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本文はこちら - 教師教育学研究会
開放制教員養成初年次教育 の 目的 武 1.は 田 信 子 それ に対 して本学では,試 行的 ではあ るが22年 度 じめに 日本における教員養成はほとんどが学部 4年 間 入 学学 生 か ら コ ンピ テ ンシー リス トの活用 を始 の 中で行 われる。国立の教 員養成系大学 では,主 め ,教 員 になろ う として い る 自分 の 今後 の課題 へ に小学校 の教員免許取得が卒業要件 となって,初 の気 づ きを促 して い る。 年次か ら教員 をめ ざした カリキュラムがス ター ト この よ うな流 れの中で改めて 問 われるのは, 2 す る。現場 に 1年 次か ら入る場合 も少な くない 一方 で,一 般大学や私立大学 の開放制に基づ く教 年次 10月 に教職 課程履修 を決定す る前 に,学 生 は 職課程 では,必 ず しも最初か ら教員 をめざす学生 こ とで あ る。 言 い か えれば,履 修 を検討 して い る ばか りではな く,多 くの学生が免許取得 を目的 と 学生たちに,教 職課程 としては どの よ うな授業 を して教職科 目を履修 し,本 格的な学修 は 2年 次頃 提供す る必 要があ るのだろ うか ? 1。 どの よ うな力 をつ けて い る必要があ るのか とい う か ら始 まることが多 い。本学 で も,こ れまで 1年 本学で履修決定前 に提供 されて い る必 修 の「教 次 には い わゆる「教職の意義等 に関す る科 目」 職 に 関す る科 目」 は「教職入 門 セ ミナ ー」「教 育 「教員 の す なわち「教職 の意義及 び教員 の役割」 原論 職務内容 (研 修,服 務及 び身分保障等 を含む。)」「進 生か ら新 カ リキ ュ ラム になるため,若 干 の変更が 路選択 に資する各種 の機会 の提供等」 の科 目のみ 生 じる)で あ るが ,特 に初 年次 に最初 に学生が接 「教職入門セ ミナ ー」 (2011年 度 よ り「教職入門」 す る「 教職 に 関す る科 目」である「教職入門 セ ミ と名称変更)と して置 き, 1年 次は,学 問の基礎 ナ ー」 を ここ数年担 当 して きた教員 として,本 稿 的事項 を学 ぶ各学科 の専門科 目や,い わゆる「66 で その 内容 を初 年 次教 育 の 目的 と照 ら して整 理 本国憲法,情 報,語 学,ス ポーツ)」 し,検 討 してお きた い。授業内容 は毎年改変 して , 条 の 6科 目 (日 1」 「各教科 の教育方法論 1」 (2011年 度入学 の ような教員 としての基礎づ くりにあたる科 目を お り,本 稿 で紹介す る授業 は2010年 度実施 の もの 履修す るよう勧 め,余 裕があれ ばで きるだけ各科 である。最後 に資料 として2010年 度「教職入 門 セ 目の免許取得 に必修の「概論」にあたる科 目の単 位取得 につ とめるようア ドバ イス して きた。 クラ ミナ ー」 の短縮版 シラバ ス を付 した。 ブ活動 や社会的活動にも参加 し,見 聞を広げ,社 会性 を身につ ける ことも大切であるとい うことも ・ 伝 えて きた。 一方,教 員免許 をどの ような学生に与 えるべ き 業等 との比 較検討や学 生の学 びの 内容 の検証 ,他 ちなみ に,本 稿 は授業報告 で あ り,他 大学 の授 の授業 との総 合的 カ リキ ュ ラムマ ネジ メ ン トの 視 点 に よる検討 な ど実 証 的研 究 は行 って い ない。そ れ らは今後 の課題 であ る。 か, とい う問い, どこまで何 を学んでいれば,免 許を得 るにふさわ しい と考えられるのか, とい う 問い に対 して,平 成18年 7月 ,中 教審 は,4年 次 2.教 職課程履修 を決 め る前 に必要 なこと 後期 に開講す る「教職実践演 習」 で, 4つ の教員 筆者が本学 の学生たち に初 年次 の授業 を通 して 伝 えた い こと 。求 め ることと,そ れに対応 して展 として求 め られる事項 (① 使命感や責任感,教 育 開 して い る授 業 の 内容 は,以 下 の通 りである。 的愛情等に関する事項 ②社会性や対人関係能力 に関する事項 ③幼児児童生徒理解や学級経営に 関する事項 ④教科・保育内容等の指導力に関す (1)自 る事項)を 確認するようにという答申を出した。 ―- 49 -― ら学 ぶ 気持 ち と態勢 ンピ テ ンシー 2で (OECDの キ ー・ コ 言 えば「 自律 的 に 行動 す る 力」)を 持 つてい ること 赤子 は誰が強制 しな くて も,自 分が 生 きて い く ため に必 要 とす る学 びを 自ら進 めてい く。本来学 い るために,ま た,一 限 とい う時間設定 で,交 通 び とは誰 にで も備 わる 自発的 な動機 に基 づ くもの 機関の遅延などの理由による遅刻が まま生 じて し で あ り,知 ること,で きるようになる ことその も まうために,さ らにグルー プ学習を円滑 に進める のが喜 びや楽 しみ を内包 して い る。 ために,授 業 の安定的運営 を確保す る枠 づ けとし ところが, 日本 にお い ては,大 学 に入 学 して き た学生たちは必ず しも学 びをその よ うな もの とと て導入 してい る。 らえてお らず ,や らされる義務 であ り,苦 しい も ②受講者相互 の刺激 を活用する グルー プ学習 のために,知 らない学生同士 でで ので ある と思 っていることが 少 な くない。