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国際航空における政府の役割 ― 航空市場の自由化と政府の関与

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国際航空における政府の役割 ― 航空市場の自由化と政府の関与
市 場 化と公 共関与
S p e c i a l Fe a t u r e
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市 場 化と公 共関与
国際航空における政府の役割
― 航空市場の自由化と政府の関与
日本空法学会
理事
坂本 昭雄
はじめに
航空自由化と航空市場
日本の民間航空の現状について、ある航空専門
家は、
「このままでは、北東アジアでのローカル航
■航空自由化の要点
今日の航空自由化のルーツは、1978 年に米国政
空化してしまう」と言い、また「衰退の道をたどる」
府が行った国内航空の経済規制の廃止(Airline
と懸念する。
Deregulation)
にあるとされている。
その時米国は、
そして、その根拠について、
「日本が世界の風を読
それまで政府が規制していた路線の参入と退出、
めていないからだ」と語る。具体的には、
「日本では
および運賃の決定を航空会社の判断に委ね、航空会
航空自由化が進んでいないし、空港もグローバル市
社への干渉から手を引いた。使用航空機の大きさと
場に対応していない。加えて、航空会社も規制が多
その運航便数、つまり輸送力については、それ以前
いために、事業を現代化できないでいる」というこ
から航空会社の判断に委ねられていたから、78 年の
とのようである。
改革で、航空会社は路線、運賃および輸送力につい
果たして本当にそうなのか?本稿では日本の航空
て完全な自由を手にしたのである。
の現状と海外の状況とを比較して分析し、もしそう
その結果、米国の航空会社は、折りから急速に発
ならば、何が問題なのかを、政府の役割との関係で
達しつつあった情報技術(IT)を巧みに駆使して、
考えてみたい。
自由化市場での競争に重点を置いた新しい経営モ
デルを開発し、実施したのである。今日の航空自由
化が、路線、運賃および輸送力についての規制廃止
を中心に構成されているのは、そのためである。
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国際航空における政府の役割―航空市場の自由化と政府の関与
そのような事情の下に招集されたのが、94 年の
1989 年にベルリンの壁が崩壊し、世界を二分して
ICAO 国際航空運送会議であり、その会議にICAO
いた東西経済の融合が可能になると、93 年にはガッ
によって議題として提案されたのが新国際航空シス
ト・ウルグアイ・ラウンドの最終貿易協定が合意され、
テム案、すなわち「ICAO の国際航空自由化提案」
WTO(World Trade Organization=世界貿易機
と呼ばれるものだった。
関)の設立が現実となった。市場経済とそのグロー
バル化の背景ができ上がったのである。
この提案は、46 年に原型が作成されたバミューダ
型の航空協定の原則を根本から覆すもので、国家間
そんな流れの中で航空輸送は、本来はサービス業
での制限のない路線権の交換、輸送力および運賃の
務でありながら、その運営についての国際的な枠組
自由化に配慮した不公正慣行の排除、さらには航空
に国の主権が介在する特殊な性格だったことから、
会社の所有と支配に関する要件の緩和などを内容と
一部の周辺業務を除いてサービス貿易協定には含
するものだった。
まれなかった。
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■国際航空自由化の背景
この提案は、会議への参加国の一部からの強い反
対もあって、この会議では採択されるに至らなかっ
たが、参加国に対し航空自由化の内容と利点とを具
体的に示し、航空自由化の世界的な流れをつくり出
す効果があった。
■具体的な自由化航空協定
ICAO 国際航空運送会議の去就を見守っていた
米国は、95 年に新しい国際航空政策を策定し、国際
路線と運賃と輸送力などの自由化を内容とするオー
プンスカイ協定を各国と結び始めた。この協定で留
意すべきは、経済面での自由を保障する一方、他方
では航空の安全(Safety)と保安(Security)につ
いて厳しい規定を加えたことである。
EU
(European Union =欧州連合)は、87 年から
段階的に航空自由化を進め、92 年に最終の理事会
規則を発出して、97 年にその実施を完成した。EU
