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ホルモンによるアマゴ性転換

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ホルモンによるアマゴ性転換
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ホルモンによるアマゴ性転換
要旨
アマゴのオスに雌性ホルモン投与をすることによって、アマゴの血液にどのような影響がおこるか
タンパク質に重点をおき研究を進めていく。
アマゴのホルモン投与を通じて、どのような環境的要因で体質に効率的な変化が生まれるのかを調
査した。方法として3日に一度のペースで性ホルモンの投与をし、アマゴの血清を電気泳動にかけ、
タンパク質を観察した。
その結果メス特有のタンパク質がホルモンを投与したオスから見つかった。
よって実験から私たちはアマゴの性は変化させることができると考えた。
本実験がアマゴの養殖産業にほんの少しでも力になれることをねらって研究に取り組んでいく。
1. 目的
アマゴのオスに雌性ホルモン投与したことによる血液中のタンパク質の変化を探る。
2. 使用した器具・装置など
(1) ホルモン溶液
17β‐エストラジオール(E2)
プロピレングリコール
純水
(2) 血清採取に使用した器具
注射器
マイクロチューブ
マイクロピペット(20‐200μml )
小型微量遠心器(チビタン)
(3) 2×サンプルバッファー調整用の薬品・器具
泳動バッファー機材
0.25M Tris-HCL
ラウリル硫酸ナトリウム
2‐メルカプトエタノール
グリセリン
1%BPB溶液
純水
マイクロピペット(2‐20μl)
メスシリンダー
ビーカー
電子上皿てんびん
ホルモン注射
キムワイプ、etc………
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(4) 泳動バッファー作成に使用した薬品・器具
EzRUN(Tris…30.3g Glycine…144.1g SDS…10g)
純水・ビーカー・メスシリンダー
(5) 脱色液作成に使用した薬品・器具
氷酢酸(純度 98%以上の酢酸)
メタノール
純水
ビーカー・メスシリンダー
(6) 電気泳動用の薬品・器具
サンプルバッファー
1%BPB 溶液
タンパク質分子量マーカー
泳動バッファー
染色液
C-PAGEL(濃度 5-20%)
純水
アマゴの血液採取
マイクロチューブ(1.5ml)
0.5mlPCR チューブ
マイクロチューブラック(1.5ml/0.2ml 用)
煮沸用フローティングラック(穴をあけた発泡スチロール)
ミニシェーカー(振とう器)
Compact PAGE(泳動機)
フライ返し・コンロ・鍋
3. 研究・実験の手順
(1) ホルモンの投与・血液の採取
アマゴを素早く取り出し、ホルモン2mlを注射器で腹部に斜めから注入した。この作業を約三日
に一度のペースで行った。血液の採取は腹側から注射器を射した。採取した血液は遠心分離機によ
って遠心分離し血清を採取した。血清は冷凍保存した。
(2) サンプルバッファーの作成
1M-Tris-HCL(6.8)
10ml
10%SDS
40ml
βメルカプトエタノール
12ml
グリセロール
20ml
純水
18ml
1% BPB
数滴
Total
100ml
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(3) 泳動バッファーの作成
EzRun(1 袋)の粉末を約 700ml の純水に溶解した。約 20ml の純水を加え、袋の中に残った粉末を
溶解し、初めにつくった溶液に加えた。粉末を完全に溶解し、1ℓにメスアップした。ふたをできる
容器に保存し、ストック溶液とした。(ストック溶液は 10 倍に薄めて使用した。)
(4) 脱色液の作成
メタノール
250ml
氷酢酸
純水
Total
75ml
675ml
1000ml
(5) 電気泳動の手順
・タンパク溶液の準備
採取した血清にサンプルバッファーを加え、100℃で 5 分間加熱した。
・タンパク溶液の電気泳動
電源部と泳動部を離しておいた。泳動バッファー
を線まで入れた。ゲルプレートを取り出し、
くしの部分をのばした。ゲルプレートの向きに
注意しながら(低いほうを壁に付けた)、泳動部に
取り付けた。泳動バッファーをゲル背面部
に付け足した。2‐10μl ずつマーカーと試料を
流し込んだ。電源部とくっつけて、電気泳動を始めた。
ゲルプレートを泳動部からはずし、
2 枚のガラスの部分をはがした。ミニシェーカーで
揺らしながら染色した。脱色液とキムワイプで色素を
吸収しながらバックグランドの染料を抜いた。
ミニシェイカーでの脱色
OHP シートに挟み、スキャナーやデジタルカメラで記録した。
※遠心分離…遠心分離機を用いて血清と血餅を分ける。
泳動バッファー…緩衝液
(2)、(3)、(4)は先輩方が調合したものを使用した。
4. 結果
アマゴのオスやメスにホルモン注入や血液採取までは行うことが出来たのだが、泳動バッファー後の
着色に失敗し、正確な結果を得ることができなかった。再度ホルモン投与をしたアマゴの育成に失敗し
てしまった。
次ページの図は去年の先輩が成功したものである。私たちが行ったものは、脱色しきれずに青い色が残
ってしまった。よって、先輩がたの結果をふまえて本実験の結果に対する考察を試みた。
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結果を示すゲルプレート
5. 結果に対する考察・わかったこと
実験は自分たちの失敗もあり思うように実験をすることができなかった。
アマゴにホルモンを投与することによってオスには見られないメス特有の反応があらわれた。上の
図に示した矢印の部分はメス特有のタンパク質とバンドが一致していた。このことから、ホルモン
を投与することによってオスがメスに近づいたことが示唆された。
今回の私たちの行った実験も、きちんと脱色が成功しておれば良い結果が出ていた可能性があると
考えた。失敗の原因としては、染色液が濃すぎたためだと分かった。育成に失敗した原因としては、
一匹が死亡したことに気付かず水が汚れてしまったためであった。失敗が多かったため、失敗の原
因について研究を引き継ぐ人たちにアドバイスしたいと思う。
協力 神坂養魚場
(アマゴの提供)
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