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平成 ー3 年度~平成 ー4 年度科学研究費補助金

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平成 ー3 年度~平成 ー4 年度科学研究費補助金
, 304診
確酸 カル シウム結石誘発 モデル での 腎上皮細胞 と
確酸 カル シウム結 晶の相 互作 用の検 討
CRYSTALCELLINTERACTIONBETWEENRENALEPITHELIALCELLSAND
CALCIUMOXALATECRYSTALSUSINGTHEANIMALMODELFORCALCIUM
OXALATESTONE
課 題 番 号(13671630)
平 成13年
度 ∼平 成14年
度 科 学研 究 費 補 助 金
(基盤 研 究(C)(2))研 究成 果 報 告 書
平 成15年3月
(March,2003)
研究代表者 山 ロ
(旭 川 医 科 大 学
・医 学 部
ThePrincipalInvestigator:SatoshiYamaguchi,M.D.,D
AssistantProfessor,AsahikawaMedicalCollege
聡
・ 講 師)
.Med.Sci.
は しが き
尿 路 結 石 症 の 生 涯 罹 患 率(1995年)は
え る と 、 男 性ll人
算 と な り、1965年
に1人
、 女 性26人
、 男 性 で は9.0%、
の 統 計(男
性4.3%、
に1人
女 性 で は3.8%で
あ る。言 い換
が 一 生 の 問 に一 度 は 尿 路 結 石 症 に罹 患 す る 計
女 性1.8%)と
比 較 して 確 実 に増 加 して い る。 将 来
的 に も そ の 罹 患 率 は 、 増 加 傾 向 が 続 く と予 測 さ れ て お り 、 そ の 対 策 は 急 務 と な っ て い る 。
上 部 尿 路 結 石 症 の 中 で カ ル シ ウ ム 含 有 結 石 は80%以
上 を 占 め て お り、 そ の 主 要 な 成 分 は
蔭酸 カル シ ウム で あるが 、 その成 因は い まだ に明 らか に なっ てい ない点 が 多 い。蔭 酸 カ ル
シ ウ ム 結 石 に 関 す る研 究 領 域 で は 、 こ れ ま で 蔭 酸 カ ル シ ウ ム 結 晶 の 成 長 や 凝 集 に 関 し て 、
そ の 促 進 因 子 あ る い は抑 制 因 子 に対 す る様 々 な検 討 が な さ れ て き た 。 一 方 、 最 近 で は 、 蔭
酸 カ ル シ ウ ム 結 石 の 形 成 初 期 段 階 にお い て 、 蔭 酸 カ ル シ ウ ム結 晶 とそ の 腎 上 皮 細 胞 へ の 接
着(crystalcellinteraction)が
重 要 な ポ イ ン ト と考 え ら れ る よ う に な り、 種 々 の 手 法 に よ る
実 験 結 果 が 報 告 され て い る 。
crystalceUinteractionに
つ い て 、 わ れ わ れ は 、apoptosis等
構 成 の 変 化 、 特 にphosphatidylserineの
医 科 大 学 、Mande1教
に 伴 い 発 生 す る 細 胞 膜 リ ン脂 質
細 胞 膜 外 方 へ の 露 出 に 注 目 し、 米 国 ウ ィ ス コ ン シ ン
授 らの 研 究 グ ル ー プ と連 携 の 上 、種 々 の 検 討 を行 っ て きた 。 その 結 果 、
高 蔭 酸 尿 や 蔭 酸 カ ル シ ウ ム 結 晶 の 存 在 に よ り 腎 上 皮 細 胞 が 傷 害 さ れ 、phosphatidylserineが
細 胞 膜 外 方 へ 露 出 し て く る こ と 、phosphatidylserine自
体 の 電 荷 に よ り蔭 酸 カ ル シ ウ ム 結 晶
が 細 胞 に付 着 しや す くな る こ とが 明 ら か と な っ た 。 しか し こ れ ら は 、 腎 組 織 由 来 の 様 々 な
培 養 細 胞 を 用 い たInvitro実
験 で 得 ら れ た 結 果 で あ り 、 次 の ス テ ッ プ と し て 、in卿o実