受験体 きるだけ学科や男女 の混合 してい るメ ンバー構成 制 にシフ トして しまって い る 日本 の 中等教育 の 中 のグループ を作 り,そ のグルー プでほぼ毎回話 し で ,自 らの学 びが 受験 のためで ある と信 じて疑 わ 合 いや ワー クを行 うことにしてい る。様 々な動機 ないで大学 に進学 して きて しまった学生たちす ら で集 まったメ ンバーがそれぞれの思 いや意見 を真 い る。 摯 に語 る時間,場 面 を毎回設ける中で, 自分 の教 大学 とい う学問の府が,そ れ らの学生たちに , 員免許取得に対する考え方を意識 した り再確認 し 学 びの意味,学 問の意味,教 育の意味を一か ら問 た りするように促す。 い伝 えていかなければならない状況は残念ではあ ③授業 に対する個人 目標 を設定 させる るが, 日本の大学の現実 として対応 していかなけ 授業 の初回に, 自分 の課題 と授 業終了時 の 目標 ればならない し,教 員免許を取 り, これか らの教 を明確化 させ,最 終的 に学 びの成 果 をA3の 凝縮 育 を担お うとす る学生には特 に意識変革 させる こ ポー トフォリオ 3と して まとめるよう指示 し,そ とが必要 となって くる。 れを相互評価 させ ることを伝 えてい る。 そ こで,初 年次 には,学 生たちに大学 で学ぶ こ ④多様 な学び方・教 え方があることに気 づ く機会 との意味 を再認識 し,学 問する ことが内包する喜 を設ける びを感覚 として身 につ けて もらいたい と思 う。 ま アフガニス タン,オ ラ ンダ, 日本の中学校 の学 た, これ までの 自分 の体験的な教育観や学習観か 校教育場面の写真 を用 い,フ ォ トラ ンゲー ジによ ら一度離れ,教 育 とい うもの,学 びとい うものの る比較分析 のワークを行 う。そ こにい る生徒 たち 持 つ意味を別の視点か ら考 え,そ の世界に自分が が,*何 をしてい るか これか らどう関与 していこ うと思 うのか,気 持 ち 3つ の国において学びの意味が どう異なるか の を定め ようと試みてほ しい と思 う。 3点 について話 し合って発表す る。 また,最 後 に *何 を感 じてい るか * , そ こで,自 ら学ぶ気持ちと態勢 を形成す るため 日本の戦後 の教育場面 (青 空教室でアフガニス タ に,こ の授業 では ンとほぼ同 じ構図)を 見せ,現 在 の 日本の教室風 ①授業独 自の枠組みを設定する 景 との比較 もさせ る。 互 いの学 びを保障す るため に合意 に基 づ い た 日本でや らされ 感 の 強 まってい る学校教育 だ ルール を用 い ることを授 業 当初 に明確 に して い が,そ れが世界標準 ではないこと,い ろいろな学 る。つ まり,遅 刻 ・欠席や不必要な私語によって 校があ り,い ろいろな学 び方をしてい る生徒 たち 他者 に迷 惑 をか けない ための い くつ かのルール が い ることに まず気 づ く機会 を与 え,そ の 中で , 入 り口に近 い指定 コー ナーの座席 に前か ら順 自分は これか らどの ような教育を展開 してい きた に静かに着席する,な ど)を ,理 由を説明 した上 い と思っているかについてグループ討議 の時間を で設け,厳 守 させてい る (遅 刻や欠席 に対す る罰 取 る。そ して, 自分 自身が大学で どのように学ん としてではな く,授 業 を受けたい他者 の学習する でい きたいかについてグルー プ内で語る機会 を設 権利 に対す る配慮 としてのルールで ある)。 本来 ける。 (出 このよ うな枠組みは大学の授業において不要なは これ らの結果,自 分には教員免許を取得するた ず であるが,100人 を超 える,学 びに対 して様 々 めの学 ぶ 気持 ちや態勢が足 りない と考 えた学生 な体験 を持 つ,様 々な動機 づ けの学生が集 まって は,途 中で 自主的に履修 を取 りやめてい く。 これ ―- 50 -― か ら多大 な時 間や労力 を必要 とす る教職課程の履 実際 の ところ,大 学入学前 まで に学生たちが 身 修 に対 して, 自らの 意志が な くては とて も続 か な 近 に接 して い る職 業 の範囲 は,両 親 や 親 せ きの職 い ことに学生 自身が気 づ くので あ る。 業 ,学 校教師 を除 くと意外 に狭 い。多様 な生 き方 があること,学 生生活 に も多様 な過 ご し方があ る 自分 の 仕事 と し こと,教 職課程履修 に よって他 の可能性 が制限 さ て対象化・ 客観化 して捉 えよ うとして い ること れ ることに気が つ かせ ,そ れで も教員 とい う職業 学 生 たちの描 い て い る教 員像 は, 自分 の体験 や に 関心があるか ,教 職課程 を履修 した い と思 うか (2)教 員 の仕 事 につ い て知 り, メデ ィアな どで作 られたイメー ジか らの もので あ ど うか,吟 味 させ る。 るこ とが 多 く,現 実 の教員 の仕事や 生活 につ い て ②教 員 の職務 に関す る基本事項 を抑 える 文部科学省作成 の「教員 をめ ざそ う」 とい う冊 具体 的に知 っている学生 は多 くはない。 成 人 して経済的 な自立が求め られた時 に就 く職 子 4を 各 自で読 み,そ の 内容 につ い て,グ ルー プ 業 として,教 員 が どの よ うな仕事 で ,そ の職場 で 討議 の 時間を取 る。 グループで話 し合 って もわか あ る学校 が どの よ うな システムになって い るか らな い ところや よ り詳 しく聞 きた い ところについ , それが他 の職業 とどう異 なるのか などについて正 ては,全 体討議 の場 でグル ー プ単位 か らの 質問 を しく認識 し, 自分 の適性や将来の生活 の希望 と照 受 け,教 員が解説す る。 