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第2章 温室効果ガスの削減目標量
第2章 温室効果ガスの削減目標量 −どれだけ削減しなければならないか− 1 温室効果ガスの排出状況 (1)部門別の二酸化炭素の排出状況 本市域からの温室効果ガス全体の排出量のうち、二酸化炭素排出量が約 96%を占めています。その ため、本市の地球温暖化対策では、二酸化炭素の排出抑制が、特に重要になります。 本市域からの二酸化炭素排出量の現状は、1990 年(平成 2 年)の 1,610 万 4 千トンから 2002 年(平成 14 年)には 1,749 万 8 千トンとなり、8.7%増加しています。 ●表 2-1 本市における二酸化炭素排出量(部門別) (単位)千トン‐CO2 部 門 エネルギー転換 1990 年 排出量 構成比 2002 年 排出量 構成比 増減率 220 1.4% 94 0.5% 42.8% 産 業 5,206 32.3% 4,252 24.3% 81.7% 民生(家庭) 2,323 14.4% 3,343 19.1% 143.9% 民生(業務) 2,896 18.0% 4,234 24.2% 146.2% 運 輸 4,858 30.2% 5,331 30.5% 109.7% 廃棄物 601 3.7% 244 1.4% 40.7% 合 計 16,104 100.0% 17,498 100.0% 108.7% ※数値は、四捨五入しているため、合計に一致しない場合があります。 部門別の内訳では、2002 年(平成 14 年)の排出量は、1990 年(平成 2 年)を基準とすると、 民生(家庭) 、民生(業務) 、運輸部門が増加しています。 増加した要因としては、次のようなことが考えられます。 ア 民生(家庭)部門 世帯数の増加、家電製品などの普及により、電力消費量などが増加したこと イ 民生(業務)部門 オフィスや商業施設の床面積の拡大、OA機器の普及により、電力消費量などが増加したこと ウ 運輸部門 自動車の保有台数の増加、大型化により、燃料消費量が増加したこと 4 (千トン‐CO2) 20,000 エネルギー転換 エネルギー転換 産業 15,000 産業 民生(家庭) 10,000 民生(家庭) 民生(業務) 民生(業務) 5,000 運輸 運輸 廃棄物 廃棄物 1990 2002 ◆図 2-1 年 本市における二酸化炭素排出量(部門別) また、本市の部門別構成を全国値と比較しても、本市では民生(家庭) 、民生(業務) 、運輸部門の 占める割合が大きくなっていることが特徴となっています。 その他 2% 産業 24% 運輸 31% 全国 名古屋市 (2002 年) 民生(業務) 24% ◆図 2-2 その他 12% 運輸 21% 民生(業務) 16% 民生(家庭) 19% (2002 年度) 産業 38% 民生(家庭) 13% 本市と全国における二酸化炭素排出構成の比較(部門別) (2)主体別の二酸化炭素の排出状況 二酸化炭素排出量10%削減のためには、市民・事業者・行政の各主体がそれぞれにどれだけ削減す るかという目標を定め、主体ごとに確実に取組をすすめていくことが求められます。 そこで、市民・事業者・行政の主体別に必要削減量を求めた上で、それぞれの排出抑制の取組を進め るため、本計画では、二酸化炭素排出量を主体別に取りまとめ、誰が、どこからどれだけの削減をして いくのかを明確化することとしました。 なお、名古屋市役所自らの事務・事業に伴う排出量は、本計画では、一事業所として「事業者」に含 まれています。 5 ●表 2-2 本市における二酸化炭素排出量(主体別) (単位)千トン‐CO2 主体 市民 1990 年 排出量 活動区分 構成比 増減率 2,351 14.6% 3,371 19.3% 143.4% 自動車(家庭用) 1,366 8.5% 2,046 11.7% 149.8% 276 1.7% 95 0.5% 34.5% 3,993 24.8% 5,512 31.5% 138.1% 220 1.4% 94 0.5% 42.8% 工場等 5,206 32.3% 4,252 24.3% 81.7% オフィス・店舗等(注) 2,868 17.8% 4,205 24.0% 146.6% 自動車(事業用) 2,678 16.6% 2,339 13.4% 87.3% 814 5.1% 946 5.4% 116.2% 325 2.0% 149 0.9% 45.9% 12,111 75.2% 11,986 68.5% 99.0% 16,104 100.0% 17,498 100.0% 108.7% 小 計 電気・ガス事業者 その他の交通機関 廃棄物(事業系ごみ・ 産廃) 小 計 合 2002 年 排出量 家庭生活 廃棄物(家庭ごみ) 事業者 構成比 計 ※ 数値は、四捨五入しているため、合計に一致しない場合があります。 (注)オフィス・店舗等とは、オフィス、店舗、ホテル、学校、病院等の民生(業務)部門全般の建 物を指します。(以下、同じ) (3)温室効果ガス全体の排出状況 本市域からの温室効果ガス全体の排出量の現状は、 二酸化炭素換算で 1990 年 (平成 2 年) の 1,739 万 4 千トンから 2002 年(平成 14年)には 1,824 万トンとなり、4.9%増加しています。 ●表 2-3 本市における温室効果ガス全体の排出量 (単位)千トン‐CO2 部 門 二酸化炭素 1990 年 排出量 構成比 2002 年 排出量 構成比 増減率 16,104 92.6% 17,498 95.9% 108.7% メタン 180 1.0% 121 0.7% 67.0% 一酸化二窒素 207 1.2% 270 1.5% 130.5% HFC(注) 367(注) 2.1% 162 0.9% 44.1% PFC(注) 229(注) 1.3% 123 0.7% 53.7% SF6(注) 307(注) 1.8% 67 0.4% 21.7% 合 計 17,394 100.0% 18,240 100.0% 104.9% ※ 数値は、四捨五入しているため、合計に一致しない場合があります。 (注)HFC、PFC、SF6 の 3 種類は 1990 年の排出量が把握できないため、 1995 年の排出量をおき、合計値(総排出量)を求めました。 6 2 温室効果ガスの将来予測 (1)二酸化炭素排出量の将来予測 地球温暖化防止に関する施策が 2002 年(平成 14 年)の現況どおりに継続した場合、二酸化炭素 排出量は 1990 年(平成 2 年)と比べて、20.6%増加すると予測されます。特に、市民(家庭生活、 自動車) 、事業者(オフィス・店舗等)からの排出量が増加すると予測されます。 ●表 2-4 本市における二酸化炭素排出量の将来予測 (単位)千トン‐CO2 主体 市民 1990 年 排出量 活動区分 2002 年比 増減率 3,371 3,512 149.4% 104.2% 自動車(家庭用) 1,366 2,046 2,300 168.4% 112.4% 276 95 100 36.1% 104.6% 3,993 5,512 5,911 148.0% 107.2% 220 94 170 77.3% 180.8% 工場等 5,206 4,252 4,688 90.1% 110.3% オフィス・店舗等 2,868 4,205 5,099 177.8% 121.2% 自動車(事業用) 2,678 2,339 2,397 89.5% 102.5% その他の交通機関 814 946 1,009 124.0% 106.7% 廃棄物(事業系ご み・産廃) 325 149 153 47.0% 102.5% 12,111 11,986 13,516 111.6% 112.8% 16,104 17,498 19,428 120.6% 111.0% 計 電気・ガス事業者 小 計 1990 年比 増減率 2,351 小 合 2010 年 予測排出量 家庭生活 廃棄物(家庭ごみ) 事業者 2002 年 排出量 計 ※ 数値は、四捨五入しているため、合計に一致しない場合があります。 7 (2)温室効果ガス全体の排出量の将来予測 地球温暖化防止に関する施策が 2002 年(平成 14 年)の現況どおりに継続した場合、温室効果ガス 全体では 1990 年(平成 2 年)と比べて19.0%増加すると予測されます。 ●表 2-5 本市における温室効果ガスの総排出量の将来予測 (単位)千トン‐CO2 温室効果ガス 二酸化炭素 1990 年 排出量 2002 年 排出量 2010 年 予測排出量 1990 年比 増減率 2002 年比 増減率 16,104 17,498 19,428 120.6% 111.0% メタン 180 121 131 72.6% 108.3% 一酸化二窒素 207 270 295 142.7% 109.4% HFC(注) 367(注) 162 583 158.7% 359.7% PFC(注) 229(注) 123 109 47.7% 88.8% SF6(注) 307(注) 67 153 49.9% 230.2% 17,394 18,240 20,699 119.0% 113.5% 合計 ※ 数値は、四捨五入しているため、合計に一致しない場合があります。 (注)HFC、PFC、SF6 の 3 種類は 1990 年の排出量が把握できないため、 1995 年の排出量をおき、合計値(総排出量)を求めました。 8 3 温室効果ガスの削減目標 (1)二酸化炭素の削減目標量 本市域から排出される二酸化炭素排出量を 1990 年(平成 2 年)と比べて 10%削減を達成するた めには、2010 年(平成 22 年)における二酸化炭素排出量を 1,449 万 4 千トンにすることが必要 になります。 2010 年(平成 22 年)における二酸化炭素の予測排出量は、1,942 万 8 千トンであり、目標達成 のためには、493 万 4 千トン削減しなくてはなりません。 本計画では、二酸化炭素排出量の削減に関して、次の考え方に基づき、削減目標を設定します。 目標設定の考え方 次の対策・施策の効果などを、主体別に見込み、主体ごとの目標として示します。 ○国等と連携した施策による行動促進 ・京都議定書目標達成計画の各種対策が本市においても実施されることによる削減効果 ・あいち地球温暖化防止戦略の各種対策が本市においても実施されることによる削減効果 ○本市施策による行動促進 ・二酸化炭素削減に資する本市の既存計画等による削減効果 ・家庭やオフィス・店舗等での一人ひとりの努力として見込むことができる削減効果 ・この計画による追加的な施策による削減効果 ここで設定した目標達成のために、本市は、国の京都議定書目標達成計画や県のあいち地球温暖化防 止戦略などに基づき、全国的、全県的に展開される地球温暖化対策を本市においても着実に実施すると ともに、さらに本市独自の施策をすすめていくこととします。 9 ●表 2-6 主体別の二酸化炭素削減目標量 (単位)千トン‐CO2 主体 2010 年 (内訳) 1990 年 排出量 活動区分 家庭生活 2002 年 排出量 予測 排出量 国等と連 本市施策による 削 減 携した施 行動促進 目標量 策による 既 存 追加的 行動促進 計画等 な施策 対策後 1990 年 2002 年 比 比 増減率 増減率 市民 2,351 3,371 3,512 878 757 26 95 2,634 112.0% 78.1% 1,366 2,046 2,300 463 360 53 49 1,837 134.5% 89.8% 276 95 100 38 0 38 0 3,993 5,512 5,911 1,378 1,117 117 144 220 94 170 8 8 0 0 162 工場等 5,206 4,252 4,688 968 736 232 0 3,720 オフィス・ 店舗等 2,868 4,205 5,099 2,040 1,869 94 自動車(事業 用) 2,678 2,339 2,397 293 176 その他の 交通機関 814 946 1,009 207 廃棄物(事業 系ごみ・産廃) 325 149 153 12,111 11,986 16,104 17,498 自動車(家庭 用) 廃棄物(家庭 ごみ) 小計 電気・ガス 事業者 事業者 小計 合計 62 22.4% 65.0% 4,533 113.5% 82.2% 73.6% 172.1% 71.5% 87.5% 77 3,059 106.6% 72.7% 87 30 2,104 78.6% 90.0% 207 0 0 802 98.6% 84.8% 40 0 40 0 113 34.9% 76.0% 13,516 3,555 2,997 452 107 9,961 82.2% 83.1% 19,428 4,934 4,114 569 251 14,494 90.0% 82.8% ※ 数値は、 四捨五入しているため、 合計に一致しない場合があります。 削減目標量(全体) 493 万 4 千トン 千トン−CO22 千トン−CO 25,000 (8.7%増加) 17,498 20,000 ・市民 (20.6%増加) 19,428 137 万 8 千トン ・事業者 355 万 5 千トン 16,104 基準年比 10%削減目標値 15,000 事業者 事業者 10,000 1,449 万 4 千トン 事業者 事業者 5,000 市民 市民 市民 市民 0 1990 1990 年 排出量 (基準年) 2002 2002 年 排出量 (最新調査) ◆図 2-3 2010予測 2010 年 予測排出量 二酸化炭素排出量と削減目標量 10 2010 年 2010対策後 年 対策後 (2)温室効果ガス全体の削減目標量 本市域の温室効果ガス全体排出量を 1990 年(平成 2 年)と比べて 10%削減を達成するためには、 2010 年(平成 22 年)における温室効果ガス全体の排出量を 1,565 万 5 千トンにすることが必要 となります。 2010 年(平成 22 年)における温室効果ガス全体の予測排出量は、2,069 万 9 千トンであり、 目標達成のためには、504 万 4 千トン削減しなければなりません。 本計画では、温室効果ガス全体の削減に関して、二酸化炭素削減対策をベースとして、次の考え方に 基づき、削減目標を設定します。 目標設定の考え方 (1)の二酸化炭素削減対策を実施し、2010 年(平成 22 年)において、二酸化炭素の削減目標 を達成すること、さらに、廃棄物などの対策による削減量を見込むことにより、温室効果ガス全体の目 標を示します。 ◆表 2-7 温室効果ガス全体の削減目標量 (単位)千トン‐CO2 温室効果ガス 二酸化炭素 1990 年 排出量 2002 年 排出量 2010 年 予測排出量 削 減 目標量 対策後 1990 年比 2002 年比 増減率 増減率 16,104 17,498 19,428 4,934 14,494 90.0% 82.8% メタン 180 121 131 79 52 28.8% 43.0% 一酸化二窒素 207 270 295 40 255 123.2% 94.5% HFC(注) 367 162 583 144 438 119.4% 270.5% PFC(注) 229 123 109 0 109 47.7% 88.8% SF6(注) 307 67 153 53 100 32.7% 150.9% 17,394 18,240 20,699 5,250 15,449 88.8% 84.7% 合計 ※ 数値は、四捨五入しているため、合計に一致しない場合があります。 (注)HFC、PFC、SF6 の 3 種類は 1990 年の排出量が把握できないため、1995 年の排出量をおき、 合計値(総排出量)を求めました。 11