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第 4 章 在日日本語学校生の留学意識に関するアンケート調査 第 1 節

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第 4 章 在日日本語学校生の留学意識に関するアンケート調査 第 1 節
第4章
在日日本語学校生の留学意識に関するアンケート調査
第1節
調査対象の属性
1.日本語学校生サンプル数
表 4-1-1 調査対象学校とサンプル数
学 校 名
アジア学生文化協会留学生日本語コース
新宿日本語学校
合 計
サンプル数
191
142
333
構成比
57%
43%
100%
本調査で調査対象としたのは、すでに日本に滞在し、日本語学校に通学する留学生・就
学生である。日本語学校として選ばれたのは、日本語教育で実績のあるアジア学生文化協
会の留学生日本語コースと新宿日本語学校である。表 4-1-1 に示すように、総サンプル数
は 333 であり、そのうち半分強の 57%がアジア学生文化協会留学生日本語コースの所属学
生、40%強が新宿日本語学校の所属学生である。また、有効回答は 328 であった。
2.性別構成
表 4-1-2 性別構成
性 別
男 性
女 性
無回答
全体
回答数
140
188
5
333
構成比
42%
56%
2%
100%
図 4-1-1 性別構成
性別構成は、表 4-1-2、図 4-1-1 の通りである。これらの図表に示すように、回答者は
男性より女性の方が多い。女性の回答者が多いことは、本留学生研究グループが行った中
国やマレーシアの留学意識に関する調査との共通点である。
3. 年齢構成
調査サンプルの年齢構成は、表 4-1-3、図 4-1-2 の通りである。回答者の中で 21 歳以上
- 90 -
25 歳以下の学生の構成比が 38%と最も高い。次に構成比が高いのは 20 歳以下の学生で回
答者の 36%を占めている。ただし、26 歳以上 30 歳以下の学生も 21%含まれ、さらに 31 歳
以上も 4%含まれている。このように回答者の年齢の幅が広いことがこの調査の特徴となっ
ている。
表 4-1-3 年齢構成
年 齢 回答数
20歳以下
120
21~25歳
128
26~30歳
70
31歳以上
12
無 回 答
3
合 計
333
構成比
36%
38%
21%
4%
1%
100%
図 4-1-2 年齢構成
4.出身地(国・地域)の構成
回答者の出身国・出身地域の内訳は表 4-1-4 と図 4-1-3 に示すとおりである。ここから
明らかなように、最多は台湾出身者の 66 名であり、1 名差で韓国出身者が続く。この2国
に次ぐのが 56 名の香港であり、回答者の中で 4 番目に多いのはマレーシア出身者である。
他方、日本の高等教育機関への留学生数では他国を圧している中国の出身者は、この調査
においては 37 名で構成比は 11.1%にすぎず、しかも、台湾、韓国、香港、マレーシア、
中国以外の国を母国とする回答者も 20.4%を占めている。回答者の出身国・地域が多様性
に富んでいることが本調査の対象の特性の一つである。
- 91 -
表 4-1-4 出身地(国・地域)構成
国・地域名
実数
割合
台 湾
66
19.8%
韓 国
65
19.5%
香 港
56
16.8%
マレーシア
41
12.3%
中 国
37
11.1%
ベトナム
17
5.1%
タ イ
11
3.3%
インドネシア
11
3.3%
ミャンマー
5
1.5%
フランス
5
1.5%
ブラジル
4
1.2%
シンガポール