の航空自由化は、米国以上に徹底した内容となって
いる。
アジア太平洋地域では、韓国、台湾、香港、タイ、
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マレーシア、シンガポール、ベトナム、インドなどの諸国
が米国とオープンスカイ協定を結んだほか、2000年に
はAPEC(Asia- Pacific Economic Cooperation
=アジア太平洋経済協力会議)の首脳会議が、多国
間オープンスカイ協定の作成を宣言した。その協
定は、翌01 年にワシントンで「多国間自由化航空協
定(MALIAT)
」として調印され、同年12月に発効
した。この協定は米国のオープンスカイ協定の内容
を進化し、条文を修整し、多国間化したものとなって
いる。
これらを通観するに、協定によっては違いがある
ものの、経済面では路線、運賃および輸送力に対す
る政府の介入を排除する点で一致している。これら
協定の当事国は、自らの手で航空協定の自由化を決
断し、経済面への介入を放棄した。今、自由化航空
化協定に切り替えることによって、日本の航空会社
協定の締結国は着実に増えており、それらの国の間
を経済規制の呪縛から開放し、広く自由化市場への
では、自由になった航空市場で、航空会社は他の自
参加を許すべきである。
由化産業と同じように、事業活動の機会を拡大して
航空自由化と空港の関係
いるのである。
翻って日本の状況を見ると、日本が結んだ航空協
定は何れもバミューダ型のものばかりで、自由化航
空協定は一つもない。最も保守的であると言われて
■空港の立場の変化
航空自由化と空港とは極めて密接な関係にある。
きた中国も、最近では米国との協定で、一部の地域
航空自由化は空港が対応していないとその効果を十
を自由化し、広範な米国企業の貨物ハブ事業を認め、
分に発揮できないし、対応力のある空港でも航空が
08 年3月からは運賃の認可制度を廃止し、届出制度
自由化しないとグローバル社会に大きく貢献するこ
をも禁止することを合意した。
とができない。
これを要するに、世界の趨勢はアジアにおける近
そもそも空港とは、航空機の離着陸と旅客の乗降
隣諸国を含め、航空自由化に向かって進んでおり、
および貨物の積込み積降ろしを助けるため、機能的
日本だけが古いバミューダ型の協定に固執すること
に組織化された地表上の施設の総称である。
は適当であるとは言えない。政府としては、少しで
従って、空港は離着陸する航空機の性能や離着陸
も早くバミューダ型協定の呪縛を脱し、それらを自由
方式の改良に伴って変化が必要となり、また、利用
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国際航空における政府の役割―航空市場の自由化と政府の関与
交代、さらにそれらを管理統括する司令塔などの施
の運送方式の変化によっても、変わらざるをえない
設を要するから、空港は必然的に大きくならざるを
使命を担っている。
えなかった。
航空機やその離着陸方式の改良による空港の変
その2つめは、貨物運送のネット化である。貨物
化については別の機会に譲るとして、先ず指摘した
専門の航空会社であるフェデラル・エクスプレス
いのは、航空自由化に伴う空港の立場の変化である。
(FX)
は、テネシー州のメンフィスを米国内貨物運送
航空市場が自由となり、航空会社が路線を自由に選
のハブとして選択し、メンフィスを中心として路線
択できるようになると、空港の選択も航空会社に委
を全米内の主要都市に放射状に設定した。各都市
ねられる。つまり空港の航空会社に対する立場は、
で集荷した貨物は、貨物専用便でほぼ同時刻にメン
これまでの「来させてあげる」から、
「来ていただく」
フィスに集められ、空港内に設置された自動仕分場
に変わるのである。そして「来ていただく」ために、
(Sorting House)で仕向地別に仕分けされた後、
空港の「使い勝手の良さ」と「安い利用料金」とが
仕向地から到着した航空機の復路便に搭載される。
条件となる。
航空機が仕向地に到着した後は、搭載貨物は待
ち構えた宅配トラックに引き渡され、市内の荷受人
■運送方式の変化による典型例
に配送される。FX はこれらを流れ作業として行い、
運送方式に伴う空港の変化で、しばしば例に挙
配送時間の保証などを採用してインテグレータ(航
げられるのは、航空会社の運送のネット化に伴う変
空運送と宅配業務の結合企業)としてのビジネス・
化で、その1つは、旅客運送についてのものである。
モデルをつくり上げたのである。
1978 年の航空自由化直後の米国では、大手の航
この運送方式では、機械化された自動仕分場の建
空会社は国内路線を面でとらえ、ハブとなる複数の
設が必要となり、その外側には各都市から来た航空