験 で
も 同 様 な 結 果 が 再 現 さ れ る か 否 か を検 証 す る 必 要 が あ る と考 え ら れ た 。
実 験 的 蔭 酸 カ ル シ ウ ム 結 石 の 誘 発 モ デ ル(ラ
Glycol等
ッ ト)と し て 、蔭 酸 の 前 駆 物 質 で あ るEthylene
の 投 与 が 行 わ れ る こ とが 多 く、 腎 結 石 を効 率 的 に形 成 させ る た め に は 、 さ ら に 塩
化 ア ン モ ニ ウ ム ま た は ビ タ ミ ンD3が
し ば し ば 併 用 さ れ る 。 しか し 、 通 常 の 実 験 条 件 で は 結
石 形 成 を 主 眼 に 置 くあ ま り 、 腎 機 能 障 害 が 必 発 で あ り 、 腎 上 皮 細 胞 に も 高 度 な ダ メ ー ジ が
加 わ っ て い る 。 そ の た め 、 腎 上 皮 細 胞 と蔭 酸 カ ル シ ウ ム 結 晶 の 相 互 作 用 を 検 討 す る に は 適
当 な 実 験 系 で は な い も の と 考 え ら れ る 。 し か し く わ れ わ れ の 基 礎 実 験 に お い て 、Ethylene
Glycolや
塩 化 ア ン モ ニ ウ ム の 投 与 量 の 調 整 に よ り、 正 常 腎 機 能 を 保 持 し た ま ま 、 高 蔭 酸 尿
を誘 発 で き る こ とが 確 認 さ れ て い る 。 した が っ て 、 こ れ らの 薬 剤 の 投 与 期 間 や 投 与 濃 度 を
工 夫 す る こ と に よ り、 腎 機 能 に 影 響 を 与 え ず 、 腎 細 胞 へ の 傷 害 を 最 小 限 に抑 制 した 実 験 条
件 の 確 立 は 可 能 と思 わ れ る。
一 方 、 わ れ わ れ が 以 前 か ら 検 討 し て き た コ ン ドロ イ チ ン ポ リ硫 酸Sl分
は 蔭 酸 カ ル シ ウ ム 結 晶 に 対 す る 高 度 の 成 長 抑 制 活 性 を 有 す る こ と 、inVIVOで
ウ ム 結 石 形 成 を 抑 制 す る こ と が 判 明 し て い る(藤
crystalcellinteractionに
は蔭 酸 カ ル シ
沢 真 ら 、 日泌 尿 会 誌 、83、1647、1992)。
関 し 、 各 種glycosaminoglycanが
一1一
画 は 、inVl1POで
種 々 の作 用 を 及 ぼ す こ とが 報 告 され
て お り 、 コ ン ド ロ イ チ ン ポ リ硫 酸 に つ い て も 腎 上 皮 細 胞 と 蔭 酸 カ ル シ ウ ム 結 晶 の 接 触 や 接
着 に 何 ら か の 影 響 を 与 え る こ と が 予 想 さ れ る 。invitro、inVIVO実
とcrystalcellinteractionの
験 を 通 じ、 こ れ ら の 薬 剤
詳 細 が 明 らか と な れ ば 、 蔭 酸 カ ル シ ウ ム結 石 の 予 防 や治 療 に大 き
く貢 献 す る も の と 考 え ら れ る 。
本 研 究 は 、 腎 上 皮 細 胞 と 蔭 酸 カ ル シ ウ ム 結 晶 と の 関 係 に つ い て 、1)従
vitroの
実 験 に 加 え 、invivoで
の 実 験 系 を 確 立 す る こ と 、2)腎
来 行 わ れ て い たin
上 皮 細 胞 と蔭 酸 カ ル シ ウム 結
晶 の 接 着 に 電 荷 的 な 影 響 を 与 え る と 考 え ら れ る 細 胞 膜 リ ン脂 質 、 特 にphosphatidylserineと
の 関 連 をinvivo実
験 で 検 証 す る こ と 、3)蔭
酸 カ ル シ ウ ム 結 晶 成 長 や 凝 集 を 抑 制 す る と考
え ら れ て い る コ ン ド ロ イ チ ン ポ リ硫 酸 が 、crystalcellinteractionに
る か 否 か をinvivo実
験 で 検 討 す る こ と 、 を 主 な 目 的 とす る 。
一2一
対 し て も抑 制 効 果 を 有 す
研究組織
研 究代 表 者:山
口
聡(旭
研究協力者:八 竹
川 医 科 大 学 ・医 学 部 ・講 師)
直(旭 川医科大学 ・医学部 ・教授)
