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プログラムガイドブック - 公益社団法人日本バリューエンジニアリング協会
第47回VE全国大会 プログラムガイドブック 期 日:2014年10月28日(火)~ 29日(水) 会 場:アルカディア市ヶ谷・私学会館 主催 後援 一般社団法人日本建設業連合会 日本インダストリアル・エンジニアリング協会 NPO法人日本TRIZ協会 日本創造学会 2階レストランのご案内 第1日目プログラム 10月28日(火) 1 第2日目プログラム 10月29日(水) コーヒーサービスのご案内 プログラムが行われている時間帯、3階と5階のロビーにコーヒーコーナー を設置いたします。セルフサービスでご自由にお召し上がりいただけますの で、プログラムの合間の気分転換に、昼食後のご歓談に、コーヒーコーナー をぜひご利用ください。(発表会場への持ち込みはご遠慮ください) 2 ※海外発表は同時通訳でお聞きいただけます。 ■ 3階フロアは禁煙です。タバコは7階の喫煙コーナーでお願いします。 ■ ランチタイム、2階のレストランはたいへん混雑します。会場周辺にも飲食店が多数 ありますので、こちらもご利用ください。 ■ 許可を受けていない方の写真・ビデオ撮影、録音はご遠慮ください。 ■ 電話のお呼び出しはお受けできません。連絡事項は受付横の伝言板に掲示します。 ■ 携帯電話は電源をお切りいただくか、マナーモードへの切り替えをお願いします。 ■ お荷物は椅子に置かず、1階のクロークへお預けください。 3 協会顕彰 顕彰規程に基づき、本会の事業やVEの発展、またはVEに関する研究開発や普及活動で顕著な功績のあった 方やグループをVE全国大会で表彰しています。本年度の顕彰者は以下の方々です。 《 VE経営者賞 》 今井 一基 氏 〔マツダ株式会社 常務執行役員〕 2007年の購買担当役員就任以来、同社のVE推進部門を指導し、VE人材の養成に努 めるとともに技術力の向上にも大きく寄与された。また、2010年から2012年にかけて は西日本支部の支部長として、2012年からは本会の顧問としてVEの普及と発展に多 大な貢献があった。 村橋 元 氏 〔株式会社ユニオン 代表取締役会長 VEL〕 VEの信奉者であり、社長時代の2002年から全社員にVEリーダー(VEL)資格取 得を推奨。現在では村橋氏をはじめ全社員の80%以上がVELの資格を有し、全社を 挙げてVEに取り組んでいる。2007年7月から2012年6月までの5年間、中部支部 (現・西日本支部東海地区)の運営委員としてVEの普及活動と会員拡大にも尽力。 《 普及功労賞 》 江頭 誠 氏 〔三菱電機株式会社 本社生産技術部 専任 VEL〕 2007年から今日まで、同社のVE推進部門の代表者として全社のVE活動を牽引し、 VEの普及推進とVE技術の発展に大きく貢献した。この間、VEスペシャリスト (VES)、CVS(Certified Value Specialist)資格の取得推進の基盤づくりに 尽力し、多くのVE資格者をプロモーター的な立場で育成した。 小川 久信 氏 〔元・株式会社IHI 技術開発事業本部 品質保証部 CVS〕 1999年よりVE誌編集委員会の委員として「バリュー・エンジニアリング」誌の編集 企画に参画。2008年からは同委員会の副委員長として新企画の立案・推進にリーダー シップを発揮し、VES、CVS向け情報誌としての質的充実に大きく貢献した。現 在は中小企業へのVE普及にも精力的に取り組んでいる。 荻野 祐一 氏 〔須山建設株式会社 設計・調達ブロック 生産システムチーム チーフスペシャリスト VES〕 1999年のVE導入以来、須山建設及びグループ会社、協力会社でVEリーダーの養成 と建設作業所でのVE活動を積極的に推進。協会関係では1999年から現在までの15年 間、中部支部(現・西日本支部東海地区)の建設VE研究会に参加。2時間VE手法 の開発や適用拡大に中心的な役割を務めた。その取り組みは、静岡県の建設業界にお けるVE普及や会員獲得にも大きく貢献した。 鈴木 隆 氏 〔マツダ株式会社 原価企画本部 コスト革新推進部 VEセンター 参事 VEL〕 2010年12月から現在まで、西日本支部(現・西日本支部中四国・九州地区)の運営委 員として西日本VE大会などの企画・運営を中心的な立場で推進し、支部活動の活性 化に大きく貢献した。