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2 報告(PDF文書)

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2 報告(PDF文書)
別 紙 第1
報
告
本 委 員会 は 、 昨 年 9 月 18日、 地 方 公 務 員 法 の 規定 に 基 づ き 、 職 員 の給 与 等
に 関 する 報 告 を 行 っ た が 、そ の 後 引 き 続 き 、 本市 職 員 の 給 与 等 の 実態 及 び 市
内 民 間事 業 所 の 従 業 員 の 給与 等 職 員 の 給 与 を 決定 す る 諸 条 件 に つ いて 調 査 研
究 を 行っ て き た 。
そ の 結果 の 概 要 を 次 の と おり 報 告 す る 。
1
本市 職 員 の 給 与
本委員会は、本市職員(技能業務職員及び企業職員を除く。以下同
じ 。 )の 給 与 等 の 実 態 を 把握 す る た め 、 本 年 4月 1 日 を も っ て 「 平成 26年
広 島 市職 員 給 与 等 実 態 調 査」 を 実 施 し た 。
本 市 職員 は 、 従 事 す る 職 務 の 種 類 に 応 じ 、 行 政職 、 消 防 職 、 教 育 職及 び
医 療 職の 4 種 類 7 給 料 表 の適 用 を 受 け て お り 、調 査 に よ る と 、 そ の職 員 数
は 、 7,383人 で あ る 。 こ の う ち 、 民 間 給 与 と の 比 較 を 行 っ て い る 行 政 職 給
料 表 適 用 職 員 は 、 5,336人 で あ り 、 そ の 平 均 給 与 月 額 等 は 、 次 表 の と お り
で あ る。
項 目
内 容
人 員
平 給
料
均
給
337,579 円
扶
養
手
当
8,728 円
地
域
手
当
31,982 円
計
378,289 円
そ の 他 の 手 当
16,316 円
計
394,605 円
小
与
5,336 人
月
額
平
均
年
齢
42.9 歳
項 目
平 均
経 験
内 容
年 数
20.9
年
平 均 扶 養 親 族 数
0.85
人
男
61.3
%
女
38.7
%
男 女 別 構 成 比
学
歴
別
構
成
比
-1-
大
学
卒
66.1
%
短
大
卒
16.8
%
高
校
卒
17.1
%
中
学
卒
0.0
%
2
民間 給 与 の 調 査
本 委 員会 は 、 本 市 職 員 の 給与 と 民 間 給 与 と の 精確 な 比 較 を 行 う た め、 人
事 院 、 広 島 県 人 事 委 員 会 等 と 共 同 し て 「 平 成 26年 職 種 別 民 間 給 与 実 態 調
査 」 を実 施 し た 。
こ の 調査 は 、 企 業 規 模 50人以 上 で 、 か つ 、 事 業所 規 模 50人 以 上 で ある 市
内 の 567の 民 間事 業 所 の うち か ら 、 層 化 無 作 為抽 出 法 に よ っ て 抽 出し た 176
の 事 業所 に つ い て 行 っ た もの で あ り 、 公 務 の 行政 職 と 類 似 す る と 認め ら れ
る 事 務・ 技 術 関 係 22職 種6,412人 及び 医 療 関 係、 教 育 関 係 等 54職 種453人 に
つ い て、 給 与 改 定 の 有 無 や賃 金 カ ッ ト 等 の 有 無に か か わ り な く 、 本 年 4 月
分 と して 個 々 の 従 業 員 に 実際 に 支 払 わ れ た 給 与額 を 実 地 に 調 査 し た。 ま た 、
諸 手 当及 び 賞 与 な ど の 特 別給 の 支 給 状 況 等 に つい て も 調 査 を 行 っ た。
こ れ らの 調 査 項 目 に 加 え て 、 各 企 業 に お け る 給与 改 定 の 状 況 等 に つい て
詳 細 に調 査 を 行 っ た 。
な お 、民 間 企 業 の 組 織 形 態 の 変 化 に 対 応 す る ため 、 本 年 調 査 か ら 、基 幹
