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which is a Familiar Animal for Elementary School

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which is a Familiar Animal for Elementary School
兵庫教育大学学校教育学研究, 2016, 第29巻, pp 79-84
79
児童に と っ て身近な動物で あ る ダ ン ゴム シの教材開発研究
Development of Teaching Materials of Pill Bugs (Am ad,z11id,zum vulgare)
which is a Familiar Animal for Elementary School Students
鈴 木
藍*
SUZUKI Ai
渥 美 茂 明**
ATSUMI Shigeaki
笠 原
恵***
KASAHARA Megumi
児 童 に と っ て身近 な動物 と は何かにつ い て ア ンケ ー ト 調査 を行 い , そ の動物 を使 っ た教材開発 を行 っ た。 小 学生 お よ び
現職教員 を対象 と し た 「身近な動物」 に関す る ア ンケ ー ト 調査から , 多 く の児童 ・ 教員がオカ ダ ン ゴムシを身近な動物 と
し て挙げ てい た。 一方 で, こ の 「身近な動物」 で あ る オ カ ダ ン ゴム シ を教材 と し て実際に扱 っ てい る教員 が半数程度 と 低
かっ た。 こ う し た現状から , 児童生徒に と っ て 「身近な動物」 であ る オカ ダ ン ゴムシを材料 と し て, 生態系 におけ る分解
者の作用 を効率よ く 観察で き る実験系 を開発 し , 教材 と し ての有用性 を考察す る必要性 を感 じ た。 本研究では, 学校現場
に お い て容易 に入手 で き る と 考 え ら れ る植物 の葉 ( ソ メ イ ヨ シ ノ ・ イ チ ョ ウ ・ キ ャ ベ ツ ・ サ ツ マ イ モ ・ キ ンモ ク セ イ ・
モ ミ ジ) と 日本 で広 く 生息 し てい る オ カ ダ ン ゴム シ を材料 と し て用 い, 葉 の選好性 につい て観察 し , 摂食量 を比較 し た。
ま た, 雌雄 に よ っ て摂食量 に差があ る のか, ダ ン ゴム シは色や匂 い に よ っ て食べ る葉 を 選択 し て い る のかにつ い て も 検証
を行 っ た。 そ の結果, イ チ ョ ウ, キ ンモ ク セイ はほと ん ど摂食 さ れなか っ たが, ソ メ イ ヨ シノ , モ ミ ジは雌雄関係 な く よ
く 摂食 さ れ, 摂食速度 も 速かっ た。 ま た, 摂食痕 を確認で き たのは最短で 6 日 だ っ た。 こ れら の実験結果から , 身近 な動
物であ る ダ ン ゴムシを材料に, 生態系の分解者と し ての作用 を効率 よ く 観察で き る実験が可能であ るこ と が示 さ れた。
キ ーワ ー ド : 小 ・ 中学校, 身近 な生物, オ カ ダ ン ゴム シ, 生態系, 葉の選好性
2 . 調査 ・ 実験方法
1 . は じ めに
小 ・ 中学校の理科では, 自然の事物 ・ 現象 に親 し むな
ど具体的 な体験 を通 し て子 ども の身体的 な技能や豊かな
(1) ア ンケー ト 調査
大阪府豊中市内の小学校41校の中から 2 校を対象 と し
心情 を育む と と も に, 科学的 な見方や考え方の育成 を図
て調査 を行 っ た。 小学校の周 り にほ と ん ど自然が残 っ て
る こ と を目指 し てい る。 こ こ では, 実感 を伴 っ た体験活
お ら ず, 周辺は住宅地に囲ま れてお り , 商店街が近隣に
動の重要性が示 さ れてお り , 小 ・ 中 を通 し て自然科学教