社内では新入社員のVE入門コースを担当するほか、職務であ るテアダウン活動を通じてVE案件の抽出を行うとともに、中堅技術者のVEスキル 向上に取り組んでいる。 4 高橋 均 氏 〔日立建機株式会社 ライフサイクルサポート事業本部ライフサイクルサポート推進室長 CVS〕 2003年10月より2010年3月までの6年半、VE推進部門長としてVE推進業務に従事。 国内及び海外でVE-WSSの講師を務めたほか、日立グループ向けの英語・中国語 VEテキストの編集に携わる。協会関係では「第42回VE全国大会」の実行委員長を はじめ、東日本支部の運営委員や副支部長を歴任し、協会活動の活性化に尽力した。 沼田 賢三 氏 〔川崎重工業株式会社 モーターサイクル&エンジンカンパニー 技術本部 コスト開発部 基幹職 VES〕 関西支部(現・西日本支部関西地区)が主催する各種研究活動への参画をはじめ、同 支部の運営委員としてVE関西大会の企画立案等を担当。支部活動の活性化と事業拡 大に尽力した。社内では原価企画・VE業務に従事し、仕組みづくりと実践、定着化 を進めたほか、VE研修の講師を担当してVE人口の拡大にも努めた。 木津 広美 氏 〔株式会社ファインズ 代表取締役 VEL〕 中堅建設会社でVE推進業務を担当した1990年代から今日に至るまで、経営管理者層 や行政関係者に業務改善におけるVEの有効性を説いた。スポーツアスリートとして 日本代表になった経験を踏まえ、VE5原則を取り入れたコーチング改革にも取り組 んでいる。わが国における女性バリュー・エンジニアの先駆者である。 名誉会員 本会の理事、支部長、委員長、マイルズ賞審査委員等の要職を満70歳を超えるまで務められ、かつ国内または 海外の公的機関からVEの普及・発展に対する功績によって表彰を受けた方が名誉会員に選出されます。 鈴木 泰寛 氏 〔一般財団法人 熱・電気エネルギー技術財団 理事長〕 アイシン精機㈱取締役原価企画部長、常務取締役を経てアイシン開発㈱取締役社長、 アイ・ドリームライフサポート㈱取締役社長(現在は顧問)。VE・原価企画活動を積 極的に推進し、アイシン開発では全社的なVEによって「VE活動優秀賞」「マイル ズ賞」に導いた。1995年から2012年までの長きにわたって中部支部長を務め、VE全 国大会の名古屋開催(2005年)を成功させるなど、協会発展に多大な貢献があった。 VE活動優秀賞 「VE活動優秀賞」は継続的にVE活動を実施し、その成果を経営業績に反映させている企業や事業部門に授与 されます。本年度は次の企業、事業部門が受賞されます。 《 VE活動優秀賞 》 三菱電機株式会社 名古屋製作所 事業内容:FAシステム製品の製造 所 在 地:愛知県名古屋市 代 表 者:所長 高橋 俊哉 授賞理由:原価目標の100%達成に向け、開発の上流段階からVEを適用した 実践活動が行われており、その活動を推進組織がフォローする仕組 みも確立されている。現在は「1図面VE®」を主体とした実践活動 (愛称:Dragon_V活動)を展開。VEが収益改善に大きく貢献している。入社3年目の社員 全員にVE研修受講を義務付けているほか、管理職のVEL資格取得も積極的に進めている。 5 《 VE活動優秀賞 》 株式会社ユニオン 事業内容:建設コンサルタント 所 在 地:岐阜県岐阜市 代 表 者:代表取締役会長 村橋 元 授賞理由:2002年9月、現会長が『全社をあげてVEに取り組む』を宣言。 経営方針の一つにVEを位置づけ、トップダウンによる全社的 な活動を行っている。経営層や管理職、事務職員にいたるまで、 全社員にVELの資格取得を奨励。現在では全社員の80%以上 がVE技術に精通した有資格者である。社内の一角にVEコー ナーを設け、過去の設計VE業務の成果物や社内VE活動の資 料を閲覧できるようにしている。2014年からは経営課題をテー マに社内VEを全部門で実施している。 マイルズ賞 VEの創始者であるL.D.マイルズ氏を記念して創設された権威ある賞で、VE活動を実践して顕著な成果をあげ た企業や公共機関が受賞しています。「マイルズ賞」はVEを活用して顕著な成果をあげた企業、「マイルズ賞 本賞」はマイルズ賞受賞後も継続して成果をあげた企業、「マイルズ賞特別賞」はVE制度の運用によって公共 工事のコスト縮減や価値の高い社会資本整備に努めている公共機関に授与されます。 《 マイルズ賞 特別賞》 農林水産省 中国四国農政局 所 在 地:岡山市北区 代 表 者:局長 仲家 修一 授賞理由:他の国の機関や地方自治体に比べてVE活動の歴史は 古く、1997年度より「公共工事コスト縮減に関する行 動指針」を受けてVE方式の導入を決定。