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2015年1月号

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2015年1月号
1 月号
平成 27 年
(2015 年)
ご利用の前に
か ん く う じ ま ウ ェ ザ ー ト ピ ッ ク ス
関空島 WEATHER TOPICSの内容には、航空気象で利用する用語や、観測で使用する機器及
びその設置場所等の略語がでてきます。これらの解説を巻末に掲載していますので適宜ご利用
ください。
<お知らせ>
関空島ウェザートピックスの配信方法の一部変更について
関空島ウェザートピックスは、現在、関西航空地方気象台 HP、電子メール、郵送により皆
様に配信しておりますが、平成 27 年 4 月号(4 月 10 日頃発行予定)から郵送での配信を取り
やめ、HP、および電子メールによる配信に変更いたします。皆様のご理解とご協力をよろし
くお願いいたします。
なお、郵送で購読されているカスタマーの皆様におかれては、引き続き購読をお願いします
と共に、購読いただける場合には送付先のメールアドレスを平成 27 年 3 月末までに担当(奥
田:[email protected])まで連絡願います。
関空島の 12 月の気象
天気概況
12 月は高気圧や冬型の気圧配置の影響で晴れの日が多くありましたが、低気圧や気圧の谷、
強い寒気の影響で雨やみぞれ、雪の降る日もありました。
また、5 日は冬型の気圧配置で寒気が流入したため、関西国際空港ではみぞれが降り、初雪
を観測しました。これは、前年に比べて 15 日早い初雪でした。
上旬:
期間のはじめは、前線や気圧の谷の影響で雨や曇りの日が多くありましたが、期間の中
頃から終わりは、冬型の気圧配置や高気圧の影響で、晴れの日が多くなりました。
1 日は、日本海の低気圧から南にのびる前線が通過したため、雨や雷雨となり、VIS が 1,000m、
RVR が 750m まで低下しました。また、風が強まり日最大風速 西 31kt、日最大瞬間風速 西
42kt の強い風が吹きました。
6 日は、冬型の気圧配置で晴れましたが、夕方に風が強まり、ウインドシアーの通報が 1 件
ありました。
中旬:
日本海と日本の南海上を低気圧が東進した影響で、雨となる日がありましたが、低気圧
の通過後は冬型の気圧配置や高気圧の影響で、晴れの日が多くなりました。しかし、冬型の気
圧配置が強い日は寒気の影響で、一時的に雨やみぞれ、雪の降る日がありました。
11 日は、日本海を東進した低気圧や日本の南海上を東進した前線の影響で雨が降り、VIS が
2,000m、CIG が 1,200ft まで低下しました。
‐1‐
16 日は、日本海と日本の南海上を低気圧が東進した影響で雨が降り、雨ともやで、VIS が
2,000m、CIG が 800ft まで低下しました。
17 日は、低気圧が通過後、冬型の気圧配置が強まったため風が強まり、日最大風速が西 37kt、
日最大瞬間風速が西 52kt の強い風が吹きました。
20 日は、日本海と本州の南岸を低気圧が東進した影響で雨が降り、雨ともやで、VIS が 2,000m、
RVR が 1,300m まで低下しました。
下旬:
期間のはじめは、高気圧や冬型の気圧配置の影響で晴れの日が多くなりましたが、期間
の中頃は気圧の谷の影響で、期間の終わりは日本の南岸の低気圧の影響で、雨の降る日があり
ました。また、冬型の気圧配置が強まった日は寒気の影響で、一時的にみぞれや雪の降る日が
ありました。
25 日は、気圧の谷や未明に日本海から南下したシアーの影響で雨が降り、雷を観測しました。
また、雨の影響で、VIS が 4,000m まで低下しました。
28 日から 29 日は、日本の南岸を低気圧が東進した影響で雨が降り、雨ともやで、28 日は
VIS が 3,500m、CIG が 1,000ft まで、29 日は VIS が 4,000m、CIG が 1,000ft まで低下しまし
た。
31 日は、冬型の気圧配置が強まった影響で風が強まり、日最大風速 西北西 30kt、日最大瞬
間風速 西北西 39kt の強い風を観測しました。
第 1 図 2014 年 12 月の日別降水量
《降水量》
第2図
2014 年 12 月の日別気温
月降水量は 107.5mm(平年 56.6mm)でした。日降水量の最大は 20 日に観測し
