「QE2が完遂されなければ驚きだ」 (4/1) 過度に熱心になるべきではない」 (4/11) D:エバンス(V) 「6,000 億ドルよりも少ない規模で打ち止 D:イエレン(V)「デュアルマンデートを満たすための めするには高いハードルがある」(3/28) バランスの取れた金融政策は、据え置きということになる D:イエレン(V)「経済状況は、非伝統的金融政策からの だろう」(4/11) 出口戦略を必要としていない」(4/9)「金融緩和は依然とし て適切」(4/11) (注)Hはタカ派、Dはハト派。Vは FOMC の投票権あり、NV は投票権なし。 (資料)各種報道等よりみずほ総合研究所作成 4 みずほ米国経済情報 資産売却のタイミングに も新たな意見。明示的な インフレ数値目標の導入 提案も Mizuho Research Institute さらに出口戦略の手順にかかわる新たな意見や明示的なインフレ数値目標政策の 導入提案も出ている。 プロッサー総裁(フィラデルフィア連邦準備銀行、投票権あり)は、利上げと保 有証券の売却とを同時に行なうことを提案した(3 月 25 日)。ブラード総裁も、政 策金利を据え置いても保有証券を売却すればそれだけで市場金利が上昇し、引き締 めを行うことが可能だと述べた(3 月 30 日)。 従来の出口戦略の議論においては、 「保有証券の売却」は最終手段と位置づけられ てきたが、プロッサー総裁やブラード総裁らの提案はむしろ早い段階で保有証券を 売却する方が望ましい可能性を示しており、今後の FOMC 内での議論の行方が注目さ れる。 また、ピアナルト総裁(クリーブランド連邦準備銀行、投票権なし)は「中期的 なインフレ見通しを 2%として定め公表すべき」と述べ、明示的なインフレ数値目 標政策を提案した(4 月 7 日)。 記者会見でバーナンキ議 長は何を語るのか 4 月 26-27 日の FOMC では、会合後にバーナンキ議長による記者会見が開かれるこ とになっている。金融政策を巡って様々な意見が出ていることに対し、FOMC 内でど のような議論が展開され、またそうした意見についてバーナンキ議長自身どのよう に考えているのか。記者会見が極めて興味深いものとなることは間違いない。 5 みずほ米国経済情報 Mizuho Research Institute 2.生産・雇用動向:企業業況は良好、民間雇用は堅調回復 製造業の業況は高水準 製造業ISM総合指数は 3 月 61.2(2 月 61.4)とほぼ横這いで推移し、引き続き 高水準を保っている(図1)。内訳を見ると、生産指数が 3 月 69.0(2 月 66.3)と 大幅に上昇しており、今般景気回復局面での最高値を更新している。後述する 3 月 の鉱工業生産指数では、幅広い分野で生産の回復傾向が続いていることが示されて おり、製造業ISM生産指数の好調さはこうした実際の生産動向と見合った結果で あった。 足元の企業業況は良好 足元の企業業況は、総じて良好さを保っている。ニューヨーク連邦準備銀行(以 下、NY製造業調査)の製造業調査によれば、現状の業況判断DIは 4 月+21.7(3 月+17.5)と上昇した。NY製造業調査の個別指数をみると、新規受注指数(4 月 +22.3%)、出荷指数(4 月+28.3%) 、雇用指数(4 月+23.1%)のいずれも前月か ら上昇し、改善が進んでいることを示唆している。 ただし、先行きについて は気がかりな動きも ただし、先行きについては気がかりな点もある。3 月の製造業ISM新規受注指 数は 63.3(2 月 68.0)と下落した。また、NY製造業調査では 6 カ月先の状況に関 する業況見通しDIが 4 月+47.4%(3 月+49.4%)と、やや下向きの動きを示し ている。NY製造業調査の個別指数をみると、新規受注見通し指数は 4 月+43.6% (3 月+42.9%)と前月並みの水準を保ったものの、出荷見通し指数は 4 月+37.2% (3 月+40.3%)と 3 カ月連続で大幅に低下している。 背景に何があるのか。2 月 19 日から 4 月 4 日までの地域経済動向を示すベージュ ブック(4 月 13 日公表)では、日本の震災による影響や、中東・北アフリカの地政 学リスク、連邦財政の動向などが企業経営見通し上の懸念材料であると指摘された。 設備投資マインドはまだ崩れていないが、(後述)、楽観は禁物だろう。 非製造業の業況は下落 非製造業ISM総合指数は 3 月 57.3(2 月 59.7)と下落した。引き続き高い水準 にはあるものの、非製造業の回復テンポが前月に比べて弱まったことを示唆してい る。内訳をみると、新規受注指数は 3 月 64.1(2 月 64.4)とほぼ横這い水準を保っ た一方で、製造業の生産指数に対応する業況(business activity)指数が 3 月 59.7 (2 月 66.9)と大きく低下した。 