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第34回日本造血細胞移植学会総会のご案内

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第34回日本造血細胞移植学会総会のご案内
JSHCT
No.45
The Japan Society for Hematopoietic Cell Transplantation
一般社団法人日本造血細胞移植学会
December 2011
発刊発行:一般社団法人日本造血細胞移植学会 発行責任者:今村 雅寛(理事長) 編集責任:一般社団法人日本造血細胞移植学会編集委員会 発行:2011年12月
〒461-0047 名古屋市東区大幸南一丁目 1 番 20 号 名古屋大学医学部内 TEL(052)719 - 1824 FAX(052)719 - 1828 http://www. jshct.com
第 34 回日本造血細胞移植学会総会のご案内
第 34 回日本造血細胞移植学会総会 総会会長 薗田 精昭
(関西医科大学大学院医学研究科幹細胞生物学)
第 34 回日本造血細胞移植学会総会を平成 24 年 2 月 24 日(金)~ 25 日(土)の 2 日間に大
阪国際会議場において開催させて頂きます。今回は、「基礎研究から新しい移植医療の
臨床応用へ“from the bench to the bed side”
」を学会のテーマさせて頂き、造血幹細胞
の基礎研究にもスポットライトを当てるように考えました。総演題数は、公募、企画等
を合わせて 591 演題と過去最高となりました。会員の皆様の温かいご支援に対しまして、
心より御礼申し上げます。
総 会 の ハ イ ラ イ ト と し て、 特 別 講 演 2 題(Prof. Mariusz Z. Ratajczak, Prof. Tsvee
Lapidot)を企画しており、Ratajczak 教授には組織幹細胞(VSEL)
、Lapidot 教授には造
血幹細胞のホーミングに関連する update な研究成果をご発表頂きます。また、昨年、国
内で実施された臍帯血移植が 1,000 例を超えたことから、Presidential Symposium とし
て、”Cord blood stem cell transplantation(CBSCT): from the bench to the bed side”
を 企 画 し ま し た。 本 シ ン ポ ジ ウ ム で は、Hal Broxmeyer 教 授 の“New insight into
CBSCT”と題した Keynote lecture を皮切りに臍帯血に由来する幹細胞の基礎的研究と
臍帯血移植の up date な臨床成績までを含めた発表を予定しています。この他、特別企
画シンポジウム「放射能被曝と人体への影響―過去、現状、今後―」
、日本再生医療学会
との合同シンポジウム「造血幹細胞移植の未来」を企画しました。また、最近の総会では
行われていなかった教育講演を復活させ、基礎系、臨床系の講演を合わせて 11 題企画し
ました。内容も、医師だけでなく、移植医療に携わる看護師にも分かりやすい講演にし
たいと考えています。また、幹細胞の基礎研究や移植臨床において重要なテーマについ
ては、企画ワークショップを 9 セッション予定しています。これ以外の新しい企画とし
て、全公募演題からプログラム委員会で優秀演題を選び、プレナリーセッションで英語
発表して頂きます。最近は、全国的に移植医療を目指す若い医師が減っています。そこで、
本総会では学会初日に初期研修医・医学生セッションを企画したところ全国から 16 演題
目 次
第 34 回日本造血細胞移植学会総会のご案内 ………………………………………………………… 1-2
第 33 回日本造血細胞移植学会総会学術奨励賞の報告 ………………………………………………… 3
平成 23 年度第一回 CTC 研修会報告 ……………………………………………………………………… 3
国際委員会報告 ……………………………………………………………………………………………… 4
第 16 回アジア太平洋造血細胞移植学会総会報告
16th Annual Meeting of Asia-Pacific Blood and Marrow Transplantation Group …………………… 4
The 1st International Workshop on Hematopoietic Stem Cell Transplantation in Emerging