35.0mm、1 時間降水量及び 10 分間降水量の最大は 1 日に観測し、それぞれ 13.5mm、9.5mm
でした。(第 1 図)
《気温》 月平均気温は 7.6℃(平年 9.5℃)でした。日最高気温の平均は 10.2℃(平年 12.2℃)、
最高は 1 日の 17.8℃でした。日最低気温の平均は 5.3℃(平年 6.9℃)
、最低は 17 日と 28 日
の 1.8℃でした。(第 2 図)
《雪》
降雪を観測した日数は 5 日で、いずれも 0cm でした。
‐2‐
《風向風速》
月全体の風向は、西北西の風が多くなっています。時間帯別に見ても、全ての時
間帯で西北西の風が多くなっています。(第 3、4 図)
第 3 図 12 月の風配図
calm:0.0%
第4図
12 月の 6 時間毎の時間別風配図
calm 00-06:0.1% 06-12:0.0%
12-18:0.0% 18-24:0.0%
風速別では、日最大風速が 10kt 以上の日数が 31 日、そのうち 15kt 以上の日数が 26 日、
20kt 以上の日数が 19 日ありました。10 分間平均風の風配図を見ると、10kt 以上、15kt 以
上、20kt 以上の全てで西北西の風が多くなっています。(第 5 図)
第5図
12 月の風速別風配図
《極値の更新》 12 月の極値の更新状況を第 1 表に示します。表中、橙色のセルが今月更新した
記録です。このうち、日最大瞬間風速は通年でも 6 位の記録となりました(桃色のセル)。
また、通年の極値の更新状況を第 2 表に示します。表中、橙色のセルが 2014 年に更新し
た記録です。
‐3‐
第 1 表 関空島の 12 月の極値
要素名/順位
日降水量
(mm)
日最大10分間
降水量(mm)
日最大1時間
降水量(mm)
月降水量の
多い方から(mm)
日最高気温の
高い方から(℃)
日最高気温の
低い方から(℃)
日最低気温の
低い方から(℃)
月平均気温の
高い方から(℃)
月平均気温の
低い方から(℃)
日最大風速
・風向(m/s)
日最大瞬間風速
・風向(m/s)
1位
2位
3位
4位
5位
6位
7位
8位
9位
10位
51.0
38.0
35.0
33.0
32.5
31.0
31.0
27.0
25.0
21.5
(2004/12/4) (2010/12/3) (2014/12/20 (2012/12/30 (2009/12/11 (2013/12/10 (2006/12/26 (2008/12/5) (2007/12/22 (2014/12/1)
)
)
)
)
)
)
10.0
9.5
7.0
4.0
3.5
3.0
1.5
1.5
1.5
1.5
(2013/12/10 (2014/12/1) (2010/12/3) (2014/12/20 (2014/12/11 (2009/12/11 (2014/12/16 (2014/12/4) (2012/12/30 (2012/12/22
)
)
)
)
)
)
)
25.0
19.0
17.0
16.5
16.0
13.5
11.5
9.0
7.0
7.0
(2010/12/3) (2013/12/10 (2004/12/5) (2008/12/5) (2004/12/4) (2014/12/1) (2014/12/20 (2009/12/11 (2012/12/30 (2006/12/26
)
)
)
)
)
107.5
103.0
88.0
81.0
76.0
73.0
67.5
50.5
34.5
18.0
(2014/12)
(2004/12)
(2012/12)
(2010/12)
(2007/12)
(2006/12)
(2013/12)
(2009/12)
(2008/12)
(2005/12)
23.5
23.3
19.4
19.2
19.1
18.9
18.4
18.3
17.8
17.4
(2004/12/4) (2004/12/5) (2010/12/3) (2010/12/2) (2008/12/21 (2008/12/5) (2010/12/13 (2009/12/12 (2014/12/1) (2010/12/11
)
)
)
)
4.2
4.7
5.0
5.1
5.4
5.5
6.1
6.2
6.2
6.4