冊子 には,教 員 の職務 に関す る基本的事項が ほ らし合 わせて,自 分 にふ さわ しい職業 で あるか , あるいは自分が教員にふ さわ しい人であるか,吟 ぼ網 羅 されて い るため, これ を しっか り読 めば一 味す る機会が必要 であろ う。 通 り,文 部科学省 が学生の基本知識 として必要 と また,教 員 としての倫理 と価値 について深 く考 みな して い る内容 を学生 に伝 える ことがで きる。 えることが必要 であるのは言 うまで もないが, さ グ ルー プ討議 なので,読 んで い なければ参加 で らに,対 人支援専門職 として,教 員が必要 とする きず , グ ルー プの中での居心地 も悪 い ため ,ほ と 知識 ・技術 ・態度 は何か。それ らを身につ けるた めにどの ような学 びと努力が必要であるかについ ん どの学 生 は きち ん と目を通 し,真 面 目に教員 に て,知 らなければならない。 ところを共 に読 み合 わせ ることになる。 この段階では,そ れ らがで きる ことは求 めない。 ただ,教 員 になるために必要な ことが あるとい う ③現場の教員の体験 を聞 く機会 を設ける ことを知 り,そ のための努力 をどこか らか始める のキャリア,生 活,心 構 え,授 業や生徒指導 の工 気持 ちを持 ってほ しい と思ってい る。 教員 の仕事 につい てイメージ を深めるために 夫な どについて語っていただいてい る。来ていた だ く講師は,公 立 。私立,中 学 ・高校 。中等教育 この授業 では 社会科 。国語,教 育委員会指導主事・ 学校,英 語 。 男性,卒 業生・ 若手,女 性 。 管理職 (校 長 )・ 中堅 。 なろ うとい う学生 に引 っ張 られて,わ か りに くい , ①幅広 い職業の選択肢 があることに気 づ く機会 を 現役教員をゲス ト講師 として迎 え,教 員 として 他大学出身者 を組み合わせて 5人 である。 設 ける グループメンバーが,自 分 の知 ってい る職業 を 時 には, 自分 の受けて きた授業 とは異なる展開 「山手線ゲーム」 (知 ってい る駅名を次 々に全員が をす るベ テラ ン講師の授業 に驚 いた り,と まどっ 言 えな くなるまで言 うゲーム)方 式 で,模 造紙 に 書 いてい き,思 い出せ る職業がな くなった ら (あ た り,あ こがれた りしなが ら,様 々 なタイプの それぞれに活躍 してい るゲス トの熱 い語 り,具 体 るい は制限時間が来た ら)全 体 で結果 をシェアす 的な現場 の話 ・写真や教材 に,学 生たちは教師の る。そ して,多 くの職業があ る中で,そ のたった 多彩 な実像 を思 い描 き, 自分がめ ざす教師像 を探 一つに しか過 ぎない「学校教員」 とい う選択肢 に し始める。 つ ながる教員免許 を取得 しようとするのは なぜか ④ 4年 次までに達成 目標 とするコンピテンシーの , について,自 分 の履修動機 をグループで話す機会 リス トを提示する を設ける。 本学 で教職実践演習 までにある程度身につ け る -51- ことが期待 される コンピテ ンシーの リス ト5を 提 す る学生 に対 し,入 学以前 に (学 校教育以外 の場 示 し,読 みこむ作業 と解説 の時間を2010年 度か ら で)子 どもたち との充 分 な交流体験 を持 っている 取 るようにした。新 しい試みであ り,ま た充分な ことを前提要件 として課 して い る と聞 い てお り7, 時間が とれず,今 後 の工夫が必要な段 階であるが 本学 にお い て も,早 い段 階 で実際 に生徒 たち と接 , 学生たちの レポー トを読むと,教 員 とい う職業 に す る機会 を促進す ることで,職 業 との ミス マ ッチ 就 くためにい ろいろとこれか ら学ぶ必要があるの を防 ぐことがで きるのでは ない か と考 えて い る。 だとい うことは学生に伝 わった と思われる。 ⑤理想 と考 えて い る教育 に対 す る自党 を促進す る また,教 育 の理想 と,教 員 の理 想 ,そ れ をつ な (3)子 ども を一人 の人 と して尊重 しよ うと して い ること ぐアイデ アをイメー ジカー ドで語 らせ るワー クを 対人支援専 門職 の 中で もと りわ け教員は,子 ど 実施 し,自 分が め ざ して い る教 育 の 世界 を言語化 もとい う社会的弱者 を対 象 とした専 門職 で あるが して他者 に説明す ることで,自 覚 を促す とと もに ゆえに,子 どもの権 利 と尊厳 につい て充分 に理 解 他 の学生 の イメ ー ジを聞 くことで,多 様 な教育 に し,子 どもを一人の人 として見 ることので きる力 , 関す るア イデアを共有す る機会 を持 った 6。 が必要であ る。 ⑥教 える側 へ の視点 の転換 を図 る 教 える とい う行為 はその ものが ,上 下関係 の上 また,学 生の中には,授 業 を受 ける側 と教 える 側 に立 つ ことを前提 とす る。であ るがゆえに,教 側 の視点 の転換 が イメー ジで きない者 も少 な くな え られ る者 の権利 は容易 に侵 害 され,権 力 の行使 い ため,実 際 に 身体 で 体験 させ て い る。 つ ま り は 自覚 されに くい。 