「入札時V E」の試行を経て1998年度からは施工段階で行う「契 約後VE」、設計段階で発注者自らがVE活動を行う「設計VE」の試行を開始している。 独自のVE教育プログラム構築をはじめ、簡易型VEマニュアルの作成、インハウスVEへ の移行など、その取り組みは全国7農政局の先駆けとなっている。 講 演 《基調講演 》 リコーの経営改革とVE 公益社団法人日本バリュー・エンジニアリング協会 会長 株式会社リコー 代表取締役 会長執行役員 近藤 史朗 氏 2007年の社長就任直後、世界的な金融危機や大規模自然災害等による景気後退、さらには 急激な円高が重なり、当社は創業以来の経営危機に直面した。全社をあげて意識改革と経 営改革に取り組み、業績のV字回復を実現することができたことは、VEの存在なしに語 ることができない。本講演では、設計者時代の製品開発や先の経営改革を通してのVEの 実践事例を紹介。さらに、未来を見据えたイノベ-ションの実現の方法を探っていきたい。 【略歴】1949年新潟県生まれ。新潟大学工学部卒業後リコーに入社。画像システム事業本部プリンタ事業部 長、画像システム事業本部副事業本部長、執行役員、画像システム事業本部長、上席執行役員、常務取締役、 MFP事業本部長、取締役専務執行役員などを経て、2007年4月代表取締役社長に就任。2013年4月より現職。 2014年6月、日本バリュー・エンジニアリング協会の第5代会長に就任。 6 《特別講演 》 ~日本の自動車メーカー14社による魂の協同制作~ 「生きた一本松をつくれ!」 一般社団法人日本自動車工業会 「希望の一本松」制作委員会 トヨタ自動車株式会社 試作部長 香川 佳之 氏 2013年11月、日本自動車工業会の会員14社が協同で、東日本大震災に耐え抜いた陸前高田市 の一本松を模した「希望の一本松」を板金で制作し、東京モーターショーに展示された。 本講演では、なぜ、競争するライバルメーカーの壁をのりこえ、見る人を感動させるものづ くりが実現したのかについて紹介する。 【略歴】1960年香川県生まれ。1983年大阪府立大学工学部卒、トヨタ自動車入社。同年、 試作部の前身である第3技術部組立課に配属され、スターレット、ターセル・コルサ・カローラⅡなどの試 作生産準備やエンジンルームレイアウト企画に従事。トヨタテクニカルセンターUSA、試作部ボデー技術 室長、試作部企画総括室長を経て、2010年より現職。入社以来31年間、試作一筋の道を歩み、車両開発の要 をリードしてきた。 《記念講演 》 ITイノベーションの本質とリーダーシップ進化論 慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特別招聘教授 夏野 剛 氏 この15年の間で、日本では3つのIT革命が起こっている。インターネットの常時接続によ ってビジネススタイルに変化をもたらした「効率革命」、どんな情報でも簡単に手に入れる ことを可能にした「検索革命」、情報共有が一瞬にしてできるようになった「ソーシャル革 命」である。本講演では、この3つのイノベーションが企業にどのような影響を与えたのか を踏まえ、IT時代に求められるリーダー像やリーダーシップ論について言及していく。 【略歴】1988年早稲田大学政治経済学部卒、東京ガス入社。95年ペンシルバニア大学経営大学院(ウォート ンスクール)卒。ベンチャー企業副社長を経て97年NTTドコモへ。「iモード」をはじめ、「iアプリ」 「デコメ」「キッズケータイ」「おサイフケータイ」などのサービスを立ち上げた後、2008年にドコモを退 社。ドコモ在任中は三井住友カードやタワーレコードなど多くの出資先企業の取締役を兼務。現在はドワン ゴ、セガサミーホールディングス、ぴあ、トランスコスモス、グリー、DLEなどの取締役を兼任。フジテ レビ「とくダネ!」などのテレビ番組や新聞、雑誌、インターネットにおけるメディア登場も多い。 《特別講演 》 ロボットで未来を創る! ~「一生車椅子」の宣告から奇跡の復活を遂げた“現代版お茶の水博士”の挑戦~ 千葉工業大学 未来ロボット技術研究センター所長・工学博士 古田 貴之 氏 ロボット技術で人々の文明・文化の進歩に貢献することが未来ロボット技術研究センター・ fuRoの活動目的である。ロボットの研究は工学全般にかかわる複合的な領域であり、未来の 社会・生活・文化を形成する要素として不可欠なロボット技術である。