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美しいシェードガーデンを楽しむ 色とりどりの葉としっとり咲く花で
日陰になる時間帯や 季節による違いをチェック ! ひと言でシェードといっても、季節や 時間によって程度も変わり、周りの建物 や樹木によって、日光の差し込み方も部 分的に変わってきます。まずは、その場 日にどの程度日光が当たるか、確 3 所は 2 認をしてみましょう。 日なたは半日以上日が当たる場所を指 すのに対し、半日陰は 日 ∼ 時間ほ ど、さらに直射日光がほとんど当たらな い場所を日陰と分けることができます。 半日陰地は、住宅周りであればどこでも 見られるスペースですが、方角によって 日光の差す時間帯が変わってきます。 1 1 色とりどりの葉としっとり咲く花で 2014.03 美しいシェードガーデンを楽しむ 日照が少ない場所でも美しい庭を楽しみたい。今回はそんな望みをかなえる、シェードガーデンの作り方をご紹介します。 建物周りは、部分的に日なたになりやすい。 彩りあるリーフを選べば、長期間カラフル なコーナーを楽しめる。ジギタリスは半日 陰でも開花し、存在感のある花姿は見せ場 にぴったり。 ●ジギタリス「シルバーフォックス」、ビ オラ・ラブラドリカ・プルプレア、ヒュ ーケラ、アネモネ「オーロラ」、ペルシ カリア「シルバードラゴン」、ベロニカ 「アズテックゴールド」 日差しがある輝くような庭とはまた違う、しっとりと落ち着いた風情が楽しめるのも日陰の庭ならでは。 葉が茂る初夏∼晩秋までは半日陰に、 落葉する冬∼早春までは日なたにな るので、里山で見られる野草に最適。 初夏以降に休眠するクリスマスロー ズや秋植え球根とも相性がいい。 部分的に日光が差し込む場所は カラーリーフをベースに 落葉樹の下 夏は太陽の位置も高くなるので、 半日陰地でも日光が差し込みや すくなる。インパチェンスは半 日陰でもよく花を咲かせる。プ レクトランサスの黒みを帯びた 葉がアクセントに。手前の葉の 広いギボウシが全体にメリハリ を与えている。 ●インパチェンス「サンラブリ ィ」、ホスタ、プレクトラン サス「モナラベンダー」、ト レニア「カタリーナブルーリ バー」 日陰の程度を見極めて、環境に適した植物選びを心掛けましょう。 半日陰で美しく咲く インパチェンスをメインに vol.9 35 東側は午前中に日光が当たり、夏は午 後からは強い日差しから逃れることがで きるので、暑さが苦手な植物を育てやす い環境です。西側は、逆に夕方に西日が 強く当たるので、場合によっては、樹木 などで日差しを和らげる必要もあります。 北側であっても、太陽の高い夏は日光の 当たる時間帯もあり、季節に応じて耐陰 性のある草花を育てることができます。 さらに、落葉樹の下は初夏∼秋までは 半日陰、晩秋∼春までは日なたと、季節 によって環境が変化します。場所の特性 葉も花も美しい植物で 年間通して美しいコーナーに や季節にあわせて植える植物を変え、華 やかなコーナー作りをしてみましょう。 ヒューケラやティアレラは、葉の美しさはもちろん、花の存在感もある。 落葉性のホスタと組みあわせれば、シーズンを通して彩りあるシーンが楽しめる。 葉色が美しい植物をベースに ピンクの花で彩りをプラス タイツリソウ(ケマンソウ) やエビネが美しく咲く初夏の 庭。黄金色のタイツリソウ、 斑入りのギボウシ、シルバー のラミウムと、彩りあるリー フでさらに明るく。早春の花 の少ないシーズンも株元のラ ミウムが明るい印象で、小球 根を加えるとさらに彩りある シーンになる。 ●タイツリソウ「ゴールドハ ート」、キエビネ、ホスタ、 ラミウム、ヒューケラなど 東側の小径 天野 麻里絵 東京農業大学地域環境科学部造園科学科 卒業後、愛知県豊田市にある「ガーデニ ングミュージアム 花遊庭」の植栽・メ ンテナンスを担当するほか、個人邸の植 栽デザインも担当。植物に対する豊富な 知識と抜群のセンスのよさからメディア でも活躍。NHK「趣味の園芸」の講師 としても人気。著書に父・勝美さんとの 共著「決定版 自分でつくるおしゃれで 小さな庭」がある。 ●「ガーデニングミュージアム 花遊庭」 http://www.kayutei.co.jp 午前中は日光が当たるが、 午後から陰りやすいので、 暑さや夏の強い日差しが苦 手な植物を育てやすい。