存在する豊中市立克明小学校と , 豊中市内では自然が残っ
材が多 く 取 り 上げ ら れてい る。 し か し , 都市化に伴い児
てい る豊中市立北丘小学校で ア ンケー ト 調査 を実施 し た。
童 ・ 生徒 たちの自然や身近 な動物 に触 れる機会が減少 し
持つ傾向が感 じ ら れる。 小学校第 6 学年 「生物 どう しの
調査人数は, 小学生621名 (低学年 : 218名, 中学年 :
209名, 高学年 : 194名) および教員109名 (小学校教員 :
56名, 中学校教員 : 33名, 高等学校教員 : 16名, その他 :
つながり」 , 中学校第 3 学年 「自然界のつながり」 では,
4 名) であ っ た。
てお り , ま た, 学年進行 と と も に身近な動物に抵抗感 を
生態系 につい て学習す る単元であり , そこ では, 様々な
ア ンケ ー ト で調査 し た身近な動物は, 小学校の生活科
生物が登場 し て く る。 小 ・ 中学校の最終学年の生物界の
お よ び理科の教科書に登場す る12種の動物 ( カ マ キリ ,
中のつながり を学習す る と こ ろ で, 児童 ・ 生徒 に と っ て
バ ッ タ , ク ワ ガ タ ム シ , カ ブ ト ム シ , コ オ ロ ギ, セ ミ ,
身近 な動物が明 ら かに な れば, 教材 と し て有効に活用 で
カ エ ル, ザ リ ガ ニ , ダ ン ゴ ム シ, チ ョ ウ, メ ダ カ , カ タ
き る と 考え ら れる。 そ こ で, 児童 ・ 生徒に と っ て身近 な
ツ ムリ ) と し た。
動物 と は何かについ て, 児童 ・ 生徒およ び教員 を対象 に
ア ンケ ー ト 調査 を行 っ た。
一方, 小学校第 6 学年 「生物 どう し のつながり」 , 中
(2) ダ ン ゴムシの葉の選好性に関す る実験
詳細 な方法 につい ては, 以下 のそ れぞれの項目 で述べ
学校第 3 学年 「自然界のつながり」 では, 有機物 を分解
る。 こ こ では各項目に共通す る方法 を記す。 兵庫教育大
す る土壌生物につい て取 り 上げ ら れており , 多 く の教科
学構内または豊中市立克明小学校内よ り 採集 し た体長10
書 に , オ カ ダ ン ゴ ム シの葉 の分 解の様子が記載 さ れてい
る。 し か し , 具体的 な実験方法につい ては, 触 れら れて
mm前後のオ カ ダ ン ゴム シ (Armadi11idium vulgare) を使
用 し た。 採集後, 形態の違いから雌雄の判別 を行 っ た。
い ない。 こ れら のこ と を踏まえ , 児童 ・ 生徒に と っ て も ,
実験に用いた葉は, 兵庫教育大学の構内 ・ 周辺よ り 採集
教員 に と っ て も身近であ る動物 を用い て観察 で き る実験
し , 1 時間ほ ど水に浸漬 さ せた。 その後, 葉につい てい
系 を開発 し , 教材と し ての活用 を提案す る。
る水分 をふき取り , 2 cru x 2 cmには さ みで切り 取 っ た。
モ ミ ジのみ, 2 cru x 2 cmを確保 で き な か っ た た め, そ の
* 高概市立阿武野中学校
* * 兵庫教育大学大学院教科教育実践開発専攻理数系教育 コ ース 教授
* * * 兵庫教育大学大学院教科教育実践開発専攻理数系教育 コ ース 准教授
平成28年 6 月29日受理
学校教育学研究, 2016, 第29巻
80
② 黒 ・ 茶 ・ 黄緑 ・ 赤 ・ 白 ・ 黄 ・ 緑 ・ 橙の画用紙を切り ,
ま ま用い た。
透明 な直方体の プ ラ ス チ ッ ク 容器 (外形12cm X 8.5cm
X 4 cm, 容量300m1) の底 に, 水 で湿 ら せた濾紙 を敷き ,
円盤状 に し た も のを ラ ミ ネ ー ト 加工 し , 円形水槽には
め込んだ。 中心にオカ ダンゴムシを 1 匹放ち, 30秒後,
水道水 を毎日滴下するこ と で湿気を与え た。 こ の上に,