本講演では、目的に 応じた最適な姿を目指して開発してきたロボットおよびその技術を紹介する。 【略歴】1968年東京都生まれ。1996年青山学院大学理工学部助手。2000年より科学技術振興 機構のロボット開発グループリーダーとしてヒューマノイドロボットの開発に従事。2003年6月より現職。 新たなロボット技術・産業の創造を目指して企業との連携を積極的に行い、新産業のシーズ育成やニーズ開 拓に取り組んでいる。2002年にヒューマノイドロボット「morph3」、2003年に自動車技術とロボット技術を 融合させた「ハルキゲニア01」、2007年にハルキゲニア01の進化型ロボット「ハルクⅡ」を開発。2010年9 月には可搬重量世界最大級の大型二足歩行ロボット「core(コア)」を発表した。PHP研究所から発行さ れた著書「不可能は、可能になる」とともに多くの反響を呼んでいる。 7 《元気な中小企業に学ぶ 》 ~下町の町工場が7800mの深海に挑戦~ 無人探査機「江戸っ子1号」奮闘記 江戸っ子1号プロジェクト推進委員会 副委員長 株式会社浜野製作所 代表取締役 浜野 慶一 氏 2009年、東京・下町の中小企業4社と海洋研究開発機構(JAMSTEC)、東京海洋大学、芝浦工 業大学、東京東信用金庫が包括提携を締結。深海探査ユニット製作のための「江戸っ子1号 プロジェクト推進委員会」が発足した。2013年11月には日本海溝約7800mの海域で世界初の 3D映像による海底生物の撮影に成功。2014年6月から事業化グループを立ち上げ、海洋事 業への進出をはかっている。プロジェクト発足から現在までの経緯や取り組みを紹介する。 【略歴】1962年東京・墨田区生まれ。1993年浜野製作所代表取締役に就任。経済産業省・文部科学省「産学 人材育成パパートナーシップ経営管理人材分科会」委員をはじめ、経済産業省「特定ものづくり基盤技術高 度化指針見直し検討委員会」委員、経済産業省「知識サポート・経営改革プラットフォーム研究会」委員、 経済産業省関東経済産業局「東京オリンピック・パラリンピック検討会」委員、全国工業高等学校長協会運 営連絡協議会委員、東京商工会議所墨田支部副会長、東京都立橘高校教育審議委員など多数の要職を兼務。 《VE活用最前線 》 コンサルの現場から見たVE活用の現状と可能性 ~"機能"を売るな "価値"を売れ!~ 株式会社船井総合研究所 第二経営支援部・中小企業診断士 高野 雄輔 氏 機械加工業や板金加工業など、いわゆる「町工場」のコンサルティングを行っている船井総 合研究所から、町工場で活用されているVEについて報告する。国内で製造されるほとんど の製品は、いまこれらの町工場が持つ“ものづくり”の知識を活用しないと製品を作ること さえできない状況となっており、その中でVEを活用して業績を伸ばしている町工場の姿を 紹介したい。 【略歴】中小企業診断士(登録番号:409348)。同志社大学法学部を卒業後、大手重工メー カーに入社し、工場マーケット向け産業機械の営業部門でトップクラスの実績を上げる。船 井総合研究所入社後は一貫して生産財分野の営業・マーケティングのコンサルティングに従事している。前 職の知識と経験を活かし、特に機械加工・製缶/板金加工・樹脂加工などの部品加工業、治具メーカー、お よび機械工具商社などの工場マーケットの企業に対する業績UPコンサルティングを得意とし、船井総合研 究内における同分野コンサルティングのスペシャリストである。 受賞報告 《マイルズ賞 特別賞 》 農業農村整備事業におけるVE活動の取り組み 農林水産省 中国四国農政局 整備部設計課 課長補佐(土木技術) 白神 裕之 氏 農林水産省では、「農村の振興」「食料の安定供給」等の実現を図るために、農業用水を確 保・供給する農業水利施設の整備、自然災害に対応するための農地防災、水田の大区画化の ための農地整備を行う農業農村整備事業を実施している。本事業のコスト縮減を図るために、 中国四国農政局は、独自の簡易型VEマニュアルを作成し、平成22年度より職員による設計 VEに取り組むとともに、今後4年間で係長級全職員の受講を目標とするVE研修プログラ ムを構築している。 8 《VE活動優秀賞 》 VE活動の定着と拡大に向けた取り組み ~「1図面VE®」から製品開発へ~ 三菱電機株式会社 名古屋製作所 開発部 VES 山田 久 氏 当所では、全社の組織的な取り組みによりVEの適用件数は徐々に向上したが、製品コスト への反映が不十分であった。