Countries(ベトナムワークショップ 2011)のご報告 ………………………………………………… 4-5
看護部会企画「学会総会「看護部会教育セミナー」
「移植看護グループミーティング」へのお誘い」…… 6
私の選んだ重要論文 ………………………………………………………………………………………… 6
施設紹介「札幌北楡病院 血液内科」……………………………………………………………………… 7
会員の声「近藤咲子」………………………………………………………………………………………… 8
編集委員会からのお知らせ ………………………………………………………………………………… 8
1
JSHCT LETTER No.45
の応募がありました。本セッションは口演発表として、評価委員により優秀演題を選
考し、翌日の総会で会長から表彰したいと考えております。
総会では、サイエンティフィックな議論で盛り上がり、また、学会初日の記念コン
サート、懇親会ではリラックスした時間をお楽しみ頂きたいと考えています。記念コ
ンサートでは、フルート奏者の寺本純子さん、ピアニストの高木 梢さんをお招きし
ています。是非とも、多くの皆様のご参加を心よりお待ちしております。
【主なプログラム】
1.特別講演
Prof. Mariusz Ratajczak(USA)
“Very Small Embryonic Like Stem Cells – an update”
Prof. Tsvee Lapidot(Israel)
“The Essential Roles of SDF-1/CXCR4 Interactions in Human Hematopoietic Stem
and Progenitor Cell Homing and Mobilization”
2.会長シンポジウム:
“Cord blood stem cell transplantation(CBSCT): from the bench
to the bed side”
Chairman Yoshiaki Sonoda(Kansai Medical University)
Kiyoshi Ando(Tokai University School of Medicine)
1)Hal Broxmeyer (Keynote lecture“New insights into CBSCT”
)
2)Yoshiaki Sonoda (A novel model of human hematopoietic stem cell hierarchy)
3)Kyung-Sun Kang(Universal stem cells from human umbilical cord blood and its
applications)
4)Hiroyasu Ogawa (Intra-bone marrow transplantation of unwashed cord blood using
reduced-intensity conditioning treatment)
5)Shuichi Taniguchi(CBSCT: An update in Japan)
(tentative)
3.特別企画シンポジウム:
「放射能被曝と人体への影響 -過去、現状、今後-」
座長 宮村 耕一(名古屋第一日赤)
千葉 滋(筑波大学大学院)
1)前川 和彦(緊急被ばく医療―東海村臨界事故、福島第一原発事故、そして急性放射線
症候群をめぐる話題)
2)宮崎 泰司(広島・長崎 中等度被ばくの長期間の影響)
3)井関 徹(東海村事故の高線量被ばく症例に対する臍帯血細胞移植を含む治療)
4)谷口 修一(福島の現状と虎ノ門病院における自家造血幹細胞保存)
5)Prof. Dennis Confer(Radiation exposure, medical countermessures and treatment)
6)宮村耕一(現状認識と今後のコンセンサス形成に向けて)
4.再生医療学会との合同シンポジウム:
「造血幹細胞移植の未来」
座長 辻 浩一郎(東京大学医科学研究所)
赤司 浩一(九州大学大学院)
1)大津 真(Myeloablation を必要としない造血幹細胞移植法の確立に向けて)
2)翁 家国(間葉系幹細胞と IL-21 シグナル遮断を利用した急性 GVHD に対する新規治
療戦略の開発)
3)高橋 義行(ウイルス特異的 CTL 療法)
4)丸本 朋稔(マ ーモセット・ヒト ES/iPS 細胞への遺伝子導入による造血幹細胞分化系