図1 企業業況 図2 鉱工業生産と稼働率 (2007=100) 92 60 図3 (% ) 80 (% ) 10.5 90 78 10.0 88 76 9.5 86 74 9.0 84 72 55 50 45 10/3 10/9 11/3 製 造 業 ISM指 数 非 製 造 業 ISM指 数 10/3 10/9 11/3 鉱 工 業 生 産 (除 く エネルギー) 設 備 稼 働 率 (総 合 ,右 目 盛 ) (資料)米国サプライマネジメント協会(ISM) (資料)連邦準備制度理事会 6 8.5 10/3 雇用統計 (前 月 比 、 千 人 ) 500 400 300 200 100 0 ▲ 100 ▲ 200 ▲ 300 10/9 11/3 非農業部門雇用者数 (右 目 盛 ) 失業率 (資料)米国労働省 みずほ米国経済情報 Mizuho Research Institute 輸出受注指数は製造業と ISM輸出受注指数は、製造業が 3 月 56.0(2 月 62.5)と急落した一方、非製造 非製造業で斑模様の結果 業は 3 月 59.0(2 月 56.5)と 2 カ月連続で上昇し、斑模様の結果となった(何れも に 季節調整前の原数値)。なおISMによれば、製造業では機械や電気製品などの業種 が 3 月の輸出受注減少を示唆しており、これらの業種が製造業ISM輸出受注指数 の押し下げに寄与した可能性がある。 生産は回復傾向を維持 3 月の鉱工業生産指数(FRB)は前月比+0.8%(2 月同+0.1%)と高い伸びを 示した。内訳をみると、エネルギー生産が 3 月同+0.9%(2 月同▲0.9%)と 3 カ 月ぶりに増加に転じたことに加え、エネルギーを除く部門が 3 月同+0.8%(2 月同 +0.4%)と堅調な回復傾向を続けたことが寄与している(図 2)。 エネルギーを除く部門の内訳をみると、3 月は幅広い分野で増産したことが確認 できる。IT関連生産は 3 月前月比+0.9%(2 月同+2.2%)と、昨年 11 月から今 年 2 月にかけての大幅な伸びは縮小しつつあるが、増産基調を維持している。自動 車生産は 3 月同+2.9%(2 月同+4.5%)と底堅い増産の動きが続いた。IT関連・ 自動車を除く部門では、資本財(3 月同+0.1%)がほぼ前月並みの水準に留まった ものの、消費財(3 月同+0.3%)、建設財(3 月同+1.5%)、中間財(3 月同+0.9%) が回復し、生産活動の伸びを支えている。 鉱工業部門の設備稼働率は 3 月 77.4%(2 月 76.9%)と上昇し、ここ 3 カ月間の 横ばい傾向から上向く動きを見せた。製造業が 3 月 75.3%(2 月 74.9%)と底堅い 回復傾向を保っていることに加え、エネルギー関連が 3 月 79.7%(2 月同 78.5%) と持ち直したことが寄与している。 雇用は堅調増加が続く 雇用者数は大幅に増加し、堅調な回復が続いている。 3 月の非農業部門雇用者数(米国労働省)は前月差+21.6 万人(2 月同+19.4 万 人)と 2 カ月連続で堅調に回復した(図 3)。民間部門の雇用者数が 3 月同+23.0 万人(2 月同+24.0 万人)と大幅増加が続き、雇用回復のけん引役となった。政府 部門では、地方政府が 3 月同▲1.5 万人(2 月同▲3.0 万人)と職員解雇が続いたも のの、連邦政府(3 月同+0.1 万人)、州政府(3 月同±0.0 万人)がほぼ横這いに留 まり、政府部門全体の雇用に対する下押し圧力は緩和した。 民間部門の内訳をみると、建設業(3 月前月差▲0.1 万人)や製造業(3 月同+1.7 万人)が減速した一方、サービス業(3 月同+19.9 万人)の増加テンポが加速し、 民間部門全体の伸びを押し上げた。ヘルスケア(3 月同+4.5 万人)や短期派遣労働 (3 月同+2.9 万人)、食品サービス(3 月同+2.7 万人)、小売業(3 月同+1.8 万人) などを中心に幅広い業種で雇用が回復している。 雇用と労働時間の持ち直 労働時間で測った労働需要は底堅い回復を続けている。雇用者数と週当たり平均 しが寄与し、所得環境は 労働時間を合成した総労働時間指数(みずほ総合研究所試算)は、3 月に 3 カ月前 改善 比年率+3.3%(2 月同+3.1%)と高い伸びを維持した。上述した民間雇用者数の 堅調な増加に加え、週当たり平均労働時間が 3 月同+1.2%(2 月同+1.2%)と、 昨年半ば以降の横這い圏から上向く兆候を見せていることが要因だ。労働時間の内 訳をみると、情報サービス業や運輸業、卸売業などで特に労働時間の回復が進んで いる。 また、上記の総労働時間指数と時間当り賃金(図 4)の伸びを合成した総賃金指 7 みずほ米国経済情報 Mizuho Research Institute 数(みずほ総合研究所試算)は、3 月に 3 カ月前比年率+5.1%(2 月同+5.1%)と 比較的高い伸びが続いている。時間当たり賃金は 3 月同+1.8%(2 月同+1.9%) と緩やかな伸びが続くなか、前述した雇用者数と週当たり労働時間の持ち直しが総 賃金指数を押し上げている状況だ。 失業率は改善傾向が続く 雇用の堅調な回復を背景に、3 月の失業率は 8.8%(2 月 8.9%)と改善傾向が持 続している(図 3)。失業率が改善した要因をみると、就業率が 3 月 58.5%(2 月 58.4%)と小幅上昇したことが寄与している。一方で、労働参加率は 3 月 64.2%(2 月 64.2%)と、今年に入って横這い状態での推移が続いている。 