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スライド 1 - 新潟県立中央病院
第2回肝臓病教室 津端 肝臓のはたらき 平成22年11月4日 新潟県立中央病院 第2回肝臓病教室 「肝心」「肝腎」 ・栄養や蛋白質の貯蔵・供給 肝硬変の症状と治療について ・解毒 ・免疫 内科医師 津端 俊介 肝臓は、相当な底力(予備能)を持っている 多少の病気では自覚症状が発現しない =「沈黙の臓器」といわれる所以 逆に言うと、症状が出るときは相当病状が悪化したとき 肝硬変とは 肝硬変とは ウイルス性肝硬変 肝硬変とは 肝硬変の原因 肝臓の細胞が線維に置き換わり、 肝臓が固くなって正常な機能を 果たせなくなる状態 ② 肝細胞の中でウルスが増殖 ③ からだのなかで ウルスと戦うための武器 (免疫産生物質=抗体など)を産生 15% 15% 15% ① ウルスが血液を介して感染 55% ④ ウルスと免疫産生物質が戦う 代償期 肝硬変ではあるが、無症状の時期 非代償期 黄疸、腹水、脳症などの症状を 認める時期 C型肝炎ウルス B型肝炎ウルス ゕルコール性 その他 ⑤ 肝臓本来の細胞(肝細胞)が 戦場となり、一緒に傷害される その他: 自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変 など ⑥ 破壊された肝細胞のかわりに 硬い線維が生えてきて、 正常な肝細胞が減ってしまう ⇒ 慢性肝炎・肝硬変へ 肝硬変とは ウイルス性肝硬変 ① 対象がとくにないにもかかわら ず、免疫産生物質(=抗体など)が 産生されてしまう (原因はわかっていない・・・) ② 肝細胞が免疫物質に攻撃を受ける ③ 肝細胞が免疫物質に傷害される ④ 破壊された肝細胞のかわりに 硬い線維が生えてきて、 正常な肝細胞が減ってしまう ⇒ 慢性肝炎・肝硬変へ C型肝炎の主な血液検査 肝機能検査(GOT、GPT) GOT、GPT: 本来肝細胞中に含まれている酵素 肝細胞が壊れると、血液中に流出する =肝臓の障害の指標になる 血管 GOT GPT GPT GOT 肝細胞 GPT GOT 1 第2回肝臓病教室 津端 肝硬変の主な血液検査 GOT (AST)、GPT (ALT) 肝硬変の重症度 チャイルド・ピュー分類 (Child-Pugh score) 肝細胞の傷害の程度 血小板 肝臓で作られるたんぱく質 肝臓の機能を反映 代謝・解毒に必要な物質 肝臓の機能を反映 黄疸の原因 肝の線維化が進むと低下する ゕンモニゕ 肝臓で代謝される有毒物質 肝臓が弱まると蓄積し意識障害の原因に プロトロンビン 出血を止めるために必要な成分 肝臓で作られる 肝臓の機能を反映 AFP、PIVKAⅡ 腫瘍があるときに上昇 腫瘍ができそうな時に上昇 例外もある ゕルブミン ビリルビン 肝臓の残された機能、肝硬変に伴う症状から算出する 1点 2点 1-2 2-3 血清ビリルビン 血清アルブミン 3.5以上 2.8–3.5 腹水 なし 軽度 1-2 脳症 なし プロトロンビン時間% 80以上 50-80 3点 3以上 2.8未満 中等度 3-4 50以下 各項目の得点を足した得点からA-B-Cに分類される A; 5-6点、B; 7-9点、C; 10-15点 肝硬変の主な症状(非代償期) 肝硬変の怖い合併症 つかれやすい (易疲労感) だるい (倦怠感) 力が入らない (筋力低下) おなかや胸に水が張る (腹水・胸水) むくみ (浮腫) 鼻血・歯茎からの出血 (易出血) 肝細胞がん 肝不全 消化管出血 おかしな言動・性格変化 (脳症) 手のふるえ (振戦) 足がつる (こむらがえり) 目や皮膚が黄色くなる (黄疸) 症状のない肝硬変 = 代償期 肝硬変の画像検査 肝不全とは がんを早期発見するために 進行した肝硬変 つかれやすい (易疲労感) だるい (倦怠感) 力が入らない (筋力低下) おなかや胸に水が張る (腹水・胸水) むくみ (浮腫) CT 超音波 (エコー) MRI それぞれの検査に長所と短所があります。 