(2005/12/22 (2014/12/17 (2005/12/18 (2010/12/31 (2010/12/25 (2006/12/29 (2005/12/28 (2014/12/18 (2012/12/24 (2012/12/27
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
0.3
0.3
0.4
1.1
1.3
1.6
1.6
1.8
1.8
1.9
(2005/12/22 (2005/12/18 (2012/12/27 (2005/12/21 (2012/12/28 (2006/12/29 (2005/12/17 (2014/12/28 (2014/12/17 (2004/12/31
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
10.9
10.3
9.9
9.8
9.7
9.6
9.5
9.2
8.7
7.6
(2004/12)
(2007/12)
(2008/12)
(2003/12)
(2006/12)
(2010/12)
(2009/12)
(2011/12)
(2013/12)
(2014/12)
6.6
7.4
7.6
8.7
9.2
9.5
9.6
9.7
9.8
9.9
(2005/12)
(2012/12)
(2014/12)
(2013/12)
(2011/12)
(2009/12)
(2010/12)
(2006/12)
(2003/12)
(2008/12)
23 南南西
23 南南西
20.5 西
19 西
18.8 西
18.4 西
17 西北西
16.1 西北西
16 西
16 西北西
(2004/12/5) (2004/12/4) (2010/12/3) (2005/12/22 (2014/12/17 (2010/12/28 (2003/12/19 (2009/12/31 (2007/12/31 (2005/12/17
)
)
)
)
)
)
)
29.8 西
27.3 西
26.7 西
23.1 西北西 22.1 西北西 22.1 西北西
21.6 西
21.1 西北西
21.1 西
20.6 西
(2010/12/28 (2010/12/3) (2014/12/17 (2009/12/31 (2014/12/13 (2014/12/2) (2014/12/1) (2013/12/11 (2010/12/31 (2014/12/6)
)
)
)
)
)
)
統計期間:2003 年 1 月から。ただし、日最大 10 分間降水量及び日最大瞬間風速は 2009 年 1 月から。
第2表
関空島の通年の極値
要素名/順位
1位
2位
3位
4位
5位
6位
7位
8位
9位
10位
日降水量
192.0
153.0
151.0
130.0
118.0
108.5
103.0
101.0
99.5
82.0
(2014/10/13) (2011/5/29) (2004/10/20) (2014/8/9) (2013/9/15) (2012/6/21) (2010/7/14) (2004/5/13) (2009/11/11) (2014/8/10)
(mm)
日最大10分間
17.5
16.5
15.5
15.0
14.0
14.0
13.0
11.5
11.0
10.5
(2013/7/6) (2012/7/7) (2014/10/13) (2010/7/13) (2012/10/17) (2009/7/19) (2012/9/1) (2009/7/1) (2010/7/14) (2014/10/27)
降水量(mm)
日最大1時間
79.0
76.0
46.0
41.0
41.0
40.5
39.0
37.0
36.0
35.0
(2014/10/13) (2004/5/13) (2010/7/14) (2012/7/7) (2003/10/13) (2009/7/20) (2004/10/20) (2003/8/26) (2014/8/10) (2009/7/19)
降水量(mm)
月降水量の
359.0
348.5
340.0
310.0
277.0
276.0
266.0
261.0
252.0
237.0
(2011/9)
(2014/8)
(2011/5)
(2003/8)
(2014/10)
(2012/6)
(2004/10)
(2004/5)
(2013/9)
(2010/7)
多い方から(mm)
年降水量の
1500.0
1404.0
1390.0
1370.0