3
0.9%
その他
12
3.6%
合 計
333
100%
図 4-1-3 出身地(国・地域)構成
5.日本留学前の学歴
表 4-1-5 と図 4-1-4 に示されているように、日本留学前の最終学歴のうち最も構成比が
高いのが大学学部である。これに大学院修士・博士課程の修了者を加えると 42%となり、
これらの回答者は日本の後期高等教育(大学院)への進学を目的として日本語学校に在学
している学生である。大学学部卒に次いで多いのが高等学校卒業者で 31%を占める。この
高卒者に準じるのが中等専業学校 Form5 および Form6 の卒業者であり、このグループの
構成比と高卒者の構成比を合計すると、49%と回答者のほぼ半数を占める。したがって、
回答者の半分弱が後期高等教育への進学を目的とし、半分強が高等教育への進学を希望し
ていると言えるだろう。
92
- 92 -
表 4-1-5 日本留学前の学歴
日本留学前学歴
1.高等学校(高中)
2.中等専業学校(職業・技工学校)
3.大学学部
4.大学院修士
5.大学院博士
6.短期大学
7.Form 5
8.Form 6
9.その他
無回答
合 計
回答数
103
21
126
10
2
14
33
6
11
7
333
構成比
31%
6%
38%
3%
1%
4%
10%
2%
3%
2%
100%
図 4-1-4 日本留学前の学歴
6.日本留学前の学歴を修了した地域(母国で卒業 or 第 3 国で卒業)
表 4-1-6 および図 4-1-5 に示すように、回答者の 9 割弱が日本留学前の学歴を母国で終
了したと回答している。留学前の学歴を母国ないし日本で終えた回答者が圧倒的に多い。
表 4-1-6 日本留学前の学歴を修了した地域(母国で卒業ないし第 3 国で卒業)
1.母国で卒
2.母国以外
業
で卒業
実数
289
割合
87%
3 未回答
全体
26
18
333
8%
5%
100%
93
- 93 -
図 4-1-5 日本留学前の学歴を修了した地域(母国で卒業ないし第 3 国で卒業)
7 最終学歴修了後の経年数
最終学歴を終了してから現時点までどの程度の期間が経過したかを尋ねた結果を示し
たのが表 4-1-7 と図 4-1-6 である。最も多かった回答は 1 年未満で 37%の構成比であるが、
1 年以上 2 年未満も約 30%を占めていた。他方、2 年以上が全体の 3 分の 1 弱であった。
表 4-1-7 最終学歴後の経年数
経年数
1年未満
1年以上2年未満
2年以上3年未満
3年以上4年未満
4年以上5年未満
5年以上
無回答
計
回答数
124
95
28
29
21
31
5
333
構成比
37%
29%
8%
9%
6%
9%
2%
100%
図 4-1-6 最終学歴後の経年数
21
6%
5
2%
31
9%
124
37%
29
9%
1. 0~1年
2. 1年~2年
3. 2年~3年
4. 3年~4年
5. 4年~5年
28
8%
6. 5年以上
未回答
95
29%
94
- 94 -
第2節
アンケート調査の分析結果
1. Q6 日本語学校卒業後の進路
Q6 では日本語学校卒業後の進路について尋ねた。回答は「日本」、
「母国」、
「日本・母国
以外の第 3 国」で、進学を希望するか就職を希望するか選択してもらった。さらにサブ・
クエスチョンとして進学の場合は「1.専門学校進学」
「2.短期大学進学」
「3.大学学部進学」
「4.大学院(修士)進学」「5.大学院(博士)進学から選択」し、就職の場合は「1.私企業へ就
職」「2.自営業(企業経営)」「3.政府系機関・公務員」「4.教育関係(教師・研究者等) 」「5.