の確立)
5)山崎 聡(ES/iPS 細胞から誘導した造血幹細胞による XSCID の治療モデル)
5.看護シンポジウム:
「急性 GVHD の看護」
座長 荒木 光子(国立がん研究センター中央病院)
西村 祐子(関西医科大学付属枚方病院)
看護セミナー:
「移植後の晩期障害」
座長 山花 令子(東京大学医科学研究所附属病院)
中宗根秀樹(自治医科大学さいたま医療センター)
2
第 33 回日本造血細胞移植学会総会学術奨励賞の報告
第 33 回日本造血細胞移植学会総会 総会会長 原 雅道
平成 23 年 3 月 9 日、10 日に開催されました第 33 回日本造血細胞移植学会における学術奨励賞を発
表致します。プログラム委員、座長の採点をもとに、下記 5 名の学術奨励賞受賞が決定しました。
◦ LIndex: 造血幹細胞移植後のリンパ球減少の程度と持続期間の両者を同時に評価する新しい指標
の提案
木村俊一先生 他 自治医科大学附属さいたま医療センター血液科
◦未分化造血幹細胞の支持能を持つヒト骨髄由来間葉系幹細胞の予期的分離とその機能解析
松岡由和先生 他 関西医科大学大学院医学研究科幹細胞生物学
◦臍帯血は免疫抑制剤早期減量が可能な移植ソースである
天野逸人先生 他 奈良県立医科大学 内科学第二講座
◦ JALSG AML201 研究における AML with (
t 8;21)の同種造血幹細胞移植成績
瀬戸愛花先生 他 名古屋第一赤十字病院血液内科
◦ CUDBAS(Curriculum Development Method Based on Ability Structure)を用いた造血幹細胞
移植看護教育プログラムによる移植看護自律度の変化
横田宜子先生 他 原三信病院看護部
授賞式は平成24年2月に開催されます第34回日本造血細胞移植学会総会
(大阪)
の総会時に行います。
受賞者はご出席をお願い致します。
平成 23 年度第 1 回 CTC 研修会報告
クリニカル移植コーディネーター委員会委員長 秋山 秀樹
11/12 - 13 日、駒込病院にて平成 23 年度 CTC 研修会が開催されました。
受講者 35 名。うち看護師 26、臨床検査技師 2 名、その他 7 名で、北海道から九州までの各地より参
加されました。各所属施設において移植症例の CTC としての経験のあることが参加条件であるため、
多くの方が GVHD の臨床や BM 採取も見学した経験があるなど、レベルの比較的高い内容となりまし
た。写真は修了証書授与後のものですが、都合により 1 名写っておりません。あしからず。
3
JSHCT LETTER No.45
国際委員会報告
国際委員会委員長 岡本真一郎
国際委員会メンバーは、10 月に Sidney で開催された APBMT の年次総会、11 月に Incheon で開催
された Asian Symposium on Cord Blood Transplantation, そして Hanoi で開催された WBMT/WHO
主 催 の The 1st International meeting on Hematopoietic Stem Cells Transplantation in Emerging
Countries に参加し国際交流に貢献しています。Hanoi での meeting に関しては、その開催に尽力され
た学会会長から詳細な報告があると思いますが、開発途上国にどのようにして移植医療を育んでいく
かという大変ユニークな会議で成功裏に終わりました。APBMT 年次総会は次回 2012 年 10 月 26 - 28
日インドの Chennai で開催されます。学会員の方々の積極的な参加をお願いします。
第 16 回アジア太平洋造血細胞移植学会総会報告
16th Annual Meeting of Asia-Pacific Blood and Marrow Transplantation Group
APBMT 事務局 国際委員会委員 飯田美奈子
一年の経つのは早いもので、つい先日、昨年プーケットで行われた第 15 回 APBMT の報告をした
と思ったら、もう「第 16 回の記事を書いてね!」との御依頼・・・
と、いうことで 2011 年 10 月 30 日~ 31 日オーストラリア・シドニーで開催された第 16 回 APBMT
をレポートします。今回は APBMT を含む 5 つの学会の合同開催であり、APBMT への参加人数も