しか し問題 は,教 育 にお い て 300人 収 容 で きる教 室 の 教壇 に立 って,伝 えた い 大切 なのは教 師が 「教 えたか ど うか 」 ではな く子 ことを聴衆 に簡 潔 に伝 える,と い う実習 をさせ る ど もが「学 んだか ど うか」 であ る とい うこと,つ ので ある。 この 直前 に,教 師 の授業時 の 言動 を観 ま り教育 とい う行為や場 の主体が子 どもにあ る と 察す る際 のポ イ ン トを学生たちにグルー プ討議 で い うこ とが ,現 在 の 日本の学校教育では忘 れ られ 具体的 に出 させ て い るため,座 席側 の学 生 は 自分 が ちである とい う こ とであ る。 , の 発表 の番 を待 ちなが ら,他 の学 生の教壇上 の言 落 ち こぼ れ, とい う こ とばが 象徴 す る よ うに 動 をその視 点 で観察 して い る。 そ して,実 際 に 自 学 ばな い責任が子 どもに転嫁 され,学 ばせ ること 分がそ こに立 った ときに,生 徒側か らど う見 える ので きなか った責任が教員 に付 与 され ないの はお のか とい う こ とを痛感す るのであ る。 もちろん か しい。学べ ない子 どもを引 き受 ける こと も,そ この時点で最初か らあが らず にで きる学生 は多 く の環境 や条件 を整 えないの も,主 として教員側 の はないので,教 員側 で フォロー の言葉 をかけなが 問題 で あって,子 どもにその責任 を負わせ ること ら, これ まで ともす る と批判 的 に見 て い た教 員側 はで きない。様 々 な外 的要因が ,教 員がそ の状況 に 自分が立 った と きに ど う行動 で き,発 言で きる を整 えるこ とを困難 にす ることがあ るが ,だ か ら のか, とい うことを考 える契機 に しよ う とい う試 と言 ってその ことに対 して子 どもに責任 は取 らせ みであ る。 られ ない。 , なお ,教 師 の仕事 を知 るためには,子 ど もと実 , もちろん,教 員が子 どもの権利 を守 るためには , 際 に接す る体験 を持 つ ことが必須 であろ う。授業 その前提 として教 員 自身 の権利が守 られて い る必 では子 どもと実際 に接す る体験 を持 つ ことを勧 め 要があ る。 自分 自身 の権利 と尊厳 につい て も充分 るが ,1年 生 時点 で具体 的 に何 か をす ることを課 に理 解 し,置 かれた立 場 に対 して主体的 に関わる して は い な い。 100人 以上 の 学生が登録 して い る こ とを 身 に 着 けて い る こ とが 何 よ りも大切 で あ 授業 にそれ を盛 り込む ことが 困難 で あ るこ と,ま る。 だ学生が教職課程履修 を決定 しては い な い ことな 子 どもを一人の 人 として尊重 しようとす る姿勢 どが理 由であ る。 しか し, カナ ダの オ ン タリオ州 を身につ け させ るため に,こ の授業 では上 記 の考 や ケベ ック州 で は,教 員養成課程 に入 学 しようと え方 を伝 える とともに,「 子 どもの権 利条約」 を ―- 52 -― 読 んで 子 どもの権 利 に つ い て知 る機 会 を与 えて い であ る。 本来 , ソクラテスの対話 を引 き合 い に出 る。 す まで もな く,学 びは他者 とのや り取 りとの 中 で その中で, 自分自身が子どもの頃,権 利を十分 に尊重されていたかどうか,今 , 自分がそれらの 進 む。 将来教職 につ く可能性 の あ る教 職課程 の学 権利を子 どもたちに認めるべ きであると考えてい るかどうか, もし学校で子どもの権利が認められ 高校 では対話 の ある学 びを体験 して きた学生たち ていない としたら, どのように改善 してい くこと ができるか,な どについて議論するようにしてい よってその体験 を上塗 りされて しまわない よ うな 生 には,対 話 に よる学 びを実 感 してほ しい。中学 もい るが ,彼 らが大 学 にお け る一 方 的 な講義 に 授業が必要である と思 って い る。 これは もちろん,講 義形式 の授業 を軽視す る と る。 い うわ けでは な い。講義 を聞 い て じっ くりと学 ぶ 力 は,現 代 の学 生 にこそ必要であ る。 ただ,現 代 (4)学 び の仲 間 づ く りがで きる こ と 「学 びの共同体」 とい う用語 は,学 校教育 の 中 で よ く用 い られるようになってい るが,大 学にお にお い て一人で教 材 に取 り組 んで学 ぶ,あ るい は 講義 を聞 くとい う学 びは,イ ンター ネ ッ トを用 い ける学 びにおいて も, ともに学 ぶ仲 間を持 つ こと は重要である。仲間 との コ ミュニケー シヨンを通 れば い くらで もで きる時代 となって い るため,少 して自分 を知 り,他 人の視点 を知 ることがで きる ようになる。 これはキー・ コンピテ ンシーの「社 100人 以上 の授 業 で あ った と して も,そ こにい る 会的に異質な集団 にお いて交流する力」 とつ なが 重視 した い と考 えて い る。 な くとも教職課程 の授業 にお い て筆者 は,た とえ メ ンバ ー で ど う学 びを進めて い くか とい う ことを つ ま り,学 校 コ ミュニ テ イの中で十全 に動 ける る。 特 に近年 の学 生 は,幼 少期 よ り,同 世代 の仲 間 柔軟 な コ ミュニ ケ ー シ ヨンが とれ るよ うに,学 生 とともに活動 した り,ぶ つ か つた後 で 関係 の修復 たちには学生時代 に仲 間 との関係 の 中 で トレーニ を図 った りす る機 会が以前 に比 べ て 減 ってお り ングを積 んで もらい た い と思 って い る。 , 多様 な他者 とコ ミュニ ケー シ ョンを とる体験 が少 な い まま大学 に来 る者 もい る。 それ らの学生 は , 学校 とい う場 が ,教 室や職員室 とい う密 な人間関 係 を持 つ場 であ り,生 徒 たち とも保護者 たち とも 同僚 たち とも良好 な コ ミュニ ケ ー シ ヨンを とるこ (5)基 礎学力 を持 つてい ること 学校教員 になるのであれば,当 然 ,そ の教 える 教科 の基礎知識 は もと よ り,教 える対象 をはるか に超 えた知識 ・技 能 。視点 。研 究的態度 を持 って とが 求 め られる場 であ る とい う ことを知 り,そ こ い ることが必 要 である。 履修 主義か ら修得 主義 へ に存在す る力 を醸成す る必 要があ る。担 当す る生 と教 員免 許付 与 の 条件 が変 わって きて い るの は 徒親子 や同僚 の 中に は,当 然 , 自分 と意見や感覚 を異 にす る者が含 まれ る。それ らと最低 一 年 間 は 全入時代 の大学 にお い て,学 生の基礎 的 な学力が 継続 して つ きあ って い く必要 が あ るわけであ り これ まで の 人間関係 の よ うに,好 きな者 とだけ付 な一 因であろ う。習得 しようとしてい る教科 に関 す る基礎学力は当然,最 低限身につ けてお くべ き き合 えば良 いわ けではない。 また,温 か い学校 コ ものである。 , 不足 して い ることが問題 になって い ることも大 き , ミュニ テ イをつ くって い くため には,競 争や比較 その上で,さ らに関連 した学びを進めてい く総 の 原理 ではな く,人 とつ なが って い く姿勢が必要 合的な力や技能 を身につ けて い くこと (つ ま り キー・ コンピテ ンシーで言 う「相互作用的にツー , になって くる。 ル を用 い る力 」)が 今後求め られてい くが,そ の際 ところが ,大 学 に入 る と,大 人数 の教室 で他 の , 仲 間が まるで存在 しな いかの よ うに講義 を聞 くこ とを求め られる ことが少 な くない。90分 の授業 の 間,他 者 の存在 を感 じない よ うに過 ごす のは,逆 に他者 へ の鈍感 さを トレー ニ ングす るような もの 自分 に足 りない ところをどう補 えるかを判断 し 実際に補 ってい く行動力 を身につ けてい る必要が , ある。 一- 53 -― 授業 では,免 許取得 を望 む教科 の基 礎学力 を 持 ってい るこ とをこの時点では特 に確認 して い な ② 自分 の対人的な関わりの特徴 を認識 させる い。 ただ,高 校教員 の免許取得 のためには,高 校 数人のグループ討議 の際には,常 に自分が他者 生 を教 え られ るだけの学 力 が必要であ るこ と,教 とどう関わ り,他 のメ ンバーが 自分たちとどうか える ことと知 って い ることは異 なる ことな どを指 かわってい るかを意識するように伝 えてい る。 摘す る。が ,学 力 に関 す るチ ェ ックを して い るわ た とえば,数 分 の討議 のあ とで,「 今,あ なた け ではないので,現 在 の本学 の教職課程 では,学 は何 を考え,そ れをどう人に伝 え,あ るい は伝 え 力不足 の学生が教職課程 の履修 を始め ることが少 なか ったのか。 それはなぜ か 」 とか「心地 よい な くない。 この 点 に関 しては,履 修 開始後 になる フイァ ドバ ックを誰か ら受けることがで きたか。 が ,筆 者 の別 の授業 である「教 育心理学」 にお い その人の言動 の特徴 は どの よ うな ものか」「 この て各教科 の学カ テ ス ト作成 をす るので,特 にその 人は気が合わない,考 え方が合わない, とい うと 際 には 自覚 を促す よ うに して い る。 きにあなたはどのよ うな態度 を取 ったか」 とい う 問い を投げかける。そ うして,最 低 で も数十人の (6)自 分 を振 り返 る習慣 を身 につ けること 生徒 を相手 として授業 をしてい くことになる教職 対人関係 を含 めて, 自分が で きる こととで きな い ことを知 り,そ れに対 して対処 を工夫で きる こ に就 くとい うことについて,考 えさせてい る。 ③ 自分 の学び方やそのまとめ方を振 り返 る機会 を とが必 要 だろ う。「べ てるの家の『当事者研究』」 設ける のように,他 者 とのフラ ンクな対話 の中で, 自分 提出するポー トフォリオを互 い に評価 し合 う時 8 の課題 を取 り上 げて自分 でで きる対応策を練 るこ 間を設けてい る。 とがで きれば,授 業 の改善,行 動 の改善が図 られ 自分が どのように授業 を受け,そ こで学 んだこ るだろ う。教師の授業中の行動は,思 考 よ りもむ とをどの ようにまとめて人に伝 えるもの として作 しろ感情 に よって支配 され る と考 え られ る 9が , 成す ることがで きたのか,お 互 いの ポー トフォリ 行動 を変えるには,そ れ らの感情 に気づいて 自ら オを見ることで振 り返る時間を与えてい る。非常 の行動 を振 り返る力 と,対 象 の立場 に立って考え に丁寧にまとめた もの,客 観的なもの,カ ラフル る共感性が必要になって くる。 に読みやす い もの,図 を活用 してい るもの もあれ 学校教育現場 における振 り返 り (省 察)を 実際 ば,作 り直 しが必要 と思われる乱雑 なもの もあ り , に進めるのは先 のこととして も,日 頃か ら人との フラッ トな コ ミュニ ケーシ ョンを通 して, 自らの 相手の ことを考えた ものにで きるか, とい う視点 言動 の特徴 を知 り,相 手に及 ぼす影響 に気づ くよ も含めて, 自分 の学 びの まとめ方 を振 り返るよう うな習慣が大切 である。 