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農大生が取り組んでいる花きの研究
平成 26 年 夏号 第 329 号(8) 和歌山県JA花き情報 農大生が取り組んでいる花きの研究 和歌山県農業大学校 花きコース長 神谷 桂 和歌山県農業大学校花きコースでは、プ ロジェクト学習の柱として「花き栽培にお ける省力・安定生産技術の検討」 「花き新品 目の導入および栽培技術の確立」の2つの 課題を挙げています。学生はプロジェクト 学習の一環として2年次に卒業論文を作成 します。今回は平成 25 年度卒業論文(松本 怜真君) 「コウヤマキの挿し木技術の確立」 について紹介します。 本校では平成 19 年度からコウヤマキの 挿し木を題材にして4本の論文が作成され、 挿し木培土、挿し穂の状態、挿し木時期、 管理温度等の検討をしてきました。昨年度 は挿し木培土に着目して試験を行いました。 この学生はコウヤマキの自生地では毎年 多くの実生苗が発生していることから、コ 理を行いました。それを翌 16 日に発根促 進剤(オキシベロン粉剤 0.5)を切り口に粉 衣した後、9cm 黒ポリポットの各試験培 土に挿し木しました。25℃設定のクーラー 育苗ハウスで同年 10 月 15 日まで育苗しま した。かん水はプールかん水として、常に 底面から1cm 程度は水があるように水を 継ぎ足しました。 試験結果は鹿沼土に自生林土壌を 10% 混和した区が発根率 54%、カルス形成率 38%と今回の試験区の中では最も良いも のとなしました(図1、表2) 。新芽の伸長 は鹿沼土のみの区が約 6.4cm と最も良く伸 び、次いで自生林土壌を 10%混和した区が 約 5.3cm となりました(表2) 。 今回の試験結果からコウヤマキの挿し木 に適切な培土は鹿沼土に自生林土壌を 10%混和したものであり、新芽の伸長が4 cm 以上ある場合は発根、カルス形成まで 進んでいるという知見を得ました。 ウヤマキの発根には菌根菌等が関係してい るのではないかと考えました。そこで挿し 木培土の鹿沼土にコウヤマキ自生林の土壌 を混和し、混合割合が挿し木発根率、カル ス形成率、新芽の伸長に及ぼす影響を検討 しました。 試験区は鹿沼土に自生林土壌の割合を変 100% 発 根 率 ・ カ ル ス 形 成 率 80% 枯死 60% カルス小 カルス大 40% 発根 20% 0% 鹿沼区 えて4区設定しました(表1) 。 山土10%区 山土30%区 山土50%区 図1 培土の違いによる発根率、カルス形成率 表1 試験区設定 試験区名 鹿沼区 山土10%区 山土30%区 山土50%区 混 合 比 鹿沼土100% 鹿沼土に自生林土壌10%混和 鹿沼土に自生林土壌30%混和 鹿沼土に自生林土壌50%混和 (各区24ポット) 試験は平成 25 年4月 15 日に成木から採 取した1年生枝を8~10cm 程度に調整し、 樹液処理のために水道水で 24 時間流水処 表2 新芽の状態と発根率 試験区 鹿沼区 山土10%区 山土30%区 新芽の長さ (cm) 発根率 (%) 6.37±0.48 5.27±0.64 4.29±0.38 33.3 54.1 20.8 山土50%区 1.56±0.30 0 新芽の長さ:24本の平均±標準誤差 (各区24ポット) ________________________________________________________________________________