どの色に移動 し たかを観察 し た。 同一個体で 5 回繰り
葉 を置い て実験 を行 っ た。 容器のふたの代 わり に, 市販
返 し実験 を行い, 3 個体で行 っ た。
さ れてい る医 療用 ガーゼ を かぶせ, 周囲 を輪 ゴ ムで 止 め
た。 その上か ら 容器のふた を乗せ る よ う に し , 通気性 を
確保 し た。 温度, 日長は制御せず, 実験室内で実験を行っ
【実験 C : 雌雄 によ っ て摂食量に差はあ るのか】
容 器の中 に ソ メ イ ヨ シ ノ を入 れ, オ ス の み 5 匹 , メ ス
のみ 5 匹入 れ, 摂食速度 を観察 し た。
た。
3 . 結果
【実験 A : 木本 ・ 草本の選好性について】
学校内 で栽培 ま たは植樹 さ れてい る植物 につい て行 っ
(1) ア ンケ ー ト 調査結果
た。 草本 で あ る キ ャ ベ ツ ・ サ ツ マ イ モ お よ び木本 で あ る
学校 の周 り にほ と ん ど自然が残 っ てい ない都市近郊 の
キ ン モ ク セ イ ・ ソ メ イ ヨ シ ノ ・ イ チ ョ ウ ・ モ ミ ジ を 材料
小学校 と , 自然がた く さ ん残 っ てい る小学校の 2 校間の
と し て, 雌雄 3 匹ずつ プ ラ ス チ ッ ク容器に入 れ, 摂食の
調査結果におい ては, 身近 な動物 に関す る認識に大 き な
様子 を観察 し た。
差は見 ら れなかっ た。 また, 学年間 (低学年, 中学年,
【実験 B : 何 を手掛 かり と し て摂食 す る葉 を 選ぶのか】
①
高学年) におい て も 大 き な差は見 ら れなか っ た。
ソ メ イ ヨ シ ノ ・ イ チ ョ ウ ・ モ ミ ジ を材料 に, 茶 ・ 赤 ・
児童に と っ ての身近な生物 と し ては, ダ ン ゴムシ, バ ッ
黄の 3 色 を同一容器に入 れ, 摂食の様子 を観察 し た。
タ , チ ョ ウの順 に高 か っ た (図 1 ) 。 ま た , 触 っ た こ と
o
身近な動物はどれですか ?
■低学年
■中学年
0
0
0
0
0
9
0
0
8
0
0
7
0
0
6
0
0
5
0
0
4
0
0
3
0
0
2
0
0
1
0
0
、
4
図1
J
0
、
t
:
、
-)
児童に対 す る ア ンケ ー ト 調査結果 「身近な動物はど れですか ? 」
1 位 : ダ ン ゴムシ. 2 位 : バ ッ タ , 3 位 : チ ヨ ウ
o
触ったこ と のある動物は ?
0
0
0
:=
0
0
9
0
0
8
0
0
7
0
0
6
0
0
5
0
0
4
0
0
3
0
0
2
0
0
1
0
0
図2
児童に対 する ア ンケ ー ト 調査結果 「触 っ た こ と のあ る動物は ? 」
1 位 : ダ ン ゴ ムシ. 2 位 : バ ッ タ . 3 位 : セ ミ
児童 に と っ て身近 な動物で あ る ダ ン ゴ ムシの教材開発研究
81
のあ る動物は , ダ ン ゴ ム シ, バ ッ タ , セ ミ の順 で あ っ た
あ っ た。 さ ら に , 「 ダ ン ゴ ム シが好 き か」 と い う 質 問 に
(図 2 ) 。 その他, 捕 まえ た こ と のあ る動物は, バ ッ タ ,
対 し ては, 学年進行 に伴 っ て 「好 き」 の割合は減 っ てい
ダ ン ゴ ム シ, セ ミ で あ り , 飼 っ た こ と のあ る動物は, カ
る も のの, 「好 き」 , 「 どち ら か と い え ば好 き」 の割合が
ブ ト ム シ, ク ワ ガ タ , メ ダ カ で あ っ た。 ダ ン ゴ ム シに つ
高かっ た (図 3 ) 。 「 ダン ゴムシを触 るこ と がで き ますか」
い ては, 飼 っ た こ と のあ る動物 と し ては12種類中 9 位で
の質問 に対 し ては, 7 割以上の児童が触れる と 回答 し た
l 好 で かl?