日 なたより生育がゆるやかに なる分、旺盛に茂る植物を コンパクトに育てられる。 北側の日陰の庭 建物の陰になる場合が多く、1日 中日光が差し込みにくい。1年中 暗いエリアでは、じめじめしやす いので、水はけをよくしてカバー を。斑入り葉を多く取り入れると 明るい印象になる。 に こんな場所! て け 植え付 南 東 西 北 36 2014.03 シェードだからと、花をあきらめることは ありません。耐陰性のある草花を選び、さら に美しいリーフを加えれば、しっとりとした シェードならではの景色が楽しめます。シェ ード向きのホタルブクロやアスチルベなどは ふ 大株になるほど見応えが出ますが、開花期が 限られます。斑入りや黄金葉、銅葉などのカ ラーリーフを取り込み、ポイントに耐陰性の あるインパチェンスなど、開花期の長い一年 草を加えると、華やかな印象にすることがで きます。特にシェードは暗くなりがちなので、 斑入り葉や、白や淡いピンクなど明度の高い 花色を選ぶと明るい印象になります。 日照が少ない分、水はけをよくして土の乾 きやすさを促したり、茂りすぎた植物はこま めに切り戻して風通しをよくし、徒長しない ようなメンテナンスを心掛けましょう。 アジュガ ■シソ科 地面を覆うように広がるグラウンドカバープランツ。葉色も黒みを帯び たものから、斑入り、細葉タイプまでバラエティーに富む。常緑なので、 常にグリーンを楽しみたい場所に。初夏に上がる青紫の花穂も見事。花 色は青紫のほか、ピンク(写真)や白もある。 ■ユキノシタ科 生育旺盛で、ランナ ーを伸ばしてどんど ん広がる。根が浅い ので、樹木の株元や 斜面など、ほかの草 花を植えづらい場所 にも向く。初夏には たくさんの花茎を立 ち上げて、白い小花 を一斉に咲かせて美 しい。 ヒューケラ ユキノシタ ■ユキノシタ科 カラフルな葉色が魅力だが、晩春に咲く花も美しい。小花 ながら、長い花茎を立ち上げて咲くので存在感があり、葉 とのコントラストも美しい。シェードで楽しむリーフとし て定番だが、夏以外は日なたの方が葉色が美しくなる。 ■ユリ科 落葉性の多年草で春 から芽吹き、カーブ した茎に、初夏に小 さな花を咲かせる。 すっきりとした葉に 入る斑がさわやかな 印象。丈夫で育てや すく、植えたままで 毎年楽しめる。草丈 40∼60㎝とほどよい 高さで、ボリューム を出したいコーナー にもおすすめ。 ) 斑入りカラミンサ ランディフローラ (カラミンサ・グ ■シソ科 科 強健な多年草。冬は地上部が落葉し、草丈 30∼40㎝ほどに。細かな散り斑の葉が美し い。カラミンサ・ネぺタより大きめのピン クの花を初夏に咲かせる。過湿を嫌うので、 水はけのよい場所に植え付けを。 日陰でも美しく花咲く宿根草が欲しい ! 次の季節に向けて今から準備! 次 タイツリソウ 」 「ゴールドハート ■ケシ科 「ケマンソウ」の名でも知られ、ハート形の 花を連ねて咲かせる。ライムグリーンの葉は、 シェードで一際目を引く。草丈60㎝ほどにな る大型の多年草。開花後、夏ごろに地上部が 枯れてなくなるので、常緑のグラウンドカバ ーとあわせて植えるのがおすすめ。 斑入りナルコユリ 今すぐやりたいガーデンケア ‘補植’で春の庭を長く楽しむ ■シソ科 黒みがかった葉に、 ラベンダー色の花を たっぷり咲かせ、葉 と花のコンビネーシ ョンも美しい。耐寒 性はないが、直射日 光の当たらない場所 なら夏も花が休まず、 初夏∼秋にかけて長 く開花する。 プレクトランサス 」 「モナラベンダー 3月に入ると、開花したさまざまな花苗がガーデンショップで見 られるようになります。トウ立ちを始めたハボタンや、寒さで傷 んだ草花に替え、新しい花苗を一部分でも加えると目先も変わり ます。花壇のポイントになるコーナーに入れれば、一気に華やか になって春の装いを楽しめます。春に先駆けて温室栽培されたも のも多くあるので、購入後は、1週間ほど寒風の当たらない軒下 早春にローダンセマム、ラナ などで外気に慣らせてから植え付けます。まだ霜が降りることも ンキュラス、ルピナスを加え た花壇。高さのあるローダン あるので、この季節の花壇への植え込みは、耐寒性のあるタイプ を選ぶようにしましょう。 セマムで一気に華やかに。 2014.03 37 春は、秋に並んで宿根草の植え付け適期です。 