にさせている。 そ こで, 自分を振 り返る習慣 を身 につ けるため 教員になって,生 徒 に配布す るプリン トや板書 を なお,教 職課程履修 をまだ決めていない段階の に, この授業 では 学生に授業 の リフレクション ①授業の振 り返 リメモを作成 させる た振 り返 りまでするのは早 い と考え, この授業で は扱 ってい ないこ とを付記 してお く。 , 毎回の授業 で最後 の数分間は,「 今 日,自 分が (省 察)を 目的 とし 学 んで 『考 えた こと』」 をB7の 用紙 にまとめ させ てい る。授 業 を通 して知識 として得 たことではな 3.終 わ りに く,そ こか ら学 びとって考えたことの言語化 の作 学生たちは,親 や親戚や先生に言われるままに 業をさせることで,学 びの意識化 を行 い,次 の学 あるい は他 の職業 を吟味せ ず に,と りあえず資格 びの機会につ なげるためである この用紙は一 を取得 しようと「教職入 門セ ミナー」 を受講する 度集めるが,で きる限 り早 く返却 して, 自分で保 管・管理する ように伝 えてい る。 この記述 を,最 場合が少な くない。あるい は,学 校教育に強い好 後に提出するA3-枚 のポー トフォリオ作成 それ らの学生 に,「 自分が教師になった ら」 とい 10。 11に 活 用するためである。 , 悪の感情 を抱 きなが ら受講 して い る学 生 もい る。 う仮定の意味を自覚 させ,履 修 の 自己決定を促す ―- 54 -― はあ ま り蓄積 されて い ない し,単 発 の授業 の効果 のが この授業 で あ る。 筆者 が本学の学生 たちに初 年次 の授業 を通 して を測定 した として も,教 員養成 は 4年 間の総合的 身 につ けて もらい た い 6つ の ことを学生が吟味す な学 びの 中 で完成 され る もので あ るか ら,免 許授 る うち に,自 然 に動機 づ け の弱 い学生が淘汰 され 与時点 にお ける学習効果 を証明す るのは,影 響 を , 教職課程 の学習 に しっか りと取 り組 む学生が残 っ 及 ぼす要因が多す ぎて困難 であ る。さらに言 えば て い くよ うで あれ ば よい と思 って い る。 同時 に 同 じよ うな高 い力量 を持 っている10人 の教員 よ り それほ ど関心 を持 って い なか った学 生が ,面 白い も, さまざまな特徴 を持 っている10人 の教員 の 方 と食 いつ い て くるのであれば,そ れは大 い に歓迎 が よい学校 コ ミュニ テ ィを作 れる とした ら,教 員 した い。興味深 い ことに,教 員免許取得 を 目指 さ 養成 の授業 には 自由度が必要 とな り,こ の授業が ない と途 中 で決 めた学生 も,多 くが ,卒 業単位 に よい, とい う一つの授業 をめ ざす よ りも,多 彩 な な らない し出席 も取 らない この授業 を最後 まで履 授業があち こ ちで展 開 され るよ うな状 況 を作 った 修 し続 ける。そ れぞれの学生 に とって何か得 る も 方が よい ことに なるか もしれない。 , , β 本授業 につ い て い えば,授 業評価 ア ンケ ー ト のが あ るか らだろ う。 一 方 ,最 初 に述 べ た よ うに,本 稿 では,他 大学 に よれば,本 授 業 の学 生か らの評判 は よい と言 え の授業 との比 較 や ,授 業 の効果 の検証 がで きて い るが ,そ れが教 員 としての力量形成 に役立 った と ない。 い う証拠 にはならない だろ う。 また,教 員採用試 験 の合格者 の数が,授 業 の効果であ るとい うこと 他大学 の授業 との比較 につ い て い えば,た とえ も言えないだろ う。 ば,発 展 途上国 で子 どもたち と接す る体験 を持 つ む しろ,今 後,こ の授業 を含 む 4年 間の授業 の こ とが学生 を成長 させ る と海外 に行 く機会 を作 っ を与 えて い る)。 また,キ ャ ンプ な どの 自然体験 蓄積が,教 育実習な り現場 でのイ ンター ンシ ップ な りで高 い評価 を得 る学生が多 く出 ることにつ な によって学生が成長す る と考 える大学教員 もい る がったとした ら,そ れが一番 の授業 の効果 を示 し て い る授業があ る (こ の授業 で もで きる限 り情報 の 授業 で もそ の よ うな機 会 を紹介 して い る)。 てい ると言えるのではないか と思われる。そ うい 真面 目に大学 の授業 を受 けるよ りも,社 会生活や う学生が多 く輩出されるような授業を総合的にマ 部活動 の 中で学 ぶ体験 を積 み重ねて い る学生 の方 ネジメ ン トしてい くために, まずは,本 稿 のよう が柔軟 で臨機応変 な対応 ので きる教員 になる, と に,大 学 の授業記録 の報告を して情報提供 してい い う考 え方 もあ るだろ う。 また,文 部科学省 が こ くことが必要であると考えてい る。 (こ の授業 の 目的 としてあげて い る項 目等 につい て き ちん と講義 を し,知 識 として頭 に入 ったか ど うか 資料】 【 を試験 す ることが必要 と考 えるのが一般的授業 だ 2010年 度後期 教職入 門 セ ミナ ー ろ う。 これ らを ど う比較すれば授業 の 良 しあ しが 言 えるのだろ うか 授業 の構 成 履修学生数 119人 担当 武 田信子 第 1回 :オ リエ ンテー シ ョン ? 