と な る役 職 段 階 ( 部 長 、 課長 、 係 長 、 係 員 ) が置 か れ て い る 民 間 事業 所 に
お い て 職 責 が 、 ① 部 長 と 課長 の 間 に 位 置 付 け られ る 従 業 員 、 ② 課 長と 係 長
の 間 に位 置 付 け ら れ る 従 業員 、 ③ 係 長 と 係 員 の間 に 位 置 付 け ら れ る従 業 員
に つ いて も 個 人 別 の 給 与 月額 等 を 把 握 す る こ とと し た 。
本 年 の「 職 種 別 民 間 給 与 実 態 調 査 」 の 調 査 結 果は 、 次 の と お り で ある 。
(1) 給与 月 額
本 年 4月 の 事 務 ・ 技 術 関 係職 種 等 の 平 均 給 与 月額 は 、 参 考 資 料 第 12表
( 63頁) の と お り で あ る 。
-2-
(2) 初 任 給
民 間 にお け る 新 規 学 卒 者 の本 年 4 月 の 初 任 給 は、 参 考 資 料 第 11表 (62
頁 ) のと お り で あ る 。
(3) 家 族 ( 扶 養 ) 手 当
民 間 にお け る 家 族 手 当 の 支給 状 況 は 、 参 考 資 料第 16表 ( 85頁 ) の とお
り で ある 。
(4) 通勤 手 当
民 間 にお け る 交 通 用 具 使 用者 に 係 る 通 勤 手 当 の支 給 状 況 は 、 参 考 資料
第17表 及 び 第18表 ( 86頁 )の と お り で あ る 。
(5) 特 別 給
昨 年 8月 か ら 本 年 7 月 ま での 1 年 間 に お い て 、民 間 事 業 所 で 支 払 われ
た 賞 与等 の 特 別 給 の 支 給 状況 を 調 査 し た 結 果 は、 第 1 表 に 示 す と おり で
ある。
第1表
民 間 に お ける 特 別 給 の 支 給 状 況
区
項
分
目
下半期
上半期
下半期
上半期
下半期
上半期
平均所定内給与月額
特 別 給 の 支 給 額
特別給の支給割合
年
間
の
平
(A1)
(A2)
(B1)
(B2)
(B1/A1)
(B2/A2)
均
事務・技術等
従
業
員
技能・労務等
従
業
員
381,858 円
382,260 円
783,382 円
801,824 円
2.05 月 分
2.10 月 分
270,194 円
269,154 円
467,477 円
486,032 円
1.73 月 分
1.81 月 分
4.11
(注)1
月分
下 半 期 と は 平 成 25年 8 月 か ら 平 成 26年 1 月 ま で 、 上 半 期 と は 同 年 2 月 か ら 7 月 ま で の
期間をいう。
2 年間の平均は、特別給の支給割合を本市職員の人員構成に合わせて求めたものである。
備考
本 市 職 員 の 場 合 、 現 行 の 年 間 支 給 月 数 は 、 平 均 で 3.95月 で あ る 。
-3-
(6) 給 与 改 定 の 状 況 等
民 間 にお け る 本 年 の 給 与 改定 の 状 況 及 び 定 期 昇給 の 実 施 状 況 は 、 第 2
表 及 び第 3 表 に 示 す と お りで あ る 。
第2表
民 間 に お ける 給 与 改 定 の 状 況
項目
役職 ・
段階 ・
ベースアップ
実施
ベースアップ
中止
%
係
ベースアップ
の慣行なし
ベースダウン
%
%
%
員
23.7
15.8
0.0
60.5
課 長 級
19.2
14.6
0.0
66.2
(注) ベースアップ慣行の有無が不明及びベースアップの実施が未定の事業所を除いて集計した。
第3表
民 間 に お ける 定 期 昇 給 の 実 施 状況
項目
定期昇給
定期昇給
定期昇給実施
定期昇給 制度なし
役職 ・ 制度あり
増 額 減 額 変化なし 中 止
段階 ・
%
%
%
%
%
%
%
係
員
91.9
89.5
30.9
3.4
55.2
2.4
8.1
課 長 級
82.7
80.2
25.5
2.6
52.1
2.5
17.3
(注) 定期昇給の有無が不明、定期昇給の実施が未定及びベースアップと定期昇給を分離すること