700 名を超す過去最大規模となりました。会場の Sydney Convention & Exhibition Centre は Darling
Harbour に面し、無料バスで数分行けば、かの有名な Opera House と Harbour Bridge が一望できる
という、昨年のプーケットに負けないくらい風光明媚な場所。
「APBMT はどうしていつもそんなに
いい場所(!)で開催されるの ?」という質問をされることがありますが、まさにそのとおり。初夏のシ
ドニーのこうした素晴らしい環境のもと、各国からの参加者とともに有意義な各種会議・研究発表・
討論が行われました。特記すべき事項として、1)Business Meeting で 6 つの Standing Committee
の設立が承認された 2)Outcome Registry が順調に各国の協力を増やし事業を展開中 3)各 WG の inperson meeting において APBMT としての国際共同研究の骨格が示された、など多くの成果が得ら
れました。(詳細は APBMT の HP(http://www.apbmt.org)をご参照ください。
)今回、日本からは
6 つの口演と 11 のポスター発表があり、安城更生病院の渡邊慶介先生は”Allogeneic Hematopoietic
Stem Cell Transplantation for CAEBV”の発表で Best Poster Presentation の第 1 位に選ばれました。
次回の APBMT は 2012 年 10 月 26 日~ 28 日インドのチェンナイで開催されることが決定し、さら
に 2013 年はベトナム・ホーチミン、2014 年は中国・杭州にて開催が予定されています。APBMT は
今年、ミャンマー・バングラディッシュ・モンゴルの 3 カ国を新たに参加国に加え 19 カ国になり、今
後も EBMT・CIBMTR と並ぶ WBMT の主要なメンバーとしても活動の場を広げていきます。引き
続き日本の造血細胞移植学会の皆さまの数多くの御参加をお願いいたします。
The 1st International Workshop on Hematopoietic Stem Cell Transplantation in Emerging Countries
(ベトナムワークショップ 2011)のご報告
APBMT 理事長、WBMT 副理事長
国際委員会アドバイザー 小寺 良尚
先に一度ご案内した WBMT(Worldwide Network for Blood and Marrow Transplantation), WHO,
NIHBT(National Institute of Hematology and Blood Transfusion, Hanoi)共催の、
“新興国のための
4
Vietnam Workshop 2011”は 予
定 通 り 2011 年 11 月 10 ~ 12 日、
Hanoi で 開 か れ ま し た。WHO
に よ り 提 案 さ れ た の が 2008 年
で し た か ら ほ ぼ 3 年 前、 そ の 後
EBMT、Tandem Meeting 等の機
会を利用するとともに、一月に一
度の国際電話会議で計画を固め
てまいりました。略固まったのが
2011 年 2 月 の Hawaii で 開 か れ た
Tandem Meeting の 時 の WBMT
Business Meeting。しかしながら
その後我が国は 3.11 東日本大震
災に見舞われ、アジアで開かれる WS だから、APBMT が、APBMT の中心は日本だから日本が頑張っ
てくれるであろう、というそれまでの目論見は大きく揺らぎ、一時は欧米勢の方が先に弱気になって
しまったのですが、お互いに励ましあいながら何とか開催にこぎつけました。2011 年 7 月になって財
政上のめどがついた時には、
“シャンパンものだ”と言って皆喜び、それからは積極的な案が次々と出
るようになりました。震災直後の苦しい中、海外での WS でしたが、困難な中でも国内の多くの関連
企業から寄付を頂きまして、日本の底力と困難の中でも学術的なものを大切にし続ける社会の成熟度
を実感した次第です。参加者は海外からの講師、座長、新興国代表が約 60 名、ベトナム国内参加者が
約 230 名、計 3 日間で 290 名という、予想の 2 倍近い参加者数という盛況ぶりでした。特にベトナム以
外の新興国として、モンゴル、バングラデシュ、ミヤンマー、フィリピン、インドネシアそしてアジ