そこで、2008年度からVEの所内全製品への展開と適用件数向 上を目的に、成果の実感およびVEによる問題解決の風土づくりを目指した「Dragon_V」と 呼ぶVE推進活動を開始。現在、1図面から製品全体へ、原価低減から開発上流へとVE適 用の展開を図っている。 《VE活動優秀賞 》 岐阜にVEコンサルタントのユニオンあり ~岐阜から全国区のVEコンサルを目指して~ 株式会社ユニオン 取締役設計部長 VES 豊田 政幸 氏 当社では全社員の80%以上がVELを取得し、トップダウンにより全社的にVE活動を展開 してきた。当初は、試行的な適用から始まり、本場アメリカでのVE研修を経て、設計VE の実務経験を積み、VE教育の内製や経営課題にVEを適用する状況になってきた。これま での活動経緯と今後、岐阜から全国区のVEコンサルを目指す取り組みについて紹介する。 特別報告 《特別報告① 》 三菱電機におけるVE資格者育成の取り組み 三菱電機株式会社 本社生産技術部 専任 VEL 江頭 誠 氏 三菱電機では、2007年度より全社活動として「原価企画・VE活動」をスタート。活動の定 着化および活性化にあたり、人材育成・技術・マネジメントの3つの視点で取り組んできた。 本発表では、「①社内資格設立によるVE実践者の育成、②社内技術委員会との連携による ツール開発・教育資料の作成によるVE力の強化、③活動促進のための指標設定や動機付け 等のマネジメント策」について報告する。また、今後の成長戦略を達成するために必要となる「VEの深 化と拡大」についても触れる。 《特別報告② 》 VEによる公共事業の最適化 ~静岡県における設計VEの取り組み~ 静岡県建設技術監理センター 主査 早川 光一 氏 静岡県では、2006年度から職員によるインハウス形式により設計VEの活用に取り組んで おり、これまでに128件のVEワークショップを行ってきた。VEワークショップは、公共 事業の設計段階における品質とコストの最適化を図ることが可能となるほか、技術職員の技 術力向上にも寄与している。本報告では、静岡県における設計VEの取り組みのほか、道路 事業へのVE適用事例を紹介する。 論文発表 《論文発表① 》 開発段階のVEでアイデアを活かすための製造技術の活用 三菱電機株式会社 姫路製作所 VES 神田 雅生 氏 製造業においては、開発期間の短縮のために、営業・品質保証部門や調達先などを含めたコ ンカレントエンジニアリング等を取り入れている。さらに開発期間を短縮するための対応策 の一手法として、機能を元にしたアイデア発想に、製造技術者と設計者が製造技術・技能を 理解・共有・融合し、製造VEの視点からのアイデア発想を加えて、価値の高いアイデアに 具体化していくことが考えられる。このことにより、設計の手戻りが少ないだけでなく、製造法の検討と開 発が同時に進行できるため開発期間が短縮できる。本論文では、製造を理解するための「5つのフレーム」 と、製造技術を織り込むためにこれまでの製造VEのアイデアを調査・分析して、アイデア発想の視点を抽 出して整理した「69項目のチェックリスト」を活用することで、機能を元に発想したアイデアを短時間で、 技術性・経済性の高いアイデアの具体化に活かすことができる手法について提案する。 9 《論文発表② 》 SWOT分析を活用した具体化技法 MSバリューコンサルタント 代表 CVS 佐々 松音 氏 国内市場の多くは成熟した過当競争環境下にあり、正にレッドオーシャンの中に入っている と言われている。このレッドオーシャンから抜け出すには、自社の得意分野の技術力を生か し、圧倒的差別化商品を生み出し、それらをブルーオーシャン商品として育て上げる必要が ある。しかし、ブルーオーシャン商品のシナリオは簡単に生まれるものではなく、生み出す 手法も必要になると考え、お客様の要求する機能から価値を創造するバリュー・エンジニア リング手法と「ハーバード・ビジネススクール」で開発され、企業・組織・個人の分析に活用されている SWOT分析を融合したアイデアの具体化技法を開発した。 《論文発表③ 》 成熟製品の改良開発VEにおける多面的分析にもとづいた機能評価値の決定 三菱電機株式会社 福山製作所 VES 吉岡 浩 氏 競合他社品が多い成熟製品の改良開発VEにおいて、機能別コスト目標となる機能評価値の 決定は、製品の企画に直結する重要な事項であり、戦略的な意思決定が必要とされる。しか し、製品の置かれた外部環境と内部要因を多面的に分析して適切な機能評価値を決定するこ とは、製品改善VEで使用されているところの顧客・競合他社・自社の3つの観点を単独で 評価する従来の機能の評価法では困難であった。 