ができない事業所を除いて集計した。
-4-
3
本市 職 員 の 給 与 と 民 間給 与 と の 比 較
本 委 員会 は 、 職 員 給 与 等 実態 調 査 及 び 職 種 別 民間 給 与 実 態 調 査 の 結果 に
基 づ き、 本 市 職 員 に あ っ ては 行 政 職 ( 一 般 事 務・ 技 術 職 ) 、 民 間 の従 業 員
に あ って は こ れ と 類 似 す ると 認 め ら れ る 事 務 ・技 術 関 係 職 種 の 者 につ い て 、
職 種 、役 職 段 階 、 年 齢 等 の給 与 決 定 要 素 を 同 じく す る と 認 め ら れ る者 同 士
の 本 年4 月 分 の 給 与 額 を 対比 さ せ 、 精 密 に 比 較 ( ラ ス パ イ レ ス 方 式) し た 。
そ の 結果 は 、 第 4 表 に 示 すと お り で あ り 、 本 年は 、 民 間 給 与 が 本 市職 員
の 給 与 を 1 人 当 た り 平 均 961円 ( 0.23% ) 上 回 っ て い る こ と が 明 ら か と な
った。
第4表
本 市 職 員 の給 与 と 民 間 給 与 と の較 差
①-②
民 間 給 与 ①
本市職員の給与 ②
較差 ①-②(
×100)
②
414,120
(注)
円
413,159
円
0,2961
円
( 0.23
本市職員、民間の従業員ともに本年度の新規学卒の採用者は含まれていない。
-5-
%)
4
国家 公 務 員 の 給 与 と 本市 職 員 の 給 与 と の 比較
総 務 省の 平 成 25年 地 方 公 務員 給 与 実 態 調 査 に よる と 、 国 の 行 政 職 俸給 表
(一 )の適 用 職 員 の 俸 給 月 額と こ れ に 相 当 す る 本市 の 一 般 行 政 職 の 給料 月 額
と を 、学 歴 別 、 経 験 年 数 別に ラ ス パ イ レ ス 方 式に よ り 対 比 さ せ て 比較 す る
と 、 国家 公 務 員 の 指 数 を 100と し た場 合 の 本 市職 員 の 指 数 は 108.1で あ り 、
国家公務員の時限的な(2年間)給与減額支給措置がないとした場合は
99.9であ る 。
5
物価 ・ 生 計 費
本 年 4月 の 消 費 者 物 価 指 数( 総 務 省 統 計 局 ) は 、 昨 年 4 月 に 比 べ 、広 島
市 で は 3.1%上 昇 し て お り 、 全 国 で も 3.4% の 上 昇 とな っ て い る 。
ま た 、家 計 調 査 ( 同 局 ) にお け る 本 年 4 月 の 広島 市 の 全 世 帯 の 消 費支 出
は 、 参考 資 料 第 22表 (90頁) の と お り で あ る 。
6
人 事 院 の 給 与 等 報 告 及び 勧 告 の 概 要
人 事 院は 、 本 年 8 月 7 日 、国 家 公 務 員 法 、 一 般職 の 職 員 の 給 与 に 関す る
法 律 等の 規 定 に 基 づ き 、 一般 職 の 職 員 の 給 与 等 及 び 公 務 員 人 事 管 理に つ い
て 報 告し 、 あ わ せ て 給 与 の改 定 に つ い て 勧 告 を 行 っ た 。
な お 、給 与 勧 告 の 骨 子 に つい て は 7 頁 か ら 9 頁ま で 、 公 務 員 人 事 管理 に
関 す る報 告 の 骨 子 に つ い ては 10頁 の と お り で ある 。
-6-
7
むすび
( 1 )給 与 の 改 定
本市職員の給与の決定に関係ある基本的な諸条件は、以上報告したと
お り であ る 。
給与勧告制度は、労働基本権制約の代償措置として設けられたもので
あり、職員の給与水準と民間の給与水準とを均衡させること(民間準
拠)を基本にして、公務員給与について適正な水準を維持確保する機能
を 有 して い る 。
本 年 に お い て は 、 前記 3 の と お り 、 本 市職 員 の 給 与 が 民 間 給与 を 下 回
る こ とと な っ た こ と か ら 、本 委 員 会 で は 、 公 民較 差 ( 0.23% ) を 解消 す