ア以外からはブラジル、コンゴ、ナイジェリアの代表が参加してくれました。APBMT 参加国からは、
中国、台湾、シンガポール、インド、オーストラリア / ニュージーランド、日本、CIBMTR からは米国、
カナダ、EBMT からはドイツ、英国、フランス、スイス、オーストリア、ハンガリーそして WHO が
参加し、それぞれ講師、座長としての役割を果たしていました。開会式典にはベトナム厚生労働大臣
も参加し盛大。WS は全てプレナリー - 形式で行われましたが、
“この会議の主役はあなた方参加者全
てである”という会の初めの言葉を皆十分に受け止め、各講演後の討論は活発でした。WS のテーマ
は 1)造血幹細胞移植をいかに始めるか、2)移植の適応、3)ドナーの選択(ドナーバンクを含む)
、4)
幹細胞の処理(臍帯血バンクを含む)
、5)症例登録の重要性、6)普及啓発活動の在り方、7)移植・採
取センター等の基準、でしたが、ベトナムをはじめこれから移植を始める国にとって、移植専門チー
ムを如何に育てるかと、幹細胞ソースをどこに求めるかが最大の関心事のようで、前者における留学
先等の打診、後者においては臍帯血移植や HLA-1 -ハプロ不適合移植、その前段階である HLA 検査
体制に質問が多く見られました。上記新興国の代表はいずれも造血幹細胞移植に対する熱意の感じら
れる働き盛りの人たちばかりで、モンゴル、バングラデシュ、ミヤンマーとも APBMT の仲間入りを
表明し(フィリピン、インドネシアは既にメンバー、APBMT は合計 19 カ国 / 地域となりました)
、一
部に我が国、韓国、ドイツ等へ研修の申し入れがあったと聞いています。CIBMTR、EBMT 所属の多
くの国にはビザが要求されるベトナムへは初訪問の海外講師も多く、彼らからはそのことも含め“エ
キサイティングであった”との声が多く聞かれました。今回の準備に当たってはベトナムの医療チー
ムと共同事業をしたわけですが、一年以上の工程で彼らの仕事ぶり“決定までには極めて時間をかけ、
決定後は電光石火で行動、完成へ持って行く”を体感しました。今回こちらが”give”したものが何で
あったかは向こうに聞くこととして、
“take”したものが何であったかと言えば、小生にとって一つは
NIHBT が優秀な血液センターとしての実績を生かす形で造血幹細胞ドナーバンクを造ろうとしてい
る計画性で、改めて我が国のバンクももうひと頑張りしなければ、という刺激と、もう一つはモンゴ
ルの駐ベトナム大使まで動員した国を挙げての造血細幹胞移植開始のための熱意であって、要は新た
なエネルギーをもらったということでしょう。WS の詳細は WBMT HP(http://www.wbmt.org、学会
HP にもリンク)をご覧ください。次回は再来年、ラテンアメリカ(ブラジル)又はアフリカ地区(サウ
ジアラビア)等が開催候補地に挙がっています。以上、Next generation の企画段階からの参画を期待
して報告といたします。
5
JSHCT LETTER No.45
学会総会「看護部会教育セミナー」
「移植看護グループミーティング」へのお誘い
看護部委員会副委員長
国立がん研究センター中央病院看護部 森 文子
本学会看護部会では、
「造血細胞移植を含む造血器腫瘍疾患看護にかかわる看護師のクリニカルラダー」を
作成し、学会ホームページでも公開しています。このクリニカルラダーでは、移植看護に必要な知識・技術
に関連した学習項目を網羅的に取り上げています。経験を積み重ねながら段階的に知識・技術を習得してい
く目安を示し、その参考となる図書や文献も提示しています。各施設の人材育成のための教育計画立案や看
護実践能力の評価に、このクリニカルラダーが役立てられるように、今後は、基本的知識の習得と看護実践
のための看護手順テキストを作成していく予定です。
看護部会では、移植看護にかかわる看護師の学習をサポートできるように、第 30 回学会総会時より、この
クリニカルラダーの学習項目に基づいた教育セミナーを開催しています。移植医療や看護の歴史・変遷から
スタートし、感染管理、血液疾患(白血病)と治療、化学療法看護、口腔ケア、GVHD、スキンケアなど、こ
れまで様々なテーマについて、経験と最新知識にあふれた先生方にご講演いただいてきました。このセミナー
は、移植看護にかかわる看護師全ての方に参加していただけますが、対象設定を「ラダーレベルⅡ(一人前)
」
としています。
「ラダーレベルⅡ(一人前)
」とは、移植看護経験 2 ~ 3 年目程度の看護師で、関連する知識につ