研 究協力者:加 藤祐 司(旭 川医科大学 ・医学部 ・助手)
研 究協 力者:奥 山光彦(遠 軽厚 生病 院)
研究協力者:高 下紀子(旭 川医科大 学)
交付決定額(配 分額)
直接経費
間接経費
合計
平 成13年
度
1,800
0
1,800
平 成14年
度
1,800
0
1,800
3,600一
0
3,600
総計
(金額 単 位=千 円)
一3一
研究発表
⊂1》 学 会 誌 等
・
山口
聡 ,八 竹
・
山口
聡
直:尿
酸 代 謝 と 尿 路 結 石 症(総
説),痛
風 と 核 酸 代 謝,26,1-11,2002
,八 竹
直:女 性 診 療 科 に お け る 主 要 症 候 ・疾 患 の 薬 物 療 法,2痺
結 石 症 ∼ 腎 ・尿 管 結 石,産 婦 人 科 の 実 際51,1597-1604,2002
・SatoshiYamaguchi
痛,4)尿
路
,JohnH.Wiessner,AndrewT.Hasegawa,LindaY.Hung,GretchenS.Mandel
andNeilS.Mande1=Calciumoxalatemonohydratecrystalbindingsubs伽ceproduced仕om
Madin-Darbycaninekidneycells.InternationalJournalofUrology,9,501-508,2002
・
山口
聡 ,八 竹
直:救 急 診 療 ガ イ ド ラ イ ン,外 来 で の ト リ ア ー ジ と救 急 処 置,泌
的 腎 ・尿 路 疾 患,尿 路 結 石 症,救 急 ・集 中 治 療,14(臨
増),196-197,2002
・
山 口
聡
,加
藤 祐 司,高
下 紀 子,中
園 周 作,八
竹
直,奥
山 光 彦:シ
形 成 モ デ ル に お け る 腎 集 合 管 細 胞 で のphosphatidylserine発
pathwayへ
の 関 与 の 検 討,日
尿器科
ュ ウ酸 カ ル シ ウ ム 結 石
現 の 定 量 的 評 価 とapoptosis
尿 結 石 誌,1,103-109,2002
・
加 藤 祐 司 ,山 口
聡,高 下 紀 子,八 竹
直,奥 山 光 彦:腎
上 皮 細 胞 一蔭 酸 カ ル シ ウ ム 結 晶 相
互 作 用 に お け る ク エ ン 酸 ・マ グ ネ シ ウ ム の 効 果 に つ い て.日 尿 結 石 誌,1,90-92,2002
・
山口
聡 ,加 藤 祐 司,北 原 克 教,高 下 紀 子,小 野 晴 子,八 竹
直:微 小 重 力 環 境 が 尿 路 結 石
形 成 の 初 期 過 程 に 影 響 を 及 ぼ す か?第12回
短 時 間 無 重 力 利 用 に 関 す る 講 演 会,講 演 論 文
集,7-10,2003
・
加 藤 祐 司
,玉
syndrome)に
木
岳,徳
光 正 行,山
口
聡,八
起 因 し た 尿 路 結 石 症 の1例.本
・SatoshiYamaguchi
竹
直,奥
山 光 彦:短
邦 報 告 例 の 検 討,日
腸 症 候 群(shortbowel
泌 尿 会 誌:94,33-36,2003
,YujiKato,MitsuhikoOkuyama,ShigeoKaneko,SunaoYachiku,JohnH.
Wiesner,NeilS.Mandel:FlowcytometricAnalysisforPhosphatidylserineoftheRenalCollecting
DuctCellMembraneinExperimentalCalciumOxalateNephroli止iasis,JUro1169(Supp1.):330,
2003
・
山口
聡:衝
16(臨
増),2003,inprinting
・MitsuhikoOkuyama
撃 波 に よ る尿 路 上 皮 細 胞 傷 害 と 尿 路 結 石 再 発 と の 関 連 性 の 検 討 ,泌 尿 器 外 科,
,SatoshiYamaguchi,SunaoYachiku:Identificationofbikuninisolatedfrom
humanurinethatinhibitscalciumoxalatecrystalgrow止anditslocalizationintheki血eys.