る た め、 民 間 事 業 所 の 状 況等 を 勘 案 し 、 本 市 職員 の 実 態 に 応 じ て 、給 料
表 又 は諸 手 当 を 改 定 す る こと に よ り 、 本 市 職 員の 月 例 給 を 引 き 上 げる こ
と が 適当 で あ る と 判 断 し た。
こ の た め 、 給 与 改 定に 当 た っ て は 、 人 事院 勧 告 に お け る 国 家公 務 員 の
改 定 状況 を 踏 ま え 、 行 政 職 給 料 表 適 用 職 員 の 給与 に つ い て 、 前 述 の民 間
給 与 との 較 差 を 解 消 す る 措 置 を 講 ず る と と も に、 他 の 給 料 表 適 用 職員 の
給 与 につ い て も 、 行 政 職 給 料 表 適 用 職 員 と の 均衡 を 図 る 措 置 を 講 ずる 必
要 が ある 。
ま た 、 本 市 職 員 の 期末 ・ 勤 勉 手 当 の 年 間支 給 月 数 が 民 間 に おけ る 特 別
給 の 年間 支 給 月 数 を 0.16月下 回 っ て い る こ と から 、 本 委 員 会 で は 、民 間
における支給状況に見合うよう、本市職員の期末・勤勉手当を年間で
0.15月分 引 き 上 げ る こ と が適 当 で あ る と 判 断 した 。
( 2 )給 与 制 度 の 総 合 的 見直 し
人 事 院は 、 本 年 の 人 事 院 勧告 に お い て 、 地 域 間の 給 与 配 分 の 見 直 し、
世 代 間の 給 与 配 分 の 見 直 し及 び 職 務 や 勤 務 実 績に 応 じ た 給 与 配 分 の実 現
-11-
を 内 容と す る 「 給 与 制 度 の総 合 的 見 直 し 」 を 行う よ う 勧 告 し た 。
こ の 勧告 は 、
①
特に民間賃金の低い地域を中心に公務員給与が高いのではないか
等 の 指摘 が 見 ら れ る こ と
②
国家公務員の職員構成の高年齢化や今後の公的年金の支給開始年
齢の段階的な引上げに伴い、雇用と年金の接続を図ることが求めら
れ て い る こ と 等 を 踏 ま え 、 50歳 台 後 半 層 の 給 与 水 準 の 見 直 し 等 を 行
う 必 要が あ る こ と
③
公務組織の特性、円滑な人事運用の要請等を踏まえた適正な処遇
を実現することを通じて、公務に必要な人材を確保し、組織の効率
的 な 運営 を 図 っ て い く 必 要が あ る こ と
か ら 行わ れ た も の で あ る 。
また、総務省においては、地方公務員の給与について、「地方公務
員の給与制度の総合的見直しに関する検討会」が設置され、現在議論
が 行 われ て い る 。
本市においても、本市の実情に即した給与制度の構築に向けて、本
年の人事院勧告の上記内容や「地方公務員の給与制度の総合的見直し
に 関 する 検 討 会 」 の 報 告 内容 を 注 視 し て い く 必要 が あ る 。
( 3 )高 齢 層 職 員 の 昇 給 ・昇 格 制 度 の 改 正
国 に お い て は 、 50歳 台 後 半 層 に お け る 給 与 水 準 の 上 昇 を 抑 制 す る た め
に 、 昇 格 に つ い て は 、 平 成 25年 1 月 1 日 か ら 人 事 院 規 則 の 改 正 に よ り 、
一定の級以上に昇格する場合には最高号俸を含む高位の号俸から昇格
し た 場 合 の 俸 給 月 額 の 増 加 額 が 縮 減 さ れ 、 昇 給 に つ い て は 、 55歳 を 超
え る 職 員 に つ い て 、 法 律 の 改 正 に よ り 、 平 成 26年 1 月 1 日 か ら 標 準 の
勤務成績ではこれまで2号俸の昇給をしていたのを昇給しないことと
-12-
さ れ た。
さらに、本年の人事院勧告においては、国家公務員の職員構成の高年
齢化や今後の公的年金の支給開始年齢の段階的な引上げに伴い、雇用
と 年 金 の 接 続 を 図 る こ と が 求 め ら れ て い る こ と 等 を 踏 ま え 、 50歳 台 後
