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海水淡水化 - 東レ経営研究所
<経済用語解説> ちょっと教えて! 現代のキーワード 海水淡水化 日本が強みを持つ逆浸透膜法に脚光 海水を処理して淡水(真水)を作り出す技術や設備のことです。海水には 3.5%程度の塩 分が含まれているため、飲み水にするには、脱塩処理を行い、塩分濃度を 0.05%以下まで 下げる必要があります。 海水淡水化には、海水を蒸発させて塩分を分離する蒸発法と、膜を用いて塩分を分離す る膜法の 2 つがあります。 蒸発法は古くから普及している方法で、蒸発させるために膨大なエネルギーを要するた め、中東地域などでは火力発電所を併設した海水淡水化施設が数多く立地しています。 一方、膜法は比較的新しい方法で、蒸発法と比較してエネルギー消費量が少ない点で優 位性があるため、最近注目を集めています。代表的な膜法である逆浸透膜法は、海水に圧 力をかけて、逆浸透膜と呼ばれる 0.1 ナノ(ナノは 10 億分の 1)メートル程度の小さい穴 が無数に空いたろ過膜の一種に通し、塩分を分離して、海水をこし出す方法です。 日本は高度な膜技術に強みをもち、逆浸透膜では日東電工、東レ、東洋紡の 3 社で世界 市場の 6~7 割のシェアを占めています。逆浸透膜による海水淡水化装置は、船舶に搭載す る小規模なものから上水用の大規模な装置まで実用化されています。 世界の海水淡水化施設の需要は、中東や地中海沿岸地域を中心に世界中で拡大が見込ま れており、施設容量は 2005 年から 2015 年までの 10 年間で約 2 倍に達すると予測されて います(世界の海水淡水化施設容量は 2003 年末時点で 3700 万㎥/日)。 東レ経営研究所「ちょっと教えて! 現代のキーワード」