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Success StoriesーEnvironment / Energy エナジープールジャパン株式会社 デマンド・レスポンスのオペレーションを行う欧州で最大手のエナジープール社は、工場などの産業施設を 中心に、電力消費の抑制やそれに伴うコスト削減にむけたソリューションを提供している。日本においても デマンド・レスポンスのサービスを展開するため、2015 年 6 月、東京に子会社とともに、オペレーション・セン ターを設立。エナジープールジャパン株式会社の取締役・国際事業開発担当であるギオーム・フェルネ氏 に、同社の日本への進出の経験と事業展開について聞いた。 エナジープールジャパンの親会社である Energy 制を依頼する形がとられていた。エナジープール社 Pool Développement 社(以下、エナジープール は、この一連のプロセスを自動的に行い、効率的 社)は、フランス初のデマンド・レスポンス・オペレー ターとして 2009 年に設立された。現在、欧州最 大の産業向けデマンド・レスポンス・オペレーターで に節電が行われるようサービスを提供している。 エナジープール社の専門職員は顧客企業に聞 き取り調査を行い、電力会社から電力使用抑制 ある。2010 年には Schneider Electric 社と戦略 的提携関係を構築し、英国やベルギーに進出。 の要請があった場合、どのような方法、段取りで 対応するのか、顧客企業ごとに独自のシナリオを 2011 年の東日本大震災後に起こった電力不足 問題を契機として日本市場への参入に関心を持 つようになった。続いて日本政府が電力市場改革 作成する。そのシナリオをもとに、同社が作成した アルゴリズムが、どの工場で、どのくらいの電力を、 何時間削減すればよいのか計算をおこなう。さら を進めるにともない、日本市場への展開が具体的 に、電力会社にはボタンひとつで電力使用抑制を に検討され始めた。その後、経済産業省が実施 した実証実験への参加を経て、2015 年 6 月、日 要請できるシステムを導入。これにより、電力抑制 が要請されると、自動的にエナジープール社のシス 本に子会社を設立。現在、日本企業約 10 社に テムに信号が送られ、直ちにアルゴリズムが、どの サービスを提供しており、今後も顧客数の拡大を 見込んでいる。 工場で、どのシナリオに沿った削減を行うべきかを 計算し、顧客企業にその対応策を連絡する仕組 みになっている。 「我々の仕事とは、常に準備完了の状態にし ておくことだ」とフェネル氏は言う。アルゴリズムがい つでも最善のシナリオを導き出し、いざ電力会社 から抑制依頼があった際には、迅速に電力の消 費抑制をできるようにしている。 エナジープール社のデマンド・レスポンス フェルネ氏によると、エナジープール社のデマン ド・レスポンス・ソリューションは日本ではまだ新しい ものだという。デマンド・レスポンスとは電力需要の ピーク時に電力の使用抑制を促し、ピーク時の消 費を抑え、電力の安定供給を図る仕組みである。 こうした仕組み自体は以前から日本にも存在した が、従来は電力消費のピーク時に電力会社が企 業や工場などにファックスを送り、電力使用の抑 エナジープールジャパン株式会社のオペレーション・センター Copyright (C) 2016 Japan External Trade Organization (JETRO). All rights reserved. Success StoriesーEnvironment / Energy 日本への進出は「ニッチな市場を狙った」 前述の通り、同社は 2011 年の東日本大震災 の電力不足問題以降、日本市場には常に関心 を持ち、「自社が貢献できる余地は大きい」とフェ ネル氏は感じていた。しかし、2011 年当時は会社 もまだ小さく、海外進出も始めたばかりであったた め、日本は遠く、市場も大きすぎると感じていたと いう。数年後、日本でのビジネス経験が豊富な Schneider Electric 社と戦略的提携を結び、同 社から日本へ進出してはどうか、との打診があった。 しかし、「当時はまだ自信がなかった」とフェルネ氏 は話す。その後、英国やベルギーでの事業展開で 成功をおさめたことで自信がつき、日本への進出 に至った。 進出当時に感じていた日本での成功の確率は 「10%」。しかし、市場調査を進めているうちに、日 本には競争相手がいないことが分かった。当時の 電力不足問題を受けて、デマンド・レスポンスのビ ジネスに参入する企業は多かったが、そのほとんど が家庭やオフィスビル、商業ビルなどを対象として おり、工場や産業施設を対象としている企業はな かったと言う。同社は、自社の持つサービスの独自 性に確信を持つようになった。 また、政府による電力市場改革の後押しも大 きかったという。実証実験への参加によって日本市 場での経験を蓄積したと同時に、電力市場の改 革が進んでいることも実感した。今では、日本市 場で成功できる確率は「90%」と自信を持つ。 パートナー企業の存在 日本市場への進出にあたって大きな助けとなっ たのがパートナー企業の存在だ。既に提携してい た Schneider Electric 社の協力が非常に重要で あった。同社は市場開拓の経験が豊富な人材を 提供してくれた。さらに、同社の支援によって日本 企業とのコネクションを迅速に作ることができた。政 府各機関の関係者とのパイプ作りも、Schneider Electric 社のようなパートナー企業の協力があって はじめて可能となった。「パートナー企業の存在な しに、日本への進出は不可能だった」とフェネル氏 は振り返る。 エナジープールジャパン株式会社 取締役・国際事業開発担当 ギオーム・フェネル氏 ジェトロのサポート 「フランスと日本の両方でジェトロの担当者と会 い、人材探し、会社登記、税務などについて相談 でき、たいへん有意義だった」とフェネル氏は話す。 日本に進出した当時は分からないことも多く、ど ういった情報を信用してよいのか、判断に困ること もあったと言う。ジェトロを通して信頼できるサービ ス・プロバイダや専門家と出会い、情報を得るため のコンタクト先を増やしていった。これらのネットワー クは、会社を設立してから時間がたった今でも活 かされている。 フェネル氏はジェトロのサービスについて、「大海 に浮かぶ小船が、霧の中でひとすじの光を見たよう だった。知らない世界を進む際の、ナビゲーターの ような存在だ」とフェネル氏は語った。 (2016 年 7 月取材) Copyright (C) 2016 Japan External Trade Organization (JETRO). All rights reserved. Success StoriesーEnvironment / Energy 同社沿革 2009 年 2010 年 フランス初のデマンド・レスポンス・オペレーターとして会社を設立 Schneider Electric 社と戦略的提携を結び、国際展開を開始 2013 年 同社初の国際拠点を英国とベルギーに設立 2014 年 2015 年 6 月 カメルーン、ノルウェー、日本での事業展開を開始。国際展開を加速。 東京都にエナジープールジャパン株式会社を設立 2015 年 9 月 都内の新しいオペレーション・センターへ移転 エナジープールジャパン株式会社 2015 年 6 月 設立: 事業概要: デマンド・レスポンス 親会社: Energy Pool Développement (フランス) 住所: 〒108-0023 東京都港区芝浦 2-15-6 オアーゼ芝浦 MJ ビル http://www.energy-pool.jp/ URL: ジェトロの支援 - 登記・税務に関するコンサルテーション - サービスプロバイダ(不動産業者、人材紹介会社)の紹介サービス Copyright (C) 2016 Japan External Trade Organization (JETRO). All rights reserved.