1238.5
1233.0
1198.0
1174.0
1117.0
1008.5
(2011)
(2003)
(2004)
(2014)
(2010)
(2012)
(2013)
(2009)
(2006)
(2008)
多い方から(mm)
年降水量の
729.0
863.0
1008.5
1117.0
1174.0
1198.0
1233.0
1238.5
1370.0
1390.0
(2005)
(2007)
(2008)
(2006)
(2009)
(2013)
(2012)
(2010)
(2014)
(2004)
少ない方から(mm)
日最高気温の
36.7
36.7
36.4
36.1
36.1
35.8
35.8
35.8
35.8
35.4
(2014/7/25) (2013/8/11) (2013/8/10) (2013/8/12) (2013/8/9) (2013/8/22) (2013/8/14) (2013/8/13) (2010/8/18) (2006/8/15)
高い方から(℃)
日最高気温の
3.0
3.1
3.6
3.7
4.0
4.1
4.1
4.2
4.2
4.3
(2003/1/29) (2004/1/22) (2014/2/6) (2006/2/4) (2011/1/16) (2013/2/8) (2012/2/2) (2005/12/22) (2005/2/1) (2014/2/14)
低い方から(℃)
月平均気温の
5.0
5.3
5.3
5.6
5.6
5.8
5.9
6.0
6.3
6.3
(2011/1)
(2012/2)
(2008/2)
(2006/1)
(2003/1)
(2013/1)
(2014/2)
(2013/2)
(2012/1)
(2006/2)
低い方から(℃)
年平均気温の
17.6
17.3
17.0
16.9
16.8
16.8
16.8
16.7
16.7
16.6
(2004)
(2007)
(2010)
(2009)
(2013)
(2008)
(2005)
(2011)
(2006)
(2014)
高い方から(℃)
年平均気温の
16.3
16.6
16.6
16.7
16.7
16.8
16.8
16.8
16.9
17.0
(2012)
(2014)
(2003)
(2011)
(2006)
(2013)
(2008)
(2005)
(2009)
(2010)
低い方から(℃)
27 南
26 南南西 26 ] 南南西
25.6 南
25 南南西
24.7 南
23 南南西
23 南南西 23 南南西 23 南南西
日最大風速
(2004/8/30) (2004/9/7) (2004/8/31) (2014/8/10) (2004/6/21) (2012/4/3) (2004/12/5) (2004/12/4) (2004/4/27) (2003/8/9)
・風向(m/s)
31.9 南
29.8 西
27.8 北北東
27.3 西
26.7 西
26.2 南
26.2 南南西
26.2 南
25.7 北
日最大瞬間風速 36.0 南南西
(2014/8/10) (2012/4/3) (2010/12/28) (2009/10/8) (2010/12/3) (2014/12/17) (2010/3/20) (2009/2/14) (2009/2/13) (2013/9/16)
・風向(m/s)
統計期間:2003 年 1 月から。ただし、日最大 10 分間降水量及び日最大瞬間風速は 2009 年 1 月から。
(関西航空地方気象台
‐4‐
観測課)
関西国際空港(RJBB)の冬期情報について
「ゆ~きや、こんこ。あられや、こんこ‥‥‥」と歌われるくらい、昔から子供たちにとっては待
ち遠しい「雪」。しかし、雪はいろいろな交通機関に影響を及ぼします。航空輸送機関も例外ではなく、
雪(降雪)は、視程障害や滑走路での逸脱のおそれなど航空機の運航に大きく影響を及ぼすため、
滑走路の除雪や凍結防止には多くの人々が動員されることになります。
関西航空地方気象台では、冬期における早朝の除雪作業等の円滑運用に資することを目的に、
毎年12月から3月までの期間、関西国際空港を対象としたFCST COMMENT(冬期情報)を発表
しています。
今回は、この内容や関西空港地方気象台が発表する冬期情報の流れなどを紹介します。
1 FCST COMMENT(冬期情報)について
