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分娩後の乳牛に多発するケトーシスについて

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分娩後の乳牛に多発するケトーシスについて
H.25.7.3
分娩後の乳牛に多発するケトーシスについて
ケトーシスは、皆さんもご承知のとおり乳牛の言わば職業病的な疾病です。主に周産期の乳
牛における負のエネルギーバランス、即ち、胎児の発育と泌乳のための栄養要求が著しく増加
するのに対して、分娩前後の乾物摂取量が不足することが原因で発生します。
☞特に高泌乳牛では、栄養が十分供給されないことから、蓄積された体脂肪を使って足りない分をま
かなおうとします。しかし、蓄積された脂肪分が一気に肝臓に運ばれるため、肝臓での脂肪から糖への変
換能力が限界を越え、肝臓内に脂肪が蓄積して脂肪肝の状態に陥ります。このため、肝機能が低下し、
第一胃で産生された揮発性脂肪酸が十分に利用されないことから血中のケトン体濃度が高くなりケトー
シスとなります。
◎ケトーシスは、大きく分けて 4 つの病型に分けられます。
① 消化器型 (胃腸運動の低下など)
② 神経型 (前がき、興奮、痙攣、斜頸、後駆不全麻痺など)
③ 乳熱型 (意識障害、起立困難等の乳熱様症状)
④ 随伴型 (第四胃変位、肺炎、腎炎など)
※以上のような症状を示さなくても、血中ケトン体が増加している状態を潜在性ケトーシスと
呼び、乳房炎、繁殖障害や第四胃変位を併発する場合が多いことも報告されています。
⇒いずれにしても、食欲不振や乳量の低下(1 日 3kg 以上)を伴いますので、経営的にも大きな打
撃になります。
◎農家での予防対策としては次のことが考えられます。
 分娩前から十分な乾草を与えること。
 分娩の 2 週前から分娩後 1~2 か月の間にプロピレングリコールや糖蜜(1日約
500mL)、もしくはコリンやメチオニン等を給与することが良いとされている。
特にコリンやメチオニンには肝保護・代謝促進の作用が報告されていますので
有用です。なお、これらはそのまま給与しても第一胃で分解されてしまいますの
で、第一胃通過型のもの(バイパスコリン、バイパスメチオニン)を給与してください
(製品によりますが、1日に 25~100g を濃厚飼料に混入、1日約 60~120 円)。
 ビタミン B 群を給与することにより肝機能を助ける。
 気温の上昇も発症の重要な原因となるため、十分に注意する必要がある。
 臨床症状に異常を認めた場合は、早急に診療獣医師の診察を受けることが肝心。
今回のケトーシスの話はこのくらいにして、脂肪肝と関連のある疾病
として、第四胃変位やその他の疾病があります。これらについても順次
掲載していく予定ですので、今後もよろしくお願いします。
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