東日本大震災の影響は、 3 月 11 日に発生した東日本大震災により、自動車産業やIT産業等で世界的なサ 現時点までの米国生産・ プライチェーンに混乱が起こり、米国でも 3 月から 4 月にかけて自動車関連の一部 雇用関連指標では確認で 工場で減産や一時的な操業停止が実施されている。もっとも、これまでに発表され きず た米国の生産・雇用関連指標では、そうした混乱の影響を確認できていない。 生産関連指数では、3 月の製造業ISM生産指数が大幅に上昇した。また、同月 の鉱工業生産指数ではIT関連生産や自動車生産など幅広い分野で増産傾向が続い ていることが確認された。また、4 月NY製造業調査の出荷指数(現状)も前月か ら上昇しており、生産の下振れは窺えない。 雇用関連指標では、製造業の全従業員ベース労働時間が 3 月前月比▲0.2%と小幅 に低下した一方で、生産労働者ベースでは 3 月同+0.2%と増加しており、現時点で は雇用環境への影響も確認できない。 今後の指標に注視必要 もっとも、米自動車産業の減産は 4 月に入って本格化しているとみられ、まだ楽 観はできない。上述したベージュブックでも、一部の地区では製造業の経営見通し における不安材料として日本の震災による影響が指摘されている。今後発表される 4 月の生産・雇用関連指標の動向には注視が必要だ。 3.需要動向:実質個人消費と設備投資は共に減速 消費者マインドは小幅に 足元の消費者マインドは小幅に持ち直したが、前月の大幅な落ち込みをほとんど 持ち直すも、依然低水準 回復できていない。4 月のミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)は 69.6(3 月 確報値 67.5)と上昇したが、3 月の大幅な落ち込み(前月差▲10.0Pt)に比べれば、 僅かな持ち直しに留まっている(図 5)。同指数の内訳を見ると、3 月には現状指数 図4 時間当り賃金上昇率 0.4% (前 月 比 ) 図5 消費者マインド (66Q1=100) 85 図6 (1985=100) 80 3% 小売統計 (前 月 比 ) 2% 80 0.2% 70 1% 75 60 70 50 0.0% 65 ▲ 0.2% 10/3 (資料)米国労働省 10/9 11/3 40 10/4 10/10 11/4 ミシガン大 学 カンファレンスボート(右 目 盛 ) (資料)ミシガン大学©、カンファレンスボード© 8 0% ▲ 1% ▲ 2% 10/3 10/9 11/3 自 動 車 (同 ) 除 く 自 動 車 (寄 与 度 ) (資料)米国商務省 みずほ米国経済情報 Mizuho Research Institute に比べて期待指数が大幅に下落しており、消費者の先行き見通しが大きく悪化した ことが分かる。また、短期の予想インフレ率(今後 1 年間)が 4 月+4.6%(3 月+ 4.6%)と高水準にあることから、中東・北アフリカ情勢の混迷に伴う油価の高騰が 消費者マインドの悪化に影響している可能性が考えられる。 小売売上高は減速 3 月の小売売上高(米国商務省)は前月比+0.4%(2 月同+1.1%)と減速した(図 6)。内訳を見ると、自動車ディーラーの売上高が 3 月同▲1.7%(2 月同+1.0%) と減少した。これは、3 月の自動車販売台数が年率 1,311 万台(前月比▲2.4%)と 減少したことと見合った動きである。一方、ガソリンスタンドの売上高は 3 月前月 比+2.6%(2 月同+2.4%)と伸びが加速した。ただし、米エネルギー省によれば、 ガソリン価格は 3 月に前月比+10.9%(2 月同+3.7%)と急上昇しており、実質的 な家計のガソリン消費量は大きく減少していると推察される。建材・造園関連は 3 月同+2.2%(2 月同▲0.8%)と増加した。全米小売業協会(NRF)によれば、3 月の温暖な天候が建材・造園関連製品の販売回復に寄与したという。 コア小売も減速 自動車・部品、ガソリン、建材・造園を除くコア小売は、3 月前月比+0.4%(2 月同+1.1%)と減速した。コア小売の内訳を見ると、食品(3 月同+0.1%、2 月同 +0.7%)や衣料品(3 月同+0.6%、2 月同+1.8%)、総合小売業(3 月同+0.4%、 2 月同+1.0%)などが前月と比べて鈍化した。一方、家具販売は 3 月同+3.6%(2 月同+1.3%)、家電販売は 3 月同+2.1%(2 月同+1.5%)と伸びが大幅に加速し ている。このうち家具に関して、NRFは建材・造園販売と同様に温暖な天候が家 具販売の増加を支えたと指摘している。 他方で家電販売の増加には、省エネ型白物家電・住宅設備購入補助金制度の失効 が影響している可能性がある。同制度は Cash-for-Appliance と呼ばれ、米エネルギ ー省の認可の下に州政府が運営しており、多くの州で財源の枯渇とともに制度が打 ち切られる。3 月上旬には補助金規模の大きいニューヨーク州とテキサス州で制度 が打ち切られたため、それに伴う駆け込み需要が発生し、家電販売増加の一因とな った可能性がある。なお、同制度は 35 の州・地域で既に打ち切られ、4 月 1 日時点 では 21 の州・地域で実施中である。 実質ベースの個人消費は 物価上昇を考慮した実質ベースで見ると、3 月の個人消費は前月からほぼ横這い 前月比横這いとなる公算 に留まる見込みだ。