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世界の絵本に会える場所 いたばしボローニャ子ども絵本館 平成 23 年 7
世界の絵本に会える場所 いたばしボローニャ子ども絵本館 平成 23 年 7 月 東京都板橋区立いたばしボローニャ子ども絵本館 「いたばしボローニャ子ども絵本館」(以下、絵本館)は国内でも数少ない、世界の絵本を身近 に楽しめる専門図書館です。閉校になった小学校の建物を活用した図書館で、世界約 80 か国、 およそ 2 万 3000 冊の絵本を所蔵しています。 【ボローニャ市との交流】 絵本館誕生のきっかけは、北イタリアのボローニャ市 との交流でした。 ボローニャ市では毎年児童書専門の見本市「ボローニ ャ児童図書展」が開催されています。これに伴うイベント である「ボローニャ国際絵本原画展」の巡回展を板橋区 で実施した昭和 56 年に交流が始まり、平成 5 年からは児 童図書展の出展絵本の一部を寄贈していただくこととな りました。絵本館は、いつでもその絵本を見ることができ る施設として平成 16 年 9 月に開館しました。 ボローニャ市とはその後も交流が続き、平成 17 年には 友好交流都市協定を締結するに至っています。 ボローニャ市との友好都市交流協定 5 周年の折にボローニャ市長(向かっ て右)が来日し、絵本館を訪問。 (H22 年 10 月 16 日) 【木のぬくもりの絵本館】 校門にあるイタリア国旗を配した看板が「絵本世界旅行」の出発地点です。小学校の校舎3階 に絵本館はあります。館内はフローリングやステンドグラス、柔らかな照明が施された温かみの ある空間になっていて、ときおり校庭で遊ぶ子どもたちの声が届く中でお気に入りの絵本を開くひ とときは、やすらぎを与えてくれます。 絵本は出版国別に分類してあり、特に冊数の多いアメリカ・フランス等は画家姓のABC順に並 べて整理しています。また、グリムやアンデルセンの童話は名作絵本コーナーにまとめ、出版国 による雰囲気の違いを見比べることもできます。翻訳ボランティアによる仮訳付き絵本コーナーで は、言葉がわからなくても世界中の絵本を楽しめます。 来館者は年間約 5800 名、一日平均 20 名ほど(平成 22 年度)と決して多くはありませんが、その 年齢層や楽しみ方は様々です。近隣の親子連れや小学生たちは、カーペット敷きの小部屋で思 い思いにくつろいでいます。何時間も絵本を読みふける大人の方も、休日には多く来館します。イ ンターネットで絵本館を知った方が遠く東北や九州などから来館することもあります。 じっくり絵本を見ている方に話を聞くと、イラストの勉 強をしている方、外国語を学んでいる方、海外に住ん でいたことのある方、編集者、絵本作家等々、実に 様々な方が訪れ、職員が貴重な情報をいただくことも しばしばあります。 土曜日には小部屋でボランティアによるおはなし会 を開催しています。蔵書を活用した外国語での読み聞 かせや手遊び、手作り楽器の演奏など、毎週バラエテ ィに富んだ内容です。 【ボローニャ・ブックフェア in いたばし】 ボローニャから届いたばかりの新着絵本の紹介と、洋書絵本にふれる機会として、「ボローニ ャ・ブックフェア in いたばし」を平成 5 年度から毎年夏に開催しています。絵本館蔵書を利用した 企画展示も併せて行い、色々なアプローチで外国絵本に親しめるよう工夫を凝らしています。 平成 22 年度はボローニャとの友好都市交流協定締 結 5 周年にあたり、「イタリアの絵本展」と題して蔵書の 中から選りすぐりのイタリア絵本を紹介し、好評でした。 珍しい洋書絵本にふれることができるイベントとして、 板橋区だけではなく全国からお客様が来場します。 今年の「ボローニャ・ブックフェア in いたばし」は 8 月 20 日(土)~28 日(日)に板橋区立成増アートギャラリ ーで開催されます。ボローニャからの新着絵本のほか、 多摩美術大学の学生による手づくり絵本の展示など、 盛りだくさんの内容を予定しています。 平成 22 年度会場の様子 【いたばし国際絵本翻訳大賞】 ボローニャ児童図書展に出展された絵本の中から英語とイタリア 語の絵本を一冊ずつテキストとして選び、その翻訳作品を公募する 「いたばし国際絵本翻訳大賞」を平成 6 年度から実施しています。海 外で出版されて間もない未翻訳の絵本に出会える機会として人気が あり、全国各地から応募があります。申込者はリピーター率が高く、 年齢層も 10 代から 80 代までと、幅広い年代の参加があります。 平成 19 年度からは大賞を受賞した作品が日本語版絵本として出 版されるようになりました。これまで 6 作品出版されており、この中か ら「青少年読書感想文コンクール」の課題図書や「日本絵本賞読者 賞」に選ばれる絵本が生まれるなど、板橋区発信の絵本が高い評価 を得ています。 今夏出版予定の絵本 『クッツさんのくつ』 『これだからねこはだいっきらい』 (いずれも岩崎書店) 【これからの絵本館】 板橋区は「いたばし№1実現プラン2015」により、「文化を活かし、楽しみ、つなぐまち」を目指 し、絵本館の充実を進めます。公的施設への団体貸出の充実や、内外への世界の絵本に関す る情報発信をはじめとして、ボローニャから寄贈された貴重な蔵書の有効活用を一層図っていき ます。 これからも、ボランティアをはじめ地元板橋区の方々や全国の絵本を愛する方々と共に絵本館 の個性を大切に育んでいきたいと考えています。