半 層 の給 与 水 準 の 見 直 し 等を 行 う 必 要 が あ る と指 摘 さ れ て い る 。
本市の高齢層職員の昇給・昇格制度の改正については、一昨年より続
けて言及しており、国の上記改正の趣旨等を踏まえ、本市の職員構成
等の実情や民間、他の地方公共団体における状況を考慮しながら、検
討 し てい か な け れ ば な ら ない 。
( 4 )住 居 手 当
平 成 21年 の 人 事 院 勧告 を 受 け 、 国 は 平 成 21年 12月 か ら 自 宅 に係 る 住 居
手 当 を廃 止 し 、 平 成 26年 4月 時 点 で は 政 令 指 定都 市 20市 の う ち 15市が 自
宅 に 係る 住 居 手 当 の 廃 止 を決 定 し て い る 。
本 市 に お い て は 、 平 成 26年 4 月 1 日 か ら 経 過 措 置 期 間 を 設 け た 上 で
住居手当について、自宅に係る手当の額を引き下げるとともに、借家
に 係 る手 当 の 支 給 限 度 額 を引 き 上 げ た 。
住居手当については、現在経過措置の期間中ではあるが、自宅に係
る手当については、今後とも国や他の政令指定都市等の支給状況等を
十分勘案しながら、廃止も見据えて更に検討を続けていく必要がある。
( 5 )人 事 管 理 に 関 す る 課題
近 年 、 社 会 経済 情 勢 の 変 化 に 伴 って 、 行 政 課 題 も 年 々多 様 化 ・ 複 雑 化
してきている。これらの課題に対して、組織全体としての取組が求めら
れることはもちろんのこと、任命権者、管理監督者、職員一人一人がそ
れぞれの立場で適切に対応し、全ての職員が高い士気を持ちつつ、効率
-13-
的 ・ 効果 的 に 職 務 を 遂 行 して い く こ と が 求 め られ る 。
そ の た め 、 本市 の 実 情 を 鑑 み 、 特に 次 の 点 に つ い て 検討 を 進 め 、 時 代
の 変 化に 対 応 し た 人 事 管 理を 行 っ て い く 必 要 があ る 。
ア
仕事 と 生 活 の 調 和 ( ワー ク ・ ラ イ フ ・ バ ラン ス の 実 現 に 向 け て)
年 齢 や家 庭 の 状 況 な ど 、 それ ぞ れ の ラ イ フ ス テー ジ に 応 じ た 様 々 な
生き方を選択できる勤務環境の整備は、多様な人材の確保・活用や
質の高い市民サービスの提供、公務能率の向上、職員の心身の健康
保 持 のた め 有 用 で あ る 。
こ れ まで 本 市 で は 、 仕 事 と家 庭 の 両 立 支 援 に 係る 特 別 休 暇 や ボ ラ ン
ティア休暇の制度の整備・拡充を図るとともに、職員への制度の周
知や管理監督者の意識啓発の研修等によって、これらの制度が利用
しやすい環境づくりを進めてきた。この結果、育児短時間勤務制度
の利用者や育児休業を取得する男性職員が増加するなど、各種支援
制度の利用実績が向上し、仕事と生活の調和に対する意識の定着・
向 上 は着 実 に 図 ら れ て き てい る と 考 え ら れ る 。
ま た 、平 成 22年 度 に 策 定 され た 「 広 島 市 職 員 子育 て 支 援 プ ラ ン 」 で
は、時間外勤務の削減や定時退勤日の実施率の向上、年休取得日数
の 増 加な ど の 目 標 を 掲 げ 、取 組 を 進 め て い る 。
近 年 、女 性 職 員 の 割 合 が 高ま る 中 で 、 こ う し た取 組 を 通 じ 職 場 環 境
の整備を行うことは女性職員の能力発揮の面からも必要なことであ
る。
今 後 とも 、 管 理 監 督 者 に おい て は 、 職 場 内 で 事務 処 理 の 相 互 支 援 体
制を整えるとともに、自ら率先して休暇を取得する等、各種支援制
度を利用しやすい良好な職場風土の醸成及び職員の協力関係の構築
に 取 り組 ま な け れ ば な ら ない 。
-14-
職 員 が仕 事 を 含 め た 生 活 全般 の 質 を 高 め 、 ひ いて は 市 民 サ ー ビ ス の