授業 の効果 の検証 につい て い えば,一 体 ,免 許 「キ ャ リア選択 ∼履修 決定へ の 道 の り」 * 取得後 に教員 になってか ら,大 学 で学 んだ何が役 資料 配布 ・授 業 の ルー ル・ ポ イ ン ト説 明・ 教職 カ に立 つ のか,立 たないの か, とい うことについ て ル テ につ いて・ 授 業 記録 ・ 評価 (ポ ー トフ ォ リオ は まだ まだ研究が必要 である。 少 な くとも,記 憶 作成 の方法 ) *「 自分 は なぜ この授 業 を履修 しよう と して い るか」 に残 らない,役 に立たなか った と言 われ る授業が 少 な くない ことは,残 念 なが ら研究で示 されて い (マ * 12。 る グ ルー プ編 成 。自己紹 介 (ア イス ブ レー ク :マ イ ン ドマ ップ紹 介 )仲 間作 り・ 対 人 関係 の 特 徴 把 実際 ,教 員養成系大学 に比 べ て時 間的制約 の 多 い 開放制教員養 成 にお い て,初 年次 の学 生 に とっ て必要 な学 びは何 か とい う実証的な効果研究 は実 イ ン ドマ ップ作 成 ) 握 と対応 につ い て *「 世 の 中には どんな職業が あ るか」 山手線 ゲー ム ーー55 -― *「 教員をめざそ う」 (文 部科学省資料を用 いて * ) 第 2回 :「 学ぶ とい うこと 。教える とい うこと」 習会紹介 *「 教員をめざそ う」 に関す る質疑応答 * なぜ,学 ぶのか,な ぜ,教 えるのか 第 8回 :(教 職公 開講演 会 4)(私 立 。高等学校 。国語 ) テ ーマ 「授業 を創 る楽 しみ 一国語科教材研 究 (古 典 )」 * 「 3カ 国比較 のフォ トラ ンゲージ」 多様な視点を持つ こと 海外体験 の勧 め (ア 英 語 )テ ー マ 「力 の つ く授 業 を創 る 一英 語 ジア青年 の船 )。 (各 国放浪) (学 校視察 ス タデ イツアー)な どの 2・ 3。 科教材研 究」 * 4年 被教育体験 の振 り返 り 第 10回 「 自分 は人生の大切 な ことを どこで誰か ら学 んだ * 第 H回 学生時代に自分 のや りたいことは何か ?リ ス ト作 り → 自分 のや りたいこ とを教職 との絡みで どう進 め * * てい くか考えよう。 第12回 加藤聡 一 先生 :資 質 ・力量形成 と省察 の力」 理想 の教育 と理 想 の教員,そ の関係 を考 えるワー ク 履修 カルテ配布 → 履修 カルテ項 目の理解 を図 る :「 教 員養成 。選考 ・採用 。研修 につ い て」 「子 どもの権利条約 を読 もう」 先輩 は教職 課程 を履修 して学生生活 をどう * コ ンピテ ンシー リス トの解 説 * 資格 ・就職 ・ 教職 と専 門につ い て *「 子 どもの権利条約」 を読 む 過 ご しているか」 第 13回 教壇に立っての全員スピーチ :「 武蔵大学教職課程 の理念 とカ リキ ュ ラム」 :「 教 師 の専 門性 :「 教わる立場か ら教える立場へ の転換」 授業観察 の視点 を考えてみ よう 第 4回 :「 「教 育改革 の動 向」本学准教授 か」 第 3回 * * 九段 中等 教 育 学 校 本 多 敏 幸 先 生 講 演 → 自主研 修 会 ・研 究 会紹 介 生による参加体験談 * 武蔵高等学校 。中学校小池保則先生講演 第 9回 :(教 職 公 開講 演 会 5)(公 立 。中等教 育 学校 ・ オ ルタナティブ教育 のスライ ド紹介 * 明星学 園 中学校 比 嘉 ちひろ先 生講演 → 学校 公 開学 * 3年 生, 4年 生の教職課程履修体験談を聞 く * 先輩 との対話 をする (グ ルー プに一人上級生が入 * * :「 学 びの成 果 を共有す る」「今後 の学習計画」 授業 のポー トフ ォ リオ と成 果物 の相互検討 今後 の学習計 画 を立 て る る) * 卒 業生 か らの ビデ オ レター :海 外 青年協 力隊員 に な り海外 で教 えて い る卒 業生 の レポー トを視 聴 す 注 1 る れてい る。 2 第 5回 :(教 職 公開講演 会 1)(公 立 ・ 中学 ・校長 ) テーマ 「学校 が 求 め て い る教 師」 (学 校 の 組 織 ,運 営 ドミニ ク・S,ラ イチ ェ ン, ロー ラ・ H・ サ ル ガ ニ ク編 著 「 キ ー・ コ ンピテ ンシー め ざ して」 oECD 校務 分掌 ,教 育 目標 ,研 修 ,服 務等 を含 む) * * * 例 え ば,島 根 大 学 の 10CXl時 間体験 学 習 は よ く知 ら 3 練 馬 区立豊玉 第二 中学校長南 良子校 長先生講演 ボ ラ ンテ ィア学生体験 談 DeSeCo 国政 標準 の 学 力 を 明石書 店 2006 鈴 木敏 恵 2010「 看 護 師 の 実 践 力 と課題 解 決 力 を 実現 す る !ポ ー トフ ォ リオ とプ ロ ジ ェ ク ト学 習 」 医 現場 へ の 出て行 き方 。公 開授 業 の紹 介 。各種 ボ ラ 学書 院 4 ンテ ィアや研 究会 の紹介 文部科学省「教 員 をめ ざそ う」 第 6回 :(教 職公 開講演 会 2)(教 育委 員会 ) http://www mextgo.jp/a_menu/shotou/miryoku/ テーマ 「教 師 の キ ャ リア形 成 」 (行 政 の 仕 組 み ,教 職 _icsFiles/aneldnle/2009/09/03/1283833 pdf の意義 及 び教 員 の役割等 を含 む) * 練 馬 区教 育指導 課長吉村 潔先生 講演 (2011 4 1.) 