FCST COMMENT(フォーキャスト コメント)は、航空気象解説の一環として予報担当者の
考えをわかりやすい表現でカスタマーに伝える情報です。FCST COMMENT(冬期情報)は、12
月9日から3月30日(12月10日から3月31日を予想)の期間で、雪や凍結など冬期の気象現象に特
化した内容となっています。以下にFCST COMMENT(冬期情報)の例(第6図)とその内容の
説明をします。
(1)コメント
降雪や凍結に関する今後の見通しについ
て、根拠等を含めて簡潔に述べます。その
他、顕著現象が予想される場合にもその旨
を記述します。
(2)現在の気温
FCST COMMENT(冬期情報)の発表直
前の値です。
(3)今夜18時(09UTC)から明日朝09時
(00UTC)までの気象現象の予想
<路面の凍結>
滑走路やエプロン等施設内での凍結に
ついて予想します。
<降雪の有無>
降雪には、みぞれや氷あられ、雪あら
れを含みます。
<降雪の深さ>
降雪がある場合の降雪量を予想します。
積雪量ではありません。(1cm単位で、
1cmに満たない場合は0cmと表示します)。
第6図
FCST COMMENT(冬期情報)の例
<雪質>
降雪がある場合、水分を多く含む雪かどうかを予想します(WETまたはDRY)。
<明日朝の予想最低気温>
関西国際空港の明日朝までの最低気温を1℃単位で予想します。
‐5‐
<着霜の可能性>
航空機への着霜の可能性を次の3段階で表現します。「高い」「あり」「なし」
<その他>
現在発表中の飛行場警報、飛行場気象情報、今後発表見込みの飛行場警報、飛行場気象情報
やその他必要と考える情報を記述します。
2
冬期の気象情報発表のながれ
第7図に、冬期の気象情報発表のタイミングを示します。
第7図
冬期の気象情報発表のながれ
① 期間中の毎日16時(07UTC)頃にFCST COMMENT(冬期情報)を発表します。
② 天気が急変するような場合、必要に応じてFCST COMMENT(臨時)を発表し、FCST
COMMENT(冬期情報)を修正することもあります。
③ 毎朝07時(22UTC)頃に発表している「FCST COMMENT」(定時)の中でも、必要であ
れば雪や凍結について記述する場合があります。
なお、第7図のように、早朝に降雪の深さ1cm以上を予想した場合は、カスタマーの降雪対策の
準備期間を確保できるようにリードタイムをとって夕方に「大雪に関する飛行場気象情報」を発
表し、降雪の深さが警報基準の3cmを超えると判断した時点で「飛行場大雪警報」を発表します。
3
提供方法
FCST COMMENTは、「冬期情報」、「臨時」、「定時」を含め、すべてMetAir(メットエ
アー:航空気象情報提供システム)で提供しており、ホーム画面で「関西国際空港」をホーム空
‐6‐
港に設定した「官署独自情報」から閲覧することができます(第8図参照)。
なお、常に最新の情報が表示されるため、過去の情報を知りたい場合は、上段のバーに表示さ
れる「時刻選択」や「過去←/→新」のラジオボタンから遡ることができます。
第8図
4
MetAirのホーム画面とFCST COMMENTのページ
雪に関する説明会の開催について
関西航空地方気象台では、関西国際空港で雪が予想される場合などに、
「雪に関する説明会」を
開催しています。
この説明会では、雪の程度、運航への影響のタイミングやピークを説明するとともに、関係機
関からの質問などにお答えし、情報の共有を図ります。
5
関西国際空港で降雪をもたらす気圧配置とその影響
冬期に降雪をもたらす気圧配置は、
「冬型の気圧配置」と「南岸低気圧」のふたつに分けること
ができます。
「冬型の気圧配置」の場合は、関西国際空港では開港以来、降雪の深さ1cm 以上を観測したこ
とはありません。その要因としては、「冬型の気圧配置」で発生する雪雲は総じて背が低く、風
上側にある中国山地などの影響でまとまった雲が流れ込みにくいことや、周辺に障害物がない海
上空港であることから雪が降っても強い風に流されて降雪の深さ 1cm に至らないことなどが考え
られます。
「南岸低気圧」の場合は、低気圧前面の温暖前線上を暖湿気が滑昇するため広範囲に降水をも
たらす雲が広がります。この際、地上付近に寒気が流れ込んだり滞留していると、上空から落ち
てくる雪が溶けずに地上まで達し、関西国際空港でも大雪となる場合があります。また降雪とな