そこで本論文では、顧客が要求する機能、競合他社品が持つ機能、自社開発品に想定する機 能の3つについて、従来の評価法にAHP法、機能にもとづくテアダウン、TRIZワンパラメータメソッ ドを組み合せて評価し、SWOT分析の視点によってそれらを総合して機能評価値を決定する方法を提案す るとともに、事例による有効性の検証結果を報告する。 事例発表 《事例発表① 》 ソフトVEの取組み事例 ~周辺コストVE活動~ いすゞ自動車株式会社 原価企画部 CVS 足立 守 氏 当社は小型から大型までの商業車、ピックアップトラック、ディーゼルエンジンのコンポー ネントの製造販売を行なっている。製品の価値向上への取り組みは、VEやテアダウンを中 心に、過去より盛んに行なわれており、最近では海外拠点でも国内と同様の活動が行われる ようになってきた。しかし、ライフサイクルコストという視点で見れば、まだまだ改善の余 地があり、10数年前から、ソフトVEとして、製品コスト以外の部分の改善に取り組んでき たので、その活動について報告する。 《事例発表② 》 短時間で成果が得られる【1図面VE®】手法の紹介 ~計器用変流器での適用事例~ 三菱電機株式会社 福山製作所 VES 吉岡 浩 氏 気軽にVEに取り組め、短時間でVEの効用を実感できる【1図面VE®】。三菱電機が考 案し、活用している【1図面VE®】手法を計器用変流器の事例により紹介する。 「自社内でVEを推進したい」方がすぐ実践できるよう、実施上のポイントを含めて分かり やすく説明する。 《事例発表③ 》 高効率クローズドループ・ステッピングモーターのVE事例 オリエンタルモーター株式会社 MC事業統括部 VEL 丸山 淳 氏 産業用機器はモデルチェンジのサイクルが長いため、市場の変化に追従した製品の価値改善 が必須となる。本事例では、既存製品にVEを適用して市場のニーズにあった機能向上、収 益改善を試みた活動について報告する。 10 《事例発表④ 》 総合重機器メーカにおける効率的な全社VE活動の推進事例 三菱重工業株式会社 本社調達部 VEL 井上 学 氏 総合重機器メーカは、多種多様な製品を有し、その製品毎に事業性は多様である。その多様 性の中にあって、個々の事業特性に適合したVE活動を推進していくことは、効率的な全社 VE活動の重要なポイントとなる。その場合、個々の事業体の活動状況をリアルタイムで把 握し、その課題を明確にしながら、適確に対応することが必要である。 また、個々の事業体は、社内だけで完結している訳ではなく、ビジネスパートナー(以下、「BP」とい う)を含めて成り立っているため、それらを包含した形の改善活動が求められる。これらの要求に応えるた めに、BPを含めた各種VE提案を効率的に処理し、展開するためのEDIシステム(Joint-VAL UEシステム(以下、「J-VALUE」という))を導入した。J-VALUEは、BP及び弊社社員 (調達、営業、設計、検査、工作等)のVE提案を効率的に処理し、各事業体の活動状況をリアルタイムに 把握できるシステムで、これにより、改善活動のスピード化と活性化を導くことができた。本事例では、 J-VALUEの導入経緯、活動成果等から、VE活動におけるEDIシステムの導入がBPを含めた社内 外のVE活動に与えた影響、有効性等について述べる。 《事例発表⑤ 》 外食産業におけるVEの適用事例 株式会社サイゼリヤ プロジェクトマネジメントオフィスFAチーム 内村 さやか 氏 外食産業において、VE適用事例はほとんどなく、その他サービス分野においてもVE適用 事例は少ない。だが、外食産業が属する第三次産業はすでに他産業をしのぐ規模を持ってい る。2010年には従事者が全産業の7割を占め、今後も増えていくと見込まれている。しかし、 いまの第三次産業には課題が多い。企業の入れ替わりの激しさや、低賃金労働、サービス残業の黙認などが それである。これら課題に対し、企業は多くの技術を導入すべきである。導入すべき技術の一つがVEであ ると筆者は考える。 第三次産業、サービス分野は、人の感性を扱うことが多い。そのため、大きな改善が難しいとされてきた。 これに対し、VEは解決策を備えている。VEは使用機能と魅力機能という概念を持ち、その機能抽出方法、 機能評価手法が複数開発されている。サービス分野、外食産業は、課題解決にVEが効果的であることを理 解し、産業特性に合わせた導入方法、適用方法を検討する必要がある。