専門職(医・歯科医・弁護士・会計士等)」「6.その他」の各選択肢から選んでもらった。その
結果、表 4-2-1 の通り日本での進学、就職を希望する者は全体の 67%(223 人)であり、
母国へ帰国する者は 17%(56 人)、また第 3 国での進学、就職を希望する者は 3%(9 人)
であった。日本語学校は留学生が大学等へ進学するための主要な経路となっている状況が
確認できる。14%に当たる 45 人が未定・未回答となっており、日本に残るか母国に帰るか
結論を出していない状況と考えられる。
表 4-2-1 卒業後の進路
卒業後
1.日本
2.母国
3.第 3 国
未定・未回答
全 体
実数
223
56
9
45
333
割合
67%
17%
3%
14%
100%
図 4-2-1 卒業後の進路
卒業後の進路
詳細
日本語学校卒業後の詳細を表 4-2-2 で分析した。日本で進学を希望する者は約 6 割の
59%(197 人)で最も多く就職を希望する者は 7%(22 人)であった。数年前までは、日
本語学校から直接就職するケースは稀であったが、最近は直接日本で企業等に就職する事
例も見受けられるようになっていると考えられ、その状況を反映しているといえるかもし
れない。母国に帰国する予定の者は 17%(56 人)であり、そのうち 19 人が進学、34 人が
就職を希望している。
95
- 95 -
表 4-2-2 卒業後の進路 詳細
どこで
項目
日本で
進学か就職か
実数
割合
223
67%
項目
実数
進学
197
進学先希望内訳
割合
項目
59%
専門学校
短大
学部
大学院
大学院博士
母国で
第 3 国で
56
9
17%
3%
未定
45
14%
総計
333
100%
就職
22
7%
未定
4
1%
進学
19
6%
就職
34
10%
進学
6
2%
就職
3
1%
実数
割合
39
1
12%
0%
115
35%
40
2
12%
1%
※割合の母数はすべて 333
2 Q7 日本留学の理由
Q7 では、日本留学を希望する理由について尋ねた。回答形式は、留学を希望する理由を、以
下の選択肢からすべて回答してもらう複数回答である。
表 4-2-3 留学理由(複数回答可)
希望理由
1.高度な学問や技術
2.経済経営の先進性
3.文化の魅力
4.地理的近さ
5.言語文化の近さ
6.親戚知人の存在
7.アルバイトの可能性
8.生活安全・治安の良さ
9.希望の職種に有利
10.奨学金の得やすさ
11.日本語への興味
12.その他
合 計
実数
146
84
176
58
82
46
16
69
91
25
182
9
333
96
- 96 -
割合
44%
25%
53%
17%
25%
14%
5%
21%
27%
8%
55%
3%
100%
図 4-2-2 留学理由(複数回答)
0%
10%
20%
30%
40%
1.高 度 な 学 問や 技 術
50%
60%
44%
2.経 済 経 営 の 先 進 性
25%
3.文 化 の 魅 力
53%
4.地 理 的 近 さ
17%
5.言 語 文 化の 近 さ
25%
6.親 戚 知 人 の 存 在
14%
7.ア ル バ イ トの 可 能 性
5%
8.生 活 安 全 ・治 安の 良 さ
21%
9.希 望 の 職 種に有 利
27%
10.奨 学 金 の 得 や す さ
8%
11.日 本 語 へ の 興 味
55%
12.その他
3%
選択肢は、「1.高度な学問や技術 」「2.経済経営の先進性」「3.文化の魅力・興味」「4.地
理的近さ」
「5.言語文化の近さ」
「6.親戚知人の存在」
「7 アルバイトの可能性」
「 8.生活安
全・治安の良さ」
「9.希望の就職に有利」
「10.奨学金の得やすさ」
「11.日本語への興味」
「12.
その他」の 11 個である。
結果は表 4-2-3、図 4-2-3 の通りである。最も多く選択されたものは「11.日本語への興
味」(55%)であり、次に「3.文化の魅力」(53%)、で共に 50%を超えている。次に「高度
な学問や技術」(44%)が続いている。「2 経済経営の先進性」、「5.言語文化の近さ」、「9.