ダ
合計
■好き
高学年
どちらかといえ
ば好き
どちらかといえ
ば嫌い
■嫌い
中学年
低学年
0.0
図3
10.0
20.0
30.0
40.0
50.0
60.0
70.0
80.0
90.0
100.0 %
児童に対 す る ア ンケ ー ト 調査結果 「 ダ ン ゴムシは好 き で す か ? 」
「好 き」 , 「 ど ち ら かと いえば好 き」 の割合が高い。
ダンゴムシを触ることができますか ?
合計
高学年
■触れる
l 今は触れる
今は触れない
中学年
■触れない
低学年
図4
0.0
20.0
40.0
60.0
80.0
100.0%
児童に対 す る ア ンケ ー ト 調査結果 「 ダ ン ゴムシ を触 る こ と がで き ま す か ? 」
7 割以上の児童が触 れる と 回答 し た。
% 身近な動物はどれですか ? (教員)
0
0
9
一
0
0
8
-
82.6
7
1
68.8
0
0
7
_
0 :1. : l
0
0
6
56.9
0
0
5
■
0
0
4
0
0
3
0
0
2
0
0
1
0
0
図5
47.7
l ,
2
36 7
.a
l l l ■ -j
29.4 _ 。
l. l. l. l. l. l. =
'. °
.
.
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.
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)
.
.
.
、
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教員に対 す る ア ンケ ー ト 調査結果 「身近な動物はど れです か ? 」
1 位 : セ ミ . 2 位 : ダ ン ゴムシ . 3 位 : バ ッ タ
学校教育学研究, 2016, 第29巻
82
(図4 ) 。
(2) ダ ン ゴムシの摂食に関す る実験結果
教員 に と っ ての身 近 な生物 と し ては, セ ミ , ダ ン ゴ ム
【実験 A】
木本の選好性 につい て , ソ メ イ ヨ シ ノ , イ チ ョ ウ, キ
シ, バ ッ タ で あ っ た (図 5 ) 。 ま た , 飼 っ た こ と が あ る
動物 と し ては12種類中12位 で あ っ た。 ま た, 「教員 か ら
ンモ ク セイ , モ ミ ジの比較 を行 っ た。 イ チ ョ ウよ り ソ メ
見 て児童 ・ 生徒は ダ ン ゴムシに対 す る抵抗感があ るか」
イ ヨ シノ の摂食速度が速 く , 2 週間程度あれば明確 な摂
と い う 質問に対 し ては , 小学校低学年 ではほ と ん ど抵抗
食の様子 を確認 で き る こ と がわか っ た (図 6 ) 。 ま た,
感がな く (84%) , 小学校高学年で も 「抵抗感がない」
キ ンモ ク セイ は摂食痕がな く , モ ミ ジは摂食痕が見 ら れ,
割合が高かっ た (63.3%) 。 一方で, こ の 「身近な動物」
7 日目 にはかな り 摂食 し てい た (図 7 ) 。 草本の選好性
であ る オ カ ダ ン ゴ ム シ を教材 と し て実 際に扱 っ てい る教
につい て, サ ツ マ イ モ , キ ャ ベ ツの比較 を行 っ た。 サ ツ
員が半数程度 と 低かっ た。
マイ モ , キ ャベ ツ どち ら で も摂食の様子は確認で き た。
こ れら の結果か ら , ダ ン ゴ ム シは児童や教員 に と っ て
し かし , サツマイ モ を摂食 し た個体は 4 日目ですべて死
身近 な動物 で あ る と 考え ら れる。 そ こ で , ダ ン ゴ ム シ を
減 し た。 ダ ン ゴム シは腐食 し てい ない葉 で も 摂食す る こ
材料 と し て教材化の検討 を試みた。
と が明 ら かに な っ た (図 8 ) 。
--
一 -
【実験A】 葉の種類(木本)
【実験B】 葉の色
ソメイヨシノ
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l
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,
l
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ll
r
、
_
、
・
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:
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・
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イチヨウ
-
