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乳幼児に対する薬の飲ませ方 - 川口工業総合病院附属こどもクリニック

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乳幼児に対する薬の飲ませ方 - 川口工業総合病院附属こどもクリニック
乳幼児に対する薬の飲ませ方
川口工業総合病院 小児科
何よりも大切なことは・・・
『ご両親の心構え』です。
「治療に薬は必要なもの」
「きちんと飲まなければ(飲ませなければ)ならないもの」
・・・という気持ちを忘れてはなりません。
様々な‘こつ’は教えてあげられますが、決して「子どもをだまして飲ませる方法」で
はありません。あくまでも「子どもと一緒に上手に飲む方法を探すヒント」なのです。
病気でつらい状態にある子どもは、周囲の状況を極めて敏感に察知しますので、大人が
思うほど簡単にだませませんし、一度でもだまそうとすると両親(や医師や病院)を信頼
しなくなり、薬の形や種類をどのように変えても飲まなくなってしまいます。
「子どもが薬を飲まない(飲めない)んです」という両親の訴えは、すなわち「両親が
子どもに薬を飲ませられない」
、つまり原因の多くは(子どもや薬ではなく)両親にあると
いうことを肝に銘じてください(厳しいようですが・・・)
。
以上を正しくご理解いただいた上で、幾つかの‘こつ’をお教えします。
1.飲ませるタイミングなど
絶対に時間を守るよう医師が指示した薬を除き、かぜ薬や下痢止めや抗生剤などの通常
の診療で処方される薬の多くは厳密に時間を守る必要がありません。ぐっすり寝ているの
であれば起きてからで構いませんし、結果として1回分抜けてしまったとしても、睡眠に
よる体力の回復効果の方がメリットは大きいので問題ありません。
また、高い熱があるときに薬を飲ませるのは当然に難しいことですので、必要なら解熱
剤の座薬なども上手に使って熱が下がったタイミングで飲ませるようにします。
腸炎などで吐き気がある場合も薬が治療のメインではありませんので、腸を休めて水分
が取れるようになってから、ゆっくり飲ませ始めるので十分です。
2.シロップ剤の場合
そのままスポイト(市販されています)
・スプーン・哺乳瓶の乳首(専用品も市販されて
います)などで飲ませます。もちろん、確実に飲める量のミルク(10~20ml 程度/熱湯は
注がないこと)などの液体と混ぜて飲ませても構いません。
なお、1回量を1目盛りや1カップにするために水やシロップで増量していますので、
薬局で相談すると量が少なくなることがあります。
フルーツフレーバーをつけてくれることもありますが、薬によっては思ったような味に
ならないこともありますので、薬局とよく相談してください。
3.粉薬(小児用細粒・ドライシロップなど)の場合
そのまま口に入れて水で飲むのは喉への刺激が強く、相当な年長児でもなかなか難しい
でしょう(大人でもできない人が少なくありません)。
乳児では、少量の水やミルクで練って頬の内側や上顎に塗って授乳します。確実に飲め
る量のミルク(10~20ml 程度/熱湯は注がないこと)などの液体で溶いて飲ませても構い
ません。
幼児では、多くは溶けますので(ドライシロップは特に溶けやすくなっています)、少量
の水やぬるま湯で溶いてジュースのようにして飲ませます。
ただし、ゆっくり溶けてゆっくり吸収するようわざと溶けにくく造ってある顆粒は当然
に溶けませんし、元々が苦みの強い薬のため金平糖のように甘い成分でコーティングして
ある顆粒は溶かそうとして砕いてしまうと苦みが増してしまいますのでご注意ください。
熱さえ加えなければ、茶類・ジュース類・牛乳・ココア・乳酸飲料・イオン飲料・ヨー
グルト・アイスクリーム・ゼリー(専用のゼリーも市販されています)・プリンなどに混ぜ
ても構いませんが、逆に苦みが増す場合もありますので医師や薬剤師の説明をよくお聞き
ください。
練乳やケーキ用あるいは駄菓子として市販されているチューブ入りチョコレートなどで
練るのもお勧めです。
なお、ボツリヌス菌の感染防止のため、1歳未満のお子さんに蜂蜜は禁止です。
<ジスロマック小児用細粒とクラリスドライシロップ>
苦みが増すので、ヨーグルト・乳酸飲料・イオン飲料・ジュースと混ぜてはいけません。
<タミフルドライシロップ>
苦みが増すので、乳酸飲料・バニラアイス・りんごジュースと混ぜてはいけません。
4.それでも飲まないときは・・・
「一緒に飲もうね!」とお母さんが一緒に飲んで見せましょう。子どもが安心して飲む
かもしれません(味も確認できます)
。
最初にそうは書きましたが、「何としてでも飲ませねば!」と両親に力が入りすぎると、
警戒したり恐怖を感じてかえって飲まなくなってしまうこともありますし、病気で子ども
が思ったことができずにいらだっている場合もあります。状態が許せば、ちょっとお散歩
してみたり、遊んでみたり、好きなDVDを見てみたり・・・と、両親も含めて気分転換
してみましょう。
それでもどうしても飲めないときには、
「絶対に治療に必要な薬かどうか」を考え直して
中止するという選択肢もあります。
5.飲めたときには・・・
少しでも飲めたら「ほめてあげること」を忘れないでください。飲めたことがうれしく
なって、きっとその後は上手に飲めるようになることでしょう。
6.吐いてしまったときは・・・
特別に医師が指示した薬を除き、再度飲ませる必要はありません(吸収量が不明なので
過量の危険が生じます)
。飲む回数が決められている薬(例:ジスロマック小児用細粒)は
不足分を追加処方してもらってください。
幼児には「お薬を飲むお約束」をしてお帰しします。まずは信じてあげましょう。
小型の小児用錠剤などのある薬もあります。お気軽に小児科医にご相談ください。
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