複数の機械を用いて、3カ月-6か月ごとの 定期的な検査を行うことが大切です。 鼻血・歯茎からの出血 (易出血) おかしな言動・性格変化 (脳症) 手のふるえ (振戦) 足がつる (こむらがえり) 目や皮膚が黄色くなる (黄疸) 2 第2回肝臓病教室 津端 消化管出血 肝臓 (肝硬変) 肝硬変の治療 進行を抑えるために 食道 もとの病気の治療 ⇐ 肝臓への血流 C型肝炎 ペグントロン ペガシス フエロン など レベトール コペガス B型肝炎 ゼフゖックス ヘプセラ バラクルード 胃 ① ② ③ ④ 肝臓が肝硬変になる 肝臓へ流れる血流がよどむ よどんだ血液が逃げるための新しい血管ができる 新しい血管は、食道や胃の壁を伝うように走行する =食道胃静脈瘤 ⑤ 急あつらえの血管のため、静脈瘤は破れやすい 自己免疫性肝炎 プレドニゾロン など 肝臓を護る治療(肝庇護療法) ウルソ グリチロン 強力ミノフゔーゲン ミノフゖット 定期的に内視鏡検査を受けましょう!! (バリウム検査だけではわからないことがあります) 肝硬変の治療 肝硬変の治療 進行を抑えるために 日常で心がけたいこと 肝臓に負担のかかる原因の除去 日常生活で心がけたいこと 肝臓に負担のかかる原因の除去 肝臓の負担軽減の手助け 便秘 消化管出血 高たんぱく食 ゕルコール 有害物質(ゕンモニゕ)の 体内への蓄積 肝臓の 負担増! 肝臓が処理(代謝)すべき 物質の蓄積 下剤の使用 肝臓では代謝されないタプのゕミノ酸製剤の使用 定期的な内視鏡検査 など 肝硬変の治療 肝硬変の治療 進行を抑えるために 進行を抑えるために 肝臓の負担軽減の手助けのために・・・ 糖尿病は肝がん発生率を高めるとされています 適度な運動をお勧めします 糖尿病が合併している患者さんでは、肝硬変や発がん率が 高まる可能性が指摘されています。 ⇒ 血糖値を下げるためには運動療法が基本です。 筋肉は, 肝臓の仕事(代謝)の手助けをしてくれると いわれています。 「筋肉は第二の肝臓」とさえいわれています. ⇒ 筋肉を鍛えると、 肝臓の仕事量を減らすことが できるのです。 肝がん発生率 (%) その理由は・・・ 糖尿病 非糖尿病 経過期間(年) Gastroenterol. 126, 460-8, 2004 3 第2回肝臓病教室 津端 肝硬変の治療 肝硬変の治療 進行を抑えるために 進行を抑えるために 肝疾患の患者さんにみる、1日の歩行時間と年齢調整死亡率(比率) 2 肝臓の負担軽減の手助けのために・・・ 適度な運動をお勧めします 1.5 ただし、進行した肝硬変の場合には、運動が弊害になることも あります。 1 0.5 0 1時間以上 30分-1時間 30分以下 肝疾患の患者さんにみる、1日のテレビ視聴時間と年齢調整死亡率(比率) 2.5 また過度な運動は不要です。 主治医と相談の上、適切な運動療法を取り入れるように しましょう。 2 1.5 1 0.5 0 2時間未満 2-4時間 4時間以上 Asian Pac J Cancer Prev 8 Suppl, 25-34, 2007 まとめ ご静聴ありがとうございました。 肝臓をいたわるためには、適切な治療はもちろん、 適度な運動や適切な食事が大切です。 無理のない健やかで充実した日々を お過ごしください。 当院では、定期的に多業種間での肝臓病に関する勉強会を開いています。 当院ホームページ: http://www.cent-hosp.pref.niigata.jp/index.html 当院消化器内科ホームページ(肝疾患の話題もこちらから): http://www.cent-hosp.pref.niigata.jp/shinryou/shoukaki/index.html 4