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放射性セシウムを含む玄米配合 飼料を給与したブタ体組織に

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放射性セシウムを含む玄米配合 飼料を給与したブタ体組織に
National Agriculture and Food Research Organization
本研究の目的
農業・食品産業技術総合研究機構
放射性セシウムを含む玄米配合
飼料を給与したブタ体組織に
おける放射性セシウム濃度
東京電力福島第一原子力発電所の事故により、134Cs、137Cs
等の放射性物質が地上に降下し、土壌および自給飼料への
放射性セシウムの移行が懸念される
畜産草地研究所 家畜生理栄養研究領域
大森 英之
そこで、本研究では、低レベルの放射性セシウムを含む
飼料用玄米をブタに給与し、放射性セシウムを含まない飼
料を対照として体組織中の放射性セシウム濃度を調査した
放射性物質を含む飼料を給与したブタの体組織の
放射性物質濃度に関する知見は少ない
農研機構は食料・農業・農村に関する研究開発などを総合的に行う我が国最大の機関です
材料および方法
材料および方法2
供試豚
8週齢のLWD交雑種去勢豚12頭(各区6頭、平均体重28kg)
検討項目
処理区
対照区(玄米0%配合)
試験区( 放射性セシウムを含む玄米を70%配合)
それぞれ2頭群飼のため、n数=3とした
・放射性セシウム濃度(134Cs、137Cs)
(財)日本分析センターにて依頼分析
(文部科学省「ゲルマニウム半導体検出器によるガンマ
線スペクトロメトリー」(平成4 年)に準じて分析)
・発育成績(1日あたりの増体量と飼料摂取量)
試験期間
8週齢から11週齢までの3週間
測定下限値:玄米、飼料、筋肉、消化管は0.5 Bq/kg、
肝臓は5 Bq/kg
採取試料
筋肉(胸最長筋等)、肝臓、消化管(胃から回腸末端まで)
測定下限値は、ブランクから算出される分析性能の基準値
(厚生労働省「食品中の放射性セシウムスクリーニング法」)
材料および方法3
豚房の配置
統計検定:SAS ver. 9.2を用いて解析
試験区
対照区
2頭
2頭
通路(幅
メートル)
1)発育成績:
GLM Procedureにより処理区間の差を検定
2)体組織の放射性セシウム濃度:
・各個体をランダム効果とし、Mixed procedureにより
処理区および体組織間の差を検定
・分析結果が検出下限値(各測定での標準偏差の3倍)
未満の試料は、検出下限値を統計検定に用いた
・統計検定の結果、放射性セシウム濃度の平均値が
定量下限値(各測定での標準偏差の10倍)未満である
場合、「**」で表記した
飼料計量
2頭
2
飼料計量
2頭
2頭
2頭
・試験に使用する物品は、全て試験区ごとに用意
・作業者は対照区から先に作業を行うようにした
- 36 -
結果
飼料組成
トウモロコシ
玄米
大豆粕
アルファルファミール
第3リン酸カルシウム
プレミックス
食塩
計
CP(%風乾物、分析値)
対照区
70.00
25.15
2.50
1.60
0.45
0.30
100.00
16.65
飼料に含まれる放射性セシウム濃度(Bq/kg 原物)
試験区
70.00
25.15
2.50
1.60
0.45
0.30
100.00
15.70
134
137
トウモロコシ
玄米
Cs
**
21
Cs
**
27
合計
**
48
対照区飼料
試験区飼料
**
15
**
20
**
35
**:定量下限値未満
対照区飼料の放射性セシウム濃度は定量下限値未満
試験区飼料には低レベルの放射性セシウムが含まれていた
日本飼養標準・豚(2005年版)の要求量
(体重30-50kg)を満たすよう設計
結果
結果
発育成績
134Csの体組織中濃度の比較
日増体量(kg/d)
飼料摂取量(kg/d)
対照区
0.93
試験区
0.92
SEM
0.03
P値
0.881
2.17
2.33
0.19
0.562
筋肉
肝臓
消化管
対照区
試験区
**
**
**
13.3±0.8
11.7±1.2
10.3±0.3
処理区
P値
体組織
交互作用
P<0.01
P<0.05
P<0.05
**:定量下限値未満、数値は平均値±標準誤差
・試験区における134Cs濃度は対照区に比べ高い(P<0.01)
発育成績に有意差は認められなかった
・試験区の体組織間の134Cs濃度は、筋肉において
消化管よりも高い傾向(P=0.065)にあった
結果
結果
137Csの体組織中濃度の比較
134Cs+137Csの体組織中濃度の比較
対照区
筋肉
肝臓
消化管
**
**
**
試験区
18.5±0.3
15.3±1.5
13.7±0.3
処理区
P値
体組織
交互作用
P<0.01
P<0.05
P<0.01
筋肉
肝臓
消化管
対照区
試験区
**
**
**
31.8±1.1
27.0±2.5
24.0±0.6
処理区
P値
体組織
交互作用
P<0.01
P<0.05
P<0.01
**:定量下限値未満、数値は平均値±標準誤差
**:定量下限値未満、数値は平均値±標準誤差
・試験区における134Cs+137Cs濃度は対照区に比べ高い
(P<0.01)
・試験区における137Cs濃度は対照区に比べ高い(P<0.01)
・試験区の体組織間の134Cs+137Cs濃度は、筋肉において
消化管よりも有意に高かった(P<0.01)
・試験区の体組織間の137Cs濃度は、筋肉において
消化管よりも有意に高く(P<0.01)、肝臓に比べて
高い傾向(P=0.054)にあった
- 37 -
体組織間での濃度の違い
本研究のまとめ
カリウムのブタ体組織中濃度
35 Bq/kgの放射性セシウムを含む玄米配合飼料を、
去勢豚(8週齢)に3週間給与した結果、
USDA database1 Tomovic et al.(2011)2
筋肉
356
280±26
肝臓
273
217±28
消化管
140
-
1)体組織中に放射性セシウムが検出され、その
濃度は体組織間で異なっていた
fresh weight
National Nutrient Database for Standard Reference Release 24
2単位は平均値±SD
Food chemistry 124 (2011) 342-348
1単位はmg/100g
2)放射性セシウム濃度の組織間順位はカリウムと
類似しており、 動態の類似性が示唆された
放射性セシウム濃度の組織間順位はカリウムと類似
→体内での動態の類似性を示唆している
補足
農林水産省は、豚の飼料の基準値(80Bq/kg)を上
回る飼料米が 流通・給与されないよう、モニタリング
及び給与の自粛を県と協力しながら行っています。
本研究は、農林水産省委託プロジェクト研究
「自給飼料を基盤とした国産畜産物の高付加価値化
技術の開発(国産飼料プロ)」により実施した。
- 38 -
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