都市を中心に乗入れ地点を連結して運送をネット化
機を、ほとんど同時刻に駐機させる必要があるから、
した。その運用をIT 化してネット収入のマキシマ
空港内に広い敷地面積が必要となる。
イゼーション(最大化)を図り、他方、使用機材など
のオプティマイゼーション(適正化)によるコストの
削減を行った。さらにそれを販売ツールであるCRS
■LCC の台頭
近年、
LCC
( Low Cost Carrier =格安航空会社)
(Computer Reservation System=座席管理シス
と呼ばれる航空会社が、世界の各地で台頭するよう
テム)に連結して販売し、増収とコスト削減による
になった。アジア地域でもいくつものLCC が活躍
利益の改善を行ったのである。
を始め、今では無視できない勢力に成長しつつある。
この運送方式の鍵となったのがネット内の空港で
これらは旅客のネット運送に対抗する新しいビジ
あり、特にハブ空港における諸施設の整備と改善で
ネス・モデルを採用し、安い運賃での集客がその狙
ある。ハブ空港では航空機の駐機や整備、乗務員の
いとなっている。
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する旅客の数や貨物の数量、さらには旅客や貨物
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そもそも旅客のネット運送にはいくつかの弱点が
としては、使い勝手の良い大規模な空港を、安く航
あった。第1の弱点は、旅客にハブ空港経由の迂回旅
空会社に提供することの計画と実行が重要となる。
行を強いるケースが少なくないことである。条件が同
じなら、旅客は迂回旅行よりは直行便を選択する。
諸外国との空港間競争
第2の弱点は、ハブ空港での乗り継ぎを円滑にす
るためには、ターミナルでの旅客の誘導を的確に行
■近隣諸国の空港
うだけでなく、航空機の運航スケジュールを厳格に
空港の立場が、
「来ていただく」に変われば、近隣
管理する必要のあることである。ハブ空港への便が
の空港との間で競争が起きるのは当然のことである。
遅れると、乗り継ぎ便を遅らせるか旅客を積み残す
加えて、航空運送のグローバル化社会における重
かの選択しかなくなる。
要性を認識し、さらに、空港が周辺に及ぼす経済的、
第3の弱点は、ネット運送の維持には一定のコスト
社会的な反射効果を考えれば、日本の周辺諸国が現
がかかることである。競争会社が運賃を下げ、それに
代に適応した空港の建設や整備に力を入れるのは
対抗して調整した運賃の総額がネット運送のコストを
当然のことのように思われる。
下回れば、それ以上の対抗は採算上できなくなる。
韓国は、2001 年に仁川国際空港を開港した。その
これらの弱点を狙って進出したのが LCC である。
敷地面積は 4,800ha、滑走路は 3,750 mのものが
LCC は直行便と徹底した安い運賃を売り物にその
2 本、さらにそれを4 本まで増やす計画になっている。
勢力を伸ばしてきた。
中国の上海浦東空港は敷地面積が 3,200ha、滑走
しかし、現在ではネット運送を行う航空会社も運
送ネットを改善してコストを引き下げ、LCC に対抗
路は4,000 mのものが 2 本、それを4 本まで増やす
予定であるという。
できる運賃を部分的に導入したりして失地の挽回を
タイのバンコク・スワンナブーム国際空港は、敷地
図るようになった。他方、LCC の中にも小規模なが
面積が3,240ha、滑走路は4,000 mと3,700 mのも
ら運送をネット化する会社や、低コスト、低運賃の
のが2 本、次期工事で4本にする計画である。アジア
運送に限界を感じ、サービス内容を改善したり、販
最大のマレーシアのクアラルンプール国際空港は、
売にオンライン業者のサービスを利用したりする会
敷地面積が10,000ha、滑走路は4,000 mのものが
社も出るようになった。
2本、最終的には5本に増やす計画である。これらは、
しかし、LCC の台頭により、航空会社間のコスト
競争は激しくなり、空港費用の節減が課題となった。
何れも航空自由化を前提にした需要の増加と空港間
の競争を意識してのものである。
このような事情から、航空自由化後の空港の必要要
件の一つとして、廉価な利用料が挙げられるように
なった。
比較のため日本の空港を挙げると、民間空港とし
このように見てくると、空港に関する政府の役割
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■日本の空港
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て最大の羽田空港は、敷地面積が1,270ha、滑走