いて理解し看護ケアを正しく実践すること、その根拠やアセスメントを述べること、ガイドラインや知識を
活用して看護展開できることを目指すレベルです。各施設の人員構成や人事異動などの条件を考慮し、移植
看護経験 2 ~ 3 年目程度の看護師が、日々の実践や今後の後輩育成に役立てられるセミナーとなるようにした
いと考えています。
第 34 回日本造血細胞移植学会総会では、
「移植後晩期合併症」をテーマに取り上げました。講師は、自治医
科大学附属さいたま医療センター血液科の仲宗根秀樹先生です。様々な臓器障害、二次がん、性機能障害や
不妊対策などについて、看護実践に必要な知識を得ていただければと思っています。
また、今回の学会総会では、
「移植看護グループミーティング」の開催を予定しています。米国で開催され
ている BMT Tandem Meeting の看護セッション内のプログラムを参考に計画しました。グループ毎のテーマ
は、前述のクリニカルラダーの項目をもとに設定し、移植看護経験豊富な看護部会委員がファシリテーター
となり、ディスカッションをサポートします。施設の枠を越えて、看護師同士で情報交換し、ディスカッショ
ンする機会が充実するよう、準備を進めています。参加登録方法などは、総会案内や学会ホームページをご
参照ください。たくさんの看護師のみなさまの参加をお待ちしております。
私の選んだ重要論文
1)E.Donnall Thomas, et al.: Bone-marrow transplantation(two parts). N. Engl.J.Med. 292: 832-43, 895-902, 1975
2)E.Donnall Thomas, et al.: One hundred patients with acute leukemia treated by chemotherapy, total body
irradiation, and allogeneic marrow transplantation. Blood. 49: 511-33, 1977
3)Peter j. Tutschka, et al.: Bone marrow transplantation for leukemia following a new busulfan and
cyclophosphamide regimen. Blood 70: 1382-88, 1987
本企画の趣旨に反するかもしれないが、まず近代的移植の出発点となった 1)をあげたい。私は 1984 年より造血細
胞移植に携わっているが、当時移植マニュアル的な成書はほとんどなくこの論文を頼りに、決死の覚悟で骨髄移植
に臨んでいたことが思い出される。Thomas 先生はその後ノーベル賞を受賞され、本著はまぎれもなく今日的造血幹
細胞移植の原点であり、若い先生に是非一読をお勧めする。また若くない先生にも読み返すたびに新しい発見があ
ると思う。造血幹細胞移植の進歩が一段落した感のある現在、原点を見つめなおし今後の我々の方向性を再検討す
べき時期であろう。
次の 2)も Thomas 先生の Seattle での初期の進行期急性白血病 100 症例の成績であり、5 年生存率約 13%と報告さ
れている。それから約 35 年が経過したが、非寛解期白血病の 5 年生存率は本学会の平成 22 年度全国調査報告書によ
ると、各幹細胞源で 10 ∼ 25%程度であり成績の向上はごくわずかである。確かに支持療法の進歩、RIC の導入、幹
細胞源の多様化により移植の対象患者は飛躍的に増大したが、移植の原点であるはずの再発難治白血病に対する同
種移植の遅々たる歩みには愕然とせざるを得ない。今後我々の英知を集結し改善を図っていかなければならない。
最後に 3)は 1987 年に発表された、いわゆる little BU+CY の原著である。CY+TBI に匹敵する非 TBI regimen とし
て大きな注目を集め、現在に至るまで移植前処置の大きな流れとなった。論文発表後まもなくして開催された第 11
回骨髄移植研究会(金沢)で早速数施設より症例報告があり、質問が集中し白熱の議論となったことが思い出される。
あの頃の熱気をこの学会にもう一度取り戻したいものである。
島根県立中央病院血液腫瘍科 吾郷 浩厚
6
施設紹介
札幌北楡病院 血液内科
今井 陽俊
札幌市は、人口 190 万人を超え全国 5 番目
の都市になりました。石狩平野の南西部に位
置する札幌市は、夏はさわやかな暖かさで過
ごしやすく、冬は積雪寒冷のためウインター
スポーツが盛んで、四季の移り変わりを楽
しむことができる街です。札幌のおすすめ