った場合、地上付近の湿度が高く、湿った重い雪となりやすいため、運航に大きな影響を及ぼす
可能性があります。
関西国際空港で降雪の深さ 1cm 以上を観測したのは、開港(1994 年 9 月)以来 1996 年 2 月 17
日と 18 日、2011 年 2 月 11 日と 2 月 14 日、そして昨年 2014 年 2 月 14 日の計 5 日だけで、い
ずれも「南岸低気圧」によるものです。
‐7‐
なお、南岸を通過する低気圧の場合、すべて雪となるわけではなく、低気圧の位置やその強さ
などにより雪とならない場合もあり、予報担当者を悩ませます。
第 9 図に 2014 年 2 月 14 日 09 時の地上天気図とレーダー画像を、第 10 図に関西国際空港の
13 日 18 時(09UTC)から 14 日 18 時(09UTC)までの Metar Sequence(メターシーケンス:
観測実況時系列)を示します。
この日は、本州の南海上を前線を伴った低気圧が発達しながら北東進し、低気圧の北東側で広
く降水域が広がりました。Metar Sequence をみると、関西国際空港では降水が始める前から北東
風が卓越し、気温と露点温度が開いて乾燥しています。これは内陸部に冷気層が形成されていた
影響と考えられます。その後、降水の始まりとともに気温は急激に低下して地上付近の湿度が高
くなり、みぞれから湿った雪へと変わっていきました。
赤字:13 日 15 時~14 日 09 時までの降雪の深さ
第9図
2014 年 2 月 14 日 09 時
‐8‐
地上天気図とレーダー画像
第 10 図 Metar Sequence(2014 年 2 月 13 日 18 時(09UTC)~14 日 18 時(09UTC))
6
おわりに
航空機の運航に大きな影響を及ぼす冬期の気象現象に対し、関西航空地方気象台では、適切な
情報を適切なタイミングで提供していきます。これから春までの間、FCST COMMENT(冬期情
報)をぜひご利用ください。
(関西航空地方気象台
――
事務局からのお知らせ
予報課)
――
<関空島ウェザートピックスについて>
「関空島ウェザートピックス」についてのご意見・ご要望は、担当(奥田)のメールアドレ
ス [email protected] まで、メールにてお願いします。
<関空島内各機関・事業所へのお知らせ>
MetAir 及 び 自 動 巡 回 ソ フ ト の ご 利 用 を 希 望 さ れ る 場 合 は 、 メ ー ル ア ド レ ス
[email protected](奥田)までご連絡ください。担当より折り返し連絡させていただき
ます。
発行日:平成 27 年 1 月 13 日
発行元:関西航空地方気象台
編
‐9‐
集:航空気象懇談会事務局
航空気象観測月表
官署名 関西航空地方気象台
日/要素
01
02
03
04
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
平均気圧
飛行場
海面
現地
x0.1hPa x0.1hPa
10027
10036
10135
10145
10185
10195
10137
10148
10121
10131
10143
10153
10222
10232
10247
10257
10278
10288
10260
10271
10147
10157
10153
10163
10178
10189
10228
10239
10259
10270
10105
10115
10118
10129
10231
10241
10304
10314
10155
10166
10161
10171
10188
10198
10236
10246
10194
10205
10174
10184
10238
10249
10276
10287
10208
10218
10109
10119
10138
10148
10103
10113
上旬
中旬
下旬
月
極値
起日
10176
10188
10184
10183
日最低
< 0.0
0
日平均
< 0.0
0
10186
10198
10194
10193
地点略号 RJBB
2014 年 12 月
平均
気温
最高
最低
x0.1℃
147
71
91
90
67
65
77
93
95
95
111
87
64
57
72
68
28
35
56
79
73
49
81
84
83
66
64
50
85
97
90
x0.1℃
178
96