希望の就職に有利」はそれぞれ 25%前後となっている。
最も重要な留学理由
表 4-2-4 最も重要な留学理由(降順)
希望理由
実数
割合
1.高度な学問や技術
82
25%
11.日本語への興味
72
22%
3.文化の魅力
51
15%
9.希望の職種に有利
37
11%
2.経済経営の先進性
23
7%
5.言語文化の近さ
10
3%
6.親戚知人の存在
8
2%
8.生活安全・治安の良さ
6
2%
4.地理的近さ
5
2%
10.奨学金の得やすさ
4
1%
7.アルバイトの可能性
2
1%
12.その他
6
2%
未回答
合 計
97
- 97 -
27
8%
333
100%
図 4-2-3 最も重要な留学理由(降順)
さらに Q7 のサブ・クエスチョンとして、留学を希望する理由の中で最も大きいものは
何かを尋ねた。回答形式は、先の Q7 の選択肢の中から、留学を希望する第一の理由を 1
つだけ回答してもらう単一回答形式であり、先の複数回答形式とは異なっている。表 4-2-4、
図 4-2-3 の通り「高度な学問や技術」が 25%(82 人)で、2 位の「日本語への興味」、3
位の「文化の魅力」を押さえて 1 位となっている。日本の学問的、技術的先進性がアジア
ではアッピール力を維持していることが伺える。第 4 位は「希望の職種に有利」11%(37
人)となっており、第 4 位までで約 4 分の3を占めている。
3
Q8 日本留学情報の入手先
Q8 では、日本留学の情報入手先を尋ねた。Q7 と同様に回答形式は、留学を希望する理
由を、以下の選択肢からすべて回答してもらう複数回答である。選択肢は「1.日本広報セ
ンター(日本大使館広報センター・JASSO・JAPAN FOUNDATION 等)で」
「2.日本留学説
明会・留学フェアで」
「3.留学代理店で」
「4.ホームページで」
「5.日本留学経験者(先輩・
知人・友人)から」「6.入学希望の学校に直接問合わせて」「7.留学関連の出版物で」「8.
母国の政府教育機関に問い合わせて」
「9.母国の学校や先生に相談して」
「10.母国の日本語
学校の紹介で」「11.在日の親せき・知人から」「12.その他」の 12 項目である。
98
- 98 -
表 4-2-5 日本留学情報の入手先(複数回答可)
日本留学情報源
実数
割合
1 日本広報センター
117
35%
2.日本留学フェア
97
29%
3.留学代理店
92
28%
4.ホームページ
149
45%
5.日本留学経験者から
22
7%
6.学校に直接問い合わせ
31
9%
7.留学関連の出版物
12
4%
8.母国の政府教育機関へ問合せ
28
8%
9.母国の学校や先生に相談して
62
19%
10.母国の日本語学校の紹介で
63
19%
11.在日の親戚・知人から
11
3%
12.その他
8
2%
333
100%
合 計
図 4-2-4 日本留学情報の入手先(複数回答)
0%
10%
20%
30%
29%
2.日本留学フェアー
28%
3.留学代理店
45%
4.ホームページ
7%
5.日本留学経験者から
9%
6.学校に直接問い合わせ
4%
8%
8.母国の政府教育機関へ問合せ
9.母国の学校や先生に相談して
19%
10.母国の日本語学校の紹介で
19%
11.在日の親戚・知人から
12.その他
50%
35%
1日本広報センター
7.留学関連の出版物
40%
3%
2%
結果は表 4-2-5 ,図 4-2-4 の通りである。最も多く選択されたものは「ホームページ」
(45%)であり、約半数近くの者がインターネット上で情報を得ていた。第 2 位は「日本の
広報センター」が 35%(117 人)、第 3 位は「日本留学フェア」29%(97 人)、
「留学代理店」
28%(92 人)と続いている。インターネットを通じホームページ上で取得できる情報は、
最もアクセスしやすい情報源となっていると言える。また、
「母国の学校の先生に相談して」、
「母国の日本語学校の紹介で」もそれぞれ 19%となっており、影響力が大きい。
最も有用な日本留学情報
Q8 のサブ・クエスチョンとして、日本留学情報の入手先の中で最も有用なものは何かを
尋ねた。回答形式は、先の Q8 の選択肢の中から、留学を希望する第一の理由を 1 つだけ回
答してもらう単一回答形式である。
99
- 99 -
表 4-2-6 最も有用だった日本留学情報の入手先
収集方法
実数
割合
5.日本留学経験者から
83
25%
2.日本留学フェアー
42
13%
10.母国の日本語学校の紹介で
36
11%
3.留学代理店
35
11%
11.在日の親戚・知人から
31
9%
4.ホームページ
29
9%
1 日本広報センター
19
6%
6.学校に直接問い合わせ
11
3%
9.母国の学校や先生に相談して
11
3%
8.母国の政府教育機関へ問合せ
5
2%