後述するように、3 月の消費者物価指数は前月比+0.5%(2 月 同+0.5%)と高い上昇が続いている。 足元の個人消費動向をみると、雇用の回復と昨年末に成立した給与税減税が個人 消費へのサポート材料となる一方で、資源価格の高騰によるインフレ率の高まりが 実質可処分所得の伸びを大きく抑制し、消費拡大の重石となっている。今月末に発 表される 2011 年 1~3 月期GDPでは、実質個人消費が前期比年率で約+1%台半ば に留まり、同+4.0%と高い伸びを記録した昨年 10~12 月期に比べて、大幅に減速 すると見込まれる。 新築住宅販売は深刻な低 迷続く 米国住宅市場は依然として厳しい状態だ。新築住宅販売(戸建て、米国商務省) は 2 月年率 25.0 万件(前月比▲16.9%)と 2 カ月連続で大幅に減少し、1963 年の 統計開始以来の過去最低水準を更新した(図 7)。新築住宅販売は極めて低い水準で の推移が続いている。 9 みずほ米国経済情報 Mizuho Research Institute 中古住宅販売も弱い動き 昨年後半から年始にかけて回復傾向がみられた中古住宅販売にも、再び弱さが現 れている。中古住宅販売件数(戸建て及び集合住宅、全米不動産協会)は、2 月年 率 488 万件(前月比▲9.6%)と 4 カ月ぶりに減少した(図 7)。中古住宅販売件数 に 1~2 カ月程度先行すると言われる中古住宅販売留保指数(全米不動産協会)が 2 月に前月比+2.1%(1 月同▲2.8%)と持ち直したことから、3 月の中古住宅販売件 数は回復すると予想するが、概ね年率 500 万件前後の弱い水準に留まるだろう。 住宅着工は低水準。許可 件数も依然歴史的低水準 新築住宅販売の低迷を映じ、住宅着工の動きも弱い。住宅着工件数(米国商務省) は 3 月年率 54.9 万件(前月比+7.2%)と小幅に持ち直したが、依然として歴史的 な低水準での推移が続いている(図 8)。戸建て住宅の着工件数は 3 月年率 42.2 万 件(前月比+7.7%)と増加したものの、昨年 5 月以降の大きく落ち込んだ水準から 未だに回復が見られない。 着工件数の先行指標と考えられる住宅着工許可件数は、3 月年率 59.4 万件(前月 比+11.2%)と増加したが、引き続き底這い状態にある。戸建て住宅の着工許可件 数は 40.5 万件(前月比+5.7%)と単月では増加しているが、3 カ月平均でみると 昨年春先からの減少基調が依然として続いている状態だ。 ただし、集合住宅は僅か ながら持ち直しの傾向 一方、集合住宅には僅かながら改善の兆しが窺える。集合住宅の着工件数は 3 月 年率 12.7 万件(前月比+5.8%)と、水準は低いものの、2009 年 10 月を底とした 緩やかな持ち直しの動きが続いている。集合住宅(5 世帯以上)の着工許可件数も 3 月 17.3 万件(前月比+28.1%)と、僅かではあるが回復の傾向を見せている。住宅 価格の下落が続く中、持ち家から賃貸物件に需要がシフトしており、集合住宅の着 工を支えているとみられる。 建設業者の景況感は横這 い 建設業者の景況感は横這い状態が続いている。新築住宅販売の現状と 6 カ月先の 見通し、見込客の動向をもとに作成されている住宅市場指数(全米住宅建築業者協 会。Housing Market Index。0~100 の範囲をとり、水準が高いほど良好)は 4 月 16 (3 月 17)と、昨年末以降の横這い状態を脱していない。内訳をみると、見込み客 の動向が僅かに改善しているが、総じて見れば停滞感に大きな変化はない。 新築住宅在庫率は高水準 新築住宅の在庫率(米国商務省)は 2 月 8.9 カ月(1 月 7.4 カ月)と大幅に悪化 した。在庫は緩やかに減少しているものの、販売が大きく落ち込んでおり、在庫率 が足元で高まっている。 図7 住宅販売件数 45 (年 率 ,万 件 ) 図8 (年 率 ,万 件 ) 600 40 550 35 500 30 450 70 住宅着工件数 (年 率 ,万 件 ) 25 60 20 350 10/2 10/8 11/2 中 古 住 宅 販 売 (右 目 盛 ) 新築住宅販売 (資料)全米不動産協会、米国商務省 (年 率 ,10億 ドル) 64 62 60 15 400 20 68 資本財出荷・新規受注 66 50 25 図9 58 ※いずれも、 航空関連を除く 56 40 10 10/2 10/9 11/4 ホームビルダー・マーケット指 数 (右 目 盛 ) 住宅着工件数 (資料)全米住宅建築業者協会、米国商務省 10 54 10/2 10/8 11/2 非国防資本財出荷 非国防資本財新規受注 (資料)米国商務省 みずほ米国経済情報 中古住宅在庫率も悪化 Mizuho Research Institute 中古住宅の在庫率(全米不動産協会)は 2 月 8.6 カ月(1 月 7.5 カ月)と悪化し た。中古住宅の販売件数が減少し、販売在庫(差し押さえを含む。季節調整前の原 数値)が 2 月末で 349 万件(前月比+3.5%)と増加したことが要因だ。新築住宅と 同様に、中古住宅の在庫率は依然として高水準にある。 