126
127
91
90
101
113
129
130
128
106
97
76
89
90
47
62
77
103
93
75
106
109
102
87
84
74
114
122
128
x0.1℃
93
59
50
72
54
49
55
67
74
65
96
60
46
44
54
43
18
20
29
50
43
28
60
39
64
47
43
18
57
76
60
%
73
42
51
71
49
49
53
51
55
55
70
54
45
45
58
68
43
51
54
74
51
47
54
67
59
54
53
75
73
54
58
89
66
75
76
118
88
99
102
178
1
64
46
49
53
18
28
55
56
59
57
日最高
>= 25.0
0
日最高
>= 30.0
0
>= 20
19
>= 40
0
>= 50
0
>= 0.0
22
>= 1.0
8
>= 200
0
視程継続時間 分
m
m
m
< 5000 < 3200 < 1600
785
105
5
m
< 1600
33
m
< 800
0
RVR継続時間 分
m
m
< 600
< 400
0
0
気温 日数 ℃
日最高 日最低 日平均
< 0.0
>= 25.0 >= 25.0
0
0
0
相対湿度
平均
最小
30
13
特
記
事
項
>= 5
0
>= 10
0
>= 20
0
>= 50
0
270
最大瞬間風速
風向
風速
36
方位
kt
260
42
280
43
290
36
330
22
280
34
270
40
290
32
330
16
30
26
40
21
290
24
300
34
290
43
290
30
290
27
290
36
270
52
300
39
320
19
310
24
290
30
280
30
270
24
240
17
300
27
290
23
360
18
70
15
300
21
300
22
290
39
37
17
270
52
17
合計
x0.1mm
215
0
0
145
0
0
0
0
65
0
0
125
0
0
350
0
0
5
95
60
0
15
360
540
175
1075
350
20
最大風速階級別日数 kt
日最深積雪階級別日数 cm
>= 0
0
%
40
31
35
43
35
39
45
38
38
45
48
38
30
36
48
43
32
43
42
54
38
35
40
49
46
41
41
57
47
36
36
最大風速
風向
風速
36
方位
kt
260
31
280
29
250
25
250
17
270
24
300
27
290
25
330
10
20
20
30
16
290
18
300
25
270
24
290
21
300
20
300
28
270
37
290
29
320
12
40
20
280
21
270
22
270
18
240
13
300
20
290
17
50
12
60
12
290
16
290
17
300
30
>= 100
0
>= 30
3
降水量
最大
1時間
x0.1mm
135
0
0
55
0
0
0
0
40
0
0
45
0
0
115
0
5
5
30
25
0
10
最大
10分間
x0.1mm
100
0
0
15
0
0
0
0
35
0
0
15
0
0
40
0
0
5
10
10
0
5
降雪の
深さの
合計
cm
0
0
0
0
0
0
-
積雪の
深さ
09h
cm
-
大気現象
SHRA TS
SHRA
SHRA
SHRA
SHRASN SHRA
SHRASN
SHRA
RA
SHRA RA
SHRA
SHRA
SHRA RA
SHSN
SHSN
SHRA RA
SHRASN SHSN
SHRA
SHRA TS
SHRA RA
SHRA
SHRA
SHRA
0
0
0
0
135
1
100
1
-
日降水量階級別日数 mm
>= 5.0
7
降雪の深さの日合計階級別日数 cm
>= 10.0
4
>= 30.0
1
>= 50.0
0
>= 70.0 >= 100.0
0
0
m
< 200
0
m
< 100
0
ft
< 1500
556
ft
< 1000
38
>= 0
6
>= 5
0
>= 10
0
最低雲高継続時間 分
ft
ft
ft
< 500
< 300
< 200