InternationalJournalofUrology,10,2003,inprinting
・SatoshiYamaguchi
,JohnH.Wiessner,AndrewT.Hasegawa,LindaY.Hung,GretchenS.Mandel
andNeilS.Mandel:Astudyofratmodelforcalciumoxalatecrystalformationwithoutsevererenal
damage,insubmission
・YujiKato
,SatoshiYamaguchi,SunaoYachiku,ShusakuNakazono,Juun-ichiHori,NaokiWada,
andKyokushinHou:Oraladministrationofpotassium-sodiumcitratewithmagnesium
oxidepreventsrecurrenturolithiasis,insub〃fission
一4一
{2》
・
ロ頭発表
山口
聡
,奥
山 光 彦,八
竹
直,JohnH.Wiessner,AndrewT.Hasegawa,NeilS.Mandel:蔭
カ ル シ ウ ム 結 石 形 成 に お け る 細 胞 一結 晶 間 相 互 作 用 のrnVIVO実
第89回
・
山 口
日 本 泌 尿 器 科 学 会 総 会(2001年4月15日,兵
聡
,加
藤 祐 司,八
竹
直,奥
庫 県 神 戸 市)
山 光 彦,JohnH.Wiessner,AndrewT.Hasegawa,Ne重1S.
Mande1:Clystal-cellinteractionのinvivo実
討,第11回
・
験 に 適 した 蔭 酸 カ ル シ ウ ム 結 石 実 験 モ デ ル の 検
日 本 尿 路 結 石 症 研 究 会(2001年8月31日,兵
加 藤 祐 司 ,山 口
聡,八
竹
酸
験 に 適 し た モ デ ル の 検 討,
直,吉
原 秀 樹,奥
連 物 質 の 健 常 者 で の 検 討,第lI回
庫 県 宝 塚 市)
山 光 彦:マ
グ ネ シ ウ ム 製 剤 に よ る尿 中 結 石 関
日本 尿 路 結 石 症 研 究 会(2001年8月31日,兵
庫 県 宝塚
市〉
・
加 藤 祐 司 ,山 口 聡,岩 田 達 也,玉 木
岳,八 竹
直,川 上 憲 裕,倉
達 彦:マ
グネシウム
製 剤 投 与 に よ る 尿 中 結 石 関 連 諸 物 質 の 変 化 の 検 討,第353回
日本 泌 尿 器 科 学 会北 海道 地 方
会(2001年9月22日,旭
・
川 市)
加藤祐 司
,山 口 聡,岩 田 達 也,八 竹
直,奥 山 光 彦,倉
達 彦,国 枝
マ グ ネ シ ウ ム 製 剤 投 与 に よ る 尿 中 結 石 関 連 諸 物 質 の 変 化 の 検 討 ,第66回
会 東 部 総 会(2001年10月11日,東
・
・
山口
聡
,加 藤 祐 司,高 下 紀 子,和 田 直 樹,八 竹
直,奥 山 光 彦:シ ュ ウ 酸 カ ル シ ウ ム 結 石
形 成 モ デ ル に お け る 腎 集 合 管 細 胞 で のphosphatidylse血e発
現 と そ の 定 量 的 評 価 の 検 討,第
90回 日本 泌 尿 器 科 学 会 総 会(2002年4月t6日,東
京 都)
加藤祐司
,山 口 聡,高 下 紀 子,岩 田 達 也,八 竹
直,奥 山 光 彦,西 原 正 幸:腎 上 皮 細 胞 一蔭
酸 カ ル シ ウ ム 結 晶 相 互 作 用 に お け る ク エ ン 酸 ・マ グ ネ シ ウ ム の 効 果 に つ い て,第90回
日
京 都)
加藤祐 司
,山 口
聡,高 下 紀 子,岩 田 達 也,八 竹
直,奥 山 光 彦:腎
上 皮 細 胞 一蔭 酸 カ ル シ
ウ ム 結 晶 相 互 作 用 に お け る ク エ ン 酸 ・マ グ ネ シ ウ ム の 効 果 に つ い て,日 本 尿 路 結 石 症 学 会
第12回
・
山口
学 術 集 会(2002年8月30日,旭
聡 ,加 藤 祐 司,高 下 紀 子,中
川 市)
園 周 作,八
竹
直,奥
山 光 彦:シ
形 成 モ デ ル に お け る 腎 集 合 管 細 胞 で のphosphatidylserine発