7.留学関連の出版物
3
1%
12.その他
7
2%
未回答
21
6%
全体
333
100%
図 4-2-5 最も有用だった日本留学情報の入手先(複数回答)
結果は表 4-2-6、図 4-2-5 の通りで「日本留学経験者から」が 25%(83 人)、2 位は「日
本留学フェア」で 13%(42 人)、3 位は 11%で「母国の日本語学校の紹介」
「留学代理店」が
並んだ。Q8 の複数回答と比較すると、一般的な情報としてインターネットや広報センター
での情報を参照するものの、最終的に学校選択を決定する際は、日本留学経験者から直接
状況を聞いたり、日本留学フェアや留学代理店で担当者等から直接話を聞くなど、フェイ
ス
トゥー
フェイスで得る情報が最も有用であると判断していることが見て取れる。
100
- 100 -
4 留学先の候補 希望順
留学希望第1位
表 4-2-7 留学希望 第 1 位
国名
1.日本
2.USA
3.カナダ
4.イギリス
5.オーストラリア
6.フランス
7.ドイツ
8.ロシア
9.韓国
10.中国
11.台湾
12.中国(香港)
13.タイ
14.シンガポール
15.マレーシア
16.ニュージーランド
17.その他
未回答
全体
実数
230
33
3
29
9
1
3
0
1
3
3
0
0
2
1
4
3
8
333
割合
69%
10%
1%
9%
3%
0%
1%
0%
0%
1%
1%
0%
0%
1%
0%
1%
1%
2%
174%
図 4-2-6 留学希望代位 1 位
Q9.希望国:第一希望
0%
10%
1.日本
2.USA
3.カナダ
6.フランス
7.ドイツ
1%
9%
3%
0%
1%
0%
9.韓国
0%
10.中国
11.台湾
1%
1%
0%
0%
14.シンガ… 1%
0%
15.マレーシア
16.ニュー … 1%
17.その他
未回答
40%
50%
60%
70%
69%
8.ロシア
12.中国(香港)
13.タイ
30%
10%
4.イギリス
5.オーストラ…
20%
1%
2%
101
- 101 -
80%
留学希望第2位
表 4-2-8 留学希望 第 2 位
国名
1.日本
2.USA
3.カナダ
4.イギリス
5.オーストラリア
6.フランス
7.ドイツ
8.ロシア
9.韓国
10.中国
11.台湾
12.中国(香港)
13.タイ
14.シンガポール
15.マレーシア
16.ニュージーランド
17.その他
未回答
全体
実数
49
91
20
61
27
14
10
3
3
4
2
3
0
7
0
8
4
27
333
割合
15%
27%
6%
18%
8%
4%
3%
1%
1%
1%
1%
1%
0%
2%
0%
2%
1%
8%
100%
図 4-2-7 留学希望 第 2 位
0%
10%
1.日本
20%
Q9.希望国:第二希望
30%
40%
15%
2.USA
27%
3.カナダ
6%
4.イギリス
18%
5.オーストラリア
8%
6.フランス
4%
7.ドイツ
3%
8.ロシア
1%
9.韓国
1%
10.中国
1%
11.台湾
1%
12.中国(香港)
1%
13.タイ 0%
14.シンガポール
2%
15.マレーシア 0%
16.ニュージーランド
17.その他
未回答
2%
1%
8%
103
- 102 -
50%
60%
70%
80%
留学希望第 3 位
表 4-2-9 留学希望 第 3 位
国名
1.日本
2.USA
3.カナダ
4.イギリス
5.オーストラリア
6.フランス
7.ドイツ
8.ロシア
9.韓国
10.中国
11.台湾
12.中国(香港)
13.タイ
14.シンガポール
15.マレーシア
16.ニュージーランド
17.その他
未回答
全体
実数
22
47
34
55
25
28
13
1
5
11
10
4
1
9
2
8
7
51
333
割合
7%
14%
10%
17%
8%
8%
4%
0%
2%
3%
3%
1%
0%
3%
1%
2%
2%
15%
100%
図 4-2-8 留学希望第 3 位
0%
10%
1.日本
20%
7%
2.USA
3.カナダ
14%
10%
4.イギリス
17%
5.オーストラリア
8%
6.フランス
7.ドイツ
8.ロシア
30%
8%
4%
0%
9.韓国
10.中国
2%
3%
11.台湾
12.中国(香港)
3%
1%
13.タイ
14.シンガポール
0%
3%
15.マレーシア
1%
16.ニュージー… 2%
2%
17.その他
未回答
15%
104
- 103 -
40%
50%
60%
70%
80%
Q9 では、留学を希望する地域を尋ねた。回答形式は、以下の選択肢から留学を希望する
国(地域)を、第一希望から第三希望までそれぞれ回答してもらうものである。選択肢は
「1.アメリカ合衆国」
「2.カナダ」
「3.イギリス」
「4.フランス」
「5.ドイツ」
「6.ロシア」
「7.