住宅価格は下落傾向 住宅価格の下落傾向に歯止めが掛からない。スタンダード・アンド・プアーズ(S &P)/ケース=シラー住宅価格指数(主要 10 都市圏を対象とする指数。2 度以上 売買されたことがある戸建て中古住宅を対象とした品質調整済み価格指数)は、2011 年 1 月前月比▲0.22%(2010 年 12 月同▲0.38%)と昨年 7 月以降下落が続いてい る。前年比でみても、2011 年 1 月▲2.04%(2010 年 12 月同▲1.33%)と、下落幅 が拡大している。 連邦住宅金融局(FHFA)による住宅価格指数(リファイナンスに伴う再評価を除 く、売買取引の価格情報のみを対象とした系列) は、2011 年 1 月前月比▲0.29%(2010 年 12 月同▲0.95%)と 3 カ月連続で下落しており、住宅バブル崩壊以降の下落基調 は依然として続いている。 また、連邦準備制度理事会が注目していると言われる米調査会社 CoreLogic によ る住宅価格指数(全米ベース)は、2011 年 2 月前月比▲1.93%(ただし民間データ ベース会社 Haver による季節調整値) と下落テンポが強まった。住宅バブル崩壊後、 同指数は 2009 年 4 月に一旦底打ちし、 それ以降緩やかな回復傾向を維持していたが、 2010 年 6 月以降は再び下落基調に転じ、足元の水準は 2009 年 4 月に底打ちした水 準を既に 2%以上下回っている。 市場の住宅価格予想を表すとみられるケース・シラー住宅価格先物も、昨年後半 以降、2012 年初めまでを限月とする全ての先物価格が段階的に低下している。4 月 14 日時点では、今年末にかけて 1 月実績値と比べて 5%以上低下し、その後は 2012 年春にかけて僅かに上昇するという予想が織り込まれている。 資本財の出荷は改善一服 資本財出荷(米国商務省)は年明け以降回復の動きが一服している。機械関連の 設備投資動向を示す非国防資本財(除く航空関連)の出荷額は、2 月に前月比+0.5% (1 月同▲2.5%)と小幅に持ち直したが、前月の大幅な減少分を回復できていない (図 9)。GDP統計の設備投資の動きに近い 3 カ月前比年率でみると、2 月+1.6% (1 月同+5.5%)と、伸びが大きく減速している。 非国防資本財(除く航空関連)の新規受注額は、2 月前月比▲0.7%(1 月同▲5.9%) と 2 カ月連続で減少している。加えて、3 カ月前比年率では 2 月▲10.8%(1 月同+ 4.6%)と 2009 年 5 月以来のマイナスとなった。2 月以降、中東・北アフリカ情勢 の混迷を背景に原油やコモディティ価格が急騰したことから、企業の投入コストは 上昇し、経営環境の不透明感は高まりつつある。 企業の設備投資マインド こうした中で、先行きの設備投資に対する企業マインドは高く、設備投資が底堅 は高水準だが、楽観でき く拡大していくことを示唆しているが、楽観することはできない。NY製造業調査 ず の 6 カ月先の設備投資に関する判断DIは、4 月+29.5(3 月+22.1)と 3 カ月ぶり に上昇し、2000 年代前半の景気回復局面と比較して高い水準にある。高い投入コス トに直面しつつ、企業は現時点で積極的な設備投資姿勢を崩していない模様だが、 原油やコモディティ価格が今後一段と上昇し、投入コストの急騰が続けば、設備投 11 みずほ米国経済情報 Mizuho Research Institute 資の更なる下振れ要因として懸念材料である。 建設投資は厳しい水準 建設投資は低迷状態が続いている。事業用の建設投資(工場、オフィス等、住宅 を除く建設支出額。米国商務省)は 2 月前月比+0.9%(1 月同▲8.0%)と、前月 に大きく落ち込んだ水準からほぼ横這いに留まっている(図 10)。商業用不動産価 格指数(Moody's/MIT 不動産センター)は 2011 年 1 月前月比▲1.2%(2010 年 12 月同▲0.9%)と 2 カ月連続で低下した。同指数は底這い状態にある。 貿易赤字が縮小。幅広い 品目で輸入が減少 米国商務省によれば、2 月の貿易収支(サービスを含む名目)は▲458 億ドル(1 月▲470 億ドル)と赤字幅が小幅に縮小した。輸出入ともに前月から減少したが、 輸出が 2 月前月比▲1.4%(1 月同+2.6%)に留まった一方で、輸入が 2 月同▲1.7% (1 月同+5.4%)と輸出の減少幅を上回り、赤字幅が縮小した(図 11) 。輸入の内 訳をみると、自動車を除く消費財(2 月同+5.6%)が増加した一方、1 月に急増し た自動車(2 月同▲10.8%)が反動によって大幅に減少したことに加え、資本財に 含まれるコンピューターや同部品、半導体などの電子機器、産業用資材に含まれる 燃料油やその他石油製品、金属類の輸入が減少している。 年度累計の連邦財政収支 は前年度比悪化 3 月の連邦財政収支は▲1,882 億ドルと、前年の同月(▲654 億ドル)から赤字幅 が拡大した。2011 財政年度(2010 年 10 月~)の累積赤字も▲8,294 億ドルと、前 年度同月(▲7,170 億ドル)から赤字幅が拡大している(図 12)。