教 員人生 の D 振 り返 りを通 して,教 職 の キ ャ リア形 成 の あ り方 武 田信子 2011『 オ ラ ン ダにお け る教 員 の コ ンピテ 等 を説 明 して い ただ く。 ンシー概 念形成 の プ ロセス につ いて』 武蔵大学 人文 学 会雑誌 第42号 第 3巻 6 第 7回 :(教 職公 開講演 会 3)(私 立 ・ 中学 。社会 ) テ ーマ 「 学 びの場 を創 る営 み ―社会科教材研 究」 武 田信 子 2011『 日本 の 大学生 の 教育 と教 員 に対 す る イ メ ー ジ ∼ オ ラ ン ダ に お け る教 員 の コ ン ピ テ ン ―- 56 -― シー抽出ワー クシ ョップの手法 を用 いてJ「 オラ ンダ と日本の教師教育 の比較及び検討」武蔵大学総合研 究所紀要第20号 7 2011年 2月 末か ら3月 初 めの筆者 らの カナ ダにお ける ヒア リング調査による 8 浦河べ てるの家編 2CIC15 べ てるの家の「 当事者 研究」(シ リーズ 9 コル トハーヘ ン Ю ケアをひらく)医 学書院 2010 教師教育学 学文社 井手 厚 2004大 学 における学習を支える要因 ∼ 学習蓄積感 に注 目して∼ 一 日本教育心理学会第46回 総会 11 2 前掲 (注 3) 別惣淳 二他 査 2008 教員 の 資質 と力量 に関す る調 平成 18∼ 19年 度兵庫教育大学教育 。社会調査研 究 セ ンター研究 プロジェク ト研究報告書 Ю 参考 までに, 1年 前 の2CX19年 度授業評価 ア ンケー トによれば,受 講学生全体の満足度781(そ の うち熱 心層 の満足度954) (本 学 教授 ) ―- 57 -― 自律的学習 をめ ざした高校総合 学習 の実践 和井田 1.は じめに∼高校総合学習の創設 と課題 清 司 [指 導上 の留意事項 ] 20世 紀か ら21世 紀へ の世紀転換期において,「 総 ○総合学科 にお い ては,総 合的 な学習 の 時間 合的な学習の時間」が創設 された。高校 において の 学習活動 として,原 則 として生 徒が興味・ は1999年 版 の学習指導要領 にお い て制度化 され 関心 ,進 路等 に応 じて設定 した課題 につい 全ての課程・全ての学科 にお いて実践 されて きた。 て知識や技能 の深化 ,総 合化 を図 る学習活 その後,2003年 の学習指導要領 の部分改訂におい 動 を含 む こと , て,総 合学習の実践に際 して,① 知 の総合化 の視 │ ○ 自然体験 や就業体験活動 ,ボ ラ ンテ ィア活 点を重視すること,② 目標 ・ 内容 ・全体計画を作 成す ること,③ 学校内外 の教育資源 を活用するこ 動 な どの社会体験 , ものづ くり,生 産活動 な どの体験活動 ,観 察 。実験 。実習 ,調 査 。 と,に ついて補足 された。 さらに,2009年 版 の新 研 究 ,発 表 や 討論 な どの学習活動 を積極的 学習指導要領で も,総 合学習 の制度 は継続 し,① に取 り入れ るこ と 探究的な学習 としての充実をはかること,② 各学 ○ グ ループ学習や個人研 究 な どの 多様 な学習 校段階間の取組 の差異化 をはかること,③ 体験活 形態 ,地 域 の 人 々の協力 も得 つつ全教師が 動 と言語活動 の充実をはかること等が特 に求 め ら 一体 となって指導 に当 たる れた。ちなみに,新 学習指導要領にお いて,高 校 (注 )下 線部が 高校 に独 自の 記述 で あ る。 中 総合学習 の枠組 みは次の ように規定 されてい る。 学 に比 して,学 習 目標 や学 習課題 ,指 導 [目 方法 にお い て 高度 な指摘 が見 られ る とこ 標] 横 断的 ・ 総合 的な学習や探究的 な学習 を通 ろが注 目され る。 して, 自ら課題 を見付 け,自 ら学 び, 自ら考 え,主 体的 に判断 し,よ りよ く問題 を解決す 高校段階では, どの ような総合学習が求 め られ る資質や能力 を育成 す る とともに,学 び方や るのだろ うか。矢野裕俊によれば,高 校 では「生 もの の考 え方 を身に付 け,問 題 の解決や探 究 活 と学習 の 自律性」を高めることが要請 され,そ 活動 に主体的 ,創 造 的,協 同的 に取 り組 む態 のためには「教えの総合か ら学びの総合へ 」 と転 度 を育 て, 自己 の在 り方生 き方 を考 えるこ と 換 す るこ とが重 要 で あ る とされ る(1)。 確 か に がで きるようにす る 高校生 の年代 のテーマはアイデ ンテ ィティの確 立 [学 習活動] と自立であ り,そ のためにこそ 自律的学習 の経験 が重要 となる。 したがって高校 にお いては,小 。 , 学習活動 については,地 域や学校の特色 中学校での成果を踏 まえて生徒の自律的学習能力 生徒 の特性等 に応 じて,例 えば国際理解 ,情 を向上 させ,職 業選択 を含めた進路選択 の力量 を 報 ,環 境 ,福 祉 。健康 な どの横 断的 。総合的 な課題 につ い ての学 習活動 ,生 徒 が 興味 。関 高めることが必要 であ り,高 校 の総合学習 もその 心 ,進 路等 に応 じて設定 した課題 につい て知 識や技能 の深化 ,総 合化 を図 る学習活動 , 自 学校や地域 の実態 に相応 した実践が求め られる 総合学習は,実 は高校 生のニーズに対応 した学び 己の在 り方生 き方や進路 につい て考察す る学 を創造 し,学 びへ の 回帰 を実現する機会 ともなる 習活動 な どを行 うこ と 可能性が少な くない。様 々な困難を抱 えた高校教 , ような視点か ら実践 されることが望 ましい。 一- 58 -―