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2016年5月17日第2153号3面

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2016年5月17日第2153号3面
【国際貿易2016年4月26日第2151号3面】
2016年5月17日第2153号3面
■実務講座
中国の労務管理Q&A
(3)
Q:派遣労働者の受入れを考えています。どのような注意点がありますか。
A:①派遣労働者の受入先業務や受入人数が労働契約法及び労務派遣暫定規定等に違反していないか確認
する必要があります。
②派遣契約書の内容を精査し、本来は派遣元企業が負担すべき義務が派遣先企業に転嫁されていない
か、また、その場合のリスクについて事前に確認する必要があります。
解説:
=ポイント=
①派遣労働者の受入れに関して、受入先業務及び受入人数に制限がある。
②派遣契約書において、
本来は派遣元企業が負担すべき義務が派遣先企業に転嫁されている可能性がある。
(1)労働者派遣に対する規制
①派遣労働者の受入先業務に関する制限:中国では、労働派遣は正規雇用の補充形式であり、臨時的、補助
的又は代替的な勤務部署においてのみ実施することができる旨規定されています(労働契約法66条)
。臨時的
な勤務部署や補助的な勤務部署については法律上定義されています(同条)
。
「補助的」勤務部署については、
受入先企業が従業員全体の討議を経て企業自ら決定し、その内容を告示する等の手続要件が課されているため
注意が必要です(労働派遣暫定規定3条)
。
②派遣労働者の受入人数に関する制限:中国では、派遣先企業における派遣労働者の雇用総数が厳格に規制
されています(労働契約法66条3項)
。具体的には、派遣労働者は、派遣先企業の労働者雇用総数(派遣労働
者も含む)の10%を超えてならないとされています(労働派遣暫定規定4条)
。
③地区を跨いだ労働者派遣に関する制限:派遣元企業が所在地区外へ労働者を派遣する場合、当該派遣労働
者が享受する労働報酬及び労働条件は、派遣先企業所在地の基準に従うことが定められています(労働契約法
61条)
。なお、この場合の社会保険の加入手続きについては、派遣先企業の所在地において加入し、その地の
規定に従い社会保険料を納付する旨規定されています(労働派遣暫定規定19条)
。
(2)派遣契約締結時の注意点
中国では、派遣労働者の受入れに当たって派遣元企業と派遣先企業の間で、派遣部署、人数、労働報酬、派
遣期間、社会保険料の金額や支払方法等を定めた労働派遣契約を締結することが義務付けられています(労働
契約法59条、労働派遣暫定規定7条)
。
また、派遣労働者の労働報酬に関して、中国では同一労働同一報酬の原則が既に確立しており、派遣先企業
は、派遣労働者に対し、同一部署の労働者と同一の労働報酬分配規則を実施することが義務付けられています
(労働契約法63条)
。
そして、派遣契約書の内容を精査し、本来は派遣先企業が負担する必要のない義務を負わされていないかを
確認することも重要です。特に、派遣契約の終了にあたって、派遣労働者を派遣元に戻す場合や解雇する場合
の派遣元企業の責任(派遣労働者の業務がない期間の給与の支払いや経済補償金の支払い義務等)を派遣先企
業に転嫁する事例が散見されます。
この点について、派遣元企業は自らが提示した派遣労働契約の修正を受け入れないことも実際上は多いこと
から、契約書の内容を精査したうえで、法定以上の義務を負担してでも派遣労働者を受け入れる必要があるか
否かについて慎重に検討する必要があるといえます。
(日本高井・岡芹律師事務所駐北京代表処 ・日本弁護士・五十嵐充、法律顧問・包香玉)
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