収支の内訳を見る と、歳出が年度累計 1 兆 8,493 億ドル(前年度同 1 兆 6,709 億ドル)と前年度から 拡大した一方、歳入が同 1 兆 199 億ドル(前年度同 9,539 億ドル)と僅かな増加に 留まり、財政収支が悪化する原因となった。 2011 年度予算が成立 米国連邦政府の 2011 財政年度予算(歳出法)が 4 月 15 日に成立した。予算では 前年度比 400 億ドル程度の削減策が盛り込まれたが、議会予算局(CBO)によれ ば、実際に削減が行われるのは後年度であること等から、実際には前年並みの水準 で歳出を凍結するに留まっている。 今後は、法定債務上限の引き上げが喫緊の課題となる。現行の法定債務上限は 14 兆 2,940 億ドルであり、 米国財務省は早ければ 5 月 16 日にも連邦政府債務が上限に 達すると推計している。遅くても米国財務省による「やり繰り」が尽きる 7 月 8 日 までには、引き上げが決定されねばならない。 図 10 非住宅建設投資 (年 率 ,10億 ドル) 340 図 11 (2009/1=100) 80 320 300 75 280 260 70 240 220 65 10/2 10/8 11/2 商 業 用 不 動 産 価 格 指 数 (右 目 盛 ) 非住宅建設投資 (資料)米国商務省 輸出・輸入 図 12 累積連邦財政収支 (10億 ドル) 0 ▲ 200 ▲ 400 ▲ 600 ▲ 800 ▲ 1,000 ▲ 1,200 ▲ 1,400 ▲ 1,600 10 12 (前 月 比 ) 6% 5% 4% 3% 2% 1% 0% -1% -2% -3% 10/2 10/8 輸出 (資料)米国商務省 11/2 輸入 2011年 度 2009年 度 (資料)米国財務省 12 2 4 6 8 (月 ) 2010年 度 みずほ米国経済情報 Mizuho Research Institute 4.物価動向:個人消費分野ではコア・インフレ率が底打ち 輸入物価インフレ率が大 幅上昇 米国労働省によれば、3 月の輸入物価インフレ率は前年比+9.7%(2 月同+7.2%) と大幅な上昇が続いている(図 13) 。内訳を見ると、石油関連製品が 3 月同+31.3% (2 月同+21.8%)とインフレ率が高まっていることに加えて、非石油関連製品も 3 月同+4.1%(2 月同+3.6%)と上昇傾向にある。食品・飼料(3 月前年比+18.9%) の急なインフレ率の高まりと、最終財輸入物価インフレ率(3 月同+0.8%)の高止 まりが寄与している。最終財の内訳を見ると、消費財(除く自動車)は 3 月前年比 +0.3%(2 月同+0.7%)と低下したが、自動車・部品が 3 月同+1.6%(2 月同+ 1.3%)、資本財が 3 月同+0.9%(2 月同+0.7%)とインフレ率が上昇しており、 最終財物価上昇率が高止まる要因となった。 最終財PPIはインフレ 率が小幅低下 最終財PPIは 3 月前月比+0.7%(2 月同+1.6%)とインフレ率がやや低下し た。最終財エネルギー物価が 3 月同+2.6%(2 月同+3.3%)と小幅に低下したこ とに加え、最終財食品物価が 3 月同▲0.2%(2 月同+3.9%)と 7 カ月ぶりにマイ ナスとなったことが影響している。 コア最終財PPIはイン フレ率が上昇 一方、食品、エネルギーを除くコア最終財PPIは、3 月前月比+0.3%(2 月同 +0.2%)とインフレ率が上昇した(図 14)。SUVやトラックなどの Light motor trucks が 3 月同+0.7%(2 月同▲0.1%) 、乗用車が 3 月同+0.9%(2 月同+0.6) とインフレ率が高まり、コア最終財PPIのインフレ率上昇に寄与している。報道 等によれば、東日本大震災に伴うサプライチェーンの混乱によって、米国では新車・ 中古車ともに一部で在庫が減少しているという。こうした供給面の制約から、自動 車物価に上昇圧力が加わっている可能性もある。後述するCPIでも同じような動 きがみられ、新車(3 月前月比+0.73%)や中古車(3 月同+0.77%)のインフレ率 が高まっている。 企業は引き続き投入コス トの上昇に直面 原油や商品価格等の上昇によって、米国企業の多くは投入コストの上昇に直面し ている模様だ。ISMの仕入れ価格判断DIは、製造業が 3 月 85.0(2 月 82.0)、 非製造業が 3 月 72.1(2 月 73.3)と、何れも高水準での推移が続いている。先行き について見ると、4 月連銀景況感指数の仕入れ価格指数(6 カ月先見通し)では、N Y製造業調査が+56.4(2 月+71.4)と下落したものの、依然として高い水準にあ 図 13 輸入物価 図 14 3% 0.8% 10% 2% 0.6% 5% 1% 0% 0% 15% (前 年 比 ) (前 年 比 ) コア最終財PPI 0.4% 図 15 3% 2.0% 2% 1.5% 1% 1.0% 0% 0.5% 消費関連コア物価指数 (前 年 比 ) 0.2% ▲ 1% ▲ 5% ▲ 2% ▲ 10% 10/3 10/9 11/3 輸入物価 う ち 最 終 財 (右 目 盛 ) (資料)米国労働省 0.0% ▲ 0.2% ▲ 0.4% 10/3 10/9 11/3 10/3 前 年 比 (右 目 盛 ) 前月比 (資料)米国労働省 (資料)米国労働省 13 10/9 11/3 コアCPI コアPCEデフレーター みずほ米国経済情報 Mizuho Research Institute り、企業は引き続き投入コスト上昇を不安視しているとみられる。