向上につなげていけるよう、ワーク・ライフ・バランスの実現に向
け た 環境 づ く り に こ れ ま で以 上 に 取 り 組 む 必 要が あ る 。
イ
時間外勤務の縮減
時 間 外 勤 務 の 縮減 は 、 職 員 の 心 身の 健 康 保 持 、 公 務 能率 の 向 上 、 労
働 意 欲や 活 力 の 向 上 を 図 る観 点 か ら 、 極 め て 重要 な 課 題 で あ る 。
本 市 で は 、 時 間外 勤 務 の 縮 減 に 向け て 、 事 前 命 令 の 徹底 、 週 休 日 の
振 替 の推 進 、 定 時 退 勤 の 推進 な ど 様 々 な 取 組 を行 っ て き た 。
し か し な が ら 、1 人 当 た り の 月 平均 時 間 外 勤 務 時 間 数や 長 時 間 の 時
間 外 勤務 を 行 っ た 職 員 数 は大 幅 に 増 加 し て い る。 ま た 、 部 署 に よ って
は 長 時間 の 時 間 外 勤 務 が 恒常 化 し て い る 状 況 があ る 。 過 度 な 時 間 外勤
務 は 、職 員 の 心 身 の 健 康 に与 え る 影 響 が 大 き く、 職 員 の 職 務 遂 行 に対
す る 意欲 の 維 持 の 観 点 か らも 、 そ の 縮 減 は 喫 緊の 課 題 で あ る 。
時 間 外 勤 務 の 縮減 は 、 ワ ー ク ・ ライ フ ・ バ ラ ン ス の 実現 や メ ン タ ル
ヘ ル ス対 策 の 推 進 に も 大 いに 関 連 す る こ と か ら、 現 状 を 踏 ま え 、 組織
を 挙 げて 取 り 組 ま な け れ ばな ら な い 。
任 命 権 者 に お いて は 、 業 務 量 に 応じ た メ リ ハ リ の あ る人 員 配 置 を 行
う こ とは も ち ろ ん の こ と 、 局 長 等 が 、 自 ら の 組織 内 の 時 間 外 勤 務 の現
状 を 把握 し た 上 で 、 各 所 属長 に 対 し て 時 間 外 勤務 の 縮 減 に つ い て の 有
効 な 方策 を 講 じ る よ う 命 令を 行 う こ と が 重 要 であ る 。 命 令 を 受 け た所
属 長 は、 所 属 の 業 務 の 内 容や 進 捗 状 況 を 把 握 する と と も に 、 長 時 間の
時 間 外勤 務 に つ い て 所 属 内で ミ ー テ ィ ン グ の 実施 に よ り そ の 要 因 を分
析 し 、対 応 策 を 実 施 す る など 、 時 間 外 勤 務 を 縮減 す る こ と を 自 ら の職
務 と して 再 認 識 し 取 り 組 む必 要 が あ る 。
加 え て 、 職 員 が日 頃 か ら 時 間 外 勤務 は や む を 得 な い と考 え て し ま わ
-15-
な い よう に 意 識 を 共 有 す る こ と や 、 時 間 外 勤 務の 縮 減 に 職 員 が 一 丸と
な っ て前 向 き に 取 り 組 ん でい く 職 場 の 風 土 づ くり が 不 可 欠 で あ る 。
時 間 外 勤 務 が 過度 な も の と な ら ない よ う 、 よ り 実 効 性の あ る 取 組 を
行 っ てい く よ う 期 待 す る 。
ウ
メン タ ル ヘ ル ス 対 策 の 推 進
職 員 が心 身 と も に 健 康 で その 能 力 を 十 分 に 発 揮し 職 務 に 専 念 す る こ
とは、組織活力の維持・向上や市民への質の高いサービスの提供の
た め に不 可 欠 で あ る 。
近 年 にお い て は 、 長 期 病 休者 の う ち 精 神 疾 患 者が 占 め る 割 合 が 高 ま
っ て お り 、 本 市 で は 平 成 21年 度 か ら 平 成 25年 度 ま で を 計 画 期 間 と す
る 「 広 島 市 職 員 の 心 の 健 康 づ く り 計 画 」 に 引 き 続 き 、 平 成 26年 度 か
ら 平 成 30年 度 ま で を 計 画 期 間 と す る 「 第 2 次 広 島 市 職 員 の 心 の 健 康
