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西成ブックレット「西成で骨を考えた 西成のまちづくりとレンダリング産業
西成ブックレット「西成で 骨を考えた 西成のまちづくりとレンダリング産業」 “漫画「骨は生きている ピンポ~ン」から突然始まり ます。休日の夕食時スキヤキを前にした、牛おやじと家 族の会話、“牛”おやじの視点から『骨』を“レンダリ ング”を考えるようになっています。 骨は役に立たないものと考える家族、だがレトルト食 品、天然調味料、肥料、活性剤・ゼラチンなど、食用、 医薬用、工業用として幅広く利用されているとともに、 多くの可能性を秘めています。何気ない夕食のスキヤキ (牛肉)から『レンダリング』へと、可能性を秘めた“産 業”として捉えられるようになっています。 「休日の夕食時、突然牛おやじが『ごめんよ』と現れ、 『ごちそうでんな スキヤキでっか』 。 「?」 『いい匂いがする』 『おっ』 『ごちそうでんな スキヤキでっか』 「食べにくいなぁ」 『親父さんの食べようとしている肉はここでんな」 『おいしおまっか?』 『遠慮せんと バンバン食べてや』 『ホラ シンキくさい顔せんと』 『わしら牛は食べてもろてナンボやさかい ぜんぶ食べてや』 「そやけど 骨までは 食べられへん」 ナニ~ッ 『食事中 悪いが みんな 集まってくれ…』 「塾へ行かんならんのに」「早う食べて かたづけな」 「野球中継 みたいのに・・・」 『あんたらなぁ』 『あんたら わしら牛 どない思っとんねん』 「牛肉やと思うています 食べられる動物や」 「わしら人間にとって最高に役立つ動物や」 『そうやねん わしら牛は』 『死んで 生きる 動物やねん』 そやさかい ぜんぶ 愛して ほしいねん! 「わたしら好きやで あんたの肉(牛肉) 「この年まで えらくお世話になりました」 『肉はええねん 好きなん分かってる 骨はどやねん?』 「骨みたいな 役に立たんもん 捨てるしかないやろ」 『・・・あ あんたら なあ・・・』 『ぜんぶ愛してて 言うとるやないか ワシは』 『暴れるぞ !』 「そやかて 骨が何の役に立つ」 「ほんまや」 ムカ~ッ 『あんたらは 何もわかってへん』 『わしらの骨がどんだけ 役に立っているか』 『19 ページを見てみい、あれでもまだ ほんの一例や ぎょうさん できるやろが!』 『研究しだいによったら これからなんぼでも 役に立つもんが できるねん』 「ほんまや 結構あるやん」 「ふーん知らんかったなあ」 『そうやって 骨から物を作っていく仕事 それがレンダリング産業なんじゃ』 「レンダリング産業? はじめて聞くわ」 「これ だまりなさい」 『ハハハ いいんやで お母さん ほとんどの人が知らんやろ そやけど・・・ やっぱり 知っておいてほしいわな・・・』 『骨を見直してもろたように レンダリングも見なおしてほしい』 『今まで見えてなかったもんが見えたら そこから何かがはじまることもある』 『な そうは思わへんか わしは牛やけど そない思う』 『食事中 邪魔して悪かったな』 『スキヤキ食べながら たまには骨のこと考えてくれたらうれしいなあ』 『ほんでもってレンダリングを身近に考えてもろうたら わしらは幸せや』 「牛や豚は捨てるところが何もない」 食肉に携わる人たちは声を揃えてそう言います。だが、皮も肉も内蔵も身 近に利用しているが、骨に関してだけは、利用しているという意識が少ない。 「骨は神様の贈り物だ」 骨ほど有効利用の可能性を残している物はなく、研究すればするほど夢は 膨らんできます。 時代は新しい世紀を迎えようとしています。西成に根ざすレンダリングも、 大きく変革しなければならない時期に来ています。 「この小さな一冊の本の中で、骨を考え、レンダリングという事業の未来を考 え、そして私たちの明日の資源について考えて」いくのが、このブックレッ トです。 ブックレットの構成は マンガー骨は生きている 神様の贈り物 君はレンダリングを知っているか 写真で見るレンダリング工場 西成においてレンダリング産業はどう変化してきたか 西成のまちづくりとレンダリング産業 西成のレンダリング産業が目指すもの 西成の町で。レンダリング産業に関わって インタビュー レンダリングに関わって(その2) レンダリングの周辺 牛の解体処理・皮革関連産業についての記録 レンダリングの周辺 食肉業界の今 レンダリングの可能性を探る 天然調味料 ボーンエキス 肥料として骨粉 ボーンチャイナ(骨灰磁器) カルシュウム補給資材としての食用骨粉 活性剤・ゼラチン レンダリングは 21 世紀に伸び行く産業 座談会 21 世紀の未来型レンダリング事業を考える 集約化工場とは ブックレットの概要は・・・ 「レンダリング」も「化製業」も同じ意味ですが、一般にはなじみのない言葉です。 「君はレンダリングを知っているか」では、レンダリングは牛や豚の骨・脂を処理し て有用な物を作り出す仕事のことと定義し、そのうえで、レンダリング工場の作業の 流れやそれによってできる製品等について説明しています。 「西成のまちづくりとレンダリング産業」では、西成のレンダリング産業の変遷、 過去と現在を示し、その中で①化製場から出る臭いの対策、②原料の確保、③労働力 の問題が大きな課題として指摘し、それを踏まえて「西成のレンダリング産業が目指 すもの」では「集約化工場」の建設を今後の方向として提示しています。「集約化」 により、新しい製造業としての地場産業を生み出すとともに、最も大きな問題である 「臭い」も大幅に環境改善されることになります。「骨」処理の工程で出される「悪 臭」公害は、長い間放置され続け、地域住民を悩ませるとともに、「西成は臭い」と いう差別意識を助長、再生産する大きな原因をつくっていました。 食肉加工・製造産業が動脈産業であるとするなら、レンダリングは畜産廃棄物処理 の静脈産業であるといえますが、 「臭い」による公害でイメージダウンしているため、 一般に理解されにくい産業となっています。レンダリング産業にかかわる方々、地元 西成、都市計画に携わる方などによって、レンダリング産業の現状とともに、21 世 紀に向けてのレンダリング事業の発展性について、「座談会 21 世紀の未来型レン ダリング事業を考える」で議論されています。 最後に、レンダリング゙工場による「臭気公害」の防止を一つの目的とした集約化 事業の必要性と事業の方法、事業推進のための基本条件などを示し、 「・・・食品を中心と した近代的な工場へ変身し、地域の雇用を担う新しい地場産業としての発展を目指す」 と、 「集約化工場とは」で締めくくっています。 出典:西成で骨を考えた-西成のまちづくりとレンダリング産業発行日:1998 年 11 月 25 日 編 者:西成区街づくり委員会 代表 松岡徹 :―変身、5 年の軌跡― 西成の部落解放運動 発行日:1998 年 7 月 15 日 発 行:部落解放同盟西成支部