4 月 13 日に公表 されたベージュブック(4 月 4 日までの地域経済動向を示す)では、石油関連に加 え、綿や農産物、金属類の投入コストが上昇していることが報告されている。また、 投入コストの価格転嫁動向には地域間や産業間で格差があることも指摘された。一 部地区の製造業では価格転嫁が進んでいる一方で、小売業や建設業では価格転嫁の 動きが限定的なものに留まっているようだ。 エネルギー価格上昇によ 個人消費関連のインフレ率は、食品・エネルギー物価の上昇を背景に高いインフ り、個人消費関連のイン レ率が続いている。CPIのインフレ率は 3 月前月比+0.5%(2 月同+0.5%)と フレ率が上昇 高止まっている。食品物価が 3 月同+0.8%(2 月同+0.6%)と 3 カ月連続でイン フレ率が高まっていることに加え、 エネルギー物価のインフレ率も 3 月同+3.5%(2 月同+3.4%)と比較的高水準での推移が続いている。 個人消費関連のコア・イ ンフレ率は底打ち 食品・エネルギーを除く個人消費関連のコア・インフレ率は、低位ながらも足元 で高まっている。コアCPIは、3 月前年比+1.19%(2 月同+1.09%)と持ち直し が続いており、デフレ懸念は後退している(図 15)。特に家賃(3 月同+1.23%)や 帰属家賃(3 月同+0.78%)などの住居費、新車・中古車(3 月同+1.28%)などが コアCPIインフレ率の持ち直しに寄与している。 一部の構成項目の異常な動きによる物価指標への影響を排除し、基調的な物価動 向を知るために開発された加重メディアン指数や刈込平均指数(ともにクリーブラ ンド連邦準備銀行)を見ると、それぞれ 3 月前年比+1.15%(2 月同+1.00%)、3 月同+1.48%(2 月同+1.24%)となり、コアCPIと同様に高まりが見られる。 物価判断の指標として FOMC が注目するコア個人消費支出(PCE)デフレーター (米国商務省)でも、2 月時点では前年比+0.88%(1 月同+0.80%)とインフレ率 は底打ちしている。また、米国商務省による市場取引ベースコアPCEデフレータ ー(2 月同+0.94%)や、ダラス連邦準備銀行による刈込平均PCEデフレーター (2 月同+1.00%)も、2008 年半ばから続くインフレ率の低下傾向が足元で終息し つつあることを示している。 14 みずほ米国経済情報 Mizuho Research Institute 巻末資料:米国主要経済指標 08Q4 ▲6.8 ▲0.2 0.4 ▲147.6 ▲4.2 09Q1 ▲4.9 3.9 0.4 ▲95.6 ▲2.7 Q2 ▲0.7 8.8 0.4 ▲84.4 ▲2.4 Q3 1.6 6.8 0.3 ▲97.5 ▲2.8 Q4 5.0 6.8 0.5 ▲100.9 ▲2.8 10Q1 3.7 4.2 0.6 ▲108.7 ▲3.0 Q2 1.7 ▲1.7 0.5 ▲122.7 ▲3.4 Q3 2.6 2.6 0.4 ▲125.5 ▲3.4 Q4 3.1 2.3 0.4 ▲113.3 ▲3.1 11Q1 #N/A #N/A #N/A #N/A #N/A Nov-10 1.1 Dec 1.0 前月比 Jan-11 0.1 Feb 0.8 Mar #N/A Nov-10 5.9 Dec 5.8 前年比 Jan-11 5.4 Feb 5.8 Mar #N/A 小売売上高(%) 除く自動車(%) 国内自動車販売台数(百万台、年率) 住宅着工件数(万件、年率) 住宅着工許可件数(万件、年率) ホームビルダー・マーケット指数 MBA購入指数(%) ミシガン大消費者センチメント指数(66Q1=100) カンファレンスボード消費者信頼感指数(85=100) 0.8 0.9 *1222 *55 *54 *16 7.7 *72 *58 0.6 0.3 *1249 *52 *63 *16 3.3 *75 *63 0.8 0.9 *1258 *63 *56 *16 ▲7.9 *74 *65 1.1 1.1 *1339 *51 *53 *16 ▲3.2 *78 *72 0.4 0.8 *1306 *55 *59 *17 6.0 *68 *63 8.9 7.4 16.8 ▲4.0 ▲5.9 7.6 6.3 11.1 ▲7.7 ▲5.1 7.4 5.7 17.3 3.3 ▲8.9 9.3 6.9 27.2 ▲14.3 ▲15.6 7.3 6.6 16.8 ▲16.1 ▲12.2 国防を除く資本財出荷(%) 除く航空機・同部品(%) 国防を除く資本財受注(%) 除く航空機・同部品(%) 民間建設支出(非居住用,%) 0.5 1.5 ▲7.9 3.3 2.6 3.5 2.4 ▲3.7 4.0 ▲3.3 ▲3.3 ▲2.5 6.7 ▲5.9 ▲8.0 0.9 0.5 3.1 ▲0.7 0.9 #N/A #N/A #N/A #N/A #N/A 10.3 13.4 20.5 18.6 0.0 7.6 12.0 9.1 18.2 0.0 10.0 11.1 13.5 