スポットは、大通公園、赤れんが(北海道庁
旧本庁舎)、札幌市時計台、札幌羊ヶ丘展望
台、大倉山展望台、札幌テレビ塔、JR タワー
展望台、北海道大学、モエレ沼公園、白い恋人パークとすすきのです。ラーメン、ジンギスカン、す
し、海鮮などの食事もおすすめです。
札幌北楡病院は、1985 年 1 月に現在会長である川村明夫先生が中心となり開設されました。高度先
進医療を日常医療へ還元することを病院の理念として人工臓器移植研究所が併設されました。開設当
時の医師は外科医 4 名、内科医 1 名、整形外科医 1 名の計 6 名でしたが、血液内科は現在名誉院長であ
る笠井正晴先生が、内科の担当と同時に立ち上げられ、1 年間で同種骨髄移植の施行を可能としまし
た。精力的な姿勢が求心力となり、血液内科とくに造血幹細胞移植治療を志す医師に人気となり、血
液内科医が集まりました。
笠井正晴先生は2010年4月に名誉院長となられましたが、
現在血液内科では、
血液専門医 6 名を含めて、道内だけではなく全国からの血液専門医志望の後期研修医を合わせて 13 名
が診療に携わっています。
病院開設から 20 年間で、血液疾患では、急性骨髄性白血病 417 名、急性リンパ性白血病 134 名、骨
髄異形成症候群 176 名、慢性骨髄性白血病 167 名、ホジキンリンパ腫 76 名、非ホジキンリンパ腫 601 名、
多発生骨髄腫 192 名などが入院治療を受けています。造血幹細胞移植は、1991 年から 2009 年までに
実施された移植件数は 623 例で、最近では年間で 40 ないし 50 例施行しています。札幌市内だけでは
なく、道内、時には道外から血液疾患の症例の紹介を受けています。231 床の病院ですが、血液内科
の病床数は 100 を超えています。病床はすべて個室でしかも差額ベッド代は無料という前代未聞の偉
業を成し遂げています。無菌治療室は 30 床あり、厳重な感染対策を行っています。
日本骨髄バンク移植、採取認定施設であり、骨髄バンクドナーからのドナーリンパ球輸注療法(DLI)
認定施設でもあり、臍帯血移植の認定施設にもなっています。全国の臨床研究の共同施設となってお
り、厚生労働省の移植研究班、日本成人白血病研究グループ(JALSG)および日本臨床腫瘍グループ
(JCOG)に属しています。形態も個人病院より医療法人さらに社会医療法人へと変遷しています。遺
伝子治療研究所も併設され、病院開設以来の理念が受け継がれています。
造血幹細胞移植治療では、他の診療科との連携が重要となります。院内各部門の多面的なサポート
が重要で、特に医療連携室、療養情報センターでは、移植コーディネーターが、入院生活、医療費、
社会保障制度や社会福祉制度などさまざまな問題点についての支援を行っています。医療情勢、社会
情勢の変化に対応して、さらに発展することを常に心がけています。
7
JSHCT LETTER No.45
移植患者のリハビリテーション
慶應義塾大学病院 近藤 咲子
患者会の幹事会で元患者さんにお会いすると、最近移植する患者さんは元気だと言われます。確
かに、患者会の集まりに比較的移植して間もない方の出席があるように思います。2002 年に導入し
たリハビリテーションシステムが効果的に働いていると実感します。今では、当たり前になった造血
細胞移植患者のリハビリテーションではありますが、導入するには、いろいろな抵抗と困難さが伴
いました。なぜならば、造血細胞移植という大変な治療をすることだけでも大変なことなのに、そ
の患者に対して何をやらせるのかという批判を患者さんやご家族からいただきました。しかし、造
血細胞移植後の QOL の調査でも身体的なスケールの低下や筋力低下のために退院できない患者さ
んを見るたびに、何とかしたいという思いと造血細胞移植患者がリハビリテーションをする効果を
説明しながら理解していただけるよう繰り返し説明しながら、働きかけていった経緯があります。し
かも当初は入院してから依頼を出すことになっていましたので動機付けが十分でなく協力が得られに
くいということもあり、動機付けるためにはもっと前の、造血細胞移植が決定したときからリハビリ
テーションが必要であることを医師の説明に含めたことで、この病院で造血細胞移植するためには
必要なことであるという患者・家族の認識も高まり、批判も少なくなりました。そして、入院して周
囲の患者さんのお互いの頑張りが刺激しあい、連れあいながらリハビリテーションに楽しそうに向か
う姿が見られるようになってからは、まるで当たり前のようにリハビリテーションが行われるようにな