本事例では、外食産業の特性と課題 を論じ、課題に対しVEが寄与する点を明らかにする。また、実際に飲食チェーン店の課題に適用した事例 と技法を紹介し、外食産業の特性に合わせるポイントを示す。外食産業におけるVE適用の促進を目指すも のである。 《事例発表⑥ 》 ファブレス会社におけるVE教育活動事例 ~1図面VE®実践講座活動~ 三菱電機エンジニアリング株式会社 伊丹事業所 VES 早川 喜夫 氏 当社はA社のエンジニアリング部門を主に担当し、生産設備を持たないファブレス会社であ る。A社のVE強化活動に連携して本社主導で2010~2012年の3カ年計画として「VE強化 推進活動」が決定され、表彰制度での優遇策を含めてWG活動を実施しVE関連講座を設置 して強化を図ってきた。2013年度にはVE基礎講座受講者は全社員の約22%を超え、VEL 資格取得者も約15%に達する状況である。一方で、自主製品が少ない事から、VEL資格は取得したが実践 する機会が少ないとの声を聴く事が多く、ハード面ではA社の指導を受け「1図面VE®」を実践講座として 導入し、ソフト面では管理間接業務の生産性向上を目的として作業改善(プロセスVE/ソフトVEの当社 向け簡易版)の検討を進め、ハード/ソフト両面でVEを日常業務に使える様に活動している。当社の取組 概要と特にA社の「1図面VE®」を活用した「1図面VE実践講座」を中心に実施事例を報告する。 《事例発表⑦ 》 製造現場におけるダブレットPCを用いたICT化と情報活用事例 株式会社SCREENセミコンダクターソリューションズ 製造統轄部 池田 博也 氏 個別受注生産で顧客に応じたエビデンス管理のために大量の紙による記録、データ管理によ り多くのコストが掛かっていた。紙に埋もれ活用出来ていなかった情報を効率的に収集し、 有効活用する現場発進のICT化と情報活用の取り組みについて紹介する。 11 《事例発表⑧ 》 千客万来! テアダウンの活動事例紹介 ~情報発信基地となるテアダウンルームへ~ 株式会社ノーリツ 研究開発本部 VES 川内 一哉 氏 テアダウンは他社の「いい所取り」を行い、自社製品の価値:Vを上げる手法として広く活 用されている。弊社においてもテアダウンを用いて、設計者はもとより関連部門の人々に気 付きを与え、改善に役立ててもらえる情報発信基地を目指した活動を行っている。 《事例発表⑨ 》 首都高速道路における入口閉鎖の自動化に関する開発設計VE 首都高速道路株式会社 東東京管理局 吉村 崇志 氏 入口閉鎖は台風や大雪などの異常気象時に年間30回程度実施しているが、現行閉鎖作業は交 通PC業務員による閉鎖ロープの設置により実施している。入口閉鎖の実施には即時性・確 実性・安全性の観点から課題を抱えている。そこで、遠隔操作による入口閉鎖、作動状況が 容易に確認可能な機器・機構を考案し、現行コストの縮減を図りながら即時性・安全性・確 実性の面で機能向上を図ることを目的として0 look VEによる検討を行い、開発設計仕様書を作成した。 VE検討を通じて、遠方から目視にて通行止めが確認できるよう装飾したグラスファイバー製の遮断棒を入 口ハードノーズ部に設置し、閉鎖時には管制員が入口手前100m区間の交通状況を確認できるCCTVカメラにて 状況確認の上、遠隔操作にて速やかに遮断棒を作動させる等の代替案を作成した。これにより、現行コスト に比べ6.25%縮減、閉鎖完了までの所要時間を約1/15に短縮、現地での作業省力化による安全性向上、CCTV カメラにて閉鎖状況の監視が可能となることで確実性向上を図ることができる仕様書を作成できた。今後は、 実施に向けて検討を進めていく予定である。 海外発表 《海外発表① 》 空港事業におけるバリュー・マネジメント Malaysia Airports Holdings Norazah Attan 氏 当社ではバリュー・マネジメントを2006年から適用している。導入初期にはプロジェクト開 発に集中的に適用し、そこから発展して、経営層による意思決定の場でも大いに活用される ようになった。平均で15%~25%のコスト改善、人材のスキルアップ、調達戦略の改善とい った成果をもたらしている。この成功の秘訣は、VM活動を率いる優れたリーダーの存在、 経営トップの理解、そして、組織としてVMを実行するというコミットメントにある。本発表では、3つの 異なるプロジェクト;三井アウトレットパークの開発、従業員の健康管理のための第三者管理機関、空港火 災事故救命車両を取り上げ、マレーシア・エアポートで取り組んでいるVM活動を紹介する。 