0
0
0
ft
< 100
0
>= 20
0
>= 50
0
>= 100
0
大気現象出現日数
雷
2
霧
0
雪
5
関空島 WEATHER TOPICS で使用する航空気象に関する用語の解説
1 本文中で使用する語句の定義等
VIS:全周を見渡して半分またはそれ以上の範囲で共通した視程(卓越視程)を(m)で表す。
CIG:雲量が 5/8 以上の雲層のうち、一番低い雲層の雲底の高さを(ft)で表す。
RVR:滑走路視距離計で観測した滑走路視距離を(m)で表す。
風:RWY06R に設置した観測装置の値(関西国際空港の代表風)を、風向を真方位(°)で風速を(kt)で表す。
風配図は、RWY 06R の、正時から 10 分毎の 10 分間平均風を、月毎の風向別に百分率で表す。
Calm(静穏)は、10 分間平均風速の値が 0.4kt(0.2m/s)以下の場合をいう。
ガストは、平均風速を 10kt 以上上回る最大瞬間風速があった場合に報じられる。
ウィンドシアー:鉛直方向又は水平方向の風速や風向の差をいう。
平年値:アメダスの関空島地域気象観測所として算出した平年値を使用している。
関空島の統計期間は、2003-2010 年(但し、日最大 10 分間降水量及び日最大瞬間風は 2009 年から)。
2 気象観測施設の配置とデータ利用について
気象観測施設は、関空島の A-RWY(3500m)と B-RWY(4000m)周辺に配置した屋外観測装置(第 1 図)と、当台観測
課(航空庁舎ペントハウス)に設置した気象観測報の作成、配信等の処理を行う屋内観測装置で構成する。
屋外観測装置からのデータは屋内観測装置に表示し、METAR-AUTO 報として 10 分毎に自動配信するとともに、屋上
で行う目視による観測とあわせて航空観測気象報(METAR 報、SPECI 報)で配信する。
航空観測気象報で通報する風は「06R」の観測値である。障害等で「06R」が使用できない時は「06L、24L、24R」の順に
代用して通報し、RMK に使用した風向風速計名を記載する。(例:WIND BY EQPT/06L)
3 航空気象観測月表の解説資料
平均気圧:毎正時の観測値の平均を、ヘクトパスカル(hPa)の 1/10 位まで、小数点を省いて記載。
飛行場現地気圧(QFE)は、飛行場の標点から 3m の高さに合わせた気圧値。
海面気圧(QFF)は、平均海面上の気圧値。
気温:摂氏(℃)の 1/10 位まで、小数点を省いて記載(0℃未満の場合は、「-」を前置)。
日平均気温は、毎正時の観測値の平均を記載。
相対湿度:パーセント(%)で記載。
日平均相対湿度は、毎正時の観測値の平均を記載。
最大風速及び最大瞬間風速:風速はノット(kt)単位、風向は 10 度(°)間隔で発生時の起時の値を記載。
降水量:ミリメートル(mm)の 1/10 位まで 0.5mm 間隔で、小数点を省いて記載。
日降水量は、毎正時の観測値の合計を記載。
最大 1 時間及び最大 10 分間は、任意の 1 時間並びに 10 分間の最大値を記載。
降雪の深さ:09 時、15 時及び 21 時の、前回の観測時刻以降に降った雪の深さを、センチメートル(cm)で記載。
降雪の深さの合計は、09 時、15 時及び 21 時の観測値の合計を記載。
積雪の深さ:9 時の積雪の深さをセンチメートル(cm)で記載。
積雪の深さが 1cm に満たない場合は 0cm と記載。積雪は、飛行場の半分以上が雪などの固形降水(暖候期のひょうを
除く)に覆われている場合を「積雪あり」とする。
大気現象:大気現象を略号により記載(略号の意味は、第 1 表のとおり)。
視程・RVR及び最低雲高継続時間:欄の区分に該当する値未満であった時間の合計を記載。
継続時間は、METAR・SPECI から該当する値を引用して算出する。
第 1 表 大気現象と略号
大気現象
略号
雨
RA
しゅう雨
SHRA
着氷性の降水
FZRA
着氷性の霧雨
FZDZ
霧雨
DZ
雪
SN
しゅう雪
SHSN
みぞれ
RASN
しゅう雨性のみぞれ SHRASN
関空島内の気象観測機器配置状況
霧雪
SG
凍雨
PL
雪あられ/氷あられ
SHGS
ひょう
SHGR
霧
FG
煙
FU
黄砂
SA
雷電
TS
2015.1 関空島 Weather Topics 編集部
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