づ く り計 画 」 ( 新 計 画 ) を策 定 し た 。
こ の 計画 の 策 定 に 先 立 っ て平 成 25年 度 に 行 わ れた 職 員 ア ン ケ ー ト で
は 、 約 75パ ー セ ン ト の 職 員 が 「 強 い 不 安 や ス ト レ ス 」 を 感 じ て い る
と 回 答 し 、 そ の 原 因 に つ い て は 、 90パ ー セ ン ト を 超 え る 職 員 が 「 仕
事や職場の問題」と回答している。また、約5割の職員が、メンタ
ルヘルス対策を充実するために期待することとして、「同僚や上司
に相談しやすくお互いに協力し合える職場の環境づくり」と回答し
て い る。
メ ン タル ヘ ル ス の 不 調 は 複合 的 な 要 因 で あ る と考 え ら れ る が 、 こ れ
らの回答からも、仕事や職場でのストレスがメンタルヘルス不調の
主な原因であり、解決策として職場環境の改善が有効であると考え
ら れ る。
新 計 画で は 、 平 成 26年 度 から の 主 な 取 組 と し て、 働 き や す い 職 場 環
-16-
境を整え、いつでも気軽に相談でき元気ある職場を構築することを
目的として、個人のストレス状況及び職場環境の状況等を把握する
ための専門機関による職業性ストレスチェックを行い、職場診断を
実施することとしている。このような取組も含め、メンタルヘルス
の不調の原因となり得る時間外勤務やパワー・ハラスメントの相談
件数が近年増加傾向にある現状も踏まえ、組織全体で職員の要望に
応えながら、新計画の「職員一人ひとりが心の健康を保ち、生き生
き と 働け る よ う に す る 。 」と い う 目 標 を 達 成 する こ と を 期 待 す る 。
エ
不祥 事 の 防 止
市 政 を 円滑 に 運 営 す る に 当 たっ て は 、 市 民 の 信 頼が 不 可 欠 で あ る 。
不祥事の発生は、それがたとえ一部の者による行為であっても、公務
全体への信頼を失墜し、行政運営を困難にするばかりでなく、職員全
体 の やり が い や 意 欲 を そ ぐ こ と に も な り か ね ない 。
本 市 では 不 祥 事 の 発 生 の 都 度 、 職 務 上 の 不 祥 事に つ い て は 、 発 生 の
要因を分析し、業務執行手続やチェック体制を見直し、現場に浸透
させるとともに、職務外の不祥事については、服務監理委員会を通
じ て 職員 の モ ラ ル に 関 す る指 導 を 行 っ て い る 。
特 に 飲酒 運 転 に つ い て は 力を 入 れ て 再 発 防 止 に取 り 組 ん で お り 、 所
属長による職員面談や飲酒運転交通事故の被害者遺族を招いた倫理
研 修 を実 施 し て い る 。
しかしながら、職務上・職務外を問わず職員の不祥事は発生して
おり、飲酒運転も根絶されていない。飲酒運転の根絶に向けては、
所属長による面談を継続的に行うとともに、アルコール依存が疑わ
れる職員の把握とアルコール依存対策の研修の実施により、職員一
人一人に飲酒運転をしないという意識の徹底を図り、飲酒運転が起
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き や すい 土 壌 を 一 掃 す る 必要 が あ る 。
毎年不祥事が発生している現状を踏まえ、組織のリーダーには、不
祥 事 を発 生 さ せ な い と い う強 い 意 思 と 法 令 遵 守の 高 い 意 識 が 求 め られ 、
任 命 権者 に お い て は 、 不 祥事 の 防 止 に 向 け て 更に 危 機 感 を 持 っ て 組織
的 に 取り 組 む 必 要 が あ る 。
また、管理監督者は、職場の雰囲気づくりのキーマンとなってコミ
ュ ニ ケー シ ョ ン を 努 め て 図り 、 職 員 が 悩 み 事 を一 人 で 抱 え 込 ま ず 、相
談 し やす い 職 場 環 境 を 構 築す る 必 要 が あ る 。 課長 級 職 員 に つ い て は、