1日目
9日目
図6
3日目
1 0日目
5日目
7日目
1 1日目
ダ ン ゴムシの葉の選好性の実 験結果 (木 本 : ソ メ イ ヨ シ ノ , イ チ ヨ ウ)
【実験A】 葉の種類(木本)
キンモクセイ
モミジ
1日目
図7
5日目
6日目
7日目
ダ ン ゴムシの葉の選好性の実験結果 (木 本 : キ ン モ ク セ イ , モ ミ ジ)
児童 に と っ て身近 な動物で あ る ダ ン ゴ ムシの教材開発研究
【実験 B】
83
実感 を伴 っ た体験活動がで き るのではないかと 考え た。
葉 の色の選好 性 に つい て , ソ メ イ ヨ シ ノ , イ チ ョ ウ ,
小学校第 6 学年 「生物 どう しのつながり」 , 中学校第 3
モ ミ ジでの比較 を行 っ た。 3 種すべ てにおい て, 緑葉 よ
学年 「自然界のつながり」 な どの, 生態系 につい て学習
り も茶葉のほ う が摂食速度は速か っ た。 ま た, 日数の経
す る単元 での活用が考え ら れる。 教科書におい て も 生態
過 と と も に葉が変色 し てい く こ と で, 黄葉 を摂食す る こ
系 の分解者 と し て ダ ン ゴム シが取 り 上げ ら れてい るが,
と も明 ら かにな っ た。 こ れら の結果 を図 6 , 図 9 に示す。
観察 ・ 実験の具体 につい ては記載 さ れてい ない。 そ こ で
さ ら に, 色画用紙 を使 っ た実験 では, そ れぞれの個体
ダ ン ゴ ム シの摂食 選好 性 を も と に , 学 校現場 にお い て短
で 5 回繰り 返 し 実験 を行 っ たが, 色に対 す る選好性の傾
期間で効率よ く 飼育 ・ 観察で き る実験系の確立 を目指 し
向は見 ら れなかっ た (図10) 。
た。 こ れま で , オ カ ダ ン ゴム シの葉の摂食 に関す る研 究
【実験 C】
と し ては複数報告 さ れてい るが (森正 ・ 松浪 2005, 松
浪 2009, 畦 ・ 谷口2012, 豊嶋 ・ 唐沢 2013) , 本研究で
雌雄 に よ る摂食量の違い を 観察す る ため に , ソ メ イ ヨ
シノ を使 っ て行 っ た。 実験開始日 よ り 11日目ま で, 経過
は, その中 で も っ と も多 く 取 り 上げ ら れてい るサ ク ラ を
観察 を行 っ たが, 雌雄 に よ る摂食量の差は見 ら れなか っ
比較材料 と し て用い, 他の材料 につい てはこ れま で調べ
た (図11) 。
ら れてい ない学校樹木や学校での栽培植物 を用い て行 っ
た。
4 . 考察
葉 の種類 と し ては, 木本 で は, ソ メ イ ヨ シ ノ やモ ミ ジ
を好 み, 約 2 週間 あ れば明確な摂食の様子 を観察す る こ
教育現場におい て扱 う 身近な動物の条件 と し ては, 生
息域が広い こ と , 親 し みがあ り 抵抗感が少 ない こ と , 危
と がで き た こ と から , 学校現場におい て も , 2 週間程度
険性がな く 触 れる こ と がで き る こ と な どが考え ら れる。
の計画 を も と に観察実験 を行 う こ と が可能 で あ る と 考え
児童 に対 す る ア ンケ ー ト 調査の結果か ら , ダ ン ゴ ム シが
ら れる。 色画用紙 を使 っ た実験か ら , 色 を認識 し て摂食
児童 に と っ て も 教員 に と っ て も身 近 な動物 で あ る こ と が
し てい るのでは ない こ と が考え ら れ, 葉 の色の違い と い
明 ら か と な っ た。 そ こ で , ダ ン ゴ ム シ を材料 と し て教材
う よ り む し ろ葉の匂いや化学物質 を手がかり と し て, 葉
開発がで き れば, 児童に と っ てよ り 身近に感 じ ら れたり ,
を選好 し てい る可能性が考え ら れる。 こ のこ と から , 学
【実験A】 葉の種類(草本)
サツマイモ
キヤベツ
1日目
図8
3日目
7日目
9日目
ダ ン ゴムシの葉の選好性の実 験結果 (草本 : サツ マ イ モ , キ ヤペ ツ)
【実験B】 葉の色 (モミジ)
赤
茶
1日目
図9
5日目
7日目
ダ ン ゴムシの葉の色に対 す る選好性の実験結果 (木本 : モ ミ ジ)
学校教育学研究, 2016, 第29巻
84
校 での実験 では, 木本 を利用す る場合はで き る だけ枯 れ
寺尾愼一
て茶色 く な っ た葉 を材料 と し使用す る こ と が望ま し い。
ま た, 草本 で あ る キ ャ ベ ツ な ども利用可能 で あ る こ と も
ほか15名 (2016)
わ く わ く せいかつ
寺尾愼一
明 ら かと な っ た。
啓林館.