pathwayへ
・
山口
の 関 与 の 検 討,日 本 尿 路 結 石 症 学 会 第12回
山口
聡:衝
山 口
山口
川 市)
聡
3月5日,札
及 ぼ す 影 響 ∼ 地 下無 重 力 実 験 セ ン タ ー
下 紀 子,小 野 晴 子,八 竹
形 成 の 初 期 過 程 に 影 響 を 及 ぼ す か?第12回
幌 市)
一5一
お よ ぼす 影
京 都)
ウ ィ ン タ ー リ サ ー チ カ ン フ ァ レ ン ス(2003年1月10日,旭
,加 藤 祐 司,北 原 克 教,高
日本
京都)
日本 泌 尿 器 科 学 会 東 部 総 会(2002年9月20日,東
聡:MicrogravityがCrystal-cellinteractionに
に お け る 検 討,第3回
・
学 術 集 会(2002年8月30日,旭
撃 波 に よ る尿 路 上 皮 細 胞 傷 害 と衝 撃 波 がcrystal-cellinteractionに
響 の 検 討,第67回
・
ュ ウ 酸 カル シ ウ ム結 石
現 の 定 量 的 評 価 とapoptosis
聡:衝 撃波 に よ る尿 路 上 皮 細 胞 傷 害 と尿 路 結 石 再 発 との 関連 性 の 検 討,第67回
泌尿 器 科 学 会 東部 総 会(2002年9月20日,東
・
山 内 裕 昭:
日本 泌 尿 器 科 学
京 都)
本 泌 尿 器 科 学 会 総 会(2002年4月18日,東
・
学,小
直:微
川 市)
小 重力環境が尿路結 石
短 時 間 無 重 力 利 用 に 関 す る 講 演 会(2003年
・
山 口
聡
八 竹
直:尿
実 験 と そ の 応 用,第91回
・SatoshiYamaguchi
路 結 石 形 成 の 初 期 段 階 に か カ・わ る
crystal-cellinteractionのinvivo
日 本 泌 尿 器 科 学 会 総 会(2003年4月5日,徳
島 市)
,YujiKato,MitsuhikoOkuyama,ShigeoKaneko,SunaoYachiku,JohnH.
Wiessner,NeilS.Mandel.:FlowcytometricAnalysisforPhosphatidylserineoftheRenalCollecting
DuctCellMembraneinExperimentalCalciumOxalateNephrolithiasis
AmericanUrologicaiAssociation
(3》
・
,98thAnnualMeetingof
,Chicago,April,2003
・版 物
ガ イ ド ラ イ ン 作 成 委 員 会:荒
樹 郎,守 殿 貞 夫,郡
野
直,山
直,東
健 二 郎,棚
原 英 二,東
口 秋 人,山
Endourology・ESWL学
川
口
孝
,五 十 嵐 辰 男,井
橋 善 克,丹
義 人,平 尾 佳 彦,間
聡:尿
田
均,寺
宮 良 美,麦
口 正 典,伊
藤 晴 夫,小
川 由 英,金 村 三
井 章 人,西
尾 俊 治,奴
田 原 紀 久 雄 ,秦
谷 荘 一,村
路 結 石 症 診 療 ガ イ ド ラ イ ン(日
会,日 本 尿 路 結 石 症 学 会 編),金
一6一
原 出 版,東
井
勝,森
本 鎮 義,八
本 泌 尿 器 科 学 会,日
京 ,2002
竹
本
研究成果
1平
成13年
平 成13年
度 の研究実績概要
度 は 、 蔭 酸 カ ル シ ウム 結 晶 と腎 上 皮 細 胞 の 相 互 作 用 の 検 討 に 適 した ラ ッ ト蔭
酸 カ ル シ ウム 結 石 誘 発 モ デ ル の確 立 を試 み た 。
雄 性SDラ
ッ ト(6週 齢)に 対 し、 以 下 の 条 件 の 溶 液 を各 々 の 期 間 、 自 由 摂 水 させ た 。
実 験1:EthyleneGlycol(EG)+1.0%塩
実 験2:EG単
化 ア ン モ ニ ウ ム(NH4Cl)(5,7,9,11,13日
独(7,14,21,28日
EG濃
間)
間)
度 は 、 各 々 の 実 験 で0.1,α2,0.4,0.8voL%の4群
期 間 別 に 、 各 種 尿
を 設 定)。
そ れ ぞ れ投 与