日本」
「8.韓国」
「9.中国」
「10.中国(香港)」
「11.タイ」
「12.シンガポール」
「13.台湾」
「14.
オーストラリア」
「15.ニュージーランド」
「16.その他(具体的に:)」
「17.希望しない」の
17 ヵ国(地域)である。
第一希望の結果は、表 4-2-7、図 4-2-6 の通りである。在日日本語学校生は、留学希望
先の第一位として日本が選ばれるのは当然であると思われるが、留学希望第一位の結果を
みると日本は 69%である。つまり、在日日本語学校生の 31%は日本が留学の第一希望先では
なかったということになる。日本以外の留学希望先として挙げられている上位は、10%がU
SA、9%がイギリスである。USAとイギリスはアジア人には人気の留学先であるが、在
日日本語学校生にもそうした希望をもった学生が多くいることになる。留学希望先第二位
をみると、在日日本語学校生の潜在的留学希望先がよりはっきりする。USA が 27%で最も多
く、次いで 18%がイギリスである。日本はそれらに次ぐ 15%で第三番目である。その後、オ
ーストラリア 8%、カナダ 6%が続いている。
留学希望先第三位をみると、同様の結果がみられる。ただしイギリスが 17%で最も多く、
USA が 14%、オーストラリア、フランスが 8%、それに続いて日本が 7%である。
こうした調査で見えるのは、日本にいる日本語学校生の潜在的留学希望先であり、こう
した米国、イギリス、オーストラリア、フランスなどの諸国は、留学先として日本のライ
バル国であり、留学先候補としての競争相手ということになる。
105
- 104 -
第3節
留学魅力度7ヵ国比較
1.7ヵ国の魅力度の加重平均による比較 ~日本語学校生~
表 4-3-1 7 カ国の設問毎の加重平均の比較
A.大学の知名度・学位
B.教育の質
C.雇用の展望
D.授業料の安さ
E.奨学金の充実
F.生活のしやすさ
G.生活の安全
H.成熟した経済社会
I.大衆文化への魅力
J.言語的負担
K.入国ビザの取得
L.入学しやすさ
M.親族・知人の人脈
米国
英国
豪州
日本
韓国
中国
4.6
4.4
4.5
2.4
3.6
2.9
2.6
4.3
4.0
3.5
3.3
3.7
3.0
4.5
4.3
4.4
2.2
3.3
2.7
3.3
4.3
4.0
3.4
3.4
3.5
2.5
3.4
3.6
3.7
3.0
3.2
3.2
3.4
3.7
3.5
3.4
3.7
3.8
2.6
3.9
3.9
3.9
2.6
3.7
3.1
4.2
4.4
4.2
3.3
3.4
3.4
3.2
2.6
2.7
2.8
3.3
2.7
2.9
3.4
3.1
3.2
2.2
3.5
3.1
2.0
2.8
2.8
2.9
3.7
2.4
3.3
2.1
2.8
2.7
3.1
3.7
3.6
2.3
シンガ
ポール
2.8
3.0
3.0
3.1
2.8
3.1
3.7
3.5
3.1
3.5
3.7
3.4
2.2
図 4-3-1 7 カ国の設問毎の加重平均の比較
5.0 4.5 4.0 3.5 3.0 米国
2.5 英国
2.0 豪州
1.5 日本
韓国
1.0 中国
0.5 シンガポー
ル
0.0 A
.