《海外発表② 》 VEで大幅な生産リードタイム短縮を実現した グローバル企業の取り組み Ried Management Methods CVS P. Ried 氏 多くのグローバル企業では、生産リードタイムがかかり過ぎ、そして多くの受注残を抱える という問題を同時に抱えている。その結果、顧客は不満を持ち、利益率も減少してしまう。 バリュー・エンジニアリングとその洗練された技法は、このような課題を解決するのに正し く最適であり、素晴らしいチャンスを与えてくれる。実際に活動するタスクフォース・チームに集中VE研 修を行うことで、プロジェクトに秘められた潜在的可能性を最大限に活かすことができる。本発表は、ある 工業製品製造プロセスのステップすべてがVE適用によって改善され、現在の通常リードタイプを40%短縮、 受注残を30%削減することに成功した事例である。その結果、顧客満足度は大幅にアップし、受注の損失は ほぼゼロになった。それと同時に、多額のコスト削減も実現することができた。 12 《海外発表③ 》 緑道の低影響開発におけるFASTベンチマーキング Marcus Consultant Company CVS Po-yi Chang 氏 VEジョブプランのステップの中でも、特に機能段階の機能分析体系技法(FAST)は、 VEワークショップを強化する重要な技法である。しかし、従来のベンチマーキング技法、 FAST技法では、それらの目的を達成するには不十分であった。本論文は、品質、顧客要 求事項、VEチームの満足度を妥協することなくVEの成果を向上させることを目的に、ナ レッジ・マネジメントのコンセプトを適用し、FASTとベンチマーキングを統合する仮説 モデルを構築し、緑道の低影響開発(LID)の事例をテーマに解説するものである。 VEの新潮流 《VEの新潮流① 》 VEで読み解くポーター賞企業と成功の秘訣 ~独自戦略の分析と企業価値の向上~ 東日本支部社会インフラ部会 主査 CVS 薄衣 光明 氏 この新たなVE手法の活用方法は、優良企業が成功した秘訣分析であり、自社を優良企業に するための設計図の作り方である。あなたの会社にも必ず役立つVE活用方法を提案する。 VE手法の新たな活用方法開発の試行錯誤の過程はVE特別資料にまとめられており、無料 で配布されている。VE手法活用の裾野拡大にお役立ていただきたい。 《VEの新潮流② 》 かすみがうら市を活性化するVE活動 かすみがうら市 総務部総務課 飯島 裕市 氏 茨城県かすみがうら市では、行政運営の真のかじ取りが問われる合併10年目を迎えている。 合併算定替による地方交付税の減少、人口の減少及び職員数の減少の波が押し寄せる中、職 員一人一人がVE手法(SWOT分析)により多角的に市の特徴を見直し、顧客(市民)が 求めるサービス(事業)を追求できるような研修を実施していきたいと思っている。 フォーラム・セッション 《モノづくりとは何だ 特別フォーラム 》 モノづくりのブルー・オーシャン戦略とは いま、VE技術者に求められているのは、新材料や新素材、斬新な加工法といったモノづくり全般にわたる 情報収集能力、すなわちアンテナの高さではないだろうか。他の追随を許さない独自技術と発想力によって モノづくりのブルー・オーシャンを目指す2社のトップを迎え、その技術が生まれたきっかけや成功要因を 深堀りしていく。『この技術、貴社なら何に使いますか?』 株式会社入曽精密 代表取締役 斎藤 清和 氏 株式会社関プレス 代表取締役社長 関 正克 氏 【モデレーター】 MSバリューコンサルタント 代表 CVS 佐々 松音 氏 【パネリスト】 《VEを語ろう トークセッション 》 VEは資材技術? それとも設計手法? わが国にVEが紹介されてから半世紀。その中で絶えず議論されてきたの が今回のテーマである「資材vs設計」の問題である。今日のような変化の 激しい市場環境では、両者の有機的な連携が何より必要となる。そこで今 回、それぞれの立場から論客を迎え、VE成果拡大の方策を語っていただ くとともに、「VEとは何か」という本質的な部分についても考えていく。 三菱重工業株式会社 技術統括本部ものづくり技術部 主席 CVS 赤城 弘一 氏 日本電子株式会社 医用機器事業部医用機器本部 技術顧問 CVS 吉見 三郎 氏 【モデレーター】 三菱電機株式会社 本社生産技術部 CVS 三好 達夫 氏 【パネリスト】 13 大会スポンサー 下記の企業から格別のご支援を賜りました。ここに記して厚くお礼申し上げます。