・血 液 生 化 学 検 査 、 尿 中 蔭 酸 カ ル シ ウ ム 結 晶 と 腎 組 織 内 蔭
酸 カ ル シ ウム 結 晶 の 沈 着 につ い て 検 討 した 。
結果
実 験1;EG濃
度 と投 与 期 間 に依 存 して 、尿 中 蔭 酸 排 泄 量 、 蔭 酸 カ ル シ ウ ム(1水
物(COM)+2水
和 物(COD))結
和
晶 形 成 と腎 組 織 内 蔭 酸 カ ル シ ウ ム の 沈 着 は増 加 して
い た が 、 平 行 して 腎 機 能 障 害 お よ び尿 細 管 障 害 が 進 行 して い た 。 実 験2;実
比 し、 蔭 酸 カ ル シ ウ ム 結 晶(COD中
心)形
験1に
成 と腎 組 織 内 蔭 酸 カ ル シ ウ ム の 沈 着 は少
な か っ たが 、 腎 尿 細 管 障 害 は ほ と ん ど認 め なか っ た。
以 上 よ り、 従 来 のinvivo実
験 系 をmodifyす
る こ と に よ り、 腎 障 害 を最 小 限 に抑 制 し、
か つ 蔭 酸 カ ル シ ウ ム の 結 晶 尿 の み を 惹 起 さ せ る 条 件 の 設 定 は 可 能 と 考 え ら れ た 。そ のcritical
pointと
し て 、実 験1で
は0.1-0.2%EG+1.0%NH4Cl,day9ま
で 、実 験2で
は0.4%EG,day14
以 降 、 が 適 当 と思 わ れ た 。 さ ら に 実 験 条 件 の 微 調 整 に よ り尿 路 上皮 に 異 な る 種 類 の 結 晶
(COD,COM)を
曝 露 で き る 可 能 性 が あ る 。 こ れ ら を応 用 す る こ と で 、 こ れ ま でinVIVO実
験 で 得 ら れ て い る 細 胞 結 晶 間 相 互 作 用 に 関 す る 研 究 のinvivoで
と な っ た。
一7一
の 再 現 あ るい は 追 試 が 可 能
∬ 平成14年
平成14年
度の研究実績概要
度 は 、 平 成13年
度 に確 立 さ れ た蔭 酸 カ ル シ ウ ム結 晶 と腎 上 皮 細 胞 の 相 互 作 用
の 検 討 に 適 し た ラ ッ ト蔭 酸 カ ル シ ウ ム 結 石 誘 発 モ デ ル を利 用 して 、 ① 蔭 酸 カ ル シ ウ ム 結 晶
に 曝 露 さ れ た 腎 集 合 管 細 胞 膜 の 検 討 、 ② コ ン ドロ イ チ ン ポ リ硫 酸 の 腎 上 皮 細 胞 と蔭 酸 カ ル
シ ウ ム結 晶 の接 着 抑 制 効 果 の検 討 、 を お こ な っ た 。
①
蔭 酸 カ ル シ ウ ム 結 晶 に 曝 露 さ れ た 腎 集 合 管 細 胞 膜 の 検 討:
蔭 酸 カ ル シ ウ ム 結 晶 が 出 現 す る 条 件 下 で の 、 腎 集 合 管 細 胞 膜 上 の リ ン脂 質
(phosphatidylse血e)の
分 布 変 化 を 観 察 し た 。 細 胞 膜 外 方 のphosphatidylserineの
つ い て は 、phosphatidylserineに
討 と2-colorflowcytometryに
特 異 的 に 結 合 す る ㎜exinVに
露出 に
よ る免 疫 組 織 化 学 的 検
よ る定 量 的 評 価 を行 っ た 。 そ の 結 果 、 尿 中蔭 酸 排 泄 量 や
蔭 酸 カ ル シ ウ ム 結 晶 の 増 加 に 伴 い 、 細 胞 膜 表 面 にphosphatidylse血eが
発 現 して い る
細 胞 が 徐 々 に 増 加 す る こ と が 確 認 さ れ た 。 こ の 変 化 に 大 き く 関 与 す るapoptosis細
内 情 報 伝 達 系 の う ち 、caspase3,8,9を
胞
検 討 した と こ ろ 、 そ の 活 性 に つ い て も、 尿 中
蔭 酸 排 泄 量 や 蔭 酸 カ ル シ ウム 結 晶 の 増 加 に伴 い 、 徐 々 に増 加 して い た。
②
コ ン ドロ イ チ ン ポ リ硫 酸 の 腎 上 皮 細 胞 と 蔭 酸 カ ル シ ウ ム 結 晶 の 接 着 抑 制 効 果 の 検 討:
① と 同 様 な 実 験 条 件 下 で 、 ラ ッ トに コ ン ドロ イ チ ン ポ リ硫 酸 を 投 与 し た(3mg/100g、
皮 下 注)。 腎 集 合 管 細 胞 に つ い て ① と 同 様 に 、 細 胞 膜 外 方 のphosphatidylserineの
お よ びcaspase3,8,9を
露出
検 討 し た と こ ろ 、 い ず れ も非 投 与 群 に 比 し、 抑 制 さ れ る 傾 向
ヨ
を 示 した 。
こ れ ら の 結 果 か ら、inVIVO実
験 にお い て も、 微 小 細 胞 傷 害 に よるcIysta1-cellinteractionへ
の 影 響 が 、 定 量 的 に分 析 で き る こ とが 明 らか と な っ た 。 蔭 酸 カ ル シ ウ ム 結 晶 に よ り生 じ る
腎 集 合 管 細 胞 の 微 小 傷 害 は 、 コ ン ドロ イ チ ン ポ リ硫 酸 に よ りコ ン トロ ー ル さ れ 、 最 終 的 に
は 結 石 形 成 が 抑 制 され る可 能 性 が あ る 。 本 研 究 結 果 を応 用 す る こ と に よ り、 蔭 酸 カ ル シ ウ
ム 結 晶 や 高 蔭 酸 尿 以 外 の 要 因 に よ る 腎 上 皮 細 胞 傷 害 の 検 討 も可 能 で あ り、 種 々 の 結 石 促 進
物 質 や 抑 制 物 質 の 評 価 に も有 用 と考 え られ る。
一8一
Summary
In2001,astudywasconductedtoestablishamodelofrenalstonesinducedby
calciumoxalatethatwouldbesuitableforinvestigatingcrystal-cellinteractionsbetween
calciumoxalatecrystalsandrenalepithelium.Inthatstudy,itwaspossibleto
determineconditionsunderwhichcalciumoxalatecrystaluriacanbeinducedwhile
minimizingrenalinjury,byadjustingtheconditionsusedinconventionalinvivo
experiments.Morespecifically,itseemedtobesuitabletoadministerO.1-0.2
ethyleneglycolplus1.0%ammoniumchlorideforgdaysorO.4%ethyleneglycol
alonefor14days.Inadditiontothestudiesofcrystal-cellinteractionsconductedin
vitro,determinationoftheseconditionsmadeitpossibletoendorseinvivoexperiment.
In2002,thefollowingtwoexperimentswerecarriedout.
Experiment1:Astudyonthecellmembraneoftherenalcollectingductcellsexposed
tocalciumoxalatecrystals.
Underconditionsinducingtheformationofcalciumoxalatecrystals,changes
inthedistributionofphosphatidylserineonthecellmembraneoftherenalcollecting
ductcellswereexaminedbyflowcytometryandfluorescentmicroscope.Itwas
confirmedthatphosphatidylserineexpressingcellsgraduallyincreasedwithurinary
excretionofoxalateandcalciumoxalatecrystals.Caspasefamily,oneofthe
intracellularsignaltransductionsystemsforapoptosis,wasalsoactivated.