国際航空における政府の役割―航空市場の自由化と政府の関与
乗り入れ地点を自由に選択することができるから、
2010 年秋には4本目の2,500 mの滑走路の供用開始
日本としては外国、特に近隣諸国の空港と競争でき
が予定されている。他方、成田空港は1,060ha の敷
る民間空港の整備が必要となる。日本政府としては、
地面積に滑走路が4,000 mと2,180 mの2 本。後者
4,000 m級の滑走路を複数備えた大規模空港を安く
は10 年 3月までに2,500 mに延長される。
提供できるよう速やかに計画し、実現すべきである。
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路は3,000 mのものが 2 本と2,500 mのものが1本。
その他の空港では、関西国際空港が総面積1,060ha、
滑走路が 4,000 mと3,500 mの2 本。中部国際空港
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自由化市場のための具体策
は敷地面積が 470ha と小さく、滑走路も3,500 mの
ものが1本となっている。
このように日本の空港を近隣諸国のそれと比べ
■ 航空協定の見直し
日本の民間航空にとって、最も必要なのは世界の動
ると、その規模が極端に小さく、滑走路も4,000 m
向を見据えた政策の立案と実行である。そのため、
級のものが、わずか 2 本という寂しい状態である。
第1に挙げられるのは航空協定の見直しであり、
日本は国土が小さく、山岳地帯の占める割合が大き
バミューダ型航空協定からの脱却である。そうする
いことから、大規模空港の建設は難しいとされ、かつ
ことにより航空会社を経済規制から開放し、自由化
バミューダ型の航空協定では、相手国の乗り入れ地点
航空市場での強力な競争を可能にすることができる。
を制限することができたから、空港の規模が小さく、
しかし、看過できないのは、経済規制の廃止は安
かつ利用料が高くても、何とか対処することができた。
全規制の強化と裏腹であることである。米国は経済
しかし航空が自由化されれば、外国の航空会社は
規制の廃止とともに、FAA( Federa l Av iat i on
Administration=連邦航空局)の安全監視体制を
強化した。EU も同じである。EU の場合は、たとえ
EU の構成国であっても安全性に不安のある国に対
しては、それが治癒するまではEU の航空ルールの
適用を認めない厳しい措置をとった。
安全規制のもう1つの側面は、航空市場の安全確
保である。市場に不当な運賃や不公正な慣行が横行
しては、市場の公平性は保たれない。米国やEUが
航空自由化とともに競争法の厳格な適用に踏み切っ
たのもこのような事情からである。
バミューダ型航空協定に代わる航空協定としては、
いくつかの航空協定モデルが考えられる。米国の
オープンスカイ協定は、経済規制の自由化とともに、
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市 場 化と公 共関与
航空の安全と保安について厳しい条項を設け、かつ
航空市場の安全維持にも触れている。しかしその原
型が10 年以上も前につくられたことから、モデルと
しては内容の手直しが必要である。ただ、米国はこ
の協定を既に90 以上の国と締結しており、その中に
は日本が結んだ航空協定の相手国も多数含まれて
いることから、航空交渉は行いやすい利点がある。
多国間自由化航空協定(MALIAT)は、協定その
ものは条文の表現を含めて内容が洗練されており、
かつこの協定に加入しても協定の非当事国との間で
は現行の二国間協定が適用される仕組になってい
るから、交渉のための時間的メリットは小さくない。
しかし、難点は当事国が未だに少なく、しかも交渉
の相手国がこれに参加するかどうかも分からない
ことである。
さらに、EU との包括的航空協定も考えられるが、
この協定を結べば EU27カ国と一挙に航空自由化を
行うことができる。ただ、EUは航空協定にいわゆ
送の集中する首都圏にはないことである。従って、
る
「国籍条項」
を置くことを許さないから、予め「国籍
航空協定の見直しに次いで挙げられるのは、国際国
条項」の廃止について決めておくことが必要になる。
内両用の大規模空港を首都圏に建設することである。
ただ、現在の航空会社の所有と支配に拘っていては、
結論を先にすれば、首都圏には少なくとも3,000ha
EU構成国との航空交渉は今後ともできないので、
級の空港が必要である。利用者や航空会社のため
日本の欧州線は事実上現状で凍結せざるをえないこ