園芸店でも、さまざまな品種を目にすることが できますが、種類が豊富なだけに、このシーズ ンしか出回らないものも多くあります。欲しい 年でも 品種のリストアップをして、時期を逃さず入手 しておきましょう。これから初夏は、 最も多く花が開花する季節です。初夏はジギタ リスやデルフィニウムなど、大型の宿根草も開 花しますが、夏の暑さに弱く、夏越しできない ものも少なくありません。開花が終わったら、 夏花壇の植え替えを期に、一年草とあわせて初 夏∼夏にかけても開花する宿根草の植え付けを するのもおすすめです。ガーデニングシーズン 目前、変わっていく草花にあわせて、初夏から の準備も始めましょう。 アガスターシェ「ゴールデンジュビ リー」と、エキナセア「ハーベスト ムーン」が咲く初夏の庭。アガスタ ーシェの黄金葉がイエローのエキナ セアの花を、より鮮やかに見せる。 1 葉色の美しい品種が揃うアガスターシェ 小花ですが、独特の花色や、ライムやブロンズなど葉色の美しい 品種もあり、庭に植えると個性的な花姿が目を引きます。夏の暑 さにも強く、丈夫で初夏から秋まで繰り返し開花します。草丈も 膝丈ほどで、いろいろな場所に植えやすい宿根草です。 花色も花形も豊富な夏の主役花エキナセア さまざまな花色と花形がますます豊富になったエキナセア。暑さ寒さに強く丈夫で 育てやすく、花径5∼10㎝の花を初夏∼秋まで繰り返し咲かせ、夏の庭の主役花に なります。品種によって草丈も変わるので、場所に適した使い方をしましょう。 ピンク」 「センセーション 従来種 来種には見 来種 は見られな は見られな られ れな れ な 鮮 従来種には見られない鮮 やかなピンク。花後切り 戻すと再び開花し、繰り 返し長く楽しめる。草丈 1m前後。 ン」 「サンダウン」 「ハーベストムー かな黄花 な黄 黄花は 咲き き進 進 鮮やかな黄花は、咲き進 むとクリーム色に変化。 花つきがよく、草丈70㎝ 前後で切り花にも向く。 オレンジから、咲き進む につれピンクがかってい く。草丈は60㎝前後とや やコンパクト。 夏のガーデンに欠かせないキク科の多年草 ヘレニューム&ヘリアンサス 「ボレロ」 赤みを帯びた銅葉と、赤紫色の 穂状の花との対比が個性的。葉 はミントに似た香りがする。草 丈は35∼40㎝。 タイタンビカス マワ ワリの仲 仲間の多 間の多年草 草 ヒマワリの仲間の多年草。 直径6㎝ほどのレモンイ エローの花を一面に咲か せる。草丈約 1.5 mとか なり高くなるので、花壇 の後方に。冬は落葉する。 38 2014.03 ヘレニューム ト」 「ダンケルプラク レニ ニ ムで では では珍 は珍 珍しい しい ヘレニュームでは珍しい、 真紅の花色が美しいシン グル咲き。花もちがよく、 切り花にも最適。草丈70 ∼ 100 ㎝。 ヘレニューム ミックス」 「ロトゴールド・ 中心が持ち上がる花姿か 中心が 心が持ち 心が 持ち 持ち上 ち上 上がる花 がる が る花姿か る花 姿か らダンゴギクとも呼ばれ る。花色は鮮やかな黄∼ 赤色のミックス。草丈70 ∼80㎝。 グリ リ ンのリ ン ンの が鮮や 鮮や ライムグリーンのリーフが鮮や かで、ラベンダー色の花とのコ ントラストも美しい。大株にな ると草丈80㎝前後のボリューム になる。 大輪の花が夏中楽しめるタイタンビカス キク科の多年草は、夏の暑さにも強く、性質も丈夫で育てやすいものが多くありま す。ほかの草花が少なくなる夏∼秋にかけて開花し、イエロー系の色鮮やかな花を たくさん咲かせる姿は、夏のガーデンには欠かせません。草丈があり、1m以上に なるものが多いので、花壇では後方、またはスペースに余裕のある場所に植え付け ましょう。 ヘリアンサス 」 「レモンクィーン ビリー」 「ゴールデンジュ アメリカフヨウとモミジアオイの交配種 の宿根性ハイビスカス。とても強健で、 日当たりがよければ植えたままで毎年花 を楽しめます。落葉性で、冬は地上部が なくなりますが、春から芽吹き、開花期 には草丈2m以上に育ちます。花径15∼ 220㎝の大輪花は見応えがあり、一日花で すが花つきがよく、繰り返し開花します。 大 大株になれば、1株で 200 輪ほどの花が 楽 楽しめることもあります。 植え付けは春。お気に入りの花は早めに入手して ! ! 初夏から夏の庭の準備も今から 初 夏