Experiment2:Effectsonchondroitinpolysulfatetopreventtheadhesionofcalcium
oxalatecrystalstotherenalepithelialcells.
Whenratsweretreatedwithchondroitinpolysulfateunderthesameconditions
asExperiment1,phosphatidylserineexposureontherenalcollectingductcellsandthe
activitiesofcaspase3,8,andgtendedtobesuppressedcomparingtotheuntreated
controlgroups.
Theseresultsindicatethattheeffectsofmildcellinjuryoncrystal-cell
interactionscanbequantitativelyanalyzedbyinvivoexperiment.Itseemslikelythat
thesmallinjuryoftherenalcollectingductcellscausedbycalciumoxalatecrystalscan
becontrolledbychondroitinpolysulfate,leadingtosuppressionofstoneformation.
一9一
主要発表論文
)
1
SatoshiYamaguchi,JohnH.Wiessner,AndrewT.Hasegawa,LindaY.Hung,GretchenS.MandelandNeilS.
Mandel
CalciumoxalatemonohydratecrystalbindingsubstanceproducedfromMadin-Darbycaninekidneycells.
InternationalJournalofUrology,9,501-508,2002
)
2
MitsuhikoOkuyama,SatoshiYamaguchi,SunaoYachiku
Identificationofbikuninisolatedfromhumanurinethatinhibitsca亘ciumoxalatecrysta且growthandits
localizationinthekidneys.
InternationalJourna且ofUrology,10,2003,inprinting
)
3
SatoshiYamaguchi,JohnH.Wiessner,AndrewT.Hasegawa,LindaY.Hung,GretchenS.MandelandNeilS.
Mandel
Astudyofratmodelforcalciumoxalatecrystalformationwithoutsevererenaldamage.
insubmission
)
4
YujiKato,SatoshiYamaguchi,SunaoYachiku,
ShusakuNakazono,Juun-ichiHori,NaokiWada,and
KyokushinHou
Oraladministration
urolithiasis.
insubmission
of
citratewithmagnesiumoxidepreventsrecurrent
potassium-sodium
)
5
SatoshiYamaguchi,YujiKato,MitsuhikoOkuyama,ShigeoKaneko,SunaoYachiku,JohnH.Wiessner,Neil
S.Mandel:FlowcytometricAnalysisforPhosphatidylserineoftheRenalCollectingDuctCellMembraneinExperimental
CalciumOxalateNephrolithiasis.
JUrol,169(Suppl.},330,2003
)
6
山口
聡
八竹
直:
尿 酸 代 謝 と尿 路 結 石 症(総
説)
痛 風 と核 酸 代 謝,26,1-11,2002
)
7
山口
聡,加
藤 祐 司,高
下 紀 子,中
園 周 作,八
竹
直,奥
山 光 彦:
シ ュ ウ 酸 カ ル シ ウ ム 結 石 形 成 モ デ ル に お け る 腎 集 合 管 細 胞 で のphosphatidylserine発
とapoptosispathwayへ
現 の 定 量 的 評価
の 関 与 の検 討
日尿 結 石 誌,1,103・109,2002
)
8
加 藤 祐 司,山
口
聡,高
下 紀 子,八 竹
直,奥
山光彦
腎 上 皮細 胞 一
蔭 酸 カ ル シ ウ ム 結 晶 相 互 作 用 に お け る ク エ ン酸 ・マ グ ネ シ ウ ム の 効 果 に つ い て
日尿 結 石 誌1,90-92,2002
)
9
山口
聡
加 藤 祐 司,北 原 克教,高 下 紀 子,小 野 晴 子,八 竹
直
微 小 重 力環 境 が 尿路 結 石 形 成 の初 期 過程 に影響 を及 ぼす か?
第12回 短 時 間無 重 力 利 用 に 関す る講i演会,講 演 論 文 集,7-10,2003
10)加
藤 祐 司,玉 木
岳,徳 光 正 行,山
短 腸 症 候 群(shortbowelsyndrome)・
口
聡
八 竹
直,奥
山 光 彦:
に 起 因 し た尿 路 結 石 症 の1例.
日 泌 尿 会 誌,94,33-36,2003
一10一
本邦報告例 の検討
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