大
学
の
知
名
度
・
学
位
B
.
教
育
の
質
C
.
雇
用
の
展
望
D
.
授
業
料
の
安
さ
E
.
奨
学
金
の
充
実
F
.
生
活
の
し
や
す
さ
G
.
生
活
の
安
全
H
.
成
熟
し
た
経
済
社
会
I
.
大
衆
文
化
へ
の
魅
力
J
.
言
語
的
負
担
K
.
入
国
ビ
ザ
の
取
得
L
.
.
入
学
し
や
す
さ
M
.
親
族
・
知
人
の
人
脈
本節では、在日日本語学校の学生からみた米国、英国、豪州、日本、韓国、中国、シン
ガポールの 7 カ国の留学先魅力度としての違いを比較検討する。数値は 5 件法による評価
尺度の平均得点である。点数は 1~5 になっており 5 点に近い方が評価は高い。
106
- 105 -
この調査では、いずれの学生も母国の評価を除いている。また、サンプル誤差による理
由から台湾、シンガポール出身の学生については、中国評価から除外している。その評価
結果が表 4-3-1、図 4-3-1 である。
日本語学校生が、日本を最も高く評価していた項目は、「奨学金の充実」3.7 ポイント、
「生活の安全」4.2 ポイント、「成熟した経済社会」4.4 ポイント、「大衆文化の魅力」4.2
ポイント、「親族・知人の人脈」3.2 ポイントである。「成熟した経済社会」に対する評価
が最も高いが、相対的な評価で見ると、「生活の安全」が第二位の豪州の 3.4 ポイントと
0.8 ポイント差があり、最も高く評価されている。しかし、
「生活の安全」は中国、マレー
シアの日本を比較的良く知っていると思われる日本語専攻学生の間でもそれほど評価が高
くなかった。したがって、これは日本で生活したものだけが知る生活実感を反映している
と考えられるが、日本が安全であるという生活情報の発信力の弱さを示しているとも考え
られる。その他の「親族・知人の人脈」も評価が高いが、日本国内在住者であるため当然
の結果と言えよう。また「奨学金の充実」に対する評価も他の諸国と比較して最も高く、
これも日本で生活したものの実感を反映している。しかし、海外における認識との乖離が
大きく、海外への情報発信力の問題として捉えるべき課題となろう。
「大学の知名度・学位」「教育の質」「雇用の展望」に関しては、日本の評価は、米国の
4.6、4.4、4.5、英国の 4.5、4.3、4.4 についで第三位の 3.9、3.9、3.9 である。これらの
評価項目は、中国調査、マレーシア調査でも第三位であり、アジア諸国の日本留学期待に
対する正当な内容を反映していると言えよう。
1.在日日本語学校生とマレーシアおよび中国の日本語専攻学生との比較
表 4-3-2 在日日本語学校生とマレーシアおよび中国の日本語専攻学生との比較
A.大学の知名度・学位
3.9
マレーシア
日本語専攻学生
3.9
B.教育の質
3.9
3.7
4.2
C.雇用の展望
3.9
3.8
4.3
D.授業料の安さ
2.6
2.6
2.9
項 目
日本語学校生
中国
日本語専攻学生
4.1
E.奨学金の充実
3.7
3.0
3.8
F.生活のしやすさ
3.1
3.2
3.8
G.生活の安全
4.2
3.6
3.9
H.成熟した経済社会
4.4
4.1
4.5
I.大衆文化への魅力
4.2
4.3
4.1
J.言語的負担
3.3
3.5
3.6
K.入国ビザの取得
3.4
2.4
3.4
L..入学しやすさ
3.4
3.0
3.5
M.親族・知人の人脈
3.2
1.2
2.3
107
- 106 -
図 4-3-2 在日日本語学校生とマレーシアおよび中国の日本語専攻学生との比較
ここでは、日本の評価だけを取り上げて、中国とマレーシアの日本語専攻学生の評価と