だけでなく、日本全体の発展のためにも、首都圏に
とになる。
大規模空港は必要である。
どの航空協定をモデルとして、日本の国際航空の
具体的には、現在の羽田空港を拡大する以外に選
自由化を行うかは慎重に検討すべきであるが、結論
択肢はない。幾多の障害はあろうが、羽田空港を多
だけは早急に出す必要がある。
摩川を越えて川崎市に拡張することが必要である。
多摩川にバイアディクト(viaduct )を架け、航空機
■首都圏空港の大規模化
の両岸往来を可能にし、川崎市側に滑走路とターミ
日本の空港には大きな弱点がある。航空運送の基
ナルビルを建設することも必要となる。離着陸の邪
軸となる大規模かつ国際国内両用の空港が、航空運
魔になる横田空域は、米国政府の協力を得て水平的
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国際航空における政府の役割―航空市場の自由化と政府の関与
まれる。航空保険における戦争特約(War Risks)の
のものが複数必要である。
裏書、外国人の持株制限の見直し、外国人代表者制
この空港ができれば、地方空港との間で国際旅客
をこの空港を経由して運送することができ、日本の
限の廃止、ケープタウン条約への加入、航空アライア
ンスの弾力的運営、OD統計の作成援助等である。
航空会社がオンライン運送を行えば、少なくとも仁
川や上海経由などの乗継ぎ旅客を大幅に吸収する
おわりに
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ことができる。
さらに、日本の航空会社がこの空港を運送基地と
冒頭で述べた航空専門家の指摘は、あながち誤り
して使用すれば、国際、国内の二重投資が避けられ
だったとは言い切れない。今、世界の航空は恐ろし
るだけでなく、航空機の整備と格納、部品の保存と
いスピードで変化している。世界の風を読み、日本の
管理、乗務員の交代、スケジュールの管理、アライ
航空会社が、政府の理解と協力のもとに、グローバル
アンス・パートナーとの協力などを合理的、かつ実
市場で大いに活躍することを期待するものである。
効的に実施することができる。
事実上拡張できない成田空港は、近時における
世界的な航空運送の状況変化に鑑み、新しい空港
として高い利用価値を維持することができよう。
■参考文献
・坂本昭雄、三好晋「新国際航空法」
(有信堂)
・Aviation Law Reporter(Commerce Clearing House. Inc.)
・坂本昭雄「蘇れ、日本の翼」
(有信堂)
・ICAO Working Paper: World-Wide Air Transport
■政府と航空会社の関係
航空運送は、グローバル社会にとって極めて重要
度の高い近代的交通手段であり、インフラストラク
チャーである。従って、それを運営する航空会社の
公共的性格と社会的責任も極めて重い。航空会社
と政府が共に協力するのは当然の理といえる。
Conference on International Air Transport Regulation:
Present and Future.(1994)
・Shawcross and Beaumount「Air Law」
(Butterworths)
・航空統計要覧、2007 年度(日本航空協会)
・Paul S. Dempsy「Airport Planning & Development
Handbook」
(Aviation Week)
・ECO-FORUM、Vol.24 No.4 June 2006(統計研究会)
しかし、政府が航空会社に直接援助を与えること
は、自由な国際社会においては望ましいとはいえない。
政府の協力は、航空会社が責任と誇りをもって重責
を果たせるように、その環境整備に重点を置くべき
である。その具体的な方法は、多岐多様にわたり全
てを列挙することは不可能である。
しかし、敢えて思いつくままに、航空自由化と大
規模空港以外のいくつかを挙げれば、次のものが含
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に縮小してもらう必要もある。滑走路も4,000 m級
PROFILE
坂 本 昭 雄(さ か もと・て るお )1927 年 東 京 都 生 ま れ。
50 年東京商科大学(現一橋大学)卒業。52 年東京商科大
学研究科中退。同年第1期フルフライト留学生。53 年日
本航空入社。83 年 IATA 法律委員会委員長。01年から
関東学院大学法学研究所を経て、法学部教授、大学院法
学研究科教授。現在、日本空法学会理事。
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