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イラン日記 11 号(2 月 7 日水曜日) 松尾 慎 稀少資源 前号はやや自分
イラン日記 11 号(2 月 7 日水曜日) 松尾 慎 稀少資源 前号はやや自分の過剰な思いを日記にぶつけてしまったかもしれません。今回は、酒なしでは生きら れない読者の皆さんに捧げます。イランでは、酒の製造、飲酒とも禁止されています。高級ホテルにい たるまで酒の販売はされていません。ですから、台湾では週に 1 日休肝日を持つのが我慢の限界である 私にとって試練のイラン 3 週間となるはずでした。実際、最初の 4 日間は一切、アルコールを口にせず ノン・アルコール・ビールで凌ぎました。しかし、実は 5 日目にある方のお宅でビールをいただく機会 に恵まれました。どんな関係の誰とか詮索しないで 下さい。あくまでも、非合法的な行為なのですから。 そして、帰りにその方は、ウイスキーを持たせてく れました。それが左の写真の右のペットボトルです。 どうしてペットボトルかというと、もしウイスキー の瓶であれば、そのままゴミ箱に捨てることができ ないのです。粉々に砕いてそうとは分からないよう にして捨てなければなりません。ペットボトルなら 飲み終わったあと水で洗って匂いを消して捨てれ ばいいというわけです。だいたい 500ml のボトル の半分ぐらいまで入ったものをいただきました。そして、9 日間が経過しましたが、まだこれだけ残し ています。飲み方は、ノン・アルコール・ビールかお湯に目薬をたらす程度入れて飲んでいます。稀少 な資源なのです。普段なら 2 日間ほどで飲んでしまう量をここまで大切に飲んでいるのです。 そして、左側のボトルはワインです。これは、昨日、別のある方からいただきました。何と自家製ワ インなのです。イランは元々、イスラム革命(1979 年)以前は、酒が合法化されていました。その当 時から自家製ワインを造っていた人が少なくなかったそうです。作り方ですが、イランで採れるある種 類のブドウを何キロも買って、皮ごとつぶして大きな入れ物に入れて水を足して日の当たるところに置 いておくと自然にワインになるのだそうです。このワインもそうやって造られたそうです。味はかなり いけます。しかし、このワインもまたほんの少しずつ味わって飲まなければなりません。幸い、つまみ は豊富です。チーズ類も安価ですし、ナッツ類も多様な酒類があります。 ところで、酒の流通経路ですが、様々な情報を耳にしました。キリスト教徒であるアルメニア系の住 民が関わっているという話、また、トルコ辺りから流れてきているという話も聞きます。陸路で入って くるわけで、当然、国境を越えています。個人が少量持ち込むならまだしも、商売として成り立ってい るわけですから、国境通過に際し、何らかのからくりがあるとしか思えません。さらに、イラクのサダ ム・フセイン政権が崩壊した際に、混乱するイラクから大量の物資がイランに格安で輸入され、酒類も その中に入っていたとの情報も耳にしました。イラン人のどれぐらいの割合の人が飲酒するのかは分か りませんが、会社ぐるみによる酒類の購入という、驚くような話も関係している人から直接、聞きまし た。ヤミで酒類を購入している人によると、ビール 500ml 缶が 1 缶約 5 ドル、ウイスキー1 本が 20 ド ルから 30 ドルということです。ビールがかなり高いのは、結局、アルコール度数の問題というより輸 入する際の容積と重量の問題なのでしょう。 まさに上に法律あれば、下に対策ありという話でした。