ほか15名 (2016)
い き い き せいかつ
本研究は, 小学校第 6 学年, 中学校第 3 学年におけ る
上
平成28年度用教科書
下
土井徹 ・ 林武広 (2015)
平成28年度用教科書
啓林館.
外来種の取り 扱いに関す る教
生態系の身近な分解者につい ての単元で利用 で き る と 考
科書分析 と 授業実践によ る児童の認識の変容
え てい るが, 気候の変化 に影響 さ れない実験系 の確立 を
教育研究 39(3) , pp 212-224.
し なけ ればな ら な い。 オ カ ダ ン ゴ ム シは, 冬季 に な る と
豊嶋雅智 ・ 唐沢重考 (2013)
な季節限定の材料 では な く , 時期 を選ばずに実験で き る
餌 を探 さ な く ては な ら ない。 そ こ で , 乾燥 し た も の な ら
オ カ ダ ン ゴムシにおけ る
ク ス ノ キ落葉の摂食につい て
活動量が減少 し , 採集が困難に な る。 ま た, 落葉のよ う
科学
福岡教育大学紀要
62(3) , pp.19-26.
松浪俊明 (2009)
ダン ゴムシの葉の選択性 を調べ る た
摂食の様子 を観察で き る可能性があ る と 考え, 緑茶 ・ ほ
めの実験と 観察 京都教育大学環境教育研究年報
う じ茶 ・ 煎茶な どの茶葉, 市販のキ ャベ ツ な ど容易 に入
17, pp 97-105.
手 で き る も ので代用がで き ないか, 今後検討す る必要が
森正恵 ・ 松浪俊明 (2005)
小学校理科教材と し ての土
壤動物 オ カ ダ ン ゴム シによ る落葉の摂食 に関す る諸
あ る。
実験 京都教育大学環境教育研究年報 13, pp.1-9.
吉川弘之 ほか58名 (2016)
平成28年度用教科書
5 . 参考文献
石浦章一 ほか50名 (2016)
平成28年度用教科書
わく わく 理科 3 年~ 6 年 啓林館.
畦浩二 ・ 谷口智昭 (2012)
児童の 「食物連鎖」 に対す
る科学的な見方や考え方 を育成す るための実験
オ カ ダ ン ゴ ム シ と ク マ ワ ラ ジ ム シの葉 の選好 性 を 中
未来へ ひろが るサイ エ ンス
1年~ 3年
ア ンケー ト 調査に ご協力い ただい た豊中市立克明小学
校の山岡邦美校長先生およ び豊中市立北丘小学校の鈴木
暁子校長先生に深 く 感謝い た し ます。
心に一 Hikobia 16, pp 257-265.
【実験B】 色の認識
2
3
4
5
No.1 黄緑
茶
緑
黄緑
橙
No 2 黄
茶
赤
x
x
No 3 黄
黄緑
黄
、、
・里
、、
・里
1
l
x: 30秒間静止
図10
ダ ン ゴムシの色に対 す る 選好性の実験結果
【実験c】 雌雄差
♀
♂
1日目
図11
3日目
啓林館.
5日目
7日目
ダ ン ゴ ムシの雌雄に よ る摂食量の比較 (木 本 : ソ メ イ ヨ シ ノ )
l
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