16.1 0.0 8.0 8.3 7.2 10.1 0.0 #N/A #N/A #N/A #N/A #N/A *▲38.2 *▲45.2 ▲0.5 0.1 *▲40.3 *▲46.0 2.1 2.1 *▲47.0 *▲50.3 2.2 4.4 *▲45.8 *▲49.5 ▲3.7 ▲3.0 #N/A #N/A #N/A #N/A 12.4 11.7 10.7 9.9 12.5 16.9 7.9 9.9 #N/A #N/A *▲150.4 *▲78.1 *▲49.8 *▲222.5 *▲188.2 鉱工業生産(%) 最終財生産(%) 設備稼働率(%) 民間在庫投資(10億ドル) 在庫率(カ月) 0.3 ▲0.1 *75.8 *5.2 *1.25 1.3 1.3 *76.8 *15.5 *1.25 0.1 0.5 *76.9 *13.8 *1.24 0.1 0.3 *76.9 *7.2 *1.24 0.8 0.8 *77.4 #N/A #N/A 6.0 5.7 6.8 6.3 5.8 5.4 5.6 6.0 5.9 6.2 ISM製造業指数 ISM非製造業指数 NFIB楽観指数(1986=100) フィラデルフィア連銀景況感指数 *58.2 *59.4 *93.2 *18.1 *58.5 *62.9 *92.6 *20.8 *60.8 *64.6 *94.1 *19.3 *61.4 *66.9 *94.5 *35.9 *61.2 *59.7 *91.9 *43.4 失業率(%) 非農業部門雇用者数(千人) 製造業雇用者数(千人) 週平均労働時間(時間) 時間当り賃金(%) *9.8 93.0 15.0 *33.5 0.1 *9.4 152.0 11.0 *33.5 ▲0.1 *9.0 68.0 53.0 *33.4 0.4 *8.9 194.0 32.0 *33.5 0.1 *8.8 216.0 17.0 33.6 ▲0.1 1.9 2.0 2.8 2.1 1.8 0.8 0.0 0.1 0.1 0.4 0.2 0.4 0.0 0.9 0.5 0.4 0.2 0.7 0.2 0.5 0.2 0.3 0.3 0.5 #N/A 2.8 1.2 0.8 0.8 2.6 1.3 0.8 0.7 3.0 1.6 1.0 0.8 3.6 1.8 1.1 0.9 4.1 1.9 1.2 #N/A *0.13 *0.13 *0.61 *0.77 *3.39 *3.58 0.4 0.2 ▲0.3 ▲0.9 0.2 0.6 *11891.93 *12226.34 *2700.08 *2782.27 *81.97 *81.94 *1.3715 *1.3793 *0.13 *0.70 *3.41 0.9 ▲0.9 0.3 *12319.73 *2781.07 *82.76 *1.4183 ▲7.6 ▲4.8 3.1 ▲5.2 ▲4.3 3.5 ▲2.9 ▲4.1 4.3 ▲1.4 ▲4.1 4.1 0.7 ▲4.6 4.6 実質GDP(%、前期比年率) 労働生産性(%、前期比年率、非農業部門) 雇用コスト指数(%、前期比) 経常収支(10億ドル) 名目GDP比(%) カンファレンスボード景気先行指数(%) 貿易収支(10億ドル) 実質財貿易収支(10億ドル) 実質財輸出(%) 実質財輸入(%) 財政収支(10億ドル) 輸入物価(%、除く石油関連) 生産者物価・最終財コア(%) コア消費者物価(%) コアPCEデフレーター(%) FF金利誘導目標(末値,%) 2年債金利(%) 10年債金利(%) 商工業向け銀行貸出(%) 不動産向け銀行貸出(%) マネーサプライ(%) ダウ工業30種平均(末値) NASDAQ(末値) 円・ドルレート(末値,\/$) ドル・ユーロレート(末値,$/Euro) *0.13 *0.13 *0.45 *0.62 *2.76 *3.29 0.2 0.7 ▲0.1 ▲0.2 0.4 0.3 *11006.02 *11577.51 *2498.23 *2652.87 *83.56 *81.11 *1.3036 *1.3392 (注)*印は水準。 (資料)米国商務省、米国労働省、米連邦準備制度理事会、カンファレンスボード、米サプライマネジメント協会(ISM)、 モーゲージバンカーズ協会(MBA)、米住宅建築業協会、米独立企業連盟(NFIB)、HAVER ANALYTICS 15 みずほ米国経済情報 Mizuho Research Institute 2011 年 4 月 20 日発行 発行 / みずほ総合研究所 編集 / みずほ総合研究所 調査本部 〒100-0011 東京都千代田区内幸町 1-2-1 日土地内幸町ビル 市場調査部 小野 亮(主席研究員・シニアエコノミスト) E-mail:[email protected] TEL:03-3591-1219 服部 直樹(エコノミスト) E-mail:[email protected] TEL:03-3591-1199 当レポートは情報提供のみを目的として作成されたものであり、商品の勧誘を目的としたものでは ありません。本資料は、当社が信頼できると判断した各種データに基づき作成されておりますが、 その正確性、確実性を保証するものではありません。また、本資料に記載された内容は予告なしに 変更されることもあります。 16