りました。その頃、造血細胞移植患者が機能障害・廃用症候群になった場合はリハビリテーション
をすることはありましたが、予防の観点からずっと関わっていくということは、リハビリテーション科
も前例があまりない取り組みでしたが、こちらの提案をよく引き受けてくれ、とても協力的に連携で
きるようになっていきました。これは大学病院という環境がよいほうに働いたと今は感じています。
編集委員会からのお知らせ
編集委員会では、現在、来年 3 月の学会誌創刊に向けて、鋭意準備を進めているところです。
つきましては、以下の2点につきまして、ご協力をお願い申し上げます。
1.学会誌のウェブサイトのバナーを募集しております。12 月 31 日が締め切りとなっておりま
すので、振るってご応募下さい。
(募集要項はホームページ上に掲載しております。
)
2.すでにご連絡いたしましたように、学会誌の論文を募集しております。募集要項はホーム
ページ上に掲載されておりますので、多くの論文を投稿いただけますよう、お願い申し上
げます。
編集委員会委員長 辻 浩一郎
●
員メーリングリストについて
会
全会員を対象とした会員メーリングリストが発足いたします。
ご登録メールアドレスの変更等がございましたら事務局までメールにてお知らせ下さい。
8
【事務局より】
JSHCT Datacenter
日本造血細胞移植学会データセンター 〒 461-0047 名古屋市東区大幸南 1-1-20 名古屋大学大幸医療センター内
TEL 052-722-4410 FAX 052-722-4420 E-mail [email protected]
2011 年 12 月 1 日
2012 年全国調査
1.2011 年
台帳登録のご案内
全国調査「本登録」ありがとうございました
日ごろは、日本造血細胞移植学会全国調査にご協力をいただきありがとうございます。本年度も成人・
小児施設共に、
「本登録」にご協力いただきましたご施設の皆様には大変お手数をお掛けしました。お忙
しい中でのデータのご入力、ご提出をいただきまして、誠にありがとうございました。2011 年 9 月 30
日締め切りにて、登録をいただきました施設は、成人施設 197 施設、小児施設 86 施設です。
今後もより正確な移植件数と、移植成績の把握に努めて参りたいと考えております。今後ともご協力
の程、何卒よろしくお願いいたします。
2.2012 年
台帳登録のご案内
施設での前年の移植件数を把握する為の必要最低限の項目を登録していただく、台帳登録の時期が近
づいてまいりました。
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2011 年(2011 年 1 月から 12 月まで)に貴施設で行なわれました全ての造血幹細胞移植症例を
ご登録下さい
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移植登録一元管理プログラム(TRUMP)の「台帳登録画面」
(1 症例あたり 1 ページのみ)にご入力の上、提出データを
郵送もしくは Web にてデータセンターへご提出願います。
データ作成は TRUMP の「ファイルへの書き出し」の中にあ
る「学会提出データ」ボタンを用いて下さい。
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提出期限
2012 年 2 月 10 日まで
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お忙しいとは存じますが、移植施設における移植件数を把握
する為の大切な登録でございます。入力は基本的な項目のみ
で 1 症例につき僅かですので、何卒よろしくお願いいたしま
す。
尚、昨年までご記入・ご提出をいただいていました、
「移植件数調査票」につきましては、昨年度お知
らせしました通り本年度より台帳登録と一体化となり、別途の提出は不要となります。
※骨髄移植推進財団、日本さい帯血バンクネットワークを介した移植を行なわれているご施設におき
ましては、施設認定の更新の為に台帳登録の提出が必須となりますので、必ずご提出ください。
また、今後学会の「全国調査報告書」には、本登録のみならず台帳登録の実績も掲載する予定である
ほか、データ利用・ワーキンググループへの参加の際の条件とすることも考えられています。
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