日本語学校生の評価を比較している。前節と同様に 5 件法による評価尺度の平均得点であ
る。
在日日本語学校生の示した傾向は、大変興味深いことに、中国における日本語専攻学生
に非常に近い。この理由には、在日日本語学校生の中に中国、台湾、韓国、シンガポール
など東アジアの漢字圏の学生の合計が 7 割程度含まれていることが関係しているかもしれ
ないが、さらに細かい分析が必要である。ちなみに、当調査での中国の出身者は 11%程度
なので、それが直接影響しているとは言えない。
中国とマレーシアの比較はすでに第 3 章第 2 節で行っているので、ここでの記述は、中
国とマレーシアの日本語専攻学生と、すでに日本に留学している日本語学校生の違いを中
心に、共通点についても興味深いところは取り上げて分析をまとめる。
中国の日本語専攻生と日本語学校生の最も大きな違いは「F.生活のしやすさ」が中国の
日本語専攻学生の 3.8 ポイントから日本語学校生の 3.1 ポイントに大幅に低くなっている
ことである。渡日前は生活について楽観的であったが、実際に渡日して日本語学校で生活
を始めると考えていたよりも苦しいということを表しているのであろう。
次に低下傾向が見えるのは、0.3~0.4 ポイントとそれほど大きな差ではないが、「C.雇
108
- 107 -
用の展望」、「B.教育の質」、「J.言語的負担」である。尋ねているのは日本語学校の教育の
ことではなく、大学の教育についてであるが、日本に来てより詳しい情報が入手されるこ
とになり、若干の低下を見せたのかもしれない。雇用についても、現在日本も長期の不況
から十分に回復しておらず、リーマンショックの影響からも脱していないので、外国人に
とっては少なくとも日本での就職は厳しさを増している。そのような影響があると思われ
る。
「J.言語的負担」については、実際に渡日して生活や勉強を始めると、予想を上回って
言語的な負担が大きいという実感を抱いているのではないだろうか。
逆にポイントが多少上昇しているのは、「G.生活の安全」である。実際の日本に生活し
てみて、かなり安全であることを実感していると思われる。この項目については、先に示
したように、7 カ国の比較でみても他国より大幅に得点が高く、日本の安全を高く評価し
ていることがわかる。
「M.親族・知人の人脈」について 0.9 ポイントと大幅に高くなっているが、これについ
ては実際に親族や知人がいる学生が渡日したという結果なのか、あるいは知人が渡日後に
増えてたことから影響を受けての上昇なのかは定かでない。ただし、うがった見方ではあ
るが、実際に日本語学校生は今後日本と母国との橋渡しの役割を自らが果たすことになり、
このような人脈が留学の入り口となる可能性について評価を高めたとみなすこともできる。
マレーシアの日本語を専攻している学生と在日日本語学校生の評価比較では、大学の知
名度、教育の質、雇用の展望でほぼ 3.9 ポイント、また大衆文化への魅力、成熟した経済
社会への評価はともに 4 ポイントを超えて高い評価得ている。授業料の安さについては 2.5
ポイントと両者とも低い評価で近似であった。
両者の差が出ている項目は、入国ビザの取得で 1 ポイントの差、奨学金の充実で 0.7 ポ
イント、生活の安全で 0.6 ポイントの差がついた。マレーシアの留学生に対するビザの発
給状況には大きな問題が生じているということはなく、また、奨学金や生活の安全につい
ても、日本語学校生の評価の方が実態を表しているとすれば、海外に対して実態に沿った
広報の必要があると言うことができるだろう。
(文責
109
- 108 -
白石勝己)
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