不 祥 事の 未 然 防 止 と 発 生 時の 迅 速 か つ 適 切 な 対応 を 目 的 と し た 「 リス
ク マ ネジ メ ン ト 研 修 」 を 今年 度 か ら 実 施 し て 、各 々 の 職 場 に お け るリ
ス ク の洗 い 出 し を 行 い 、 リス ク 発 生 へ の 対 策 を話 し 合 う こ と と さ れて
い る 。こ の 研 修 で 学 ん だ こと を 活 か し な が ら 、各 職 場 に お け る リ スク
に 対 する 防 止 策 が 実 践 さ れる こ と が 期 待 さ れ る。
不 祥 事の 防 止 に 向 け て は 、職 員 一 人 一 人 が 、 不祥 事 は 絶 対 に 起 こ さ
ないという思いを持って、公私にわたって自己管理することを怠ら
ず 、 市 民 の 信 頼 と 負 託 に 応え て い か な け れ ば なら な い 。
オ
高齢 期 の 雇 用 問 題 へ の対 応
60歳 で 定 年 退 職 と な る 場 合 に 、 公 的 年 金 が 支 給 さ れ ず 無 収 入 と な る
期間が生じることへの対応として、本市においては、昨年度まで定年
後の再就職を希望する職員について、地方公務員法上の再任用によら
ず、公益的法人等の職員や本市非常勤職員等への再雇用を行うことで
対応してきたが、本年度から再任用制度が導入され、これからは本市
に定年後の再就職を希望する職員は、再任用制度によるものとされる
こ と とな っ た 。
再任用制度を円滑に実施していくためには、再任用職員のポストを
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確保しつつ、再任用された職員がその能力と経験を活かせる職場へ配
置されるよう、再任用制度の職員への十分な周知と職員からの希望聴
取 を 適切 に 行 う こ と が 重 要で あ る 。
ま た 、 公 的 年 金 の 支 給 開 始 年 齢 の 段 階 的 引 上 げ も 見 据 え 、 60歳 前
も含めた人事管理全体の見直しや行政事務の執行体制の整備に取り
組 む 必要 が あ る 。
カ
若手 職 員 の 育 成
本市においては、政令指定都市移行により大量採用した職員が定年
退職を迎えており、これに伴い新規採用職員が増加している。豊富な
実務経験を有する職員の減少が見込まれる一方、多くの職場に新規採
用職員が配属されており、この若手職員が職場に溶け込み、市民サー
ビスの維持・向上につながっていくよう組織力を高めていくことが重
要 で ある 。
現在、職員の指導・育成は、日々の業務執行を通じて能力向上を図
る職場研修を中心にして行っており、若手職員の育成を行っていく立
場 の 職員 は 、 職 員 育 成 の 視点 で 業 務 に 取 り 組 まな け れ ば な ら な い 。
また、新規採用職員に対しては、所属長が先輩職員の中から選任し
た指導担当者が1年間にわたりマンツーマンで指導を行う指導担当者
制 度 が設 け ら れ て い る 。
今年度から、指導担当者は人事評価制度における業績評価制度にお
いて新規採用職員の育成に関する目標を必ず立てることとなり、目標
を立てて業務を執行することで、新規採用職員の育成について業務と
し て の位 置 付 け が よ り 明 確に な っ た と い え る 。
さらに、指導担当者制度をより効果的に機能させるためには、指導
担当者の能力の向上が不可欠であり、管理監督者及び指導担当者が制
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度 へ の理 解 を 深 め る た め の取 組 に つ い て 検 討 する 必 要 が あ る 。
今後も新規採用職員をはじめとした若手職員の育成について、育成
を行っていく立場の職員が自覚を持って業務として執り行うことがで
きるよう取組を重ねながら、組織全体で若手職員を育成するという風
土 の 醸成 を 図 っ て い く こ とが 重 要 で あ る 。
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